JP2005068733A - 既存建築物の耐震補強構造 - Google Patents

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Abstract


【課題】 騒音や振動を極力抑えて近隣への影響を軽減し、既存建築物を使用しながら施工することができるとともに、せん断力伝達の性能を向上させることを目的とする。
【解決手段】 隣り合う既存柱と、既存柱の間に架設されて上下で対向する既存梁3とで形成された被補強架構フレーム1の面内に、被補強架構フレーム1の内周面1aに沿って形成された枠部材5と、枠部材5の内側に取り付けられた補強部材とからなる耐震補強枠4が組み入れられている既存建築物の耐震補強構造において、耐震補強枠4は被補強架構フレーム1の内周面1aとの間に隙間を設けて配置され、枠部材5の外周面5dに対向する被補強架構フレーム1の内周面1aには枠部材5の外周面5dに対向する接合板10が接着材11を介して接着され、接合板10と枠部材5との間には充填材9が充填されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、既存建築物の耐震性能を向上させる既存建築物の耐震補強構造に関する。
一般に、既存建築物の耐震補強を行う場合、耐震補強部材を増設する工法が採用されている。これは、既存建築物の隣り合う2本の柱とこの2本の柱に架けられた上下の梁とで構成される被補強架構フレームの面内に、被補強架構フレームの内法寸法に合わせた枠部材とこの枠部材の内側に設けられた補強部材とで構成される耐震補強枠を組み入れる工法である。
従来、耐震補強枠を被補強架構フレームの面内に接合させる方法としては、大別して後施工アンカーボルトを打ち込む方法と、後施工アンカーボルトを打ち込まない方法とがある。
後施工アンカーボルトを打ち込む方法は、被補強架構フレームの枠取付面にアンカーボルトを打ち込み、被補強架構フレームの面内に組み立てられた枠部材と被補強架構フレームとの間にスパイラル筋を配筋して高強度の無収縮モルタルを充填する方法である。この場合、枠部材には通常H型鋼が使用され、このH型鋼のウェブ面にはスタッドが垂直に取り付けられる。枠部材は、スタッドが取り付けられたウェブ面と被補強架構フレームの内側面とが対向するように組み立てられる。この方法は、既存の躯体と枠部材とが一体に形成されるため、既存の躯体から枠部材へのせん断力伝達を高性能にすることができる(例えば、特許文献1参照。)。
また、後施工アンカーボルトを打ち込まない方法は、被補強架構フレームの面内に組み立てられた枠部材と被補強架構フレームとの間に高強度の無収縮モルタルのみを介在させる方法である。この場合、枠部材には通常H型鋼が使用され、枠部材は、フランジ面と被補強架構フレームの内周面とが対向するように組み立てられるとともに、枠部材のフランジ面と被補強架構フレームの内周面との隙間が施工上必要な程度の大きさになるように組み立てられる。この方法では、後施工アンカーボルトを打ち込まないため、騒音や粉塵を抑止することができるが、既存の躯体から枠部材へのせん断力の伝達にある程度の制約がある。
特開2000−226938号公報 (第2−3頁、第1図)
しかしながら、上記した従来の後施工アンカーボルトを打ち込む方法では、後施工アンカーボルトの穴あけの際に大きな騒音や振動が発生するため、設置階だけでなく上下階にも影響を及ぼす。このため、上下階でも工事期間中は、オフィスビル等では業務を中断せざるを得ない場合や、マンション等では一時的な避難が余儀なくされる場合があるという問題が存在する。
また、上記した従来の後施工アンカーボルトを打ち込まない方法では、既存躯体と枠部材とのせん断力伝達が、柱と枠部材の水平材とがモルタルを介して接する柱頭部、或いは柱脚部のパンチングシア耐力、および既存躯体と枠部材とが負担する水平力により生じる縦部材の軸力によって生じる摩擦抵抗力によってのみ期待されているため、初期の外力によって接合部にせん断力が働くと、外力が小さい場合の摩擦抵抗力が小さくなり、接合部にクラックが発生したり、所定のせん断力を伝達できないという問題が存在する。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、枠部材と補強部材とからなる耐震補強枠を既存建築物の被補強架構フレーム内に組み入れて既存建築物の耐震性能を向上させる際、騒音や振動を極力抑えて近隣への影響を軽減し、既存建築物を使用しながら施工することができる既存建築物の耐震補強構造を提供することを目的とする。また、耐震補強枠と被補強架構フレームとのせん断力伝達の性能を向上させることで、耐震補強枠と被補強架構フレームとの接合部のクラックを防止することができる既存建築物の耐震補強構造を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、隣り合う既存柱と、該既存柱の間に架設されて上下で対向する既存梁とで形成された被補強架構フレームの面内に、該被補強架構フレームの内周面に沿って形成された枠部材と、該枠部材の内側に取り付けられた補強部材とからなる耐震補強枠が組み入れられている既存建築物の耐震補強構造において、前記耐震補強枠は前記被補強架構フレームの内周面との間に隙間を設けて配置され、前記枠部材の外周面に対向する前記被補強架構フレームの内周面には該枠部材の外周面に対向する接合板が接着材を介して接着され、該接合板と前記枠部材との間には充填材が充填されていることを特徴としている。
このような特徴により、小さい外力によってせん断力が働いた場合に、接着材の接着力が被補強架構フレームから耐震補強枠へのせん断力伝達に寄与し、大きい外力によってせん断力が働いた場合に、接着材の接着力に加えて、被補強架構フレームと耐震補強枠との間に生じる摩擦力が加算されてせん断力伝達に寄与する。また、騒音や振動を伴わない、接合板を接着する作業と、耐震補強枠を配置する作業と、充填材を充填する作業とによって、被補強架構フレームの面内に耐震補強枠が組み入れられる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の既存建築物の耐震補強構造において、前記枠部材の外周面には、第1の凹凸部が形成されていることを特徴としている。
このような特徴により、第1の凹凸部によって枠部材と充填材との接合力は向上し、充填材と被補強架構フレームとの間には摩擦力が働く。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の既存建築物の耐震補強構造において、前記接合板の前記枠部材の外周面に対向する面には、第2の凹凸部が形成されていることを特徴としている。
このような特徴により、第2の凹凸部によって接合板と充填材、及び枠部材と充填材との接合力は向上し、被補強架構フレームと接合板とは接着材による接着力が働く。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか記載の既存建築物の耐震補強構造において、前記接合板は、上方の前記既存梁の中央部に位置する前記被補強架構フレームの内周面に接着されていることを特徴としている。
このような特徴により、上方の既存梁の中央部の位置に接着されている接合板は、枠部材からの軸力の影響が少なく摩擦力が小さい上方の既存梁の中央において、小さい外力によって働くせん断力の伝達に対して効果的に寄与される。
本発明に係る既存建築物の耐震補強構造によれば、隣り合う既存柱と、既存柱の間に架設されて上下で対向する既存梁とで形成された被補強架構フレームの面内に、被補強架構フレームの内周面に沿って形成された枠部材と、枠部材の内側に取り付けられた補強部材とからなる耐震補強枠が組み入れられている既存建築物の耐震補強構造において、耐震補強枠は被補強架構フレームの内周面との間に隙間を設けて配置され、枠部材の外周面に対向する被補強架構フレームの内周面には枠部材の外周面に対向する接合板が接着材を介して接着され、接合板と枠部材との間には充填材が充填されているため、小さい外力によってせん断力が働いた場合に、接着材の接着力が被補強架構フレームから耐震補強枠へのせん断力伝達に寄与し、大きい外力によってせん断力が働いた場合に、接着材の接着力に加えて、柱のパンチング耐力及び被補強架構フレームと耐震補強枠との間に生じる摩擦力が加算されてせん断力伝達に寄与し、耐震補強枠と被補強架構フレームとのせん断力伝達の性能を向上させることができる。また、騒音や振動を伴わない作業によって耐震補強枠が組み入れられるため、騒音や振動が抑えられて近隣への影響が軽減され、既存建築物を使用しながら施工することができる。
以下、本発明に係る既存建築物の耐震補強構造の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1に示すように、被補強架構フレーム1は、既存建築物の隣り合う既存柱2と、隣り合う既存柱2の間に架設されて上下で対向する既存梁3とから構成される鉄筋コンクリート造の躯体である。被補強架構フレーム1の面内には、被補強架構フレーム1の耐震性能を向上させる耐震補強枠4が組み入れられている。耐震補強枠4は、矩形の枠部材5と、補強部材の一つであるダンパー部材6とから構成されている。
図2は、枠部材5の上枠5a中央部と既存梁3の中央部との接合部以外の枠部材5と被補強架構フレーム1との接合部を表す拡大図である。図1、図2に示すように、枠部材5は、H形鋼からなる部材が四角形状に組まれて形成されており、被補強架構フレーム1の内周面1aに沿って形成されている。枠部材5の外周面5dと被補強架構フレーム1の内周面1aとの間には隙間があけられており、枠部材5の外周面5dには、第1の凹凸部7が形成されている。第1の凹凸部7は、枠部材5を形成するH形鋼のフランジ幅で切断された複数の異形棒鋼8によって形成されており、複数の異形棒鋼8はフランジ幅方向の向きに一定間隔でそれぞれ配置されてフレア溶接等により枠部材5の外周面5dに接合されている。被補強架構フレーム1と枠部材5と間には、高強度の無収縮モルタルからなる充填材9が充填されている。
図3は、枠部材5の上枠5a中央部と既存梁3の中央部との接合部を表す拡大図である。図1、図3に示すように、既存梁3の中央部に位置し上枠5aの外周面5dに対向する被補強架構フレーム1の内周面1aはグラインダーなどにより目荒しされており、目荒しされた被補強架構フレーム1の内周面1aには板状の接合板10が接着材11を介して接着されている。接合板10は枠部材5の外周面5dに対向され、接合板10の枠部材5の外周面5dに対向する表面10aと枠部材5の外周面5dとの間には隙間があけられている。接合板10の表面10aには、第2の凹凸部12が形成されている。第2の凹凸部12は、接合板10の幅で切断された複数の異形棒鋼13によって形成されており、複数の異形棒鋼13は枠部材5の第1の凹凸部7を形成する異形棒鋼8に平行する向きに一定間隔でそれぞれ配置されてフレア溶接等により接合板10の表面10aに接合されている。接合板10と枠部材5と間には、高強度の無収縮モルタルからなる充填材9が充填されている。
また、図1に示すように、ダンパー部材6は、低降伏点鋼からなる芯部材が備えられた鋼材系の制震ダンパーや、粘性弾性体やオイルダンパーの粘性抵抗をダンパーとして利用した粘性系ダンパーなどからなり、ダンパー部材6は枠部材5の内側にハ字状に配置されて取り付けられている。ダンパー部材6の上端は、枠部材5の上枠5a中央部から垂設された第1のガセットプレート14と、第1のガセットプレート14に溶接されたリブプレート15とに、スプライスプレート16を介して高力ボルトによりそれぞれ2面摩擦接合されている。ダンパー部材6の下端は、枠部材5の下枠5bと両側枠5cとの入隅にそれぞれ設けられた第2のガセットプレート17と、第2のガセットプレート17に溶接されたリブプレート18とに、スプライスプレート19を介して高力ボルトによりそれぞれ2面摩擦接合されている。
次に、上記した構成からなる既存建築物の耐震補強構造の施工方法について説明する。
まず、図2に示すように、枠部材5の外周面5d上に、予め工場や現場で、フランジ幅で切断された複数の異形棒鋼8を枠部材5のフランジ幅方向の向きに一定間隔で配置し、複数の異形棒鋼8をフレア溶接等により枠部材5の外周面5dにそれぞれ接合し、枠部材5の外周面5dに第1の凹凸部7を形成しておく。また、図3に示すように、接合板10表面10a上に、予め工場や現場で、接合板10の幅で切断された複数の異形棒鋼13を平行に一定間隔で配置し、複数の異形棒鋼13をフレア溶接等により接合板10の表面10aにそれぞれ接合し、接合板10の表面10aに第2の凹凸部12を形成しておく。なお、異形棒鋼8、13に代えて丸鋼、フラットバー、角棒などを使用してもよい。
また、枠部材5は、複数のH形鋼を予め四角形状に組み立てておき形成させておくとともに、リブプレート15が溶接された第1のガセットプレート14を上枠5aの中央部に垂設させておき、リブプレート18が溶接された第2のガセットプレート17を下枠5bと両側枠5cとの両入隅にそれぞれ取り付けておく。
次に、既存梁3の中央部に位置して上枠5aの外周面5dに対向する被補強架構フレーム1の内周面1aを、グラインダー等により目荒しする。そして、目荒しされた被補強架構フレーム1の内周面1aに接着材11を介して接合板10を接着する。このとき、接合板10の表面10aが被補強架構フレーム1の内側方向に向くように接合板10を接着する。
次に、図1に示すように、枠部材5を被補強架構フレーム1の面内に組み入れる。このとき、異形棒鋼8が取り付けられた外周面5dが被補強架構フレーム1の内周面1aに対向するとともに、枠部材5の外周面5dと被補強架構フレーム1の内周面1aとの間に一定の隙間が設けられるように、枠部材5を配置する。
次に、枠部材5の外周面5dと被補強架構フレーム1の内周面1aとの間に形成された隙間の側面を図示せぬ型枠で塞ぎ、枠部材5の外周面5dと被補強架構フレーム1の内周面1aと図示せぬ型枠とで囲まれた空間を液密にするとともに、図示せぬ型枠には充填材9を流し込む図示せぬ注入口を設ける。この図示せぬ注入口から、流動性に優れている充填材9を、枠部材5の外周面5dと被補強架構フレーム1の内周面1aとの間、および枠部材5の外周面5dと接合板10の表面10aとの間にそれぞれ空隙ができないように満遍無く充填する。充填材9を充填した後、所定の養生期間をおいて充填材9を固化させて、充填材9が所定の強度を発現した後に型枠の脱型を行う。
つぎに、枠部材5の内側に2本のダンパー部材6をハ字状に配置する。ダンパー部材6は第1のガセットプレート14と第2のガセットプレート17との間にそれぞれ配置し、ダンパー部材6の上端と第1のガセットプレート14およびリブプレート15とを、スプライスプレート16を介して高力ボルトによりそれぞれ2面摩擦接合する。また、ダンパー部材6の下端と第2のガセットプレート17およびリブプレート18とを、スプライスプレート19を介して高力ボルトによりそれぞれ2面摩擦接合する。
上記した構成からなる既存建築物の耐震補強構造によれば、耐震補強枠4は被補強架構フレーム1の内周面1aとの間に隙間を設けて配置され、枠部材5の外周面5dに対向する被補強架構フレーム1の内周面1aには枠部材5の外周面5dに対向する接合板10が接着材11を介して接着され、接合板10と枠部材5との間には充填材9が充填されているため、小さい水平力によってせん断力が働いた場合に、接着材11の接着力が被補強架構フレーム1から耐震補強枠4へのせん断力伝達に寄与し、大きい水平力によってせん断力が働いた場合に、接着材11の接着力に加えて、被補強架構フレーム1と耐震補強枠4との間に生じる摩擦力が加算されてせん断力伝達に寄与し、耐震補強枠4と被補強架構フレーム1とのせん断力伝達の性能を向上させることができる。また、騒音や振動を伴わない作業によって耐震補強枠4が組み入れられるため、騒音や振動が抑えられて近隣への影響が軽減され、既存建築物を使用しながら施工することができる。
また、枠部材5の外周面5dには、第1の凹凸部7が形成されているため、第1の凹凸部7によって枠部材5と充填材9との接合力は向上し、充填材9と被補強架構フレーム1との間は摩擦力が働く。これによって、被補強架構フレーム1と耐震補強枠4との間に生じる摩擦力は大きくなり、より大きいせん断力の伝達に寄与することができる。
また、接合板10の表面10aには、第2の凹凸部12が形成されているため、第2の凹凸部12によって接合板10と充填材9との接合力は向上し、充填材9と接合板10及び充填材9と枠部材5との間は摩擦力が働き、被補強架構フレーム1と接合板10とは接着材による接着力が働く。これによって、被補強架構フレーム1と耐震補強枠4との間に生じる摩擦力は大きくなり、より大きいせん断力の伝達に寄与することができる。
また、接合板10は、上方の既存梁3の中央部に位置する被補強架構フレーム1の内周面1aに接着されているため、接合板10は、枠部材5からの軸力の影響が少なく摩擦力が小さい上方の既存梁3の中央において、小さい水平力によって働くせん断力の伝達に対して効果的に寄与される。これによって、接合板10および接着材11の量は低減され、コストダウンを図ることができるとともに、施工手間を軽減することができる。
以上、本発明に係る既存建築物の耐震補強構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、枠部材5の外周面5dには異形棒鋼8によって第1の凹凸部7が形成され、接合板10の表面10aには異形棒鋼13によって第2の凹凸部12が形成されているが、本発明は、異形棒鋼8、13に替えて丸鋼やフラットバー、アングルなどを使用してもよい。また、予め凹凸加工されて第1の凹凸部7が形成されている鋼材によって枠部材5を組み立ててもよく、異形棒鋼13が溶接された接合板10に替えて、縞鋼板(チェッカープレート)など表面に予め凹凸加工されたものを使用してもよい。
また、上記した実施の形態では、補強部材としてダンパー部材6が枠部材5の内側に取り付けられているが、本発明は、補強部材として、H形鋼などの鋼材からなるブレース部材や制震壁等を適宜使用してもよい。また、上記した実施の形態では、ダンパー部材6はハ字状に配置されているが、無論、ダンパー部材6をV字状に配置してもよく、複数層の被補強架構フレーム1にV字状に配置されたダンパー部材6とハ字状に配置されたダンパー部材6とを交互に設けて、ダンパー部材6をX字状に配置しても良い。
また、上記した実施の形態では、充填材9に無収縮モルタルを使用しているが、本発明は、充填材9にセメント、砂および水からなる高強度のセメントモルタルやエポキシ樹脂系接着剤を使用してもよい。本発明に係る既存建築物の耐震補強構造では、枠部材5の外周面5dと被補強架構フレーム1の内周面1aとの隙間は小さくすることができるので、流動性が低い充填材を使用する場合には、枠部材5の外周面5dと被補強架構フレーム1の内周面1aとの隙間の側方に取り付ける型枠を省略することができる。
また、上記した実施の形態では、接合板10は既存梁3の中央部に位置し上枠5aの中央部に対向する被補強架構フレーム1の内周面1aにのみ接着されているが、本発明は、枠部材5の外周面5dに対向する被補強架構フレーム1の内周面1aの全てに接合板10を接着してもよく、また、既存梁3の中央部に位置し上枠5aおよび下枠5bの中央部にそれぞれ対向する被補強架構フレーム1の内周面1aに接合板10をそれぞれ接着してもよく、接合板10は枠部材5に対向する被補強架構フレーム1の内周面1aの何れの位置に接着しても良い。また、上記した実施の形態では、接合板10は一枚であるが、本発明は、接合板を分割し、分割された接合板片をそれぞれ接着してもよい。
また、上記した実施の形態では、枠部材5を被補強架構フレーム1の面内に取り付けた後に、枠部材5の内側にダンパー部材6を取り付けているが、本発明は、むろん、ダンパー部材6と枠部材5とをあらかじめ一体化した耐震補強枠4を被補強架構フレーム1の面内に組み入れても良い。
本発明に係る既存建築物の耐震補強構造の実施の形態を説明するための全体側面図である。 本発明に係る既存建築物の耐震補強構造の実施の形態を説明するための拡大側面図である。 本発明に係る既存建築物の耐震補強構造の実施の形態を説明するための拡大側面図である。
符号の説明
1 被補強架構フレーム
2 既存柱
3 既存梁
4 耐震補強枠
5 枠部材
6 ダンパー部材(補強部材)
7 第1の凹凸部
9 充填材
10 接合板
11 接着材
12 第2の凹凸部

Claims (4)

  1. 隣り合う既存柱と、該既存柱の間に架設されて上下で対向する既存梁とで形成された被補強架構フレームの面内に、該被補強架構フレームの内周面に沿って形成された枠部材と、該枠部材の内側に取り付けられた補強部材とからなる耐震補強枠が組み入れられている既存建築物の耐震補強構造において、
    前記耐震補強枠は前記被補強架構フレームの内周面との間に隙間を設けて配置され、前記枠部材の外周面に対向する前記被補強架構フレームの内周面には該枠部材の外周面に対向する接合板が接着材を介して接着され、該接合板と前記枠部材との間には充填材が充填されていることを特徴とする既存建築物の耐震補強構造。
  2. 請求項1記載の既存建築物の耐震補強構造において、
    前記枠部材の外周面には、第1の凹凸部が形成されていることを特徴とする既存建築物の耐震補強構造。
  3. 請求項1または2記載の既存建築物の耐震補強構造において、
    前記接合板の前記枠部材の外周面に対向する面には、第2の凹凸部が形成されていることを特徴とする既存建築物の耐震補強構造。
  4. 請求項1から3のいずれか記載の既存建築物の耐震補強構造において、
    前記接合板は、上方の前記既存梁の中央部に位置する前記被補強架構フレームの内周面に接着されていることを特徴とする既存建築物の耐震補強構造。

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