JP2005059614A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】サスペンションスプリングの保持位置を制御することにより、車両の姿勢を制御する。
【解決手段】ローリングが生じると、連通状態切換装置90により、左右の液圧発生装置40,42の一方の上側液圧室58と他方の下側液圧室60とが互いに連通させられる。下側液圧室60から上側液圧室58に作動液が供給されて、スプリング保持部材56が下方へ移動させられ、車体側部材12が車輪側部材10に接近させられる。左側、右側のいずれにおいても、車高を低くすることができ、車両の走行安定性を向上させることができる。また、ピッチングが生じると、下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられる。左右輪に加わる荷重が同じである場合には、作動液の流れが生じることがなく、車高の姿勢の変化を抑制し、ピッチングを抑制することができる。
【選択図】図1
【解決手段】ローリングが生じると、連通状態切換装置90により、左右の液圧発生装置40,42の一方の上側液圧室58と他方の下側液圧室60とが互いに連通させられる。下側液圧室60から上側液圧室58に作動液が供給されて、スプリング保持部材56が下方へ移動させられ、車体側部材12が車輪側部材10に接近させられる。左側、右側のいずれにおいても、車高を低くすることができ、車両の走行安定性を向上させることができる。また、ピッチングが生じると、下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられる。左右輪に加わる荷重が同じである場合には、作動液の流れが生じることがなく、車高の姿勢の変化を抑制し、ピッチングを抑制することができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、車両の姿勢を制御可能なサスペンションシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、(a)右側車輪と左側車輪とのそれぞれについて、車輪側部材と車体側部材との間に設けられた少なくとも2つの液圧シリンダと、(b)それら液圧シリンダの各々と隔たった位置に設けられた少なくとも2つのスプリングと、(c)それらスプリング各々の弾性力によって、液圧を発生させる1つの液圧室を備えた少なくとも2つの液圧発生装置と、(d)それら2つの液圧シリンダの液圧室を互いに接続するとともに、前記液圧シリンダの液圧室と液圧発生装置の液圧室とを互いに接続する接続装置とを含む車両用サスペンションシステムが記載されている。
この車両用サスペンションシステムにおいて、ローリングが生じると、液通路によって、2つの液圧シリンダの高圧側の液圧室同士、低圧側の液圧室同士が接続されるとともに、車輪側部材と車体側部材との間の距離が小さくなった側(車高が低くなった側)の液圧発生装置の液圧室に高圧側の液圧室が連通させられ、車輪側部材と車体側部材との間の距離が大きくなった側(車高が高くなった側)の液圧発生装置の液圧室に低圧側の液圧室が連通させられる。したがって、車高が低くなった側のスプリングが収縮されて、スプリングが伸長しようとする方向の弾性力が大きくなり、車高が高くなった側のスプリングが伸長されて、縮もうとする方向の弾性力が大きくなる。それによって、ローリングを抑制することができるのであり、車両の姿勢を水平に近づけることができる。
【特許文献1】
特開2002−356107号
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
本発明は、少なくとも2つの車輪について設けられた液圧発生装置の液圧室同士を接続することにより、車両の姿勢を制御することを課題とする。この課題は、車両用サスペンションシステムを、下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0004】
(1)項が請求項1に対応し、(2)項が請求項2に対応し、(4)項〜(7)項が請求項3〜7に対応し、(10)項が請求項8に対応する。
【0005】
(1)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたスプリングと、
そのスプリングの一端部を保持するスプリング保持部材と、車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方に軸方向に相対移動不能に設けられたハウジングと、そのハウジングに軸方向に相対移動可能に嵌合され、前記スプリング保持部材と軸方向に相対移動不能に係合させられたピストンとを含み、そのピストンの上側および下側に設けられた2つの液圧室のうちの少なくとも一方に、前記スプリングの弾性力に応じた液圧を発生させる液圧発生装置と、
前記少なくとも2つの液圧発生装置を、前記2つずつの液圧室同士の連通状態を変更可能な状態で接続する接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、前記車両の姿勢を制御する姿勢制御装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、車輪側部材と車体側部材との間にスプリングが設けられるが、そのスプリングは、一端部において車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方に保持され(車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方と軸方向に相対移動不能に設けられた部材に保持される場合も含む)、他端部においてスプリング保持部材に保持される。車輪側部材と車体側部材との他方にハウジングが保持され、そのハウジングにピストンが液密かつ軸方向に相対移動可能に嵌合され、そのピストンに上記スプリング保持部材が軸方向に相対移動不能に係合させられる。すなわち、スプリング保持部材は、車輪側部材と車体側部材との他方に、一直線に沿って相対移動可能に設けられるのである。
ハウジングが、車輪側部材に設けられ、スプリングが、車体側部材と、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合されたピストンに相対移動不能に係合させられたスプリング保持部材との間に設けられた場合において、2つずつの液圧室同士が接続装置により互いに接続されるが、単純化のために、その接続装置が2つずつの液圧室同士を互いに遮断し、各液圧室を他の液圧室と連通しない独立状態にしている場合について考える。なお、ハウジングが、車体側部材に設けられ、スプリングが車輪側部材とスプリング保持部材との間に設けられた場合においては、以下の説明において、下側の液圧室を上側の液圧室と読替え、上側の液圧室を下側の液圧室と読み替えればよい。
この状態では、液圧発生装置の各々において、車輪に加わる荷重とスプリングの弾性力とが釣り合う状態にあり、ピストンの下側の液圧室には、スプリングの弾性力に応じた液圧が発生させられる。ピストンの上側の液圧室に発生する液圧は、大気圧または一定の大きさである。
荷重の増加により、車輪側部材と車体側部材との間の相対距離が小さくなると、スプリングの弾性力が大きくなり、下側の液圧室の液圧も大きくなる。上側の液圧室の液圧は、車輪側部材と車体側部材との間の相対距離が変わっても一定である。このように、荷重が増加すると、上側の液圧室の液圧が一定の状態で下側の液圧室の液圧が高くなるのであり、下側の液圧室の液圧が上側の液圧室の液圧に対して相対的に高くなったことになる。
荷重の減少により、車輪側部材と車体側部材との間の相対距離が大きくなると、スプリングの弾性力が小さくなり、下側の液圧室の液圧も小さくなる。荷重が減少すると、上側の液圧室の液圧が一定の状態で下側の液圧室の液圧が低くなるのであり、上側の液圧室の液圧が下側の液圧室の液圧に対して相対的に高くなったことになる。
このように、少なくとも2つの液圧発生装置が互いに独立であり、ピストンの上側の液圧室、下側の液圧室が互いに独立である場合には、車輪に加わる荷重が変化しても、スプリング保持部材が移動することはなく、荷重の変化に起因してスプリングの弾性力が変化し、上側の液圧室と下側の液圧室との液圧差が変化させられる。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、接続装置によって、少なくとも2つの液圧発生装置の2つの液圧室同士がそれぞれ接続されるが、2つずつの液圧室の間の連通状態が変更される。
例えば、接続装置によって2つの液圧発生装置が接続される場合において、下側の液圧室同士、上側の液圧室同士が連通させられれば、一方の液圧発生装置においてピストンおよびスプリング保持部材が下降すれば、他方の液圧発生装置においてピストンおよびスプリング保持部材が上昇する。例えば、2つの液圧発生装置が、前側あるいは後側の左右2輪に対応して設けられた場合には、ローリングに対する抑制機能はないのであるが、2つの液圧発生装置を介して支持されている車体の左右方向の中央の高さは不変に保たれるため、ピッチングは抑制される。
また、一方の液圧発生装置の下側の液圧室と他方の液圧発生装置の上側の液圧室とが連通させられた場合には、一方の下側の液圧室から他方の上側の液圧室に向かって作動液が供給されるため、スプリング保持部材がハウジングに対して下方へ移動する。荷重が一定である場合にはスプリングの長さも一定であるため、スプリング保持部材の移動に伴ってスプリングの一端部が保持された車輪側部材と車体側部材との一方が移動させられる。それによって、車輪側部材と車体側部材との間の相対距離が小さくなり、車高が低くなる。
さらに、2つの液圧発生装置の2つずつの液圧室が互いに遮断されて、2つの液圧発生装置が互いに独立にされれば、前述のように、それぞれの液圧発生装置において、車輪に加わる荷重の変化に起因してスプリングの弾性力が変化し、上側液圧室と下側液圧室との液圧差が変化する。しかし、この液圧差の変化が接続装置により他方の液圧発生装置に伝達されることはない。一方の液圧発生装置に対応する車輪についての荷重が一定で、他方の液圧発生装置に対応する車輪についての荷重が変化する場合には、他方の液圧発生装置に対応する車輪が上下方向に振動させられても、その影響が液圧発生装置および接続装置を介して他方の車輪に現れることはないのである。
このように、少なくとも2輪に対応する液圧発生装置の2つの液圧室をそれぞれ接続するとともに、これらの間の連通状態を変更すれば、車両の姿勢を制御することができる。
(2)前記接続装置が、前記少なくとも2つの液圧発生装置の2つの液圧室のうち液圧が相対的に高くなった方の液圧室同士を連通させるとともに、相対的に低くなった方の液圧室同士を連通させる第1状態と、前記2つずつの液圧室同士を互いに遮断する第2状態とに切り換え可能な連通状態変更装置を含む(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
連通状態変更装置の第1状態において、少なくとも2つの液圧発生装置において、液圧発生装置の2つの液圧室のうちの液圧が相対的に高くなった方の液圧室同士が連通させられるとともに、液圧が相対的に低くなった方の液圧室同士が連通させられる。
例えば、上記連通状態変更装置を含む接続装置によって接続された2つの液圧発生装置において、一方の液圧発生装置に対応する車輪の荷重が増加し、他方の液圧発生装置に対応する車輪の荷重が減少した場合には、相対的に液圧が高くなった液圧室同士として、一方の液圧発生装置の下側の液圧室と他方の液圧発生装置の上側の液圧室とが連通させられ、相対的に液圧が低くなった液圧室同士として、一方の液圧発生装置の上側の液圧室と他方の液圧発生装置の下側の液圧室とが連通させられる。一方の液圧発生装置の下側の液圧室から他方の上側の液圧室へ向かって作動液が流れ、他方の液圧発生装置の下側の液圧室から一方の上側の液圧室へ向かって作動液が流れる。いずれの液圧発生装置においても、スプリング保持部材が下方へ移動させられ、それに伴って車体側部材が車輪側部材に近づき、車高が低くなる。したがって、接続装置によって、左側の液圧発生装置と右側の液圧発生装置とが接続された場合において、ローリングが生じた場合に車高を低くするができ、それによって、走行安定性を向上させることができる。
また、接続装置によって接続される2つの液圧発生装置に対応する車輪の荷重が同様に増加した場合には、相対的に液圧が高くなった方の液圧室同士として下側の液圧室同士が連通させられ、相対的に液圧が低くなった方の液圧室同士としての上側の液圧室同士が連通させられる。この場合には、2つの車輪の荷重が同じであれば作動液の流れが生じることはなく、スプリング保持部材は移動しない。したがって、前側または後側の左右の液圧発生装置が接続装置によって接続される場合には、ピッチングが抑制される。
連通状態変更装置の第2状態において、2つの液圧発生装置の2つずつの液圧室同士が互いに遮断される。この場合には、一方の液圧発生装置の液圧差の変化が他方の液圧発生装置に伝達されることがない。一方の液圧発生装置に対応する車輪が上下方向に振動しても、他方の液圧発生装置に対応する車輪は上下方向に振動しないことが許容されるのであり、一方の車輪の上下方向の振動が液圧発生装置および接続装置を介して他方の車輪に伝達されることを回避することができる。
(3)前記連通状態変更装置が、前記少なくとも2つの液圧発生装置各々に対応して設けられ、2つの液圧室のうち、液圧が相対的に高くなった方の液圧を高圧側出力部に伝達するとともに、液圧が相対的に低くなった方の液圧を低圧側出力部に伝達する選択バルブと、少なくとも2つの選択バルブの高圧側出力部同士を接続する高圧側液通路および低圧側出力部同士を接続する低圧側液通路とを含む(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
選択バルブは、液圧発生装置毎に設けられ、2つの選択バルブの高圧側出力部同士、低圧側出力部同士が接続される。
選択バルブは、車両の定常状態において、2つの液圧室を高圧側出力部、低圧側出力部のいずれからも遮断する遮断状態にあるが、定常状態から2つの液圧室の一方の液圧が他方の液圧に対して相対的に高くなった場合には、一方の液圧室を高圧側出力部に連通させ、他方の液圧室を低圧側出力部に連通させる。したがって、これら2つの選択バルブによれば、2つの液圧室のうち、相対的に液圧が高くなった方の液圧室同士を連通させるとともに相対的に液圧が低くなった方の液圧室同士を連通させることができる。
車両の定常状態は、標準的な積載状態で、かつ、水平で平坦な路面に停止している状態、あるいは、定速で直進している状態をいう。
(4)前記接続装置が、前記連通状態を変更可能な連通状態変更装置を含み、前記姿勢制御装置が、前記少なくとも1つの液圧発生装置の液圧を前記連通状態変更装置に伝達する液圧伝達部を含み、その液圧伝達部によって伝達された液圧によって前記2つの液圧シリンダの間の連通状態を制御する(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の連通状態変更装置は、液圧発生装置の液圧に応じて作動させられ、連通状態を変更させるものである。連通状態変更装置は、いわゆる、パイロット式のメカバルブを含むものとすることができる。連通状態が液圧発生装置の液圧に基づいて変更可能とされることは、妥当なことである。
(5)前記接続装置が、前記少なくとも2つの液圧発生装置の間に設けられた1つ以上の電磁制御弁を有する連通状態変更装置を含み、前記姿勢制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁への供給電流を制御することにより、前記少なくとも2つの液圧発生装置の間の連通状態を制御する供給電流制御部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
連通状態変更装置は、1つ以上の電磁制御弁を有するものであり、電磁制御弁への供給電流の制御により、連通状態を制御する。連通状態変更装置は、電磁方向切換弁を含むものであっても、複数の電磁開閉弁を含むものであってもよい。また、これらに加えて可変絞り等の電磁流量制御弁を含むものとすることができる。
(6)前記姿勢制御装置が、前記接続装置の連通状態を、前記車両のローリングとピッチングとの少なくとも一方を抑制可能な状態とするロール・ピッチ抑制部を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
接続装置によって、前側、後側各々における左右輪の液圧発生装置が接続される場合に、ピッチングが生じた場合に、左右輪に対応する液圧発生装置の下側の液圧室同士、上側の液圧室同士が連通させられる。左右輪に加わる荷重が同じ場合にはスプリング保持部材の移動が阻止され、ピッチングを抑制することができる。また、ローリングが生じた場合には、左右輪の液圧発生装置の下側の液圧室と上側の液圧室とが互いに連通させられる。スプリング保持部材が下方へ移動させられ、車高が低くなる。それによって、ローリング時の車高を低くすることができ、ローリングし難くすることができる。
(7)前記姿勢制御装置が、さらに、前記接続装置の連通状態を、前記少なくとも2つの液圧発生装置のうちの1つ以上において前記車輪側部材と前記車体側部材とが相対移動しないで、別の1つ以上において前記車輪側部材と前記車体側部材とが相対移動することを許容する状態とする1輪上下動許容状態をとり得る(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
(8)当該車両用サスペンションシステムが、前記少なくとも2輪について、それぞれ、前記車輪側部材と前記車体側部材との間に設けられた液圧シリンダを含み、前記スプリングが、それぞれ、前記液圧シリンダと同心に設けられた(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、スプリングと液圧シリンダとが同心に設けられる。その結果、スプリングと液圧シリンダとの幅方向の配置スペースを狭くすることができる。
液圧シリンダは、例えば、ショックアブソーバを使用することができる。また、ショックアブソーバに限らず、車高調整用の液圧シリンダとすることもできる。
(9)前記液圧発生装置のハウジングが、概して円環状の筒状を成したもので、前記液圧シリンダの外周部に取り付けられ、前記スプリングが、それぞれ、前記車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方と、前記スプリング保持部材との間に設けられた(8)項に記載の車両用サスペンションシステム。
シリンダ型液圧発生部が液圧シリンダの外周部に取り付けられる。
(10)当該車両用サスペンションシステムが、前記少なくとも2輪について、それぞれ、前記車輪側部材と前記車体側部材との間に設けられた液圧シリンダを含み、前記スプリングが、それぞれ、前記液圧シリンダから隔たった位置に設けられた(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
液圧シリンダとスプリングとが、車両の幅方向または前後方向に隔たった位置に設けられる。液圧シリンダとスプリングとが同心に設けられる場合に比較して、車輪側部材と車体側部材との間の距離を短くすることができる。
【0006】
(11)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と前記車体側部材との間に設けられ、ハウジングおよびハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合されたピストンを含み、そのピストンの上側および下側が液圧室とされた液圧シリンダと、
それら少なくとも2つの液圧シリンダの2つの液圧室同士をそれぞれ接続するとともに、前記2つずつの液圧室同士の間の連通状態を変更可能な連通状態変更部を備えた接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、車両の姿勢を制御する姿勢制御装置と
を含み、前記連通状態変更部が、前記2つの液圧室のうちの相対的に液圧が高くなった方の液圧室同士を連通させるとともに、相対的に液圧が低くなった液圧室同士を連通させる第1状態と、前記2つずつの液圧室同士を互いに遮断する第2状態とに、前記少なくとも2つの液圧シリンダの液圧室のうちの少なくとも1つの液圧室の液圧によって切り換えられるものであることを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、少なくとも2輪について設けられた液圧シリンダの2つずつの液圧室同士の連通状態が連通状態変更部によって変更される。それによって、車両の姿勢を制御することができる。
本項に記載の車両用サスペンションシステムには、(1)項ないし(10)項の技術的特徴を採用することができる。
(12)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたスプリングと、
前記車輪側部材と前記車体側部材との間の距離の変化による前記スプリングの弾性力に応じた液圧を発生させる液圧発生装置と、
前記少なくとも2つの液圧発生装置を、それらの間の連通状態を変更可能な状態で接続する接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、前記車両の少なくとも1種類の姿勢変化を抑制する姿勢制御装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、例えば、ローリング、ピッチング、ヒービング、アーティキュレーション等の姿勢変化の少なくとも1つが抑制される。
本項に記載の車両用サスペンションシステムには、(1)項ないし(11)項の技術的特徴を採用することができる。
(13)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたスプリングと、
前記車輪側部材と前記車体側部材との間の距離の変化による前記スプリングの弾性力によって、液圧を発生させる液圧発生装置と、
前記少なくとも2つの液圧発生装置を接続する接続装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
少なくとも2つの液圧発生装置が接続されれば、互いに接続される液圧発生装置の間において、作動液の授受が行われたり、互いに液圧の影響を受けたりする。それによって、車両の姿勢を制御することが可能となる。2つの液圧発生装置の間の連通状態を変更することは不可欠ではなく、連通状態は一定であってもよい。
本項に記載の車両用サスペンションシステムには、(1)項ないし(12)項の技術的特徴を採用することができる。
(14)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたスプリングと、
そのスプリングの一端部を保持するスプリング保持部材と、車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方に軸方向に相対移動不能に設けられたハウジングと、そのハウジングに相対移動可能に嵌合され、前記スプリング保持部材に軸方向に相対移動不能に係合させられたピストンと、そのピストンの上側および下側に設けられた2つの液圧室とを含むスプリング保持装置と、
前記少なくとも2つのスプリング保持装置を、前記2つずつの液圧室同士の連通状態を変更可能な状態で接続する接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、前記車両の姿勢を制御する姿勢制御装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、少なくとも2つのスプリング保持装置のピストンの上側、下側の液圧室の連通状態の制御により、スプリング保持部材のハウジングに対する相対位置や相対移動を制御することができる。
本項に記載の車両用サスペンションシステムには、(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態である車両用サスペンションシステムについて図面に基づいて詳細に説明する。
車両の前後左右の各車輪に対応して、それぞれ、車輪側部材10と車体側部材12との間に液圧シリンダ14〜20が設けられる。液圧シリンダ14〜20は、本実施形態においてはショックアブソーバである。
ショックアブソーバ14〜20は、それぞれ、ハウジング30と、そのハウジング30に液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン32とを含み、ハウジング30が車輪側部材10に取り付けられ、ピストン32のピストンロッド34が車体側部材12に取り付けられる。ピストン32には上室37と下室38とを連通させる絞りを有する連通路39が形成される。車輪側部材10と車体側部材12との間の相対移動により、ピストン32がハウジング30に対して相対移動させられ、その相対移動速度に応じた減衰力が発生させられる。
【0008】
ショックアブソーバ14〜20の外周部には、それぞれ、液圧発生装置40〜46が設けられる。液圧発生装置40〜46は、概して円環筒状を成したものである。液圧発生装置40〜46は、それぞれ、円環筒状を成したハウジング52と、そのハウジング52に液密かつ摺動可能に嵌合された円環筒状のピストン54と、そのピストン54と一体的に上下方向に相対移動不能に取り付けられた円環状のスプリング保持部材56とを含む。スプリング保持部材56は、ハウジング52の外周側から突出した状態で取り付けられる。また、ピストン54の上側と下側は、それぞれ、液圧室58,60とされる。
スプリング保持部材56と車体側部材12との間には、それぞれ、サスペンションスプリング(単にスプリングと称する)70〜76が取り付けられる。車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離の変化により、スプリング70〜76に弾性力が発生させられる。下側の液圧室60には、その弾性力に応じた液圧が発生させられる。
【0009】
また、2つの液圧室58,60との間には、汲み上げ装置62が設けられる。汲み上げ装置62は、後述するように、液圧室58に作動液が供給されることにより車高が低くなった場合に、それに起因する不都合を是正するために設けられたものである。汲み上げ装置62によれば、車高を元の高さに戻すことができる。汲み上げ装置62は、ポンプ64,ポンプモータ65,逆止弁66,ダンパ67等を含む。ポンプ64は、上側の液圧室58から作動液を汲み上げて下側の液圧室60に供給するものであり、逆止弁66は、液圧室60からポンプ64への作動液の逆流を防止する。ダンパ67は、液圧室58から作動液を汲み上げることにより、液圧室58の液圧が負圧になることを防止するためのものである。
【0010】
スプリング70〜76は、車両の定常状態において、圧縮された状態で(弾性力が発生させられる状態で)取り付けられる。したがって、定常状態において、スプリング70〜76の弾性力は、その車輪に加わる荷重に応じた大きさになり、下側の液圧室60には、弾性力に応じた液圧が発生させられる。それに対して、上側の液圧室58には、ダンパ67によって決まる大きさの液圧に保たれる。本実施形態においては、上側の液圧室58にスプリング70〜76の弾性力に応じた液圧が発生させられることはない。
【0011】
車輪に加わる荷重が大きくなると、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が小さくなり、スプリング70〜76の弾性力が大きくなる。下側の液圧室60の液圧が高くなるのであり、下側の液圧室60の液圧が上側の液圧室58の液圧に対して相対的に高くなる。
車輪に加わる荷重が小さくなると、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が大きくなり、スプリング70〜76の弾性力が小さくなる。下側の液圧室60の液圧が低くなるのであり、上側の液圧室58の液圧が下側の液圧室60の液圧に対して相対的に高くなる。
なお、車両の定常状態における場合より、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が大きくなると、スプリング70〜76が伸ばされて、逆向きの弾性力が作用する状態で設けられる場合には、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が大きくなると、上側の液圧室58の液圧が高くなることもあり得る。
【0012】
本実施形態においては、ショックアブソーバ14〜20の各々について、ショックアブソーバ14〜20の本体30と車体側部材12との間に補助スプリング78a〜dが設けられる。補助スプリング78a〜dは、後述するように、液圧発生装置40、42の下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられた場合、液圧発生装置44,46の下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられた場合に、左右輪に加わる荷重の差に起因する姿勢の変化を抑制するものである。
【0013】
前側の左右2つの液圧発生装置40,42は接続装置80によって接続され、後側の左右2つの液圧発生装置44,46は接続装置82によって接続される。接続装置80は、連通状態切換装置90を含む。左側の液圧発生装置40と連通状態切換装置90とは液通路100,102によって接続され、右側の液圧発生装置42と連通状態切換装置90とは液通路104,106によって接続される。連通状態切換装置90は、図2に示すように、2つのメカ式のスプール弁108,110を含み、これら2つのスプール弁108,110が連通路111a,111bによって接続される。スプール弁108は左側液圧発生装置40用であり、スプール弁110は右側液圧発生装置42用である。スプール弁は、液圧発生装置各々に1対1に対応して設けられる。
【0014】
スプール弁108は、ハウジング112と、ハウジング112に相対移動可能に嵌合された可動部材としてのスプール114と、スプール114の両側に設けられたスプリング116,118とを含む。ハウジング112には、入力側の4つのポート122〜125、パイロット用ポート126、127、出力用の2つのポート130,131が設けられる。入力用ポートのうちポート122,123には、液圧室58が液通路100を介して接続され、ポート124,125には、液圧室60が液通路102を介して接続される。パイロット用ポート126には上側の液圧室58の液圧が伝達され、パイロット用ポート127には下側の液圧室60の液圧が伝達される。出力用の2つのポートのうちのポート130は高圧出力用ポートであり、ポート131は低圧出力用ポートである。
【0015】
スプール114の一方の端面には、スプリング116の弾性力と上側液圧室58の液圧に応じた力とが加わり、他方の端面には、スプリング118の弾性力と下側液圧室60の液圧に応じた力とが加わる。また、スプール弁108は、車両の定常状態(通常の積載状態において、平坦でほぼ水平な路面に停止している状態または定速直進走行している状態)において、スプール114が中立位置にあり、出力用ポート130,131と入力用ポート122〜125とが遮断された状態にある。また、上述のように、上側液圧室58の液圧は下側液圧室60の液圧より低い。これらの事情により、スプリング116のセット荷重は、スプリング118のセット荷重より大きくされている。
換言すれば、車両の定常状態において、上側液圧室58の液圧は下側液圧室60の液圧より低い状態にある。その状態において、スプール114は中立位置にある。スプール114の中立位置において、下側液圧室60の液圧が上側液圧室58の液圧に対して相対的に高くなれば、下側液圧室60の液圧が高圧側ポート130に伝達され、下側液圧室60の液圧が上側液圧室58の液圧に対して相対的に低くなれば、上側液圧室58の液圧が高圧側ポート130に伝達される。
なお、スプール弁108は、下側液圧室60の液圧の多少の変化では、切り換わることはなく、車両のローリング時、ピッチング時等のように大きな液圧の変化が生じた場合に切り換わるようにされている。
【0016】
スプール弁110についても同様に、ハウジング142と、ハウジング142に相対移動可能に嵌合された可動部材としてのスプール144と、スプール144の両側に設けられたスプリング146,148とを含み、ハウジング142には、入力側の4つのポート152〜155、パイロット用ポート156、157、出力用の2つのポート160,161が設けられる。入力用ポート152,153には液圧室58が液通路104を介して接続され、ポート154,155には、液圧室60が液通路106を介して接続される。また、パイロット用ポート156には液圧室58が接続され、パイロット用ポート158には液圧室60が接続される。出力用ポート160が高圧出力用ポートであり、ポート161が低圧出力用ポートである。スプリング146,148では、スプリング146の方がセット荷重が大きいものとされている。
なお、スプール弁108,110において、ハウジング112,142は一体的に設けてもよい。
【0017】
接続装置82は、接続装置80と構造が同じものであるため説明を省略する。また、作動についても、前輪側、後輪側で同じであるため、前輪側について説明し、後輪側についての説明を省略する。
車両の定常状態において、液圧発生装置40,42の各々において、下側の液圧室60の液圧が上側の液圧室58の液圧より高い。この状態で、スプール114,144は中立位置にあり、左右の液圧発生装置40,42が互いに遮断される。
例えば、ピッチングが生じ、左右前輪に加わる荷重が、両方とも増加した場合には、定常状態における場合と比較して、上側の液圧室58の液圧は同じであるが、下側の液圧室60の液圧が高くなる。
スプール弁108において、スプール114が図2右方へ移動させられ、入力用ポート124と出力用ポート130とが連通させられるとともに、入力用ポート123と出力用ポート131とが連通させられる。下側の液圧室60が高圧側出力用ポート130に連通させられ、上側の液圧室58が低圧側出力ポート131に連通させられる。
スプール弁110においても、スプール144が図2の右方へ移動させられ、入力用ポート154と出力用ポート160とが連通させられ、入力用ポート152と出力用ポート161とが連通させられる。下側の液圧室60室が出力ポート160に連通させられ、上側の液圧室58が出力ポート161に連通させられる。
したがって、図3に示すように、下側の液圧室60同士が連通させられるとともに、上側の液圧室58同士が連通させられることになる。その結果、左右輪に加わる荷重が同じである場合にはスプリング保持部材56の移動が阻止され、前輪側の左右輪それぞれにおいて車高が低くなることを抑制することができ、ピッチングを抑制することができる。また、左右輪の少なくとも一方における荷重の変化に起因して液圧発生装置40,42の下側液圧室60の間に液圧差が生じて作動液に流れが生じても、補助スプリング78a,bにより、荷重の変化に起因する車両の姿勢の変化を抑制することができる。
なお、補助スプリング78a〜dは不可欠ではない。本実施形態においては、スプリング70〜76がショックアブソーバ14〜20と並列に設けられたものであるため、ピッチングが生じた場合において、左右輪の少なくとも一方の僅かな荷重の変化に起因して下側液圧室60の間に液圧差が生じても、直ちに姿勢が変化するとは限らないが、不安定になるおそれがある。それに対して、補助スプリング78a〜dを車輪側部材12と車体側部材12との間に設ければ、下側液圧室60同士の連通状態においてスプリング保持部材56の位置が不安定になっても、それを抑制することができるのである。
ピッチングに限らず、ヒービングが生じた場合も同様であり、ヒービングを抑制することが可能となる。
【0018】
次に、ローリングが生じ、例えば、左側の車輪の荷重が小さくなり、右側の車輪の荷重が大きくなった場合を考える。左側の車輪の荷重が小さくなって、車輪側部材10と車体側部材12との間の距離が大きくなると、上側液圧室60の液圧はほぼ一定である状態において、下側液圧室60の液圧が低くなる。上側の液圧室58の液圧が下側の液圧室60の液圧に対して相対的に高くなるのであり、スプール114は図2の左方へ移動させられる。入力用ポート122が高圧側の出力用ポート130に連通させられ、入力用ポート125が低圧用の出力ポート131に連通させられる。高圧用ポート130に液圧室58が連通させられ、低圧用ポート131に液圧室60が連通させられる。
それに対して、右側の車輪の荷重が大きくなり、車輪側部材12と車体側部材10との間の距離が小さくなると液圧室60の液圧が高くなる。上述の場合と同様に、高圧側の出力ポート160に液圧室60が連通させられ、低圧側の出力ポート161に液圧室58が連通させられる。
【0019】
その結果、図4に示すように、左側の上側液圧室58と右側の下側液圧室60とが連通させられ、左側の下側液圧室60と右側の上側液圧室58とが連通させられる。荷重が大きくなった側の下側液圧室60から荷重が小さくなった側の上側液圧室58に作動液が供給され、荷重が小さくなった側の下側液圧室60から荷重が大きくなった側の上側液圧室58に作動液が供給される。一方の下側液圧室60と他方の上側液圧室58との間で作動液の授受が行われ、両方の液圧発生装置40,42の各々において、下側液圧室60の作動液量が減り上側液圧室58の作動液量が増える。両方の液圧発生装置40,42において、スプリング保持部材56が下方へ移動させられ、それに伴って、車体側部材12が下方へ移動させられる。車輪に加わる荷重が一定である場合にはスプリング70,72の長さも一定であるからである。
したがって、ローリング時に車両全体の車高を低くすることができ、姿勢安定性を向上させることができる。また、スプリング70,72がショックアブソーバ14,16と並列に設けられているため、スプリング保持部材56が急激に移動させられることはない。左右の液圧発生装置40,42の間で、液圧室60〜液圧室58に向かって作動液が急速に流れても、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が急激に変化することはないのである。
【0020】
また、左右の一方の液圧発生装置40に対応する車輪についての荷重が一定で、他方の液圧発生装置42に対応する車輪についての荷重が大きく変化する場合には、一方の液圧発生装置40における2つの液圧室58,60の液圧差がほぼ一定に保たれた状態で他方の液圧発生装置42における液圧差58,60が変化させられる。換言すれば、2つの液圧室58,60がそれぞれ互いに遮断された状態では、一方の液圧発生装置40における液圧差が一定に保たれた状態において他方の液圧発生装置42における液圧差の変化が許容されるのであり、例えば、一方の車輪が上下方向に振動しない状態において他方の車輪が上下方向に振動することが許容されるのである。
右側の液圧発生装置42の下側液圧室60の液圧が変化し、それによって、スプール弁110が作動させられて、出力ポート160,161に液圧室58,60のいずれか一方が選択的に連通させられても、左側の液圧発生装置40においては、下側液圧室60の液圧の変化が生じないため、スプール弁108は非作動状態のままである。したがって、左右の液圧発生装置40,42は連通させられることはなく、右側の車輪が上下振動しても、その振動が左側の車輪に伝達されることを防止することができる。
【0021】
また、本車両用サスペンションシステムにおいては、コンピュータを主体とするサスペンションECU200が設けられる。サスペンションECU200には、前後左右の各輪の車輪側部材10に対する車体側部材12の相対高さを検出する車高センサ210〜216、走行状態検出装置220等が接続されるとともに、各輪毎のポンプモータ65が図示しない駆動回路を介して接続される。走行状態検出装置220は、車両の走行状態を検出するものであり、前後加速度センサ、横加速度センサ等を含み、前後加速度、横加速度に基づいて車両の姿勢が推定される。前後加速度や横加速度が設定値より小さい場合には、車両はほぼ水平状態にあると推定される。
サスペンションECU200は、車両がほぼ水平な姿勢である場合の車高センサ210〜216による検出値に基づいて各輪毎のポンプモータ65を制御する。上述のように、連通状態切換装置90は、通常、左右の液圧発生装置40,42を互いに遮断する状態にあるため、例えば、ローリングが生じて、スプリング保持部材56が下方へ移動させられて、車高が低くされた場合に、そのままになるおそれがある。そこで、車両がほぼ水平な姿勢にあると推定された場合に、各輪毎に汲み上げ装置62を制御することにより、上側液圧室58から下側液圧室60へ作動液を供給して、スプリング保持部材56を上方へ移動させて、車高を元の高さに戻しておくのである。
【0022】
このように、本実施形態においては、スプリングの弾性力に応じて液圧が発生させられる液圧発生装置の連通状態を変えることにより、車両の姿勢を制御することができる。
本実施形態においては、ローリング時に、連通状態切換装置90としての連通状態変更装置によって、2つの液圧発生装置40,42の下側液圧室60と上側液圧室58とが連通させられる状態、ピッチング時に下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられる状態が第1状態に対応し、液圧発生装置40,42を遮断する状態が第2状態に対応する。第2状態が1輪上下動許容状態に対応する。また、スプール弁108,110等により選択バルブが構成され、ハウジング112,142に設けられたパイロットポート126,127および156,157等により液圧伝達部を含む姿勢制御装置が構成される。
【0023】
次に、本発明の別の一実施形態である車両用サスペンションシステムについて説明する。本実施形態においては、上記実施形態における場合と接続装置が異なる。
図5において、前輪側の左右液圧発生装置40,42は、接続装置300によって接続される。接続装置300は、連通状態切換装置としての電磁制御弁302を含む。電磁制御弁302は、液通路100,102および液通路104,106の間に設けられたものであり、液通路100,102、液通路104,106を互いに遮断する第1位置と液通路100、106を連通させるとともに、液通路102、104を連通させる第2位置とに切り換え可能なものである。
電磁制御弁302は、ソレノイドへの供給電流の状態に基づいて第1位置、第2位置に切り換えられる。
【0024】
サスペンションECU200には、上記実施形態における場合と同様に、車高センサ210〜216,走行状態検出装置220が接続されるとともに、電磁制御弁302,ポンプモータ65等が接続される。走行状態検出装置220は、上記実施形態における場合と同様に、車両の走行状態において車両の姿勢を推定するものであり、車両の姿勢がほぼ水平であることに加えて、横加速度が設定値以上であり、旋回中であるとされた場合にローリングが生じたと推定される。
電磁制御弁302は、常には、第1位置にある。第1位置においては、左右輪のいずれか一方が上下方向に振動し、他方が振動しない状態を許容する。旋回中であると推定された場合には、電磁制御弁302が第2位置に切り換えられる。それによって、上記実施形態における場合と同様に、ローリング時に走行安定性を向上させることができる。
本実施形態においては、ピッチングが生じた場合に第1位置にあり、左右の液圧発生装置40,42の下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられることがないため、液圧発生装置40,42は、互いに独立したものとして機能する。したがって、左右輪について荷重が同じでなくても、それに起因して車両の姿勢が不安定になることを回避することができる。
【0025】
なお、左側、右側の液圧発生装置40,42のそれそれの下側の液圧室60の液圧を検出する液圧センサを設け、これらの液圧差が設定値以上である場合に、ローリングが生じたとすることができる。ローリングが生じたことが検出された場合に電磁制御弁302を第2位置に切り換えるのである。
また、電磁制御弁302は、前述の第1位置、第2位置および液通路100,104とを連通させるとともに液通路102,106を連通させる第3位置の間で切り換え可能なものとすることができる。走行状態検出装置220によってピッチングが検出された場合には、第3位置に切り換えられるようにする。ピッチングは、前後加速度の絶対値が設定値以上である場合にピッチングが生じたとすることができる。
さらに、左右の液圧発生装置40,42の液圧室60の液圧がいずれも設定値以上である場合、または、設定値以下である場合に、ピッチングまたはヒービングが生じたとすることができる。前側の液圧室60の液圧と後側の液圧室60の液圧との差が大きい場合にピッチングが生じ、これらの液圧差が小さい場合にヒービングが生じたとすることができる。いずれにしても、下側の液圧室60の液圧の変化状態に基づけば、ローリング、ピッチング、ヒービング等を推定することができるのである。
【0026】
さらに、スプリング70,72は、液圧シリンダ14,16と離間した位置に設けることもできる。図6に示すように、液圧発生装置350(左側のみ記載)は、上記実施形態における場合と同様に、ハウジング360,ピストン362、スプリング保持部材364を含むものであるが、円環状を成したものではなく、円筒状を成したものである。ピストン362の上側と下側とに、それぞれ液圧室370,372が設けられ、下側の液圧室372には、スプリング380の弾性力に応じた液圧が発生させられる。左右の液圧発生装置は、上記実施形態における接続装置80によって接続することができる。
【0027】
また、上記各実施形態においては、スプリングの弾性力によって液圧が発生させられる少なくとも2つの液圧発生装置の液圧室同士が接続されたが、ショックアブソーバの液圧室同士が接続されるようにすることもできる。その一例を図7に示す。
本実施形態においては、左右のショックアブソーバ14,16の液圧室37,38同士が連通状態切換装置90を含む接続装置400によって接続される。それによって、ローリング時には、車輪側部材10と車体側部材12との相対距離が大きくなった方の上室37と相対距離が小さくなった方の下室38とが連通させられるため、下室38から上室37へ向かって作動液が流れる。それによって、車高を相対的に低くすることができ、走行安定性を向上させることができる。
また、ピッチングが生じた場合には、上室37同士、下室38同士が連通させられるために、車高の変化を抑制し、ピッチングを抑制することができる。
【0028】
さらに、上記実施形態においては、接続装置が、前輪側、後輪側のそれぞれに設けられたが、両方に設けることは不可欠ではなく、いずれか一方にのみ設けることもできる。
【0029】
その他、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両用サスペンションシステムの全体を概念的に示す図である。
【図2】上記車両用サスペンションシステムの連通状態切換装置の断面図である。
【図3】上記車両用サスペンションシステムの一作動状態を示す図である。
【図4】上記車両用サスペンションシステムの別の一作動状態を示す図である。
【図5】本発明の別の一実施形態である車両用サスペンションシステムの一部を概念的に示す図である。
【図6】本発明のさらに別の一実施形態である車両用サスペンションシステムの一部を概念的に示す図である。
【図7】本発明の別の一実施形態である車両用サスペンションシステムの一部を概念的に示す図である。
【符号の説明】
14〜20:液圧シリンダ 40〜46:液圧発生装置 52:ハウジング 54:ピストン 56:スプリング保持部材 58,60:液圧室 62:汲み上げ装置 70〜76:スプリング 80,82:接続装置 90:連通状態切換装置 108,110:スプール弁 200:サスペンションECU 300:接続装置 302:電磁制御弁 350:液圧発生装置 364:スプリング保持部材 400:接続装置
【発明が属する技術分野】
本発明は、車両の姿勢を制御可能なサスペンションシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、(a)右側車輪と左側車輪とのそれぞれについて、車輪側部材と車体側部材との間に設けられた少なくとも2つの液圧シリンダと、(b)それら液圧シリンダの各々と隔たった位置に設けられた少なくとも2つのスプリングと、(c)それらスプリング各々の弾性力によって、液圧を発生させる1つの液圧室を備えた少なくとも2つの液圧発生装置と、(d)それら2つの液圧シリンダの液圧室を互いに接続するとともに、前記液圧シリンダの液圧室と液圧発生装置の液圧室とを互いに接続する接続装置とを含む車両用サスペンションシステムが記載されている。
この車両用サスペンションシステムにおいて、ローリングが生じると、液通路によって、2つの液圧シリンダの高圧側の液圧室同士、低圧側の液圧室同士が接続されるとともに、車輪側部材と車体側部材との間の距離が小さくなった側(車高が低くなった側)の液圧発生装置の液圧室に高圧側の液圧室が連通させられ、車輪側部材と車体側部材との間の距離が大きくなった側(車高が高くなった側)の液圧発生装置の液圧室に低圧側の液圧室が連通させられる。したがって、車高が低くなった側のスプリングが収縮されて、スプリングが伸長しようとする方向の弾性力が大きくなり、車高が高くなった側のスプリングが伸長されて、縮もうとする方向の弾性力が大きくなる。それによって、ローリングを抑制することができるのであり、車両の姿勢を水平に近づけることができる。
【特許文献1】
特開2002−356107号
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
本発明は、少なくとも2つの車輪について設けられた液圧発生装置の液圧室同士を接続することにより、車両の姿勢を制御することを課題とする。この課題は、車両用サスペンションシステムを、下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0004】
(1)項が請求項1に対応し、(2)項が請求項2に対応し、(4)項〜(7)項が請求項3〜7に対応し、(10)項が請求項8に対応する。
【0005】
(1)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたスプリングと、
そのスプリングの一端部を保持するスプリング保持部材と、車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方に軸方向に相対移動不能に設けられたハウジングと、そのハウジングに軸方向に相対移動可能に嵌合され、前記スプリング保持部材と軸方向に相対移動不能に係合させられたピストンとを含み、そのピストンの上側および下側に設けられた2つの液圧室のうちの少なくとも一方に、前記スプリングの弾性力に応じた液圧を発生させる液圧発生装置と、
前記少なくとも2つの液圧発生装置を、前記2つずつの液圧室同士の連通状態を変更可能な状態で接続する接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、前記車両の姿勢を制御する姿勢制御装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、車輪側部材と車体側部材との間にスプリングが設けられるが、そのスプリングは、一端部において車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方に保持され(車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方と軸方向に相対移動不能に設けられた部材に保持される場合も含む)、他端部においてスプリング保持部材に保持される。車輪側部材と車体側部材との他方にハウジングが保持され、そのハウジングにピストンが液密かつ軸方向に相対移動可能に嵌合され、そのピストンに上記スプリング保持部材が軸方向に相対移動不能に係合させられる。すなわち、スプリング保持部材は、車輪側部材と車体側部材との他方に、一直線に沿って相対移動可能に設けられるのである。
ハウジングが、車輪側部材に設けられ、スプリングが、車体側部材と、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合されたピストンに相対移動不能に係合させられたスプリング保持部材との間に設けられた場合において、2つずつの液圧室同士が接続装置により互いに接続されるが、単純化のために、その接続装置が2つずつの液圧室同士を互いに遮断し、各液圧室を他の液圧室と連通しない独立状態にしている場合について考える。なお、ハウジングが、車体側部材に設けられ、スプリングが車輪側部材とスプリング保持部材との間に設けられた場合においては、以下の説明において、下側の液圧室を上側の液圧室と読替え、上側の液圧室を下側の液圧室と読み替えればよい。
この状態では、液圧発生装置の各々において、車輪に加わる荷重とスプリングの弾性力とが釣り合う状態にあり、ピストンの下側の液圧室には、スプリングの弾性力に応じた液圧が発生させられる。ピストンの上側の液圧室に発生する液圧は、大気圧または一定の大きさである。
荷重の増加により、車輪側部材と車体側部材との間の相対距離が小さくなると、スプリングの弾性力が大きくなり、下側の液圧室の液圧も大きくなる。上側の液圧室の液圧は、車輪側部材と車体側部材との間の相対距離が変わっても一定である。このように、荷重が増加すると、上側の液圧室の液圧が一定の状態で下側の液圧室の液圧が高くなるのであり、下側の液圧室の液圧が上側の液圧室の液圧に対して相対的に高くなったことになる。
荷重の減少により、車輪側部材と車体側部材との間の相対距離が大きくなると、スプリングの弾性力が小さくなり、下側の液圧室の液圧も小さくなる。荷重が減少すると、上側の液圧室の液圧が一定の状態で下側の液圧室の液圧が低くなるのであり、上側の液圧室の液圧が下側の液圧室の液圧に対して相対的に高くなったことになる。
このように、少なくとも2つの液圧発生装置が互いに独立であり、ピストンの上側の液圧室、下側の液圧室が互いに独立である場合には、車輪に加わる荷重が変化しても、スプリング保持部材が移動することはなく、荷重の変化に起因してスプリングの弾性力が変化し、上側の液圧室と下側の液圧室との液圧差が変化させられる。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、接続装置によって、少なくとも2つの液圧発生装置の2つの液圧室同士がそれぞれ接続されるが、2つずつの液圧室の間の連通状態が変更される。
例えば、接続装置によって2つの液圧発生装置が接続される場合において、下側の液圧室同士、上側の液圧室同士が連通させられれば、一方の液圧発生装置においてピストンおよびスプリング保持部材が下降すれば、他方の液圧発生装置においてピストンおよびスプリング保持部材が上昇する。例えば、2つの液圧発生装置が、前側あるいは後側の左右2輪に対応して設けられた場合には、ローリングに対する抑制機能はないのであるが、2つの液圧発生装置を介して支持されている車体の左右方向の中央の高さは不変に保たれるため、ピッチングは抑制される。
また、一方の液圧発生装置の下側の液圧室と他方の液圧発生装置の上側の液圧室とが連通させられた場合には、一方の下側の液圧室から他方の上側の液圧室に向かって作動液が供給されるため、スプリング保持部材がハウジングに対して下方へ移動する。荷重が一定である場合にはスプリングの長さも一定であるため、スプリング保持部材の移動に伴ってスプリングの一端部が保持された車輪側部材と車体側部材との一方が移動させられる。それによって、車輪側部材と車体側部材との間の相対距離が小さくなり、車高が低くなる。
さらに、2つの液圧発生装置の2つずつの液圧室が互いに遮断されて、2つの液圧発生装置が互いに独立にされれば、前述のように、それぞれの液圧発生装置において、車輪に加わる荷重の変化に起因してスプリングの弾性力が変化し、上側液圧室と下側液圧室との液圧差が変化する。しかし、この液圧差の変化が接続装置により他方の液圧発生装置に伝達されることはない。一方の液圧発生装置に対応する車輪についての荷重が一定で、他方の液圧発生装置に対応する車輪についての荷重が変化する場合には、他方の液圧発生装置に対応する車輪が上下方向に振動させられても、その影響が液圧発生装置および接続装置を介して他方の車輪に現れることはないのである。
このように、少なくとも2輪に対応する液圧発生装置の2つの液圧室をそれぞれ接続するとともに、これらの間の連通状態を変更すれば、車両の姿勢を制御することができる。
(2)前記接続装置が、前記少なくとも2つの液圧発生装置の2つの液圧室のうち液圧が相対的に高くなった方の液圧室同士を連通させるとともに、相対的に低くなった方の液圧室同士を連通させる第1状態と、前記2つずつの液圧室同士を互いに遮断する第2状態とに切り換え可能な連通状態変更装置を含む(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
連通状態変更装置の第1状態において、少なくとも2つの液圧発生装置において、液圧発生装置の2つの液圧室のうちの液圧が相対的に高くなった方の液圧室同士が連通させられるとともに、液圧が相対的に低くなった方の液圧室同士が連通させられる。
例えば、上記連通状態変更装置を含む接続装置によって接続された2つの液圧発生装置において、一方の液圧発生装置に対応する車輪の荷重が増加し、他方の液圧発生装置に対応する車輪の荷重が減少した場合には、相対的に液圧が高くなった液圧室同士として、一方の液圧発生装置の下側の液圧室と他方の液圧発生装置の上側の液圧室とが連通させられ、相対的に液圧が低くなった液圧室同士として、一方の液圧発生装置の上側の液圧室と他方の液圧発生装置の下側の液圧室とが連通させられる。一方の液圧発生装置の下側の液圧室から他方の上側の液圧室へ向かって作動液が流れ、他方の液圧発生装置の下側の液圧室から一方の上側の液圧室へ向かって作動液が流れる。いずれの液圧発生装置においても、スプリング保持部材が下方へ移動させられ、それに伴って車体側部材が車輪側部材に近づき、車高が低くなる。したがって、接続装置によって、左側の液圧発生装置と右側の液圧発生装置とが接続された場合において、ローリングが生じた場合に車高を低くするができ、それによって、走行安定性を向上させることができる。
また、接続装置によって接続される2つの液圧発生装置に対応する車輪の荷重が同様に増加した場合には、相対的に液圧が高くなった方の液圧室同士として下側の液圧室同士が連通させられ、相対的に液圧が低くなった方の液圧室同士としての上側の液圧室同士が連通させられる。この場合には、2つの車輪の荷重が同じであれば作動液の流れが生じることはなく、スプリング保持部材は移動しない。したがって、前側または後側の左右の液圧発生装置が接続装置によって接続される場合には、ピッチングが抑制される。
連通状態変更装置の第2状態において、2つの液圧発生装置の2つずつの液圧室同士が互いに遮断される。この場合には、一方の液圧発生装置の液圧差の変化が他方の液圧発生装置に伝達されることがない。一方の液圧発生装置に対応する車輪が上下方向に振動しても、他方の液圧発生装置に対応する車輪は上下方向に振動しないことが許容されるのであり、一方の車輪の上下方向の振動が液圧発生装置および接続装置を介して他方の車輪に伝達されることを回避することができる。
(3)前記連通状態変更装置が、前記少なくとも2つの液圧発生装置各々に対応して設けられ、2つの液圧室のうち、液圧が相対的に高くなった方の液圧を高圧側出力部に伝達するとともに、液圧が相対的に低くなった方の液圧を低圧側出力部に伝達する選択バルブと、少なくとも2つの選択バルブの高圧側出力部同士を接続する高圧側液通路および低圧側出力部同士を接続する低圧側液通路とを含む(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
選択バルブは、液圧発生装置毎に設けられ、2つの選択バルブの高圧側出力部同士、低圧側出力部同士が接続される。
選択バルブは、車両の定常状態において、2つの液圧室を高圧側出力部、低圧側出力部のいずれからも遮断する遮断状態にあるが、定常状態から2つの液圧室の一方の液圧が他方の液圧に対して相対的に高くなった場合には、一方の液圧室を高圧側出力部に連通させ、他方の液圧室を低圧側出力部に連通させる。したがって、これら2つの選択バルブによれば、2つの液圧室のうち、相対的に液圧が高くなった方の液圧室同士を連通させるとともに相対的に液圧が低くなった方の液圧室同士を連通させることができる。
車両の定常状態は、標準的な積載状態で、かつ、水平で平坦な路面に停止している状態、あるいは、定速で直進している状態をいう。
(4)前記接続装置が、前記連通状態を変更可能な連通状態変更装置を含み、前記姿勢制御装置が、前記少なくとも1つの液圧発生装置の液圧を前記連通状態変更装置に伝達する液圧伝達部を含み、その液圧伝達部によって伝達された液圧によって前記2つの液圧シリンダの間の連通状態を制御する(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の連通状態変更装置は、液圧発生装置の液圧に応じて作動させられ、連通状態を変更させるものである。連通状態変更装置は、いわゆる、パイロット式のメカバルブを含むものとすることができる。連通状態が液圧発生装置の液圧に基づいて変更可能とされることは、妥当なことである。
(5)前記接続装置が、前記少なくとも2つの液圧発生装置の間に設けられた1つ以上の電磁制御弁を有する連通状態変更装置を含み、前記姿勢制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁への供給電流を制御することにより、前記少なくとも2つの液圧発生装置の間の連通状態を制御する供給電流制御部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
連通状態変更装置は、1つ以上の電磁制御弁を有するものであり、電磁制御弁への供給電流の制御により、連通状態を制御する。連通状態変更装置は、電磁方向切換弁を含むものであっても、複数の電磁開閉弁を含むものであってもよい。また、これらに加えて可変絞り等の電磁流量制御弁を含むものとすることができる。
(6)前記姿勢制御装置が、前記接続装置の連通状態を、前記車両のローリングとピッチングとの少なくとも一方を抑制可能な状態とするロール・ピッチ抑制部を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
接続装置によって、前側、後側各々における左右輪の液圧発生装置が接続される場合に、ピッチングが生じた場合に、左右輪に対応する液圧発生装置の下側の液圧室同士、上側の液圧室同士が連通させられる。左右輪に加わる荷重が同じ場合にはスプリング保持部材の移動が阻止され、ピッチングを抑制することができる。また、ローリングが生じた場合には、左右輪の液圧発生装置の下側の液圧室と上側の液圧室とが互いに連通させられる。スプリング保持部材が下方へ移動させられ、車高が低くなる。それによって、ローリング時の車高を低くすることができ、ローリングし難くすることができる。
(7)前記姿勢制御装置が、さらに、前記接続装置の連通状態を、前記少なくとも2つの液圧発生装置のうちの1つ以上において前記車輪側部材と前記車体側部材とが相対移動しないで、別の1つ以上において前記車輪側部材と前記車体側部材とが相対移動することを許容する状態とする1輪上下動許容状態をとり得る(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
(8)当該車両用サスペンションシステムが、前記少なくとも2輪について、それぞれ、前記車輪側部材と前記車体側部材との間に設けられた液圧シリンダを含み、前記スプリングが、それぞれ、前記液圧シリンダと同心に設けられた(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、スプリングと液圧シリンダとが同心に設けられる。その結果、スプリングと液圧シリンダとの幅方向の配置スペースを狭くすることができる。
液圧シリンダは、例えば、ショックアブソーバを使用することができる。また、ショックアブソーバに限らず、車高調整用の液圧シリンダとすることもできる。
(9)前記液圧発生装置のハウジングが、概して円環状の筒状を成したもので、前記液圧シリンダの外周部に取り付けられ、前記スプリングが、それぞれ、前記車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方と、前記スプリング保持部材との間に設けられた(8)項に記載の車両用サスペンションシステム。
シリンダ型液圧発生部が液圧シリンダの外周部に取り付けられる。
(10)当該車両用サスペンションシステムが、前記少なくとも2輪について、それぞれ、前記車輪側部材と前記車体側部材との間に設けられた液圧シリンダを含み、前記スプリングが、それぞれ、前記液圧シリンダから隔たった位置に設けられた(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
液圧シリンダとスプリングとが、車両の幅方向または前後方向に隔たった位置に設けられる。液圧シリンダとスプリングとが同心に設けられる場合に比較して、車輪側部材と車体側部材との間の距離を短くすることができる。
【0006】
(11)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と前記車体側部材との間に設けられ、ハウジングおよびハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合されたピストンを含み、そのピストンの上側および下側が液圧室とされた液圧シリンダと、
それら少なくとも2つの液圧シリンダの2つの液圧室同士をそれぞれ接続するとともに、前記2つずつの液圧室同士の間の連通状態を変更可能な連通状態変更部を備えた接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、車両の姿勢を制御する姿勢制御装置と
を含み、前記連通状態変更部が、前記2つの液圧室のうちの相対的に液圧が高くなった方の液圧室同士を連通させるとともに、相対的に液圧が低くなった液圧室同士を連通させる第1状態と、前記2つずつの液圧室同士を互いに遮断する第2状態とに、前記少なくとも2つの液圧シリンダの液圧室のうちの少なくとも1つの液圧室の液圧によって切り換えられるものであることを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、少なくとも2輪について設けられた液圧シリンダの2つずつの液圧室同士の連通状態が連通状態変更部によって変更される。それによって、車両の姿勢を制御することができる。
本項に記載の車両用サスペンションシステムには、(1)項ないし(10)項の技術的特徴を採用することができる。
(12)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたスプリングと、
前記車輪側部材と前記車体側部材との間の距離の変化による前記スプリングの弾性力に応じた液圧を発生させる液圧発生装置と、
前記少なくとも2つの液圧発生装置を、それらの間の連通状態を変更可能な状態で接続する接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、前記車両の少なくとも1種類の姿勢変化を抑制する姿勢制御装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、例えば、ローリング、ピッチング、ヒービング、アーティキュレーション等の姿勢変化の少なくとも1つが抑制される。
本項に記載の車両用サスペンションシステムには、(1)項ないし(11)項の技術的特徴を採用することができる。
(13)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたスプリングと、
前記車輪側部材と前記車体側部材との間の距離の変化による前記スプリングの弾性力によって、液圧を発生させる液圧発生装置と、
前記少なくとも2つの液圧発生装置を接続する接続装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
少なくとも2つの液圧発生装置が接続されれば、互いに接続される液圧発生装置の間において、作動液の授受が行われたり、互いに液圧の影響を受けたりする。それによって、車両の姿勢を制御することが可能となる。2つの液圧発生装置の間の連通状態を変更することは不可欠ではなく、連通状態は一定であってもよい。
本項に記載の車両用サスペンションシステムには、(1)項ないし(12)項の技術的特徴を採用することができる。
(14)車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたスプリングと、
そのスプリングの一端部を保持するスプリング保持部材と、車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方に軸方向に相対移動不能に設けられたハウジングと、そのハウジングに相対移動可能に嵌合され、前記スプリング保持部材に軸方向に相対移動不能に係合させられたピストンと、そのピストンの上側および下側に設けられた2つの液圧室とを含むスプリング保持装置と、
前記少なくとも2つのスプリング保持装置を、前記2つずつの液圧室同士の連通状態を変更可能な状態で接続する接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、前記車両の姿勢を制御する姿勢制御装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の車両用サスペンションシステムにおいては、少なくとも2つのスプリング保持装置のピストンの上側、下側の液圧室の連通状態の制御により、スプリング保持部材のハウジングに対する相対位置や相対移動を制御することができる。
本項に記載の車両用サスペンションシステムには、(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態である車両用サスペンションシステムについて図面に基づいて詳細に説明する。
車両の前後左右の各車輪に対応して、それぞれ、車輪側部材10と車体側部材12との間に液圧シリンダ14〜20が設けられる。液圧シリンダ14〜20は、本実施形態においてはショックアブソーバである。
ショックアブソーバ14〜20は、それぞれ、ハウジング30と、そのハウジング30に液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン32とを含み、ハウジング30が車輪側部材10に取り付けられ、ピストン32のピストンロッド34が車体側部材12に取り付けられる。ピストン32には上室37と下室38とを連通させる絞りを有する連通路39が形成される。車輪側部材10と車体側部材12との間の相対移動により、ピストン32がハウジング30に対して相対移動させられ、その相対移動速度に応じた減衰力が発生させられる。
【0008】
ショックアブソーバ14〜20の外周部には、それぞれ、液圧発生装置40〜46が設けられる。液圧発生装置40〜46は、概して円環筒状を成したものである。液圧発生装置40〜46は、それぞれ、円環筒状を成したハウジング52と、そのハウジング52に液密かつ摺動可能に嵌合された円環筒状のピストン54と、そのピストン54と一体的に上下方向に相対移動不能に取り付けられた円環状のスプリング保持部材56とを含む。スプリング保持部材56は、ハウジング52の外周側から突出した状態で取り付けられる。また、ピストン54の上側と下側は、それぞれ、液圧室58,60とされる。
スプリング保持部材56と車体側部材12との間には、それぞれ、サスペンションスプリング(単にスプリングと称する)70〜76が取り付けられる。車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離の変化により、スプリング70〜76に弾性力が発生させられる。下側の液圧室60には、その弾性力に応じた液圧が発生させられる。
【0009】
また、2つの液圧室58,60との間には、汲み上げ装置62が設けられる。汲み上げ装置62は、後述するように、液圧室58に作動液が供給されることにより車高が低くなった場合に、それに起因する不都合を是正するために設けられたものである。汲み上げ装置62によれば、車高を元の高さに戻すことができる。汲み上げ装置62は、ポンプ64,ポンプモータ65,逆止弁66,ダンパ67等を含む。ポンプ64は、上側の液圧室58から作動液を汲み上げて下側の液圧室60に供給するものであり、逆止弁66は、液圧室60からポンプ64への作動液の逆流を防止する。ダンパ67は、液圧室58から作動液を汲み上げることにより、液圧室58の液圧が負圧になることを防止するためのものである。
【0010】
スプリング70〜76は、車両の定常状態において、圧縮された状態で(弾性力が発生させられる状態で)取り付けられる。したがって、定常状態において、スプリング70〜76の弾性力は、その車輪に加わる荷重に応じた大きさになり、下側の液圧室60には、弾性力に応じた液圧が発生させられる。それに対して、上側の液圧室58には、ダンパ67によって決まる大きさの液圧に保たれる。本実施形態においては、上側の液圧室58にスプリング70〜76の弾性力に応じた液圧が発生させられることはない。
【0011】
車輪に加わる荷重が大きくなると、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が小さくなり、スプリング70〜76の弾性力が大きくなる。下側の液圧室60の液圧が高くなるのであり、下側の液圧室60の液圧が上側の液圧室58の液圧に対して相対的に高くなる。
車輪に加わる荷重が小さくなると、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が大きくなり、スプリング70〜76の弾性力が小さくなる。下側の液圧室60の液圧が低くなるのであり、上側の液圧室58の液圧が下側の液圧室60の液圧に対して相対的に高くなる。
なお、車両の定常状態における場合より、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が大きくなると、スプリング70〜76が伸ばされて、逆向きの弾性力が作用する状態で設けられる場合には、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が大きくなると、上側の液圧室58の液圧が高くなることもあり得る。
【0012】
本実施形態においては、ショックアブソーバ14〜20の各々について、ショックアブソーバ14〜20の本体30と車体側部材12との間に補助スプリング78a〜dが設けられる。補助スプリング78a〜dは、後述するように、液圧発生装置40、42の下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられた場合、液圧発生装置44,46の下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられた場合に、左右輪に加わる荷重の差に起因する姿勢の変化を抑制するものである。
【0013】
前側の左右2つの液圧発生装置40,42は接続装置80によって接続され、後側の左右2つの液圧発生装置44,46は接続装置82によって接続される。接続装置80は、連通状態切換装置90を含む。左側の液圧発生装置40と連通状態切換装置90とは液通路100,102によって接続され、右側の液圧発生装置42と連通状態切換装置90とは液通路104,106によって接続される。連通状態切換装置90は、図2に示すように、2つのメカ式のスプール弁108,110を含み、これら2つのスプール弁108,110が連通路111a,111bによって接続される。スプール弁108は左側液圧発生装置40用であり、スプール弁110は右側液圧発生装置42用である。スプール弁は、液圧発生装置各々に1対1に対応して設けられる。
【0014】
スプール弁108は、ハウジング112と、ハウジング112に相対移動可能に嵌合された可動部材としてのスプール114と、スプール114の両側に設けられたスプリング116,118とを含む。ハウジング112には、入力側の4つのポート122〜125、パイロット用ポート126、127、出力用の2つのポート130,131が設けられる。入力用ポートのうちポート122,123には、液圧室58が液通路100を介して接続され、ポート124,125には、液圧室60が液通路102を介して接続される。パイロット用ポート126には上側の液圧室58の液圧が伝達され、パイロット用ポート127には下側の液圧室60の液圧が伝達される。出力用の2つのポートのうちのポート130は高圧出力用ポートであり、ポート131は低圧出力用ポートである。
【0015】
スプール114の一方の端面には、スプリング116の弾性力と上側液圧室58の液圧に応じた力とが加わり、他方の端面には、スプリング118の弾性力と下側液圧室60の液圧に応じた力とが加わる。また、スプール弁108は、車両の定常状態(通常の積載状態において、平坦でほぼ水平な路面に停止している状態または定速直進走行している状態)において、スプール114が中立位置にあり、出力用ポート130,131と入力用ポート122〜125とが遮断された状態にある。また、上述のように、上側液圧室58の液圧は下側液圧室60の液圧より低い。これらの事情により、スプリング116のセット荷重は、スプリング118のセット荷重より大きくされている。
換言すれば、車両の定常状態において、上側液圧室58の液圧は下側液圧室60の液圧より低い状態にある。その状態において、スプール114は中立位置にある。スプール114の中立位置において、下側液圧室60の液圧が上側液圧室58の液圧に対して相対的に高くなれば、下側液圧室60の液圧が高圧側ポート130に伝達され、下側液圧室60の液圧が上側液圧室58の液圧に対して相対的に低くなれば、上側液圧室58の液圧が高圧側ポート130に伝達される。
なお、スプール弁108は、下側液圧室60の液圧の多少の変化では、切り換わることはなく、車両のローリング時、ピッチング時等のように大きな液圧の変化が生じた場合に切り換わるようにされている。
【0016】
スプール弁110についても同様に、ハウジング142と、ハウジング142に相対移動可能に嵌合された可動部材としてのスプール144と、スプール144の両側に設けられたスプリング146,148とを含み、ハウジング142には、入力側の4つのポート152〜155、パイロット用ポート156、157、出力用の2つのポート160,161が設けられる。入力用ポート152,153には液圧室58が液通路104を介して接続され、ポート154,155には、液圧室60が液通路106を介して接続される。また、パイロット用ポート156には液圧室58が接続され、パイロット用ポート158には液圧室60が接続される。出力用ポート160が高圧出力用ポートであり、ポート161が低圧出力用ポートである。スプリング146,148では、スプリング146の方がセット荷重が大きいものとされている。
なお、スプール弁108,110において、ハウジング112,142は一体的に設けてもよい。
【0017】
接続装置82は、接続装置80と構造が同じものであるため説明を省略する。また、作動についても、前輪側、後輪側で同じであるため、前輪側について説明し、後輪側についての説明を省略する。
車両の定常状態において、液圧発生装置40,42の各々において、下側の液圧室60の液圧が上側の液圧室58の液圧より高い。この状態で、スプール114,144は中立位置にあり、左右の液圧発生装置40,42が互いに遮断される。
例えば、ピッチングが生じ、左右前輪に加わる荷重が、両方とも増加した場合には、定常状態における場合と比較して、上側の液圧室58の液圧は同じであるが、下側の液圧室60の液圧が高くなる。
スプール弁108において、スプール114が図2右方へ移動させられ、入力用ポート124と出力用ポート130とが連通させられるとともに、入力用ポート123と出力用ポート131とが連通させられる。下側の液圧室60が高圧側出力用ポート130に連通させられ、上側の液圧室58が低圧側出力ポート131に連通させられる。
スプール弁110においても、スプール144が図2の右方へ移動させられ、入力用ポート154と出力用ポート160とが連通させられ、入力用ポート152と出力用ポート161とが連通させられる。下側の液圧室60室が出力ポート160に連通させられ、上側の液圧室58が出力ポート161に連通させられる。
したがって、図3に示すように、下側の液圧室60同士が連通させられるとともに、上側の液圧室58同士が連通させられることになる。その結果、左右輪に加わる荷重が同じである場合にはスプリング保持部材56の移動が阻止され、前輪側の左右輪それぞれにおいて車高が低くなることを抑制することができ、ピッチングを抑制することができる。また、左右輪の少なくとも一方における荷重の変化に起因して液圧発生装置40,42の下側液圧室60の間に液圧差が生じて作動液に流れが生じても、補助スプリング78a,bにより、荷重の変化に起因する車両の姿勢の変化を抑制することができる。
なお、補助スプリング78a〜dは不可欠ではない。本実施形態においては、スプリング70〜76がショックアブソーバ14〜20と並列に設けられたものであるため、ピッチングが生じた場合において、左右輪の少なくとも一方の僅かな荷重の変化に起因して下側液圧室60の間に液圧差が生じても、直ちに姿勢が変化するとは限らないが、不安定になるおそれがある。それに対して、補助スプリング78a〜dを車輪側部材12と車体側部材12との間に設ければ、下側液圧室60同士の連通状態においてスプリング保持部材56の位置が不安定になっても、それを抑制することができるのである。
ピッチングに限らず、ヒービングが生じた場合も同様であり、ヒービングを抑制することが可能となる。
【0018】
次に、ローリングが生じ、例えば、左側の車輪の荷重が小さくなり、右側の車輪の荷重が大きくなった場合を考える。左側の車輪の荷重が小さくなって、車輪側部材10と車体側部材12との間の距離が大きくなると、上側液圧室60の液圧はほぼ一定である状態において、下側液圧室60の液圧が低くなる。上側の液圧室58の液圧が下側の液圧室60の液圧に対して相対的に高くなるのであり、スプール114は図2の左方へ移動させられる。入力用ポート122が高圧側の出力用ポート130に連通させられ、入力用ポート125が低圧用の出力ポート131に連通させられる。高圧用ポート130に液圧室58が連通させられ、低圧用ポート131に液圧室60が連通させられる。
それに対して、右側の車輪の荷重が大きくなり、車輪側部材12と車体側部材10との間の距離が小さくなると液圧室60の液圧が高くなる。上述の場合と同様に、高圧側の出力ポート160に液圧室60が連通させられ、低圧側の出力ポート161に液圧室58が連通させられる。
【0019】
その結果、図4に示すように、左側の上側液圧室58と右側の下側液圧室60とが連通させられ、左側の下側液圧室60と右側の上側液圧室58とが連通させられる。荷重が大きくなった側の下側液圧室60から荷重が小さくなった側の上側液圧室58に作動液が供給され、荷重が小さくなった側の下側液圧室60から荷重が大きくなった側の上側液圧室58に作動液が供給される。一方の下側液圧室60と他方の上側液圧室58との間で作動液の授受が行われ、両方の液圧発生装置40,42の各々において、下側液圧室60の作動液量が減り上側液圧室58の作動液量が増える。両方の液圧発生装置40,42において、スプリング保持部材56が下方へ移動させられ、それに伴って、車体側部材12が下方へ移動させられる。車輪に加わる荷重が一定である場合にはスプリング70,72の長さも一定であるからである。
したがって、ローリング時に車両全体の車高を低くすることができ、姿勢安定性を向上させることができる。また、スプリング70,72がショックアブソーバ14,16と並列に設けられているため、スプリング保持部材56が急激に移動させられることはない。左右の液圧発生装置40,42の間で、液圧室60〜液圧室58に向かって作動液が急速に流れても、車輪側部材10と車体側部材12との間の相対距離が急激に変化することはないのである。
【0020】
また、左右の一方の液圧発生装置40に対応する車輪についての荷重が一定で、他方の液圧発生装置42に対応する車輪についての荷重が大きく変化する場合には、一方の液圧発生装置40における2つの液圧室58,60の液圧差がほぼ一定に保たれた状態で他方の液圧発生装置42における液圧差58,60が変化させられる。換言すれば、2つの液圧室58,60がそれぞれ互いに遮断された状態では、一方の液圧発生装置40における液圧差が一定に保たれた状態において他方の液圧発生装置42における液圧差の変化が許容されるのであり、例えば、一方の車輪が上下方向に振動しない状態において他方の車輪が上下方向に振動することが許容されるのである。
右側の液圧発生装置42の下側液圧室60の液圧が変化し、それによって、スプール弁110が作動させられて、出力ポート160,161に液圧室58,60のいずれか一方が選択的に連通させられても、左側の液圧発生装置40においては、下側液圧室60の液圧の変化が生じないため、スプール弁108は非作動状態のままである。したがって、左右の液圧発生装置40,42は連通させられることはなく、右側の車輪が上下振動しても、その振動が左側の車輪に伝達されることを防止することができる。
【0021】
また、本車両用サスペンションシステムにおいては、コンピュータを主体とするサスペンションECU200が設けられる。サスペンションECU200には、前後左右の各輪の車輪側部材10に対する車体側部材12の相対高さを検出する車高センサ210〜216、走行状態検出装置220等が接続されるとともに、各輪毎のポンプモータ65が図示しない駆動回路を介して接続される。走行状態検出装置220は、車両の走行状態を検出するものであり、前後加速度センサ、横加速度センサ等を含み、前後加速度、横加速度に基づいて車両の姿勢が推定される。前後加速度や横加速度が設定値より小さい場合には、車両はほぼ水平状態にあると推定される。
サスペンションECU200は、車両がほぼ水平な姿勢である場合の車高センサ210〜216による検出値に基づいて各輪毎のポンプモータ65を制御する。上述のように、連通状態切換装置90は、通常、左右の液圧発生装置40,42を互いに遮断する状態にあるため、例えば、ローリングが生じて、スプリング保持部材56が下方へ移動させられて、車高が低くされた場合に、そのままになるおそれがある。そこで、車両がほぼ水平な姿勢にあると推定された場合に、各輪毎に汲み上げ装置62を制御することにより、上側液圧室58から下側液圧室60へ作動液を供給して、スプリング保持部材56を上方へ移動させて、車高を元の高さに戻しておくのである。
【0022】
このように、本実施形態においては、スプリングの弾性力に応じて液圧が発生させられる液圧発生装置の連通状態を変えることにより、車両の姿勢を制御することができる。
本実施形態においては、ローリング時に、連通状態切換装置90としての連通状態変更装置によって、2つの液圧発生装置40,42の下側液圧室60と上側液圧室58とが連通させられる状態、ピッチング時に下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられる状態が第1状態に対応し、液圧発生装置40,42を遮断する状態が第2状態に対応する。第2状態が1輪上下動許容状態に対応する。また、スプール弁108,110等により選択バルブが構成され、ハウジング112,142に設けられたパイロットポート126,127および156,157等により液圧伝達部を含む姿勢制御装置が構成される。
【0023】
次に、本発明の別の一実施形態である車両用サスペンションシステムについて説明する。本実施形態においては、上記実施形態における場合と接続装置が異なる。
図5において、前輪側の左右液圧発生装置40,42は、接続装置300によって接続される。接続装置300は、連通状態切換装置としての電磁制御弁302を含む。電磁制御弁302は、液通路100,102および液通路104,106の間に設けられたものであり、液通路100,102、液通路104,106を互いに遮断する第1位置と液通路100、106を連通させるとともに、液通路102、104を連通させる第2位置とに切り換え可能なものである。
電磁制御弁302は、ソレノイドへの供給電流の状態に基づいて第1位置、第2位置に切り換えられる。
【0024】
サスペンションECU200には、上記実施形態における場合と同様に、車高センサ210〜216,走行状態検出装置220が接続されるとともに、電磁制御弁302,ポンプモータ65等が接続される。走行状態検出装置220は、上記実施形態における場合と同様に、車両の走行状態において車両の姿勢を推定するものであり、車両の姿勢がほぼ水平であることに加えて、横加速度が設定値以上であり、旋回中であるとされた場合にローリングが生じたと推定される。
電磁制御弁302は、常には、第1位置にある。第1位置においては、左右輪のいずれか一方が上下方向に振動し、他方が振動しない状態を許容する。旋回中であると推定された場合には、電磁制御弁302が第2位置に切り換えられる。それによって、上記実施形態における場合と同様に、ローリング時に走行安定性を向上させることができる。
本実施形態においては、ピッチングが生じた場合に第1位置にあり、左右の液圧発生装置40,42の下側液圧室60同士、上側液圧室58同士が連通させられることがないため、液圧発生装置40,42は、互いに独立したものとして機能する。したがって、左右輪について荷重が同じでなくても、それに起因して車両の姿勢が不安定になることを回避することができる。
【0025】
なお、左側、右側の液圧発生装置40,42のそれそれの下側の液圧室60の液圧を検出する液圧センサを設け、これらの液圧差が設定値以上である場合に、ローリングが生じたとすることができる。ローリングが生じたことが検出された場合に電磁制御弁302を第2位置に切り換えるのである。
また、電磁制御弁302は、前述の第1位置、第2位置および液通路100,104とを連通させるとともに液通路102,106を連通させる第3位置の間で切り換え可能なものとすることができる。走行状態検出装置220によってピッチングが検出された場合には、第3位置に切り換えられるようにする。ピッチングは、前後加速度の絶対値が設定値以上である場合にピッチングが生じたとすることができる。
さらに、左右の液圧発生装置40,42の液圧室60の液圧がいずれも設定値以上である場合、または、設定値以下である場合に、ピッチングまたはヒービングが生じたとすることができる。前側の液圧室60の液圧と後側の液圧室60の液圧との差が大きい場合にピッチングが生じ、これらの液圧差が小さい場合にヒービングが生じたとすることができる。いずれにしても、下側の液圧室60の液圧の変化状態に基づけば、ローリング、ピッチング、ヒービング等を推定することができるのである。
【0026】
さらに、スプリング70,72は、液圧シリンダ14,16と離間した位置に設けることもできる。図6に示すように、液圧発生装置350(左側のみ記載)は、上記実施形態における場合と同様に、ハウジング360,ピストン362、スプリング保持部材364を含むものであるが、円環状を成したものではなく、円筒状を成したものである。ピストン362の上側と下側とに、それぞれ液圧室370,372が設けられ、下側の液圧室372には、スプリング380の弾性力に応じた液圧が発生させられる。左右の液圧発生装置は、上記実施形態における接続装置80によって接続することができる。
【0027】
また、上記各実施形態においては、スプリングの弾性力によって液圧が発生させられる少なくとも2つの液圧発生装置の液圧室同士が接続されたが、ショックアブソーバの液圧室同士が接続されるようにすることもできる。その一例を図7に示す。
本実施形態においては、左右のショックアブソーバ14,16の液圧室37,38同士が連通状態切換装置90を含む接続装置400によって接続される。それによって、ローリング時には、車輪側部材10と車体側部材12との相対距離が大きくなった方の上室37と相対距離が小さくなった方の下室38とが連通させられるため、下室38から上室37へ向かって作動液が流れる。それによって、車高を相対的に低くすることができ、走行安定性を向上させることができる。
また、ピッチングが生じた場合には、上室37同士、下室38同士が連通させられるために、車高の変化を抑制し、ピッチングを抑制することができる。
【0028】
さらに、上記実施形態においては、接続装置が、前輪側、後輪側のそれぞれに設けられたが、両方に設けることは不可欠ではなく、いずれか一方にのみ設けることもできる。
【0029】
その他、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両用サスペンションシステムの全体を概念的に示す図である。
【図2】上記車両用サスペンションシステムの連通状態切換装置の断面図である。
【図3】上記車両用サスペンションシステムの一作動状態を示す図である。
【図4】上記車両用サスペンションシステムの別の一作動状態を示す図である。
【図5】本発明の別の一実施形態である車両用サスペンションシステムの一部を概念的に示す図である。
【図6】本発明のさらに別の一実施形態である車両用サスペンションシステムの一部を概念的に示す図である。
【図7】本発明の別の一実施形態である車両用サスペンションシステムの一部を概念的に示す図である。
【符号の説明】
14〜20:液圧シリンダ 40〜46:液圧発生装置 52:ハウジング 54:ピストン 56:スプリング保持部材 58,60:液圧室 62:汲み上げ装置 70〜76:スプリング 80,82:接続装置 90:連通状態切換装置 108,110:スプール弁 200:サスペンションECU 300:接続装置 302:電磁制御弁 350:液圧発生装置 364:スプリング保持部材 400:接続装置
Claims (8)
- 車両の複数の車輪のうちの少なくとも2輪について、それぞれ、車輪側部材と車体側部材との間に設けられた少なくとも2つのスプリングと、
それらスプリングの各々の一端部を保持するスプリング保持部材と、車輪側部材と車体側部材とのいずれか一方に軸方向に相対移動不能に設けられたハウジングと、そのハウジングに軸方向に相対移動可能に嵌合され、前記スプリング保持部材に軸方向に相対移動不能に係合させられたピストンとを含み、そのピストンの上側および下側の2つの液圧室のうちの少なくとも一方に、前記スプリングの弾性力に応じた液圧を発生させる少なくとも2つの液圧発生装置と、
それら少なくとも2つの液圧発生装置を、前記2つずつの液圧室同士の連通状態を変更可能な状態で接続する接続装置と、
その接続装置の連通状態を制御することにより、前記車両の姿勢を制御する姿勢制御装置と
を含むことを特徴とする車両用サスペンションシステム。 - 前記接続装置が、前記少なくとも2つの液圧発生装置の前記2つの液圧室のうち液圧が相対的に高くなった方の液圧室同士を連通させるとともに、相対的に低くなった方の液圧室同士を連通させる第1状態と、前記2つずつの液圧室同士を互いに遮断する第2状態とに切り換え可能な連通状態変更装置を含む請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記接続装置が、前記連通状態を変更可能な連通状態変更装置を含み、前記姿勢制御装置が、前記少なくとも1つの液圧発生装置の液圧を前記連通状態変更装置に伝達する液圧伝達部を含み、その液圧伝達部によって伝達された液圧によって前記2つの液圧シリンダの間の連通状態を制御する請求項1または2に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記接続装置が、前記少なくとも2つの液圧発生装置の間に設けられた1つ以上の電磁制御弁を有する連通状態変更装置を含み、前記姿勢制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁への供給電流を制御することにより、前記少なくとも2つの液圧発生装置の間の連通状態を制御する供給電流制御部を含む請求項1または2に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記姿勢制御装置が、前記接続装置の連通状態を、前記車両のローリングとピッチングとの少なくとも一方を抑制可能な状態とするロール・ピッチ抑制部を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記姿勢制御装置が、さらに、前記接続装置の連通状態を、前記少なくとも2つの液圧発生装置のうちの1つ以上において前記車輪側部材と前記車体側部材とが相対移動しないで、別の1つ以上において前記車輪側部材と前記車体側部材とが相対移動することを許容する状態とする1輪上下動許容状態をとり得る請求項5に記載の車両用サスペンションシステム。
- 当該車両用サスペンションシステムが、前記少なくとも2輪について、それぞれ、前記車輪側部材と前記車体側部材との間に設けられた液圧シリンダを含み、前記スプリングが、それぞれ、前記液圧シリンダと同心に設けられた請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
- 当該車両用サスペンションシステムが、前記少なくとも2輪について、それぞれ、前記車輪側部材と前記車体側部材との間に設けられた液圧シリンダを含み、前記スプリングが、それぞれ、前記液圧シリンダから隔たった位置に設けられた請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
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-
2003
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