JP2005058161A - ヒドロキシクエン酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒドロキシクエン酸の大量製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、微生物を用いた発酵法によるヒドロキシクエン酸の製造方法に関する。この方法は、ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物を培養する工程、および得られた培養液からヒドロキシクエン酸を回収する工程、を包含する。代表的には、上記ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物は、ストレプトミセスG3株、ミクロバクテリウムGD88A株、バチルスG45C株である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ヒドロキシクエン酸の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、微生物を用いた発酵法によるヒドロキシクエン酸の製造方法に関する。本発明により製造されるヒドロキシクエン酸は、健康食品、ダイエット食品、肥満抑制剤などの用途に利用可能である。
ヒドロキシクエン酸は、ガルシニア・カンボジア(Garcinia cambogia)に含まれる脂肪合成抑制作用をもつことが知られている物質である。ガルシニア・カンボジアは、東南アジア原産のオトギリソウ科の植物であって、オレンジに良く似た果実をもち、古くから、カレーのスパイスや魚の保存料として利用されている。ガルシニア・カンボジアのダイエット素材としての歴史もまた古い。現在、ガルシニア・カンボジアの果皮から抽出されたエキスが市販されている。
Lewisは、ガルシニア・カンボジアの乾燥果皮から単離されたヒドロキシクエン酸に脂肪の合成を抑制する作用のあることを報告した(非特許文献1)。ヒドロキシクエン酸は、水酸基(−OH)の数が1つ多い点を除けばクエン酸と同じ構造をもち、細胞内のATP濃度が上昇したとき、ミトコンドリアから細胞質に輸送されたクエン酸を基質にして脂肪を合成するATPクエン酸リアーゼの反応をクエン酸と拮抗することにより阻害し、クエン酸のグリーコーゲンへの転換を促進する。
Lewisの報告以後、ガルシニア・カンボジアからのヒドロキシクエン酸を含むエキスの抽出方法およびその用途について、種々の知見が得られている。米国特許第5656314号(特許文献1)は、水抽出、およびアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の組合せを用いた、ガルシニア属の果実の皮からのヒドロキシクエン酸濃縮物の調製法を記載する。特開平11−1431(特許文献2)は、ヒドロキシクエン酸を主成分とし、消化吸収性を向上させた肥満抑制剤を記載する。特開2000−256668(特許文献3)は、ヒドロキシクエン酸類を有効成分として含有する酸化防止剤を記載する。特開2000−279101(特許文献4)は、ヒドロキシクエン酸を含有する飼料を記載する。
ガルシニア・カンボジアの他に、アフリカ原産の植物であるハイビスカス・サブダリファ(Hibiscus subdariffa)もまた、ヒドロキシクエン酸を含むことが知られている。ハイビスカス・サブダリファの乾燥した顎はハイビスカスティーとして広く飲用されている。
ヒドロキシクエン酸には4種の異性体が存在し、ガルシニア・カンボジアは、(2S,3S)型のヒドロキシクエン酸を、そしてハイビスカス・サブダリファは、(2S,3R)型ヒドロキシクエン酸をそれぞれ含む。(2R、3S)型および(2R,3R)型ヒドロキシクエン酸は、現在まで、自然界には見出されてはいない。ヒドロキシクエン酸の立体選択的化学的合成は困難である(非特許文献2)。
ラット肝臓におけるATPクエン酸リアーゼを用いた、クエン酸に対する阻害実験の結果によると、4種の異性体のうち、ガルシニア・カンボジア由来の(2S,3S)ヒドロキシクエン酸が最も阻害作用があるとの報告がなされている(非特許文献3)。
Zemlyanukhinらは、ミクロコッカス(Micrococcus)属に属する微生物、およびハイビスカスにおけるヒドロキシクエン酸の代謝を調査し、ヒドロキシクエン酸を2ケトグルタル酸に可逆的に変換するヒドロキシクエン酸デヒドラターゼの存在を確認している(非特許文献4)。
Y.S.Lewis;Meth.Enzy.(J.M.Lowenstein,ed.)Vol.13,p613−619 Academic Press, New York(1969) Glusker、Jenny P.et al;Arch.Biochem.Biopyhs.132(2)、p573−575(1969) Ann C.Sullivan et al;J.Biol.Chem.(1977),vol.252,No.21,7583−7590 L.A.Zemlyanukhin and A.A.Zemlyanukhin;Russ.J.Plant Physiol.(1996),vol.43,No.1,108−110 米国特許第5656314号 特開平11−1431 特開2000−256668 特開2000−279101
現在、ヒドロキシクエン酸を含むガルシニアエキスは、ガルシニア・カンボジアの果皮から抽出して製造され販売されている。しかし、ヒドロキシクエン酸を含有する植物種は極めて少ないため、ヒドロキシクエン酸を含む健康食品、ダイエット食品、肥満抑制剤などに対する需要が高まるにつれ、ヒドロキシクエン酸の供給源を天然の植物に依存することは、将来、需要量に足る供給量を確保することが困難になると予想される。また、ガルシニア・カンボジアの産地は、タイ、インドなどの南アジア地域に限られており、ヒドロキシクエン酸の供給源を天然の植物に依存することはまた、その生産量が産地や気候に依存することをも意味している。このような状況下、ヒドロキシクエン酸を、大量かつ安定に製造することが望まれる。本発明は、ヒドロキシクエン酸を、大量かつ安価に提供する製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ヒドロキシクエン酸の製造方法に関し、この方法は、ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物を培養する工程、および得られた培養液からヒドロキシクエン酸を回収する工程を包含する。
好ましくは、上記微生物は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属する放線菌である。
好ましくは、上記放線菌は、ストレプトミセスG3株である。
好ましくは、上記微生物は、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属に属する細菌である。
好ましくは、上記細菌は、ミクロバクテリウムGD88A株である。
好ましくは、上記微生物は、バチルス(Bacillus)属に属する細菌である。
好ましくは、上記細菌は、バチルス メガテリウム(Bacillus megateium)である。
好ましくは、上記細菌は、バチルスG45C株である。
本発明によれば、著量のヒドロキシクエン酸が、短期間の培養で培地中に生成蓄積されるために、分離精製が容易で効率よく安価にヒドロキシクエン酸を製造する方法が提供される。
ヒドロキシクエン酸は、クエン酸に比べ、ATPクエン酸リアーゼに対する親和性が約100倍高いので(非特許文献3)、低濃度のヒドロキシクエン酸が肝細胞に存在すると、ヒドロキシクエン酸がクエン酸とATPクエン酸リアーゼの基質として競争阻害することにより肝細胞による脂肪合成を阻害する。ヒドロキシクエン酸がATPクエン酸リアーゼを阻害することにより、クエン酸が脂肪に変換されずに、エネルギー源として利用可能なグリコーゲンに変換される。従って、本発明は、優れたダイエット素材のみならず、摂取した個体において、例えば、持久力が増加するなどの効能が期待され得る素材を、大量に提供する方法が提供もされる。
以下本発明について詳細に説明する。
本明細書で用いる用語は、特に示されなければ、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。また、本明細書で用いる用語は、一般に、特に示されなければ、単数形の表現であってもその複数形の概念をも含む。また、本明細書で用いる「%」は、特に示されなければ重量%を意味する。
本明細書で用いる用語「炭素源」は、一般に、微生物によって吸収利用される炭素を含む化合物(炭素化合物)を意味し、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖などの炭水化物、多価アルコール、有機酸類、およびこれらを含む原材料を包含する。
本明細書で用いる用語「窒素源」は、一般に、微生物がその体を構成するタンパク質、核酸、その他の窒素化合物の原材料として、外界から取り入れられる窒素を含む化合物(窒素化合物)を意味し、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素化合物、アミノ酸、アミド、アミン、尿素などの有機窒素化合物、およびこれらを含む、ペプトン類、酵母エキス(以下しばしばYEと略記する)、肉エキス、コーンスティープリカーなどの原材料を包含する。
本発明は、ヒドロキシクエン酸の製造方法に関し、この方法は、ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物を培養する工程、および得られた培養液からヒドロキシクエン酸を回収する工程を包含する。
本発明の方法に用いる「ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物」は、ヒドロキシクエン酸の前駆体となり得る炭素源を含む培地でヒドロキシクエン酸を生産する任意の微生物を含む。このような微生物は、自然界から単離され得る。このような微生物の代表的な単離源として、土壌、植物などが挙げられる。ヒドロキシクエン酸の前駆体となり得る炭素源として、クエン酸、2−オキソグルタル酸、トランスアコニット酸、ヒドロキシクエン酸アナログ体などが挙げられる。
上記「ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物」は、代表的には、i)上記のヒドロキシクエン酸の前駆体;ii)ヒドロキシクエン酸を含むガルシニアエキス;およびiii)マンニトールのいずれかを唯一の炭素源として含む培地を用いて単離され得る。
上記「ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物」は、代表的には、i)植物の果実、葉などを直接寒天培地に接触させて培養し、そこから単離する;ii)植物の一部、または土壌を滅菌水に懸濁した後、適宜希釈して寒天培地に塗布して培養し、そこから単離する;およびiii)植物の組織内部から単離することによって得られ得る。
上記「ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物」であることの確認は、小量の液体培地を用いて得られた単離菌を培養し、培養液中に生成されるヒドロキシクエン酸を、高速液体クロマトグラフィーなどの分析機器を用いて検出することによって行われ得る。
代表的には、上記「ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物」は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属する放線菌、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属に属する細菌、バチルス(Bacillus)属に属する細菌である。特に、好適な「ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物」は、ストレプトミセスG3株、ミクロバクテリウムGD88A株、バチルスG45C株である。これらの株は、それぞれ、2003年7月29日に、産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、受託番号FERM P−19452、FERM P−19454およびFERM P−19453として寄託されている。
なお、本明細書で用いる用語「rDNA」は、通常用いられているように、リボソームを構成するRNAをコードするDNAであって、特に、原核細胞のrRNAを構成する16Sサブユニットに含まれる分子をコードするDNAをいう。本明細書で用いる用語「DNA」は、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。
上記ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物を培養する工程は、一般に、微生物の培養に用いられる培地を用いて行われ得る。このような培地は、上記ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物が資化できる、炭素源、窒素源、無機塩、微量栄養素、発育促進物質などを含み得る。好ましくは、培地の液性は、中性ないしは微酸性である。
代表的な炭素源は、グルコース、シュークロース、フラクトース、マンノース、ラクトース、デンプン、糖蜜、ホエー、グリセリン、ソルビトールなどを包含する。代表的な窒素源は、アンモニウム塩、硝酸塩などの無機塩、尿素を包含する。必要に応じて、ヒドロキシクエン酸の生成を促進するために、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、大豆粉、コーン・スティープ・リカー、カゼイン分解物、アミノ酸などの有機窒素源を添加し得る。さらに必要に応じて、上記ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物をの生育およびヒドロキシクエン酸の生成を促進するために、リン酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛などの化合物を添加し得る。さらに必要に応じて、上記ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物の生育によって産生される酸を中和し、pH低下によるヒドロキシクエン酸産生の障害を緩和するために、炭酸カルシウム、炭酸ソーダ、アルカリ液を添加し得る。さらに、必要に応じて、硫酸、硝酸、塩酸などの無機酸、またはリンゴ酸、ピルビン酸、クエン酸などの有機酸を添加し得る。
上記ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物を培養する工程は、通常、深部通気撹拌培養により実施され得る。代表的には、培養は、23℃〜35℃、好ましくは25℃〜30℃で行われる。通常、このような条件下、2日〜10日間培養を行えば、著量のヒドロキシクエン酸が培養液中に産生かつ蓄積される。
上記得られた培養液からヒドロキシクエン酸を回収する工程は、微生物の培養液から有機酸を採取するために通常用いられる、当業者に公知の分離採取の手段を、適宜組み合わせて実施され得る。例えば、遠心分離または濾過などの方法によって培養液から菌体を除き、得られた上澄液を濃縮してヒドロキシクエン酸を結晶として回収し得る。
あるいは、同様にして得られた上澄液に、硫酸カルシウムに代表されるカルシウム塩を加えて、ヒドロキシクエン酸をカルシウム塩として回収し得る。
あるいは、同様にして得られた上澄液を、イオン交換樹脂処理してヒドロキシクエン酸を回収し得る。
あるいは、同様にして得られた上澄液を濃縮した後、アルコール酸性化においてエステル化し、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ジクロロメタンなどの溶媒でヒドロキシクエン酸エステル化物を抽出し、さらに、シリカゲルカラムなど当業者に公知の方法で不純物を除去した後、得られたヒドロキシクエン酸エステル化物を、加水分解、濃縮し、再結晶することによってヒドロキシクエン酸を回収し得る。
あるいは、同様にして得られた上澄液を濃縮した後、硫酸や塩酸を加えてpHを酸性にして、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ブタノールなどの溶媒でヒドロキシクエン酸を抽出し、抽出液を濃縮し、再結晶してヒドロキシクエン酸を回収し得る。
以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例は、本発明の例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)ヒドロキシクエン酸産生菌のスクリーニング
(1)土壌、植物などを単離源としヒドロキシクエン酸産生菌を分離した。ヒドロキシクエン酸産生菌の分離は、クエン酸、2−オキソグルタル酸、トランスアコニット酸、ガルシニアエキス、またはマンニトールを唯一の炭素源として含む5種類の培地を用い、i)植物の果実、葉などを直接寒天培地に接触させて培養し、そこから単離する;ii)植物の一部、または土壌を滅菌水に懸濁した後、適宜希釈して寒天培地に塗布して培養し、そこから単離する;またはiii)植物の組織内部から単離することにより行った。表1に分離に用いた培地に含まれる炭素源を、そして表2にその他の培地成分を示す。その結果、約450種類の微生物が分離された。
Figure 2005058161
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(2)単離した微生物、本発明者らの所有する保存菌株、および菌株保存分譲機関から入手した菌株を、表3に示す炭素源および表4に示す成分を含む培地5mlを含む30ml容試験管に植菌し、30℃で48時間振盪培養した。得られた培養液を遠心分離して上澄液を得、これを、フィルター(Millex、0.20μm、MILLIPORE)で濾過し、得られた濾液を高速液体クロマトグララフィー(HITACHI社製、カラム GL−C610、流速 1.0ml/分、検出 UV−210nm、溶離液 0.1%HPO)でヒドロキシクエン酸を測定した。その結果、ヒドロキシクエン酸と同じ保持時間の大きなピークが測定された、G3株、GD88A株、およびG45C株を、ヒドロキシクエン酸生産菌として選択した。
Figure 2005058161
Figure 2005058161
(4)G3株、GD88A株、およびG45C株の菌学的性状
(4−1)G3株
(I)形態的性質
栄養菌糸は、各種寒天培地上でよく発達し分断は観察されない。気菌糸は、イースト・麦芽エキス寒天やオートミール寒天で豊富に着生し、白から褐色の色調を呈する。顕微鏡下の観察では、気菌糸上に20ケ以上の胞子の直線状の連鎖が認められる。個々の胞子は円筒状の形態をもち、その大きさは約1.0〜1.2×0.5〜0.6μmであった。胞子の表面は平滑である。菌核、胞子のう、および遊走子は見出されない。
(II)各種培地上での性状
イー・ビー・シャーリング(E.B.Shirling)と、デー・ゴットリーブ(D.Gottlieb)の方法(インターナショナル・ジャーナル・オブ・システィマテック・バクテリオロジー、16巻、313頁、1966年)によって調べたG3株の培養性状を以下に示す。
以下の表5において、色調は、標準色として、カラー・ハーモニー・マニュアル第4版(コンテナー・コーポレーション・オブ・アメリカ・シカゴ、1958年)を用いて決定し、色標名とともに括弧内にそのコードを併せて記載した。以下は、特記しない限り、27℃、2週間目の各培地における観察の結果である。
Figure 2005058161
(III)生理学的諸性質
1.メラニン色素の生成
(イ)チロシン寒天 陰性
(ロ)ペプトン・イースト・鉄寒天 陰性
(ハ)トリプトン・イースト液 陰性
(ニ)単純ゼラチン培地(21〜23℃) 陰性
2.硝酸塩の還元 陰性
3.ゼラチンの液化(単純ゼラチン培地21〜23℃) 陽性
4.スターチの加水分解 陽性
5.脱脂乳の凝固(27℃) 陰性
6.脱脂乳のペプトン化(27℃) 陰性
7.生育温度範囲 10〜36℃
8.炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒天培地)
利用する:D−グルコース、L−アラビノース、D−キシロース、D−マンニトール、L−ラムノース、D−フラクトース、myo−イノシトール。
利用しない:ラフィノース、メリビオース、シュクロース。
9.セルロースの分解 陰性
(IV)細胞壁組成
細胞壁のジアミノピメリン酸はLL型、主要メナキノンはMK−9(H)およびMK−9(H)であった。
(V)16S rDNA
16S rDNA(16s rRNA遺伝子)の部分塩基配列約500bpを用いてG3株の帰属分類群を推定した。
(方法) G3株をYM寒天培地(Difco、France)に植菌し、30℃で培養し、得られた菌体を供試試料とした。供試試料から定法に従い、ゲノムDNAを抽出し、これを鋳型としてPCR法により、16SrDNAの塩基配列約500bpを増幅し、得られた塩基配列を配列決定して解析に用いた。PCR産物の精製、サイクルシークエンスには、MicoSeqTM500 16s rDNA Bacterial Sequencing Kit(Applied Biosystems、U.S.)を用いた。ゲノムDNA抽出からサイクルシークエンスまでの操作は、製造業者のプロトコール(P/N4308132 Rev.A)に従って行った。サーマルサイクラーは、GeneAmp(登録商標)PCR Syetem 9600(Applied Biosystems、U.S.)を、そしてDNAシークエンサーは、ABI PRISM(登録商標)377 DNA Sequencer(Applied Biosystems、U.S.)をそれぞれ用いた。
得られた16S rDNAの塩基配列を用いて相同性検索、および系統樹の作成を行い、G3株の近縁種および帰属分類群の検討を行った。相同性検索、および系統樹の作成には、MicroSecTM Microbial Identification System Software V.1.4.1およびMicroSeqTM Bacterial 500 Library v.0023(Applied Biosystems、U.S.)をそれぞれ用いた。
(結果) G3株の16S rDNA部分塩基配列は相同率100%でストレプトミセス グリセオプラナス(Streptomyces griseoplanus)と一致した。分子系統樹上においてもG3株は、ストレプトミセス グリセオプラナスと同じ場所に位置したことから、G3株は、ストレプトミセス グリセオプラナスまたはこれに近縁な菌株であると推定された。
(VI)結論
以上、G3株の菌学的性状を要約すると、次のとおりである。細胞壁中のジアミノピメリン酸はLL型、主要メナキノンはMK−9(H)およびMK−9(H)である。胞子連鎖の形態は直線状で、長い胞子鎖を呈し、気菌糸は白色からイエロー系の色調を呈する。メラニン色素および可溶性色素は産生しない。これらの結果から、G3株は、バージーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー、4巻、1989年に基き、ストレプトミセス属に分類された。なお、本菌株は、ストレプトミセス・エスピー(Steptomyces sp.)G3として、産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19452として寄託されている。
(4−2)GD88A株
(I)菌学的性状
大きさ0.6〜0.7×1.5〜2.0μmの桿菌である。グラム染色性は陽性であり、胞子および運動性はない。栄養寒天で30℃24時間培養すると、円形で全縁滑らかな低凸状の光沢のある黄色のコロニーを形成する。カタラーゼ反応陽性、オキシダーゼ反応陰性、酸/ガス産生(グルコース)反応陰性、およびO/Fテスト(グルコース)陰性である。
(II)16S rDNA
G3株と同様に、16S rDNAの部分塩基配列約500bpを用いてGD88A株の帰属分類群を推定した。
MicroSecTM Microbial Identification System Software V.1.4.1およびMicroSeqTM Bacterial 500 Library v.0023(Applied Biosystems、U.S.)を用いた解析の結果、GD88A株の16S rDNAの部分塩基配列は、相同率96.23%でミクロバクテリウム リケファシエンス(Microbacterium liquefacience)、ミクロバクテリウム マリティピカム(Microbacterium maritypicum)、およびミクロバクテリウム エアボレセンス(Microbacterium arborescens)の16SrDNAに対し最も高い相同性を示した。分子系統樹上では、GD88A株の16SrDNAは、単独で枝を形成したが、ミクロバクテリウムの16SrDNAが形成するクラスター内に含まれていた。
(4−3)G45C株
(I)菌学的性状
大きさ1.0〜1.2×2.0〜4.0μmの桿菌である。グラム染色性は陽性であり、胞子および運動性を有する。栄養寒天で30℃24時間培養すると、円形で全縁滑らかな低凸状の光沢のない淡黄色のコロニーを形成する。カタラーゼ反応陽性、オキシダーゼ反応陰性、酸/ガス産生(グルコース)反応陰性、およびO/Fテスト(グルコース)陰性である。
(II)16S rDNA
G3株と同様に、16S rDNAの部分塩基配列約500bpを用いてG45C株の帰属分類群を推定した。
MicroSecTM Microbial Identification System Software V.1.4.1およびMicroSeqTM Bacterial 500 Library v.0023(Applied Biosystems、U.S.)を用いた解析の結果、G45C株の16S rDNAの部分塩基配列は、相同率99.63%でバチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)の16SrDNAに対して最も高い相同性を示した。分子系統樹上においても、G45C株の16SrDNAは、バチルス メガテリウムの16SrDNAと同じ場所に位置した。
(実施例2)ストレプトミセスG3株を用いたヒドロキシクエン酸の製造
グルコース18g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム0.25g、コーンスティープリカー(日本食品加工株式会社製)3gを水道水に溶かしてpH6.0に調整した後1Lとした。そのうちの40mlを200ml容三角フラスコに分注し、121℃で20分間殺菌を行い、前培養培地とした。
次いで、予めPGY斜面培地で25℃、3〜7日間培養したストレプトミセス(Streptomyces)属として同定されたG3菌株の菌体1白金耳分を前培養培地に接種し、ロータリーシェーカー上、回転数毎分140回転、培養温度30℃で2日間培養を行った。
前培養終了後、以下の組成の本培養培地400mlに、前培養液の全量を添加した。
本培養培地の組成および調製法:グルコース36g、リン酸二水素カリウム2g、硫酸マグネシウム0.5g、コーンスティープリカー(日本食品加工株式会社製)6gを水道水に溶かしてpH6.0に調整した後2Lとし、400mlづつ2L容三角フラスコに分注し、121℃で20分間殺菌を行った。
本培養培地を含み、前培養液が添加された三角フラスコを、ロータリーシェーカーに乗せ、回転数毎分140回転、培養温度30℃に維持することにより、G3株を培養した。培養は2日間行った。
本培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を除き、得られた上澄液について下記の条件で高速液体クロマトグラフィーを行い、生成物の分析を行った。
[高速液体クロマトグラフィー条件]:カラム GL−C610、移動相 0.1%リン酸水溶液、移動相の流量: 1.0ml/分、検出 UV210nm。
その結果、上澄液中に、約15mg/Lのヒドロキシクエン酸、およびその他の生成物としてクエン酸が測定され、G3株の培養液中に、ヒドロキシクエン酸が生成蓄積されていることが確認された(図1を参照のこと図1中、HCAはヒドロキシクエン酸を示す。以下同様)。
さらに、ヒドロキシクエン酸を、得られた上澄液中から以下の方法を用いて単離し、そしてそれをメチルエステル化して、その物性を測定した。
[ヒドロキシクエン酸の単離]
上澄液1.8Lに、炭酸カルシウム(和光純薬(株))を5g加え、水溶液中に含まれるクエン酸をカルシウム塩として沈澱させた。次に、上澄液に、10mlの陽イオン交換樹脂(AMBERLITE IR120Na オルガノ(株))を加え、水溶液中に残る炭酸カルシウムおよびカルシウムイオンを取り除いた。さらに、上澄液に、100mlのDIAION HP−20(三菱化学(株))を加え、色素を取り除いた。
次に、得られた、陽イオン交換樹脂およびDIAION HP−20に吸着しない画分を、陰イオン交換樹脂(AMBERLITE IRA410JCL オルガノ(株))に吸着させた。陰イオン交換樹脂を1Lの水でよく洗い流した後、25%ギ酸溶液(和光純薬(株))100mlで酸成分を溶出させた。得られた溶出液を乾固して得られた濃縮物を水に溶解し、リサイクルHPLC(日本分析工業(株)、カラム GS320、流速 5ml/分、カラム温度 室温、溶離液 ;蒸留水)を用いてヒドロキシクエン酸を分離した。
得られたヒドロキシクエン酸を再度濃縮した後、ジアゾメタンを用いてヒドロキシクエン酸をメチルエステル化した。得られた溶液に、ジクロロメタンおよび飽和食塩水を加え、ジクロロメタン層にヒドロキシクエン酸のメチルエステル化物を移動させた後、ジクロロメタン層を硫酸ナトリウムを用いて水分を除去し、その後濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムグラフィーにより分離し、ヒドロキシクエン酸のメチルエステル化物を精製した。
600MHz H−NMRスペクトロメーター(Varian INOVA 600 Spectromer)を用い、精製したヒドロキシクエン酸のメチルエステル化物のHスペクトルを測定した(CDCl溶液中)。図2に結果を示す。
図2に示されるように、ケミカルシフト3.06ppmと2.91ppmに(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸(ハイビスカス型)のメチルエステル体のラクトンを示すプロトンHa、Hbが測定された。このダブレットの分裂幅は15Hzであった。また、ケミカルシフト3.16と2.98ppmに(2S、3R)ヒドロキシクエン酸の非ラクトン型のメチルエステル体を示すプロトンHd、Heが測定された。このダブレットの分裂幅は15Hzであった。図2に示す化学式は、左の化学式が(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸(ハイビスカス型)のメチルエステル体のラクトン、そして右の化学式がヒドロキシクエン酸の非ラクトン型のメチルエステル体である。
(実施例3)ミクロバクテリウムGD88A株を用いたヒドロキシクエン酸の製造
(Microbacterium)属と同定されたGD88A株を用いたことを除いて、実施例2と同様に、培養液中のヒドロキクエン酸を測定した。
図3に、GD88A株の培養上澄液の高速液体クロマトグラフィー分析結果を示す。GD88A株についても、G3株同様、その培養上澄液中に、約12mg/Lのヒドロキシクエン酸、およびその他の生成物としてクエン酸が測定され、GD88A株の培養液中に、ヒドロキシクエン酸が生成蓄積されていることが確認された。
実施例2と同様に、GD88A株の培養上澄液からヒドロキシクエン酸を単離し、400MHz H−NMRスペクトロメーター(Bruker社製)を用いてメチルエステル化したヒドロキシクエン酸のHスペクトルを測定した(CDCl溶液中)。図4に結果を示す。
図4に示されるように、ケミカルシフト2.71ppmと3.18ppmに(2S、3S)−ヒドロキシクエン酸(ガルシニア型)のメチルエステル体のラクトンを示すプロトンHa、Hbが測定された。このダブレットの分裂幅は15.3Hzであった。図4に示される化学式は、(2S、3S)−ヒドロキシクエン酸(ガルシニア型)のメチルエステル体のラクトンである。
(実施例4)バチルスG45C株を用いたヒドロキシクエン酸の製造
バチルス属として同定されたG45C株を用いたことを除いて、実施例2と同様に、培養液中のヒドロキクエン酸を測定した。
図5に、G45C株の培養上澄液の高速液体クロマトグラフィー分析結果を示す。G45C株についても、G3株同様、その培養上澄液中に、約31mg/L濃度のヒドロキシクエン酸、およびその他の生成物としてクエン酸が測定され、G45C株の培養液中に、ヒドロキシクエン酸が生成蓄積されていることが確認された。
実施例2と同様に、GD45C株の培養上澄液からヒドロキシクエン酸を単離し、300MHz H−NMRスペクトロメーター(日本電子製)を用いてメチルエステル化したヒドロキシクエン酸のHスペクトルを測定した(CDCl溶液中)。その結果、図6に示されるように、ケミカルシフト3.07ppmと2.87ppmに(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸(ハイビスカス型)のメチルエステル体のラクトンを示すプロトンHa、Hbが測定され、このダブレットの分裂幅は17.4Hzであった。さらに、ケミカルシフト3.16と2.98ppmに(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸の非ラクトン型のメチルエステル体を示すプロトンHd、Heもまた測定された。このダブレットの分裂幅は17Hzであった。図6に示す化学式は、左の化学式が(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸(ハイビスカス型)のメチルエステル体のラクトン、そして右の化学式が(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸の非ラクトン型のメチルエステル体である。
(比較例1)
ガルシニア・カンボジアの果実の乾燥した果皮から、以下の方法により、(2S、3S)−ヒドロキシクエン酸を精製し標品として用いた。
ガルシニア・カンボジアの果実の乾燥した果皮5gを、100℃の熱水100ml中に入れて1時間攪拌し、炭酸カルシウム(和光純薬(株))を5g加え、溶液に含まれるクエン酸をカルシウム塩として沈澱させた。次に、10mlの陽イオン交換樹脂(AMBERLITE IR120Na オルガノ(株))を加え、溶液中に残る炭酸カルシウムおよびカルシウムイオンを取り除いた。さらに、100mlのDIAION HP−20(三菱化学(株))を加え、色素を取り除いた。
次に、得られた、上記陽イオン交換樹脂およびDIAION HP−20に吸着しない画分を、陰イオン交換樹脂(AMBERLITE IRA410JCL オルガノ(株))に吸着させた。陰イオン交換樹脂を1Lの水でよく洗い流した後、25%ギ酸溶液(和光純薬(株))100mlで酸成分を溶出させた。得られた溶出液を乾固して得られた濃縮物を水に溶解し、リサイクルHPLC(日本分析工業(株)、カラム GS320、流速 5ml/分、カラム温度 室温、溶離液 蒸留水)を用いてヒドロキシクエン酸を分離した。分離前の測定結果を図7に、そして分離後の測定結果を図8に示す。
精製されたヒドロキシクエン酸を乾燥した後、300MHz H−NMRスペクトロメーター(日本電子製)を用いて、Hスペクトル測定を行った(DO溶液中)。結果を図9に示す。図9に示されるように、ケミカルシフト2.79ppmと3.14ppmに、(2S、3S)−ヒドロキシクエン酸のラクトンのプロトンHa、 Hbが測定された。このダブレットの分裂幅は18Hzであった。プロトンHcのシグナルは4.91ppmに測定された。(2S、3S)−ヒドロキシクエン酸の非ラクトン型のプロトンHd、Heのシグナルは、3.01、2.91ppm付近にダブレットを形成し、その分裂幅は16.5Hzであった。プロトンHfのシグナルは4.30ppmに測定された。
また、ガルシニア・カンボジアの果実の乾燥した果皮から、以下の方法により、(2S、3S)−ヒドロキシクエン酸メチルエステル体を精製し標品として用いた。
ガルシニア・カンボジアの果実の乾燥した果皮10gを、塩酸−メタノール(1.5w/v%)60mlに入れ、24時間室温にて撹拌した。この溶液に、少量の飽和食塩水とジクロロメタン100mlを加えてヒドロキシクエン酸を分配抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥させたジクロロメタン層を濃縮し、実施例1と同様の方法を用いてシリカゲルカラムグラフィーにより分離し、目的とするヒドロキシクエン酸のメチルエステル化物を精製した。
400MHz NMRスペクトロメーター(Bruker社製)を用い、精製した(2S、3S)−ヒドロキシクエン酸のメチルエステル化物のHスペクトルを測定した(CDCl溶液)。その結果、図10に示されるように、ケミカルシフト2.79ppmと3.18ppmに(2S、3S)−ヒドロキシクエン酸のメチルエステル体のラクトンを示すプロトンHa、Hbが測定された。このダブレットの分裂幅は18Hzであった。またプロトンHcのシグナルは4.93ppmに測定された。
さらに、ケミカルシフト3.04ppm付近に、(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸の非ラクトン型のメチルエステル体を示すプロトンHd、Heが測定され、プロトンHfのシグナルは4.32ppmに測定された。メチル基のプロトンのシグナルは4.0ppm付近に測定された。
なお、図7、8、9、および10に示される化学式は左がラクトン型、そして右が非ラクトン型の構造を示す。
(比較例2)
比較例1と同様の方法を用い、ハイビスカス・サブダリファの乾燥顎から、(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸を精製し、標品として用いた。
精製したヒドロキシクエン酸を乾燥させた後、300MHz H−NMRスペクトロメーター(日本電子製)を用い、ヒドロキシクエン酸のHスペクトルを測定した(DO溶液)。結果を図11に示す。図11に示されるように、ケミカルシフト3.24ppmと2.70ppmに(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸のラクトンのプロトンHa、 Hbが測定された。このダブレットの分裂幅は17.7Hzであった。また、プロトンHcのシグナルは5.30ppmに測定された。(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸の非ラクトン型のプロトンHd、Heのシグナルは、2.97、2.84ppm付近にダブレットを形成し、その分裂幅は16.2Hzであった。プロトンHfのシグナルは4.37ppmに測定された。
また、比較例1と同様の方法を用い、ハイビスカス・サブダリファの乾燥顎から(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸のメチルエステル体を精製し、標品として用いた。
400MHz NMRスペクトロメーター(Bruker社製)を用い、精製した(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸のメチルエステル化物のHスペクトルを測定した(CDCl溶液)。結果を図12に示す。図12に示されるように、ケミカルシフト3.08ppmと2.88ppmに(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸のメチルエステル体のラクトンを示すプロトンHa 、Hbが測定された。このダブレットの分裂幅は17.4Hzであった。またプロトンHcのシグナルは5.13ppmに測定された。また、ケミカルシフト3.16ppmと2.97ppmに(2S、3R)−ヒドロキシクエン酸の非ラクトン型のメチルエステル体を示すプロトンHd、Heが測定された。このダブレットの分裂幅は17Hzであった。プロトンHfのシグナルは4.36ppmに測定された。メチル基のプロトンのシグナルは4.0ppm付近に測定された。
なお、図11および12に示される化学式は、左がラクトン型、そして右が非ラクトン型の構造を示している。
本発明により製造されるヒドロキシクエン酸は、健康食品、ダイエット食品、肥満抑制剤などの用途に利用可能である。
G3株の培養液の上澄液(精製前)の高速液体クロマトグラフィー測定結果を示す図。 G3株の培養液の上澄液から精製されたヒドロキシクエン酸メチルエステル体の600MHz H−NMRスペクトルを示す図。 GD88A株の培養液の上澄液(精製前)の高速液体クロマトグラフィー測定結果を示す図。 GD88A株の培養液の上澄液から精製されたヒドロキシクエン酸メチルエステル体の400MHz H−NMRスペクトルを示す図。 G45C株の培養液の上澄液(精製前)の高速液体クロマトグラフィー測定結果を示す図。 G45C株の培養液の上澄液から精製されたヒドロキシクエン酸メチルエステル体の300MHz H−NMRスペクトルを示す図。 ガルシニア抽出物(分離前)の高速液体クロマトグラフィー測定結果を示す図。 ガルシニア抽出物(分離後)の高速液体クロマトグラフィー測定結果を示す図。 O中で測定したガルシニア型ヒドロキシクエン酸((2S、3S)−ヒドロキシクエン酸)の300MHz H−NMRスペクトルを示す図。 CDCl中で測定したガルシニア型ヒドロキシクエン酸((2S、3S)−ヒドロキシクエン酸のメチルエステル体)の400MHz H−NMRスペクトルを示す図。 O中で測定したハイビスカス型ヒドロキシクエン酸((2S、3R)−ヒドロキシクエン酸)の300MHz H−NMRスペクトルを示す図。 CDCl中で測定したハイビスカス型ヒドロキシクエン酸((2S、3R)−ヒドロキシクエン酸のメチルエステル体)の400MHz H−NMRスペクトルを示す図。

Claims (8)

  1. ヒドロキシクエン酸の製造方法であって、
    ヒドロキシクエン酸生産能を有する微生物を培養する工程、および
    得られた培養液からヒドロキシクエン酸を回収する工程、を包含する、方法。
  2. 前記微生物が、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属する放線菌である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記放線菌が、ストレプトミセスG3株である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記微生物が、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属に属する細菌である、請求項1の方法。
  5. 前記細菌が、ミクロバクテリウムGD88A株である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記微生物が、バチルス(Bacillus)属に属する細菌である、請求項1のヒドロキシクエン酸製造方法。
  7. 前記細菌が、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)である、請求項6のヒドロキシクエン酸製造方法。
  8. 前記細菌が、バチルスG45C株である、請求項6のヒドロキシクエン酸製造方法。
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