JP2008168861A - サスペンションシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】コストアップを抑制しつつばね特性の段階数を増加させる等、より実用的なサスペンションシステムを得る。
【解決手段】懸架シリンダ30と低圧アキュムレータ64との間の連通を許容・遮断するレート切換弁70とを含むサスペンションシステムに、互いに隣り合う2つの懸架シリンダ30間の連通を許容・遮断する前後連通弁154,158、左右連通弁144,148を設ける。このシステムにおいて、例えば、左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30間の連通を許容するとともに、それらに対応する2つの低圧アキュムレータ64のうちの一方の連通を許容して他方の連通を遮断することにより、ホイールレートをハードとソフトの中間の特性にすることができる。すなわち、低圧アキュムレータ64の個数を増加させることなく、ばね特性を変更する段階数を増加させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】懸架シリンダ30と低圧アキュムレータ64との間の連通を許容・遮断するレート切換弁70とを含むサスペンションシステムに、互いに隣り合う2つの懸架シリンダ30間の連通を許容・遮断する前後連通弁154,158、左右連通弁144,148を設ける。このシステムにおいて、例えば、左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30間の連通を許容するとともに、それらに対応する2つの低圧アキュムレータ64のうちの一方の連通を許容して他方の連通を遮断することにより、ホイールレートをハードとソフトの中間の特性にすることができる。すなわち、低圧アキュムレータ64の個数を増加させることなく、ばね特性を変更する段階数を増加させることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両のサスペンションシステムに関し、特に、ばね特性を変更することが可能なサスペンションシステムに関する。
サスペンションシステムには、エアサスペンションやアキュムレータを接続した懸架シリンダ等のように、気体や液体等の流体を用いる流体作動器を備えたものがある。下記特許文献1,2にはエアサスペンションを備えたサスペンションシステムの一例が、下記特許文献3には懸架シリンダを備えたサスペンションシステムの一例が記載されている。
流体作動器は、比較的容易にばね特性を変化させることができる。例えば、エアサスペンションを備えたサスペンションシステムであれば、車輪と車体との接近離間に応じて容積が変化させられる主エアチャンバと、その主エアチャンバに接続されて比較的少量の気体を収容可能な副エアチャンバとの連通の許容・遮断を切り換えることによってばね特性を変化させることができる。また、懸架シリンダを備えたサスペンションシステムであれば、懸架シリンダ装置との連通を許容されたアキュムレータの個数を切り換えることによって、ばね特性を変化させることができる。
特開2002−120536号公報
特開平8−67123号公報
特開2003−159924号公報
流体作動器は、比較的容易にばね特性を変化させることができる。例えば、エアサスペンションを備えたサスペンションシステムであれば、車輪と車体との接近離間に応じて容積が変化させられる主エアチャンバと、その主エアチャンバに接続されて比較的少量の気体を収容可能な副エアチャンバとの連通の許容・遮断を切り換えることによってばね特性を変化させることができる。また、懸架シリンダを備えたサスペンションシステムであれば、懸架シリンダ装置との連通を許容されたアキュムレータの個数を切り換えることによって、ばね特性を変化させることができる。
上記特許文献1,3には、互いに左右に隣り合う1対の流体作動器の連通を許容することにより、悪路走破性を高める技術が記載されている。しかしながら、良路ないし一般路において1対の流体作動器の連通を許容することは考慮されておらず、また、単に良路等において左右の連通を許容したとしてもメリットが少ないか、あるいは、車体のロールが増加しやすい等の悪影響が生じる場合があるという問題がある。上記特許文献2には、車輪と車体との相対変位量および相対速度に基づいて、主エアチャンバと副エアチャンバとの連通を許容・遮断することにより、車体の振動を抑制する技術が記載されている。しかしながら、ばね特性の切換を頻繁に行わなければならないという問題がある。
このような問題は、従来のサスペンションシステムの実用性を向上させる上で障害となり得る問題の一例であり、サスペンションシステムには種々の観点からの改良の余地がある。すなわち、従来のサスペンションシステムに改良を加えることによって、より適切に車体の姿勢変化を抑制できる等、サスペンションシステムをより実用的なものとすることが可能である。本発明は、そういった実情に鑑みてなされたものであり、サスペンションシステムの実用性を向上させることを課題としてなされたものである。
このような問題は、従来のサスペンションシステムの実用性を向上させる上で障害となり得る問題の一例であり、サスペンションシステムには種々の観点からの改良の余地がある。すなわち、従来のサスペンションシステムに改良を加えることによって、より適切に車体の姿勢変化を抑制できる等、サスペンションシステムをより実用的なものとすることが可能である。本発明は、そういった実情に鑑みてなされたものであり、サスペンションシステムの実用性を向上させることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明のサスペンションシステムは、車両の複数の車輪のうちの(a)車両の前側と後側との少なくとも一方において互いに左右に隣り合う2つのものと(b)車両の左側と右側とにおいてそれぞれ互いに前後に隣り合う2つずつのものとの一方である2つまたは4つの対応輪の各々と車体との接近離間を許容するとともにそれらを離間させる向きの離間力を発生させる2つまたは4つの流体作動器と、それら2つまたは4つの流体作動器の各々の対応するものと連通可能に接続されるとともに流体を加圧した状態で蓄える1つ以上ずつの加圧流体収容器とを含み、2つまたは4つの流体作動器の各々と前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の各々との連通を許容・遮断するとともに、2つまたは4つの流体作動器のうちの(a)互いに左右に隣り合うものを連通可能に接続する1つまたは2つの左右流体通路と、(b)互いに前後に隣り合うものを連通可能に接続する2つの前後流体通路との少なくとも一方の連通を必要に応じて個別に許容・遮断することにより、2つまたは4つの流体作動器の各々のばね特性を段階的に変更することを特徴とする。
本発明のサスペンションシステムによれば、互いに隣り合う2つの流体作動器との連通が許容される加圧流体収容器の個数を互いに異ならせた場合でも、それら2つの流体作動器間の連通を許容することにより、それらのばね特性を互いに同程度の特性にすることができる。したがって、本発明によれば、ばね特性の変更に際して、必要に応じて2つの流体作動器間の連通の許容・遮断を切り換えることにより、2つの流体作動器と加圧流体収容器との連通の切り換えの自由度を増加させることができる。すなわち、本発明によれば、サスペンションシステムの実用性を向上させることができるのである。なお、本発明のサスペンションシステムの各種態様およびそれらの作用および効果については、下記〔発明の態様〕の項において詳しく説明する。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から一部の構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に、(2)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、(5)項が請求項4に、それぞれ相当する。
(1)車両の複数の車輪のうちの(a)車両の前側と後側との少なくとも一方において互いに左右に隣り合う2つのものと(b)車両の左側と右側とにおいてそれぞれ互いに前後に隣り合う2つずつのものとの一方である2つまたは4つの対応輪の各々に対応して設けられ、流体を収容して前記2つまたは4つの対応輪の各々と車体との接近離間を許容するとともにその接近離間に伴い変化する流体の圧力によってそれらを離間させる向きの離間力を発生させる2つまたは4つの流体作動器と、
それら2つまたは4つの流体作動器の各々に対応して設けられ、それら2つまたは4つの流体作動器のうちの対応するものと連通可能に接続されるとともに流体を加圧した状態で蓄える1つ以上ずつの加圧流体収容器と、
前記2つまたは4つの流体作動器の各々に対応して設けられ、それら2つまたは4つの流体作動器の各々と前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の各々との連通を許容・遮断する2つまたは4つの第1切換弁装置と、
前記2つまたは4つの流体作動器のうちの(a)互いに左右に隣り合うものを連通可能に接続する1つまたは2つの左右流体通路と、(b)互いに前後に隣り合うものを連通可能に接続する2つの前後流体通路との少なくとも一方と、
前記1つまたは2つの左右流体通路と前記2つの前後流体通路との前記少なくとも一方の連通を個別に許容・遮断する第2切換弁装置と、
前記第1切換弁装置と前記第2切換弁装置とを制御して、前記2つまたは4つの流体作動器の各々のばね特性を段階的に変更するばね特性制御装置と
を含むサスペンションシステム。
本項の流体作動器は、例えば、エアサスペンションの主エアチャンバや、主アキュムレータを接続した懸架シリンダ等とすることができる。エアサスペンションについては主エアチャンバに連通可能に接続された比較的容量の小さな1以上の副エアチャンバ(加圧流体収容器)を設け、主エアチャンバとの連通が許容された副エアチャンバの個数を変更することによってばね特性を変更することができる。また、主アキュムレータを接続した懸架シリンダについても同様に、懸架シリンダとの連通が許容された副アキュムレータ(加圧流体収容器)の個数を変更することによってばね特性を変更することができる。
このようなばね特性の変更によって、例えば、車体のピッチングやローリングを適切に抑制することができる。ピッチングの抑制については、例えば、直進状態で減速がなされた場合に、車両の少なくとも前側において互いに左右に隣り合う2つの車輪に対応する2つの流体作動器(以後、特に必要がない限り「左右に対をなす流体作動器」と略称する)のばね特性を硬くする(いわゆるばね定数を大きくする)ことによってなされる。また、ローリングの抑制については、例えば、旋回時において、少なくとも旋回外輪側において前後に隣り合う2つの車輪に対応する2つの流体作動器(以後、特に必要がない限り「前後に対をなす流体作動器」と略称する)のばね特性を硬くすることによってなされる。
ここで、ばね特性を変更する際には、一般的に、前後または左右に対をなす流体作動器(以後、特に必要がない限り「対をなす流体作動器」と略称する)の各々のばね特性が、互いに同様な特性にされることが望ましい。例えば、直進状態における減速時に車体のピッチングを抑制すべく、前側において左右に対をなす流体作動器のばね特性が硬くされる場合、それらの硬さが互いに同程度にされることが望ましいのである。
そうすると、従来のサスペンションシステムにおいて、ばね特性を変更する際には、一般的に、対をなす流体作動器の各々との連通が許容される加圧流体収容器の個数を互いに同数にしなければならないという制約がある。
それに対して、本項の態様によれば、対をなす流体作動器との連通が許容される加圧流体収容器の個数を互いに異ならせた場合でも、対をなす流体作動器間の連通を許容することにより、それらのばね特性を同程度の特性にすることができる。したがって、本項の態様によれば、ばね特性の変更に際して、流体作動器と加圧流体収容器との連通の許容・遮断を切り換えるだけでなく、必要に応じて対をなす流体作動器間の連通の許容・遮断を切り換えることにより、流体作動器と加圧流体収容器との連通の切り換えの自由度を増加させることができる。すなわち、本項の態様によれば、より実用的なサスペンションシステムが得られるのである。
具体的には、例えば、本項の態様によれば、サスペンションシステムのフェールセーフ性を向上させること、コストアップを抑制しつつばね特性の段階数を増加させること、第1切換弁装置の負担を低減させること等のうちの少なくとも1つを実現することでサスペンションシステムをより実用的にすることができる。
フェールセーフ性の向上について説明する。例えば、何らかの異常によって対をなす流体作動器の一方のばね特性を変更できなくなった場合であっても、他方のばね特性を変更するとともに対をなす流体作動器間の連通を許容することによって、それらのばね特性を互いに同程度の特性にしつつ変更することができる。すなわち、上記一方が故障しても、応急的にばね特性を変更することが可能となり、フェールセーフ性が向上するのである。その他については、後に詳述する。
なお、本項の態様が、例えば、4つの流体作動器と、1つまたは2つの左右流体通路と、2つの前後流体通路とを含む場合に、加減速時における車体のピッチングを抑制する場合は、前後に対をなす流体作動器間の連通が遮断されることが望ましく、旋回時における車体のローリングを抑制する場合は、左右に対をなす流体作動器間の連通が遮断されることが望ましい。
ちなみに、従来のサスペンションシステムにおいて、対をなす流体作動器間の連通の許容・遮断の切り換えは、例えば、車高調整時に左右のバランスを調整する等のために行われていた。それに対して、本項の態様において、ばね特性を変更するために対をなす流体作動器間の連通の許容・遮断の切り換えが行われるのである。また、悪路の走破性を高めるために流体作動器間の連通の許容・遮断が切り換えられる場合もあるが、流体作動器と加圧流体収容器との連通の許容・遮断を切り換えずに、単に流体作動器間の連通を切り換えるだけでは、悪路以外の一般路においてほとんどメリットがないばかりか、ロールやピッチを抑制しにくくなるというデメリットが生じる。
本項の態様を、2つまたは4つの対応輪の各々に対応して設けられ、2つまたは4つの対応輪の各々と車体との接近離間を許容するとともにその接近離間に伴い弾性変形させられてそれらを離間させる向きの離間力を発生させる2つまたは4つのスプリングを含むものとすることができる。その場合には、各スプリングが発生させる力と各流体作動器が発生させる力とを合わせた力によって離間力が発生させられるようにすることができる。スプリングは、例えば、コイルばね、板ばね、トーションバー、エアばね等の少なくとも1つを含むものとすることができる。
(2)前記ばね特性制御装置が、
前記第2切換弁装置を制御して、(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々によって接続された1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの前記流体作動器と、(b)前記2つの前後流体通路の各々によって接続された2対の互いに前後に隣り合う2つの前記流体作動器との少なくとも一方の対の各々において、それら対をなす2つの流体作動器の各々との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数が互いに異なる場合に、前記対をなす2つの流体作動器間の連通を許容する作動器間連通制御部を含む(1)項に記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、連通が許容される加圧流体収容器の個数が、対をなす流体作動器ごとに同じになるようにされた従来のサスペンションシステムよりも、ばね特性の段階数を多くすることができ、より実用的なサスペンションシステムとなる。
加圧流体収容器の個数を増やすとコストが増加するため、一般的に、各車輪毎に設けられる加圧流体収容器の個数は比較的少なくされており(1つ,2つ程度)、流体作動器との連通が許容された加圧流体収容器の個数を変化させると、ばね特性が大幅に変化してしまうという問題があった。それに対して、本項の態様によれば、例えば、対をなす流体作動器で、それらとの連通が許容された合計数が1つ、3つ等の奇数個の加圧流体収容器を共用することにより、1つの流体作動器あたりの加圧流体収容器の容量をおおよそ0.5個分、1.5個分にすることができ、中間的なばね特性を実現することができる。すなわち、コストアップを抑制しつつばね特性の段階数を増加させることができるのである。
また、一般路を走行する場合に、急激な加減速や旋回が行われることは稀であり、通常は緩やかな加減速や旋回が行われる。したがって、急激な加減速や旋回に対してばね特性を比較的大きく変化させることを可能にするとともに、比較的多用される緩やかな加減速や旋回に対してばね特性の変化を比較的小さくすることを可能にすることが望ましい。そのような実情からも、コストアップを抑制しつつ、より多段階でばね特性を変更できることが望ましいのである。
(3)前記作動器間連通制御部が、前記対をなす2つの流体作動器の各々との連通が許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数が前記第1切換弁装置によって互いに同じにされる場合に、前記対をなす2つの流体作動器間の連通を前記第2切換弁装置によって切り換えないものである(2)項に記載のサスペンションシステム。
例えば、本項の態様とは異なるが、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が互いに異なる場合に対をなす流体作動器間の連通を許容し、個数が互いに同じ場合に対をなす流体作動器間の連通を遮断するように制御することもできる。その場合には、連通が許容された加圧流体収容器の個数が同じ状態と異なる状態とが切り換わる度に第2切換弁装置が作動することとなる。
それに対して、本項の態様は、例えば、ばね特性の変更により、それらの各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が同じにされる際に、対をなす流体作動器間の連通状態が、ばね特性の変更前の状態に維持されるものである。そのため、上記の例と比較して、第2切換弁装置の作動量(作動回数、作動頻度)を低減することができる。すなわち、本項の態様によれば、第2切換弁装置の負担を軽減することができる。
具体的な例を示すと、ばね特性の変更前の状態が、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が互いに異なり、対をなす流体作動器間の連通が許容された状態であった場合には、ばね特性の変更後において、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が互いに同じであったとしても対をなす流体作動器間の連通が許容された状態が維持される。逆に、ばね特性の変更前の状態が、対をなす流体作動器間の連通が遮断された状態であった場合には、ばね特性の変更後において、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が互いに同じである場合には、対をなす流体作動器間の連通が遮断された状態が維持される。
なお、対をなす流体作動器間の連通は、走行状態やその他の条件によっては、ばね特性の変更前の状態を維持できない場合もあるが、その様な場合にまで変更前の状態を維持する必要はない。例えば、加減速状態であれば前後に対をなす流体作動器間の連通が遮断され、旋回状態であれば左右に対をなす流体作動器間の連通が遮断されることが望ましい。すなわち、ばね特性の変更後において、連通の許容・遮断を選択可能な場合に、変更前の状態を維持するものとすることができるのである。
(4)前記ばね特性制御装置が、
前記第1切換弁装置を制御して、(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々によって接続された1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの前記流体作動器と、(b)前記2つの前後流体通路の各々によって接続された2対の互いに前後に隣り合う2つの前記流体作動器との少なくとも一方の対の各々において、前記対をなす2つの流体作動器との連通が許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数の合計数を変更することによって前記2つの流体作動器のばね特性を変更する連通収容器数制御部を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、連通が許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数を、各流体作動器毎に変更するのではなく、対をなす流体作動器についての合計数を変更することにより、全体で奇数個にする等、上記加圧流体収容器の個数の選択の自由度を大きくすることができる。特に、上記(2)項または(3)項に従属する場合に好適である。
また、全体で偶数個にする場合であっても、各流体作動器との連通が許容された加圧流体収容器の個数が2つ以上ずつである場合には、例えば、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数を互いに異ならせるといったことも可能である。そのような態様は、例えば、対をなす流体作動器の一方について加圧流体収容器との連通状態を切り換えることができなくなった場合等に効果的であり、サスペンションシステムのフェールセーフ性を向上させることができる。
(5)前記連通収容器数制御部が、前記対をなす2つの前記流体作動器の各々との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数が互いに等しくされるとともに標準のばね特性とされた標準状態から前記2つの流体作動器のいずれか一方との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数を1つ増減させる場合に、前記対をなす2つの流体作動器の各々と対応する前記2つの第1切換弁装置のうちのそれら第1切換弁装置間の作動量の差の増大を抑制するものを作動させる作動量平均化部を含む(4)項に記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、連通が許容される加圧流体収容器の個数が、対をなす流体作動器ごとに同じになるようにされた従来のサスペンションシステムよりも、第1切換弁装置の負担を少なくすることができ、より実用的なサスペンションシステムとなる。
例えば、減速時のピッチングを抑制する際に、前側において左右に対をなす流体作動器のばね特性をハード,ミディアム,ソフトの3段階で変更する場合、従来のサスペンションシステムでは、左右合わせて4つの加圧流体収容器が設けられ、ばね特性を変更する度に、対をなす流体作動器に対応する2つの第1切換弁装置の両者が同時に作動させられることとなる。それに対して、本項の態様によれば、ばね特性を3段階で変更するために左右合わせて2つの加圧流体収容器が設けられ、ばね特性がミディアムにされる場合は、対をなす流体作動器によって1つの加圧流体収容器を共用することとなり、一方の流体作動器に対応する第1切換弁装置が連通を許容し、他方の流体作動器に対応する第1切換弁装置が連通を遮断する状態にされる。すなわち、ばね特性をソフトとミディアムとの間で変更する場合には、一方の第1切換弁装置の状態を変更し、他方の第1切換弁装置の状態をばね特性の変更前の状態に維持することで切換弁を作動させずに済むため、2つの第1切換弁装置の作動量を低減することができるのである。
上記の例において、急な減速においてばね特性がハードにされる場合、本項の態様と従来のサスペンションシステムとは、第1切換弁装置の作動量に違いは生じないが、前述のように、一般路を走行する場合は、主として緩やかな加減速や旋回が行われるため、ばね特性をソフトとミディアムとの間で変更すれば事足りる場合が多く、トータルとして第1切換弁装置の作動量を低減させることができる。
(6)前記連通収容器数制御部が、
(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々によって接続された1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの前記流体作動器の対の各々において、車両の加速状態と減速状態との少なくとも一方に基づいて前記合計数を決定する加減速状態依拠決定部と、
(b)前記2つの前後流体通路の各々によって接続された2対の互いに前後に隣り合う2つの前記流体作動器の対の各々において、車両の旋回状態に基づいて前記合計数を決定する旋回状態依拠決定部と
の少なくとも一方を含む(4)項または(5)項に記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、例えば、加速状態や減速状態においてピッチングを抑制する場合に、左右に隣り合う2つの流体作動器を対とみなして合計数を決定することと、旋回状態においてローリングを抑制する場合に、前後に隣り合う2つの流体作動器を対とみなして合計数を決定することとの少なくとも一方を行うものである。したがって、例えば、4つの車輪の各々に対応して流体作動器が設けられていた場合に、加減速状態であれば左右に隣り合う流体作動器を対とみなし、旋回状態であれば前後に隣り合う流体作動器を対とみなすことができる。このように、走行状態等に応じて、前後と左右との一方の対をなす流体作動器について、合計数を決定することにより、ピッチングとローリングとの少なくとも一方を適切に抑制することができるのである。
(7)当該サスペンションシステムが、前記2つまたは4つの流体作動器の各々に流体の供給・排出を行う流体給排装置と、その流体給排装置と前記2つまたは4つの流体作動器の各々とを接続する2つまたは4つの流体給排通路とを含み、
(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々が、前記2つまたは4つの流体給排通路のうちの前記1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの流体作動器に対応して対をなすもの同士を接続するものであり、(b)前記2つの前後流体通路の各々が、前記4つの流体給排通路のうちの前記2対の互いに前後に隣り合う2つの流体作動器に対応して対をなすもの同士を接続するものである(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、車高を調整するための流体給排装置と流体給排通路とを含むものである。各流体給排通路は、例えば、各流体作動器から流体給排装置が配置された場所まで配設されたものとすることができ、その場合には、各流体給排通路のうちの対をなす流体作動器に対応する流体給排通路の各々の比較的近接する部分を互いに接続すれば、容易に対をなす流体作動器間の連通を許容することができる。
それら2つまたは4つの流体作動器の各々に対応して設けられ、それら2つまたは4つの流体作動器のうちの対応するものと連通可能に接続されるとともに流体を加圧した状態で蓄える1つ以上ずつの加圧流体収容器と、
前記2つまたは4つの流体作動器の各々に対応して設けられ、それら2つまたは4つの流体作動器の各々と前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の各々との連通を許容・遮断する2つまたは4つの第1切換弁装置と、
前記2つまたは4つの流体作動器のうちの(a)互いに左右に隣り合うものを連通可能に接続する1つまたは2つの左右流体通路と、(b)互いに前後に隣り合うものを連通可能に接続する2つの前後流体通路との少なくとも一方と、
前記1つまたは2つの左右流体通路と前記2つの前後流体通路との前記少なくとも一方の連通を個別に許容・遮断する第2切換弁装置と、
前記第1切換弁装置と前記第2切換弁装置とを制御して、前記2つまたは4つの流体作動器の各々のばね特性を段階的に変更するばね特性制御装置と
を含むサスペンションシステム。
本項の流体作動器は、例えば、エアサスペンションの主エアチャンバや、主アキュムレータを接続した懸架シリンダ等とすることができる。エアサスペンションについては主エアチャンバに連通可能に接続された比較的容量の小さな1以上の副エアチャンバ(加圧流体収容器)を設け、主エアチャンバとの連通が許容された副エアチャンバの個数を変更することによってばね特性を変更することができる。また、主アキュムレータを接続した懸架シリンダについても同様に、懸架シリンダとの連通が許容された副アキュムレータ(加圧流体収容器)の個数を変更することによってばね特性を変更することができる。
このようなばね特性の変更によって、例えば、車体のピッチングやローリングを適切に抑制することができる。ピッチングの抑制については、例えば、直進状態で減速がなされた場合に、車両の少なくとも前側において互いに左右に隣り合う2つの車輪に対応する2つの流体作動器(以後、特に必要がない限り「左右に対をなす流体作動器」と略称する)のばね特性を硬くする(いわゆるばね定数を大きくする)ことによってなされる。また、ローリングの抑制については、例えば、旋回時において、少なくとも旋回外輪側において前後に隣り合う2つの車輪に対応する2つの流体作動器(以後、特に必要がない限り「前後に対をなす流体作動器」と略称する)のばね特性を硬くすることによってなされる。
ここで、ばね特性を変更する際には、一般的に、前後または左右に対をなす流体作動器(以後、特に必要がない限り「対をなす流体作動器」と略称する)の各々のばね特性が、互いに同様な特性にされることが望ましい。例えば、直進状態における減速時に車体のピッチングを抑制すべく、前側において左右に対をなす流体作動器のばね特性が硬くされる場合、それらの硬さが互いに同程度にされることが望ましいのである。
そうすると、従来のサスペンションシステムにおいて、ばね特性を変更する際には、一般的に、対をなす流体作動器の各々との連通が許容される加圧流体収容器の個数を互いに同数にしなければならないという制約がある。
それに対して、本項の態様によれば、対をなす流体作動器との連通が許容される加圧流体収容器の個数を互いに異ならせた場合でも、対をなす流体作動器間の連通を許容することにより、それらのばね特性を同程度の特性にすることができる。したがって、本項の態様によれば、ばね特性の変更に際して、流体作動器と加圧流体収容器との連通の許容・遮断を切り換えるだけでなく、必要に応じて対をなす流体作動器間の連通の許容・遮断を切り換えることにより、流体作動器と加圧流体収容器との連通の切り換えの自由度を増加させることができる。すなわち、本項の態様によれば、より実用的なサスペンションシステムが得られるのである。
具体的には、例えば、本項の態様によれば、サスペンションシステムのフェールセーフ性を向上させること、コストアップを抑制しつつばね特性の段階数を増加させること、第1切換弁装置の負担を低減させること等のうちの少なくとも1つを実現することでサスペンションシステムをより実用的にすることができる。
フェールセーフ性の向上について説明する。例えば、何らかの異常によって対をなす流体作動器の一方のばね特性を変更できなくなった場合であっても、他方のばね特性を変更するとともに対をなす流体作動器間の連通を許容することによって、それらのばね特性を互いに同程度の特性にしつつ変更することができる。すなわち、上記一方が故障しても、応急的にばね特性を変更することが可能となり、フェールセーフ性が向上するのである。その他については、後に詳述する。
なお、本項の態様が、例えば、4つの流体作動器と、1つまたは2つの左右流体通路と、2つの前後流体通路とを含む場合に、加減速時における車体のピッチングを抑制する場合は、前後に対をなす流体作動器間の連通が遮断されることが望ましく、旋回時における車体のローリングを抑制する場合は、左右に対をなす流体作動器間の連通が遮断されることが望ましい。
ちなみに、従来のサスペンションシステムにおいて、対をなす流体作動器間の連通の許容・遮断の切り換えは、例えば、車高調整時に左右のバランスを調整する等のために行われていた。それに対して、本項の態様において、ばね特性を変更するために対をなす流体作動器間の連通の許容・遮断の切り換えが行われるのである。また、悪路の走破性を高めるために流体作動器間の連通の許容・遮断が切り換えられる場合もあるが、流体作動器と加圧流体収容器との連通の許容・遮断を切り換えずに、単に流体作動器間の連通を切り換えるだけでは、悪路以外の一般路においてほとんどメリットがないばかりか、ロールやピッチを抑制しにくくなるというデメリットが生じる。
本項の態様を、2つまたは4つの対応輪の各々に対応して設けられ、2つまたは4つの対応輪の各々と車体との接近離間を許容するとともにその接近離間に伴い弾性変形させられてそれらを離間させる向きの離間力を発生させる2つまたは4つのスプリングを含むものとすることができる。その場合には、各スプリングが発生させる力と各流体作動器が発生させる力とを合わせた力によって離間力が発生させられるようにすることができる。スプリングは、例えば、コイルばね、板ばね、トーションバー、エアばね等の少なくとも1つを含むものとすることができる。
(2)前記ばね特性制御装置が、
前記第2切換弁装置を制御して、(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々によって接続された1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの前記流体作動器と、(b)前記2つの前後流体通路の各々によって接続された2対の互いに前後に隣り合う2つの前記流体作動器との少なくとも一方の対の各々において、それら対をなす2つの流体作動器の各々との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数が互いに異なる場合に、前記対をなす2つの流体作動器間の連通を許容する作動器間連通制御部を含む(1)項に記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、連通が許容される加圧流体収容器の個数が、対をなす流体作動器ごとに同じになるようにされた従来のサスペンションシステムよりも、ばね特性の段階数を多くすることができ、より実用的なサスペンションシステムとなる。
加圧流体収容器の個数を増やすとコストが増加するため、一般的に、各車輪毎に設けられる加圧流体収容器の個数は比較的少なくされており(1つ,2つ程度)、流体作動器との連通が許容された加圧流体収容器の個数を変化させると、ばね特性が大幅に変化してしまうという問題があった。それに対して、本項の態様によれば、例えば、対をなす流体作動器で、それらとの連通が許容された合計数が1つ、3つ等の奇数個の加圧流体収容器を共用することにより、1つの流体作動器あたりの加圧流体収容器の容量をおおよそ0.5個分、1.5個分にすることができ、中間的なばね特性を実現することができる。すなわち、コストアップを抑制しつつばね特性の段階数を増加させることができるのである。
また、一般路を走行する場合に、急激な加減速や旋回が行われることは稀であり、通常は緩やかな加減速や旋回が行われる。したがって、急激な加減速や旋回に対してばね特性を比較的大きく変化させることを可能にするとともに、比較的多用される緩やかな加減速や旋回に対してばね特性の変化を比較的小さくすることを可能にすることが望ましい。そのような実情からも、コストアップを抑制しつつ、より多段階でばね特性を変更できることが望ましいのである。
(3)前記作動器間連通制御部が、前記対をなす2つの流体作動器の各々との連通が許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数が前記第1切換弁装置によって互いに同じにされる場合に、前記対をなす2つの流体作動器間の連通を前記第2切換弁装置によって切り換えないものである(2)項に記載のサスペンションシステム。
例えば、本項の態様とは異なるが、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が互いに異なる場合に対をなす流体作動器間の連通を許容し、個数が互いに同じ場合に対をなす流体作動器間の連通を遮断するように制御することもできる。その場合には、連通が許容された加圧流体収容器の個数が同じ状態と異なる状態とが切り換わる度に第2切換弁装置が作動することとなる。
それに対して、本項の態様は、例えば、ばね特性の変更により、それらの各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が同じにされる際に、対をなす流体作動器間の連通状態が、ばね特性の変更前の状態に維持されるものである。そのため、上記の例と比較して、第2切換弁装置の作動量(作動回数、作動頻度)を低減することができる。すなわち、本項の態様によれば、第2切換弁装置の負担を軽減することができる。
具体的な例を示すと、ばね特性の変更前の状態が、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が互いに異なり、対をなす流体作動器間の連通が許容された状態であった場合には、ばね特性の変更後において、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が互いに同じであったとしても対をなす流体作動器間の連通が許容された状態が維持される。逆に、ばね特性の変更前の状態が、対をなす流体作動器間の連通が遮断された状態であった場合には、ばね特性の変更後において、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数が互いに同じである場合には、対をなす流体作動器間の連通が遮断された状態が維持される。
なお、対をなす流体作動器間の連通は、走行状態やその他の条件によっては、ばね特性の変更前の状態を維持できない場合もあるが、その様な場合にまで変更前の状態を維持する必要はない。例えば、加減速状態であれば前後に対をなす流体作動器間の連通が遮断され、旋回状態であれば左右に対をなす流体作動器間の連通が遮断されることが望ましい。すなわち、ばね特性の変更後において、連通の許容・遮断を選択可能な場合に、変更前の状態を維持するものとすることができるのである。
(4)前記ばね特性制御装置が、
前記第1切換弁装置を制御して、(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々によって接続された1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの前記流体作動器と、(b)前記2つの前後流体通路の各々によって接続された2対の互いに前後に隣り合う2つの前記流体作動器との少なくとも一方の対の各々において、前記対をなす2つの流体作動器との連通が許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数の合計数を変更することによって前記2つの流体作動器のばね特性を変更する連通収容器数制御部を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、連通が許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数を、各流体作動器毎に変更するのではなく、対をなす流体作動器についての合計数を変更することにより、全体で奇数個にする等、上記加圧流体収容器の個数の選択の自由度を大きくすることができる。特に、上記(2)項または(3)項に従属する場合に好適である。
また、全体で偶数個にする場合であっても、各流体作動器との連通が許容された加圧流体収容器の個数が2つ以上ずつである場合には、例えば、対をなす流体作動器の各々との連通が許容された加圧流体収容器の個数を互いに異ならせるといったことも可能である。そのような態様は、例えば、対をなす流体作動器の一方について加圧流体収容器との連通状態を切り換えることができなくなった場合等に効果的であり、サスペンションシステムのフェールセーフ性を向上させることができる。
(5)前記連通収容器数制御部が、前記対をなす2つの前記流体作動器の各々との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数が互いに等しくされるとともに標準のばね特性とされた標準状態から前記2つの流体作動器のいずれか一方との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数を1つ増減させる場合に、前記対をなす2つの流体作動器の各々と対応する前記2つの第1切換弁装置のうちのそれら第1切換弁装置間の作動量の差の増大を抑制するものを作動させる作動量平均化部を含む(4)項に記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、連通が許容される加圧流体収容器の個数が、対をなす流体作動器ごとに同じになるようにされた従来のサスペンションシステムよりも、第1切換弁装置の負担を少なくすることができ、より実用的なサスペンションシステムとなる。
例えば、減速時のピッチングを抑制する際に、前側において左右に対をなす流体作動器のばね特性をハード,ミディアム,ソフトの3段階で変更する場合、従来のサスペンションシステムでは、左右合わせて4つの加圧流体収容器が設けられ、ばね特性を変更する度に、対をなす流体作動器に対応する2つの第1切換弁装置の両者が同時に作動させられることとなる。それに対して、本項の態様によれば、ばね特性を3段階で変更するために左右合わせて2つの加圧流体収容器が設けられ、ばね特性がミディアムにされる場合は、対をなす流体作動器によって1つの加圧流体収容器を共用することとなり、一方の流体作動器に対応する第1切換弁装置が連通を許容し、他方の流体作動器に対応する第1切換弁装置が連通を遮断する状態にされる。すなわち、ばね特性をソフトとミディアムとの間で変更する場合には、一方の第1切換弁装置の状態を変更し、他方の第1切換弁装置の状態をばね特性の変更前の状態に維持することで切換弁を作動させずに済むため、2つの第1切換弁装置の作動量を低減することができるのである。
上記の例において、急な減速においてばね特性がハードにされる場合、本項の態様と従来のサスペンションシステムとは、第1切換弁装置の作動量に違いは生じないが、前述のように、一般路を走行する場合は、主として緩やかな加減速や旋回が行われるため、ばね特性をソフトとミディアムとの間で変更すれば事足りる場合が多く、トータルとして第1切換弁装置の作動量を低減させることができる。
(6)前記連通収容器数制御部が、
(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々によって接続された1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの前記流体作動器の対の各々において、車両の加速状態と減速状態との少なくとも一方に基づいて前記合計数を決定する加減速状態依拠決定部と、
(b)前記2つの前後流体通路の各々によって接続された2対の互いに前後に隣り合う2つの前記流体作動器の対の各々において、車両の旋回状態に基づいて前記合計数を決定する旋回状態依拠決定部と
の少なくとも一方を含む(4)項または(5)項に記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、例えば、加速状態や減速状態においてピッチングを抑制する場合に、左右に隣り合う2つの流体作動器を対とみなして合計数を決定することと、旋回状態においてローリングを抑制する場合に、前後に隣り合う2つの流体作動器を対とみなして合計数を決定することとの少なくとも一方を行うものである。したがって、例えば、4つの車輪の各々に対応して流体作動器が設けられていた場合に、加減速状態であれば左右に隣り合う流体作動器を対とみなし、旋回状態であれば前後に隣り合う流体作動器を対とみなすことができる。このように、走行状態等に応じて、前後と左右との一方の対をなす流体作動器について、合計数を決定することにより、ピッチングとローリングとの少なくとも一方を適切に抑制することができるのである。
(7)当該サスペンションシステムが、前記2つまたは4つの流体作動器の各々に流体の供給・排出を行う流体給排装置と、その流体給排装置と前記2つまたは4つの流体作動器の各々とを接続する2つまたは4つの流体給排通路とを含み、
(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々が、前記2つまたは4つの流体給排通路のうちの前記1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの流体作動器に対応して対をなすもの同士を接続するものであり、(b)前記2つの前後流体通路の各々が、前記4つの流体給排通路のうちの前記2対の互いに前後に隣り合う2つの流体作動器に対応して対をなすもの同士を接続するものである(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のサスペンションシステム。
本項の態様は、車高を調整するための流体給排装置と流体給排通路とを含むものである。各流体給排通路は、例えば、各流体作動器から流体給排装置が配置された場所まで配設されたものとすることができ、その場合には、各流体給排通路のうちの対をなす流体作動器に対応する流体給排通路の各々の比較的近接する部分を互いに接続すれば、容易に対をなす流体作動器間の連通を許容することができる。
以下、請求可能発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施例であるサスペンションシステムを概念的に示す。本実施例において、サスペンションシステムは、4つの車輪12の各々と車体14とを接近離間可能に連結するサスペンション装置20と、車高を調整する際にサスペンション装置20に作動液の供給・排出を行う作動液給排装置24とを含む。
サスペンション装置20について詳細に説明する。
図1に示すサスペンション装置20は、前後左右輪12FL,FR,RL,RRの各々を保持する車輪保持装置28FL,FR,RL,RRと、それら車輪保持装置28の各々と車体14との間に設けられた作動液収容作動部としての懸架シリンダ30FL,FR,RL,RRとを含んでいる。各懸架シリンダ30は各サスペンションスプリング32(本実施例において圧縮コイルスプリングとされている)と並列に設けられている。各懸架シリンダ30は作動液により作動させられる。以下、懸架シリンダ30等に車輪位置を表す符号FL,FR,RL,RRを付して使用する場合がある。
図1に示すサスペンション装置20は、前後左右輪12FL,FR,RL,RRの各々を保持する車輪保持装置28FL,FR,RL,RRと、それら車輪保持装置28の各々と車体14との間に設けられた作動液収容作動部としての懸架シリンダ30FL,FR,RL,RRとを含んでいる。各懸架シリンダ30は各サスペンションスプリング32(本実施例において圧縮コイルスプリングとされている)と並列に設けられている。各懸架シリンダ30は作動液により作動させられる。以下、懸架シリンダ30等に車輪位置を表す符号FL,FR,RL,RRを付して使用する場合がある。
各懸架シリンダ30は、互いに構造が同じものであり、それぞれ、ハウジング34と、ハウジング34の内部に相対移動可能に嵌合されたピストン36と、ピストン36からハウジング34の外部まで延び出させられたピストンロッド38とを含み、ピストンロッド38が車体14に、ハウジング34が車輪保持装置28に、それぞれ上下方向に相対移動不能に連結されている。ピストンロッド38は、サスペンションスプリング32を保持するスプリングリテーナ46にゴム等の弾性部材を介して取り付けられ、スプリングリテーナ46が車体14に上下方向に相対移動不能に取り付けられている。
ピストン36には、そのピストン36により仕切られた2つの液室50,52を連通させる連通路54が設けられ、連通路54には絞り56が設けられている。絞り56により、ピストン36のハウジング34に対する相対移動速度(絞り56を流れる作動液の流速)に応じた減衰力が発生させられる。つまり、懸架シリンダ30はショックアブソーバとしての機能を有している。
ピストン36には、そのピストン36により仕切られた2つの液室50,52を連通させる連通路54が設けられ、連通路54には絞り56が設けられている。絞り56により、ピストン36のハウジング34に対する相対移動速度(絞り56を流れる作動液の流速)に応じた減衰力が発生させられる。つまり、懸架シリンダ30はショックアブソーバとしての機能を有している。
各懸架シリンダ30の液室50には、それぞれ、流体給排通路たる個別制御通路60FL,FR,RL,RRが接続されている。各個別制御通路60には、各懸架シリンダ30に対応して、互いに並列にアキュムレータ62FL,FR,RL,RRとアキュムレータ64FL,FR,RL,RRとが接続されている。また、各懸架シリンダ30と各アキュムレータ64との間には、それぞればね定数の一種であるホイールレートを切り換えるホイールレート切換弁70FL,FR,RL,RRが設けられている。なお、ホイールレートは、設定された荷重状態において車輪中心と車体とを鉛直方向に単位距離近づけるのに必要な接地荷重の増加量であり、サスペンションレートとも称される。個別制御通路60の各々には、液圧を検出する通路液圧センサ72FL,FR,RL,RRが設けられている。
アキュムレータ62,64の各々は、いずれもばねとしての機能を有するものであり、例えば、図示しないハウジングとそのハウジングの内側を仕切る仕切部材とを含み、その仕切部材の一方の容積変化室(作動液蓄積室と称する)に個別制御通路60が連通させられ、他方の容積変化室(弾性力発生室と称する)に弾性体が設けられたものであり、一方の容積変化室の容積の増加に起因して他方の容積変化室の容積が減少し、それによって弾性力を発生させるものとすることができる。アキュムレータ62,64は、ベローズ式のものとしたり、ブラダ式のものとしたり、ピストン式のものとしたりすること等ができる。
本実施例においては、アキュムレータ62の方がアキュムレータ64よりばね定数が大きいものとされており、以下、アキュムレータ62を高圧アキュムレータと称し、アキュムレータ64を低圧アキュムレータと称する。ホイールレート切換弁70(以後、特に必要がない限り「レート切換弁70」と略記する)は常開の電磁開閉弁である。
本実施例においては、アキュムレータ62の方がアキュムレータ64よりばね定数が大きいものとされており、以下、アキュムレータ62を高圧アキュムレータと称し、アキュムレータ64を低圧アキュムレータと称する。ホイールレート切換弁70(以後、特に必要がない限り「レート切換弁70」と略記する)は常開の電磁開閉弁である。
各個別制御通路60と各低圧アキュムレータ64とは、レート切換弁70をバイパスして接続するバイパス通路74によって接続されている。そのバイパス通路74には絞り76が設けられており、定常状態(静的な状態)において作動液の流れが許容されるが、過渡状態(動的な状態)において作動液の流れが阻止されるようにされている。すなわち、レート切換弁70が閉状態とされた後に、低圧アキュムレータ64の液圧と個別制御通路60の液圧とに差が生じたとしても、作動液が少しずつ移動することができるため、ある程度の時間が経てば液圧差が緩和され、ホイールレート切換時に生じる脈動が低減されるのである。一方、レート切換弁70が閉じられた状態で旋回あるいは制動・駆動が行われた際には、バイパス通路74の過渡的な流体の流れが絞り76によって抑制されるため、ホイールレートが大きくされた状態が保たれ、ロール、ピッチが良好に抑制されることとなる。なお、上記バイパス通路74および絞り76を省略することは可能である。
各個別制御通路60には、それぞれ、可変絞り80FL,FR,RL,RRが設けられている。前述のように、車輪保持装置28の車体14に対する相対的な上下動により液室50において作動液が流入・流出させられるが、この場合に、可変絞り80によって個別制御通路60の流路面積が制御されることにより、懸架シリンダ30において発生させられる減衰力が制御される。本実施例においては、可変絞り80等により減衰力制御機構が構成されているのである。
各個別制御通路60には車高変更装置たる作動液給排装置24(流体給排装置の一種である)が接続されている。
作動液給排装置24は、高圧源100、低圧源としてのリザーバ102、個別制御弁装置104等を含む。高圧源100は、ポンプ110とそのポンプ110を駆動する電動モータ112とを備えたポンプ装置114、蓄圧用アキュムレータ116等を含む。ポンプ装置114,蓄圧用アキュムレータ116等は共通制御通路120に設けられ、ポンプ装置114と蓄圧用アキュムレータ116とは互いに接続されている。ポンプ110によってリザーバ102の作動液が汲み上げられて吐出され、蓄圧用アキュムレータ116において加圧した状態で蓄えられたり、懸架シリンダ30FR、FL、RR、RLに供給されたりする。本実施例において、ポンプ110はギヤポンプである。
作動液給排装置24は、高圧源100、低圧源としてのリザーバ102、個別制御弁装置104等を含む。高圧源100は、ポンプ110とそのポンプ110を駆動する電動モータ112とを備えたポンプ装置114、蓄圧用アキュムレータ116等を含む。ポンプ装置114,蓄圧用アキュムレータ116等は共通制御通路120に設けられ、ポンプ装置114と蓄圧用アキュムレータ116とは互いに接続されている。ポンプ110によってリザーバ102の作動液が汲み上げられて吐出され、蓄圧用アキュムレータ116において加圧した状態で蓄えられたり、懸架シリンダ30FR、FL、RR、RLに供給されたりする。本実施例において、ポンプ110はギヤポンプである。
蓄圧用アキュムレータ116は、前述のアキュムレータ62,64と同様の構造にされるとともに、それらよりも作動液収容室の容量が大きく、より高圧で作動液を蓄えるものとされている。蓄圧用アキュムレータ116は常閉の電磁開閉弁である蓄圧制御弁122を介して共通制御通路120に接続されている。
共通制御通路120には、ポンプ装置114の吐出液圧や、アキュムレータ液圧を検出する液圧源液圧センサ124、逆止弁126および消音用アキュムレータ128が設けられている。また、共通制御通路120のポンプ装置114の高圧側とリザーバ102とを接続する流出通路130が設けられ、その流出通路130にはポンプ装置114の吐出液圧によって閉状態にされる常開の流出制御弁132が設けられている。
共通制御通路120には、ポンプ装置114の吐出液圧や、アキュムレータ液圧を検出する液圧源液圧センサ124、逆止弁126および消音用アキュムレータ128が設けられている。また、共通制御通路120のポンプ装置114の高圧側とリザーバ102とを接続する流出通路130が設けられ、その流出通路130にはポンプ装置114の吐出液圧によって閉状態にされる常開の流出制御弁132が設けられている。
個別制御弁装置104は、各個別制御通路60(流体給排通路の一種である)に設けられた個別制御弁140FL,FR,RL,RRを含む。また、個別制御通路60FL、FRを接続する前輪側左右連通路142に左右連通弁144が設けられ、個別制御通路60RL、RRを接続する後輪側左右連通路146に左右連通弁148が設けられている。同様に、個別制御通路60FL,RLを接続する左側前後連通路152に前後連通弁154が設けられ、個別制御通路60FR,RRを接続する右側前後連通路156に前後連通弁158が設けられている。
各個別制御弁140、左右連通弁144,148、前後連通弁154,158は、常閉の電磁開閉弁であり、通常は、図示する原位置において各懸架シリンダ30とポンプ装置114等との連通が遮断され、車高が一定に保たれるようにされている。
各個別制御弁140、左右連通弁144,148、前後連通弁154,158は、常閉の電磁開閉弁であり、通常は、図示する原位置において各懸架シリンダ30とポンプ装置114等との連通が遮断され、車高が一定に保たれるようにされている。
本実施例において、車高が変更される際に、4つの車輪12の各々に対応する車高の制御が作動液給排装置24の制御により行われる。つまり、左右連通弁144,148および前後連通弁154,158の閉状態において各個別制御弁140を個別に制御することにより、各車輪12を保持する各車輪保持装置28とそれに対応する車体14の部分(各懸架シリンダ30に対応する部分)との間の基準となる離間距離である基準離間距離(つまり、車両静止時の離間距離)である車高が独立に制御される。
例えば、左前輪12FLについて車高を大きくする場合には、ポンプ装置114が作動させられるとともに蓄圧制御弁122が連通状態とされ、かつ、個別制御弁140FLが連通状態とされる。ポンプ装置114の作動により流出制御弁132が閉状態に切り換えられるため、ポンプ装置114から吐出された作動液が懸架シリンダ30FLに供給され、車高が大きくなる。懸架シリンダ30FLには、蓄圧用アキュムレータ116からも作動液が供給される。左前輪12FLについて、実際の車高が目標値に達すると、個別制御弁140FLが遮断状態とされ、ポンプ装置114の作動が停止させられる。
車高を小さくする場合は、個別制御弁140FLが連通状態とされる。ポンプ装置114は停止状態にあるため、流出制御弁132は連通状態にある。懸架シリンダ30FLからリザーバ102に作動液が流出させられて、実際の車高が目標値に達すると、個別制御弁140FLが遮断状態とされる。他の車輪12FR,RL,RRについて車高を増減する場合も同様である。
例えば、左前輪12FLについて車高を大きくする場合には、ポンプ装置114が作動させられるとともに蓄圧制御弁122が連通状態とされ、かつ、個別制御弁140FLが連通状態とされる。ポンプ装置114の作動により流出制御弁132が閉状態に切り換えられるため、ポンプ装置114から吐出された作動液が懸架シリンダ30FLに供給され、車高が大きくなる。懸架シリンダ30FLには、蓄圧用アキュムレータ116からも作動液が供給される。左前輪12FLについて、実際の車高が目標値に達すると、個別制御弁140FLが遮断状態とされ、ポンプ装置114の作動が停止させられる。
車高を小さくする場合は、個別制御弁140FLが連通状態とされる。ポンプ装置114は停止状態にあるため、流出制御弁132は連通状態にある。懸架シリンダ30FLからリザーバ102に作動液が流出させられて、実際の車高が目標値に達すると、個別制御弁140FLが遮断状態とされる。他の車輪12FR,RL,RRについて車高を増減する場合も同様である。
また、懸架シリンダ30の各々の減衰特性の制御が各可変絞り80の制御により行われる。可変絞り80により個別制御通路60の流路面積が小さくされた場合には、減衰力が大きくなり、流路面積が大きくされた場合には減衰力が小さくなる。
ホイールレートの切換について説明する。
サスペンション装置20においては、レート切換弁70および個別制御弁装置104の制御によりホイールレートが3段階(ソフト,ミディアム,ハード)に切り換えられる。
ホイールレートが小さい状態(ソフト)では、レート切換弁70が連通状態とされ、1つの液室50に2つのアキュムレータ62,64が連通させられる。
ホイールレートが大きい状態(ハード)では、レート切換弁70が遮断状態とされ、低圧アキュムレータ64が遮断されて1つの液室50に高圧アキュムレータ62のみが連通させられる。
ホイールレートが中間の状態(ミディアム)では、例えば、互いに左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30FL,FRにおいて、左右2つのレート切換弁70FL,FRの一方が連通状態にされて他方が遮断状態にされるとともに、左右連通弁144が開状態にされて懸架シリンダ30FL,FR間の連通が許容される。この場合、左右2つの懸架シリンダ30FL,FRには、合わせて、1つの低圧アキュムレータ64と2つの高圧アキュムレータ62とが連通状態にされる。
なお、互いに前後に隣り合う2つの懸架シリンダ30のホイールレートがミディアムにされる場合には、例えば、右側の前後2つのレート切換弁70FR,RRの一方が連通状態にされるとともに、前後連通弁154FR,RRが開状態にされて前後に隣り合う2つの懸架シリンダ30FR,RR間の連通が許容され、左右連通弁144,148が閉状態にされて左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30間の連通が遮断される。
サスペンション装置20においては、レート切換弁70および個別制御弁装置104の制御によりホイールレートが3段階(ソフト,ミディアム,ハード)に切り換えられる。
ホイールレートが小さい状態(ソフト)では、レート切換弁70が連通状態とされ、1つの液室50に2つのアキュムレータ62,64が連通させられる。
ホイールレートが大きい状態(ハード)では、レート切換弁70が遮断状態とされ、低圧アキュムレータ64が遮断されて1つの液室50に高圧アキュムレータ62のみが連通させられる。
ホイールレートが中間の状態(ミディアム)では、例えば、互いに左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30FL,FRにおいて、左右2つのレート切換弁70FL,FRの一方が連通状態にされて他方が遮断状態にされるとともに、左右連通弁144が開状態にされて懸架シリンダ30FL,FR間の連通が許容される。この場合、左右2つの懸架シリンダ30FL,FRには、合わせて、1つの低圧アキュムレータ64と2つの高圧アキュムレータ62とが連通状態にされる。
なお、互いに前後に隣り合う2つの懸架シリンダ30のホイールレートがミディアムにされる場合には、例えば、右側の前後2つのレート切換弁70FR,RRの一方が連通状態にされるとともに、前後連通弁154FR,RRが開状態にされて前後に隣り合う2つの懸架シリンダ30FR,RR間の連通が許容され、左右連通弁144,148が閉状態にされて左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30間の連通が遮断される。
ここで、低圧アキュムレータ64の容積をVs、高圧アキュムレータ62の容積をVhとすると、1つの懸架シリンダ30毎のアキュムレータの容積は、各ホイールレートによって次のようになる。
ハード:Vh
ミディアム:Vh+Vs/2
ソフト:Vh+Vs
したがって、ミディアムの状態におけるアキュムレータの容積は、ハードとソフトとの中間的な大きさとなり、ホイールレートが概ね中間的な特性となる。
なお、本実施例において、ホイールレートをミディアムにするには、2つの懸架シリンダ30の連通を許容する必要があり、4つの懸架シリンダ30のうち、状況に応じて、互いに前後または左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30の連通が許容されてホイールレートがミディアムにされる。
ハード:Vh
ミディアム:Vh+Vs/2
ソフト:Vh+Vs
したがって、ミディアムの状態におけるアキュムレータの容積は、ハードとソフトとの中間的な大きさとなり、ホイールレートが概ね中間的な特性となる。
なお、本実施例において、ホイールレートをミディアムにするには、2つの懸架シリンダ30の連通を許容する必要があり、4つの懸架シリンダ30のうち、状況に応じて、互いに前後または左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30の連通が許容されてホイールレートがミディアムにされる。
本実施例において、懸架シリンダ30(作動液収容作動部)と高圧アキュムレータ62(加圧流体収容部)とを合わせたものが、前記「流体作動器」を構成している。さらに、低圧アキュムレータ64が前記「加圧流体収容器」を構成している。なお、本実施例は、4つの車輪12の各々に対応して設けられた4つの流体作動器の各々に1つずつの加圧流体収容器が接続された態様である。また、常閉型の電磁弁たるホイールレート切換弁70の各々が、前記「第1切換弁装置」を構成している。そして、左右連通弁144,148と前後連通弁154,158とを合わせたものが、前記「第2切換弁装置」を構成している。また、左右連通路142,146の各々が前記「左右流体通路」を構成し、前後連通路152,156の各々が前記「前後流体通路」を構成している。なお、左右連通路142,146の各々は、4つの個別制御通路104(流体給排通路の一種である)のうち、互いに左右に隣り合う2つの懸架シリンダ30(FLとFR、RLとRR)に対応して対をなすもの同士を接続する態様とされ、前後連通路152,156の各々は、4つの個別制御通路104のうち、互いに前後に隣り合う2つの懸架シリンダ30(FLとRL、FRとRR)に対応して対をなすもの同士を接続する態様とされている。
サスペンションシステムは、図1に示すECU(電子制御ユニット)200の指令に基づいて制御される。ECU200は、図示は省略するが、コンピュータおよび入出力部を含む制御部と、複数の駆動回路とを含み、コンピュータは、CPU,ROM,RAMおよびそれらを接続するバスを含む。入出力部の入力側には、車速センサ210、操舵角センサ212、前後加速度センサ220、横加速度センサ222、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するストロークセンサ230、通路液圧センサ72、液圧源液圧センサ124,前後左右の各輪毎に設けられて車高をそれぞれ検出する車高センサ250等のセンサがそれぞれ接続されている。また、入出力部の出力側には、レート切換弁70、可変絞り80のコイル、作動液給排装置24が図示しない駆動回路を介して接続されている。さらにまた、車両には駆動系(エンジン、トランスミッション等)を制御する駆動系電子制御ユニット260(駆動系ECU)が設けられており、ECU200は入出力部において駆動系電子制御ユニットと接続され、各種の情報の授受を行うことができるようにされている。ECU200のROMには、図示を省略するメインルーチン,ホイールレート制御ルーチン,シリンダ間連通制御ルーチン,車高制御ルーチン等、種々のプログラムが格納されている。それら各種のプログラムが制御部において設定時間毎に繰り返し実行され、各種の制御が行われる。
本実施例において、各懸架シリンダ30のホイールレートの制御は、コンピュータによってホイールレート制御ルーチン,シリンダ間連通制御ルーチン等が実行されることによって行われる。図2に、ホイールレート制御ルーチンのフローチャートを示す。なお、特に説明が必要と考えられる処理以外の処理については説明を省略する。
S11(ステップ11の略称であり、他のステップについても同様とする)において、各種の検出値が取得される。
S12〜S16の処理により、加速状態、減速状態、旋回状態の判定がなされ、比較的急激な加減速や旋回が行われているか、比較的緩やかな加減速や旋回が行われているか否かが判定される。なお、S12の判定処理において、急加速と急減速との少なくとも一方が行われている場合に判定がYESとされ、いずれも行われていない場合に判定がNOとされる。また、S14の判定処理についても同様に、緩加速と緩減速との少なくとも一方が行われている場合に判定がYESとされる。
加速状態、減速状態、旋回状態の判定は、それぞれ次のようにされる。
S11(ステップ11の略称であり、他のステップについても同様とする)において、各種の検出値が取得される。
S12〜S16の処理により、加速状態、減速状態、旋回状態の判定がなされ、比較的急激な加減速や旋回が行われているか、比較的緩やかな加減速や旋回が行われているか否かが判定される。なお、S12の判定処理において、急加速と急減速との少なくとも一方が行われている場合に判定がYESとされ、いずれも行われていない場合に判定がNOとされる。また、S14の判定処理についても同様に、緩加速と緩減速との少なくとも一方が行われている場合に判定がYESとされる。
加速状態、減速状態、旋回状態の判定は、それぞれ次のようにされる。
加速状態の判定では、前後加速度センサ220によって検出される検出前後加速度と、駆動系電子制御ユニット260から送信される目標前後加速度とに基づいて、急加速状態であるか、緩加速状態であるかが判定される。なお、目標前後加速度は、駆動系電子制御ユニット260により、アクセルペダルの踏み込み量,トランスミッションの変速位置(変速比),エンジン回転数,車速等に基づいて算出され、エンジンの出力を決定するために用いられるものである。
上記目標前後加速度は、アクセルペダルの踏み込み量に応じて変化するため、目標前後加速度に基づけば検出前後加速度に基づくよりも先に急加速状態等であることを判定することができる。しかし、目標前後加速度に基づく判定では、目標前後加速度と実際の前後加速度とのずれに起因して、例えば、加速が行われている状態であるにも拘わらず、アクセルペダルの踏み込み量の減少に迅速に反応して加速が行われていないと判定される可能性がある。その様な場合であっても、検出前後加速度に基づく判定を行うことにより、急加速状態等であると判定されるため、ホイールレートを実際の加速状態に適したものにすることができる。
すなわち、検出前後加速度と目標前後加速度との両者に基づいて加速状態を判定することにより、目標前後加速度に基づいて比較的迅速に急加速状態や緩加速状態を判定することができ、また、検出前後加速度に基づく判定によって目標前後加速度と実際の前後加速度とのずれを修正することができるのである。なお、旋回状態の判定についても同様なことが言える。減速状態の判定については、制動操作と前後減速度とのずれが比較的小さいと考えられるが、制動操作情報に基づく判定と検出前後加速度に基づく判定とを合わせて行うことにより、減速が一旦開始されてホイールレートが切り換えられた後に、制動操作に過敏に反応してホイールレートの切換が行われないようにすることができる。
上記目標前後加速度は、アクセルペダルの踏み込み量に応じて変化するため、目標前後加速度に基づけば検出前後加速度に基づくよりも先に急加速状態等であることを判定することができる。しかし、目標前後加速度に基づく判定では、目標前後加速度と実際の前後加速度とのずれに起因して、例えば、加速が行われている状態であるにも拘わらず、アクセルペダルの踏み込み量の減少に迅速に反応して加速が行われていないと判定される可能性がある。その様な場合であっても、検出前後加速度に基づく判定を行うことにより、急加速状態等であると判定されるため、ホイールレートを実際の加速状態に適したものにすることができる。
すなわち、検出前後加速度と目標前後加速度との両者に基づいて加速状態を判定することにより、目標前後加速度に基づいて比較的迅速に急加速状態や緩加速状態を判定することができ、また、検出前後加速度に基づく判定によって目標前後加速度と実際の前後加速度とのずれを修正することができるのである。なお、旋回状態の判定についても同様なことが言える。減速状態の判定については、制動操作と前後減速度とのずれが比較的小さいと考えられるが、制動操作情報に基づく判定と検出前後加速度に基づく判定とを合わせて行うことにより、減速が一旦開始されてホイールレートが切り換えられた後に、制動操作に過敏に反応してホイールレートの切換が行われないようにすることができる。
検出前後加速度に基づく判定では、検出前後加速度が、第1しきい検出前後加速度以上の場合には「仮の急加速状態」とされ、第1しきい検出前後加速度未満で第2しきい検出前後加速度以上の場合には「仮の緩加速状態」とされる(0<第2しきい検出前後加速度<第1しきい検出前後加速度)。
目標前後加速度に基づく判定も同様に、目標前後加速度が第1しきい目標前後加速度以上である場合には「仮の急加速状態」とされ、第1しきい目標前後加速度未満で第2しきい目標前後加速度以上である場合には「仮の緩加速状態」とされる(0<第2しきい目標前後加速度<第1しきい目標前後加速度)。
そして、検出前後加速度に基づく判定と、目標前後加速度に基づく判定との少なくとも一方において「仮の急加速状態」と判定された場合に「急加速状態」と判定される。また、それら2つの判定処理で「仮の急加速状態」でないと判定された場合において、少なくとも一方において「仮の緩加速状態」と判定された場合に「緩加速状態」と判定される。さらに、それら2つの判定で「仮の急減速状態」および「仮の緩減速状態」でないと判定された場合において、加速を行っていない状態(無加速状態)とされる。
目標前後加速度に基づく判定も同様に、目標前後加速度が第1しきい目標前後加速度以上である場合には「仮の急加速状態」とされ、第1しきい目標前後加速度未満で第2しきい目標前後加速度以上である場合には「仮の緩加速状態」とされる(0<第2しきい目標前後加速度<第1しきい目標前後加速度)。
そして、検出前後加速度に基づく判定と、目標前後加速度に基づく判定との少なくとも一方において「仮の急加速状態」と判定された場合に「急加速状態」と判定される。また、それら2つの判定処理で「仮の急加速状態」でないと判定された場合において、少なくとも一方において「仮の緩加速状態」と判定された場合に「緩加速状態」と判定される。さらに、それら2つの判定で「仮の急減速状態」および「仮の緩減速状態」でないと判定された場合において、加速を行っていない状態(無加速状態)とされる。
減速状態の判定では、前後加速度センサ220によって検出される検出前後減速度(減速する向きの加速度である)と、ストロークセンサの検出値に基づいて取得される制動操作情報とに基づいて、急減速状態であるか、緩減速状態であるかが判定される。
検出前後減速度に基づく判定では、検出前後減速度が、第1しきい減速度以下の場合は「仮の急減速状態」とされ、第1しきい減速度より大きく第2しきい減速度以下の場合は「仮の緩減速状態」とされる(0>第2しきい減速度>第1しきい減速度)。
制動操作情報に基づく判定では、踏み込み速度が第1設定速度以上になった場合と、踏み込み量が第1設定量以上になった場合との少なくとも一方の場合に、「仮の急減速状態」であると判定される。また、「仮の急減速状態」でないと判定される場合において、踏み込み速度が第1設定速度未満かつ第2設定速度以上になった場合と、踏み込み量が第1設定量未満かつ第2設定量以上になった場合との少なくとも一方の場合に、「仮の緩減速状態」であると判定される(0<第2設定速度<第1設定速度、0<第2設定量<第1設定量)。
そして、検出前後減速度に基づく判定と、制動操作情報に基づく判定との少なくとも一方において「仮の急減速状態」と判定された場合に、「急減速状態」と判定される。また、それら2つの判定で「仮の急減速状態」でないと判定された場合において、少なくとも一方において「仮の緩減速状態」と判定された場合に、「緩減速状態」と判定される。さらに、それら2つの判定で「仮の急減速状態」および「仮の緩減速状態」でないと判定された場合において、減速を行っていない状態(無減速状態)とされる。
検出前後減速度に基づく判定では、検出前後減速度が、第1しきい減速度以下の場合は「仮の急減速状態」とされ、第1しきい減速度より大きく第2しきい減速度以下の場合は「仮の緩減速状態」とされる(0>第2しきい減速度>第1しきい減速度)。
制動操作情報に基づく判定では、踏み込み速度が第1設定速度以上になった場合と、踏み込み量が第1設定量以上になった場合との少なくとも一方の場合に、「仮の急減速状態」であると判定される。また、「仮の急減速状態」でないと判定される場合において、踏み込み速度が第1設定速度未満かつ第2設定速度以上になった場合と、踏み込み量が第1設定量未満かつ第2設定量以上になった場合との少なくとも一方の場合に、「仮の緩減速状態」であると判定される(0<第2設定速度<第1設定速度、0<第2設定量<第1設定量)。
そして、検出前後減速度に基づく判定と、制動操作情報に基づく判定との少なくとも一方において「仮の急減速状態」と判定された場合に、「急減速状態」と判定される。また、それら2つの判定で「仮の急減速状態」でないと判定された場合において、少なくとも一方において「仮の緩減速状態」と判定された場合に、「緩減速状態」と判定される。さらに、それら2つの判定で「仮の急減速状態」および「仮の緩減速状態」でないと判定された場合において、減速を行っていない状態(無減速状態)とされる。
旋回状態の判定は、横加速度センサ222によって検出された検出横加速度と、操舵角および車速から推定された推定横加速度とに基づいて、急旋回状態であるか、緩旋回状態であるかが判定される。
検出横加速度に基づく判定では、検出横加速度が、第1しきい検出横加速度以上の場合は「仮の急旋回状態」とされ、第1しきい検出横加速度未満で第2しきい検出横加速度以上の場合は「仮の緩加速状態」とされる(0<第2しきい検出横加速度<第1しきい検出横加速度)。
推定横加速度に基づく判定では、推定横加速度が、第1しきい推定横加速度以上の場合は「仮の急旋回状態」とされ、第1しきい推定横加速度未満で第2しきい推定横加速度以上の場合は「仮の緩旋回状態」とされる(0<第2しきい推定横加速度<第1しきい推定横加速度)。
そして、検出横加速度に基づく判定と、推定横加速度に基づく判定との少なくとも一方において「仮の急旋回状態」と判定された場合に、「急旋回状態」と判定される。また、それら2つの判定で「仮の急旋回状態」でないと判定された場合において、少なくとも一方において「仮の緩旋回状態」と判定された場合に、「緩旋回状態」と判定される。さらに、それら2つの判定で「仮の急旋回状態」および「仮の緩旋回状態」でないと判定された場合において、旋回を行っていない状態(直進状態)とされる。
検出横加速度に基づく判定では、検出横加速度が、第1しきい検出横加速度以上の場合は「仮の急旋回状態」とされ、第1しきい検出横加速度未満で第2しきい検出横加速度以上の場合は「仮の緩加速状態」とされる(0<第2しきい検出横加速度<第1しきい検出横加速度)。
推定横加速度に基づく判定では、推定横加速度が、第1しきい推定横加速度以上の場合は「仮の急旋回状態」とされ、第1しきい推定横加速度未満で第2しきい推定横加速度以上の場合は「仮の緩旋回状態」とされる(0<第2しきい推定横加速度<第1しきい推定横加速度)。
そして、検出横加速度に基づく判定と、推定横加速度に基づく判定との少なくとも一方において「仮の急旋回状態」と判定された場合に、「急旋回状態」と判定される。また、それら2つの判定で「仮の急旋回状態」でないと判定された場合において、少なくとも一方において「仮の緩旋回状態」と判定された場合に、「緩旋回状態」と判定される。さらに、それら2つの判定で「仮の急旋回状態」および「仮の緩旋回状態」でないと判定された場合において、旋回を行っていない状態(直進状態)とされる。
S17〜S21の処理により、各車輪12について目標となるホイールレートが決定され、各レート切換弁70が前述したようにホイールレートに応じて開閉される。なお、ホイールレートが変更されない場合は、レート切換弁70の開閉状態が維持される。
本実施例において、急加減速状態と急旋回状態との少なくとも一方の状態において、4輪全てについてホイールレートがハードにされる(S17)。緩加速時には、車体のピッチを抑制するために後側の2輪のホイールレートがミディアム(M)にされ、緩減速時には前側の2輪がミディアムにされる(S19)。また、緩旋回時には、車体のロールを抑制するために、左旋回において右側の2輪のホイールレートがミディアムにされ、右旋回において左側の2輪がミディアムにされる(S20)。さらにまた、緩加速と緩旋回が同時に行われている場合は、車体のピッチとロールとを抑制するために、後側の2輪のホイールレートがハード(H)にされ、緩減速と緩旋回が同時に行われている場合は前側の2輪がハードにされる(S18)。加減速も旋回も行っていないと判定された場合には、前記「標準状態」の一種である4輪のホイールレートがソフト(S)の状態にされる(S21)。なお、S19,S20の詳細は後述する。
本実施例において、急加減速状態と急旋回状態との少なくとも一方の状態において、4輪全てについてホイールレートがハードにされる(S17)。緩加速時には、車体のピッチを抑制するために後側の2輪のホイールレートがミディアム(M)にされ、緩減速時には前側の2輪がミディアムにされる(S19)。また、緩旋回時には、車体のロールを抑制するために、左旋回において右側の2輪のホイールレートがミディアムにされ、右旋回において左側の2輪がミディアムにされる(S20)。さらにまた、緩加速と緩旋回が同時に行われている場合は、車体のピッチとロールとを抑制するために、後側の2輪のホイールレートがハード(H)にされ、緩減速と緩旋回が同時に行われている場合は前側の2輪がハードにされる(S18)。加減速も旋回も行っていないと判定された場合には、前記「標準状態」の一種である4輪のホイールレートがソフト(S)の状態にされる(S21)。なお、S19,S20の詳細は後述する。
図3に、シリンダ間連通制御ルーチンのフローチャートを示す。
シリンダ間連通制御ルーチンは、上記ホイールレート制御ルーチンの終了後すぐに実行され、決定されたホイールレート(各レート切換弁70の開閉状態)を参照するとともに、必要に応じて互いに隣り合う懸架シリンダ30間の連通を許容・遮断すべく、左右連通弁144,148、前後連通弁154,158に制御指令を行うものである。
前後連通弁154,158は、加減速中(緩加減速および急加減速)において閉状態にされ、互いに前後に隣り合う懸架シリンダ30間の連通が遮断される(S32,S33)。それは、前後の懸架シリンダ30間で作動液が移動するとピッチが抑制されにくくなるためである。左右連通弁144,148は、旋回中(緩旋回および急旋回)において閉状態にされ、互いに左右に隣り合う懸架シリンダ30間の連通が遮断される(S34,S35)。それは、左右の懸架シリンダ30間で作動液が移動するとロールが抑制されにくくなるためである。また、上記のS32〜S35の処理によって、加減速および旋回が同時になされていると判定された場合には、左右連通弁144,148と前後連通弁154,158とが共に閉状態にされ、4つの懸架シリンダ30間の連通が遮断されることとなる。
なお、S32〜S35の処理において、加減速と旋回とのいずれか一方のみがなされていると判定された場合には、上記の処理で遮断指令がなされていない連通弁は、現在の状態(許容または遮断)が維持される。このように、特に切り換えの必要がない場合に左右連通弁144,148および前後連通弁154,158の開閉状態を維持するように制御することによって、左右連通弁144,148および前後連通弁154,158の作動回数の増加が抑制される。
シリンダ間連通制御ルーチンは、上記ホイールレート制御ルーチンの終了後すぐに実行され、決定されたホイールレート(各レート切換弁70の開閉状態)を参照するとともに、必要に応じて互いに隣り合う懸架シリンダ30間の連通を許容・遮断すべく、左右連通弁144,148、前後連通弁154,158に制御指令を行うものである。
前後連通弁154,158は、加減速中(緩加減速および急加減速)において閉状態にされ、互いに前後に隣り合う懸架シリンダ30間の連通が遮断される(S32,S33)。それは、前後の懸架シリンダ30間で作動液が移動するとピッチが抑制されにくくなるためである。左右連通弁144,148は、旋回中(緩旋回および急旋回)において閉状態にされ、互いに左右に隣り合う懸架シリンダ30間の連通が遮断される(S34,S35)。それは、左右の懸架シリンダ30間で作動液が移動するとロールが抑制されにくくなるためである。また、上記のS32〜S35の処理によって、加減速および旋回が同時になされていると判定された場合には、左右連通弁144,148と前後連通弁154,158とが共に閉状態にされ、4つの懸架シリンダ30間の連通が遮断されることとなる。
なお、S32〜S35の処理において、加減速と旋回とのいずれか一方のみがなされていると判定された場合には、上記の処理で遮断指令がなされていない連通弁は、現在の状態(許容または遮断)が維持される。このように、特に切り換えの必要がない場合に左右連通弁144,148および前後連通弁154,158の開閉状態を維持するように制御することによって、左右連通弁144,148および前後連通弁154,158の作動回数の増加が抑制される。
前側または後側の2つの車輪12だけについて目標のホイールレートがハードに決定された場合には、緩加減速と緩旋回とが同時に行われており、S36,S37の処理において、4つの懸架シリンダ30間の連通が遮断され、前側または後側の2つのレート切換弁70が閉状態にされる。なお、ホイールレートをハード(あるいはミディアム)にする対象は、前述のように、加速時には後側の2輪、減速時には前側の2輪とされ、これについては他の処理においても同様である。
前側または後側の2つの車輪12についてホイールレートがミディアムにされる場合には、S38〜S39の処理において、前後連通弁154,158が閉状態にされて互いに前後に隣り合う懸架シリンダ30間の連通が遮断されるとともに、前側または後側の2つの懸架シリンダ30に対応する左右連通弁144または左右連通弁148が開状態にされて互いに左右に隣り合うもの同士の連通が許容される。
左側または右側の2つの車輪12についてホイールレートがミディアムにされる場合には、S40,S41の処理において、左右連通弁144,148が閉状態にされて互いに左右に隣り合う懸架シリンダ30間の連通が遮断されるとともに、左側または右側の2つの懸架シリンダ30に対応する前後連通弁154または前後連通弁158が開状態にされて互いに前後に隣り合うもの同士の連通が許容される。なお、ホイールレートをミディアムにする対象は、前述のように、左旋回時には右側の2輪、右旋回時には左側の2輪とされる。
前側または後側の2つの車輪12についてホイールレートがミディアムにされる場合には、S38〜S39の処理において、前後連通弁154,158が閉状態にされて互いに前後に隣り合う懸架シリンダ30間の連通が遮断されるとともに、前側または後側の2つの懸架シリンダ30に対応する左右連通弁144または左右連通弁148が開状態にされて互いに左右に隣り合うもの同士の連通が許容される。
左側または右側の2つの車輪12についてホイールレートがミディアムにされる場合には、S40,S41の処理において、左右連通弁144,148が閉状態にされて互いに左右に隣り合う懸架シリンダ30間の連通が遮断されるとともに、左側または右側の2つの懸架シリンダ30に対応する前後連通弁154または前後連通弁158が開状態にされて互いに前後に隣り合うもの同士の連通が許容される。なお、ホイールレートをミディアムにする対象は、前述のように、左旋回時には右側の2輪、右旋回時には左側の2輪とされる。
4輪のホイールレートがソフトにされる場合(S40の判定がNOとなる場合)には、左右連通弁144,148と前後連通弁154,158とが共に閉状態にされ、4つの懸架シリンダ30間の連通が遮断される(S44)。
また、4輪のホイールレートがソフトにされる場合には、S42,S43の処理において、各通路液圧センサ72によって検出された各個別制御通路60の液圧に基づいて互いに隣り合う懸架シリンダ30間の液圧差が取得され、いずれかの互いに隣り合う懸架シリンダ30間の液圧差がしきい液圧差以上である場合には、それらに対応する左右連通弁144,148および前後連通弁154,158のうちのいずれかが開状態にされ、それら懸架シリンダ30間の液圧差が減少させられる。なお、各個別制御通路60の液圧としては、現時点から設定時間前までの間の平均的な値が取得されて使用される。
なお、S44の処理を省略することもできる。その場合には、4つの懸架シリンダ30間の連通状態は、ホイールレート変更前の状態が維持される。この場合には、変更前の連通状態を維持することにより、左右連通弁144等,前後連通弁154等の作動回数の増加が抑制される。それに対して、S44の処理によって左右連通弁144等,前後連通弁154等を閉状態にする場合は、本実施例において、左右連通弁144等,前後連通弁154等が常閉弁であることから電力消費を抑制することができる。
また、4輪のホイールレートがソフトにされる場合には、S42,S43の処理において、各通路液圧センサ72によって検出された各個別制御通路60の液圧に基づいて互いに隣り合う懸架シリンダ30間の液圧差が取得され、いずれかの互いに隣り合う懸架シリンダ30間の液圧差がしきい液圧差以上である場合には、それらに対応する左右連通弁144,148および前後連通弁154,158のうちのいずれかが開状態にされ、それら懸架シリンダ30間の液圧差が減少させられる。なお、各個別制御通路60の液圧としては、現時点から設定時間前までの間の平均的な値が取得されて使用される。
なお、S44の処理を省略することもできる。その場合には、4つの懸架シリンダ30間の連通状態は、ホイールレート変更前の状態が維持される。この場合には、変更前の連通状態を維持することにより、左右連通弁144等,前後連通弁154等の作動回数の増加が抑制される。それに対して、S44の処理によって左右連通弁144等,前後連通弁154等を閉状態にする場合は、本実施例において、左右連通弁144等,前後連通弁154等が常閉弁であることから電力消費を抑制することができる。
S19,S20の処理を詳細に説明する。
S19,S20の処理において、ホイールレートがミディアムにされ、互いに隣り合う2つの懸架シリンダ30の1つずつの低圧アキュムレータ64のうちの一方の連通が許容され、他方の連通が遮断される。その際に、レート切換弁70の作動回数が平均化されるように、作動させるレート切換弁70が選択される。具体的には、各レート切換弁70の作動回数がカウントされており、作動回数の少ないものの状態を切り換えるように選択される。
図4に、4つのレート切換弁70の各々の作動回数をカウントする切換弁作動回数カウントルーチンのフローチャートを示す。この切換弁作動回数カウントルーチンにより、レート切換弁70の状態を監視し、開状態(フラグFXX=OFF)から閉状態(フラグFXX=ON)に、あるいは、閉状態から開状態に変わる(S63)とカウンタCXXを1増加させる(S64)処理である。なお、各カウンタCXXおよび各フラグFXXは、車両のイグニッションスイッチがOFFからONにされた後、本ルーチンが最初に実行された状態で0またはOFFにされている。また、切換弁作動回数カウントルーチンは、各レート切換弁70のそれぞれに対応して4つ設けられており、それぞれが実行される。なお、図中のレート切換弁70の状態を示すフラグFXXおよび各カウンタCXXの「XX」は、「FL,FR,RL,RR」のうちの各レート切換弁70に応じたものを示す。
S19,S20の処理において、ホイールレートがミディアムにされ、互いに隣り合う2つの懸架シリンダ30の1つずつの低圧アキュムレータ64のうちの一方の連通が許容され、他方の連通が遮断される。その際に、レート切換弁70の作動回数が平均化されるように、作動させるレート切換弁70が選択される。具体的には、各レート切換弁70の作動回数がカウントされており、作動回数の少ないものの状態を切り換えるように選択される。
図4に、4つのレート切換弁70の各々の作動回数をカウントする切換弁作動回数カウントルーチンのフローチャートを示す。この切換弁作動回数カウントルーチンにより、レート切換弁70の状態を監視し、開状態(フラグFXX=OFF)から閉状態(フラグFXX=ON)に、あるいは、閉状態から開状態に変わる(S63)とカウンタCXXを1増加させる(S64)処理である。なお、各カウンタCXXおよび各フラグFXXは、車両のイグニッションスイッチがOFFからONにされた後、本ルーチンが最初に実行された状態で0またはOFFにされている。また、切換弁作動回数カウントルーチンは、各レート切換弁70のそれぞれに対応して4つ設けられており、それぞれが実行される。なお、図中のレート切換弁70の状態を示すフラグFXXおよび各カウンタCXXの「XX」は、「FL,FR,RL,RR」のうちの各レート切換弁70に応じたものを示す。
図5に、2つのレート切換弁70を平均的に作動させるレート切換弁作動平均化ルーチンのフローチャートを示す。このレート切換弁作動平均化ルーチンは、ホイールレートがミディアムにされる2つの懸架シリンダ30に対応する2つのレート切換弁70の作動回数の差が大きくならないように、2つのレート切換弁70のうちの作動回数の少ない方の状態を切り換えるものである。なお、2つのレート切換弁70は、加速時において後側の2輪(RL,RR)、減速時において前側の2輪(FL,FR)、左旋回時において右側の2輪(FR,RR)、右旋回時において左側の2輪(FL,RL)、にそれぞれ対応するものとされる。
S71において、本ルーチンにおいて対象とされる2つのレート切換弁70について、切換弁作動回数カウントルーチンのフラグFXXおよびカウンタCXXが参照される。
S72,S73の処理において、2つのレート切換弁70の状態を示すフラグFa,Fbの状態が異なる場合、つまり、一方が開状態(OFF)で他方が閉状態(ON)である場合は、その状態が維持される。S74〜S77の処理において、2つのレート切換弁70がいずれも開状態である場合には、作動回数(カウンタCa,Cbの値)の少ない方の状態が閉状態に切り換えられる。S78〜S81の処理についても同様に、2つのレート切換弁70がいずれも閉状態である場合には、作動回数(カウンタCa,Cbの値)の少ない方の状態が開状態に切り換えられる。なお、S75,S79において、2つのレート切換弁70の作動回数が同じである場合には、レート切換弁70bの状態が切り換えられる。
以上の処理により、2つのレート切換弁70のうち、作動回数の少ないものが優先的に切り換えられ、2つのレート切換弁70の作動量が平均化される。また、加速、減速、旋回を行うと、4つのレート切換弁70の作動回数に差が生じるが、その場合であっても、切換対象となる2つのレート切換弁70のうちの作動回数の少ないものが優先的に切り換えられることにより、4つのレート切換弁70の作動量が平均化される。
S72,S73の処理において、2つのレート切換弁70の状態を示すフラグFa,Fbの状態が異なる場合、つまり、一方が開状態(OFF)で他方が閉状態(ON)である場合は、その状態が維持される。S74〜S77の処理において、2つのレート切換弁70がいずれも開状態である場合には、作動回数(カウンタCa,Cbの値)の少ない方の状態が閉状態に切り換えられる。S78〜S81の処理についても同様に、2つのレート切換弁70がいずれも閉状態である場合には、作動回数(カウンタCa,Cbの値)の少ない方の状態が開状態に切り換えられる。なお、S75,S79において、2つのレート切換弁70の作動回数が同じである場合には、レート切換弁70bの状態が切り換えられる。
以上の処理により、2つのレート切換弁70のうち、作動回数の少ないものが優先的に切り換えられ、2つのレート切換弁70の作動量が平均化される。また、加速、減速、旋回を行うと、4つのレート切換弁70の作動回数に差が生じるが、その場合であっても、切換対象となる2つのレート切換弁70のうちの作動回数の少ないものが優先的に切り換えられることにより、4つのレート切換弁70の作動量が平均化される。
本実施例において、緩加減速時および緩旋回時には、前後または左右の片方の側において互いに隣り合う2つの懸架シリンダ30のホイールレートがミディアムにされる。このような制御によって、前後または左右の両方の側において互いに隣り合う2つの懸架シリンダ30のホイールレートをミディアムにする場合よりも、レート切換弁70の作動回数が低減されている。
本実施例において、ECU200のホイールレート制御ルーチン(図2)を実行する部分と、切換弁作動回数カウントルーチン(図4)を実行する部分と、レート切換弁作動平均化ルーチン(図5)を実行する部分とを合わせた部分が、前記「連通収容器数制御部」を構成している。
また、ECU200のホイールレート制御ルーチン(図2)のS12,S14,S15,S17,S18,S19,S21の処理を実行する部分が、前記「加減速状態依拠決定部」を構成している。さらにまた、ECU200のホイールレート制御ルーチンのS13,S14,S15,S16,S17,S18,S19,S20,S21の処理を実行する部分が、前記「旋回状態依拠決定部」を構成している。さらにまた、ECU200の、切換弁作動回数カウントルーチン(図4)を実行する部分と、レート切換弁作動平均化ルーチン(図5)を実行する部分とを合わせた部分が、前記「作動量平均化部」を構成している。
また、ECU200のホイールレート制御ルーチン(図2)のS12,S14,S15,S17,S18,S19,S21の処理を実行する部分が、前記「加減速状態依拠決定部」を構成している。さらにまた、ECU200のホイールレート制御ルーチンのS13,S14,S15,S16,S17,S18,S19,S20,S21の処理を実行する部分が、前記「旋回状態依拠決定部」を構成している。さらにまた、ECU200の、切換弁作動回数カウントルーチン(図4)を実行する部分と、レート切換弁作動平均化ルーチン(図5)を実行する部分とを合わせた部分が、前記「作動量平均化部」を構成している。
また、本実施例において、ECU200のシリンダ間連通制御ルーチン(図3)を実行する部分が、前記「作動器間連通制御部」を構成している。
さらに、目標ホイールレートが4輪ともハードにされた場合に、必要がなければ左右連通弁144等、前後連通弁154等の状態が維持されることから、本実施例の「作動器間連通制御部」は、「対をなす2つの流体作動器の各々との連通が許容された1以上ずつの加圧流体収容器の個数が第1切換弁装置によって互いに同じにされる場合に、対をなす2つの流体作動器間の連通を第2切換弁装置によって切り換えないもの」とされている。
さらに、目標ホイールレートが4輪ともハードにされた場合に、必要がなければ左右連通弁144等、前後連通弁154等の状態が維持されることから、本実施例の「作動器間連通制御部」は、「対をなす2つの流体作動器の各々との連通が許容された1以上ずつの加圧流体収容器の個数が第1切換弁装置によって互いに同じにされる場合に、対をなす2つの流体作動器間の連通を第2切換弁装置によって切り換えないもの」とされている。
上記実施例において、例えば、加速状態が急加速状態から緩加速状態に変化した場合に、目標ホイールレートがハードからミディアムに切り換えられるようにされていた。それに対して、4つの車輪12についてのホイールレートが一旦ハードにされた後は、緩加速状態になってもその状態(4輪ハード)が維持され、概ね一定速度で直進しているとみなせる状態である定常直進状態になるまでホイールレートを変更しない態様とすることもできる。なお、定常直進状態には、緩加減速状態および緩旋回状態と判定されない程度の加減速や旋回を行っている状態が含まれる。
図6に、ホイールレートが一旦4輪ハードにされた後は、定常直進状態になるまでホイールレートが変更されない制御であるホイールレート制御Bルーチンのフローチャートを示す。このルーチンは、前述のホイールレート制御ルーチン(図2)に、現在のホイールレートが4輪ハードであるか否かを判定する処理(S100,S101)を加えたものである。この判定によって、現在のホイールレートが4輪ハードである場合には、ホイールレートの2輪ハードや2輪ミディアムへの変更が禁止される。
なお、ホイールレート制御BルーチンのS19,S20の処理において、図5のレート弁作動平均化ルーチンのS78〜S81の処理を省略することができる。
図6に、ホイールレートが一旦4輪ハードにされた後は、定常直進状態になるまでホイールレートが変更されない制御であるホイールレート制御Bルーチンのフローチャートを示す。このルーチンは、前述のホイールレート制御ルーチン(図2)に、現在のホイールレートが4輪ハードであるか否かを判定する処理(S100,S101)を加えたものである。この判定によって、現在のホイールレートが4輪ハードである場合には、ホイールレートの2輪ハードや2輪ミディアムへの変更が禁止される。
なお、ホイールレート制御BルーチンのS19,S20の処理において、図5のレート弁作動平均化ルーチンのS78〜S81の処理を省略することができる。
上記実施例において、加速状態の判定が検出前後加速度と目標前後加速度とに基づいてなされていた。それに対して、加速状態の判定を、検出前後加速度と目標前後加速度との各々にゲインを乗じたものを加算することによって制御前後加速度を求め、その制御前後加速度に基づいて行うこともできる。その場合には、制御前後加速度が、第1しきい制御前後加速度以上の場合に「急加速状態」、第1しきい制御前後加速度未満で第2しきい制御前後加速度以上の場合に「緩加速状態」と判定することができる。同様に減速状態を、検出前後減速度,踏み込み速度および踏み込み量の各々に、それぞれゲインを乗じたものを加算することによって求められた制御前後減速度に基づいて判定することもできる。さらにまた、旋回状態を、検出横加速度と推定横加速度との各々に、それぞれゲインを乗じたものを加算することによって求められた制御横加速度に基づいて判定することもできる。
なお、検出前後加速度と目標前後加速度との一方に基づいて加速状態を判定することもできる。同様に、検出前後減速度と制動操作情報との一方に基づいて加速状態を判定すること、検出横加速度と推定横加速度との一方に基づいて加速状態を判定することもできる。
なお、検出前後加速度と目標前後加速度との一方に基づいて加速状態を判定することもできる。同様に、検出前後減速度と制動操作情報との一方に基づいて加速状態を判定すること、検出横加速度と推定横加速度との一方に基づいて加速状態を判定することもできる。
上記実施例において、緩加減速時には、前側と後側との片側において互いに左右に隣り合う1対の懸架シリンダ30のホイールレートがミディアムにされていた。それに対し、緩加減速時に、前側と後側との両側において互いに左右に隣り合う2対の懸架シリンダ30のホイールレートをミディアムにすることもできる。同様に、緩旋回時に、左側と右側との両側において互いに前後に隣り合う2対の懸架シリンダ30の両者のホイールレートをミディアムにすることもできる。
上記実施例において、加速状態が無加速状態、緩加速状態、急加速状態の3段階で判定されていたが、4段階以上に判別することもできる。例えば、無加速状態、緩加速状態、中加速状態、急加速状態の4段階に判別することができ、その場合には、緩加速状態および急加速状態では上記実施例と同様の目標ホイールレートにし、中加速状態では前側の2輪および後側の2輪の両方について目標ホイールレートをミディアムにすることができる。減速状態、旋回状態についても同様に4段階以上に判別するとともに、それらの状態に合わせたホイールレートにすることができる。
上記実施例において、ホイールレート制御ルーチンのS12〜S16の処理で、加減速も旋回も行っていない状態、つまり、定常直進状態であると判定された場合(S16の判定がNOにされた場合)には、無条件に4つの車輪12についてのホイールレートがソフトにされていたが、定常直進状態が設定時間継続した場合に、ホイールレートがソフトにされるようにすることもできる。例えば、S16とS21の間に判定処理を設け、定常直進状態以外の状態(急旋回状態,緩加速状態等)から定常直進状態になってから設定時間が経過した場合にS21の処理を行い、設定時間が経過していない場合にS21の処理をスキップするようにすることができる。なお、S21の処理がスキップされた場合には、ホイールレートは変更されないようにすることができる。
12(FL,FR,RL,RR):車輪 14:車体 20:サスペンション装置 24:作動液給排装置(流体給排装置) 30(FL,FR,RL,RR):懸架シリンダ(流体作動器) 32:サスペンションスプリング 60(FL,FR,RL,RR):個別制御通路(流体給排通路) 62(FL,FR,RL,RR):高圧アキュムレータ(加圧流体収容部) 64(FL,FR,RL,RR):低圧アキュムレータ(加圧流体収容器) 70(FL,FR,RL,RR):ホイールレート切換弁(第1切換弁装置) 104:個別制御弁装置 140(FL,FR,RL,RR):個別制御弁 142,146:左右連通路(左右流体通路) 144,148:左右連通弁(第2切換弁装置) 152,156:前後連通路(前後流体通路) 154,158:前後連通弁(第2切換弁装置) 200:電子制御ユニット(ECU)
Claims (4)
- 車両の複数の車輪のうちの(a)車両の前側と後側との少なくとも一方において互いに左右に隣り合う2つのものと(b)車両の左側と右側とにおいてそれぞれ互いに前後に隣り合う2つずつのものとの一方である2つまたは4つの対応輪の各々に対応して設けられ、流体を収容して前記2つまたは4つの対応輪の各々と車体との接近離間を許容するとともにその接近離間に伴い変化する流体の圧力によってそれらを離間させる向きの離間力を発生させる2つまたは4つの流体作動器と、
それら2つまたは4つの流体作動器の各々に対応して設けられ、それら2つまたは4つの流体作動器のうちの対応するものと連通可能に接続されるとともに流体を加圧した状態で蓄える1つ以上ずつの加圧流体収容器と、
前記2つまたは4つの流体作動器の各々に対応して設けられ、それら2つまたは4つの流体作動器の各々と前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の各々との連通を許容・遮断する2つまたは4つの第1切換弁装置と、
前記2つまたは4つの流体作動器のうちの(a)互いに左右に隣り合うものを連通可能に接続する1つまたは2つの左右流体通路と、(b)互いに前後に隣り合うものを連通可能に接続する2つの前後流体通路との少なくとも一方と、
前記1つまたは2つの左右流体通路と前記2つの前後流体通路との前記少なくとも一方の連通を個別に許容・遮断する第2切換弁装置と、
前記第1切換弁装置と前記第2切換弁装置とを制御して、前記2つまたは4つの流体作動器の各々のばね特性を段階的に変更するばね特性制御装置と
を含むサスペンションシステム。 - 前記ばね特性制御装置が、
前記第2切換弁装置を制御して、(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々によって接続された1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの前記流体作動器と、(b)前記2つの前後流体通路の各々によって接続された2対の互いに前後に隣り合う2つの前記流体作動器との少なくとも一方の対の各々において、それら対をなす2つの流体作動器の各々との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数が互いに異なる場合に、前記対をなす2つの流体作動器間の連通を許容する作動器間連通制御部を含む請求項1に記載のサスペンションシステム。 - 前記ばね特性制御装置が、
前記第1切換弁装置を制御して、(a)前記1つまたは2つの左右流体通路の各々によって接続された1対または2対の互いに左右に隣り合う2つの前記流体作動器と、(b)前記2つの前後流体通路の各々によって接続された2対の互いに前後に隣り合う2つの前記流体作動器との少なくとも一方の対の各々において、前記対をなす2つの流体作動器との連通が許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数の合計数を変更することによって前記2つの流体作動器のばね特性を変更する連通収容器数制御部を含む請求項1または2に記載のサスペンションシステム。 - 前記連通収容器数制御部が、前記対をなす2つの前記流体作動器の各々との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数が互いに等しくされるとともに標準のばね特性とされた標準状態から前記2つの流体作動器のいずれか一方との連通を許容された前記1つ以上ずつの加圧流体収容器の個数を1つ増減させる場合に、前記対をなす2つの流体作動器の各々と対応する前記2つの第1切換弁装置のうちのそれら第1切換弁装置間の作動量の差の増大を抑制するものを作動させる作動量平均化部を含む請求項3に記載のサスペンションシステム。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20091112 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20110322 |