JP2005067966A - リン酸カルシウム系セラミックス多孔体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マクロ孔とメソ孔を併有するリン酸カルシウム系セラミックス多孔体を提供する。
【解決手段】リン酸三カルシウム及びリン酸八カルシウムを含有し、細孔直径が10nm〜100nmのメソ孔と細孔直径が10μm〜100μmのマクロ孔を併有する細孔径分布を示すリン酸カルシウム系セラミックス多孔体及びその製造方法。
【選択図】なし


Description

本発明は生体補填材料(特に、生体吸収性に優れているだけでなく、骨再生誘導因子や抗生物質等の薬剤の担持と徐放を可能にする生体補填材料)、環境浄化材料および建築材料等として有用なリン酸カルシウム系セラミックス多孔体およびその製造方法に関する。
従来から、生体補填材料としてはヒドロキシアパタイト(HA)が用いられてきている。HAは生体活性があり、体液との反応により線維性被膜を介在させることなく自家骨を形成させ、周囲の骨と直接的に強く結合することができる。このようなHAに連続したマクロ孔を形成させた多孔体を用いることにより、該マクロ孔内への新生骨の進入に起因して骨癒合を向上させることが可能となった(特許文献1参照)。
しかしながら、HAには、体内では吸収されない状態で長期間にわたって残存し、自家骨との間の機械的諸物性の相違に起因して耐久性に劣るという問題がある。このため、生体内で速やかに吸収されて自家骨に置き換わるような生体吸収性に優れた多孔性生体補填材料が要請されている。このような要請に対して、HA多孔体の代替材料としてβ型リン酸三カルシウムからなるリン酸カルシウム系多孔体が提案されているが(特許文献2参照)、この場合には、体内での溶解速度が依然として低いだけでなく、β型からα型への相転移が1200℃付近で生じるために焼成温度が限定され、多孔体の骨格を形成するセラミックスの緻密化が不十分となり、多孔体の強度が低下するという問題がある。
このため、生体内での吸収性が高く、十分な強度を発揮するリン酸カルシウム系セラミックス多孔体が要請されている。
さらに、このようなリン酸カルシウム系セラミックス多孔体に対しては、新生骨が進入する比較的大きな連続マクロ孔とは別に、抗生物質等の薬剤や骨形成促進タンパク質等の骨再生誘導因子等が担持できる微細孔(メソ孔)を有するバイモーダルな細孔分布を示す特性を付与することが望まれている。
微細な細孔は、この種の多孔体の表面積を増加させるので、薬剤や骨再生誘導因子等の担持量を大幅に増大させると考えられる。このため、例えば、該多孔体に抗生物質を担持する場合には、多孔体埋食時の感染を有効に防止すると共に患部の炎症を効果的に緩和させることができ、また、骨形成促進タンパク質である骨形態形成タンパク質(BMP:Bone Morphogenetic Protein)を該多孔体に担持する場合には、該多孔体が生体内で吸収されると共にBMPによる骨形成反応が促進されるので、骨欠損部において骨形成が生じるまでに該多孔体が吸収されてしまうことがなく、該多孔体は骨形成のスキャフォールド(足場)材料として有効に機能すると考えられる。特に、メソ孔を有するこの種の多孔体に対しては、該メソ孔がタンパク質の分子サイズ1(BMPの場合は、約20〜30nmである)とマッチングするために、担持性だけでなく、徐放性も期待される。
メソ孔を有する多孔体としては、平均細孔直径が70nm〜200nmの多孔性ガラスが知られており、該多孔性ガラスは優れたタンパク質吸着能を発揮するが(特許文献3参照)、この場合には、生体吸収性の観点からは、リン酸三カルシウムに比べて吸収速度が遅いという問題がある。
また、pH10〜12の水性媒質中においてカルシウムイオンとホスフェートイオンを反応させて得られるゼラチン状のリン酸カルシウム沈殿物を焼成することによって、メソ孔を有するリン酸カルシウム系セラミック多孔体を製造する方法も知られている(特許文献4参照)。しかしながら、この場合には、該方法で得られる多孔体は血液浄化用吸着剤等としては有効に作用するが、マクロ孔に起因する骨組織の侵入や骨芽細胞の侵入による骨形成の促進に対しては有効に作用しないという問題がある。
特開平5−208044号公報 特開2002−58735号公報 特公昭63−62220号公報 特開昭62−253074号公報 J. Ceram. Soc. Japan, 107, 577-581(1999) J. Inclusion Phenomena, 2, 127-134(1984)
本願発明は、当該分野における上記の諸問題を解決できるリン酸カルシウム系セラミックス多孔体を提供するためになされたものである。
即ち本発明は、リン酸三カルシウム及びリン酸八カルシウムを含有し、細孔直径が10nm〜100nmのメソ孔と細孔直径が10μm〜100μmのマクロ孔を併有する細孔径分布を示すリン酸カルシウム系セラミックス多孔体及びその製造方法に関する。
本発明によるセラミックス多孔体は、リン酸三カルシウム(TCP)およびリン酸八カルシウム(OCP)を構成成分とすることに起因して高い生体吸収性を示すと共に連続的なマクロ孔が新生骨形成の足場として有効に作用するので、理想的な骨補填材料として有用なだけでなく、メソ孔の存在に起因して薬剤や骨再生誘導因子等の担持と徐放を可能にするので(特に、該メソ孔の形成により多孔体の表面積が増加するために薬物やタンパク質等を吸着できる有効表面積が増大し、また、該メソ孔を構成する主成分であるOCPはタンパク質等に対して優れた吸着特性を示すので骨形成促進タンパク質等を有効に担持できる)、抗炎症作用や骨形成促進作用等の機能を発揮する高機能性生体補填材料としても有用である。
本発明によるリン酸カルシウム系セラミックス多孔体の特徴は、TCPとOCPを構成成分とすると共に、細孔直径が10nm〜100nm(好ましくは20nm〜50nm)のメソ孔と細孔直径が10μm〜100μm(好ましくは20μm〜50μm)のマクロ孔を併有する点にある。
本発明によるリン酸カルシウム系セラミックス多孔体はTCPを主成分とし、OCPを副成分として含有する。TCPの粒子は主としてマクロ孔を提供し、OCPの粒子は主としてメソ孔を提供するので、本発明によるリン酸カルシウム系セラミックス多孔体においては、該多孔体の用途等に応じてTCPとOCPの含有比を変化させることによって、メソ孔とマクロ孔との存在比を適宜調整することができる。従って、該多孔体中のTCPとOCPの組成比は特に限定的ではないが、通常の生体補填材料としての用途に対しては、OCP含有量が10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜70重量%である。
本発明によるセラミックス多孔体のメソ孔の直径が10nm未満の場合には、薬剤や骨形成促進タンパク質等の被担持物質が10nm未満のサイズのものに限定されるために好ましくなく(例えば、TGF-βスパーファミリーのBMP-2のサイズは20nmであることが知られている)、また、該メソ孔の直径が100nmよりも大きくなると、薬剤等の被担持物質の徐放性が低下して短時間に放出されるので実用的ではない。
このようなメソ孔の存在に起因して、本発明によるセラミックス多孔体の全細孔表面積を通常は10m/g以上(好ましくは30m/g以上)に高めることができる。なお、該多孔体を、特に吸着剤としての機能を発揮させる用途に用いる場合には、この程度の細孔表面積が必要である。
本発明によるセラミックス多孔体のマクロ孔の直径は通常は10μm以上にする。この理由は、該多孔体を、特に生体補填材料として使用する場合、該多孔体が体内へ充填したときに新生骨の足場として有効に作用するためには、細胞や血液が多孔体の内部へ侵入することが必要であり、このためには10μm以上のマクロ孔が必要と考えられるからである。しかしながら、該多孔体のマクロ孔が100μmよりも大きくなると、該多孔体の機械的強度が著しく低下するので好ましくない。
本発明による上記のリン酸カルシウム系セラミックス多孔体の特に好適な製造方法を以下に説明する。
この製造方法は、細孔直径が10μm〜100μmの連続気孔を有すると共にTCPを主成分とするセラミックス多孔体を、pHが3.5〜7.0(好ましくは3.8〜5.2)の緩衝溶液中に浸漬することを特徴とする。
緩衝液に浸漬する前のセラミックス多孔体は、細孔直径が10μm〜100μm(好ましくは20μm〜50μm)の連続気孔を有すると共にリン酸三カルシウム(TCP)を主成分(好ましくは50重量%以上、特に好ましくは80重量%以上)とする。該多孔体のマクロ孔の細孔直径を限定する理由は、前述の最終的なセラミックス多孔体の場合と同様である。
セラミックス多孔体を構成する主成分としては、体液中への溶解速度が速くて生体吸収性が高いα型のTCP(α−TCP)[Ca(PO]が好ましいが、該カルシウム化合物には、OCP[Ca(HPO(PO・5HO]、β型のTCP(β−TCP)、HA[Ca(PO(OH)]及びDCPD(CaHPO)等のその他のリン酸カルシウムが含まれていてもよい。
上記の緩衝液中での浸漬前のセラミックス多孔体を得る好適な方法としては、下記の工程(1)〜(4)を含む製造方法が例示される:
(1)TCPと水溶性高分子を混合し、
(2)該混合物に水を添加して水性ペーストを調製し、
(3)該水性ペーストを、三次元網目構造を有する水不溶性有機体に担持させるか又は耐熱性型内へそのまま注型した後、有機成分を加熱脱脂処理に付し、次いで
(4)該脱脂処理物を1300℃〜1500℃で焼成する。
TCPとしては、α−TCPやβ−TCP等のリン酸三カルシウムが用いられる。β−TCPは焼成時の熱処理によりα相へ転移させることが好ましい。
また、水溶性高分子としては、特に限定的ではないが、デンプン(例えば、馬鈴薯澱粉、小麦デンプン、コーンスターチ及びタピオカ澱粉等)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びセルロース(例えば、ヒドロキプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース等)等が例示されるが、均一な多孔質構造をもたらす各種の澱粉が好ましい。
TCPと水溶性高分子との配合割合も特に限定的ではないが、通常は、両成分の水性ペーストの調製時に粘性を発現させると共に脱脂時に多孔体を形成する際に重要な役割をする水溶性高分子を、全粉体重量に対して5重量%〜70重量%(好ましくは25重量%〜60重量%)配合する。
TCPと水溶性高分子との粉状混合物に水を添加して水性ペーストを調製する工程においては、該水性ペーストの粘度が200〜2000mPa・Sになるように水の添加量を調整するのが好ましい。具体的には、水/粉状混合物の配合比が約0.5〜約1.5に成るようにするのが好ましい。
該水性ペーストの成形法も特に限定されないが、例えば、水性ペーストを坩堝のような耐熱性型内に直接注型して成形するか、又は三次元網目構造を有する有機化合物製スポンジ(例えば、ウレタンフォーム等)もしくは不織布等に含浸させることによって成形する。脱脂温度は、水溶性高分子及びスポンジの分解温度以上(約600℃以上)にするのが望ましい。脱脂物の焼成は、十分な緻密化が生じる1000℃以上の温度でおこなう。β−TCPを出発物質として使用する場合には、生体吸収性のより優れたα−TCPに転移させるために、1200℃以上(好ましくは1300℃〜1500℃)の温度で焼成処理をおこなう(1500℃よりも高温での焼成は、α−TCPの熱分解をもたらすので、避けるべきである)。
上記のようにして調製されるセラミックス多孔体(細孔直径が10μm〜100μmの連続気孔を有すると共にTCPを主成分とするセラミックス多孔体)を、pHが3.5〜7.0(好ましくは3.8〜5.2)の緩衝溶液中に浸漬することによって、本発明によるリン酸カルシウム系セラミックス多孔体、即ち、TCP及びOCPを含有し、細孔直径が10nm〜100nmのメソ孔と細孔直径が10μm〜100μmのマクロ孔を併有する細孔径分布を示すリン酸カルシウム系セラミックス多孔体が得られる。
原料多孔体を上記のpH範囲内の緩衝液中での浸漬処理に付すことによって、該多孔体を構成するTCP結晶の一部が転移し、内部細孔が10nm〜100nmのメソ孔を有するOCP結晶粒子が生成し、この結果、本発明による上記のリン酸カルシウム系セラミックス多孔体が得られる。従って、上記の転移量を適宜調整することによって、多孔体中のTCPとOCPの組成比を変化させることができる。
この浸漬処理において、pHが3.5〜7.0の範囲から外れると、上記の細孔特性を有するOCPの生成は困難となる。一方、緩衝剤の種類は特に限定的ではなく、上記のpH範囲内において十分な緩衝効果を示すフタル酸、クエン酸、酢酸、コハク酸及びマレイン酸塩等が例示される。
上記の浸漬処理は、減圧下での脱泡処理をおこなった後、被処理多孔体の内部まで緩衝液を浸透させた状態でおこなうことが好ましい。浸漬温度は特に限定的ではないが、通常は、OCPの形成を促進させるために、加温下、例えば、30℃〜80℃(好ましくは35℃〜60℃)でおこなう。浸漬時間は浸漬温度等によって左右され、特に限定的ではないが、TCPからOCPへの転移反応を十分に進行させ、細孔直径が10nm〜100nmのメソ孔を十分に形成させるためには、上記の浸漬温度において、3日間〜10日間に設定するのが好ましい。
また、上記の浸漬処理においては、OCPのほかに、少量のDCPD(CaHPO・2HO)及び層状化合物であるOCPの層間に緩衝液中に含まれる有機物(例えば、フタル酸等)が取り込まれて格子面間隔が増大した有機物含有OCPも生成するが、これらの少量の副生物は、本願発明の所期の目的の達成に対する阻害因子とはならず、むしろ被吸着有機物の吸着特性の向上に寄与することが期待される。
なお、OCPが、その結晶成長において内部に微細孔を有する特徴的なモルフォロジー(形態)を有すると共にTGF−βなどの各種タンパク質に対して優れた吸着特性を発揮することは知られており(非特許文献1参照)、また、粉末状態におけるTCPからOCPへの結晶転移に関する報告例はあるが(非特許文献2参照)、TCPを主成分とする多孔体を出発原料として、メソ孔とマクロ孔を併有するリン酸カルシウム系セラミックス多孔体を調製するために該結晶転移反応を利用するという技術的思想は本発明によって初めてなされたものである。
実施例1、2及び4
β−TCP(ナカライテスク社の市販品)及び馬鈴薯でんぷん(ナカライテスク社の市販品)をそれぞれ50重量%の割合で混合し、この粉状混合物を超純水と混練して水性ペーストを調製し(前者:後者の重量比は8:7とした)、該水性ペーストを、一辺が1.5cmの立方体に切断したウレタンフォーム製スポンジ(平均孔径:1mm)に吸収させた。このペースト吸収スポンジをマッフル炉内へ入れて1000℃で3時間保持することにより脱脂処理をおこなった後、該脱脂処理物をSiC炉内へ入れて1400℃で12時間保持することによって多孔質燒結体を得た。
この多孔質燒結体(1g)を36.5℃に液温が保たれた緩衝液(30ml)中に入れ、減圧脱泡処理をおこなった後、表1に示す所定日数の間保持した。得られた浸漬処理物を緩衝液から引き上げ、次いで超純水で洗浄した後、36.5℃で1日乾燥させることによって、本発明によるリン酸カルシウム系セラミックス多孔体を得た。
なお、緩衝液としては0.05molのフタル酸水素カリウム水溶液を用い、該水溶液のpHは、1molの水酸化ナトリウム水溶液を用いて表1に示す値に調整した。
多孔体の気孔径の測定
水銀圧入法(測定装置としては、島津製作所製の「オートポア9220」を使用した)により、多孔体の気孔率と細孔径分布を4nm〜400μmの範囲で測定し、10nm〜100nm付近と10μm〜100μm付近にピークが存在するかどうかによってバイモーダルな細孔径分布を有するかどうかについて判定し、結果を以下の表1に示す。
Figure 2005067966
上記の測定で得られた細孔径分布の代表例(実施例2)を図1に示す。実施例2における多孔質燒結体の緩衝液中での浸漬時間と多孔体の気孔率又は細孔表面積との関係を図2に示す。
多孔体の結晶構造の測定
比較例1、実施例1及び実施例2の多孔体を乳鉢を用いて微粉砕し、得られた微粉末のX線回折図形を、CuKα線を使用する粉末X線回折法により、1°/分の走査条件下で測定した。X線回折装置としては、マックサイエンス社製の「M03XHF22」を使用した。得られたX線回折ピークをJCPDSとフィッティングすることにより、多孔体の結晶構造を同定した。得られたX線回折図形の測定例を図3に示し、また、TCPとOCPの結晶の存否を上記の表1に示す。
実施例3
実施例1で得られた水性ペーストをアルミナ製坩堝(キャスト)内で注型成形する以外は、実施例1の場合と同様の操作をおこなった。
比較例1
実施例1で得られた多孔質燒結体(緩衝液中での浸漬処理に付す前の多孔体前駆体)を試料とした。
この試料の細孔径分布を図4に示す。
比較例2
実施例1で得られた多孔質燒結体をpH=4のフタル酸水素カリウム水溶液に2日間浸漬し、該浸漬処理物を緩衝液から引き上げ、次いで超純水で洗浄した後、36.5℃で1日乾燥させることによって得られた多孔体を試料とした。
色素吸着試験
実施例1、実施例2又は比較例1の多孔体(1g)を濃度が12.5mg/mLのメチレンブルー水溶液(15mL)中へ7日間浸漬した後、該水溶液の上澄みをサンプリングし、試料の300nmにおける吸光度を測定した。この測定結果を図5に示す。
図5から明らかなように、10nm〜100nmの微細孔を有する実施例2による多孔体の場合には顕著な吸光度の変化が認められ、このことは、該多孔体が優れた色素吸着能(即ち、該微細孔への担持効果)を発揮することを裏付けるものである。
タンパク質吸着試験1
塩基性タンパクである塩化リゾチームまたは酸性タンパクであるウシ血清アルブミン(BSA:Bovine Serum Albumin)をpH7.0のリン酸緩衝液中へ該タンパク質の濃度が0.5mg/mlになるよう溶解した溶液(15mL)中へ、実施例2および比較例1による多孔体(1g)を1週間浸漬し、その間の所定時に溶液試料をサンプリングし、該試料中のタンパク質濃度をプロテインアッセイ法により測定し、測定結果を図6及び図7に示す。特に、図7から明らかなように、本発明によるメソ孔を有する多孔体は顕著な酸性タンパク質吸着能を発揮する。
タンパク質吸着試験2
実施例1による多孔体を追加し、また、タンパク質の所期濃度を0.2mg/mlにする以外は、上記の「タンパク質吸着試験1」の場合と同様の試験を行い、24時間経過後の試料中のタンパク質の濃度および多孔体1gあたりのタンパク質吸着量を測定した。測定結果を図8〜図11に示す。
なお、上記のタンパク質吸着試験における「対照」試験においては、多孔体試料を存在させないで同様の操作をおこなった。
本発明によるリン酸カルシウム系セラミックス多孔体は、理想的な骨補填材料や高機能性生体補填材料として特に有用なだけでなく、空気浄化フィルターや廃水処理材等の環境浄化材料及び断熱材等の建築材料等としても有効に利用することができる。
実施例2による試料の細孔径分布を示すグラフである。 実施例2で調製した多孔質燒結体をpH4の緩衝液中に浸漬したときの、浸漬日数と多孔体の気孔率と全細孔表面積との関係を示すグラフである。 比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2による試料のX線回折図形である。 比較例1による試料の細孔径分布を示すグラフである。 比較例1、実施例1及び実施例2の試料による色素の吸着効果を示すグラフであって、これらの試料を色素溶液中に7日間浸漬した後の上澄の吸光度を示す。 比較例1及び実施例2の試料による塩化リゾチームの吸着効果を示すグラフであって、浸漬溶液中の塩化リゾチーム濃度の経時的変化を示す。 比較例1及び実施例2の試料によるBSAの吸着効果を示すグラフであって、浸漬溶液中のBSA濃度の経時的変化を示す。 比較例1、実施例1及び実施例2の試料による塩化リゾチームの吸着効果を示すグラフであり、浸漬溶液中の塩化リゾチームの24時間後の濃度を示す。 比較例1、実施例1及び実施例2の試料による塩化リゾチームの吸着効果を示すグラフであり、これらの試料による塩化リゾチームの24時間後の吸着量を示す。 比較例1、実施例1及び実施例2の試料によるBSAの吸着効果を示すグラフであり、浸漬溶液中のBSAの24時間後の濃度を示す。 比較例1、実施例1及び実施例2の試料によるBSAの吸着効果を示すグラフであり、これらの試料によるBSAの24時間後の吸着量を示す。

Claims (6)

  1. リン酸三カルシウム及びリン酸八カルシウムを含有し、細孔直径が10nm〜100nmのメソ孔と細孔直径が10μm〜100μmのマクロ孔を併有する細孔径分布を示すリン酸カルシウム系セラミックス多孔体。
  2. 全細孔表面積が10m/g以上である請求項1記載の多孔体。
  3. 細孔直径が10μm〜100μmの連続気孔を有すると共にリン酸三カルシウムを主成分とするセラミックス多孔体を、pH3.5〜7.0の緩衝溶液中に浸漬することを含む、請求項1又は2記載のリン酸カルシウム系セラミックス多孔体の製造方法。
  4. 緩衝液中に浸漬する前のセラミックス多孔体の気孔率が40%〜90%である請求項3記載の方法。
  5. 細孔直径が10nm〜100nmのメソ孔が、緩衝溶液中におけるリン酸三カルシウムのリン酸八カルシウムへの部分的相転移に起因して生成し、該メソ孔の生成によって多孔体生成物の全細孔表面積が10m/g以上となる請求項3又は4記載の方法。
  6. 緩衝液中に浸漬する前のセラミックス多孔体が、下記の工程(1)〜(4)を含む製造法によって得られるセラミックス多孔体である請求項3から5いずれかに記載の方法:
    (1)リン酸三カルシウムと水溶性高分子を混合し、
    (2)該混合物に水を添加して水性ペーストを調製し、
    (3)該水性ペーストを、三次元網目構造を有する水不溶性有機体に担持させるか又は耐熱性型内へそのまま注型した後、有機成分の加熱脱脂処理をおこない、次いで
    (4)該脱脂処理物を1300℃〜1500℃で焼成する。
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