JP2005069415A - 金属管の挿し口突部形成方法 - Google Patents

金属管の挿し口突部形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な強度を有する挿し口突部を容易かつ迅速に形成することを課題とする。
【解決手段】鋳造後焼鈍処理前の金属管1外面の挿し口突部形成位置に、内面に周方向凹溝6を形成した一つ割りリング2を、周方向凹溝6内に拡散溶接用インサートメタル5を収納して外嵌し、一つ割りリング2に周方向締付力を付与した状態で点溶接Pすることにより金属管1の挿し口外面に密着させた状態で仮固定し、次いで金属管1を焼鈍処理し焼鈍処理時の加熱温度により拡散溶接用インサートメタル5を溶融流動化させ、一つ割りリング2と挿口1外面との間に流動拡散させることで両者を溶着する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、金属管の挿し口突部形成方法に関し、詳しくは鋳鉄管などの金属管の挿し口外面に挿口突部を容易に成形する方法に関する。
従来、管継手として、図9に示すように、内面20にロックリング21をセットした受口22に、開口端近傍に挿し口突部23を有する挿し口管24を、ロックリング21を乗り越えるようにして挿入し、管継手に抜け出し力が働いたときには、挿し口突部23をロックリング21に係合させることで抜け出し防止を図った離脱防止継手が広く知られている。なお、図中25はシール用ゴムリング、26は押輪、27は締結ボルトを示す。
ところで、上記管継手において挿し口突部23を形成する方法として、図10に示すように焼鈍処理の終了した挿し口管27外周に溝29を研削し、ここに挿し口突部23形成用のリング28を嵌めつけた後、図11に示すようにリング28が動かないように外周から適宜手段30で押さえ付けておいてリング28の全周を溶接し、必要であれば最後に図12に示すように溶接肉盛部31を研磨整形して仕上げることなどが行われていた。
しかし、この方法は、リング28の側面のみの溶接なので、溶接強度が不足し、特に図13に示したように研磨仕上げした場合は、溶接肉盛部分の肉厚が減少するので、更に強度が不足する恐れがあった。
そのような問題を解消するため、図13に示すように、リング28内周面に環状溝31を形成し、この溝31内に拡散用インサートメタル32を収納して挿し口管24外面に外嵌し、焼鈍時の熱で上記拡散用インサートメタル32を溶融流動化させてリングを挿し口管外面にろう着けする方法が提案されている(特許文献2)。
特開昭59−31427号公報 特開平7−155937号公報
しかしながら、上記手段は、小径管であればともかく、中、大口径管となるほど外周の製造公差も大きくなるので、一つ割りのリング28を管外周に圧入する作業も口径の大きな管となるほど困難となる問題があった。
また、僅かな径の相違でも周長の変化が大きくなるので、それにあわせて周長の異なる一つ割りリングを用意する必要があり、製造管理が面倒となる問題もあった。
この発明は上記問題点を解消し、外周長に製造公差があっても一種類のリングを用意すればよく、しかも十分な強度を有する挿し口突部を容易かつ迅速に形成することを課題としてなされたものである。
上記課題を達成するための手段は、鋳造後焼鈍処理前の金属管の挿し口外面の突部形成位置に、内面に周方向凹溝を形成した一つ割りリングを、前記周方向凹溝内に拡散溶接用インサートメタルを収納して外嵌し、治具により前記一つ割りリングを周方向に締付け、その状態で周方向適宜間隔毎に点溶接することにより前記一つ割りリングを前記金属管の挿し口外面に密着させた状態で仮固定し、次いで前記治具を取り外して前記金属管を焼鈍処理し該焼鈍処理時の加熱温度により前記拡散溶接用インサートメタルを溶融流動化させ、前記一つ割りリングと挿口外面との間に流動拡散させることで両者を溶着することを特徴とするものである。
この発明によれば、管外周に挿し口突部を成形する場合、溝などを有しない挿し口外面に、一つ割りリングを内部に拡散溶接用インサートメタルを配置した状態で直接巻きつけ、治具により締付け固定することで、製造公差にかかわり無く金属管の挿し口外面に密着させた状態とし、この状態で点溶接することで仮固定し、ついで、焼鈍炉の熱を利用してリング内面に配置した拡散溶接用インサートメタルを溶融拡散させ、挿口突部を接着してしまうので、非常に迅速かつ容易に金属管外面に挿し口突部を形成することが出来る。
しかも、一つ割りリングは全周に渡って均一に拡散溶接されるので挿口突部の接着強度も高く、管継手の離脱防止力も十分な力とすることができる。
次に、この発明の金属管の挿し口突部形成方法を説明する。
図はこの発明の方法の工程を示した説明図である。
図1は鋳造直後の管1に挿口突部17用の一つ割りリング2を巻きつけた状態を示す軸方向断面図であって、遠心力鋳造法などで管1を鋳造後、管1外周にフラックス(図示せず)を塗布後、図2、図3に示すような一つ割りリング2を巻きつけるようにして配置する。
この一つ割りリング2は鋳鉄製とされ、リング体2の挿し口管1の管端側はテーパ面3とされ、内面に周方向の凹溝6が形成されている。なお、リング体2の他端側は挿し口管1の直立した端面のほか、図示のように角度θの傾斜面としても良い。
そして、一つ割りリング2の周方向の凹溝6には、線状の拡散溶接用インサートメタル5が収容されている。
この拡散溶接用インサートメタル5としては、Cu-Zn-Ni合金から成るワイヤーなどが好適に使用され、また、周方向凹溝6に収納される拡散溶接用インサートメタル5のワイヤーの全体積は、溶融拡散した時に一つ割りリング2内面と挿し口管1外面の間に均一に拡散し得る量とされる。
次いで、一つ割りリング2の一つ割り部7に図4に示すように締付具8を架設し、強く締付けることによって、一つ割りリング2を管1外周に強く抱きつかせるとともに挿し口管1外面に密着させ、位置ずれを起こさないように固定する。
この緊締具8としては、はさみのような構造をなすものでも使用可能であるが、鋳造後の高温の余熱が残る状態では操作者が非常に危険な状態に置かれ、また工具の締め付け状態を維持するのも困難なため、図5、図6に示すような治具8が用いられる。
この治具8は、筒状の支持体9内部にねじロッド10を貫通配置し一端を筒状の支持体9の端部に回転自在に軸支し、筒状の支持体9側面に形成した軸方向スリット11に突起12を貫通させたねじ駒13が、ねじロッド10にねじ嵌合された構成とされている。
そして、ねじロッド10の支持体9外部延長部に形成した操作部10aに、ハンドル工具(図示せず)を係合させ、ねじロッド10を軸周囲に正逆回転させると、その回転量に応じてねじ駒13が進退するようにされ、筒状の支持体9に突設した突起14とねじ駒13に設けた突起12の間隔が遠近調節可能とされている。
そして、一つ割りリング2の互いに対向する端部2a、2bには突起12、14と嵌合する貫通孔15、16が穿設され、これらに嵌合した状態でねじロッド10を締付けていけば一つ割りリング2が挿し口管1外面に密着するように締付け固定出来るようにされている。
したがって、一つ割りリング2を挿し口管1外周に嵌めつけ、突起12、14を一つ割りリング2の貫通孔15、16に嵌合したあとは、操作部10aにハンドル工具を係合させて締め付ければ簡単にリング2が締め付けられ、また、作業員が管側に位置しなければならないのはこの締付け作業時だけでよく、作業の安全性が確保される。
そして、この締付具8で一つ割りリング2を締付けて挿し口管1外周に密着させたあと図7に点Pで示すように一つ割りリング2と挿し口管1外面の間の要所をスポット的に溶接し、一つ割りリング2が挿し口管1外面に密着するように仮固定する。このスポット溶接する箇所は周方向で4〜6箇所の周方向に均等に離れた位置とされる。また、この溶接は全周溶接でなくスポット溶接なので作業は短時間で終了する。
この溶接が終了すれば締付具8を取り外し、管1全体を焼鈍炉(図示せず)へ搬入し管の焼鈍を行う。このとき、一つ割りリング2内面に形成した収容溝6内の拡散溶接用インサートメタル5は焼鈍時の熱により溶融流動化し、フラックスとの共同により一つ割りリング2内面と管1外周との間に拡散すると共に接着し、その後凝結することで両者は図8に示すように拡散された溶接用インサートメタル5aにより溶接一体化される。
したがって、管の焼鈍と同時に挿し口突部17が形成されるのである。
その後、必要に応じて図8に点線で示すように管端部を研削処理して製品化するのである。
以上説明したように、この発明の金属管の挿し口突部形成方法によれば、鋳造後の金属管外面に挿し口突部を形成するための一つ割りリングを挿入する溝を形成することなく、挿し口外面に突部を形成することができるので作業は迅速に行え、従来生じていた製造工程での渋滞が解消でき、しかも挿口突部はインサートメタルにより拡散溶接されるので接着強度も強いなど種々の効果を有する。
この発明の方法の対象となる管継手の挿口突部の説明図である。 一つ割りリングの断面図である。 図2のA−A線断面図である。 挿し口に一つ割りリングを取付けた状態を示す断面図である。 締付具の断面図である。 締付具の底面図である。 挿し口に一つ割りリングをスポット溶接する状態を示す正面図である。 挿し口に挿し口突部を形成した状態を示す断面図である。 従来の管継手の断面図である。 従来の管継手における挿し口突部の成形方法を説明する断面図である。 従来の管継手における挿し口突部の溶接工程の説明断面図である。 従来の管継手における挿し口突部の仕上げ工程を示す説明断面図である。 従来の管継手における他の挿し口突部の成形工程を示す説明断面図である。
符号の説明
1 管
2 一つ割りリング管受口
3 テーパ面
4 端面
5 インサートメタル
6 周方向凹溝
7 一つ割り部
8 締付具
9 支持体
10 ねじロッド
11 軸方向スリット
12 突起
13 ねじ駒
14 突起
15 貫通孔
16 貫通孔
17 挿し口突部

Claims (1)

  1. 鋳造後焼鈍処理前の金属管の挿し口外面の突部形成位置に、内面に周方向凹溝を形成した一つ割りリングを、前記周方向凹溝内に拡散溶接用インサートメタルを収納して外嵌し、治具により前記一つ割りリングを周方向に締付け、その状態で周方向適宜間隔毎に点溶接することにより前記一つ割りリングを前記金属管の挿し口外面に密着させた状態で仮固定し、次いで前記治具を取り外して前記金属管を焼鈍処理し該焼鈍処理時の加熱温度により前記拡散溶接用インサートメタルを溶融流動化させ、前記一つ割りリングと挿口外面との間に流動拡散させることで両者を溶着することを特徴とする金属管の挿し口突部形成方法。
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