JP2005060597A - スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
優れた透明性と物理的性能、特に耐薬品性を発揮したスチレン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
(B)エステル重合体
(C)スチレン系ブロック共重合体
から成り、上記(A)、(B)および(C)の重量組成比が下記の範囲にある、透明成形体成形用のスチレン系樹脂組成物
0.01≦ B/(A+B) <0.1
0≦ C/(A+B+C) <0.7
ここに、(A)成分のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、スチレン系構成単位と(メタ)アクリル酸エステル構成単位から成る共重合体であり、
(B)成分のエステル重合体とは、主鎖の繰り返し単位中にカルボン酸エステル基をもち、結晶性を有するヘテロ鎖高分子化合物であり、
(C)成分のスチレン系ブロック共重合体とは、少なくとも二つのスチレン系ブロックと、少なくとも一つの共役ジエン系重合体ブロックを有する重合体である。
【選択図】 なし

Description

本発明は熱収縮フィルムに好ましく用い得るスチレン系樹脂組成物に関する。詳しくは、優れた耐薬品性と透明性、更にはバランスに優れた物理的性能および加工性を併せて有するスチレン系樹脂組成物に関する。
GPPS(汎用ポリスチレン)等のスチレン系重合体を延伸加工したフィルムを、熱収縮フィルム用途に用い得ることは公知である。しかし、この種のフィルムは強度が低く、熱収縮する温度が高く、かつ熱収縮させるに適切な温度幅が狭いとの問題がある。
これを改善する技術として、GPPSとスチレン系ブロック共重合体の組成物を用いる方法、更にはスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とスチレン系ブロック共重合体の組成物を用いる方法等が提案されている。
GPPSとスチレン系ブロック共重合体の組成物は、GPPS単味に比較して強度性能が大きく改善するものであり、熱収縮フィルムとして使用されている。しかし、一般に熱収縮温度はやや高く、用途により取り扱いの上で問題があった。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とスチレン系ブロック共重合体の組成物は、優れた強度性能有すると共に、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の構成単位組成により、熱収縮温度を比較的自由に調整でき、熱収縮フィルムとして適応範囲が広い。しかし、この種の組成物から成る熱収縮フィルムも、使用法あるいは用途によっては耐薬品性に問題があった。一般に、熱収縮フィルムには意匠性の点から印刷が施される。しかし、印刷インキに含まれるアルコールやエステル溶剤は、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との親和性が高いためか、強度低下やクラック発生等の、耐薬品性の問題が指摘される場合があった。
一方で本発明にやや近似する技術として、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とエチレンテレフタレート系重合体(PET)との組成物に関する技術も、既に公知である。
例えば、PETに少量のスチレン−不飽和カルボン酸(またはそのエステル)共重合体を混合することにより、PETの結晶化速度が増大し、その結果として射出成形時の成形サイクル等が短縮し、耐熱性および機械的特性に優れたPET組成が得られる。しかし、このPET組成物の主体は飽くまでPETであり、特許請求に示される組成はPETの100重量部に対して、スチレン−不飽和カルボン酸(またはそのエステル)共重合体0.1〜50重量部の範囲に限定されている。(特許文献1)。また、得られるPET組成物は高度に結晶化する点に特徴があり、それ故に得られるPET組成物は不透明になる。故に、この技術の達成する樹脂性能および考えられる用途は、本願の目的とするところと全く異なる。
テレフタール酸とアルキレンジオールとの非晶性の共重合体(非晶性PETと略す)とスチレン−不飽和カルボン酸(またはそのエステル)共重合体との組成物も公知である。非晶性PETを構成するアルキレンジオールは、例えばシクロアルキレングリコール類を成分とし、かつスチレン−不飽和カルボン酸(またはそのエステル)共重合体との組成物において、非晶性PET含量は10重量%以上に限定されている。得られる組成物は、スチレン−不飽和カルボン酸(またはそのエステル)共重合体単味に対しては剛性、衝撃強度に優れ、結晶性PETとスチレン−不飽和カルボン酸(またはそのエステル)共重合体から成る組成物に対しては透明性に優れるとの特長が挙げられている。(特許文献2)。しかし反面で、本発明者の検討ではPETの結晶化に依存する樹脂性能、例えば耐薬品性は劣るものであった。
上述の非晶性PETとスチレン−不飽和カルボン酸(またはそのエステル)共重合体に、更にスチレン系ブロック共重合体を混合した組成物も公知である。(特許文献3)。しかし、同様に結晶化に依存する樹脂性能、例えば耐薬品性は同様に劣るものであった。
公開特許昭60−149654号公報 公開特許平04−126744号公報 公開特許平04−145155号公報
本発明が解決しようとする課題は非晶性PETとスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物の優れた透明性を達成する共に、結晶性PETとスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体組成物の優れた物理的性能、特に耐薬品性に優れるスチレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定構造のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、特定構造のエステル重合体から成る組成物が耐薬品性等の優れた物理的性能と優れた透明性を併せ有することを見出し本発明に到達した。
具体的に説明すると、本発明のスチレン系樹脂組成物はエステル重合体に基づく結晶性を潜在的に保持しているにも関わらず、通常の成形加工、特に延伸フィルム成形加工においては、結晶化を抑制して、非晶性の成形品にすることができる。それ故、得られた成形品は結晶による光散乱がなく、透明性に優れる。しかし、この成形品がアルコールやエステル溶剤等と接触すると、その接触個所でミクロな結晶化が起こり、それ以上の溶剤の浸透を阻害する。それ故に非晶な成形品であるにも関わらず、優れた耐薬品性を発現する。この驚くべき作用効果は従来全く知られていなかった。
即ち、本発明は次の構成を有するスチレン系樹脂組成物である。
(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
(B)結晶性エステル重合体
(C)スチレン系ブロック共重合体
から成り、上記(A)、(B)および(C)の重量組成比が下記の範囲にある、透明成形体成形用のスチレン系樹脂組成物。
0.01≦ B/(A+B) <0.1
0≦ C/(A+B+C) <0.7
ここに、(A)成分のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、スチレン系構成単位と(メタ)アクリル酸エステル構成単位から成る共重合体であり、
(B)成分の結晶性エステル重合体とは、主鎖の繰り返し単位中にカルボン酸エステル基をもち、結晶性を有するヘテロ鎖高分子化合物であり、
(C)成分のスチレン系ブロック共重合体とは、少なくとも二つのスチレン系ブロックと、少なくとも一つの共役ジエン系重合体ブロックを有する重合体である。
本発明のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エステル重合体、およびスチレン系ブロック共重合体から成るスチレン系樹脂組成物は、優れた耐薬品性と透明性、更にはバランスに優れた物理的性能および加工性を併せて有するものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のスチレン系樹脂組成物を構成する(A)成分は、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。該スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、スチレン系単量体を(メタ)アクリル酸エステル単量体の共存下にラジカル共重合して得られる。
スチレン系単量体は、スチレンの他に、少量の公知のビニル芳香族単量体を含んでいても構わない、この例としてα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tertブチルスチレン、およびこれらの混合物等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、アクリル酸エステル単量体およびメタクリル酸エステル単量体から選ばれる単量体を意味する。具体的にはC1〜C8の範囲のアルコールとアクリル酸およびメタクリル酸のエステル化合物から選ばれる。より具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等を挙げることができる。
また、これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体の2種以上を組み合わせて用いても構わない。特にメタクリル酸メチルを用いる場合、熱収縮フィルムの如き低温加工が要求される用途では、得られるスチレン系重合体の軟化温度を調整するため、他の(メタ)アクリル酸エステルと組み合わせて用いることが好ましい。
低温加工性、耐候性、強度等のバランスの面で、(メタ)アクリル酸エステル単量体はアクリル酸エステル単量体であることが好ましい。アクリル酸エステルはメタクリル酸エステルに比較して、少量の使用でスチレン系樹脂組成物の熱安定性や加工安定性を大きく低下させるスチレントリマーの生成を抑制して、共反応環状トリマー生成量を増大させる。 アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチルが更に好ましく、アクリル酸n−ブチルが最も好ましい。延伸シートおよび延伸フィルム等の低温加工が要求される用途では、アクリル酸n−ブチルを用いることによって、スチレン系重合体樹脂の物性や加工性をバランス良く改良できる。
該スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、本発明の目的を阻害しない範囲で、共重合可能な他のビニル系単量体を含んでいても構わない。この好ましい具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸およびその塩、更には広くα、β−不飽和カルボン酸エステル類が挙げられる。
該スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の単量体組成は、スチレン系単量体60〜97重量%の範囲である。好ましくはスチレン系単量体65〜95重量%、更に好ましくは70〜93重量%、特に好ましくは75〜90重量%の範囲であり、残余の主成分は(メタ)アクリル酸エステル単量体である。
スチレン単量体が60重量%未満では、スチレン系重合体の耐熱性が過度に低下して好ましくない。具体的には成型品の熱的変形、延伸フィルムの自然収縮が起こり易く、好ましくない。また、スチレン系単量体が97重量%を越えると、スチレン系重合体のシートあるいはフィルムの冷延伸加工する場合の適正温度幅が著しく狭まり、またシートあるいはフィルムの耐折れ性等の強度性能が低下して好ましくない。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体の導入量の低下に伴い、含まれる環状スチレントリマーが増大する。このため、熱安定性や加工安定性が低下を来して好ましくない。
用いる(メタ)アクリル酸エステル単量体は、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは80重量%以上がアクリル酸エステルである。また、アクリル酸エステルとしてはアクリル酸n−ブチルが特に好ましい。これにより、環状トリマー中の共反応環状トリマー含有率を更に高くでき、得られるスチレン系重合体樹脂の熱安定性や加工安定性を一層改善できる。環状スチレントリマーおよび共反応環状トリマーの具体的構造については後述する。
特定範囲の共反応環状トリマーを含有するスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法は、例えば二基以上の重合槽を直列に連結し、重合槽の一端から原料を連続的に供給し、他端より生成物を連続的に抜き出す連続プロセスの塊状あるいは溶液重合法で、有機ラジカル発生剤を開始剤に用い、スチレン系単量体を(メタ)アクリル酸エステル単量体の共存下に重合して得られる。
更には、二基以上の重合槽を直列に連結し、最終重合槽の混合状態がプラグフロー流れの重合プロセスであることが好ましい。最も好ましくは、前段に完全混合重合槽、後段にプラグフロー重合槽を含む重合プロセスである。
該スチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造においては、有機ラジカル発生剤を開始剤に用いることが好ましい。有機ラジカル発生剤としては、有機過酸化物およびアゾ化合物等が挙げられる。特に好ましい有機ラジカル発生剤は有機過酸化物である。 有機過酸化物の種類は、実施する重合温度での半減期が好ましくは10分から10時間の化合物から選ばれる。重合温度条件にもよるが、更に好ましくは10時間の半減期を得る温度が50〜130℃の範囲、特に好ましくは80〜120℃の範囲の有機過酸化物から選ばれる。
最も好ましい有機過酸化物は1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。
有機ラジカル発生剤の使用量は、全単量体あたり、好ましくは5〜5,000ppmの範囲である。より好ましくは50〜2,000ppmの範囲、特に好ましくは100〜1,000ppmの範囲である。
重合時に連鎖移動剤や分子量調整剤を添加することもできる。これらの連鎖移動剤や分子量調整剤は、スチレン重合体製造において公知の連鎖移動剤や分子量調整剤から選ぶことができる。これらの具体的化合物として、四塩化炭素等の有機ハロゲン化合物、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン化合物、α−メチルスチレンダイマー等のベンゼン環に対するα位炭素に活性水素を有する炭化水素化合物が挙げられる。最も好ましい化合物はα−メチルスチレンダイマーである。
該スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造は、無溶媒もしくは少量の有機溶媒を使用して実施される。好ましい有機溶媒は、得られるスチレン系重合体を溶解可能で、重合反応時のラジカルに対する反応性が低く、且つ重合後に溶媒の加熱除去が容易な有機化合物から選ばれる。この好ましい例としてC6〜C10の芳香族炭化水素化合物および環状の脂肪族炭化水素化合物が挙げられる。具体的にはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびこれらの混合溶媒等が挙げられる。また、一部に鎖状の脂肪族炭化水素を含んでいても構わない。
該スチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造においては、主たる重合温度を70〜150℃の範囲で実施することが好ましい。主たる重合温度とは、得られる重合体の少なくとも50重量%、好ましくは70重量%、特に好ましくは90重量%の重合が進行する温度を意味する。更に好ましくは80〜140℃、特に好ましくは90〜130℃の温度範囲である。
該スチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、15万〜55万の範囲である。好ましくは18万〜50万の範囲、特に好ましくは20万〜45万の範囲である。
スチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が15万未満では、得られるスチレン系重合体樹脂の強度性能、特に引き裂き強度、引張強度が著しく低下して、好ましくない。また、該スチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が55万を越えると、得られるスチレン系樹脂組成物の成型加工性が著しく低下して、やはり好ましくない。
重量平均分子量/数平均分子量の比は好ましくは1.5〜3.9範囲、特に好ましくは1.8〜3.2範囲である。分子量分布が余りに狭いと、スチレン系樹脂組成物の加工性、特にフィルムおよびシートの高倍率の延伸加工が困難となり好ましくない。分子量分布が余りに広いと、スチレン系樹脂組成物の強度性能、例えば引張り破断強度や表面硬度が低下して好ましくない。
また、MFR(ISO R1133に準拠して測定(条件:200℃、荷重5kgf))は1〜20g/10分の範囲が好ましく、2〜15g/10分の範囲が特に好ましい。この範囲内に設定することにより、スチレン系重合体を成形して得られるシートおよびフィルム、更に二次加工して得られる成形品の厚み斑が少なくなる。また、低温での高延伸倍率の加工が容易となり、強度性能にも優れていて好ましい。
該スチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる共反応環状トリマーとは、スチレン系結合単位と(メタ)アクリル酸エステル結合単位を分子中に少なくとも各1単位有し、テトラリン骨格を有するトリマーである。この主な化合物として、(メタ)アクリル酸エステルがアクリル酸のアルコールエステルである場合を例にすると、1−フェニル−4−[1−(アルコキシカルボニル)エチル]テトラリン、1−フェニル−4−[2−(アルコキシカルボニル)エチル]テトラリン、1−フェニル−4−[1−(アルコキシカルボニル)エチル]テトラリン、1−(1−フェニルエチル)−4−(アルコキシカルボニル)テトラリン、1−アルコキシカルボニル−4−[1−(アルコキシカルボニル)エチル]テトラリン、および1−アルコキシカルボニル−4−[2−(アルコキシカルボニル)エチル]テトラリンが挙げられる。
特に、(メタ)アクリル酸エステル結合単位がアクリル酸ブチル結合単位である場合の、共反応環状トリマーの主な具体例として、1−フェニル−4−[1−(n−ブトキシカルボニル)エチル]テトラリン、1−フェニル−4−[2−(n−ブトキシカルボニル)エチル]テトラリン、1−フェニル−4−[1−(n−ブトキシカルボニル)エチル]テトラリン、1−(1−フェニルエチル)−4−(n−ブトキシカルボニル)テトラリン、1−n−ブトキシカルボニル−4−[1−(n−ブトキシカルボニル)エチル]テトラリン、および1−n−ブトキシカルボニル−4−[2−(n−ブトキシカルボニル)エチル]テトラリンが挙げられる。
共反応環状トリマーの好ましい含有量は1, 000〜10,000ppmの範囲である。更に好ましくは1,000〜6,500ppmの範囲である。共反応環状トリマー量を1,000ppm以上にすることによって、スチレン系重合体樹脂の熱安定性および加工安定性が顕著に改善し、スチレン系樹脂組成物のリワークを容易、且つ成形の加工条件幅を大きく拡大できる等、実用的効果は極めて大きい。しかし、共反応環状トリマーの含有量が極度に多いと、スチレン系樹脂組成物のシートおよびフィルム等の自然収縮や強度性能の低下、更には成形時の金型やダイの汚染を来して好ましくない。
また、該スチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれるスチレン系結合単位のみから成る環状スチレントリマーは、好ましくは3,000ppm以下、更に好ましくは2,000ppm以下、特に好ましくは1,000ppm以下である。環状スチレントリマーが多いと耐熱安定性や加工安定性が低下傾向にあり好ましくない。
該スチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合体のビカット軟化温度で定義する軟化温度は好ましくは50〜108℃の範囲である。更に好ましくは55〜100℃の範囲、特に好ましくは60〜90℃の範囲である。ビカット軟化温度は、ASTM―D1525法に準じて荷重1kg、昇温スピード20℃/分で測定される。
軟化温度が余りに低いと、得られるスチレン系樹脂組成物の延伸シートおよびフィルムの自然収縮率が大きくなり、また強度が低下して好ましくない。一方、軟化温度が余りに高いと、得られるスチレン系樹脂組成物の柔軟性が低下して脆くなり、また低温加工性が著しく低下する。加工温度を高くすれば、シーティングや延伸およびこれらの二次成形加工は可能となるが、加熱時の適正温度幅が狭くなり、加工操作が難しくなり好ましくない。
本発明のスチレン系樹脂組成物を構成する(B)成分は結晶性エステル重合体である。該結晶性エステル重合体とは、具体的には主鎖の繰り返し単位中にカルボン酸エステル基をもつ、結晶性を有するヘテロ鎖高分子化合物である。特に好ましい結晶性エステル重合体は、アルキレンジオールとフタール酸を主構成単位とする重合体である。
該結晶性エステル重合体を構成する単量体単位は、好ましくは酸成分としてはテレフタール酸を主成分とする。また、必要により他のジカルボン酸化合物、例えばイソフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびこれらの誘導体類より選ばれる少なくとも1種の化合物を50モル%未満含んでいてもよい。ナフタレンジカルボン酸類としては、例えば2,6−、1,5−、2,7−および1,4−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。好ましくは5〜40モル%、特に好ましくは10〜30モル%の範囲で含むものである。特に好ましい、他のジカルボン酸化合物はイソフタール酸である。
アルキレンジオール(二価のアルコール)成分としては、好ましくはエチレングリコールを主成分とする。また同様に、必要によりエチレングリコール以外のアルキレンジオール、シクロアルキレングリコール類を含んでいてもよい。その具体的なアルキレングリコールとは、例えばエチレングリコールの誘導体(例えばポリエチレングリコール等)、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよびヘキサメチレングリコール等より選ばれる1種である。シクロアルキレングリコール類とは、例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
これらのエステル重合体はバッチあるいは連続プロセスの縮合重合法によって得られる。
該エステル重合体は結晶性を有する重合体であることが好ましい。一般に、重合体の結晶化度はその熱履歴で大きく異なる。熱履歴の異なる重合体の結晶化度の差異は、必ずしも重合体の本質的特性を示すものではない。本発明で規定する結晶化度は、重合体を十分アニ−ルして結晶化し得る結晶化度である。更に好ましい結晶化度は3〜50%、特に好ましくは10〜40%の範囲である。
該エステル重合体の結晶化度が余りに高いと、得られるスチレン系樹脂組成物の結晶化速度が大きくなり、結晶成長を抑制しての成形加工が困難になり、得られる成形体の透明性が著しく低下して好ましくない。また、結晶化度が余りに低いと、得られるスチレン系樹脂組成物の物理的性能、特に耐薬品性が低下して好ましくない場合がある。
エステル重合体の分子量は、その極限粘度(パラクロルフェノール溶媒を用いて、80℃で測定)の値で、好ましくは0.2〜4、更に好ましくは0.5〜2.5、特に好ましくは0.65〜1.8の範囲である。分子量が余りに低いと、得られるスチレン系樹脂組成物の強度特性が低下して好ましくない。また、余りに高いと得られるスチレン系樹脂組成物の加工性が著しく低下し、また重合体成分の混合分散性が低下して好ましくない。 本発明のスチレン系樹脂組成物を構成する(C)成分は、スチレン系ブロック共重合体である。該スチレン系ブロック共重合体は、少なくとも二つのスチレン系ブロックと、少なくとも一つの共役ジエン系重合体ブロックを有する重合体である。
具体的なスチレン−共役ジエンブロック共重合体のブロック構造は、例えば一般式(1)〜(3)で表される直鎖ブロック共重合体および一般式(4)〜(7)で表されるラジアル状ブロック共重合体である。
(E−F)n E (1)
(E−F)m (2)
(F−E)m F (3)
[(E−F)n m −X (4)
[(F−E)n+1 m −X (5)
[(E−F)n −E]m −X (6)
[(F−E)n −F]m −X (7)
(式中、Eはスチレン結合単位を主成分とし、数平均分子量5,000〜200,000の範囲のブロックであり、各Eは同一構造でも、異なった構造であっても構わない。Fは共役ジエン結合単位を主成分とし、数平均分子量10,000〜500,000の範囲のブロックであり、各Fは同一構造でも、異なった構造であっても構わない。Xは多官能のカップリング剤、nは1〜3、mは2〜4の整数を表す。また、本発明の趣旨からして、F−X−FおよびE−X−Eのブロック連鎖構造は、他のブロックで分割されているわけではなく、本ブロック分子量規定においては1つのブロックと考える。)
また、該スチレン−共役ジエンブロック共重合体は、上記のブロック構造規定に該当しない不完全なブロック重合体、例えばEの単独重合体、Fの単独重合体、あるいはE−Fジブロック共重合体等を、本発明の効果を阻害しない範囲で、少量含んでいても構わない。またEブロックとFブロックとの間に、共重合組成の順次変化する傾斜部分を含んでいても構わない。
Eブロックはスチレン結合単位を主成分とするブロックであるが、少量の共重合可能な他の単量体、例えばスチレン以外のビニル芳香族化合物または共役ジエン類から成る結合単位を含んでいても構わない。
Fブロックは共役ジエン結合単位を主成分とするブロックであるが、少量の共重合可能な他の単量体、例えばビニル芳香族炭化水素から成る結合単位を少量含んでいても構わない。最も好ましい共役ジエンはブタジエンおよび/またはイソプレンである。
該スチレン−共役ジエンブロック共重合体におけるスチレン系結合単位の含有率は40〜95重量%の範囲であり、共役ジエン結合単位の含有率は60〜5重量%の範囲である。更に好ましいスチレン系結合単位の含有率は50〜90重量%、特に好ましくは60〜85重量%の範囲であり、残余の成分は共役ジエン結合単位である。ここに、スチレン結合単位とはスチレンおよびその他のビニル芳香族化合物から成る結合単位の和である。
該スチレン−共役ジエンブロック共重合体の重量平均分子量は4万〜40万の範囲である。好ましくは5万〜30万、更に好ましくは6万〜20万の範囲である。
分子量が低過ぎると、得られるスチレン系樹脂組成物の機械的強度が低下して好ましくない。また分子量が高過ぎると加工性や、重合体成分の混合分散性が低下して、均一なスチレン系樹脂組成物が得られず、好ましくない。
該スチレン−共役ジエンブロック共重合体は公知の方法により製造できる。例えば、炭化水素溶媒中で、有機リチウム開始剤を用い、バッチプロセスあるいは連続重合プロセスで、スチレン系単量体および共役ジエン単量体を順次ブロック共重合することにより得られる。または共重合後、リチウム活性末端をカップリング反応することによりラジアル構造にブロック共重合体化することもできる。スチレン−共役ジエンブロック共重合体の具体的製造法としては、例えば、特公昭45−19388号公報、特公昭47−43618号公報の技術を挙げることができる。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、(A)、(B)および(C)の重量組成比が下記の範囲になければ成らない。
0.01≦B/(A+B)<0.1
0≦C/(A+B+C)<0.7
ここに、(A)成分のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、スチレン系構成単位と(メタ)アクリル酸エステル構成単位から成る共重合体であり、(B)成分のエステル重合体とは、アルキレンジオールとフタール酸を主構成単位とする重合体であり、(C)成分のスチレン系ブロック共重合体とは、少なくとも二つのスチレン系ブロックと、少なくとも一つの共役ジエン系重合体ブロックを有する重合体ある。
好ましい(B)成分の含有量は0.03≦B/(A+B)<0.1の範囲であり、好ましい(C)成分の含有量は0.1≦C/(A+B+C)<0.5の範囲である。
B/(A+B)が0.01未満では物理的性能、特に耐薬品性の改良効果が十分発現せず、B/(A+B)が0.6以上だと、加工性、フィルム光沢および透明性が低下して好ましくない。(C)成分を混合することは得られるスチレン系樹脂組成物の物理的性能、特に成形品の伸び特性を向上させ、フィルムの延伸性能が向上する。しかし、余りに多すぎると得られる延伸フィルムの腰が低下し、また延伸フィルム貯蔵時に自然収縮を起こしやすくなり好ましくない。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(B)エステル重合体、更に必要により(C)スチレン系ブロック共重合体から構成されるが、必ずしもこれに限定するものではない。透明性を保持できる範囲で、他の重合体を混合することもできる。具体的にはスチレン重合体、あるいはスチレンと共重合可能な単量体との共重合体、耐衝撃性ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、各種石油系樹脂等が挙げられる。
また、スチレン系樹脂において使用が一般的な各種添加剤を、公知の作用効果を達成するために添加することもできる。例えば安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、可塑剤、染料、顔料、各種充填剤等を、同様な効果を達成するために添加することができる。
更にフィルムに使用する場合、フィルム用途で一般的な添加剤である帯電防止剤、防曇剤、無機微粉体等を混合してもよい。
酸化防止剤として、フェノール系またはフェノールアクリレート系〔例えば:2−tert−ブチル−6(3′−tert−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートおよびこれ等の誘導体がある〕が好ましい。上記化合物に加え燐系の酸化防止剤〔例えば:トリ(2,4−ジ−tert−ブチル)−フェニルフォスファイト,トリ(4−ノニル)−フェニルフォスファイト等〕を使用するのがより好ましい。更に上記2種のタイプに加え、イオウ含有系の酸化防止剤を加えるのが良い場合がある。またこれ等はそれぞれ単独に使用しても良いし、組み合わせても良い。
各酸化防止剤の添加量は、混合樹脂100重量部に対してそれぞれ0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜3.0重量部、より好ましくは0.1〜2.0重量部、更に好ましくは0.2〜1.0重量部である。0.01重量部未満では樹脂の熱劣化(例えば、架橋や分子量低下等)の防止効果が発現せず、また5.0重量部を超える分散不良、強度低下、透明性の低下、コスト高等の問題が起こり、好ましくない。
帯電防止剤としてはアミン系、アミド系のものが好ましく利用できる。例えばアミン系としてヒドロキシエチルアルキルアミンおよびその誘導体、アミド系としてはヒドロキシエチル脂肪酸アミドおよびその誘導体等が特に好ましく利用できる。
帯電防止剤の添加量は、樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3. 0重量部、より好ましくは0.4〜2.0重量部である。0.1重量部未満では帯電防止効果が現れ難いし、5重量部を超えると成型体表面の光沢が失われ、印刷適性が低下を来す等の問題がある。
また、可塑剤としてはDOP、DOA、ATBC、DBS等の酸エステル類、ミネラルオイルの様な流動パラフィン類を0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%加えても良い。
本発明のスチレン系樹脂組成物において、各重合体成分の混合方法は特に規定しない。各種の樹脂加工機器、例えばニーダー、バンバリーミキサー、押出し機を用いた機械的混合、溶媒に溶かして、あるいは重合体製造時に重合体溶液での溶液混合が利用できる。
本発明のスチレン系樹脂組成物の好ましいビカット軟化温度は50〜108℃の範囲である。更に好ましくは55〜100℃の範囲、特に好ましくは60〜90℃の範囲である。 例えば熱収縮フィルム用途では、低温での収縮性を重視する場合、ビッカット軟化温度は70℃程度のものが良好である。また比較的高温での収縮性を必要とする場合は90℃程度のものが良好である。実際には使用条件に合わせて、最適なビカット軟化温度の重合体樹脂を選ぶのが好ましい。
軟化温度が余りに低いと、延伸シートおよびフィルムを常温保管中に寸法変化や、収縮力の低下現象等が発生するため実用的でない。一方、軟化温度が余りに高いと、重合体の柔軟性が低下して脆くなり、また低温加工性が著しく低下する。この場合加工温度を高くすれば、シーティングや延伸およびこれらの二次成形加工は可能となるが、適正温度幅が狭く、加工操作が難しくなり好ましくない。
本発明のスチレン系樹脂組成物の2mm厚平板に成形しての全光線透過率は75%以上である。好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上である。本発明のスチレン系樹脂組成物の大きな目的は透明樹脂の提供にある。全光線透過率が75%未満では、透明樹脂用途に使用出来ない。
優れた透明性を発現するには、(A)〜(C)の各重合体成分が微分散していること、および重合体各成分の屈折率が近いことが望まれる。特に重合体の(A)成分および(B)成分の分散粒子系は、重量平均の長径は好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm、特に好ましくは1μm以下である。また、各成分の屈折率の差異は好ましくは0.01以下、更に好ましくは0.005以下、特に好ましくは0.002以下である。屈折率の差は重合体の(A)成分、(B)成分および(C)成分を構成する単量体種および単量体組成により調整できる。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、好ましい用途例として熱収縮フィルムが挙げられる。熱収縮フィルムはシートあるいはフィルムに成形後、延伸して得られる。本発明ではその特性およびフィルム製法を限定するものではないが、一般的な熱収縮フィルムの延伸倍率は主延伸方向に2.0〜10.0倍、好ましくは2.5〜8.0倍で、同様に対直角方向には1.1〜2.5倍、好ましくは1.2〜2.0倍の範囲である。また好ましい延伸倍率比は前者/後者比で1.8〜9.1、より好ましくは2.0〜6.7の範囲である。該スチレン系樹脂組成物の軟化温度にも依存するが、延伸温度は一般に60〜150℃の範囲である。好ましくは70〜120℃の範囲である。
本発明の熱収縮フィルムは落錘衝撃強度が少なくとも5kg・cmであることが、実用上必要で、好ましくは10kg・cm以上、より好ましくは20kg・cm以上、更により好ましくは30kg・cm以上である。5kg・cm未満では、包装機械で繰り出した(引張り)時にフィルム切れが発生し好ましくない。
熱収縮フィルムの層構造も特に限定するものではない。本発明のスチレン系樹脂組成物は、単層フィルムあるいは多層フィルムの少なくとも1層として利用することができる。その場合、同種(本発明のスチレン系樹脂組成物)を組み合わせた多層フィルム、または異種(本発明のスチレン系樹脂組成物以外のもの)との組み合わせによる多層フィルムの少なくとも1層(表層あるいは内部層)として利用しても良い。フィルムの厚みは、その用途により異なるが通常5〜800μで、好ましくは10〜500μ、より好ましくは20〜300μの範囲である。
熱収縮フィルムへの成形加工方法は特に限定するものではない。同時2軸や逐次2軸など一般的に使用されている設備、例えばテンター延伸法、バブル延伸法、ローラー延伸法等で代表される延伸成膜設備等での延伸加工が利用できる。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、シートおよびフィルムあるいはこれらを、更に二次加工して、各種包装、容器材料、熱収縮ラベル材料に特に好ましく使用できる。しかし、本発明のスチレン系樹脂組成物の用途はこれらに限定するものではない。本発明のスチレン系樹脂組成物の特長を発揮できる各種用途に使用することもできる。例えば、射出成形やインジェクションブロー成形等から成る食品容器、日用品、雑貨、OA機器部品、弱電部品等に使用することもできる。
本発明の態様を実施例により具体的に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に、限定するものではない。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体として、表1に構造および特性を記載するPSA−1〜6の重合体を用いた。エステル重合体として、表2に構造および特性を記載したPET−1〜5の重合体を用いた。スチレン系ブロック共重合体として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBBC−1:スチレン成分=72重量%、F−E−F−Eの直鎖状テトラブロック型、重量平均分子量10.2万なる重合体、SBB−2:スチレン成分=71重量%、(E−F−)3 Xの分岐ブロック型、重量平均分子量10.9万なる重合体)を用いた。尚、表2〜4中の(A)〜(C)成分の%、wt%は重量%を示す。
[実施例1〜14および比較例1〜6]
1.実験条件
表3〜表4に記載の樹脂組成で、(A)〜(C)の成分、更に添加剤混合物(フェノールアクリレート系の酸化防止剤(2−tert−ブチル−6(3′−tert−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート)を0.3重量部、燐系の酸化防止剤(トリ(2,4−ジ−tert−ブチル)−フェニルフォスファイト)を0.1重量部、更に他の燐系の酸化防止剤(トリ(4−ノニル)−フェニルフォスファイト)を0.1重量部、アミン系の帯電防止剤(ヒドロキシエチルアルキルアミン)0.7重量部を含む)を添加して、ブレンダーにて混合した。この混合物を押出機中で220℃、(PET−4、PET−5を含む樹脂組成物は260℃で、)の温度で溶融・混合し、ペレット化した。このペレットを用い、射出成形したサンプルを射出成形した試験片を用いて引張強度、光学特性を評価した。
また、このペレットを用い、Tダイより押出し均一なシートに成形した。更に、該シートをロール延伸機を用い、90℃でMD方向(シート引出し方向)に1.6倍延伸した後、テンター延伸設備を用い、オーブン温度85℃でTD方向(ロール平行方向)に6.0倍に延伸して50μの逐次二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルム特性および樹脂特性ついて評価した。その結果を表3および表4に示す。
2.分析・測定手法
(1)重合体を構成する結合単位組成の解析方法
13C−NMRで測定し、それぞれの単量体の結合単位に起因するスペクトルピークの面積比より共重合組成を算出した。
(2)(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の含有する共反応環状トリマー量の測定
測定手法:
(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の溶液サンプルを、昇温ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。スチレントリマー(分子量312)のリテンションタイム付近にスチレントリマー以外に、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル単量体の単量体に起因するオリゴマー類のピークが多数検出された。
共反応環状トリマーの含有量は、各共反応環状トリマー類の面積を合計し、標準物質として1−フェニル−4−(1−フェニルエチル)テトラリンを用い、換算して求めた。
測定条件:
試料調製:樹脂1gをメチルエチルケトン/メタノール混合液(9/1容積比)20mlに溶解
測定機器:AGILENT製 6890
カラム固定相:5%ジフェニルジメチルポリシロキサン30m 内径0.25mm 膜厚0.25μm
オーブン温度:40℃−1分→20℃/分で昇温→320℃
注入口温度:200℃
キャリアガス:He 80ml/min
検出方法:FID
検出器温度:200℃
(3)(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量測定法
手法: ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)で測定し、単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成し、ポリスチレン換算して分子量を求めた。
測定条件:
試料調製:テトラヒドロフランに重合体約1,000ppmを溶解。
測定機器:昭和電工(株)製 Shodex21
サンプルカラム:KF−806L2本
リファレンスカラム:KF−800RL2本
カラム温度:40℃
キャリア液および流量:THF、1ml/min
検出器:RI、UV(波長254nm)
検量線:東ソー(株)製の単分散PS使用
データ処理:Sic−480
(4)(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のビカット軟化温度の測定方法
ASTM−D1525法に準じて荷重1kg、昇温速度20℃/分で測定。
(5)エステル重合体の極限粘度の測定方法
パラクロルフェノール溶媒を用いて、80℃で測定。
(6)エステル重合体の結晶特性(融点、結晶化度)の測定
結晶融点の50℃下の温度、または結晶性が殆どない場合は120℃で60分間アニ−ルした重合体を用い、示差熱分析計(DSC )で、昇温速度20℃/分で測定した。融点は吸熱のピーク温度とした。また、複数の吸熱ピークが認められる場合は、高温融点を採用した。
(7)スチレン系樹脂組成物の結晶特性(結晶化度)の測定
各実施例および各比較例で作成した押出シートの樹脂組成物を、アニール処理なしにDSCで測定した。
3.スチレン系樹脂組成物の性能評価方法
(1)光学特性の評価方法
2mm厚のプレートを射出成形し、全光線透過率を求めた。
◎:90%以上
○:85%以上、90%未満
△:75%以上、85%未満
×:75%未満
(2)フィルム加工特性の評価方法
厚さ0.25mmのシートを用いてビカット軟化温度+30℃、あるいはビカット軟化温度+30℃が125℃を超えるものは125℃を上限に加熱して、延伸機で二軸方向にそれぞれ2倍に延伸し、厚さ約60μmの延伸フィルムを10枚作成した。
得られた延伸フィルムの同じ位置に等間隔に印を付けた16点について、厚みの平均値を測定し、平均値より±5μmを越える測定点の割合が3割以上ある場合を厚み斑不良とした。これをフィルム10枚について行い、厚み斑不良が6枚以上の場を×、3〜5枚の場合を△、2枚以下の場合を○として、成形品の厚み斑の判定を行った。なお、フィルム10枚作成時に、延伸で破れたフィルムは厚み斑不良として数えた。
(3)引張破断強度の測定方法
厚さ0.25mmのシートを用いて、ASTMD882−67に準拠して測定した。
○:50〜70MPa
△:40〜50MPa
×:40MPa未満
(4)フィルム光沢の測定方法
延伸フィルムを用いて、JISK7105(60度光沢)に準拠して測定した。
○:80%以上
△:70%以上、80%未満
×:70%未満
(5)熱収縮特性の評価方法
0.5リットルのPETボトル(30℃の水が充填された、最大径61mm、高さ230mmの円筒状容器)に、筒状にした熱収縮フィルム(高さ70mm、筒とボトル最小径差(遊び)1.5mm)をセットしたもの、熱風式加熱装置で内温度135℃、滞留時間10秒で熱収縮させ、熱収縮したフィルムがボトルにフィット状態を評価した。
熱収縮させてボトルにセットされたフィルムを指先で円周方向に軽く回転させてその動きの程度をみる。(10個ずつ評価して1つでも下記のものがあればそのランクとする)。
○:ボトルとの間の隙間がない、または僅かに隙間のあるのもあるが、回転しない。
△:僅かに回転(1mm以内)する。
×:緩くてクルクル回転する。
(6)自然収縮率の測定
主延伸方向のフィルム長さL0 に対する30℃で10日間オーブン中に保管後の寸法L1 を用いて次式で計算し、寸法収縮率Lを求める。
フィルムの例えば流通時の保管状態(雰囲気温度、保管時間)によって、フィルムの寸法変化(収縮)はサイズが小さくなって容器にはまり難くなるなどのトラブルの原因になるので、寸法変化率は少ないことがフィルムの品質上重要である。
L(%)=(L0−L1)×100/L0
◎:1.0%未満
○:1.0〜2.0%未満
△:2.0〜5.0%未満
×:5.0%以上
(7)耐薬品性の評価方法
上記で得た二軸延伸フィルムを、イソプロピルアルコール/酢酸エチル=50/50重量比の溶液に5秒間浸漬した。その後1時間静置、乾燥した。浸漬前後のサンプルの引張強度を測定した。引張強度の保持を表に記載した。
○:保持率 85%以上。
△:保持率70〜85%の範囲。
×:保持率70%未満。
(8)樹脂性能の総合評価
測定評価の6項目の結果をもとに熱収縮性フィルムとしての総合判定を実施。判定基準は次の通り。
○最も良いレベル:各評価項目で◎または○。
△比較的良いレベル:△が2以下で、×がない。
×不合格レベル:△が3以上または×がある。
総合判定が○および△のランクにあるものは実用上合格のレベルである。
4.スチレン系樹脂組成物の性能評価結果の見方
(1)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル種の比較
実施例1〜6は、(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体および(B)エステル共重合体から成る組成物において、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル構造の比較評価結果である。
各種の単量体構成のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル重合体が、優れた樹脂性能を発現した。
(2)エステル重合体種の比較
実施例1、実施例7〜10は、(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(B)エステル共重合体および(C)スチレン系ブロック共重合体から成る組成物において、エステル重合体の結晶性差異の比較評価結果である。
用いたエステル重合体は結晶化度が0〜55%の範囲で、バランスに優れた樹脂性能を達成することを示す。特に結晶化度ゼロでは耐薬品性の低下、結晶化度が50%を超えると、光学特性や熱収縮フィルムの加工性の低下を来した。
(3)エステル重合体の組成比の比較(1)
実施例8、比較例1〜3は、(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体および(B)エステル重合体から成る組成物において、エステル重合体の組成量の評価結果である。
エステル重合体の組成量がゼロでは耐薬品性が著しく劣り、B/(A+B)が0.1を越えると、フィルム表面光沢が低下し、また透明性や熱収縮フィルムの低温加工性や熱収縮フィルム特性の低下を来した。
(4)エステル重合体の組成比の比較(2)
実施例12、比較例4および比較例5は、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エステル共重合体およびスチレン系ブロック共重合体から成る組成物において、エステル重合体の組成量の評価結果である。エステル重合体の組成量がゼロでは耐薬品性が著しく劣り、B/(A+B)が0.64では光学特性や熱収縮フィルムの光沢、低温加工性や熱収縮フィルム特性の低下を来した。
(5)スチレン系ブロック共重合体組成比の比較
実施例3、実施例11〜13および比較例6は、(A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(B)エステル共重合体および(C)スチレン系ブロック共重合体から成る組成物において、スチレン系ブロック共重合体の組成量の評価結果である。
スチレン系ブロック共重合体の組成比 C/(A+B+C)が0〜0.7の範囲で、優れた樹脂性能を達成する。特に0.1〜0.5の範囲は、ゼロの場合に秘して低温加工性の向上が認められた。
Figure 2005060597
Figure 2005060597
Figure 2005060597
Figure 2005060597
本発明のスチレン系樹脂組成物は、優れた耐薬品性、透明性、バランスに優れた物理的性能および加工性を併せて有するものである。その特徴を生かせる各種樹脂材料としての用途、特に熱収縮フィルム用樹脂材料として好ましく利用できる。

Claims (11)

  1. (A)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
    (B)結晶性エステル重合体
    (C)スチレン系ブロック共重合体
    から成り、上記(A)、(B)および(C)の重量組成比が下記の範囲にある、透明成形体成形用のスチレン系樹脂組成物
    0.01≦ B/(A+B) <0.1
    0≦ C/(A+B+C) <0.7
    ここに、(A)成分のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、スチレン系構成単位と(メタ)アクリル酸エステル構成単位から成る共重合体であり、
    (B)成分の結晶性エステル重合体とは、主鎖の繰り返し単位中にカルボン酸エステル基をもち、結晶性を有するヘテロ鎖高分子化合物であり、
    (C)成分のスチレン系ブロック共重合体とは、少なくとも二つのスチレン系ブロックと、少なくとも一つの共役ジエン系重合体ブロックを有する重合体である。
  2. (B)成分の結晶性エステル重合体がアルキレンジオールとフタール酸を主構成単位とする重合体であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. (B)成分の結晶性エステル重合体の結晶化度が3〜50%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスチレン系樹脂組成物。
  4. (A)成分のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、下記(a)から(c)項の特徴を有する請求項1ないし3の何れか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
    (a)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する単量体単位が、スチレン系単量体60〜97重量%および(メタ)アクリル酸エステル単量体単位3〜40重量%の範囲にあり、
    (b)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が15万〜55万の範囲にあり、
    (c)スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のビカット軟化温度が50〜108℃の範囲にある。
  5. (A)成分のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルがアクリル酸ブチルであることを特徴とする1ないし4の何れか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  6. (A)成分のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を分子中に少なくとも各一単位含有する共反応環状トリマーを1,000〜10,000ppmの範囲で含有することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  7. (B)成分の結晶性エステル重合体を構成するアルキレンジオール成分がエチレングリコールであることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  8. (B)成分の結晶性エステル重合体を構成するフタール酸類がテレフタール酸およびイソフタール酸から成り、全フタール酸に対するイソフタール酸含有率が5〜30モル%の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  9. 2mm厚平板に成形しての全光線透過率が75%以上であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  10. 請求項1ないし9の何れか1項に記載のスチレン系樹脂組成物を成形して成る透明成形体。
  11. 請求項1ないし9の何れか1項に記載のスチレン系樹脂組成物をシート状に成形、更に少なくとも1軸に延伸加工して成る熱収縮フィルム。
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