JP2005059269A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】
一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成された積層フィルムであって、ロール状に巻き取られて保管された後においても、優れた制電性、防曇性及びアンチブロッキング性を有する積層フィルムを提供する。
【解決手段】
一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成された2層以上の積層フィルムにおいて、一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物としてポリオレフィン系樹脂に特定の3成分を含有させたものを用いた。
【選択図】 なし

Description

本発明は積層フィルムに関する。例えば食品関係の包装材料として様々なタイプの積層フィルムが使用されている。これらの積層フィルムのなかには、一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成された積層フィルムがある。本発明はかかる積層フィルムの改良に関する。
従来、一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成された積層フィルムとしては、かかる一方の外層に制電性及び防曇性を付与するため、ポリオレフィン系樹脂組成物として、ポリオレフィン系樹脂に分子内にヒドロキシ基を有する各種の低分子量化合物を含有させた組成物を用いたものが知られており(例えば特許文献1〜5参照)、また更に有機スルホン酸塩を含有させた組成物を用いたものが知られている(例えば特許文献6〜9参照)。
ところが、かかる従来の積層フィルムには、それが、一方の外層が前記のようなポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成されたものである場合、ブロッキングを起こし易く、制電性及び防曇性が低下してしまうという問題がある。積層フィルムは一般に、その製造乃至加工後にロール状に巻き取られて保管されるが、かかる保管中に、相互に当接することとなる一方の外層と他方の外層との間でブロッキングを起こし易く、また一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物中の前記のような低分子量化合物や有機スルホン酸塩等の制電性及び防曇性成分が他方の外層に移行するためと推察されるが、ポリオレフィン系樹脂組成物で形成した一方の外層の制電性及び防曇性が低下してしまうのである。
特開平3−212435号公報 特開平9−157458号公報 特開平11−140240号公報 特開平11−335567号公報 特開2001−11204号公報 特開平4−227762号公報 特開平5−65363号公報 特開2000−103904号公報 特開2001−164041号公報
本発明が解決しようとする課題は、一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成された積層フィルムであって、ロール状に巻き取られて保管された後においても、優れた制電性、防曇性及びアンチブロッキング性を有する積層フィルムを提供する処にある。
しかして本発明者らは、上記の問題を解決するべく研究した結果、一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物として、ポリオレフィン系樹脂に特定の3成分を含有させたものを用いることが正しく好適であることを見出した。
すなわち本発明は、一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成された2層以上の積層フィルムにおいて、一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物としてポリオレフィン系樹脂に下記のA成分、B成分及びC成分を含有させたものを用いて成ることを特徴とする積層フィルムに係る。
A成分:3〜6価のポリオールと炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミン及びアシル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミドから選ばれる一つ又は二つ以上
B成分:アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキル基の炭素数2〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル基の炭素数2〜22のスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上
C成分:低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、低級オレフィン−不飽和カルボン酸共重合物及び変性ポリオレフィンから選ばれる一つ又は二つ以上
本発明に係る積層フィルムは、一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂より極性の高い樹脂又はその組成物で形成された2層以上の積層フィルムである。本発明に係る積層フィルムにおいて、一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂にA成分、B成分及びC成分を含有させたものである。
一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるポリオレフィン系樹脂としては、1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン等の炭素数2〜8のα−オレフィンから選ばれる一つから得られる、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィン単独重合体、2)前記のような炭素数2〜8のα−オレフィンから選ばれる二つ以上から得られる、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−(1−ブテン)共重合体、エチレン−(1−ヘキセン)共重合体等のα−オレフィン共重合体、3)エチレンと酢酸ビニルとから得られる共重合体等が挙げられるが、なかでも前記1)のα−オレフィン単独重合体、前記2)のα−オレフィン共重合体が好ましく、前記2)のα−オレフィン共重合体としては、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体であって、炭素数4〜8のα−オレフィンから構成される単位を3.5〜50重量%含有するものがより好ましい。かかるα−オレフィン共重合体は、いずれも公知の高活性チーグラー触媒、メタロセン触媒等の均一系触媒を用い、気相法、溶液重合法等によって得られるが、密度が0.86〜0.94g/cm、MFRが0.01〜20g/10分であるものが特に好ましい。以上例示したポリオレフィン系樹脂は、二つ以上のポリオレフィン系樹脂を混合して用いることもできる。
一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるA成分には、1)3〜6価のポリオールと炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル、2)アルキル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミン、3)アシル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミド、4)以上の1)〜3)のうちでいずれか二つ以上の任意の混合物が含まれる。
A成分としての3〜6価のポリオールと炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルにおいて、部分エステルの原料となる3〜6価のポリオールとしては、1)グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール、2)ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビタン、ジグリセリン、エチレングリコールジグリセリルエーテル等のテトラオール、3)トリグリセリン、トリメチロールプロパンジグリセリルエーテル等のペンタオール、4)ソルビトール、テトラグリセリン、ジペンタエリスリトール等のヘキサオール等が挙げられる。また部分エステルの他の原料となる炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。A成分としての部分エステルは、以上説明した3〜6価のポリオールと炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸との適宜の組合わせから得られるものであり、いずれの場合においても分子中に少なくとも1個の遊離の水酸基を有するものであるが、なかでも4〜6価のポリオールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸とから得られる部分エステルが好ましい。かかる部分エステルとしては、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリンジラウレート等が挙げられる。
A成分としてのアルキル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミンとしては、ヘキシルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ベヘニルジエタノールアミン等が挙げられるが、なかでもアルキル基の炭素数12〜18のアルキルジエタノールアミンが好ましい。
A成分としてのアシル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミドとしては、ヘキシルジエタノールアミド、オクチルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド、ベヘニルジエタノールアミド等が挙げられるが、なかでもアシル基の炭素数12〜18のアルキルジエタノールアミドが好ましい。
一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるA成分は、以上説明したように、3〜6価のポリオールと炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミン及びアシル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミドから選ばれる一つ又は二つ以上であるが、かかるA成分としては、4〜6価のポリオールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルが好ましく、なかでも4価のポリオールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルがより好ましい。
一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるB成分には、1)アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、2)アルキル基の炭素数2〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩、3)アルキル基の炭素数2〜22のスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩、4)以上の1)〜3)のうちでいずれか二つ以上の任意の混合物が含まれる。
B成分としてのアルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩としては、1)ヘキシルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸リチウム、ヘキサデシルスルホン酸リチウム、オクタデシルスルホン酸リチウム、エイコシルスルホン酸カリウム、ドコシルスルホン酸カリウム等が挙げられるが、なかでもアルキル基の炭素数12〜18のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
B成分としてのアルキル基の炭素数2〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩としては、エチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、プロピルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ブチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、エイコシルベンゼンスルホン酸カリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられるが、なかでもアルキル基の炭素数8〜18のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
B成分としてのアルキル基の炭素数2〜22のスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩としては、ジエチルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジプロピルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジドデシルスルホコハク酸エステルリチウム、ジエイコシルスルホコハク酸エステルリチウム、ドデシルスルホ酢酸エステルナトリウム、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(オキシエチレン単位の繰り返し数1〜10)スルホ酢酸エステルカリウム等が挙げられるが、なかでもアルキル基の炭素数2〜22のスルホコハク酸エステルアルカリ金属塩が好ましく、アルキル基の炭素数4〜18のスルホコハク酸エステルアルカリ金属塩がより好ましい。
一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるB成分は、以上説明したように、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキル基の炭素数2〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル基の炭素数2〜22のスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上であるが、かかるB成分としては、アルキル基の炭素数12〜18のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるC成分には、1)低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、2)低級オレフィン−不飽和カルボン酸共重合物、3)変性ポリオレフィン、4)以上の1)〜3)のうちでいずれか二つ以上の任意の混合物が含まれる。
C成分としての低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物は、低級オレフィンと酢酸ビニルとを溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合等の重合方法により共重合して得た共重合体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラート等のアルカリで鹸化して得られるものである。原料としての低級オレフィンには、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブテン、イソブテン、アミレン、イソアミレン等が挙げられるが、エチレン、イソプレン、イソアミレンが好ましく、エチレンがより好ましい。かかる低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物において、中間原料としての低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体としては、粘度平均重合度が400〜2000のものが好ましく、700〜1500のものがより好ましい。また低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体の鹸化率としては、90〜99%とするのが好ましく、96〜99%とするのがより好ましい。更に低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体において、低級オレフィンの共重合比率は10〜60モル%とするのが好ましく、25〜50モル%とするのがより好ましい。
C成分としての低級オレフィン−不飽和カルボン酸共重合物としては、1)低級オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体、2)低級オレフィンと不飽和カルボン酸と低級オレフィンと共重合可能な単量体との共重合体、3)前記1)又は2)のアルカリ金属塩が挙げられる。1)〜3)の共重合体は、いずれも公知の合成方法により得られる。原料としての低級オレフィンには、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブテン、イソブテン、アミレン、イソアミレン等が挙げられるが、エチレン、イソプレン、イソアミレンが好ましい。また原料としての不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等が挙げられるが、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また低級オレフィンと共重合可能な単量体としては、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等が挙げられる。低級オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合物において、低級オレフィンから形成された構成単位と不飽和カルボン酸から形成された構成単位との割合としては、低級オレフィンから形成される構成単位/不飽和カルボン酸から形成される構成単位=70/30〜90/10(重量%)が好ましく、85/15〜75/25(重量%)がより好ましい。また低級オレフィンと不飽和カルボン酸と低級オレフィンと共重合可能な単量体との共重合体において、共重合可能な単量体の共重合比率としては、30重量%未満とするのが好ましい。低級オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合物のアルカリ金属塩、低級オレフィンと不飽和カルボン酸と低級オレフィンと共重合可能な単量体との共重合体のアルカリ金属塩において、中和に用いるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられるが、中でもカリウムが好ましい。また低級オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合物のアルカリ金属塩、低級オレフィンと不飽和カルボン酸と低級オレフィンと共重合可能な単量体との共重合体のアルカリ金属塩の中和度としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
C成分としての変性ポリオレフィンには、1)酸化ポリエチレン、2)変性ポリブタジエンが挙げられる。酸化ポリエチレンとしては、溶融点が75〜130℃、酸価が10〜60を有するものが挙げられるが、いずれの酸化ポリエチレンも原料となるポリエチレンとしては、平均分子量1000〜10000のものが好ましい。また変性ポリブタジエンとしては、マレイン化ポリブタジエン、メタクリル化ポリブタジエン、アクリル化ポリブタジエン、イミド化ポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられるが、いずれの変性ポリブタジエンも原料のポリブタジエンとしては、数平均分子量700〜3000のものが好ましい。
一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるC成分は、以上説明したように、低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、低級オレフィン−不飽和カルボン酸共重合物及び変性ポリオレフィンから選ばれる一つ又は二つ以上であるが、かかるC成分としては、粘度平均重合度400〜2000のエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物が好ましく、なかでも鹸化率90〜99%のものがより好ましい。
本発明に係る積層フィルムにおいて、一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物は、以上説明したように、ポリオレフィン系樹脂にA成分、B成分及びC成分を含有させたものである。ポリオレフィン系樹脂に対するA成分、B成分及びC成分の含有割合は、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、A成分を0.02〜2重量部、B成分を0.02〜2重量部及びC成分を0.02〜4重量部とするのが好ましく、A成分を0.05〜1重量部、B成分を0.05〜1重量部及びC成分を0.05〜2重量部とするのがより好ましい。またA成分とB成分との割合としては、A成分/B成分=50/50〜90/10(重量比)とするのが好ましく、60/40〜80/20(重量比)とするのがより好ましい。更にC成分の割合としては、(A成分+B成分)/C成分=100/10〜100/200(重量比)とするのが好ましく、100/20〜100/160(重量比)とするのがより好ましい。
本発明に係る積層フィルムにおいて、一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物には、以上説明したようなA成分、B成分及びC成分以外に、合目的的に他の剤を含有させることができる。かかる他の剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、耐候剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤等が挙げられるが、これらの他の剤の含有量は可及的に少量とするのが好ましい。
本発明に係る積層フィルムにおいて、他方の外層を形成することとなるポリオレフ
ィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物としては、1)ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、2)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、3)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ビニル系樹脂、4)コロナ処理オレフィン系樹脂、化学酸化処理オレフィン系樹脂等の酸化ポリオレフィン樹脂、5)前記1)〜4)の樹脂に熱安定剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、耐候剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤等の添加物を含有させた組成物等が挙げられるが、なかでもポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂組成物、ポリアミド系樹脂組成物が好ましい。
本発明に係る積層フィルムは、以上説明したように、一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成された2層以上の積層フィルムである。本発明に係る積層フィルムが3層以上の積層フィルムである場合、両外層以外の内層を形成する樹脂又は樹脂組成物は、かかる内層を設ける目的等により任意に選択でき、これには例えばエチレン−ビニルアルコール樹脂又はその組成物が挙げられる。本発明に係る積層フィルムの層の数は、作業性や経済性等の観点から2〜9層とするのが好ましい。
本発明に係る積層フィルムを製造するための積層方法としては、ドライラミネート法、サンドラミネート法、押出しラミネート法、共押出し法等が挙げられる。またこれらの積層方法を行う際には、ポリウレタン系接着剤、有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、接着性樹脂等を使用することができる。
以上説明した本発明に係る積層フィルムは、一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成された積層フィルムにおいて、ロール状に巻き取られて保管された後においても、優れた制電性、防曇性及びアンチブロッキング性を有する。
本発明に係る積層フィルムを実施するための最良の形態としては、次の1)〜4)が挙げられる。
1)一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリアミド系樹脂で形成された2層の積層フィルムであって、ポリオレフィン系樹脂組成物として、エチレン−(1−ブテン)共重合体(エチレン共重合比率95%、密度0.920g/cm、MFR2.1g/10分)100重量部当たり、下記のA−1成分を0.93重量部、下記のB−1成分を0.57重量部及び下記のC−1成分を0.33重量部含有するものを用いて成る積層フィルム。
A−1成分:ジグリセリンモノステアレート
B−1成分:テトラデシルスルホン酸ナトリウム
C−1成分:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1400、鹸化率96%、エチレン共重合比率45%)
2)一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリアミド系樹脂で形成された2層の積層フィルムであって、ポリオレフィン系樹脂組成物として、エチレン−(1−ヘキセン)共重合体(エチレン共重合比率96%、密度0.930g/cm、MFR1.0g/10分)100重量部当たり、前記のA−1成分を0.19重量部、前記のB−1成分を0.06重量部及び下記のC−2成分を0.06重量部含有するものを用いて成る積層フィルム。
C−2成分:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1400、鹸化率97%、エチレン共重合比率27%)
3)一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリエステル系樹脂で形成された2層の積層フィルムであって、ポリオレフィン系樹脂組成物として、ポリエチレン(密度0.927g/cm、MFR4.0g/10分)100重量部当たり、下記のA−2成分を0.09重量部、下記のB−2成分を0.05重量部及び下記のC−3成分を0.14重量部含有するものを用いて成る積層フィルム。
A−2成分:ソルビタンモノステアレート
B−2成分:ペンタデシルスルホン酸ナトリウム
C−3成分:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度750、鹸化率98%、エチレン共重合比率45%)
4)一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリエステル系樹脂で形成された2層の積層フィルムであって、ポリオレフィン系樹脂組成物として、ポリエチレン(密度0.927g/cm、MFR4.0g/10分)100重量部当たり、下記のA−3成分を0.95重量部、下記のB−3成分を0.30重量部及び下記のC−4成分を1.95重量部含有するものを用いて成る積層フィルム。
A−3成分:ジグリセリンモノステアレート/ソルビタンモノステアレート=50/50(重量比)の混合物
B−3成分:テトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム=50/50(重量比)の混合物
C−4成分:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度750、鹸化率99%、エチレン共重合比率26%)
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は重量部を、また%は特に別の意味で用いない限りモル%を意味する。
試験区分1(積層フィルムの製造)
実施例1
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−(1−ブテン)共重合体(エチレン共重合比率95%、密度0.920g/cm、MFR2.1g/10分)90部、A成分としてジグリセリンモノステアレート5.1部、B成分としてテトラデシルスルホン酸ナトリウム3.1部及びC成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1400、鹸化率96%、エチレン共重合比率45%)1.8部をタンブラーブレンダーに投入し、混合した後、二軸押出機により溶融混練して、マスターペレットを得た。このマスターペレット18.3部とポリオレフィン系樹脂として前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体83.53部をタンブラーブレンダーにて混合し、混合物を得た。この混合物をインフレーション製膜機(中部化学機械製作所社製のTKN−40)に供し、ダイの直径75mmでリップ間隔0.5mm、加工温度200℃及びBUR=1.8の条件下にインフレーション成形加工を行ない、厚さ40μmのポリオレフィン系フィルムを得た。このポリオレフィン系フィルムと、厚さ15μmの接着剤処理済みポリアミド系フィルム(ナイロン6二軸延伸フィルムの片面にポリウレタン系接着剤を固形分として3.5g/mの塗布量となるよう処理したもの)とを、ポリオレフィン系フィルムとポリアミド系フィルムの接着剤処理面とが貼り合わされるようにして、ラミネーターにより圧着加工し、ドライラミネート法による積層フィルムを得た。ここで得られた積層フィルムは、一方の外層が前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体100重量部当たりA成分としてジグリセリンモノステアレート0.93部、B成分としてテトラデシルスルホン酸ナトリウム0.57部及びC成分として前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物0.33部を含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層が前記のナイロン6で形成された2層の積層フィルムである。
実施例2〜13及び比較例1〜3
実施例1と同様にして、実施例2〜13及び比較例1〜3の積層フィルムを製造した。実施例1も含め、これらの内容を表1にまとめて示した。
実施例14
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−(1−ブテン)共重合体(エチレン共重合比率95%、密度0.920g/cm、MFR2.1g/10分)90部、A成分としてジグリセリンモノステアレート5.1部、B成分としてテトラデシルスルホン酸ナトリウム3.1部及びC成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1400、鹸化率96%、エチレン共重合比率45%)1.8部をタンブラーブレンダーに投入し、混合した後、二軸押出機により溶融混練して、マスターペレットを得た。このマスターペレット18.3部とポリオレフィン系樹脂として前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体83.53部をタンブラーブレンダーにて混合し、混合物を得た。この混合物をインフレーション製膜機(中部化学機械製作所社製のTKN−40)に供し、ダイの直径75mmでリップ間隔0.5mm、加工温度200℃及びBUR=1.8の条件下にインフレーション成形加工を行ない、厚さ40μmのポリオレフィン系フィルムを得た。このポリオレフィン系フィルムと、厚さ15μmのアンカーコート剤処理済みポリアミド系フィルム(ナイロン6二軸延伸フィルムの片面にイソシアネート系アンカーコート剤を固形分として0.1g/mの塗布量となるよう処理したもの)とを、ポリオレフィン系フィルムとポリアミド系フィルムのアンカーコート剤処理面との間に接着性樹脂(密度0.94g/cmでメチルメタクリレート共重合比率15%のエチレン−メチルメタクリレート共重合体)が中間層となるようにして、T−ダイから310℃で溶融押し出しし、ニップロールと冷却ロールで圧着加工して、サンドラミネート法による積層フィルムを得た。ここで得られた積層フィルムは、一方の外層が前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体100重量部当たりA成分としてジグリセリンモノステアレート0.93部、B成分としてテトラデシルスルホン酸ナトリウム0.57部及びC成分として前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物0.33部を含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層が前記のナイロン6で形成された2層の積層フィルムである。
実施例15〜17
実施例14と同様にして、実施例15〜17の積層フィルムを製造した。実施例14も含め、これらの内容を表1にまとめて示した。
実施例18
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−(1−ブテン)共重合体(エチレン共重合比率95%、密度0.920g/cm、MFR2.1g/10分)90部、A成分としてジグリセリンモノステアレート5.1部、B成分としてテトラデシルスルホン酸ナトリウム3.1部及びC成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1400、鹸化率96%、エチレン共重合比率45%)1.8部をタンブラーブレンダーに投入し、混合した後、二軸押出機により溶融混練して、マスターペレットを得た。このマスターペレット18.3部とポリオレフィン系樹脂として前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体83.53部をタンブラーブレンダーにて混合し、混合物を得た。この混合物を厚さ15μmのアンカーコート剤処理済みポリアミド系フィルム(ナイロン6二軸延伸フィルムの片面にイソシアネート系アンカーコート剤を固形分として0.1g/mの塗布量となるよう処理したもの)のアンカーコート処理面上にT−ダイから310℃で溶融押し出しし、ニップロールと冷却ロールで圧着加工して貼り合わせ、押出しラミネート法による積層フィルムを得た。ここで得られた積層フィルムは、一方の外層が前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体100重量部当たりA成分としてジグリセリンモノステアレート0.93部、B成分としてテトラデシルスルホン酸ナトリウム0.57部及びC成分として前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物0.33部を含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層が前記のナイロン6で形成された2層の積層フィルムである。
実施例19〜21
実施例18と同様にして、実施例19〜21の積層フィルムを製造した。実施例18も含め、これらの内容を表1にまとめて示した。
実施例22
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−(1−ブテン)共重合体(エチレン共重合比率95%、密度0.920g/cm、MFR2.1g/10分)90部、A成分としてジグリセリンモノステアレート5.1部、B成分としてテトラデシルスルホン酸ナトリウム3.1部及びC成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1400、鹸化率96%、エチレン共重合比率45%)1.8部をタンブラーブレンダーに投入し、混合した後、二軸押出機により溶融混練して、マスターペレットを得た。このマスターペレット18.3部とポリオレフィン系樹脂としての前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体83.53部をタンブラーブレンダーにて混合して混合物を得た。この混合物を一方の外層用とし、また前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体を中間層用とし、更にナイロン6(融点225℃、相対粘度3.5)を他方の外層用として、Tダイ法により30℃に冷却しながら共押し出しし、共押出し法による厚さ60μmで3層の積層フィルムを得た(各層の厚さの比は、一方の外層/内層/他方の外層=1/4/1)。ここで得られた積層フィルムは、一方の外層が前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体100重量部当たりA成分としてジグリセリンモノステアレート0.93部、B成分としてテトラデシルスルホン酸ナトリウム0.57部及びC成分として前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物0.33部を含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており、また中間層が前記のエチレン−(1−ブテン)共重合体で形成されていて且つ他方の外層が前記のナイロン6で形成された3層の積層フィルムである。
実施例23〜25
実施例22と同様にして、実施例23〜25の積層フィルムを製造した。実施例22も含め、これらの内容を表1にまとめて示した。



















Figure 2005059269
表1において、
割合:ポリオレフィン系樹脂100部に対する各成分の割合(部)
*1:A成分/B成分の割合(重量比)
*2:A成分とB成分との合計100部に対するC成分の割合(部)
A−1:ジグリセリンモノステアレート
A−2:ソルビタンモノステアレート
A−3:ジグリセリンモノステアレート/ソルビタンモノステアレート=50/50(重量比)の混合物
A−4:トリグリセリンモノラウレート
A−5:ラウリルジエタノールアミド
A−6:ミリスチルジエタノールアミン
A−7:ラウリルジエタノールアミド/ソルビタンモノステアレート=50/50(重量比)の混合物
A−8:グリセリンモノステアレート
A−9:ベヘニルジエタノールアミド
B−1:テトラデシルスルホン酸ナトリウム
B−2:ペンタデシルスルホン酸ナトリウム
B−3:テトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム=50/50(重量比)の混合物
B−4:ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム
B−5:ジオクチルスルホコハク酸カリウム
B−6:テトラデシルスルホン酸ナトリウム/オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム=50/50(重量比)の混合物
C−1:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1400、鹸化率96%、エチレン共重合比率45%)
C−2:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1400、鹸化率97%、エチレン共重合比率27%)
C−3:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度750、鹸化率98%、エチレン共重合比率45%)
C−4:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度750、鹸化率99%、エチレン共重合比率26%)
C−5:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1800、鹸化率91%、エチレン共重合比率22%)
C−6:エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物(エチレン−酢酸ビニル共重合体の粘度平均重合度1800、鹸化率93%、エチレン共重合比率55%)
C−7:酸化ポリエチレン(溶融点110℃、酸価20KOHmg/g、分子量3000)
C−8: マレイン化ポリブタジエン(酸価45KOHmg/g、分子量2800、粘度15Pa・s/30℃)
C−9:エチレン−アクリル酸共重合体のカリウム塩(アクリル酸含有量10%、カリウムイオン中和度60%)
C−10:エチレン−無水マレイン酸共重合体(無水マレイン酸含有率20%)
E−1:エチレン−(1−ブテン)共重合体(エチレン共重合比率95%、密度0.920g/cm、MFR2.1g/10分)
E−2:エチレン−(1−ヘキセン)共重合体(エチレン共重合比率96%、密度0.930g/cm、MFR1.0g/10分)
E−3:ポリエチレン(密度0.927g/cm、MFR4.0g/10分)
E−4:エチレン−プロピレン共重合体(エチレン共重合比率4%、密度0.90g/cm、MFR8.0g/10分)
E−5:エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン共重合比率93%、MFR1.5g/10分)
P−1:ナイロン6二軸延伸フィルム(厚さ15μm)
P−2:ポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルム(厚さ12μm)
P−3:ポリプロピレン二軸延伸フィルム(厚さ20μm、両面コロナ放電処理38μN/cm)
P−4:ナイロン6(融点225℃、相対粘度3.5)
M−1:ドライラミネート法
M−2:サンドラミネート法
M−3:押出しラミネート法
M−4:共押出し法
試験区分2(評価用試料の調製)
試験区分1で製造した積層フィルムから幅200mm、長さ100mの試料片を切り出し、これを直径80mmの紙管にロール状に巻き取り、輪ゴムで留めて、これを評価前試料とした。この評価前試料を20℃、相対湿度65%の条件下に24時間放置後、積層フィルムを平面状に開き、長さ方向中央部から長さ1mの試料を切り出して、これを製造直後の評価用試料とした。別に、前記と同様に作製した評価前試料を40℃、相対湿度50%の条件下に4週間放置した後、積層フィルムを平面状に開き、長さ方向中央部から長さ1mの試料を切り出して、これを保管後の評価用試料とした。
試験区分3(評価用試料の評価)
・制電性の評価
試験区分2で調製した製造直後の評価用試料と保管後の評価用試料について、ポリオレフィン系樹脂組成物で形成した一方の外層の表面固有抵抗値を、20℃、相対湿度65%の条件下で表面抵抗値測定装置(東亜電波工業社製の商品名SM−8210)を用いて測定し、下記の評価基準により制電性を評価した。結果を表2にまとめて示した。
制電性の評価基準
◎:1×1012Ω未満(制電性が優れている)
○:1×1012Ω以上1×1013Ω未満(制電性が良好である)
△:1×1013Ω以上1×1014Ω未満(制電性が劣っている)
×:1×1014Ω以上(制電性が著しく劣っている)
・防曇性の評価
試験区分2で調製した製造直後の評価用試料及び保管後の評価用試料について、これらを20℃の水60ml入れた100mlビーカーにポリオレフィン系樹脂組成物で形成した一方の外層が水面と向き合うよう被着し、5℃の条件下に1時間放置後、ポリオレフィン系樹脂組成物で形成した一方の外層への水滴の付着程度を観察し、下記の評価基準により防曇性を評価した。結果を表2にまとめて示した。
評価基準
◎:水滴の付着がなく、透明で、防曇性が優れている
○:大きな水滴の付着があるが、透明で、防曇性が良好である
△:小さい水滴の付着があり、やや不透明で、防曇性が劣っている
×:多数の小さい水滴の付着があり、不透明で、防曇性が著しく劣っている
・アンチブロッキング性の評価
試験区分2で調製した製造直後の評価用試料及び保管後の評価用試料について、これらから縦80mm×横50mmの大きさの小片を2枚切り出し、これらの小片をポリオレフィン系樹脂組成物で形成した一方の外層と他の外層とが縦50mm×横50mmの部分で重なるよう部分的に重ね合わせ、重なっている部分に10kg/cmの荷重を40℃、48時間かけた後、荷重を除き、2枚の小片の両端をそれぞれ反対方向(2枚の小片をせん断方向)へ引っ張って剥離するときに要する力を引っ張り試験測定装置(島津製作所社製の商品名オートグラフAG−G)で測定し、下記の評価基準によりアンチブロッキング性を評価した。結果を表2にまとめて示した。
評価基準
◎:剥離するときに要する力が0.2N/cm未満(アンチブロッキング性が優れている)
○:剥離するときに要する力が0.2N/cm以上0.4N/cm未満(アンチブロッキング性が良好である)
△:剥離するときに要する力が0.4N/cm以上0.6N/cm未満(アンチブロッキング性が劣っている)
×:剥離するときに要する力が0.6N/cm以上(アンチブロッキング性が著しく劣っている)
Figure 2005059269

Claims (9)

  1. 一方の外層がポリオレフィン系樹脂組成物で形成されており且つ他方の外層がポリオレフィン系樹脂よりも極性の高い樹脂又はその組成物で形成された2層以上の積層フィルムにおいて、一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物としてポリオレフィン系樹脂に下記のA成分、B成分及びC成分を含有させたものを用いて成ることを特徴とする積層フィルム。
    A成分:3〜6価のポリオールと炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル、アルキル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミン及びアシル基の炭素数6〜22のアルキルジエタノールアミドから選ばれる一つ又は二つ以上
    B成分:アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキル基の炭素数2〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル基の炭素数2〜22のスルホ脂肪酸エステルアルカリ金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上
    C成分:低級オレフィン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、低級オレフィン−不飽和カルボン酸共重合物及び変性ポリオレフィンから選ばれる一つ又は二つ以上
  2. 一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、A成分を0.02〜2重量部、B成分を0.02〜2重量部及びC成分を0.02〜4重量部の割合で含有するものである請求項1記載の積層フィルム。
  3. 一方の外層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物が、A成分/B成分=50/50〜90/10(重量比)の割合で含有しており、且つ(A成分+B成分)/C成分=100/10〜100/200(重量比)の割合で含有するものである請求項1又は2記載の積層フィルム。
  4. A成分が、4〜6価のポリオールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル、アルキル基の炭素数12〜18のアルキルジエタノールアミン及びアシル基の炭素数12〜18のアルキルジエタノールアミドから選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1〜3のいずれか一つの項記載の積層フィルム。
  5. A成分が、テトラオールと炭素数12〜18の脂肪族モノカルボン酸との部分エステルである請求項1〜3のいずれか一つの項記載の積層フィルム。
  6. B成分が、アルキル基の炭素数12〜18のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩である請求項1〜5のいずれか一つの項記載の積層フィルム。
  7. C成分が、粘度平均重合度400〜2000のエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物である請求項1〜6のいずれか一つの項記載の積層フィルム。
  8. C成分が、鹸化率90〜99%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物である請求項7記載の積層フィルム。
  9. 他方の外層が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂組成物又はポリアミド系樹脂組成物である請求項1〜8のいずれか一つの項記載の積層フィルム。
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