JP2005065160A - 弾性表面波デバイス及びその製造方法 - Google Patents

弾性表面波デバイス及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高周波化が可能で、かつ優れた温度特性を発揮できる新規な弾性表面波デバイス及びその製造方法の提供。
【解決手段】高速なSHタイプの表面波を利用した弾性表面波デバイスであって、オイラー角が(0°,θ(但しθは125〜142°),90°)で表される水晶基板上にIDT電極を形成する際に、そのIDT電極の膜厚を調整してその水晶基板の所定温度における周波数温度係数をマイナスにしてから、そのIDT電極上を当該所定温度においてプラスの周波数温度係数を有する薄膜で覆う。これによって、デバイス全体の周波数温度係数TCFが零となり、更に二次温度係数βが改善されるため、高周波化が容易で、かつ優れた温度特性を有する弾性表面波デバイスを提供できる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、携帯電話等の移動体通信のバンドパスフィルタや基準クロックの共振子等として幅広い応用が検討されている弾性表面波デバイス及びその製造方法等に関するものである。
係る従来の弾性表面波デバイスは、例えば、図9に示すように、圧電性の弾性体基板(圧電基板)10上に、導電性膜からなる少なくとも一対の櫛型電極を交差させたIDT(Inter Digital Transducer)電極20を備えると共に、その両側に同じく導電性膜からなる梯子型の反射器電極30,30をそれぞれ備えた構成をしている。
そして、その中央のIDT電極20に電気信号を加えると、圧電基板10の表面上で電気信号から弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、適宜SAWと略す)への変換・逆変換が行われる。反射器電極30,30は、圧電基板10の表面上で発生した弾性表面波を反射させ、共振させるものである。これを利用して共振子や、バンドパスフィルタ等を構成することが可能となっている。
このような弾性表面波デバイスで利用される弾性表面波としては、基板10表面と垂直な変位と表面波伝搬方向の変位を主成分とするレイリー波(Rayleigh Wave)や、エネルギーを基板内部へ放射しながら伝搬する漏洩弾性表面波(Leaky Wave)が代表的なものであるが、その他にSH(横波)タイプの弾性表面波があることが知られている。
このSHタイプの弾性表面波は、レイリー波等と異なり、IDT電極20等により表面波伝搬方向と垂直かつ基板10表面に平行な変位成分のエネルギーを基板表面に閉じ込めた波動モードであり、レイリー波等と比べて音速(伝搬速度)が大きいことから、弾性表面波デバイスの高周波化には不可欠なものとなっている。
すなわち、この弾性表面波デバイスの中心周波数fは、
f=v/λ(但し、vは弾性表面波の伝搬速度、λは波長)
の関係であることが知られているため、そのデバイスの高周波化を達成する(中心周波数fを高くする)には、波長λを小さく、つまり波長λの長さを決定する電極指間のピッチを小さくすれば良いが、製造装置の限界により制限されるため、伝搬速度vが大きな弾性表面波を利用することで効果的に目的を達成できるからである。
そして、このように伝搬速度の大きいSHタイプの表面波としては、例えば、以下の特許文献1等に示すように、回転Y板である水晶STカット基板の+90゜X伝搬の横波型の漏洩弾性表面波や、非特許文献1に記載されている純粋な横波弾性表面波であるBGS波(Bleustein-Gulyaev-Shimizu wave)、ラブ波、あるいは非特許文献2に記載されている水晶基板で励振されるSTW(Surface Transverse Wave:伝搬速度5100m/s)等が良く知られている。
ところで、このように伝搬速度の大きいSHタイプの表面波を利用したデバイスの場合は、高周波化は比較的容易に達成することができるが、図10に示すように、STカットレイリー波を用いたデバイスに比べて温度に対する周波数変動が大きいため、温度に対する信頼性が乏しいといった欠点がある。
そのため、従来では、例えば以下の特許文献2に示すように、STWの周波数温度係数(以下、適宜TCF:temperature coefficient frequencyという)がプラスとなる37°〜45°回転Yカットの水晶基板と、TCFがマイナスである薄膜を用い、水晶基板のカット角に応じた膜厚の薄膜を水晶基板上に形成することによってTCFを零にして(相殺して)周波数温度特性を改善するような手法が提案されている。なお、TCFは以下の式で表され、一般に室温付近の温度に対する周波数の傾きである。
TCF=f−1(∂f/∂T)[ppm/℃]
また、同じく以下の特許文献3では、SHタイプである漏洩弾性表面波の遅延時間温度係数(以下、適宜TCD:Temperature coefficient of delay)がマイナスの値を持つオイラー角(0,123〜177,90)の水晶基板上に、TCDがプラスの圧電薄膜を形成することによってTCDを零にして周波数温度特性を改善すると共に、デバイスの広帯域化等に寄与する電気機械結合係数kを大きくするオイラー角と薄膜(ZnO膜)の膜厚の関係を明らかにしている。なお、TCDは表面波の位相速度と群速度がほぼ等しいため、TCD=−TCFの関係にある。
特開昭61−73409号公報 特開2002−76835号公報 特開平10−224172号公報 中村僖良ら、"横波(SH型)弾性表面波の研究とその通信用デバイスへの応用"、[online]、[平成15年8月18日検索]、インターネット<http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~nakamura/shsaw.html> 平成7年日本学術振興会産学協同研究支援事業実施報告書第132〜137頁「High Performance GHz Range Surface Transverse Wave Resonant Devices.Applications to Low Noise Microwave Oscillators and Communication System」
しかしながら、このように周波数温度係数TCFや遅延時間温度係数TCDがマイナスあるいはプラスの薄膜を利用することによって周波数温度特性を改善するようにした従来の手法は、基板上に形成されるIDT電極等の電極膜厚の影響を無視した理想的な状態での計算値であるため、実際に得られるTCFあるいはTCDとは大きく異なることが分かった。
すなわち、弾性表面波のエネルギーは基板表面に集中しているので、電極膜厚の影響を受けやすく、基板単独の温度特性と電極形成後の温度特性は大きく異なり、基板のオイラー角のみではTCFあるいはTCDは特定されないため、従来のように、基板のオイラー角のみで温度係数補正のための薄膜を選択することは不適当であることが分かった。
また、いずれの従来例も室温付近の温度に対する傾きを示すTCFやTCDにのみ注目し、所望の温度範囲における周波数変動量に大きく影響する二次温度係数βについては全く配慮されていない。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その主な目的は、高周波化が容易で、かつ優れた温度特性を発揮することができる新規な弾性表面波デバイス及びその製造方法を提供するものである。
〔発明1〕
上記課題を解決するために発明1の弾性表面波デバイスは、
オイラー角が(0°,θ(但しθは125〜142°),90°)で、かつSHタイプの表面波を励振させる水晶基板上に、その水晶基板の所定温度における周波数温度係数TCFをマイナスにすべく所定膜厚のIDT電極を備えると共に、そのIDT電極を前記所定温度における周波数温度係数TCFがプラスの薄膜で覆ってなるを特徴とするものである。
このように本発明は、先ず、オイラー角が(0°,θ(但しθは125〜142°),90°)で表される水晶基板を用いることによってSTW等の高速なSHタイプの弾性表面波を励振することができるため、容易に高周波化を達成することができる。
また、その水晶基板の所定温度における周波数温度係数TCFが所定膜厚のIDT電極によってマイナスに制御されると共に、そのIDT電極が前記所定温度においてプラスの周波数温度係数TCFを有する薄膜で覆われているため、後の実施の形態で詳述するように、所定温度、すなわち使用環境温度範囲の中心で周波数温度係数TCFが補正されて零となるため、その温度範囲の周波数変動を小さくすることができる。
加えて、後の実施の形態で詳述するように、二次温度係数βが零に近づくようになるため、使用環境温度範囲での周波数温度変動量はさらに小さくなり、安定した動作を発揮することができる。
すなわち、本発明は、従来高速なSHタイプの弾性表面波を励振可能なオイラー角の水晶基板に関し、周波数温度係数TCFがプラスであると考えられていたオイラー角であっても電極膜厚とθとの関係によっては、マイナスに逆転する現象が発生すること並びにその境界線を具体的に発見したことによってなされたものであり、このような現象に適応した構成とすることで高周波化と温度特性の向上を確実に発揮することが可能となる。
また、この薄膜は基板側の周波数温度特性の改善といった効果のみならず、電極の保護とショート回避による歩留まりの向上等といった効果も同時に発揮するものである。
〔発明2〕
発明2の弾性表面波デバイスは、
発明1に記載の弾性表面波デバイスにおいて、前記薄膜が酸化珪素(SiO)、又は窒化珪素(Si)、あるいは窒化チタン(TiN)のいずれかを主成分とする材料からなることを特徴とするものである。
すなわち、これらの材料は薄膜を形成したときにプラスの周波数温度係数TCFを示すものであり、このような材料を薄膜として利用し、適宜その膜厚を調整することで容易に基板の一次係数補正を行うことができる。
〔発明3〕
発明3の弾性表面波デバイスは、
請求項1又は2に記載の弾性表面波デバイスにおいて、前記IDT電極がAlを主成分とする材料からなり、かつ、前記オイラー角のうちθと前記IDT電極の規格化膜厚(H/λ(H=実膜厚、λ=波長))とが、下記の式で表される関係にあることを特徴とする弾性表面波デバイス。
H/λ>−4.418215×10−6×θ+2.407644×10−3×θ
−4.919222×10−1×θ+4.466510×10×θ−1.520615×10
すなわち、本発明は、高速なSHタイプの弾性表面波を励振可能なオイラー角の水晶基板を用いた際に、電極膜厚の調整によって周波数温度係数TCFをマイナスとすることができる範囲を数式を用いて具体的に特定したものであり、これによって、発明1と同様に高周波化と温度特性の向上を確実に発揮することができる。
〔発明4〕
発明4の弾性表面波デバイスは、
発明3に記載の弾性表面波デバイスにおいて、前記IDT電極の規格化膜厚(H/λ)が0.1以下であることを特徴とするものである。
〔発明5〕
発明5の弾性表面波デバイスの製造方法は、
オイラー角が(0°,θ(但しθは125〜142°),90°)で表される水晶基板上にIDT電極を形成した後、そのIDT電極を薄膜で覆うようにした弾性表面波デバイスの製造方法において、
前記水晶基板上にIDT電極を形成する際に、そのIDT電極の膜厚を調整してその水晶基板の所定温度における周波数温度係数TCFをマイナスしてから、そのIDT電極上を前記所定温度においてプラスの周波数温度係数TCFを有する薄膜で覆うようにしたことを特徴とするものである。
これによって、STW等のSHタイプの高速な波を励振可能で、かつ広い温度域で優れた温度特性を発揮できる弾性表面波デバイスを容易に得ることが可能となる。
〔発明6〕
発明6の弾性表面波デバイスの製造方法は、
発明5に記載の弾性表面波デバイスの製造方法において、前記薄膜を酸化珪素(SiO)、又は窒化珪素(Si)、あるいは窒化チタン(TiN)のいずれかを主成分とする材料から形成するようにしたことを特徴とするものである。
これによって、発明2と同様に容易に基板の周波数温度係数TCF補正を行うことができるため、高速なSHタイプの弾性表面波を励振可能で、かつ広い温度域で優れた温度特性を発揮できる弾性表面波デバイスをより確実に得ることが可能となる。
〔発明7〕
発明7のバンドパスフィルタは、
発明1〜4のいずれかの弾性表面波デバイスからなることを特徴とするものである。
これによって、高周波化と温度特性の向上が得られるため、高性能で信頼性の高いバンドパスフィルタが得られる。
〔発明8〕
発明8のSAW共振子は、
発明1〜4のいずれかの弾性表面波デバイスからなることを特徴とするものである。
これによって、高周波化と温度特性の向上が得られるため、高性能で信頼性の高いSAW共振子が得られる。
本発明によれば、周波数温度係数TCFを容易かつ確実に零に調整することができるため、その頂点温度を使用環境温度範囲の中心にして周波数変動量を小さくすることができると共に、二次温度係数βも零に近付けることができるため、周波数変動量を更に小さくすることができる。
また、SiO等の絶縁性に優れた薄膜を利用することによって電極の保護とショート対策も同時に達成されるため、製造歩留まりも向上する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る弾性表面波デバイス100の実施の一形態を示す平面図、図2は、そのA−A線断面図である。
図示するように、この弾性表面波デバイス100は、水晶基板からなる矩形状の圧電基板10の上面中央部分にAl等の導電性薄膜からなるIDT電極20が備えられていると共に、そのIDT電極20の両側に、同じくAl等の導電性薄膜からなる梯子状をした反射器電極30,30がそれぞれ備えられ、さらに、これらIDT電極20,反射器電極30,30全体が薄膜40によって覆われた構造となっている。
また、このIDT電極20は、少なくとも一対の櫛形の電極体21,21を互いに交差(噛み合う)するように配置したものであり、このIDT電極20に交流電圧が印加されると、圧電効果により隣り合う電極指21a、21a間の基板10表面に互いに逆位相の歪みが周期的に発生し、波長λの表面波が励振されるようになっている。
ここで、これら各電極体21,21は、互いに平行に延びる複数の電極指21a、21a、21aの端部をバスパー21bで連結した櫛形形状となっており、本実施の形態でいう波長λとは、図示するように隣接する電極指21a、21a間のピッチPの2倍(λ=2P)をいい、電極の膜厚Hとは、これらIDT電極20、反射器電極30,30の厚さ方向の高さをいう。
また、この矩形状の圧電基板10を構成する水晶基板は、STWが励振されるようにその表面の切り出し角及び伝搬方向が図3に示すようなオイラー角(0°,125〜142°,90°)の範囲であり、また、IDT電極20はAlで構成され、その膜厚Hにより周波数温度係数TCFが図6のラインL1と、ラインL2と、ラインL3で囲まれた塗り潰し領域R内でマイナスになるように設定されている。尚、図3はこの水晶基板の切り出し方位を示す図であり、Z軸を中心に反時計方向を正として回転した第一回転角φと、回転後のX軸を中心に反時計方向を正として回転した第二回転角θで切断面Mを表示し、回転後のZ軸を中心に反時計方向を正として回転した第三回転角ψを基板面内の表面伝搬方向とした場合に、オイラー角表示で(φ、θ、ψ)と表す。
図4は、オイラー角(0°,127°,90°)の水晶基板を用い、規格化電極膜厚H/λと基準温度25℃における周波数温度係数TCFの関係を示したものであり、H/λが0.045(4.5%)付近においてTCFが零、すなわち、頂点温度がこの場合の基準温度である25℃となり、H/λが0.045以上でTCFはマイナス、0.045以下ではプラスとなる。尚、特に図示していないが基準温度を変えれば電極膜厚に対するTCFの値は変化する。
図5は、オイラー角θと規格化電極膜厚H/λとの関係を示したものである。
図中右肩上がりのラインL1は室温(25℃)における周波数温度係数TCFが零となる組み合わせを示した境界線であり、このラインL1よりも左側の組み合わせがTCFマイナスとなる領域、右側の組み合わせがTCFプラスとなる領域である。
そして、本発明は水晶基板10側のオイラー角θと規格化電極膜厚H/λとの関係として、このTCFマイナス領域のうちラインL1、L2、L3で囲まれた斜線塗り潰し領域Rとなるように設定したものである。
ここで、ラインL2は、レジスト膜の厚みの限界や熱によるレジスト膜の歪みなどに起因する現在の薄膜形成技術の電極膜厚上限である0.10(10%)を示すラインであり、ラインL3は基板単独でTCFがマイナスとなるθの上限値である。
すなわち、従来、TCFがプラスとされているオイラー角(0°,123〜177°,90°)の水晶基板上にはTCFがマイナスの薄膜、例えばZnO膜等を形成するか、あるいは、TCFがマイナスとされているオイラー角(0°,θ<126.1°,90°)の水晶基板上にはTCFがプラスの薄膜、例えば、SiO膜等を形成することでTCFを零とし、同時に電気機械結合係数kを大きくする構造が取られているが、図5に示すように、角度θが125°以上であっても、電極膜厚によってTCFがマイナスとなり得ることが分かった。
従って、オイラー角θ125°〜142°、規格化電極膜厚H/λ0.10以下の範囲で、両者を図中塗り潰し領域Rで設定すれば、従来プラスとされてきたTCFがマイナスとなるため、TCFがプラスの薄膜を利用することによってTCFを零、つまり頂点温度を室温付近とすることが可能であることが分かる。
次に、図6は、オイラー角(0°,127°,90°)の水晶基板上に備えた規格化電極膜厚H/λ及びその上に形成されるSiO膜の規格化膜厚と二次温度係数βの関係を示したものである。尚、この二次温度係数βとは、周波数温度変化率を、
(f−f)/f=a(T−T)+b(T−T
と表したときの、bにあたる係数である。ここで、fは周波数、Tは基準温度、fは基準温度Tにおける周波数、aは周波数温度係数TCFである。
図において、実線Aは水晶基板に電極のみを備えた場合であり、破線Bは規格化電極膜厚H/λを0.05(5%)とし、その上にSiO膜を形成した場合である。尚、破線Bの横軸はSiO膜の膜厚もλで規格化し、規格化電極膜厚H/λと足し合わせた値である。
そして、実線Aに示すように電極を単に厚くすることによって基板表面への質量負荷効果により表面波の変位分布は変化し、二次温度係数βの改善、つまりβを零に近づけることが可能である。しかしながら前述したように製造上の制限により、規格化電極膜厚H/λは0.10が限界であることから、電極のみによる二次温度係数の改善効果は小さい。
従って、破線Bに示すように電極をTCFがマイナスとなるように形成し、その上にTCFがプラスのSiO膜を形成した構成とすれば、TCFを零、つまり頂点温度を室温付近へと補正し、かつ基板表面全面に働く質量負荷効果により、二次温度係数が改善されて図10の破線に示すように、STカットレイリー波デバイスなみの温度に対する周波数変動の小さい弾性表面波デバイスを実現できることが分かる。
図7は、電極のみを備えた水晶基板における周波数温度特性(実線)とSiO膜により温度補正を実施した後の周波数温度特性(破線)を示したものである。この図からも分かるように、電極単独よりもSiO膜等の薄膜を備えることにより、頂点温度を室温付近へと移動させるだけでなく、二次温度係数がより改善される効果があることが分かる。
図8は、オイラー角(0°,127°,90°)の水晶基板上に備えた規格化電極膜厚H/λ及びその上に形成されるSiO膜の規格化膜厚と表面波の音速の関係を示したものである。
図において、実線Aは水晶基板に電極のみを備えた場合であり、破線Bは規格化電極膜厚H/λを0.05とし、その上にSiO膜を形成した場合である。尚、破線Bの横軸はSiO膜の膜厚もλで規格化し、規格化電極膜厚H/λで足し合わせた値である。
この図からも分かるように、SiO膜の膜厚に対する音速の降下量は、電極の膜厚に対する音速のそれと比較して小さく、SiO膜により温度特性の補正を行ったとしても音速の低下は抑えられ、弾性表面波デバイスの高周波化を阻害するものではない。
本発明に係る弾性表面波デバイスの実施の一形態を示す平面図である。 図1中A−A線断面図である。 弾性表面波デバイスの水晶基板の切り出し方位を示す図である。 水晶基板の電極膜厚に対する一次温度特性の変化を示すグラフ図である。 オイラー角θと電極膜厚H/λによるTCFの変化を示すグラフ図である。 電極単独の膜厚及び薄膜を備えた電極膜厚と二次温度係数との関係を示すグラフ図である。 電極のみを備えた水晶基板における周波数温度特性とSiO膜により温度補正を実施した後の周波数温度特性を示すグラフ図である。 水晶基板上に備えた規格化電極膜厚H/λ及びその上に形成されるSiO膜の規格化膜厚と表面波の音速との関係を示すグラフ図である。 従来の弾性表面波デバイスの一例を示す斜視図である。 周波数温度変化率を示すグラフ図である。
符号の説明
10…圧電基板(水晶基板)、20…IDT電極、21…電極体、21a…電極指、21b…バスパー、30…反射器電極、40…薄膜、100…弾性表面波デバイス。

Claims (8)

  1. オイラー角が(0°,θ(但しθは125〜142°),90°)で、かつSHタイプの表面波を励振させる水晶基板上に、その水晶基板の所定温度における周波数温度係数TCFをマイナスにすべく所定膜厚のIDT電極を備えると共に、そのIDT電極を前記所定温度における周波数温度係数TCFがプラスの薄膜で覆ってなることを特徴とする弾性表面波デバイス。
  2. 請求項1に記載の弾性表面波デバイスにおいて、
    前記薄膜が酸化珪素(SiO)、又は窒化珪素(Si)、あるいは窒化チタン(TiN)のいずれかを主成分とする材料からなることを特徴とする弾性表面波デバイス。
  3. 請求項1又は2に記載の弾性表面波デバイスにおいて、
    前記IDT電極がAlを主成分とする材料からなり、かつ、前記オイラー角のうちθと前記IDT電極の規格化膜厚(H/λ(H=実膜厚、λ=波長))とが、下記の式で表される関係にあることを特徴とする弾性表面波デバイス。
    H/λ>−4.418215×10−6×θ+2.407644×10−3×θ
    −4.919222×10−1×θ+4.466510×10×θ−1.520615×10
  4. 請求項3に記載の弾性表面波デバイスにおいて、
    前記IDT電極の規格化膜厚(H/λ)が0.1以下であることを特徴とする弾性表面波デバイス。
  5. オイラー角が(0°,θ(但しθは125〜142°),90°)で表される水晶基板上にIDT電極を形成した後、そのIDT電極を薄膜で覆うようにした弾性表面波デバイスの製造方法において、
    前記水晶基板上にIDT電極を形成する際に、そのIDT電極の膜厚を調整してその水晶基板の所定温度における周波数温度係数TCFをマイナスにしてから、そのIDT電極上を当該所定温度においてプラスの周波数温度係数TCFを有する薄膜で覆うようにしたことを特徴とする弾性表面波デバイスの製造方法。
  6. 請求項5に記載の弾性表面波デバイスの製造方法において、
    前記薄膜を酸化珪素(SiO)、又は窒化珪素(Si)、あるいは窒化チタン(TiN)のいずれかを主成分とする材料から形成するようにしたことを特徴とする弾性表面波デバイスの製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかの弾性表面波デバイスからなることを特徴とするバンドパスフィルタ。
  8. 請求項1〜4のいずれかの弾性表面波デバイスからなることを特徴とするSAW共振子。
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