JP2005068256A - 防眩性材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 曲面加工しても光学歪みが実質的に生じない偏光板を用いてなり、虹模様等の外観上の不具合が実質的に観察されない防眩性材料を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物95〜5モル%と、一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物5〜95モル%とを炭酸ジエステルによりカーボネート結合してなるポリカーボネート樹脂(A)と、構造式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルもしくはホスゲンによりカーボネート結合してなるポリカーボネート(B)とを、(100×(A))/((A)+(B))=1〜99重量%となるような比率でブレンドして得られるポリカーボネート樹脂組成物からなる透明保護シートと、偏光フィルムとを貼り合わせて得られる偏光板を用いてなることを特徴とする偏光サングラスまたはゴーグルから選ばれる防眩性材料。
【化1】
Figure 2005068256

【化2】
Figure 2005068256

【化3】
Figure 2005068256

【選択図】 なし

Description

本発明は、偏光フィルムと、特定のジヒドロキシ化合物から誘導されるポリカーボネート樹脂からなる透明保護シートとを張り合わせて得られる偏光板を用いてなる防眩性材料に関する。
偏光板は、優れた防眩性を示すため、度付きメガネレンズ、サングラスあるいはゴーグルといった防眩性を要求される光学材料分野に広く使用されている。偏光板は、偏光子の片面もしくは両面に透明保護シートを張り合わせてなる。偏光子としては、例えばポリビニルアルコールあるいはその誘導体からなるフィルムに代表される高分子フィルムにヨウ素や二色性色素を吸着し、該フィルムを一軸に延伸配向させた偏光フィルムが使用される。透明保護シートとしては、セルロース系シート、アクリル系シート、ポリカーボネート系シート等が使用されているが、中でも耐衝撃性、耐熱性を要求される分野ではポリカーボネート系シートが広く使用されている。なお、ここに言うポリカーボネートとは、一般的に、安価で入手容易な2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)からなるポリカーボネート樹脂を示す。
現在広く用いられている偏光サングラスあるいはゴーグルは、その装着理由がアウトドアでのレジャーやスポーツあるいはモータースポーツ時等の防眩であることから、安全性という観点から見て耐衝撃性および耐熱性が重要視される。そのため、これらの防眩性材料用途に用いられる偏光板の透明保護シートには主としてビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂が用いられている。ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂は、優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、低吸水性、耐溶剤性、機械特性および寸法安定性を有する。しかしながら、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂は複屈折および光弾性係数が大きいという難点を有している。
偏光サングラスおよびゴーグルは、偏光板を型抜き曲面加工した後そのまま形状加工および枠入れしたものである。どちらの防眩性材料も、偏光板を型抜きした後曲面加工を施すのが共通点である。然るに、本発明者らの検討によると、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂からなる透明保護シートを偏光フィルムの片面もしくは両面に接着して偏光板を形成し、該偏光板を曲面状に真空成形あるいは圧空成形あるいはプレス成形した場合、曲面部分の応力歪みにより光学的な歪みが生じ、偏光が乱されるという悪影響が生じることが見出されている。このような光学的な歪みを持つ曲面状成形体は、それを斜めから見ると虹色の色むらが観測される。更に、該曲面偏光板を互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、光が透過する、いわゆる色抜けが観察されたり着色干渉縞が観察される。また、該曲面偏光板を互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、偏光板の一部に偏光フィルム色と異なる着色が観察されたり着色干渉縞が観察される。
例えば、偏光フィルムの少なくとも片面にリターデーション値(定義:複屈折△n×厚さd)が3000〜6000nmのポリカーボネート樹脂シートを積層し、曲面加工を施す眼鏡用凸レンズ状偏光板に関する記載がある(例えば、特許文献1)。該特許文献によれば、偏光フィルムの両面にリターデーション値3000nm以上のビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂シートを接着して偏光板とし、これを円形に切り出した後圧空成形によって凸レンズ状に曲面加工し、得られた凸レンズ状偏光板を斜め方向から観察しても色むらは全く観察されなかったと記載されている。この方法は実生産にも用いられており有効な方法といえるが、PCシートのリターデーション値を確保するために延伸による配向処置が必要である上、該配向軸と偏光基板の軸方向を一致させる必要があり、作業性に問題がある。又、該シートは2次加工の際に加熱すると収縮を起こす等の欠点がある。
例えば、偏光フィルムの片面または両面にリターデーション値が300nm以下でありかつ厚さが0.05〜0.25mmのポリカーボネート樹脂シートが貼着されてなる偏光板に関する記載がある(例えば、特許文献2)。該特許文献においては、キャスト法よって、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂からなる透明保護シートを作製した後、該透明保護シートを偏光フィルムの両面に貼り合わせて偏光板を作製して偏光性能を調べている。しかし、該特許文献においては、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂からなる透明保護シートを有する偏光板に関して、曲面加工していない場合の偏光性能を調べているに過ぎない。本発明者らが検討したところによると、該偏光板を円形に切り出した後真空成形によって凸レンズ状に曲面加工し、得られた曲面偏光板においては、それを斜めから見ると虹色の色むらが観測された。更に、該曲面偏光板を互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、光が透過する、いわゆる色抜けが観察されたり着色干渉縞が観察された。また、該曲面偏光板を互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、偏光板の一部に偏光フィルム色と異なる着色が観察されたり着色干渉縞が観察された。これは、曲面加工した場合、製品の光学性能がいまだ不充分であることを示す。
偏光板を曲面加工した後光学歪みが生じる、すなわちそれを斜めから見ると虹色の色むらが観測されたり、又は、該曲面偏光板を互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、光が透過する、いわゆる色抜けが観察されたり着色干渉縞が観察されたり、又は、該曲面偏光板を互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、偏光板の一部に偏光フィルム色と異なる着色が観察されたり着色干渉縞が観察されるのは、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂の複屈折が大きい、すなわち、固有複屈折率や配向分布関数、あるいは光弾性係数が大きいためである。そのため、偏光フィルムの透明保護シートとして様々な低複屈折性樹脂が試されてきた。しかし、例えば、代表的な低複屈折性樹脂である非晶質ポリオレフィンを透明保護シートに用いて偏光板に加工しても、偏光板を凸レンズ状に曲面加工すると、平面偏光板では見られなかった光学的色むらが生じることが本発明者らの検討により分かっている。
特開平09−005683号公報 特開2001−305341号公報
本発明は上記課題を解決しようとするものであり、曲面加工しても光学歪みが実質的に生じない偏光板を用いてなり、虹模様等の外観上の不具合が実質的に観察されない防眩性材料を提供することにある。すなわち、偏光フィルムに、特定の低複屈折樹脂からなる透明保護シートを貼り合わせてなる偏光板を用いてなる偏光サングラスあるいはゴーグルといった防眩性材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物95〜5モル%と、一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物5〜95モル%とを炭酸ジエステルによりカーボネート結合してなるポリカーボネート樹脂(A)と、構造式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルもしくはホスゲンによりカーボネート結合してなるポリカーボネート樹脂(B)とを、(100×(A))/((A)+(B))=1〜99重量%となるような比率でブレンドして得られるポリカーボネート樹脂組成物からなる透明保護シートと、偏光フィルムとを貼り合わせてなる偏光板を用いてなることを特徴とする偏光サングラスまたはゴーグルから選ばれる防眩性材料により上記課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
Figure 2005068256
(式中、R1、R2は水素原子またはメチル基である。)
Figure 2005068256
(式中、Xは、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数4〜20シクロアルキレン基である)
Figure 2005068256
本発明により、光学特性に優れ、複屈折にともなう虹色等を生じない、光学歪みの殆ど無い防眩性材料を得ることができる。とりわけ、偏光サングラスやゴーグルは表面に虹模様が見えず、外観特性に優れるため、アウトドアでの使用に極めて好適である。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(A)を誘導する一般式(1)で示されるジヒドロキシ化合物としては、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンが例示される。中でも9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好適に使用される。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(A)を誘導する一般式(2)で示されるジヒドロキシ化合物としては、具体的には、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が例示される。
以下に本発明に関わるポリカーボネート樹脂(A)の製造方法について述べる。ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを塩基性化合物触媒もしくはエステル交換触媒もしくはその双方からなる混合触媒の存在下反応させる公知の溶融重縮合法が好適に用いられる。
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等があげられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。炭酸ジエステルは、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.20モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.99〜1.10モルの比率である。
塩基性化合物触媒としては、特にアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、含窒素化合物等があげられる。
このような化合物としては、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物等の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が用いられる。
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛、アンチモンの塩が好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。
エステル交換触媒としては、具体的には、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、2−エチルヘキサン酸スズ(II)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)、酢酸アンチモン、アンチモントリブトキシド等が用いられる。
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-9〜10-2モルの比率で用いられ、好ましくは10-7〜10-4モルの比率で用いられる。
本発明にかかわる溶融重縮合法は、前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段行程で実施される。
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200〜350℃の温度で重縮合反応を行う。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用することが好適に実施される。
本発明にかかわるポリカーボネート樹脂は、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させる。一般的には、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの物質としては、具体的には、安息香酸ブチル等のエステル類、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、亜リン酸、リン酸、ホスホン酸等のリン酸類、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチル等の亜リン酸エステル類、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチル等のリン酸エステル類、ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸等のホスホン酸類、フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を0.1〜1mmHgの圧力、200〜350℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良く、このためには、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。
以下に本発明に関わるポリカーボネート樹脂(B)の製造方法について述べる。ポリカーボネート樹脂(B)は構造式(3)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)から誘導されるホモポリマーであるが、ビスフェノールA以外のビスフェノール類を物性の損なわれない範囲で少量共重合していても良い。ポリカーボネート樹脂(B)の製造方法の1つとして、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを塩基性化合物触媒の存在下反応させる公知の溶融重縮合法が好適に用いられる。その製造方法は、重金属系のエステル交換触媒を用いない以外はポリカーボネート樹脂(A)の製造方法に準じるものである。
本発明に関わるポリカーボネート樹脂(B)のもう1つの好適な製造方法として、ジヒドロキシ化合物を溶媒および末端停止剤および酸結合剤の存在下、ホスゲンと反応させる界面重合法がある。通常、酸結合剤の水溶液にジヒドロキシ化合物および末端停止剤を溶解し、有機溶媒の存在下に反応させる。
酸結合剤としては、例えば、ピリジンあるいは水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好適に用いられ、また、溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなどが好適に使用される。さらに、重合反応を促進するために、触媒としてトリエチルアミンのような第三級アミンあるいはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩等が使用される。
また、重合度の調節に用いられる末端停止剤としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等の一官能ヒドロキシ化合物が使用される。
さらに、所望に応じて、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム等の酸化防止剤を少量添加しても良い。
反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲で行われる。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は反応系のpHを10以上に保持することが好ましい。
本発明に関わるポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、それぞれ別個に製造したポリカーボネート樹脂(A)と(B)のそれぞれの固体を混合し、混練機により混練して製造しても良いし、また、溶融状態の(A)の樹脂に固体の(B)を添加し、あるいは溶融状態の(B)の樹脂に固体の(A)を添加して混練機により混練して製造しても良い。あるいは、溶融状態の(A)と(B)の樹脂を混合して混練機により混練して製造しても良い。混練は、連続式で行ってもバッチ式で行っても良い。混練機としては、押し出し機、ラボプラストミル、ニーダー等が用いられるが、連続的に混練を行うなら押し出し機が、バッチ式で混練を行うならラボプラストミルあるいはニーダーが好適に使用される。なお、溶融重縮合法によって製造したポリカーボネート樹脂を用いる場合には、混練時のエステル交換反応を避ける見地から、触媒失活後に混練を行うことが望ましい。しかし、触媒失活剤とブレンド相手の樹脂とを同時に練り込んでもブレンド後に触媒失活剤を練り込んでも構わない。ただし、この場合には、エステル交換反応によるランダム化によって耐薬品性が損なわれない範囲に止める必要がある。
また、本発明に関わるポリカーボネート樹脂組成物のもう1つの製造方法として、ポリカーボネート樹脂(A)および(B)を溶媒に溶解させ、鋳型に注ぎ込んだ後溶媒を蒸発させる方法もある。溶媒としては例えばメチレンクロライド、クロロホルム、トリクロロエチレン等が使用される。この方法を用いる場合には、同時に添加剤を溶解添加することが可能であるため便利である。
さらに本発明に関わるポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、顔料、染料、帯電防止剤あるいは抗菌剤等を添加することが好適に実施される。これらの添加剤はブレンド混練を行う前に(A)、(B)各々もしくはどちらかの樹脂に事前に添加しておいても良いし、ブレンド混練前に練り込んでもブレンド混練時に同時に添加して練り込んでもブレンド後に練り込んでも良い。
本発明に関わる偏光板に使用される透明保護シートは該ポリカーボネート樹脂組成物を、キャスト法、溶融プレス法あるいは押し出しフィルム化法等の方法により成形し製造することができる。透明保護シートの厚さは0.05mm〜5mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1mmである。透明保護シートの厚さが0.05mmより薄いと、偏光板の強度が不充分になり加工した場合に成形体の破損が起こりやすくなるため好ましくない。また、5mmより厚いと、加工時のハンドリングが悪くなるため好ましくない。
また、本発明に使用されるポリカーボネート樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(A)の好ましいポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、20,000〜300,000であり、より好ましくは35,000〜150,000である。Mwが20,000より小さいと、透明保護シートが脆くなるため好ましくない。Mwが300,000より大きいと、溶融粘度が高くなるため製造後の樹脂の抜き取りが困難になり、また、溶剤への溶解性が悪くなってキャスト法でのシート成形が困難になる、更には溶融粘度が高くなるため押し出し成形が困難になるなどの問題が生じるため好ましくない。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(B)の好ましいポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、15,000〜250,000であり、より好ましくは20,000〜110,000である。Mwが15,000より小さいと、ブレンド樹脂組成物が脆くなるため好ましくない。Mwが250,000より大きいと、溶融粘度が高くなりブレンドの条件が厳しくなるため好ましくなく、また、溶剤への溶解性が悪くなってキャスト法でのシート成形が困難になる、更には溶融粘度が高くなるため押し出し成形が困難になるなどの問題が生じるため好ましくない。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(A)と(B)とのポリスチレン換算重量平均分子量差△Mwは、0〜120,000であることが好ましく、より好ましくは0〜80,000である。△Mwが120,000を越えると、(A)と(B)の粘度差が著しく大きくなるため相溶性が悪くなってブレンド樹脂組成物の透明性が低下し、偏光板の透明保護シートに使用できなくなるので好ましくない。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(A)はランダム、ブロックおよび交互共重合構造を含むものである。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂組成物の好ましいガラス転移温度(Tg)は90〜180℃であり、より好ましくは100〜165℃である。Tgが90℃より低いと、偏光板の使用温度範囲が狭くなるため好ましくない。また、180℃を越えると例えば押し出しフィルム化の成形条件が厳しくなるため好ましくない。
本発明に関わる偏光板に使用される偏光フィルムは、偏光機能を有する薄膜であれば特に制限はないが、曲げ加工して防眩用用途に用いる場合の後加工を考慮すると耐熱性のフィルムが好ましい。例えばポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や2色性色素を吸着させて延伸配向させたフィルム等が好適に使用される。偏光フィルムの製造法としては、例えば、ヨウ素または2色性色素を溶解させた10〜50℃の水溶液に高分子フィルムを浸漬し、ヨウ素または2色性色素を吸着させた後、該フィルムを金属イオンやホウ酸などの添加剤を溶解した10〜80℃の水溶液中に浸漬した状態である1方向に2.5〜8倍に延伸することによって製造することができる。偏光フィルムの厚さに特に制限はないが、操作性の面から通常0.02〜0.12mmのものが好適に使用される。
本発明に関わる偏光板は、上記偏光フィルムの片面もしくは両面に透明保護シートを貼り合わせることによって製造されるが、両面に貼り合わせる方法がより好適に実施される。貼り合わせには、透明度が高く、経時的に着色しにくく、耐熱性に優れた接着剤を用いるのが好ましく、具体的にはアクリル系、エポキシ系あるいはウレタン系の接着剤が好適に使用される。
本発明に関わる防眩性材料の表面上には、その用途に応じてハードコート処理、防曇処理、反射防止処理、着色処理、赤外線反射処理、赤外線吸収処理、紫外線反射処理あるいは紫外線吸収処理等が施される。
本発明に関わる偏光板の曲面加工の方法に特に制限はないが、公知の真空成形、圧空成形、プレス成形等の加工方法を適宜選択して実施することができる。
本発明に関わる防眩性材料である偏光サングラスあるいはゴーグルは、偏光板を型抜き曲面加工した後、形状加工および枠入れしたものである。すなわち、偏光サングラスやゴーグルの場合には、度を必要としないため、一般的には形状加工後、金属あるいは樹脂等からなるフレームに枠入れし商品とする。偏光サングラスの場合には、つるを直接曲面偏光板に付加した縁なしサングラスであっても良い。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何らの制限を受けるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法あるいは装置を用いて測定した。
1)ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw):GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒として、既知の分子量(分子量分布=1)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。この検量線に基づいて、GPCのリテンションタイムから算出した。
2)ガラス転移温度(Tg):示差熱走査熱量分析計(DSC)により測定した。
実施例1
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン10.11kg(23.05モル)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール4.524kg(23.05モル)、ジフェニルカーボネート10.22kg(47.71モル)、および炭酸水素ナトリウム0.01321g(1.572×10-4モル)を攪拌機および留出装置付きの50リットル反応器に入れ、窒素雰囲気760Torrの下1時間かけて215℃に加熱し撹拌した。
その後、15分かけて減圧度を150Torrに調整し、215℃、150Torrの条件下で20分間保持しエステル交換反応を行った。さらに37.5℃/hrの速度で240℃まで昇温し、240℃、150Torrで10分間保持した。その後、10分かけて120Torrに調整し、240℃、120Torrで70分間保持した。その後、10分かけて100Torrに調整し、240℃、100Torrで10分間保持した。更に40分かけて1Torr以下とし、240℃、1Torr以下の条件下で25分間撹拌下重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。得られたポリカーボネート樹脂のMw=87,000、Tg=130℃であった。このポリカーボネート樹脂10.0kgを100℃で24時間真空乾燥し、亜リン酸ジエチルを樹脂中の炭酸水素ナトリウムの10倍モル、グリセリンモノステアレートを樹脂に対して300ppmを添加して押し出し機により260℃で混練してペレタイズしペレットを得た。このペレットのMw=85,800であった。
得られたポリカーボネート樹脂16gとビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂E−2000(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)49gとを260℃に設定したラボプラストミルで窒素を吹き込みながら6分間混練した。回収した樹脂組成物は透明であり、Tg=146℃と1つの変曲点しか観察されず相溶していることが確認された。該樹脂組成物を240℃の下に、10MPaの圧力で1分間加圧プレスして厚さ0.3mmの透明保護シートを得た。特許−第2663440号に基づき作成した偏光フィルムの両面にウレタン系接着剤を塗布して該プレスシートを貼り付け、厚さ0.65mmの偏光板を得た。この偏光板から直径80mmの円盤を切り出した。該円盤を曲率半径87mmの球面状のジグを用いて140℃の下に500Paで5分間真空成形し、円形状の曲面偏光板を得た。さらに、この曲面偏光板を形状加工した後、枠を取り付け偏光サングラスとした。該偏光サングラスを斜めから見ても虹色の色むらは観測されなかった。更に、該偏光サングラスを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、光が透過する、いわゆる色抜けは観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。また、該偏光サングラスを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、偏光サングラスの一部に偏光フィルム色と異なる着色は観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。これより、該偏光サングラスは光学歪みの殆ど無い優れた製品であることが確認された。
また、該偏光板を異型ジグを用いてゴーグル状に真空成形し、ポリプロピレン製の枠に入れてゴーグルとした。該ゴーグルを斜めから見ても虹色の色むらは観測されなかった。更に、該ゴーグルを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、光が透過する、いわゆる色抜けは観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。また、該ゴーグルを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、ゴーグルの一部に偏光フィルム色と異なる着色は観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。これより、該ゴーグルは光学歪みの殆ど無い優れた製品であることが確認された。
実施例2
実施例1において合成されたポリカーボネート樹脂を52g、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂E−2000を13g用い、真空成形温度を128℃とした以外は実施例1と同様にして曲率半径87mmの曲面偏光板を得た。さらに、この曲面偏光板を形状加工した後、枠を取り付け偏光サングラスとした。該偏光サングラスを斜めから見ても虹色の色むらは観測されなかった。更に、該偏光サングラスを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、光が透過する、いわゆる色抜けは観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。また、該偏光サングラスを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、偏光サングラスの一部に偏光フィルム色と異なる着色は観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。これより、該偏光サングラスは光学歪みの殆ど無い優れた製品であることが確認された。
また、該偏光板を異型ジグを用いてゴーグル状に真空成形し、ポリプロピレン製の枠に入れてゴーグルとした。該ゴーグルを斜めから見ても虹色の色むらは観測されなかった。更に、該ゴーグルを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、光が透過する、いわゆる色抜けは観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。また、該ゴーグルを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、ゴーグルの一部に偏光フィルム色と異なる着色は観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。これより、該ゴーグルは光学歪みの殆ど無い優れた製品であることが確認された。
実施例3
実施例1において合成されたポリカーボネート樹脂を15g及びビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂E−2000、45gをジクロルメタン240gに溶解し、キャスト法により厚さ0.15mmの透明保護シートを得た以外は実施例−1と同様にして曲率半径87mmの曲面偏光板を得た。さらに、この曲面偏光板を形状加工した後、枠を取り付け偏光サングラスとした。該偏光サングラスを斜めから見ても虹色の色むらは観測されなかった。更に、該偏光サングラスを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、光が透過する、いわゆる色抜けは観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。また、該偏光サングラスを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、偏光サングラスの一部に偏光フィルム色と異なる着色は観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。これより、該偏光サングラスは光学歪みの殆ど無い優れた製品であることが確認された。
また、該偏光板を異型ジグを用いてゴーグル状に真空成形し、ポリプロピレン製の枠に入れてゴーグルとした。該ゴーグルを斜めから見ても虹色の色むらは観測されなかった。更に、該ゴーグルを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、光が透過する、いわゆる色抜けは観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。また、該ゴーグルを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、ゴーグルの一部に偏光フィルム色と異なる着色は観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。これより、該ゴーグルは光学歪みの殆ど無い優れた製品であることが確認された。
実施例4
実施例1において、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールの代わりにシクロヘキサン−1,4−ジメタノール3.324kg(23.05モル)を用い、また、45分かけて減圧度を150Torrに調整した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたペレットはMw=81,400、Tg=120℃であった。実施例1と同様の添加剤を添加後のペレットのMw=81,200であった。該ポリカーボネート樹脂ペレット32gとユーピロンE−2000ペレット32gをラボプラストミルにより混練した後、真空成形温度を128℃とした以外は実施例1と同様にして曲率半径200mmの曲面偏光板を得た。さらに、この曲面偏光板を形状加工した後、枠を取り付け偏光サングラスとした。該偏光サングラスを斜めから見ても虹色の色むらは観測されなかった。更に、該偏光サングラスを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、光が透過する、いわゆる色抜けは観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。また、該偏光サングラスを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、偏光サングラスの一部に偏光フィルム色と異なる着色は観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。これより、該偏光サングラスは光学歪みの殆ど無い優れた製品であることが確認された。
また、該偏光板を異型ジグを用いてゴーグル状に真空成形し、ポリプロピレン製の枠に入れてゴーグルとした。該ゴーグルを斜めから見ても虹色の色むらは観測されなかった。更に、該ゴーグルを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、光が透過する、いわゆる色抜けは観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。また、該ゴーグルを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察しても、ゴーグルの一部に偏光フィルム色と異なる着色は観察されず、着色干渉縞も観察されなかった。これより、該ゴーグルは光学歪みの殆ど無い優れた製品であることが確認された。
比較例1
実施例1において、透明保護シートに溶融プレス法で成形した厚さ0.3mmのビスフェノールAからなるポリカーボネートシートを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。該偏光サングラスを斜めから見ると虹色の色むらが観測された。更に、該偏光サングラスを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、光が透過する、いわゆる色抜けが観察され、着色干渉縞も観察された。また、該偏光サングラスを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、偏光サングラスの一部に偏光フィルム色と異なる着色が観察され、着色干渉縞も観察された。これより、該偏光サングラスは光学歪みの大きい製品であることが確認された。
また、該偏光板を異型ジグを用いてゴーグル状に真空成形し、ポリプロピレン製の枠に入れてゴーグルとした。該ゴーグルを斜めから見ると虹色の色むらが観測された。更に、該ゴーグルを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、光が透過する、いわゆる色抜けが観察され、着色干渉縞も観察された。また、該ゴーグルを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、ゴーグルの一部に偏光フィルム色と異なる着色が観察され、着色干渉縞も観察された。これより、該ゴーグルは光学歪みの大きい製品であることが確認された。
比較例2
実施例1において、透明保護シートに厚さ0.15mmのキャスト法により作成したビスフェノールAからなるポリカーボネートシートを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。該偏光サングラスを斜めから見ると虹色の色むらが観測された。更に、該偏光サングラスを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、光が透過する、いわゆる色抜けが観察され、着色干渉縞も観察された。また、該偏光サングラスを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、偏光サングラスの一部に偏光フィルム色と異なる着色が観察され、着色干渉縞も観察された。これより、該偏光サングラスは光学歪みの大きい製品であることが確認された。
また、該偏光板を異型ジグを用いてゴーグル状に真空成形し、ポリプロピレン製の枠に入れてゴーグルとした。該ゴーグルを斜めから見ると虹色の色むらが観測された。更に、該ゴーグルを互いの偏光軸が直交位となるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、光が透過する、いわゆる色抜けが観察され、着色干渉縞も観察された。また、該ゴーグルを互いの偏光軸が平行になるように配置した平面偏光板と重ねて観察すると、ゴーグルの一部に偏光フィルム色と異なる着色が観察され、着色干渉縞も観察された。これより、該ゴーグルは光学歪みの大きい製品であることが確認された。

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物95〜5モル%と、一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物5〜95モル%とを炭酸ジエステルによりカーボネート結合してなるポリカーボネート樹脂(A)と、構造式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルもしくはホスゲンによりカーボネート結合してなるポリカーボネート樹脂(B)とを、(100×(A))/((A)+(B))=1〜99重量%となるような比率でブレンドして得られるポリカーボネート樹脂組成物からなる透明保護シートと、偏光フィルムとを貼り合わせて得られる偏光板を用いてなることを特徴とする偏光サングラスまたはゴーグルから選ばれる防眩性材料。
    Figure 2005068256
    (式中、R1、R2は水素原子またはメチル基である。)
    Figure 2005068256
    (式中、Xは、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数4〜20のシクロアルキレン基である。)
    Figure 2005068256
  2. 一般式(2)で表される化合物がトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールである請求項1に記載の防眩性材料。
  3. 一般式(2)で表される化合物がシクロヘキサン−1,4−ジメタノールである請求項1に記載の防眩性材料。
  4. 一般式(2)で表される化合物がペンタシクロペンタデカンジメタノールである請求項1に記載の防眩性材料。
  5. 一般式(1)中のR1が水素原子である請求項1に記載の防眩性材料。
  6. 一般式(1)中のR1およびR2が水素原子である請求項1に記載の防眩性材料。
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