図1は、本発明に係る駆動装置が適用されるトラス型アクチュエータ(トラスモータ)の構成を模式的に示す正面図である。この図において、トラス型アクチュエータは、円板状の被駆動部材10を駆動する駆動部12と、この駆動部12を被駆動部材10に加圧接触させる加圧部14とから構成されている。駆動部12は、例えば90°の挟み角度で交差された第1の電気機械変換素子16及び第2の電気機械変換素子18と、その先端側の交点に接着された変位合成部材20と、第1,第2の変位素子16,18の後端側に接着されたベース部材22とから構成されている。
ここで、被駆動部材10は、例えば鉄、アルミニウムなどの金属で作られた円板状のロータからなるもので、変位合成部20との接触による摩耗を防ぐため、その側面にはタフトライド処理、アルマイト処理などの表面処理が施されている。加圧部14は、例えばコイルばねで構成され、ベース部材22を被駆動部材10の中心方向に加圧するように設定されている。
ここで、第1,第2の電気機械変換素子16,18は、電気信号を圧電効果により機械的変位に変換する積層型の圧電素子が用いられている。この圧電素子は、PZTなどの圧電特性を示す複数のセラミック薄板と電極を交互に積層したものであり、1つおきに配置された各電極群は、それぞれ信号線を介して駆動電源に接続されている。この信号線に所定の電圧を印加すると、2つの電極に挟まれた各セラミック薄板には、その積層方向に1つおきに同じ方向となる電界が発生する。
このように構成された第1,第2の電気機械変換素子16,18の各電極に交流の駆動電圧が印加されると、その電界に応じて各セラミック薄板が同方向に伸縮を繰り返すことで、第1,第2の電気機械変換素子16,18は全体として伸縮を繰り返すことになる。圧電素子には、その構造や電気的特性により決定される固有の共振周波数が存在するため、駆動電圧の周波数が圧電素子の共振周波数と一致すると、インピーダンスが低下し、圧電素子の変位が増大する。
変位合成部材20は、安定して高い摩擦係数が得られ、摩耗し難いタングステンなどの金属材料から構成されている。ベース部材22は、製造し易く強度の得られるステンレスなどの金属材料が用いられている。また、これらの接着には、接着力や強度に優れたエポキシ樹脂系の接着剤が用いられる。
このように構成されたトラス型アクチュエータは、次のように動作する。すなわち、第1,第2の電気機械変換素子16,18に、所定の位相差を有する駆動信号をそれぞれ印加すると、変位合成部材20は楕円形(円形を含む)の軌跡を描くように駆動される。この変位合成部材20を、例えば所定の軸の周りに回転可能な被駆動部材10の周面に押しつけると、変位合成部材20の楕円運動(円運動を含む)を被駆動部材10の回転運動に変換することが可能となる。なお、変位合成部材20を図略の棒状部材の平面部に押しつけるようにすると、変位合成部材20の楕円運動を棒状部材の直線運動に変換することが可能となる。
すなわち、第1,第2の電気機械変換素子16,18を駆動するための駆動信号(駆動電圧)の振幅や位相差を変化させることにより、変位合成部材20は、楕円振動の式(Lissajousの式)に従った種々の軌跡を描くことになる。いま、第1,第2の電気機械変換素子16,18を駆動する2つの駆動信号の振幅を等しくした場合において、各駆動信号間の位相差を0°、45°、90°、135°及び180°とした場合の軌跡をそれぞれ図2の(a)〜(e)に示す。
このように、変位合成部材20の軌跡を制御することにより、被駆動部材10の回転方向、回転速度、回転力(トルク)等を制御することができる。具体的には、被駆動部材10に対してその接線方向における変位合成部材20の軌跡の径を大きくすれば回転速度が上昇する。また、被駆動部材10に対してその法線方向における変位合成部材20の軌跡の径を大きくすれば回転力が上昇する。さらに、一方の駆動信号の位相を反転すれば回転方向を反転させることができる。なお、第1,第2の電気機械変換素子16,18のうち、一方の電気機械変換素子のみに駆動信号を印加することによっても変位合成部材20が楕円運動し、この楕円運動により被駆動部材10を駆動することができる。
図3は、上記のように構成されたトラス型アクチュエータの機械負荷が結合された状態での駆動周波数対速度特性を概念的に示す図である。この特性図から明らかなように、機械負荷が結合された状態でのトラス型アクチュエータは、駆動周波数fdmにおいて回転速度(負荷速度)が最大vmとなり、駆動周波数がfdmよりも小さくなるに従って回転速度が次第に低下すると共に、駆動周波数がfdmよりも大きくなるに従って回転速度が次第に低下する単峰特性を有している。なお、機械負荷の出力がトルクである場合などでも回転速度と同様の単峰特性を呈する。したがって、本発明では、トラス型アクチュエータが図3に示すような単峰特性を有していることを利用して駆動周波数が常に適切な値に設定されるようにするものである。
すなわち、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置は、機械負荷の出力が回転速度である場合について説明すると、駆動周波数を機械負荷の動作に実質的に影響を与えない範囲内における第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとの間で掃引させ、第1の駆動周波数fdaに対応する回転速度vaと第2の駆動周波数fdbに対応する回転速度vbとを求め、この2つの回転速度の変化幅(変化値)Δv(Δv=fda-fdb)が最小(実質的にゼロと見なせる値)となるように駆動周波数の掃引範囲(fda〜fdb)を移動させることにより駆動周波数が常に適切な値に設定されるようにするものである。これにより、機械負荷の駆動動作を中断することなく駆動周波数を容易に最適駆動周波数に調整することができる。
なお、本発明でいう最適駆動周波数とは、駆動周波数対機械出力特性図(図3の場合では、駆動周波数対速度特性図)における出力がピーク値となる駆動周波数のみを指すのではなく、その駆動周波数を含む一定の許容幅を有するものである。このことは、以下に述べるすべての実施形態において同様である。
図4は、図1に示すトラス型アクチュエータなどに適用されるもので、図3を用いて説明した調整原理に基づいて駆動周波数を調整するようにした第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置の制御構成を示すブロック図である。以下、図3を参照しつつ駆動装置の構成を説明する。
すなわち、図4に示す駆動装置30は、例えば監視カメラなどの電子撮像カメラが取り付けられた雲台を左右方向などの所定方向に回転させるためのトラス型アクチュエータ32を駆動制御するもので、全体の動作を制御する主制御部34と、トラス型アクチュエータ32の第1,第2の電気機械変換素子16,18(図1)のうち、一方の電気機械変換素子に正弦波交流の駆動電圧を供給する交流電圧発生器などからなる駆動回路36と、トラス型アクチュエータ32に結合された雲台を含む機械負荷38の回転角度(機械出力)を連続的に検出する回転検出エンコーダなどからなる角度検出部(出力計測部)40と、機械負荷38に対して回転角度位置を指示する角度指示信号と角度検出部40で検出された機械負荷38の回転角度信号とを比較して角度誤差信号を出力するコンパレータなどからなる比較制御部42とを備えている。
さらに、駆動装置30は、比較制御部42から出力される角度誤差信号と機械負荷38の回転角度信号とから演算して得た回転速度信号とに基づいてトラス型アクチュエータ32の回転速度を変更するため、駆動回路36から出力される駆動電圧の振幅を制御する制御信号を出力する駆動制御部44と、駆動回路36から出力される駆動電圧の周波数(駆動周波数)を制御する制御信号を出力するもので、その制御信号を所定の掃引周波数(繰り返し周波数)を有する矩形波信号として出力する駆動周波数発生部46とを備えている。
主制御部34は、演算処理を実行するCPU、所定の処理プログラムやデータなどが記録されたROM、及び、処理データを一時的に記録するRAMから構成されたものである。また、主制御部34には、速度検出部341、出力抽出部342及び掃引制御部343としての機能実現部を備えている。また、掃引制御部343には、出力判別部344、傾き導出部345及び傾き判別部346としての機能実現部を備えている。
速度検出部341は、角度検出部40から出力されるパルス信号のパルス間の経過時間に基づいて機械負荷38の回転速度(負荷速度)vを離散値として所定の算出式により連続的に求めるものである。出力抽出部342は、速度検出部341で得られた回転速度vのうち、掃引制御部343の掃引周波数(繰り返し周波数)に同期させてサンプリングを行い、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する回転速度(va,vb)をそれぞれ検出(抽出)し、各周波数に対応する複数の回転速度の平均値を求めるなどのデータ処理を行ったのち、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する回転速度(va,vb)の変化幅Δv(Δv=vb−va)を求め、その変化幅Δvを回転速度(va,vb)と共に掃引制御部343に送出するものである。ここで、角度検出部(出力計測部)40と出力抽出部342とで出力検出部が構成される。
掃引制御部343は、出力抽出部342から送出されてきた回転速度の変化幅Δvが所定の出力範囲vr内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するか否かを出力判別部344で判別する一方、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きを傾き導出部345で求めると共に、その求めた傾きの方向を傾き判別部346で判別し、変化幅Δvが所定の出力範囲vr内に存在しない場合に、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きに対応して第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとからなる掃引範囲を変化幅Δvが所定の出力範囲vr内に存在するようになる方向に移動更新させるものである。なお、傾き導出部345では、傾きを所定の算出式を用いて求めてもよいし、テーブルを用いて求めてもよい。
すなわち、図3の駆動周波数対速度特性図の最大速度vmに対応する駆動周波数fdmを含む領域の微小範囲では回転速度の変化幅が小さく、駆動周波数fdmから離間した領域では微小範囲であっても回転速度の変化幅が大きくなることから、所定の出力範囲vrを比較的狭い範囲に設定しておくことで、変化幅Δvが所定の出力範囲vr内に存在するときは最適駆動周波数に設定された状態であると判別することができ、変化幅Δvが所定の出力範囲vr内に存在していないときは最適駆動周波数に設定されていない状態であると判別することができる。
そして、変化幅Δvが所定の出力範囲vr内に存在していない場合、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaが負方向(a<0)であると、掃引範囲が駆動周波数の低くなる方向に移動更新され、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaが正方向(a>0)であると、掃引範囲が駆動周波数の高くなる方向に移動更新されることになる。すなわち、いずれの場合も回転速度などの機械出力の変化幅が小さくなる方向に移動更新されることになる。この場合、機械出力の変化幅が小さくなる方向に駆動周波数の掃引範囲を移動させることに対応して、その駆動周波数の掃引範囲を狭めるようにしてもよい。
このようにすると、最適駆動周波数から離れた機械出力の変化幅の大きい周波数範囲では掃引範囲が広くなることから、最適駆動周波数に収束させるまでの調整回数を少なくすることができ、これにより調整時間を短縮することができる。また、最適駆動周波数に近づくにつれて駆動周波数の掃引範囲が狭くなることから、調整精度を向上させることができる。
図5は、第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30における駆動周波数の調整動作を説明するためのフローチャートである。この駆動周波数の調整動作を図3を参照しつつ説明する。まず、駆動周波数の粗調整が行われる(ステップ#1)。すなわち、電源を投入したときの初期設定動作時に、掃引制御部343により広い周波数範囲で駆動周波数の掃引を行いながら、トラス型アクチュエータ32の駆動を適宜実行することで凡その最適駆動周波数を把握し、それに基づいて初期駆動周波数fd1を決定する。この初期駆動周波数fd1は、機械負荷38の動作に支障のない範囲内のものである。
次いで、初期駆動周波数fd1で本動作を開始し(ステップ#3)、その後に掃引範囲の設定を行う(ステップ#5)。この掃引範囲は、第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとを設定するもので、第1の駆動周波数fdaとしてfd1が設定され(fda=fd1)、第2の駆動周波数fdbとしてfd2が設定される(fdb=fd2)。このfd2は、図3に示す回転速度の変化幅Δvが機械負荷38の動作に支障のないもので、かつ、回転速度の変化幅Δvが速度検出部41で検出可能な比較的小さな範囲となる値とされる。
次いで、駆動周波数の掃引が開始される(ステップ#7)。すなわち、掃引制御部343は、駆動周波数発生部46に対して指令信号を送出し、駆動周波数発生部46では、掃引制御部343からの指令信号を受けて駆動回路36から出力される駆動電圧の周波数がfd1とfd2との間で掃引されるように制御信号を駆動回路36に送出する。これにより、駆動回路36では、図6の下段に示すように、一定時間毎に周波数fd1と周波数fd2とが交互に切り換えられることになる。
次いで、出力抽出部342で、駆動周波数fd1における回転速度v1と駆動周波数fd2における回転速度v2とがそれぞれ駆動周波数fd1,fd2の切り換えに対応して検出(抽出)されると共に、検出された回転速度v1,v2から変化幅Δv(Δv=v2-v1)が求められる(ステップ#9)。
例えば、図6に示すように、駆動周波数fd1から駆動周波数fd2に切り換わる直前に駆動周波数fd1に対応する回転速度v1が検出されて複数個の回転速度v1が求められ、駆動周波数fd2から駆動周波数fd1に切り換わる直前に駆動周波数fd2に対応する回転速度v2が検出されて複数個の回転速度v2が求められる。
そして、複数個の回転速度v1から平均値としての回転速度v1が求められると共に、複数個の回転速度v2から平均値としての回転速度v2が求められ、この平均値としての回転速度v1,v2から変化幅Δvが求められる。このように、変化幅Δvを求めるにあたり、回転速度v1,v2として複数個の検出データの平均値が用いられることで、回転速度にばらつきが生じている場合でも検出精度が格段に向上される。なお、回転速度にばらつきが存在しないと見なせる場合は、平均値を求めないで複数個の回転速度v1の何れか1つと複数個の回転速度v2の何れか1つとから変化幅Δvを求めるようにしてもよい。このように、回転速度にばらつきが存在しないと見なせる場合などでは、駆動周波数の掃引は1回限りとし、その1回の掃引で回転速度v1,v2を求めるようにしてもよい。
次いで、ステップ#9で求めた変化幅Δvが所定の出力範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するか否かが出力判別部344により判別される(ステップ#11)。この判別が肯定されると、駆動周波数が最適値に設定されたものとして現時点での駆動周波数の調整動作が終了するが、常時駆動周波数の追尾をすべくステップ#7に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。なお、ステップ#11での判別が肯定されたときは、一旦調整動作を終了してもよい。
一方、ステップ#11での判別が否定されると、図3に示す駆動周波数対速度特性図上における2つの回転速度v1,v2を結ぶ直線の傾きa(駆動周波数に対する機械出力の傾きa)が傾き導出部345により求められ(ステップ#13)、その後に傾きaが負方向(a<0)であるか否かが傾き判別部346により判別される(ステップ#15)。
ステップ#15での判別が肯定されると、掃引範囲が駆動周波数の低い方向に移動更新される(ステップ#17)。すなわち、図7に示すように、例えば、第1の駆動周波数fdaとしてfd2が設定され(fda=fd2)、第2の駆動周波数fdbとしてfd3が設定される(fdb=fd3)。その後、ステップ#7に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。
また、ステップ#15での判別が否定されると、掃引範囲が駆動周波数の高い方向に移動更新される(ステップ#19)。すなわち、図8に示すように、例えば、第1の駆動周波数fdaとしてfd2′が設定され(fda=fd2′)、第2の駆動周波数fdbとしてfd3′が設定される(fdb=fd3′)。その後、ステップ#7に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30では、駆動周波数が所定の掃引範囲内において掃引されたときであって、その掃引範囲内におけるアクチュエータに結合された負荷の機械出力の変化幅が所定の出力範囲内に存在しないとき(すなわち、変化幅が最小となっていないとき)には、駆動周波数の掃引範囲が移動更新される。このため、負荷の機械出力の変化幅が所定の出力範囲内に存在する(すなわち、最適駆動周波数が所定の掃引範囲内に存在する)ようになるまで掃引範囲を移動更新することで駆動周波数を最適駆動周波数に収束させることができ、負荷の駆動動作を中断することなく駆動周波数を容易に最適駆動周波数に調整することができる。
図9は、第2の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置の制御構成を示すブロック図である。この第2の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30′は、機械負荷の出力が回転速度である場合について、図3と同様の駆動周波数対速度特性を示す図10を参照して説明すると、駆動周波数を機械負荷の動作に実質的に影響を与えない範囲内における第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとの間で掃引させる一方、第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとの間の略中央の駆動周波数fdcにおける回転速度vcが最大(極大)となるように駆動周波数の掃引範囲(fda〜fdb)を移動させることで、駆動周波数が常に適切な値に設定されるようにするものである。これにより、機械負荷の駆動動作を中断することなく駆動周波数を容易に最適駆動周波数に調整することができる。
この第2の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30′は、第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30と基本的には同一の機能を有する構成要素からなるものであるため、同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付与することにより詳細な説明を省略し、以下には第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30との相違点を中心に図10を参照しつつ説明する。
すなわち、この第2の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30′は、その主制御部34′が、速度検出部341′、出力抽出部342′及び掃引制御部343′としての機能実現部を備えると共に、掃引制御部343′が、出力判別部344′、傾き導出部345′及び傾き判別部346′としての機能実現部を備えたもので、第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30の主制御部34と一部の機能において相違するものである。
ここで、速度検出部341′は、第1の実施形態に係る速度検出部341と同一の機能を有しており、角度検出部40から出力されるパルス信号のパルス間の経過時間に基づいて機械負荷38の回転速度(負荷速度)vを離散値として所定の算出式により連続的に求めるものである。
出力抽出部342′は、速度検出部341′で得られた回転速度vのうち、掃引制御部343′の掃引周波数(繰り返し周波数)に同期させてサンプリングを行い、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する回転速度(va,vb)をそれぞれ検出(抽出)する一方、掃引範囲である2つの周波数(fda,fdb)間の略中央の周波数(fdc)に対応する回転速度(vc)を検出(抽出)し、各周波数に対応する複数の回転速度の平均値を求めるなどのデータ処理を行ったのち、その回転速度(va,vb,vc)を掃引制御部343′に送出するものである。ここで、角度検出部(出力計測部)40と出力抽出部342′とで出力検出部が構成される。
掃引制御部343′は、掃引範囲である2つの周波数(fda,fdb)間をその略中央の周波数を経由して掃引制御するものであり、出力抽出部342′から送出されてきた3つの回転速度(va,vb,vc)のうち、中央の周波数に対応する回転速度(vc)が最大(最大値)であるか否かを出力判別部344′で判別する一方、掃引範囲である2つの周波数(fda,fdb)に対応する2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaを傾き導出部345′で求める。そして、その求めた傾きaの方向を傾き判別部346′で判別し、中央の周波数に対応する回転速度(vc)が最大(最大値)でない場合に、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaに対応して第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとからなる掃引範囲を中央の周波数に対応する回転速度(vc)が最大(最大値)となる方向に移動更新させるものである。
すなわち、図10に示す駆動周波数対速度特性図からも明らかなように、出力抽出部342′から送出されてきた3つの回転速度(va,vb,vc)のうち、中央の周波数に対応する回転速度(vc)が最大速度vmであるときは最適駆動周波数に設定された状態であると判別することができ、中央の回転速度(vc)が最大速度vmでないときは最適駆動周波数に設定されていない状態であると判別することができる。
そして、中央の回転速度(vc)が最大速度vmでない場合、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaが負方向(a<0)であると、掃引範囲が駆動周波数の低くなる方向に移動更新され、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaが正方向(a>0)であると、掃引範囲が駆動周波数の高くなる方向に移動更新されることになる。すなわち、いずれの場合も機械出力が駆動周波数の掃引範囲の略中央において最大となる方向に駆動周波数の掃引範囲が移動更新されることになる。この場合、機械出力が駆動周波数の掃引範囲の略中央において最大となる方向に駆動周波数の掃引範囲を移動させることに対応して、その駆動周波数の掃引範囲を狭めるようにしてもよい。
このようにすると、最適駆動周波数から離れた周波数範囲では掃引範囲が広くなることから、最適駆動周波数に収束させるまでの調整回数を少なくすることができ、これにより調整時間を短縮することができる。また、最適駆動周波数に近づくにつれて駆動周波数の掃引範囲が狭くなることから、調整精度を向上させることができる。
図11は、第2の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30′における駆動周波数の調整動作を説明するためのフローチャートである。この駆動周波数の調整動作を図10を参照しつつ説明する。まず、駆動周波数の粗調整が行われる(ステップ#21)。すなわち、電源を投入したときの初期設定動作時に、掃引制御部343′により広い周波数範囲で駆動周波数の掃引を行いながら、トラス型アクチュエータ32の駆動を適宜実行することで凡その最適駆動周波数を把握し、それに基づいて初期駆動周波数fd1を決定する。この初期駆動周波数fd1は、機械負荷38の動作に支障のない範囲内のものである。
次いで、初期駆動周波数fd1で本動作を開始し(ステップ#23)、その後に掃引範囲の設定を行う(ステップ#25)。この掃引範囲は、第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとを設定するもので、第1の駆動周波数fdaとしてfd1が設定され(fda=fd1)、第2の駆動周波数fdbとしてfd2が設定される(fdb=fd2)。このとき、同時に第3の駆動周波数fdcとして、第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbの略中央の駆動周波数fd3が設定される(fdc=fd3)。
次いで、駆動周波数の掃引が開始される(ステップ#27)。すなわち、掃引制御部343´は、駆動周波数発生部46に対して指令信号を送出し、駆動周波数発生部46では、掃引制御部343′からの指令信号を受けて駆動回路36から出力される駆動電圧の周波数(駆動周波数)がfd1とfd2との間で略中央の周波数fd3を経由して掃引されるように制御信号を駆動回路36に送出する。これにより、駆動回路36では、一定時間毎に駆動周波数fd1,fd2,fd3に切り換えられることになる。
次いで、出力抽出部342´で、駆動周波数fd1における回転速度v1と、駆動周波数fd3における回転速度v3と、駆動周波数fd2における回転速度v2とがそれぞれ駆動周波数fd1,fd2,fd3の切り換えに対応して検出される(ステップ#29)。
例えば、駆動周波数fd1から駆動周波数fd3に切り換わる直前に駆動周波数fd1に対応する回転速度v1が検出されて複数個の回転速度v1が求められ、駆動周波数fd3から駆動周波数fd2に切り換わる直前に駆動周波数fd3に対応する回転速度v3が検出されて複数個の回転速度v3が求められ、駆動周波数fd2から駆動周波数fd1に切り換わる直前に駆動周波数fd2に対応する回転速度v2が検出されて複数個の回転速度v2が求められる。
そして、複数個の回転速度v1から平均値としての回転速度v1が求められると共に、複数個の回転速度v2から平均値としての回転速度v2が求められ、複数個の回転速度v3から平均値としての回転速度v3が求められる。このように、回転速度v1,v2,v3を求めるにあたり、複数個の検出データの平均値が用いられることで、回転速度にばらつきが生じている場合でも検出精度が格段に向上される。なお、回転速度にばらつきが存在しないと見なせる場合は、平均値を求めないで複数個の各回転速度v1,v2,v3のうちの何れか1つを求めるようにしてもよい。このように、回転速度にばらつきが存在しないと見なせる場合などでは、駆動周波数の掃引は1回限りとし、その1回の掃引で回転速度v1,v2,v3を求めるようにしてもよい。
次いで、ステップ#29で求めた掃引範囲の略中央の周波数fd3に対応する回転速度v3が最大となっているか否かが出力判別部344´により判別される(ステップ#31)。この判別が肯定されると、駆動周波数が最適値に設定されたものとして現時点での駆動周波数の調整動作が終了するが、常時駆動周波数の追尾をすべくステップ#27に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。なお、ステップ#31での判別が肯定されたときは、一旦調整動作を終了してもよい。
一方、ステップ#31での判別が否定されると、図10に示す駆動周波数対速度特性図上における2つの回転速度v1,v2を結ぶ直線の傾きa(駆動周波数に対する機械出力の傾きa)が傾き導出部345′により求められ(ステップ#33)、その後に傾きaが負方向(a<0)であるか否かが傾き判別部346′により判別される(ステップ#35)。
ステップ#35での判別が肯定されると、掃引範囲が駆動周波数の低い方向に移動更新される(ステップ#37)。すなわち、図12に示すように、例えば、第1の駆動周波数fdaとしてfd3が設定され(fda=fd3)、第2の駆動周波数fdbとしてfd4が設定され(fdb=fd4)、略中央の第3の駆動周波数fdcとしてfd2が設定される(fdc=fd2)。その後、ステップ#27に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。
また、ステップ#35での判別が否定されると、掃引範囲が駆動周波数の高い方向に移動更新される(ステップ#39)。すなわち、図13に示すように、例えば、第1の駆動周波数fdaとしてfd3′が設定され(fda=fd3′)、第2の駆動周波数fdbとしてfd4′が設定され(fdb=fd4′)、略中央の第3の駆動周波数fdcとしてfd2′が設定される(fdc=fd2′)。その後、ステップ#27に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。
以上説明したように、本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30´では、駆動周波数が所定の掃引範囲内において掃引されたときであって、その掃引範囲における略中央の駆動周波数に対応する回転速度が最大となっていないときには、駆動周波数の掃引範囲が移動更新される。このため、掃引範囲における略中央の駆動周波数に対応する回転速度が最大となる(すなわち、最適駆動周波数が所定の掃引範囲内に存在するようになる)まで掃引範囲を更新することで駆動周波数を最適駆動周波数に収束させることができ、負荷の駆動動作を中断することなく駆動周波数を容易に最適駆動周波数に調整することができる。
図14は、第3の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置の制御構成を示すブロック図である。この第3の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30″は、機械負荷の出力が回転速度である場合について、図3と同様の駆動周波数対速度特性を示す図15を参照して説明すると、駆動周波数を機械負荷の動作に実質的に影響を与えない範囲内における第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとの間で掃引させる一方、第1の駆動周波数fdaに対応する回転速度vaと第2の駆動周波数fdbに対応する回転速度vbとを結ぶ直線の傾きaが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するように駆動周波数の掃引範囲(fda〜fdb)を移動させることで、駆動周波数が常に適切な値に設定されるようにするものである。これにより、機械負荷の駆動動作を中断することなく駆動周波数を容易に最適駆動周波数に調整することができることになる。
この第3の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30″は、第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30と基本的には同一の機能を有する構成要素からなるものであるため、同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付与することにより詳細な説明を省略し、以下には第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30との相違点を中心に図15を参照しつつ説明する。
すなわち、この第3の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30″は、その主制御部34″が、速度検出部341″、出力抽出部342″及び掃引制御部343″としての機能実現部を備えると共に、掃引制御部343″が、出力判別部344″及び傾き導出部345″としての機能実現部を備えたもので、第1の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30の主制御部34と一部の機能において相違するものである。
ここで、速度検出部341″は、第1の実施形態に係る速度検出部341と同一の機能を有しており、角度検出部40から出力されるパルス信号のパルス間の経過時間に基づいて機械負荷38の回転速度(負荷速度)vを離散値として所定の算出式により連続的に求めるものである。
出力抽出部342″は、速度検出部341″で得られた回転速度vのうち、掃引制御部343″の掃引周波数(繰り返し周波数)に同期させてサンプリングを行い、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する回転速度(va,vb)をそれぞれ検出し、各周波数に対応する複数の回転速度の平均値を求めるなどのデータ処理を行ったのち、その回転速度(va,vb)を掃引制御部343″に送出するものである。ここで、角度検出部(出力計測部)40と出力抽出部342″とで出力検出部が構成される。
掃引制御部343″は、掃引範囲である2つの周波数(fda,fdb)間を掃引制御するものであり、出力抽出部342″から送出されてきた2つの周波数(fda,fdb)に対応する2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaを傾き導出部345″で求めると共に、その求めた傾きaの方向を出力判別部344″で判別し、その傾きaが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在しない場合に、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaに対応して第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとからなる掃引範囲を傾きaが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するようになる方向に移動更新させるものである。
すなわち、図15に示す駆動周波数対速度特性図からも明らかなように、出力抽出部342″から送出されてきた2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するときは最適駆動周波数に設定された状態であると判別することができ、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在しないときは最適駆動周波数に設定されていない状態であると判別することができる。
そして、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在しない場合、その傾きaが負方向(a<0)であると、掃引範囲が駆動周波数の低くなる方向に移動更新され、その傾きaが正方向(a>0)であると、掃引範囲が駆動周波数の高くなる方向に移動更新されることになる。すなわち、いずれの場合も駆動周波数に対する回転速度などの機械出力の傾きaが、所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するようになる方向に駆動周波数の掃引範囲が移動更新されることになる。この場合、機械出力の傾aが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するようになる方向に駆動周波数の掃引範囲を移動させることに対応して、その駆動周波数の掃引範囲を狭めるようにしてもよい。
このようにすると、最適駆動周波数から離れた周波数範囲では掃引範囲が広くなることから、最適駆動周波数に収束させるまでの調整回数を少なくすることができ、これにより調整時間を短縮することができる。また、最適駆動周波数に近づくにつれて駆動周波数の掃引範囲が狭くなることから、調整精度を向上させることができる。
図16は、第3の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30″における駆動周波数の調整動作を説明するためのフローチャートである。この駆動周波数の調整動作を図15を参照しつつ説明する。まず、駆動周波数の粗調整が行われる(ステップ#41)。すなわち、電源を投入したときの初期設定動作時に、掃引制御部343″により広い周波数範囲で駆動周波数の掃引を行いながら、トラス型アクチュエータ32の駆動を適宜実行することで凡その最適駆動周波数を把握し、それに基づいて初期駆動周波数fd1を決定する。この初期駆動周波数fd1は、機械負荷38の動作に支障のない範囲内のものである。
次いで、初期駆動周波数fd1で本動作を開始し(ステップ#43)、その後に掃引範囲の設定を行う(ステップ#45)。この掃引範囲は、第1の駆動周波数fdaと第2の駆動周波数fdbとを設定するもので、第1の駆動周波数fdaとしてfd1が設定され(fda=fd1)、第2の駆動周波数fdbとしてfd2が設定される(fdb=fd2)。
次いで、駆動周波数の掃引が開始される(ステップ#47)。すなわち、掃引制御部343″は、駆動周波数発生部46に対して指令信号を送出し、駆動周波数発生部46では、掃引制御部343″からの指令信号を受けて駆動回路36から出力される駆動電圧の周波数(駆動周波数)がfd1とfd2との間で掃引されるように制御信号を駆動回路36に送出する。これにより、駆動回路36では、一定時間毎に駆動周波数fd1と駆動周波数fd2とが交互に切り換えられることになる。
次いで、出力抽出部342″で、駆動周波数fd1における回転速度v1と駆動周波数fd2における回転速度v2とがそれぞれ駆動周波数fd1,fd2の切り換えに対応して検出される(ステップ#49)。例えば、駆動周波数fd1から駆動周波数fd2に切り換わる直前に駆動周波数fd1に対応する回転速度v1が検出されて複数個の回転速度v1が求められ、駆動周波数fd2から駆動周波数fd1に切り換わる直前に駆動周波数fd2に対応する回転速度v2が検出されて複数個の回転速度v2が求められる。
そして、複数個の回転速度v1から平均値としての回転速度v1が求められると共に、複数個の回転速度v2から平均値としての回転速度v2が求められる。このように、回転速度v1,v2を求めるにあたり、複数個の検出データの平均値が用いられることで、回転速度にばらつきが生じている場合でも検出精度が格段に向上される。なお、回転速度にばらつきが存在しないと見なせる場合は、平均値を求めないで複数個の回転速度v1の何れか1つと複数個の回転速度v2の何れか1つを求めるようにしてもよい。このように、回転速度にばらつきが存在しないと見なせる場合などでは、駆動周波数の掃引は1回限りとし、その1回の掃引で回転速度v1,v2を求めるようにしてもよい。
次いで、図15に示す駆動周波数対速度特性図上における2つの回転速度v1,v2を結ぶ直線の傾きa(駆動周波数に対する機械出力の傾きa)が傾き導出部345″により求められ(ステップ#51)、その後に傾きaが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するか否かが出力判別部344″により判別される(ステップ#53)。
ステップ#53での判別が肯定されると、現在の掃引範囲が維持されたままステップ#47に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。なお、傾きaが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在する場合は、一旦調整動作を終了してもよい。
一方、ステップ#53での判別が否定されると、傾きaが負方向(a<0)であるか否かが出力判別部344″により判別され(ステップ#55)、この判別が肯定されると、掃引範囲が駆動周波数の低い方向に移動更新される(ステップ#57)。すなわち、図17に示すように、例えば、第1の駆動周波数fdaとしてfd2が設定され(fda=fd2)、第2の駆動周波数fdbとしてfd3が設定される(fdb=fd3)。その後、ステップ#47に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。
また、ステップ#55での判別が否定されると、掃引範囲が駆動周波数の高い方向に移動更新される(ステップ#59)。すなわち、図18に示すように、例えば、第1の駆動周波数fdaとしてfd2′が設定され(fda=fd2′)、第2の駆動周波数fdbとしてfd3′が設定される(fdb=fd3′)。その後、ステップ#47に移行し、その後の動作が繰り返し実行される。
以上説明したように、本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータの駆動装置30″では、駆動周波数が所定の掃引範囲内において掃引されたときであって、その掃引範囲内におけるアクチュエータに結合された負荷の機械出力の駆動周波数に対する傾きが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在しないときには、駆動周波数の掃引範囲が移動更新される。このため、負荷の機械出力の駆動周波数に対する傾きが所定の傾き範囲内(実質的にゼロと見なせる範囲内)に存在するようになる(すなわち、最適駆動周波数が所定の掃引範囲内に存在するようになる)まで掃引範囲を移動更新することで駆動周波数を最適駆動周波数に収束させることができ、負荷の駆動動作を中断することなく駆動周波数を容易に最適駆動周波数に調整することができる。
本発明のアクチュエータの駆動装置30,30′,30″は、上記実施形態のように構成されるものであるが、そこに記載された構成のものに限定されるものではない。要は、駆動周波数に対する回転速度などの機械出力が単峰特性を有していることを利用して駆動周波数が常に最適値になるように制御されるものであればよい。また、以下に述べるような種々の変形態様を必要に応じて採用することもできる。
(1)上記第1の実施形態では、出力抽出部342は、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する回転速度(va,vb)の変化幅Δv(Δv=vb−va)を求めるものであるが、これに限るものではない。例えば、出力抽出部342は、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する回転速度(va,vb)を検出するだけの機能を有するものとしてもよい。この場合、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する回転速度(va,vb)の変化幅Δvは、掃引制御部343で求めるようにすればよい。
(2)上記のいずれの実施形態においても、駆動周波数を設定する場合の機械負荷の出力(機械出力)として回転速度を用いるようにしているが、これに限るものではない。例えば、直線的な速度を用いることも可能であり、トルクを用いることも可能である。この場合、出力計測部として、角度検出部40に代えて、距離検出部やトルク検出部などを用いるようにすればよい。要は、駆動周波数に対する機械出力の関係(すなわち、駆動周波数対機械出力特性)が単峰特性を有しておれば、その機械出力を用いることができる。
(3)上記のいずれの実施形態においても、駆動回路36は、トラス型アクチュエータ32の第1,第2の電気機械変換素子16,18(図1)のうち、いずれか一方の電気機械変換素子に正弦波交流の駆動電圧を供給するものであるが、これに限るものではない。両方の電気機械変換素子に正弦波交流の駆動電圧を供給するものであってもよい。
(4)上記のいずれの実施形態においても、速度検出部341,341′,341″は、角度検出部40から出力されるパルス信号のパルス間の経過時間に基づいて機械負荷の回転速度を所定の算出式に基づいて求めるようにしたものであるが、これに限るものではない。例えば、テーブルから読み出して求めるようにしてもよい。
(5)上記のいずれの実施形態においても、掃引された周波数(fda,fdb)に対応する2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaを掃引制御部343,343′,343″の傾き導出部345,345′,345″で求めるようにしているが、これに限るものではない。例えば、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きaを出力抽出部342,342′,342″で求めるようにすることもできる。この場合、出力抽出部342,342′,342″からは掃引制御部343,343′,343″に対して傾きaのデータを送るようにすればよい。また、傾きaは、2つの回転速度(va,vb)を結ぶ直線の傾きとしてではなく、微分することにより得た回転速度va又は回転速度vbにおける接線の傾きとしてもよい。
(6)上記のいずれの実施形態においても、掃引された駆動周波数(fda,fdb)に対応する回転速度(va,vb)を出力抽出部342,342′,342″により掃引制御部343,343′,343″の掃引周波数に同期させて速度検出部341,341′,341″で得た回転速度データからサンプリングするようにしているが、これに限るものではない。例えば、速度検出部341,341′,341″で得た回転速度データから掃引周波数に対応する回転速度(va,vb)データをバンドパスフィルタを介して取り出すようにすることもできる。
(7)上記のいずれの実施形態においても、アクチュエータは電子撮像カメラの搭載された雲台に適用されたものであるが、これに限るものではなく、種々の機械負荷に適用することができる。また、アクチュエータが電子撮像カメラの搭載された雲台に適用する場合であれば、掃引周波数(繰り返し周波数)を電子撮像カメラに具備されている撮像素子のフレームレイトの自然数倍に設定して撮像素子の動作に同期させるようにすると、駆動周波数の掃引時において生じる撮影画像のブレやにじみなどの影響を効果的に軽減することができる。