JP2005063828A - 筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズにおいて、両リード導体2,2の先端間の間隔Lを可溶合金片1の外径dの3.7倍以下とした。
【選択図】図1
Description
この合金型温度ヒューズは、リード導体若しくは電極間に可溶合金片を接続し、この可溶合金片を覆ってフラックスを塗布し、このフラックス塗布可溶合金片をケース等の絶縁包囲体やエポキシ樹脂等の封止材で封止した構成である。
この合金型温度ヒューズによる電子・電気機器の保護においては、合金型温度ヒューズを機器に熱的に接触して取付け、機器異常時の過電流に基づく発生熱で合金型温度ヒューズを加熱し、この加熱で当該合金型温度ヒューズの可溶合金片を溶融させ、この溶融合金を活性化された加熱溶融フラックスとの共存下リード導体や電極に濡れ拡げさせて分断させ、この分断による通電遮断に基づく温度降下に伴う分断合金の凝固で通電オフを完結させている。
従来の筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズでは、可溶合金片の長さ、すなわち両リード導体先端間の間隔Lを可溶合金片外径dの6〜7倍としている。(例えば、特許文献1、特許文献2にはL=6.6dの例が示されている)
この場合、各規格(UL等)により多少の差があるが、通常合金型温度ヒューズをオイル中に浸漬し、0.1Aの電流を通電しつつオイルを1℃/1分間の速度で昇温させて電流オフ時のオイル温度を動作温度Tcとしている。
筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズにおけるリード導体の抵抗率が可溶合金片の抵抗率に較べ一段と小さいので、リード導体の自己発熱は無視できる。
筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズにおける可溶合金片の通電発熱状態を考察すると、リード導体の熱伝導率が極めて高いので、自己発熱に対する放熱は主にリード導体を経て行われ、筒状ケース壁を経ての放射方向への放熱は殆ど生じない。このように放熱がリード導体を経てのみ行われるとみなしても、自己発熱に基づく可溶合金片の大体の昇温程度を把握でき、この場合、リード導体の熱伝導率が可溶合金片の熱伝導率に較べ一段と高いために、リード導体の放熱抵抗を零としても、可溶合金片の概ねの昇温程度を把握できる。
而して、通電電流をi、可溶合金片の抵抗率をρ、可溶合金片の外径をd、可溶合金片の長さをL、可溶合金片の熱伝導率をa1、リード導体の熱伝導率をa2とすれば、可溶合金片の温度Txは、概ね
図1は本発明に係る筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズの一例を示している。
図1において、1は可溶合金片、2,2は可溶合金片1の両端に溶接等により接合したリード導体であり、両リード導体先端間の間隔、すなわち可溶合金片1の長さLを可溶合金片外径dの3.7倍以下とし、各リード導体2の外径d’を可溶合金片外径dに対し0.5d〜1.5d好ましくは0.9d〜1.1dとしてある。3はフラックスであり、可溶合金片1と各リード導体先端部を覆うように塗布してある。4は耐熱性の絶縁体筒状ケースであり、フラックス塗布可溶合金片を覆っている。5,5は筒状ケース各端と各リード導体との間を封止した封止材例えばエポキシ樹脂等の硬化型樹脂である。
筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズの筒状ケース4の外面が被保護機器に熱的に接触されており、被保護機器の過電流による発熱で筒状ケース外面温度が動作温度Tcに達すると、可溶合金片が融点にまで昇温されて溶融され、活性化された溶融フラックスの化学的作用(酸化防止作用、酸化物除去作用等)と物理的作用(表面張力による濡れ促進作用等)を受けつつ溶融合金が各リード導体先端部表面に濡れ拡がって分断され、分断による機器への通電遮断による機器の発熱停止で外面温度が降下され、分断合金の冷却凝固で通電オフが完結される。
図3において、1は可溶合金片である。2,2は可溶合金片1の各端に溶接等により接合したリード導体であり、先端部を塑性加工により円形膨出部21に形成してある。この膨出部21の外径はリード導体外径の1.1〜3倍とし、リード導体外径は可溶合金片外径の0.9〜1.1倍としてある。これら両リード導体の先端間の間隔、すなわち可溶合金片の長さLを前記と同様に可溶合金片外径dの3.7倍以下としてある。3はフラックスであり、可溶合金片を覆うように塗布してある。4は耐熱性の絶縁体筒状ケースであり、フラックス塗布可溶合金片を覆っている。5,5は筒状ケース各端と各リード導体との間を封止した封止材例えばエポキシ樹脂等の硬化型樹脂である。
すなわち、可溶合金片の両端にリード導体を突合せ、リード導体側をレーザ照射やヒートプレートの接触により加熱しつつリード導体を可溶合金片に向け押圧してリード導体と可溶合金片との界面を溶着する。この場合、図4に示すように、リード導体先端10が可溶合金片1の端面に食い込み可溶合金片端部がこぶ状10に膨出される。このこぶ10の部分は前記可溶合金片1の長さLには含まされない。
このようにして可溶合金片の両端にリード導体を接合したのち、可溶合金片を覆うようにフラックスを塗布し、一方のリード導体側から筒状ケースを通してフラックス塗布可溶合金片上に位置させ、次で、筒状ケース各端と各リード導体との間にエポキシ樹脂等の封止材を滴下塗布し、この封止材の硬化をまって本発明に係る筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズの製造を終了する。
而して、次ぎのような効果を奏する。
(a)相当に大きな電流の通電下でも次ぎの理由により自己発熱をよく抑制して所定の作動温度Tcに近い温度での作動を保証できる。
すなわち、リード導体径を可溶合金片径にほぼ等しくしてあり、可溶合金片の自己発熱に対してリード導体が主に放熱路として働き、筒状ケースを貫通しての放射方向の熱放出がリード導体を経ての熱放出に較べ充分に小さいので、可溶合金片の自己発熱温度は前記した通り、概ね次式で把握できる。
而るに、本発明に係る筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズでは、L/dを3.5以下というように従来に較べて充分に小さくしているので、自己発熱温度分K〔ρ(L/d)2i2(1/πd)2〕(1−a1)を相当に小さくできる。
従って、ある程度の通電下でも、所定の動作温度Tc近傍で動作させることができ、機器が熱的にまだ安全であるときに、合金型温度ヒューズが早期に動作する不都合をよく軽減できる。
この片側リード導体のはんだ付け時でのはんだ付け熱による可溶合金片の温度上昇について考察すると、可溶合金片を短くするほど可溶合金片の体積が小となって熱容量が小さくなる結果、一般論〔可溶合金片の熱容量が大きい(小さい)ほど遅く(速く)昇温し、可溶合金片の放熱抵抗が小さい(大きい)ほど速く(遅く)昇温する〕に基づき昇温速度が速くなるとする見解があるが、後述する実施例5〜6と比較例との対比によれば、これに反する帰結である。その理由は、可溶合金片が短いほど、反対側リード導体(はんだ付けしているリード導体と反対側のリード導体)への可溶合金片の熱の熱伝達が速やかに行なわれて放熱抵抗が小となり、またはんだ付け箇所から可溶合金片までの距離が合金長さが短くなった分の1/2長くなることにより、可溶合金片の長さ減少による熱容量の低減による昇温速度の迅速化よりも放熱抵抗の減少等が勝って全体的に昇温速度が遅くなるためと推定できる。
而して、本発明に係る筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズを機器に接続する場合、後付けでリード導体を片側づつはんだ付け接続し、両リード導体のそのはんだ付け箇所の間隔を極めて短くしても、可溶合金片の熱的変形をよく防止でき、筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズの短尺化に適合できると共に前記の所定動作温度Tcでの確実なカットオフ動作を保証できる。
通電動作温度試験については、試料数は10箇とし、試料をオーブン内に入れ、試料を遮風覆いで囲み、試料に定格電流に対し相当に大きい直流電流を通電しつつオーブン設定温度70℃から動作温度まで1.0℃/10分間の速度で昇温して通電オフ時のオーブン温度を測定し、また同様にして通電電流が実質的に零(0.1A)のときの通電オフ時のオーブン温度を測定し、両測定温度差が標準値(20℃)以内の場合を合格とした。
片側はんだ耐熱性試験については、試料の各リード導体の長さを40mmとし、片側の可溶合金片を温度300℃±5℃のはんだバスに筒状ケース端からの距離を5mmに保持して3秒間浸漬し、引上げ直後の可溶合金片の変形の有無をX線撮影により判別し、試料数10箇のうち全数変形無しを○、3箇以下の変形ありを△、4箇以上の変形ありを×と評価した。
可溶合金片の抵抗値については、試料数10箇のもとでのの最大、最小、平均値及び標準偏差を求めた。
可溶合金片の長さを3.0mm、外径を1.0mm、リード導体の長さを40mm、外径を1.0mmとし、筒状ケースには内径2.3mmのセラミックス筒を使用し、封止材には常温硬化のエポキシ樹脂を使用した。
可溶合金片の抵抗値は、最大0.94mΩ、最小0.84mΩ、平均0.899mΩ、標準偏差0.0373であった。
動作温度試験による動作温度は、最大135.6℃、最小134.8℃、平均135.2℃、標準偏差0.2211であり、可溶合金片の融点135℃にほぼ等しい温度で動作させ得た。
通電動作温度試験による動作時オーブン温度は、実質的無通電時の動作時オーブン温度に対し全試料とも20℃以内の差であり、通電動作温度試験は合格であった。
片側はんだ耐熱性試験については、可溶合金片の変形が生じたものは皆無であり、試験結果は○であった。
可溶合金片の抵抗値は、最大0.87mΩ、最小0.82mΩ、平均0.843mΩ、標準偏差0.0157であった。
動作温度試験による動作温度は、最大135.2℃、最小134.9℃、平均135.09℃、標準偏差0.0876であり、可溶合金片の融点135℃にほぼ等しい温度で動作させ得た。標準偏差が実施例1の0.2211から0.0876に減少しており、リード導体の濡れ面積の増大による動作温度のバラツキの減少が確認できる。
通電動作温度試験による動作時オーブン温度は、実質的無通電時の動作時オーブン温度に対し全試料とも20℃以内の差であり、通電動作温度試験は合格であった。
片側はんだ耐熱性試験については、可溶合金片の変形が生じたものは皆無であり、試験結果は○であった。
可溶合金片の抵抗値は、最大0.89mΩ、最小0.75mΩ、平均0.832mΩ、標準偏差0.832であった。
動作温度試験による動作温度は、最大135.5℃、最小134.9℃、平均135.30℃、標準偏差0.187であり、可溶合金片の融点135℃にほぼ等しい温度で動作させ得た。
通電動作温度試験による動作時オーブン温度は、実質的無通電時の動作時オーブン温度に対し全試料とも20℃以内の差であり、通電動作温度試験は合格であった。
片側はんだ耐熱性試験については、可溶合金片の変形が生じたものは実質上零であり、試験結果は○であった。
可溶合金片の抵抗値は、最大0.78mΩ、最小0.74mΩ、平均0.760mΩ、標準偏差0.0176であった。
動作温度試験による動作温度は、最大135.2℃、最小134.9℃、平均135.09℃、標準偏差0.0876であり、可溶合金片の融点135℃にほぼ等しい温度で動作させ得た。標準偏差が実施例3の0.832から0.760に減少しており、リード導体の濡れ面積の増大による動作温度のバラツキの減少が促されていると認められる。
通電動作温度試験による動作時オーブン温度は、実質的無通電時の動作時オーブン温度に対し全試料とも20℃以内の差であり、通電動作温度試験は合格であった。
片側はんだ耐熱性試験については、可溶合金片の変形が生じたものが皆無であり、試験結果は○であった。
可溶合金片の抵抗値は、最大0.82mΩ、最小0.72mΩ、平均0.768mΩ、標準偏差0.0352であった。
動作温度試験による動作温度は、最大138.3℃、最小135.3℃、平均136.23℃、標準偏差1.011であり、可溶合金片の融点135℃にほぼ等しい温度で動作させ得た。
通電動作温度試験による動作時オーブン温度は、実質的無通電時の動作時オーブン温度に対し全試料とも20℃以内の差であり、通電動作温度試験は合格であった。
片側はんだ耐熱性試験については、可溶合金片の変形が生じたものが皆無であり、試験結果は○であった。
可溶合金片の抵抗値は、最大0.73mΩ、最小0.68mΩ、平均0.706mΩ、標準偏差0.0176であった。
動作温度試験による動作温度は、最大135.2℃、最小134.9℃、平均135.09℃、標準偏差0.0165であり、可溶合金片の融点135℃にほぼ等しい温度で動作させ得た。標準偏差が実施例5の1.011から0.0165に減少しており、リード導体の濡れ面積の増大による動作温度のバラツキの減少が確認できる。
通電動作温度試験による動作時オーブン温度は、実質的無通電時の動作時オーブン温度に対し全試料とも20℃以内の差であり、通電動作温度試験は合格であった。
片側はんだ耐熱性試験については、可溶合金片の変形が生じたものが皆無であり、試験結果は○であった。
可溶合金片の抵抗値は、最大0.69mΩ、最小0.60mΩ、平均0.662mΩ、標準偏差0.0453であった。
動作温度試験については、オイル温度142℃に達しても動作しないものが試料10箇中2箇認められた。
通電動作温度試験については、動作しないものが10箇中1箇認められ、不合格であった。
片側はんだ耐熱性試験については、可溶合金片の変形が生じたものは皆無であり、試験結果は○であった。
可溶合金片の抵抗値は、最大0.63mΩ、最小0.58mΩ、平均0.602mΩ、標準偏差0.0192であった。
動作温度試験については、オイル温度140℃に達しても動作しないものが試料10箇中1箇認められた。
通電動作温度試験については、(動作温度−20℃)以上にて全て動作し、合格であった。
片側はんだ耐熱性試験については、可溶合金片の変形が生じたものは皆無であり、試験結果は○であった。
実施例1に対し可溶合金片の線径を0.6mmφとした以外、実施例1に同じとした。
動作温度試験は合格であり、片側はんだ耐熱性試験は不合格であった。通電動作温度試験については、オーブン温度70℃以下であり、劣悪であった。その理由は、可溶合金片の自己発熱に対するリード導体を経ての放熱性が悪く自己発熱の抑制を充分に行ない難くなったことに原因があると推定できる。
実施例1に対し可溶合金片長さを4.0mmとした以外、実施例1に同じとした。
動作温度試験による動作温度は、最大135.1℃、最小134.8℃、平均135.0℃、標準偏差0.2110であった。通電動作温度試験については、(動作温度−20℃)未満で全ての試料が動作し、不合格であった。
オーブン温度83℃であり、相当に悪い結果であった。片側はんだ耐熱性試験は×であった。これらの結果から、可溶合金長を短くするほど通電動作温度を動作温度に近づけることができ、片側はんだ付け耐熱性を向上できることが明らかである。
従って、本発明に係る筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズは、可溶合金片の鉛フリー化に好適である。
2 リード導体
3 フラックス
4 筒状ケース
5 封止材
Claims (5)
- 可溶合金片の両端に可溶合金片外径の0.5〜1.5倍の外径のリード導体を接合し、可溶合金片を覆ってフラックスを塗布し、フラックス塗布可溶合金片上に筒状ケースを被せ、筒状ケース両端の各端と各リード導体との間を封止材で封止する合金型温度ヒューズにおいて、両リード導体先端間の間隔を可溶合金片外径の3.7倍以下としたことを特徴とする筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズ。
- 通電電流が実質上零のもとでの所定の作動温度下での可溶合金片の溶融分断を保証するために、可溶合金片の組成または/及びフラックスの組成を調整したことを特徴とする請求項1記載の筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズ。
- 両リード導体先端間の間隔を可溶合金片外径の1.5倍以上としたことを特徴とする請求項1または2記載の筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズ。
- 各リード導体の先端部に外郭円形の膨出部を設けたことを特徴とする請求項1〜3何れか記載の筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズ。
- 可溶合金片の組成を、Pb等の有害元素を含まずIn、Bi、Snの少なくとも一種を主成分としたことを特徴とする請求項1〜4何れか記載の筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズ。
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JP2003292900A JP2005063828A (ja) | 2003-08-13 | 2003-08-13 | 筒状ケースタイプ合金型温度ヒューズ |
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Cited By (1)
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WO2008156013A1 (ja) * | 2007-06-18 | 2008-12-24 | Sony Chemical & Information Device Corporation | 保護素子 |
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