JP2005063022A - ノイズ画素マップ作成方法とその方法を実施する装置とプログラム及び写真プリント装置 - Google Patents

ノイズ画素マップ作成方法とその方法を実施する装置とプログラム及び写真プリント装置 Download PDF

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Abstract

【課題】デジタル画像入力機器を通じてデジタル画像データを取得する際に生じる電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を特定する技術を提供する。
【解決手段】取得されたデジタル画像データである原画像データに平滑化処理を施して平滑化画像データを作成する平滑化処理部41と、原画像データの画素値と前記平滑化画像データの画素値の差分を演算して差分画像データを作成する差分演算部と、差分画像データの画素値と所定のしきい値を比較してノイズ候補画素を選別してノイズ候補画素マップを作成するしきい値処理部43と、他のノイズ候補画素から独立しているノイズ候補画素を単発ノイズ画素と判定してノイズ画素マップを作成するノイズ画素選択部45とを備えたノイズ画素マップ作成装置。
【選択図】 図4

Description

本発明は、デジタル画像入力機器を通じてデジタル画像データを取得する際に生じる電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を示すノイズ画素マップを作成する技術及びそのノイズ画素マップを利用する技術に関する。
写真フィルムに形成された撮影画像をフィルムスキャナを通じてデジタル画像化して取得した画像データやデジタルカメラからデータ伝送手段を通じて取得した画像データをプリントデータに変換してプリント部を通じて写真プリントとして出力する写真プリント装置では、上述した画像入力機器を通じて写真プリント装置に送り込まれてきた画像データには、スキャナやデジタルカメラに用いられている撮像デバイスや信号伝送路における電気的なノイズに基づく画像ノイズが含まれていることが少なくない。このような原画像データに含まれている画像ノイズはその後の種々の画像処理プロセスにおいて悪影響を与え、最終的な写真プリントの品質を大きく低下させる。そのため、原画像データに含まれている画像ノイズを抑制しようとする種々の試みがなされている。
例えば、原画像データにシャープネス強調および平滑化を行って被写体画像エッジと粒状との混在画像データを求め、原画像データにエッジ検出を行って粒状領域の重み付けデータを求め、これを被写体画像エッジと粒状との混在画像データに乗じて粒状領域の粒状データを各色毎に求め、各色の粒状データから粒状による濃度変動の空間的大きさと変動の大きさの特徴を表す局所的粒状係数を求め、黒白粒状成分と色素粒状成分を識別、分離し、これらにそれぞれの抑制係数を乗じて、黒白粒状抑制成分と色素粒状抑制成分とを求め、これらをシャープネス強調画像データから選択的に除去することにより、粒状を抑制しながらも画像シャープネスを強調した画像を獲得する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、原画像データを濃度データと色データとに分離し、2次元座標空間における濃度データの変化に対応して、色データの平滑化処理と濃度データの平滑化処理との割合を変化させる処理を可能にし、2次元座標空間における濃度データの変化に対応して、色データの平滑化処理と濃度データの平滑化処理との割合を変化させることで、色データの平滑化処理による色ノイズ除去効果と、濃度データの平滑化処理による濃度ノイズ除去効果とのバランスを最適化し、画像中の輪郭部の保存と画像のざらつき低減との双方を実現する技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
上述した画像ノイズを抑制する画像処理技術は、近傍的又は大局的な処理で粒状ノイズ等を抑制するのであり、画像ノイズの画素位置を特定してその画素の修復処理を行うのではない。しかしながら、電気的なノイズに基づく画像ノイズを表している単発的なノイズ画素の修復にはそのノイズ画素の位置を特定した上で、その特定された画素に対して何らかの修復処理を施すのが最適である。
特開2000−175047 号公報(段落番号〔0007〕、第3図) 特開2002−44473号公報(段落番号〔0136〕、第1図)
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を特定する技術及び特定されたノイズ画素位置を利用する技術を提供する点にある。
上記目的を達成するために、デジタル画像入力機器を通じてデジタル画像データを取得する際に生じる電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を示すノイズ画素マップを作成する、本発明によるノイズ画素マップ作成装置は、前記取得されたデジタル画像データである原画像データに平滑化処理を施して平滑化画像データを作成する平滑化処理部と、前記原画像データの画素値と前記平滑化画像データの画素値の差分を演算して差分画像データを作成する差分演算部と、前記差分画像データの画素値と所定のしきい値を比較してノイズ候補画素を選別するしきい値処理を通じてノイズ候補画素マップを作成するしきい値処理部と、他のノイズ候補画素から画素位置的に独立しているノイズ候補画素を単発ノイズ画素と判定するノイズ画素選択処理を前記ノイズ候補画素マップに施して前記ノイズ画素マップを作成するノイズ画素選択部とから構成されている。
原画像データとその平滑化画像データの差分をとることによって得られた差分画像データでは、原画像データにおける画素値の変化の激しい箇所(輪郭部分など)に対応する画素値の絶対値は、原画像データにおける画素値の変化の乏しい箇所(平坦部分など)に対応する画素値(ほとんど0もしくは0に近い値となる)の絶対値より大きな値をとる。これは、変化の乏しい画像領域では平滑化処理の前後でその画素値がほとんど変化しないのに対して、変化の激しい画像領域では、特に突出した画素値を有する画素(単発ノイズ画素)では平滑化処理の前後でその画素値が大きく変化するからである。このため、差分画像データの画素値と所定のしきい値を比較して単発ノイズ画素の候補となりうる画素を選別する。このしきい値としては、大局的に設定される大局値ないしは局所的に設定される局所値が画像種別に応じて採用されてもよいが、いずれにしてもその値は直接実験的に求められるか実験的に求められた演算式又は係数によって求められれることが望ましい。この発明で問題となっている単発ノイズ画素は、隣接している画素から突出した画素値をもつ画素(つまりつながり合った画素ではなく画素位置的に独立している画素)であることを顧慮して、しきい値処理で得られた、ノイズ候補と見なされる画素(ノイズ候補画素)の画素位置を示したノイズ候補画素マップから、他のノイズ候補画素とのつながりを持たないノイズ候補画素だけを選別し、最終的なノイズ画素マップを作成する。
単発的なノイズ画素の位置を表しているノイズ画素マップが作成できると、そのノイズ画素の位置に対応する原画像データの画素の画素値をその周辺画素の画素値に基づいて決定された画素値で置き換えることにより、単発的なノイズ画素の修復だけが施された画像データを得ることができる。
しきい値処理で用いられるしきい値としては、電気的な要因による単発ノイズ画素はデジタル画像入力機器の特性によりそのノイズ挙動が異なることに重きをおく場合、原画像データを取得する際に用いられたデジタル画像入力機器に応じて設定することが好適である。
また、原画像データそれ自体の画像的特徴からしきい値を設定することも画像によっては好都合な場合があり、その際にはしきい値を注目画素を中心とする領域に位置する画素の局所特性値に応じて設定されるようにすることができる。好ましい局所特性値としては、局所的な画像の変化度合いを判断することができる特性値、例えば局所分散値や局所空間周波数特性値が好ましい。局所分散値や局所空間周波数特性値が高い傾向を示すと注目画素の周辺領域の画像の変化が激しいことになるので、これに基づいてしきい値を調整してノイズ画素が拾えるようにするとよい。
上記目的を達成するために、デジタル画像入力機器を通じてデジタル画像データを取得する際に生じる電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を示すノイズ画素マップを作成する、本発明によるノイズ画素マップ作成方法は、前記取得されたデジタル画像データである原画像データに平滑化処理を施して平滑化画像データを作成するステップと、前記原画像データの画素値と前記平滑化画像データの画素値の差分を演算して差分画像データを作成するステップと、前記差分画像データの画素値と所定のしきい値を比較してノイズ候補画素を選別するしきい値処理を通じてノイズ候補画素マップを作成するステップと、他のノイズ候補画素から画素位置的に独立しているノイズ候補画素を単発ノイズ画素と判定するノイズ画素選択処理を前記ノイズ候補画素マップに施して前記ノイズ画素マップを作成するステップとから構成されている。このノイズ画素マップ作成方法でも、上述したノイズ画素マップ作成装置のところで述べた作用と効果が同様に得られる。また、本発明は、上述した画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムやそのプログラムを記録した媒体も権利の対象とするものである。
上述したようなノイズ画素マップ作成のための装置(ハードウエア又はソフトウエアあるいはその両方によって構築される)、方法、プログラムによってノイズ画素マップが作成されると、単発ノイズ画素の位置がわかるので、例えば、ノイズ画素の位置に対応する原画像データの画素値をその周辺画素の平均値や特定の隣接画素値で置き換えるような処理を通じて、単発ノイズ画素が修復された修復済み原画像データが得られる。従って、本発明は単発ノイズ画素を含む原画像データを修復して出力するスキャナー、デジタルカメラ、デジタルビデオ、及びこれらのデジタル画像入力機器と画像表示機器や画像プリント機器とを組み合わせた画像処理システムにも適用されるものであり、これらに対してもその権利が及ぶものである。
本発明では、さらに、上述したノイズ画素マップを利用して前記画像データに対するシャープネス処理又は粒状抑制処理あるいはその両方を行う画像処理部を備えている写真プリント装置も提案されている。ノイズ画素の位置を特定し、その特定位置を考慮しながらシャープネス処理や粒状抑制処理を行うことで、シャープネス処理においてノイズ画素部分のエッジが強調されることにより写真プリントの画質が低下していた問題を解消することができるし、粒状抑制処理において、ノイズ画素を修復するとともに画像全体の粒状感もなくすることが可能となる。
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
図1は本発明によるノイズ画素マップ作成機能を組み込んだ写真プリント装置を示す外観図であり、この写真プリント装置は、印画紙Pに対して露光処理と現像処理とを行う写真プリンタとしてのプリントステーション1Bと、現像済み写真フィルムMaやデジタルカメラ用メモリカードMbなどから取り込んだ撮影画像データやプリント注文データを処理してプリントステーション1Bで使用されるプリントデータの生成・転送などを行う操作ステーション1Aとから構成されている。
この写真プリント装置はデジタルミニラボとも称せられるものであり、図2からよく理解できるように、プリントステーション1Bは2つの印画紙マガジン11に納めたロール状の印画紙Pを該ステーション1Bの内部に搬送してプリントサイズに切断すると共に、このように切断された印画紙Pに対し、プリントエンジンとしての露光エンジン12で撮影画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを複数の現像処理槽を有した現像処理部13に送って現像する。乾燥の後に装置上部の横送りコンベア14からソータに送られた印画紙P、つまり写真プリントPは、このソータの複数のトレイにオーダ単位で仕分けられた状態で集積される。上述した印画紙Pに対する各種処理に合わせた搬送速度で印画紙Pを搬送するために複数のチャッカー搬送ユニット15aを含む印画紙搬送機構15が設けられている。
露光エンジン12は、操作ステーション1Aから送られてくるプリントデータに基づいて印画紙Pを送りながらR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光線の照射を印画紙Pに対して行うものであり、露光時には印画紙Pを副走査方向に搬送しながら、この搬送速度と同期して主走査方向に沿ったライン状に露光を行うよう構成されている。尚、露光ヘッドとしては、露光仕様に応じて、レーザビーム方式、蛍光ビーム方式、液晶シャッター方式、DMD方式などの採用が可能であるが、ここではレーザビーム方式が採用されている。いずれにしても、ライン露光方式を採用しているので、プリントサイズは印画紙Pの幅と副走査方向での送り長さで決定される。
前記操作ステーション1Aのデスク状コンソールの上部位置には、写真フィルムMaの撮影画像コマから撮影画像データを取得するフィルムスキャナ2と、各種情報を表示するモニタ4が配置されている。また、この操作テーブルの下方には、取り込んだ撮影画像データの処理を行うとともにプリントステーション1Bのための指令コントローラ3としても機能する汎用コンピュータが備えられている。このコントローラ3にはデジタルカメラに装着されるメモリカードMbとして用いられているスマートメディアやコンパクトフラッシュ(登録商標)などから撮影画像データを取得するメディアリーダ18が組み込まれており、写真プリント装置における各種設定や調整を行う際にも用いるキーボード16やマウス17が接続されている。
フィルムスキャナ2は、図2に模式的に示されているように、フィルム搬送ラインの上方に位置する光源20と、フィルム搬送ラインの下側でこれに対して直交する方向に延びたスリット21の下方に位置する光学レンズ22と、この光学レンズ22によって結像された写真フィルムの透過光を光電変換するCCD型のセンサユニット23とを備えている。センサユニット23はコントローラ3に装着された画像入力ボードと接続されており、センサユニット23によって変換されたデジタル画像データは画像入力ボードを介してコントローラ3のメモリ30に送り込まれる。
この写真プリント装置のコントローラ3は、CPUを中核部材として、写真プリント装置の種々の動作を行うための機能部をハードウエア又はソフトウエアあるいはその両方で構築しているが、図3に示されているように、本発明に特に関係する機能部としては、スキャナ2やメディアリーダ18によって読み取られた撮影画像データを取り込んで次の処理のために必要な前処理を行うデータ前処理部40と、メモリ30に展開された撮影画像データに対して解像度変換、シャープネス、粒状抑制、色補正、拡縮、画像回転、トリミング、画像合成などを施す画像処理部31、各種ウインドウや各種操作ボタンなどを含むグラフィック操作画面の作成やそのようなグラフィック操作画面を通じてのユーザ操作入力(キーボード16やマウス17による)から制御コマンドを生成するグラフィックユーザインターフェース(以下GUIと略称する)を構築するGUI部32と、色補正等のプレジャッジプリント作業時にプリントソース画像や予想仕上がりプリント画像としてのシミュレート画像さらにはGUI部32から送られてきたグラフィックデータをモニタ4に表示させるためのビデオ信号を生成するビデオ制御部33と、画像処理が完了した処理済み撮影画像データに基づいてプリントステーション1Bに装備されている露光エンジン12に適したプリントデータを生成するプリントデータ生成部34と、顧客の要望に応じて生の撮影画像データや画像処理が完了した処理済み撮影画像データなどをCD−Rに書き込むための形式にフォーマットするフォーマッタ部35と、GUI部32から送られてきた制御コマンドや直接キーボード16等から入力された操作命令に基づいてデータ前処理部40や画像処理部31を管理するプリント管理部36などが挙げられる。
データ前処理部40は、図4に示すように、通常の前処理機能に加えて、スキャナ2などのデジタル画像入力機器を通じてデジタル画像データを取得する際に生じる電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を示すノイズ画素マップを作成するノイズ画素マップ作成機能及びこのノイズ画素マップを用いて単発ノイズ画素を修復する機能を有しており、そのために、取得されたデジタル画像データである原画像データに平滑化処理を施して平滑化画像データを作成する平滑化処理部41と、前記原画像データの画素値と前記平滑化画像データの画素値の差分を演算して差分画像データを作成する差分演算部42と、前記差分画像データの画素値と所定のしきい値を比較してノイズ候補画素を選別するしきい値処理を通じてノイズ候補画素マップを作成するしきい値処理部43と、このしきい値処理部43で用いられるしきい値を設定するしきい値設定部44と、他のノイズ候補画素から画素位置的に独立しているノイズ候補画素を単発ノイズ画素と判定するノイズ画素選択処理を前記ノイズ候補画素マップに施して前記ノイズ画素マップを作成するノイズ画素選択部45と、ノイズ画素マップに示されたノイズ画素を周辺画素で置き換えるといった画像修復技術を用いて修復するノイズ画素修復部46を備えている。修復された撮影画像データは画像処理部31によって必要な色補正や画像合成などの処理を施される。
次に、図5のフローチャートを用いて、上述したデータ前処理部40における単発ノイズ画素修復処理の典型的な流れを説明する。
現像済み写真フィルムMaをスキャナ2にかけることによって読み取られた撮影画像データやデジタルカメラのメディアカードMbをメディアリーダ18に投入することによって読み取られた撮影画像データは、電気ノイズ等の結果としての単発ノイズ画素を含んでいる可能性があるので、単発ノイズ画素修復処理を受けるために、原画像データとしてメモリ30に展開される(#10)。図6に原画像データの一部が画像データを構成する各画素の濃度値のマトリックス表示の形で示されている。カラー画像の場合このような濃度値マトリックスがR・G・B毎に用意されているが、ここでは共通的に説明される。
まず、原画像データに対して3×3や5×5などの空間フィルタである平滑化フィルタをかけることで平滑化画像データを得る。平滑化フィルタとしては平均値フィルタやメディアンフィルタが知られているが、この実施形態では3×3の平均値フィルタ(要素値が1/9)が使用されており、図6に示された原画像データに対して平滑化処理を施した後の平滑化画像データの一部が図7に示されている(#20)。その後、原画像データと平滑化画像データとの差分をとり図8で部分的に示されているような差分画像データを得る(#30)。アンシャープマスク処理において知られているように、この差分画像データにおいて、原画像データにおいて変化の少ない領域はその画素値が「0」もしくは「0」に近い数になり、変化の急激な領域は「0」よりかなり離れた数となる。さらに、この差分画像データから電気ノイズ等を原因とするノイズ画素は、その典型として急激な画素値の変化、つまりその画素値が非常に大きな値、又は、反転した画素値をもった画像データでは逆に非常に小さな値をとることがわかっているので、各差分値に対して所定のしきい値と比較してノイズ候補画素を選択する必要がある。この例では、ノイズ画素は極めて大きな画素値をもつものとしているので、差分値が負の場合ノイズ画素の候補から外されるが、ノイズ画素が極めて大きな画素値又は小さな画素値のいずれかをもつ場合には、差分値の絶対値をとるようにする。
このため、まずしきい値を設定する(#40)。このしきい値の設定には種々の方策が提案されるが、ここでは、最も簡単なものとして、予め使用された画像入力機器によって実験的に求められているしきい値(=30)を全ての差分値に適用することにする。設定されたしきい値をもって差分画像データに対して、しきい値未満の値をもつ画素には「0」を与え、しきい値以上の値をもつ画素には「1」を与える。これにより、ノイズ候補画素のみに「1」が設定されたノイズ候補画素マップとしての2値画像データが作成される(#50)。この2値画素データ(ノイズ候補画素マップ)の一部が図9に示されている。このノイズ画素修復処理では単発的なノイズ画素がノイズとして取り扱うことになっているので、連続した画像の変化によって生成されることになる連続的につながっているノイズ候補画素を取り除くために、ここでは、2つ以上隣接しているノイズ候補画素の値を「0」とするノイズ画素選択処理を行う(#60)。この処理は注目画素の隣接画素の画素値が「0」であるか「1」であるかをチェックすることで簡単に行うことができる。このノイズ画素選択処理によって、ノイズ画素の位置が「1」で示されたノイズ画素マップが作成される。このノイズ画素マップの一部が図10に示されている。
ノイズ画素マップが作成されると、単発ノイズ画素の位置がわかるので、後はよく知られた画素修復処理を通じて、例えば、ノイズ画素の位置に対応する原画像データの画素値をその周辺画素の平均値や特定の隣接画素値で置き換えるような処理を通じて、単発ノイズ画素が修復された修復済み原画像データが得られる(#70)。
上述した実施の形態では、しきい値設定部44によるしきい値処理で用いられるしきい値として、画像入力機器に応じて設定される共通しきい値を取り上げたが、原画像データそれ自体の画像的特徴からしきい値を設定するために、原画像データから局所処理によりしきい値マップを求めることも好都合である。注目画素を中心とする5×5や7×7などの統計学的空間フィルタによってその注目画素を中心とする領域に位置する画素群の分散値(標準偏差などの統計値)を求めるとともにその分散値(標準偏差などの統計値)をパラメータとしてしきい値を算定することでしきい値マップを得ることができる。また、統計学的空間フィルタに代えて空間周波数特性が得られるデジタルフィルタを用いて、得られた局所的又は大局的な空間周波数特性値をパラメータとしてしきい値を算定することでしきい値マップを得ることができる。
上述した写真プリント装置では、作成されたノイズ画素マップを用いて単発ノイズ画素の画素値をその周辺画素の平均値や特定の隣接画素値で置き換えるような処理で修復していたが、このようなノイズ画素マップを他の画像処理に利用することも可能である。特に、明らかに電気ノイズと思われるような単発ノイズ画素は置き換え処理が有効であるが、電気ノイズほど極端な画素値を示さないようなノイズ画素(必ずしもノイズとは言えない画素)の場合、前処理でノイズ画素修復するよりは、画像処理部31においてそのノイズ画素の存在を考慮して各種画像処理を行った方が良い場合がある。このような場合には、連続的につながっているノイズ候補画素を取り除く際には、単独の画素のみをノイズ画素と見なすのではなく、ある程度の連続した画素もノイズ画素とみなすことも重要であるし、用いられるしきい値も各画素値の絶対値に適用されるとともにそのしきい値も電気ノイズ画素の判定に用いられる値に比べ小さくするとよい。
例えば、写真プリントでは必須といえるシャープネス処理を行う際、ノイズ画素マップで示されるノイズ画素のところだけはシャープネス強度を小さくするか、あるいは全くシャープネス処理を行わないようにする。また、ノイズ画素までの距離に応じてシャープネス強度を段階的に下げていくようなシャープネス処理でもよい。このような方策により、シャープネス処理においてノイズ画素部分のエッジが強調されることにより写真プリントの画質が低下していた問題を解消することができる。
特に、フィルム画像をソースとする写真プリントでは、画像に現れる粒状感を抑制するため、ぼかし処理である粒状抑制処理が施される。この粒状抑制処理において、ノイズ画素を目立たなる程度のぼかし処理を行うと正常な画像部分もなまってきて、いわゆる「ねむい」画像となるし、逆に粒状感だけを抑制する程度のぼかし処理を行うとノイズ画素が目立つ画像となる。この問題を解決するために、上述したノイズ画素マップを利用することができる。つまり、ノイズ画素のところだけはぼかし強度を大きくし、その他のところではぼかし強度を粒状感がなくなる程度に小さくする。その際、ノイズ画素までの距離に応じてぼかし強度を段階的に上げていくようなぼかし処理を採用してもよい。このような方策により、粒状抑制処理において、ノイズ画素を修復するとともに画像全体の粒状感もなくすことが可能となる。
本発明によるノイズ画素マップ作成技術は画像入力デバイスや信号伝送路における電気的なノイズに基づく画像ノイズが含まれている画像データを取り扱う装置全般に利用することができる。
ノイズ画素マップ作成機能を組み込んだ写真プリント装置を示す外観図 写真プリント装置の説明図 写真プリント装置のコントローラの機能を示す機能ブロック図 データ前処理部のノイズ画素修復機能を示す機能ブロック図 単発ノイズ画素修復処理の典型的な流れを示すフローチャート 原画像データの一部を示す説明図 図6に対応する平滑化処理された原画像データの一部を示す説明図 差分画像データの一部を示す説明図 ノイズ候補画素マップの一部を示す説明図 ノイズ画素マップの一部を示す説明図
符号の説明
16 キーボード
30 メモリ
31 画像処理部
33 GUI部
36 プリント管理部
41 平滑化処理部
42 差分演算部
43 しきい値処理部
44 しきい値設定部
45 ノイズ画素選択部
46 ノイズ画素修復部

Claims (8)

  1. デジタル画像入力機器を通じてデジタル画像データを取得する際に生じる電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を示すノイズ画素マップを作成するノイズ画素マップ作成装置において、
    前記取得されたデジタル画像データである原画像データに平滑化処理を施して平滑化画像データを作成する平滑化処理部と、
    前記原画像データの画素値と前記平滑化画像データの画素値の差分を演算して差分画像データを作成する差分演算部と、
    前記差分画像データの画素値と所定のしきい値を比較してノイズ候補画素を選別するしきい値処理を通じてノイズ候補画素マップを作成するしきい値処理部と、
    他のノイズ候補画素から画素位置的に独立しているノイズ候補画素を単発ノイズ画素と判定するノイズ画素選択処理を前記ノイズ候補画素マップに施して前記ノイズ画素マップを作成するノイズ画素選択部と、
    から構成されていることを特徴とするノイズ画素マップ作成装置。
  2. 前記しきい値処理部で用いられるしきい値は、原画像データを取得するために用いられたデジタル画像入力機器に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載のノイズ画素マップ作成装置。
  3. 前記しきい値処理部で用いられるしきい値は、注目画素を中心とする領域に位置する画素の局所特性値に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載のノイズ画素マップ作成装置。
  4. 前記局所特性値が局所分散値であることを特徴とする請求項3に記載のノイズ画素マップ作成装置。
  5. 前記局所特性値が局所空間周波数特性値であることを特徴とする請求項3に記載のノイズ画素マップ作成装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のノイズ画素マップ作成装置によって作成されたノイズ画素マップを利用して前記画像データに対するシャープネス処理又は粒状抑制処理あるいはその両方を行う画像処理部を備えたことを特徴とする写真プリント装置。
  7. デジタル画像入力機器を通じてデジタル画像データを取得する際に生じる電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を示すノイズ画素マップを作成する方法において、
    前記取得されたデジタル画像データである原画像データに平滑化処理を施して平滑化画像データを作成するステップと、
    前記原画像データの画素値と前記平滑化画像データの画素値の差分を演算して差分画像データを作成するステップと、
    前記差分画像データの画素値と所定のしきい値を比較してノイズ候補画素を選別するしきい値処理を通じてノイズ候補画素マップを作成するステップと、
    他のノイズ候補画素から画素位置的に独立しているノイズ候補画素を単発ノイズ画素と判定するノイズ画素選択処理を前記ノイズ候補画素マップに施して前記ノイズ画素マップを作成するステップと、
    から構成されていることを特徴とするノイズ画素マップ作成方法。
  8. デジタル画像入力機器を通じてデジタル画像データを取得する際に生じる電気ノイズ等を原因とする単発ノイズ画素の位置を示すノイズ画素マップを作成するために、
    前記取得されたデジタル画像データである原画像データに平滑化処理を施して平滑化画像データを作成する機能と、
    前記原画像データの画素値と前記平滑化画像データの画素値の差分を演算して差分画像データを作成する機能と、
    前記差分画像データの画素値と所定のしきい値を比較してノイズ候補画素を選別するしきい値処理を通じてノイズ候補画素マップを作成する機能と、
    他のノイズ候補画素から画素位置的に独立しているノイズ候補画素を単発ノイズ画素と判定するノイズ画素選択処理を前記ノイズ候補画素マップに施して前記ノイズ画素マップを作成する機能とを、
    コンピュータに実現させるプログラム。
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