JP2005063831A - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 清浄性に優れた陽極表面を有し、耐リーク性に優れ、発光輝度の高い有機EL素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 有機EL素子10は、基板11と、基板11上に、ITO電極12、島状膜13、正孔注入層14、正孔輸送層15、発光層16、電子輸送層18、陰極19が順次堆積された構成となっており、ITO電極12の表面は研削により清浄化されている。研削により除去されたSnを、Snを含む材料よりなる島状に形成した島状膜13により補う構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子およびその製造方法に関し、特に、高い信頼性を有する有機EL素子に関する。
有機EL素子は、自発光及び高速応答性などの特徴を有し、携帯端末機の画像表示装置から大型の表示装置まで幅広いフラットディスプレイへの適用が期待されている。
積層型の有機EL素子は基本的に陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極の構成を有する。このうち電子輸送層は、上述のTang and VanSlykeの2層型素子の場合のように、発光層がその機能を兼ねる構成も可能である。有機EL素子は陽極と陰極との間の距離、すなわち有機膜である正孔輸送層/発光層/電子輸送層の膜厚は数百nmであり、液晶素子と比較して極めて薄いので、画像表示の高速応答性に優
れている。
有機EL素子の陽極には、金(Au)や酸化スズ(SnO2)などの仕事関数の大きい電極材料が用いられ、陽極側より発光を取り出す場合は、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明材料が用いられている。
有機EL素子は、上記有機膜の厚さが数百nm程度しかないので、例えば陽極表面に、外部環境からのコンタミネーションや、陽極をパターニングする際に用いられるレジスト膜の残渣等が付着すると、いわゆる輝度むらや欠陥、電流リーク等の支障が生じる。特に、逆方向に流れる電流リークが生じるとクロストークや輝度ムラ等の画像表示品質の低下を招くとともに、発光に寄与しない電力消費を生じ、発光効率が低下してしまうこともある。電流リークの主な原因の一つとして、陽極表面に付着した微小なコンタミネーションが挙げられる。微小なコンタミネーションは陽極表面に突起を形成し、陰極から突起を介して陽極へ電流リークが生じる。このような問題の対策として、陽極と陰極との間に形成する正孔輸送層等の有機膜の膜厚をコンタミネーションの粒径より大としたり、有機膜のホール移動度を低下させることが提案されている(以下、「従来技術1」と称する。特許文献1参照)。
また、ITO電極が微結晶粒よりなる場合、その表面の凹凸がある程度より大となると、上記コンタミネーション等と同様に電流リーク等の支障が生ずることがあり、この対策としてITO電極の表面をUVオゾン処理により平滑化することが提案されている(以下、「従来技術2」と称する。特許文献2参照)。
特開平11−040365号公報 特開平06−076950号公報
しかしながら、従来技術1においてはコンタミネーション自体が残留しており、電流リーク等の発生率を低減できたとしても根本的な解決とはならず、多数の有機EL素子からなる有機ELディスプレイでは少数の有機EL素子の電流リークにより、表示品質が低下するおそれがある。
また、従来技術2においてはITO電極の表面をUVオゾン処理によりITO電極自体を構成する材料を平滑化できたとしても、UVオゾン処理のみでは表面に付着する高分子有機物あるいは無機粒子等のコンタミネーションを除去する能力はないので、依然としてコンタミネーションが残留し電流リークが発生するおそれがある。
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、清浄性に優れた陽極表面を有し、耐リーク性に優れ、発光輝度の高い有機EL素子およびその製造方法を提供することである。
本発明の一観点によれば、陽極と、該陽極の上方に形成された陰極と、該陽極と陰極との間に形成され、有機発光材料を含む発光層とを備えた有機EL素子の製造方法であって、前記陽極の表面を研削する清浄化工程と前記陽極の表面に前記研削により欠損した元素を含む材料を堆積する工程とを備えることを特徴とする有機EL素子の製造方法が提供される。
本発明によれば、清浄化工程によりITO電極の表面の付着物やパーティクル等をイオンエッチング等の研削により除去し、表面の清浄化を行っているので、有機EL素子の使用時において電流の局所的なリークを抑制することができ、耐リーク性を向上することができる。さらに、ITO電極の表面には、清浄化工程により除去されて欠損した元素を含む材料が堆積されているので、表面においてITO電極を構成する材料組成に近い状態が形成され、ITO電極の電気伝導度の低下を防止して正孔注入性の低下を防止することができる。その結果、耐リーク性に優れ、発光輝度の高い有機EL素子を実現することができる。
前記堆積する工程は、前記材料よりなる島状膜を形成してもよく、前記陽極はインジウムスズ酸化物よりなり、前記材料がスズ又は酸化スズであってもよい。研削により欠損した元素を含む材料を島状に薄く形成することにより、欠損した量に見合う適切な量を補うことができ、さらに、インジウムスズ酸化物よりなる陽極の表面に、研削により欠損した適切な量のスズを補うことにより正孔注入性の劣化を防止することができる。なお、前記島状膜は、平均膜厚が0.01nm〜1.0nmの範囲内に設定されてもよい。かかる薄膜に形成することにより適切なSn量を補うことができるとともに、島状膜の形成による光透過率の低下を抑制することができる。
本発明の他の観点によれば、陽極と、該陽極の上方に形成された陰極と、該陽極と陰極との間に形成され、有機発光材料を含む発光層とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陽極表面がその構成材料の一部の材料が欠損した状態にあり、前記陽極表面に該一部の材料を含む島状膜が形成されてなる有機EL素子が提供される。
本発明によれば、陽極の表面において、欠損した陽極の構成材料を島状膜として形成されているので、適切な量の欠損した材料を補うことができ、発光層から生じた光を島状膜により透過する光量の低下を抑制することができる。したがって、ITO電極の電気伝導度の低下を防止して正孔注入性の低下を防止することができ、発光輝度の高い有機EL素子を実現することができる。
本発明のその他の観点によれば、上記いずれかの製造方法により製造された有機EL素子または上記有機EL素子を備えた有機ELディスプレイが提供される。
本発明によれば、有機EL素子が耐リーク性に優れ、高い発光輝度を有するので、表示品質が良好で信頼性の高い有機ELディスプレイを実現することができる。
本発明によれば、陽極表面が清浄化されると共に清浄化により欠損した材料が陽極表面に堆積されているので、清浄性に優れた陽極表面を有し、耐リーク性に優れ、発光輝度の高い有機EL素子を実現することができる。
以下、実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る有機EL素子の断面図である。図1を参照するに、有機EL素子10は、基板11と、基板11上に、ITO電極12、島状膜13、正孔注入層14、正孔輸送層15、発光層16、電子輸送層18、陰極19が順次堆積された構成となっている。なお、図中、有機EL素子10の厚さに対して、ITO電極12の表面及び島状膜13を強調するためにその部分だけは拡大して示している。
本実施の形態に係る有機EL素子10は、ITO電極12表面にArイオン等を照射する研削により、表面の外来付着物やレジスト残渣などの付着物が除去されている。さらに研削の際に、ITO電極12の表面を構成するインジウム(In)や、スズ(Sn)、酸素(O)の一部も除去されてしまい、表面に極めて微小な凹凸や空孔が形成されている。本願発明者の鋭意なる検討の結果、これらのうち特にSnが選択的に除去され、Snの欠損により電気伝導度が低下し、ITO電極から正孔注入層への正孔注入性に悪い影響を与えていることを見出した。そこで、ITO電極の表面に、欠損したSn、またはSnO2からなる島状膜13を形成することにより、電気伝導度の低下を防止し、正孔注入性の維持するものである。
島状膜13は、Sn、またはSnO2からなり、極めて微小な凹凸や空孔が形成されたITO電極12の表面に形成される。島状膜13は、真空蒸着法やスパッタ法、CVD法などにより形成され、通常の連続膜の形成過程の初期に形成される核の状態で島状に配置されている。島状に配置することにより、島状膜13による光透過率の低下を抑制すると共に、Sn量を適切に補うことができる。なお、島状膜13は個々の島が完全に離隔して分布している必要はなく一部連続あるいは島同士が接続していてもよい。
島状膜13は、平均膜厚が0.01nm〜1.0nmの範囲に設定されることが好ましい。平均膜厚をこの範囲に設定することによりITO電極12の材料に含有されるSn量あるいはその含有量に対してやや過剰のSn量を補うことができる。なお、平均膜厚は以下のようにして求めた。例えば、島状膜13がSnよりなる場合、予め、Snの連続膜を作製し段差形(例えば表面形状測定器Dektak3030(日本真空技術社製))により連続膜の膜厚を測定し、XPS(X-Ray Photoelectron Spectroscopy)法によりSnのピーク強度を測定して、ピーク強度と連続膜の膜厚との相関関係を求め、島状膜13の表面をXPS法によりSnのピーク強度を測定し、上記相関関係から求まる連続膜の膜厚を平均膜厚とした。以下、本実施の形態に係る有機EL素子を具体的構成について説明する。
基板11には、例えば、ガラス、石英等の透明性絶縁基板、Si等の半導体基板、PETやPENなどのフィルム、PVAなどの樹脂基板等を用いることができる。またはこれらの基板上に有機EL素子のオンオフを制御するTFT(薄膜トランジスタ)がマトリクス状に形成されていてもよい。基板11の厚さは、これらの基板の材料により適宜選択されるが、おおよそ0.1mm〜10mmである。
ITO電極12は、陽極として機能し、インジウム酸化物にSnを添加したインジウムスズ酸化物よりなる透明材料より構成されている。ITO電極12は、例えば半導体プロセス、例えばフォトリソグラフィ法およびエッチングにより、ストライプ状に形成される。
正孔注入層14及び正孔輸送層15は、正孔輸送材料よりなりHOMO(最高被占分子軌道)が高い、すなわちイオン化ポテンシャルが小さい材料が用いられる。代表的なものとして、銅フタロシアニン(CuPc)、スターバースト型アミンのm−MTDATA、2−TNATA、TPD、α−NPD等が挙げられる。
発光層16は、Alq3(tris(8−hydroxyquinolio)aluminium)、Znq2、Balq2等の金属錯体系材料、PZ10、EM2等の色素系材料等が使用される。また、ジジアノメチレンピラン系、ジシアノ系、フェノキサゾン系、及びルブレン系などの橙色から赤色発光性のドーパント、ルブレン系などの黄色発光性のドーパント、スチリル系の青色発光性のドーパント、クマリン系、キナクリドン系の緑色発光性のドーパントをAlq3等のホスト材にドーピングしたものを用いることができる。
電子輸送層18には、8−ヒドロキシキノリンの金属キレート、金属チオキシノイド化合物、オキサジアゾール金属キレート、トリアジン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等を用いることができる。8−ヒドロキシキノリンの金属キレートのうちで好適なものは、Alq3、Balq(ビス(8−ヒドロキシキノラート)−(4−フェニルフェノラート)アルミニウム)、ビスPBD等が挙げられる。また、金属チオキシノイド化合物のうちで好適なものは、ビス(8−キノリンチオラート)亜鉛、ビス(8−キノリンチオラート)カドミウム、トリス(8−キノリンチオラート)ガリウム、トリス(8−キノリンチオラート)インジウム等が挙げられる。また、オキサジアゾール金属キレートのうちで好適なものは、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾラート]亜鉛、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾラート]ベリリウム等が挙げられる。
陰極19は、仕事関数が小さい、Li等の金属やその合金Mg−Ag、Al−Li等を用いられる。また、LiF/Alのように金属フッ化物等の電子注入層を導入した陰極を用いてもよい。
以下、本実施の形態に係る有機EL素子の製造方法を説明する。図2(A)〜(C)は本実施の形態に係る有機EL素子の製造工程の一部を示す図である。
図2(A)の工程では、図示されない基板上に半導体プロセスによりパターン化したITO電極12を形成する。ITO電極12の表面には、半導体プロセスに用いられるレジストの残渣や現像の際に用いた現像液の残留物、外来の有機物などからなる付着物20が付着することがある。
図2(A)の工程ではさらに、酸素、窒素、アルゴン、キセノン及びクリプトンのうち、少なくともいずれかのガスをイオン化してITO電極12の表面に照射して付着物やパーティクルをイオンエッチング処理により研削する。例えば、イオン銃、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置を用いてもよい。窒素、アルゴン、キセノン及びクリプトンの不活性ガスに酸素ガスを添加すると、有機物の付着物を効率的に除去できる点、及びエッチングの際に表面から叩き出される酸素原子を補填できる点で好ましい。また、不活性ガスは、付着物の除去効率の観点からは原子量が大なるキセノン及びクリプトンを添加することが好ましい。
図2(B)に示すように、ITO電極12の表面は、イオンエッチング処理によりIn、Sn、O(酸素)が部分的に除去され、微小な窪み12−1や空孔等の微小な凹凸が表面に形成される。上述したように、本願発明者の鋭意なる検討により表面は特にSnが欠損している。
図2(C)の工程では、図2(B)のITO電極12の表面に、スパッタ法、蒸着法、CVD法などを用いて、Sn、またはSnO2よりなる材料を堆積して島状膜13を形成する。例えば、蒸着法により形成する場合は、真空度を10-6Pa〜10-4Pa、蒸着速度を0.001nm/秒〜0.1nm/秒、基板温度を10℃〜50℃に設定する。また、平均膜厚を0.01nm〜1.0nmの範囲に設定する。平均膜厚の制御は蒸着速度および蒸着時間により行う。
図2(C)の工程ではさらに、島状膜13が形成されたITO電極12の表面に対して、UVオゾン処理を行うことが好ましい。具体的には清浄な大気下において、超高圧水銀灯(波長254nm及び182nm)を用いて照射面上で約7mW/cm2の照射エネルギーに設定し1分〜30分行う。ITO電極12の仕事関数を増加することができる。
さらに、島状膜13の表面に、真空蒸着法などにより上述した材料よりなる正孔注入層14、正孔輸送層15、発光層16、電子輸送層18、陰極19を順次形成する。以上により、図1に示す有機EL素子10が形成される。
本実施の形態によれば、研削工程によりITO電極12の表面の付着物やパーティクル等をイオンエッチングにより除去し表面の清浄化を行っているので、有機EL素子10の使用時において電流の局所的なリークを抑制することができ、耐リーク性を向上することができる。
また、ITO電極12の表面にはSnまたはSnO2よりなる島状膜13が形成されているので、表面が研削されて欠損したSnを補うことができ、電気伝導度の低下を防止して正孔注入性の低下を防止することができる。
なお、本実施の形態では陽極の電極としてITO電極12を例に説明したが、ITO電極12の替わりにIZO(インジウム亜鉛酸化物)電極を用いる場合は、研削により電極の表面から亜鉛が選択的に除去されるので、島状膜を亜鉛または酸化亜鉛からなる材料により形成する。以下本発明の実施例および本発明によらない比較例1〜3について説明する。
[実施例]
本実施例に係る有機EL素子は、透明基板上に、ITO電極、島状膜、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層を兼ねる発光層、及び陰極を順次積層されて構成されている。
ITO電極付きガラス基板を水、アセトン、イソプロピルアルコールにより順次超音波洗浄した。
次いで、Arイオンビームによるドライエッチング装置を用いてITO電極表面を清浄化するためのエッチング処理を行った。エッチング条件を、カウフマン型イオン銃を用いて、Ar圧力:1.33×10-3Pa(1×10-5Torr)、Arイオン加速電圧:500V、基板バイアス:−20V、基板温度:20℃に設定し、30秒照射を行った。
次いで、真空蒸着装置を用いてITO電極表面に平均膜厚0.1nmのSnよりなる島状膜を形成した。蒸着条件を真空度:1.33×10-4Pa(1×10-6Torr)、蒸着速度:0.005nm/秒、基板温度:20℃に設定した。
次いで、ITO電極表面にUVオゾン処理を行った。処理条件を大気中で水銀ランプの照射エネルギー:6.7mW/cm2、照射時間:20分に設定した。
このようにして得たITO電極表面に真空蒸着装置を用いて、真空度:1.33×10-4Pa(1×10-6Torr)、基板温度を20℃に設定し、正孔注入層として厚さ40nmの2−TNATAと、正孔輸送層として厚さ10nmのα−NPDと、発光層として厚さ30nmのAlq3を蒸着した。なお、これらの有機化合物の蒸着速度を0.01nm/秒とした。
このようにして得た構造体表面に厚さ50nmのAl−Li合金膜(Li:0.5質量%)を蒸着速度0.02nm/sで堆積し、大きさ2mm×2mmの有機EL素子を形成した。本実施例に係る有機EL素子に、ITO電極を陽極、Al−Li合金膜を陰極として電圧6V以上を印加すると緑色発光が観測された。
[比較例1]
本比較例に係る有機EL素子は、透明基板上に、ITO電極、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層を兼ねる発光層、及び陰極を順次積層されて構成されている。本比較例に係る有機EL素子を、エッチング処理及び島状膜の形成を行わなかった以外は実施例と同様に形成した。本比較例に係る有機EL素子に、ITO電極を陽極、Al−Li合金膜を陰極として電圧6V以上を印加すると緑色発光が観測された。
[比較例2]
本比較例に係る有機EL素子は、透明基板上に、ITO電極(陽極)、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層を兼ねる発光層、及び陰極を順次積層されて構成されている。本比較例に係る有機EL素子を、島状膜を形成しなかった以外は実施例と同様に形成した。本比較例に係る有機EL素子に、ITO電極を陽極、Al−Li合金膜を陰極として電圧6V以上を印加すると緑色発光が観測された。
[比較例3]
本比較例に係る有機EL素子は、透明基板上に、ITO電極、島状膜、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層を兼ねる発光層、及び陰極を順次積層されて構成されている。本比較例に係る有機EL素子を、エッチング処理を行わなかった以外は実施例と同様に形成した。本比較例に係る有機EL素子に、ITO電極を陽極、Al−Li合金膜を陰極として電圧6V以上を印加すると緑色発光が観測された。
(ITO電極表面の付着物の評価)
実施例および比較例に係る有機EL素子の正孔注入層を形成する前の中間体のITO電極表面に存在する付着物量を評価した。付着物としては、有機物汚れ、無機物、金属粉等種々のものが考えられるが、ここでは有機物汚れの量をC(炭素)量で代表させ、C(炭素)とInとのC/In組成比を求め、付着物量を比較した。
XPS法を用いて直径約10mmのスポットのX線を照射して得られるスペクトルを求めC/In組成比を以下の方法により求めた。ITO電極表面がIn、Sn、O、及びCの元素のみで構成され、一様にこれらの元素が存在すると仮定すると、XPS法により求めたピーク強度Ie(光電子数)は下記式(1)のように表される。
Ie=S×R×Ix×Ni×σi×λi×cosθ …(1)
ここで、S:装置関数(光電子に対する装置の応答関数)、R:表面粗さ係数、Ix:入射X線強度、Ni:単位面積当たりの注目元素の原子個数、σi:注目元素のi−準位の光電離断面積、λi:i−準位から放出される電子の試料内での平均自由行程、θ:試料の法線方向から測った光電子取り出し角(検出器の向き、本装置ではθ=0)である。RとIxは同一装置の同一試料なので総て同じとし、光電子の運動エネルギーにより決まるSと、文献により得られたσi及びλiと、測定により得られたIeを上記式(1)を用いてNiすなわち元素量が求まる。以上の計算法により、XPS装置に付属のソフトを用いて元素量を求め、C量とIn量よりC/In組成比を得た。
InはArイオンスパッタにより選択的に除去されることはないので、実施例及び比較例において単位面積当たりのIn量は一定としてよいので、C/In組成比が大きいことは付着物の量が多いことを表している。
図3は実施例及び比較例のITO電極表面の付着物量を示す図である。図3を参照するに、エッチング処理を行わなかった比較例1及び比較例3と比較して、実施例はC/In組成比が大幅に小さくなっていることが分かる。したがって、エッチング処理により、実施例のITO電極の表面の付着物が除去され付着物量が大幅に低減され、清浄化されていることが分かる。なお、比較例2はエッチング処理を行なっているので実施例と同様にC/In組成比が小さくなっている。
(ITO電極表面のSn量の評価)
実施例および比較例に係る有機EL素子の正孔注入層を形成する前の中間体のITO電極表面に存在するSn量を評価した。なお、実施例及び比較例3についてはSnを蒸着した後のものを評価した。
評価方法はXPS法を用いて、Sn3dとIn3dのピーク強度を求め、上記付着物量の評価と同様にして、Sn/In組成比を求めた。XPS法の条件は上記付着物の評価と同様とした。上述したようにIn量は実施例及び比較例において単位面積当たりのIn量は一定としてよいので、Sn/In組成比が大きいことはSn量が多いことを表している。
図4は実施例及び比較例のITO電極表面のSn量を示す図である。図4を参照するに、エッチング処理だけを行った比較例2に対して実施例はSn/In組成比が大幅に増加しており、Sn量が大幅に増加していることが分かる。さらに、実施例はエッチング処理及び島状膜の形成を行わなかった比較例1に対してもSn/In組成比が増加し、Sn量が増加していることが分かる。したがって、実施例はITO電極を構成する材料よりもSn量が多い表面が形成されていることが分かる。
(発光輝度の評価)
実施例および比較例に係る有機EL素子のITO電極と陰極との間に6V〜12Vの電圧を印加して発光輝度の評価を行った。
図5は、実施例及び比較例に係る有機EL素子の発光輝度特性を示す図である。図中、発光輝度を印加電圧6V〜12Vに対してそれぞれ示している。
図5を参照するに、エッチング処理を行なった比較例2に対して実施例の発光輝度は、6V〜12Vの印加電圧の全範囲で高くなっていることが分かる。したがって、島状膜の形成により欠損したSnが補われ、発光輝度が増大していることが分かる。なお、エッチング処理を行わなかった比較例1及び比較例3と比較して、実施例は印加電圧が低い範囲、例えば8V〜10Vに於いて発光輝度が高くなっていることが分かる。
(リーク電流の評価)
実施例および比較例に係る有機EL素子のITO電極と陰極との間に極性を逆にして電圧を印加して、電流−印加電圧との関係を測定した。印加する電圧に対して有機EL素子を流れる電流は−3.5V付近で一旦極大値を示し、さらに電圧を増加すると単調に増加する。この極大値をリーク電流とした。
図6は、実施例及び比較例に係る有機EL素子の耐リーク性を示す図である。図6を参照するに、エッチング処理を行わなかった比較例1及び比較例3に対して実施例は、リーク電流値の絶対値が小さいことが分かる。図3に示す結果と合わせて考えると、実施例は、エッチング処理によりITO電極表面の付着物量が低減されているのでリーク電流値の絶対値が小さくなっていることが分かる。
以上により、実施例によれば、エッチング処理によりITO電極表面の付着物量が低減されて清浄化されているので耐リーク性に優れ、Sn量がITO電極を構成する材料とほぼ同等か増量されているので正孔注入性の低下が防止されて発光輝度が高い有機EL素子が実現できた。
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態の有機ELディスプレイの分解斜視図である。図8を参照するに、有機ELディスプレイ40は、ガラス基板41と、ガラス基板上にストライプ状に形成された陽極42と、陽極43に対向して垂直にストライプ状に形成された陰極43と、陽極42と陰極43との間に形成された積層体44等より構成されている。さらに、有機ELディスプレイ40は、図示されていないが、陰極及び陽極間に印加する電圧を駆動する駆動回路、水蒸気等への曝露を防止する封止容器等より構成されている。
有機ELディスプレイ40は、所望の領域の陽極42及び陰極43に電圧を印加することにより、積層体44の所望の領域を発光させることができる。また、積層体44の発光層に、上述した赤色、黄色、及び青色発光性の材料を使用することにより、フルカラーの画像表示をすることができる。
有機ELディスプレイ40の特徴は、陽極42、積層体44及び陰極43からなる有機EL素子が上述した第1の実施形態に係る有機EL素子により構成されていることである。したがって、表示品質が良好で信頼性の高い有機ELディスプレイを実現することができる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、本実施の形態において、有機EL素子を基板上に陽極側より順次堆積して形成してもよく、陰極側より形成してもよい。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 陽極と、該陽極の上方に形成された陰極と、該陽極と陰極との間に形成され、有機発光材料を含む発光層とを備えた有機EL素子の製造方法であって、
前記陽極の表面を研削する清浄化工程と
前記陽極の表面に前記研削により欠損した元素を含む材料を堆積する工程とを備えることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
(付記2) 前記堆積する工程は、前記材料よりなる島状膜を形成することを特徴とする付記1記載の有機EL素子の製造方法。
(付記3) 前記陽極はインジウムスズ酸化物よりなり、前記材料がスズ又は酸化スズであることを特徴とする付記1または2記載の有機EL素子の製造方法。
(付記4) 前記清浄化工程は、酸素、窒素、アルゴン、キセノン及びクリプトンの群のうちいずれかのガスを用いてイオンエッチングを行うことを特徴とする付記1〜3のうち、いずれか一項記載の有機EL素子の製造方法。
(付記5) 前記清浄化工程は、窒素、アルゴン、キセノン及びクリプトンの群のうち、少なくともいずれか1種の不活性ガスと酸素ガスを用いてイオンエッチングを行うことを特徴とする付記1〜3のうち、いずれか一項記載の有機EL素子の製造方法。
(付記6) 前記堆積する工程の後に、陽極及び堆積された材料の表面をUVオゾン処理を行う工程をさらに備えることを特徴とする付記1〜5のうち、いずれか一項記載の有機EL素子の製造方法。
(付記7) 陽極と、該陽極の上方に形成された陰極と、該陽極と陰極との間に形成され、有機発光材料を含む発光層とを備えた有機EL素子であって、
前記陽極表面がその構成材料の一部の材料が欠損した状態にあり、前記陽極表面に該一部の材料を含む島状膜が形成されてなることを特徴とする有機EL素子。
(付記8) 前記陽極がインジウムスズ酸化物よりなり、前記島状膜がSnを含んでなることを特徴とする付記7記載の有機EL素子。
(付記9) 前記島状膜は、平均膜厚が0.01nm〜1.0nmの範囲内に設定されてなることを特徴とする付記7または8記載の有機EL素子。
本発明の第1の実施の形態に係る有機EL素子の断面図である。 (A)〜(C)は第1の実施の形態に係る有機EL素子の製造工程の一部を示す図である。 ITO電極表面の付着物量を示す図である。 ITO電極表面のSn量を示す図である。 有機EL素子の発光輝度特性を示す図である。 有機EL素子の耐リーク性を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る有機ELディスプレイの断面図である。
符号の説明
10 有機EL素子
11 基板
12 ITO電極
13 島状膜
14 正孔注入層
15 正孔輸送層
16 発光層
18 電子輸送層
19 陰極
20 付着物
40 有機ELディスプレイ

Claims (5)

  1. 陽極と、該陽極の上方に形成された陰極と、該陽極と陰極との間に形成され、有機発光材料を含む発光層とを備えた有機EL素子の製造方法であって、
    前記陽極の表面を研削する清浄化工程と
    前記陽極の表面に前記研削により欠損した元素を含む材料を堆積する工程とを備えることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記堆積する工程は、前記材料よりなる島状膜を形成することを特徴とする請求項1記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記堆積する工程の後に、陽極及び堆積された材料の表面をUVオゾン処理を行う工程をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 陽極と、該陽極の上方に形成された陰極と、該陽極と陰極との間に形成され、有機発光材料を含む発光層とを備えた有機EL素子であって、
    前記陽極表面がその構成材料の一部の材料が欠損した状態にあり、前記陽極表面に該一部の材料を含む島状膜が形成されてなることを特徴とする有機EL素子。
  5. 前記島状膜は、平均膜厚が0.01nm〜1.0nmの範囲内に設定されてなることを特徴とする請求項4記載の有機EL素子。
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