JP2005058770A - 横方向傾斜コイル・ボードに巻かれた中空導体を直接的に冷却する方法及び装置 - Google Patents

横方向傾斜コイル・ボードに巻かれた中空導体を直接的に冷却する方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 MRIで使用される横方向傾斜コイル・ボードによって発生する熱を放散させる組立体を提供する。
【解決手段】 MRIは、傾斜コイル(212、214)に電流を通して磁場を生成して動作される。磁場の生成には、比較的高電流を必要とし、これはMRI内部、特に患者空間に大きな熱蓄積を生じる。本発明は、電流を印加する間に、クーラントが直接通過できる中空導体(212)を備える。
【選択図】 図3

Description

本発明は一般に、磁気共鳴イメージング(MRI)システムに関し、より詳細には、MRIで使用される横方向傾斜コイル・ボードによって発生する熱を放散させる組立体及び方法に関する。
人体組織などの物質を均一な磁場(偏向磁場B)にかけると、組織中のスピンの個々の磁気モーメントはこの偏向磁場と整列しようとして、この周りをラーモアの特性周波数で無秩序に歳差運動することになる。この物質(または組織)に、x−y平面内にありラーモア周波数に近い周波数をもつ磁場(励起磁場B)がかけられると、正味の整列モーメント(すなわち、「縦方向磁化」)Mは、x−y平面内に来るように回転させられ(すなわち、「傾けられ(tipped)」)、正味の横方向磁気モーメントMが生成される。励起信号Bを停止させた後、励起したスピンにより信号が放出され、さらにこの信号を受信し処理して画像を形成することができる。
患者を走査する間、磁場を生成する傾斜コイルは、通常は数十キロワット程度の大量の熱を放散する。この熱の大部分は、これらのコイルが通電されている場合、x、y及びz軸傾斜コイルを形成する銅導体の抵抗発熱によって発生する。発生する熱量は、傾斜コイルに供給された電力に正比例する。大きな電力放散は、傾斜コイルに対して温度が増大する結果となるだけでなく、生成された熱は、傾斜コイル組立体又は共鳴モジュール内で分配され、他の2つの臨界領域の温度に影響を及ぼす。この2つの領域は、傾斜組立体の境界に位置し、患者ボア表面を含み、マグネットを収容する低温保持装置に隣接するボア表面を暖める。これら3つの領域の各々は、特定の最大温度限界を有する。共鳴モジュールにおいては、ガラス転移温度のような材料温度限界が存在する。すなわち、コイルの銅及びファイバー強化支持体は、120℃を超える温度に耐えることができるが、各層を接合するのに用いられるエポキシは、通常、約70℃〜100℃の遙かに低い最大使用温度を有する。規制制限は、患者又は表面上の最大温度を41℃に規定している。暖かいボア表面もまた、約40℃に制限された最大温度を有し、暖かいボア表面を介した低温保持装置中への過剰な熱伝達を回避する。更に、20℃を超える温度変動があると、温度に伴って磁気特性変動を示す磁場調整材料の温度依存性に起因して磁場均質性変動を引き起こす可能性がある。
従来の傾斜コイルで使用された高電流レベルは、コイルに近接したかなりの熱を生成する。この熱は、コイル及び関連する構造体への損傷を防ぐため、マグネット構成要素の発熱に起因する望ましくない磁場変化を回避するため、及びボア内の患者又は他の対象の容認できない加熱を防ぐために、コイル及びマグネット・ボア領域から除去されなければならない。
傾斜コイル用の冷却システムは、一般に、傾斜コイルから幾らかの距離、恐らくは10mm程度離れた位置にある水搬送管に対して、コイルの能動回路で発生した熱の伝導に依存する。能動回路と水管との間の空間は通常、ガラス繊維などの良好な絶縁特性を有する材料からなり、熱伝導性を非効率的なものにしている。この水搬送管もまた、コイル発熱領域の半径方向外側にあり、結果として最も高温の領域が患者に最も近くなり、高温領域と患者との間で直接的に冷却されない状態で走査されることになる。結果として生じる熱発生は、コイルの運転に熱的制限を付加する。一般に、最大強度及び高処理能力の増強が市場要因である。これらの要求が、動作電流及び電圧を押し上げている。動作電流が増大することによって、既存の熱システムの能力を上回る付加的な熱負荷が発生している。
横傾斜磁場ボードは一般に、矩形のベースシートから予め定められた銅経路を取り出すことによって構成される。この銅シートは、二次元の螺旋状コイルになり、円弧状に曲げて傾斜コイルに組み立てられ、X及びY軸動的磁場を形成する。従って、正確に位置決めされた中空銅導体から横方向電気コイルを形成して二次元コイル巻線を提供することが本発明の目的である。別の目的は、MRIの電気及び磁気特性を提供することに加えて、冷却回路として機能するこうした装置を提供することである。クーラントを導体に直接的に通過させ、その結果電流印加中に銅を冷却することも、本発明の目的である。
本発明の別の目的は、MRIの熱効率を改善することである。本発明の別の目的は、更に良好な画像品質とより迅速に画像を走査する能力とを有する装置を提供することである。本発明の更に別の目的は、より大きな電流及び電圧の通過を可能にする横方向傾斜コイルを提供することである。本発明の更に別の目的は、fMRI及び冠状動脈イメージングなどの新規の走査プロトコルを可能にする装置を提供することである。改善された熱効率はまた、熱的に誘起された故障を回避することによって、製品信頼性を改善する。開放型構造のMRIで使用できるような、「平坦な」傾斜コイルと共に使用する冷却システムを提供することも本発明の目的である。
本発明によりこれらの目的が達成される。本発明は、MRIの熱効率を向上し、温度変動に起因する均質性変動を低減することによってイメージング品質を改善し、熱関連の故障を低減することによって製品信頼性を改善する。本発明はまた、大電流の導通を可能にし、これにより磁場強度及び画像品質が向上する。
本発明は、内面と外面とを有する円筒形内側コイル巻線を含む自己遮蔽型傾斜コイル組立体を提供する。内側コイル巻線は、螺旋状に巻かれる。巻線は更に、該巻線を通る連続管状中空領域を含み、前記管状領域により、ここを通ってクーラントを連続して流すことができる。内側傾斜コイルの中空領域を通ってクーラントを循環させる冷却システムもまた、内面と外面とを有する円筒形外側コイル巻線として提供され、前記外側コイル巻線は、連続した螺旋状で巻かれ、内側傾斜コイルの外面と外側傾斜コイルの内面との間に中空環状空間を定め、充填材量が内側及び外側コイル巻線間に介在する。
本発明は、使用する水、エチレン・グリコール、或いは2つのクーラントの混合物を備える。本発明は更に、複数の内側傾斜コイル巻線が、傾斜コイルを冷却する連続管状中空領域を有することを提供する。本発明はまた、自己遮蔽型傾斜コイル組立体内部に置かれた複数の温度センサと、クーラントポンプと、前記クーラントポンプに電子的にリンクしたコンピュータと、前記温度センサとを有する自己遮蔽型傾斜コイル組立体を備える。
図1及び図2は、MRイメージング・システム(図示せず)用の自己遮蔽型傾斜コイル組立体100を示し、共通軸線Aに対して同心状に配置された円筒形の内側傾斜コイル巻線112及び外側傾斜コイル巻線114をそれぞれ含む。連続冷却管122が、内側傾斜コイル巻線112の外側直径表面上で螺旋状に巻かれ、対応する連続冷却管124が、外側傾斜コイル巻線114の内側直径表面に螺旋状に形成されており、冷却管122及び124は、エポキシ層123及び125によってそれぞれ所定位置に保持される。内側傾斜コイル巻線112は、x−、y−、及びz−傾斜コイルペア又はセットの内側コイルを含み、外側傾斜コイル巻線114は、x−、y−、及びz−傾斜コイルペア又はセットのそれぞれの外側コイルを含む。内側及び外側傾斜コイル巻線112及び114は、ネジで内側傾斜コイル巻線112に固定することができる環状端リング(図示せず)によって互いに半径方向に間隔を置いて同軸の関係で保持される。層123及び125に対して使用されたエポキシ充填材は、熱伝導率が向上するアルミナ微粒子材料を含有する。これにより、傾斜コイルによって発生した熱を内側及び外側傾斜コイル巻線112及び114から奪い、冷却管122及び124へ伝導するエポキシの有効性が向上する。好ましくは、冷却管122及び124は、それぞれのエポキシ層123及び125によって内側傾斜コイル巻線112及び外側傾斜コイル巻線114の相対する表面に個別の分離したユニットとして固定され、エポキシ材料は硬化可能である。
図2は、内側傾斜コイル112と外側傾斜コイル114との同心関係を示す従来技術のMR傾斜コイル100組立体の断面図である。同様に図2には、内側冷却管122及び外側冷却管124が示されている。冷却管122及び124は、エポキシ充填材123及び125を使用して同心関係に保持される。ガラス繊維円筒体が、残りの円筒形空間を形成するのに使用され、エポキシ層123と125の間に層126を形成する。
図3は、本発明の傾斜コイル組立体200を示す。本発明は、同心状の配置で共通軸線Aを有する内側傾斜コイル212及び外側傾斜コイル214を備える。外側から内へかけて、自己遮蔽型傾斜コイル組立体200は、外側傾斜コイル214を含む。この外側傾斜コイル214から内側にはエポキシ層225がある。エポキシ層223及び225は、傾斜コイル212、214によって電流が導通するときに発生する力に耐えるように、極めて高強度を有する。
エポキシ層225から内側にガラス繊維円筒体226がある。このガラス繊維円筒体226は、エポキシ層223と225の間に配置されている。このガラス繊維円筒体226から内側には、内側傾斜コイル212を形成する幾つかの導体層がある。
図3は、本発明の好ましい実施形態を示す。特に、図3は、一般に銅導体の帯板から構成される内側傾斜コイル212を示す。好ましい実施形態においては、これらの導電性帯板212は、ほぼ0.5m×1m×3.2mmであるが、多くの寸法及び形状の導体212を使用することができ、上記は本発明を限定するものではない。最も内側の傾斜コイル212は、実際の導体内部にあるクーラント通路用の中空領域232として機能する。このクーラント管232は、実際に、図4に示される冷却システムに接続され、傾斜コイルによって発生した熱を放散する。この傾斜コイル212はまた、中空導体212と呼ばれる。
このクーラントは、傾斜コイル212全体を通って移動する必要があることは明らかである。残念なことに、傾斜コイルの一方端からだけクーラントが入り他方端から出てくることでは効果的な冷却は達成されない。従って、中空導電性材料で作られた幾つかの並列冷却回路を使用することが望ましい。すなわち、クーラントは、幾つかのポイントで傾斜コイル212に入り、幾つかのポイントから出ることになる。
本明細書と組み合わせた図面は、本発明の用途を通常のMRIイメージング機械に限定することを意図するものではない。図示されていないが、本発明の中空巻導体は、通常、開放型構造MRIイメージング・システムに付随するフラットタイプの導体に巻き付けることができる。
図4は、MRIシステムの傾斜コイルによって発生した熱を低減するために提供された冷却システムの概略図である。MRI内部の熱放散は、傾斜コイルの過熱を回避するため、並びに検査中に患者を不愉快にするのを避けるために重要なことである。傾斜コイルは、対応する傾斜増幅器によって励起されて磁場傾斜を生成し、これは、既知の方法で画像を再構成するのに使用されるRFコイルによって収集された信号を空間的に符号化するために使用される。
傾斜コイルは、磁場を発生するときに、銅コイルの抵抗により数キロワットの熱を発生する。この熱は、MRI機械を適正に動作させるために放散させる必要がある。上述のように、水、空気、エチレン・グリコール、プロピレン・グリコール、或いは上記の何れかの混合物などのクーラントは、傾斜コイルを通って循環する。また、クーラントに対する防食添加剤を使用することができる。使用さされたクーラントの種類は、本発明の限定を意図するものではない。殆ど全てのクーラントは、同一の目的を達成するために使用することができる。このようにして、クーラントは傾斜コイル200から熱を除去する。
次に、図4を詳細に参照すると、クーラントは入口ポート234、235を介して共鳴モジュール又はチャンバーに入る。クーラントは、外部流体管路261、262を介して入口ポート234、235に流体的に連結されている冷却ポンプ240によって共鳴モジュールに供給される。所望のクーラント温度の維持を助けるために、クーラント管路261、262は、クーラントが自己遮蔽型傾斜コイル200に入るときに、クーラント温度のどのような変動をも除去するよう十分に分離されている。図4には、クーラント用に2つの入口ポート及び出口ポートが示されているが、他の実施形態においては、冷却管232はイメージング・ボリュームの周囲で円形であることから、1つの入口と1つの出口ポートだけであっても良く、或いは、MRI検査の延長により生じた熱負荷を除去するためにより大きな容量を提供するよう2つよりも多くても良い。
クーラントポンプ240は、システム要求に応じた温度で、及び本発明に従ってクーラントを循環させる。自己遮蔽型傾斜コイル210に入るクーラントは、冷却管232を通って移動し、この間にコイルから熱が吸収される。次いで、熱負荷を保持するクーラントは、傾斜コイルから流出し出口ポート236、237から排出され、この出口ポートは、加熱されたクーラントを戻り管路263、264を介して冷却機/熱交換器250へ送る。熱交換器250は、クーラントから吸収された熱を放散してクーラント温度を所望の温度にまで下げるように設計されている。
コンピュータ制御機器270を用いて、温度センサ280を監視することができる。温度センサ280が所望レベルを上回る温度を読み取った場合には、コンピュータ270は、ポンプ240にクーラント流を増大するよう信号を送るか、或いはMRI機械を停止する。温度が特定の値よりも降下した場合には、コンピュータ270は、MRIが運転していない場合にはクーラント流を減少するか又は停止する。
以上のようにして、MRIマグネット中の傾斜コイルを冷却するための改善された装置が開示された。本発明の冷却システムは、中空導体の巻型の傾斜コイルを提供し、流体が導体を通って流れ、導体を冷却することができるようにする。本発明の一態様においては、中空導体は、平坦な傾斜コイル構成の開放型構造のMRIで使用することができる。本発明の別の態様においては、各々がクーラント供給源に接続されている幾らかの長さの中空導体が傾斜コイルを構成することができる。本発明の中空導体は、傾斜コイル及び横方向傾斜コイルに加えて、遮蔽傾斜コイル及び非遮蔽傾斜コイルとして使用することができる。
本発明の好ましい実施形態を本明細書で極めて具体的に説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、ここに開示された改善例に対して変更を行うことができる点を理解されたい。従って、本発明の技術的範囲は、明細書及び図面によって過度に制限されるべきではなく、特許請求範囲の最も広範囲に可能な解釈によって判断されるべきである点を理解すべきである。
中心縦軸を通る平面で見た従来技術のMR傾斜コイル組立体の断面図。 従来技術のMR傾斜コイル組立体の図1の簡略化された断面図。 中心縦軸を通る平面で見た本発明のMR傾斜コイル組立体の断面図。 MRIイメージング・システムで使用するための冷却システムの概略図。
符号の説明
200 傾斜コイル組立体
212 内側傾斜コイル
214 外側傾斜コイル
223 エポキシ層
225 エポキシ層
226 円筒
232 中空領域

Claims (10)

  1. 導電材料(212)の帯板を含み、前記導電材料の帯板は、該導電材料を通って流体を流すことができるような中空部分(232)を有することを特徴とする横方向傾斜コイル。
  2. 前記中空導体212は、円筒体の全体形状を形成するために螺旋状に巻かれることを特徴とする請求項1に記載の横方向傾斜コイル組立体。
  3. 前記中空導体(212)は、遮蔽傾斜コイルで使用するために巻かれることを特徴とする請求項2に記載の横方向傾斜コイル組立体。
  4. 前記傾斜コイル(212)は、複数の中空導体(212)区分を含み、各々が前記導体(212)を通って流体が流れるのを可能にすることを特徴とする請求項3に記載の横方向傾斜コイル組立体。
  5. 貫通する連続管状中空領域(232)を含み、該管状領域(232)により連続したクーラント流が可能となる円筒形内側コイル巻線(212)と、
    前記コイル巻線(212)を取り囲む充填材(123)と、
    前記充填材(123)中で前記傾斜コイル(212)と熱的に接触した状態で位置付けられる複数のクーラント管(122)、(124)と、
    を備える横方向傾斜コイル組立体。
  6. 前記傾斜コイル(212)は、複数の中空導体区分を含み、各々が前記中空導体(212)を通って流体が流れるのを可能にすることを特徴とする請求項5に記載の横方向傾斜コイル組立体。
  7. 傾斜コイル(200)組立体を冷却する方法であって、
    連続中空中心(232)を有する導体(212)を準備する段階と、
    前記導体(212)が円筒体を形成するように前記導体(212)を螺旋状に巻く段階と、
    前記内側傾斜コイル(212)の前記中空領域(232)を通ってクーラントを循環させる冷却システムを準備する段階と、
    含む方法。
  8. 前記巻かれた円筒形導体(212)を他の円筒形巻線(214)と同軸の関係で配置する段階を更に含む請求項7に記載の方法。
  9. 前記傾斜コイル巻線(212、214)を半径方向に間隔を置いた同軸の関係で位置付ける段階を更に含む請求項8に記載の方法。
  10. 前記傾斜コイル巻線(212)を通ってクーラントを循環させる段階を更に含む請求項9に記載の方法。
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