以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータについて説明する。まず、本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータを用いた、レンズ駆動ユニットの構成について説明する。図1は本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータを用いた、レンズ駆動ユニットの構成について説明するための図である。レンズ駆動ユニット300は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラのAF、ズーム、DVDのピックアップレンズの収差補正の駆動などに用いられる。図1に示すように、本実施形態に係る超音波アクチュエータ100の回転軸と一体に結合されたリードスクリュー21に一部が螺合されたレンズ支持部22bと、レンズ支持部22bにより支持されたレンズ22と、レンズ22の移動を制御する、リードスクリュー21と平行に設置された2本のガイドレール22aと、これらを覆うケース23と、超音波アクチュエータ100とを備えて構成される。なお、図1においては、超音波アクチュエータ100の電気的構成部分については、図示を省略している。
具体的には、レンズ22の外周部を支持しているレンズ支持部22bには貫通孔が形成され、その貫通孔にはガイドレール22aが貫通されていて、レンズ支持部22bはガイドレール22aに沿った方向のみ可動である。また、レンズ支持部22bはリードスクリュー21と螺合しており、リードスクリュー21がその軸を中心として回転することで、レンズ支持部22bがガイドレール22aに沿って駆動される。
このような、レンズ駆動ユニット300において、超音波アクチュエータ100が駆動することで、リードスクリュー21が右回転または左回転し、それにより、レンズ22と一体であるレンズ支持部22bが図1において左右方向に駆動する。つまり、レンズ駆動ユニット300は、直動レンズ送り機構を構成している。
このように、本実施形態に係る超音波アクチュエータ100は、例えばレンズ駆動ユニット300に用いられるが、これに限定されるわけではなく、他にも様々な用途に用いられる。
次に、本実施形態に係る超音波アクチュエータの機械的な構成について説明する。図2は本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータの機械的な構成を説明するための図である。なお、図2においては、本実施形態に係る超音波アクチュエータの電気的な構成については、図示を省略している。図2に示すように、本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータ100は、移動体であるロータ1と、ロータ1と接触する突起部2cを有する接触部2aおよび圧電振動子2bを有する振動体(ステータ)2と、振動体2の端部に設置された錘部5と、ロータ1の回転中心にロータ1と一体に設置された回転軸3と、回転軸3の軸受け27と、これらを覆うケース7と、ケース7の底面と振動体2とに接続され、振動体2をロータ1へと所定の付勢力で押し付けるバネ等の弾性体である加圧部6と、ケース7と接続された支持フレーム24と、支持フレーム24を貫通するように設置されたキャップ26と、キャップ26に形成された窪み26aに回転自在に嵌り込む球体である軸受け25とを備えて構成されている。
ロータ1は円板状である。回転軸3は、ロータ1の中心であって、前記円板の面に垂直方向に伸びるように配置されている。回転軸3はロータ1に一体的、または、かしめなどによる結合により構成されている。振動体2は、回転軸3を中心とする円板状の接触部2aおよび接触部2aに接合された圧電振動子2bとを備えて構成される。接触部2aは突起部2cを有していて、突起部2cがロータ1と接触している。突起部2cとロータ1との摩擦力によりロータ1が駆動することから、突起部2cを含む接触部2aは、例えば、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス、超硬合金等の耐摩耗性の高い材料を用いればよい。なお、接触部2aは、例えばエポキシ等の剛性が高く、接着力が強い接着剤を用いて圧電振動子2bに固定されることとすればよい。圧電振動子2bは、圧電特性を示す圧電薄板と内部電極とが交互に積層されて構成されている。圧電振動子2bは製造のしやすさを考慮すると、直方体形状が好ましい。圧電薄板としては、例えばPZT(チタン酸ジルコニウム酸鉛)等からなる圧電セラミックス等の圧電素子の薄板を用いればよい。そして、内部電極を介して所定の電気信号が圧電振動子2bに送られることにより、圧電振動子2bは振動する。その振動により、圧電振動子2bに接続された接触部2aが振動し、ロータ1に接触している略球面を有する突起部2cも振動する。軸受け27は、回転軸3を回転自在に軸支する。具体的には、軸受け27により回転軸3はラジアル方向について支持されている。圧電振動子2bにおいて、接触部2aと接合している端部とは反対の端部に錘部5が設置されている。錘部5が設置されることで、振動体2の振動バランスが向上する。また、錘部5を設置することで、圧電振動子2bの振動の節の位置が錘部5側に移動するため、突起部2cの振動を大きくすることができる。例えば、錘部5は、比重の高いタングステンや、銅や鉄系のタングステン合金などとすればよい。
ロータ1と、振動体2と、回転軸3と、軸受け27と、錘部5と、加圧部6とはケース7内に配置されている。なお、回転軸3はケース7内から外部に突出している。また、軸受け27の一部はケース7の外部に露呈している。振動体2はケース7に対して回転が規制され、ケース7の底面からロータ1方向に加圧部6により押圧されている。それにより、接触部2aはロータ1と高い圧力をかけられた状態で接触している。支持フレーム24は回転軸3が突出する側のケース7の端面に設置されていて、ケース7から突出された回転軸3は、支持フレーム24内へと伸びている。回転軸3の端面は凹面となっており、支持フレーム24に設置されたキャップ26の窪み26aに嵌り込んだ球体である軸受け25がその凹面に嵌り込むように配置され、回転軸3は回転自在に軸受け25に軸支される。具体的には、軸受け25により回転軸3はラジアルおよびスラスト方向について支持されている。キャップ26は支持フレーム24と螺合して貫通している。つまり、支持フレーム24およびキャップ26はねじ切りされていて、キャップ26を締めるあるいは緩めることで、回転軸3に沿った方向へのキャップ26の位置を調整できる。加圧部6により振動体2がロータ1に押し付けられていることから、ロータ1に結合された回転軸3は軸受け25からの反力を受けるが、その反力は回転軸3の回転中心で受けることになるため、回転軸3と球体である軸受け25との摩擦ロスを最小限に抑えることができる。超音波アクチュエータの作製時において、キャップ26の位置を調整して、振動体2およびロータ1間の押圧力を調整すればよい。そして、調整が完了すれば、接着することでキャップ26の位置を固定すればよい。このようにすることで、振動体2はケース7に対して回転が規制されながら、ロータ1との軸心が位置決めされ、保持される。
次に、本実施形態に係る超音波アクチュエータの電気的構成について説明する。図3は本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータの電気的な構成を説明するための図である。図3に示すように、本実施形態に係る超音波アクチュエータ100は、図2に示した以外に、圧電振動子2bの振動を制御する駆動信号を生成する駆動信号生成部11と、圧電振動子2bの振動状態にもとづいて、駆動信号生成部11を制御する駆動信号制御部10とを備えて構成される。また、駆動信号制御部10は、位相比較部12と、フィルタ部13と、駆動状態検知電極14と、位相調整部15と、位相判定部16と、電圧制御発振部17とを備えている。なお、図3において、図2において示した機械的構成については、電気的構成の説明について必要な部材を示し、これら以外は図示を省略する。なお、駆動信号生成部11と、位相比較部12と、フィルタ部13と、位相調整部15と、位相判定部16と、電圧制御発振部17とは、例えば基板上に抵抗、コンデンサ、コイル等の電子素子が配置されて構成される。
駆動信号生成部11は、圧電振動子2bの振動を制御する、電圧信号である駆動信号を生成し、圧電振動子2bに入力する。この駆動信号は図示していない変換器により駆動電流に変換され、圧電振動子2bに流れ込む。それにより、接触部2aの図示されていない突起部2cに楕円回転運動を生じさせるように圧電振動子2bが振動する。そして、楕円回転運動をしている突起部2cにより突き動かされるようにロータ1が駆動する。
位相比較部12は、圧電振動子2bに設置された駆動状態検知電極14から出力される、圧電振動子2bの振動状態を示す電圧信号である振動検知信号と、駆動信号生成部11から出力される駆動信号との位相差を比較する。具体的には、位相比較部12に、振動検知信号および駆動信号が入力されると、その位相差をパルス信号として出力する。
フィルタ部13は、位相比較部12から出力された、振動検知信号および駆動信号の位相差を示すパルス信号の交流成分を除去して、直流信号(一定値)である位相差信号に変換する。
位相調整部15は例えばコンパレータであり、フィルタ部13から出力された、振動検知信号および駆動信号の位相差を示す位相差信号と、予め設定されたリファレンス値とを比較し、その差を信号として出力する。
位相判定部16は、位相調整部15から出力された信号を受けて、その信号に応じて、圧電振動子2bの振動を制御するよう、駆動信号生成部11および電圧制御発振部17に指示を送る。
電圧制御発振部17は、位相判定部16からの指示に従い、駆動信号が好ましい周波数となるように、駆動信号生成部11を制御する。
駆動信号生成部11は位相判定部16からの指示に従い、駆動信号の電圧値を決定する。また、駆動信号生成部11は電圧制御発振部17からの指示に従い、駆動信号の周波数を決定する。そして、駆動信号生成部11は、好ましい駆動信号を出力して、駆動信号が入力された圧電振動子2bがその駆動信号に応じた振動を行う。なお、超音波アクチュエータの起動時においては、駆動信号生成部11は初期値として設定された駆動信号を生成する。
振動状態検知電極14は、圧電振動子2bの振動状態を示す電圧信号である振動検知信号を検知する電極であり、圧電振動子2bに設置されている。具体的に圧電振動子2bが振動することで、振動状態検知電極14から、圧電振動子2bの振動に応じて、振動状態を示す動検知信号が出力される。具体的には、振動状態検知電極14は、圧電振動子2b内部に設置された電極である。それにより、振動状態検知電極14は、圧電振動子2bの振動状態を直接検出することができるため、振動状態を高精度に検出することが可能である。そして、振動状態検知電極14から出力された振動検知信号は、位相比較部12に入力され、駆動信号との間で位相を比較される。
次に、振動体2の構成について説明する。図4は本発明の実施形態に係る振動体の外観を説明するための図であって、図4(A)は振動体の平面図であり、図4(B)は圧電振動子の駆動電極が設置された側の側面図であり、図4(C)は圧電振動子の検知信号取出し電極が設置された側の側面図である。図4(A)〜図4(C)に示すように、振動体2は突起部2c−1、2c−2、2c−3が設置された円形の接触部2aと圧電薄板が内部電極を介して積層された構成の圧電振動子2bを備えている。例えば、図4(A)に示すように、突起部2cは略球面を有し、接触部2aの中心軸に対して同心円上に等間隔(120度間隔)で3つ形成されている。これら突起部2c−1、2c−2、2c−3の各頂点がロータ1に接触している。また、図4(B)、図4(C)に示すように、圧電振動子2bの積層された各内部電極に信号を入力あるいは信号を出力するための駆動電極2b−1、2b−2、2b−3、2b−4、検知信号取出し電極2b−5、接地電極2b−6が圧電振動子2bの各側面に設置されている。これら、駆動電極2b−1、2b−2、2b−3、2b−4、検知信号取出し電極2b−5、接地電極2b−6には、図示していないがリード線やフレキ等がハンダや導電性接着剤等により接合され、信号を送受信する。
図5は本発明の実施形態に係る圧電振動子の各層における電極構成を示す断面図であって、図5(A)は第1の断面図であり、図5(B)は第2の断面図である。圧電振動子2bは図5(A)および図5(B)で示される各内部電極2d〜2gおよび振動状態検知電極14が形成された圧電薄板20と、内部電極2hが形成された圧電薄板20とが交互に積層された多層構造である。つまり、内部電極2d〜2gおよび振動状態検知電極14を有する内部電極の層と、内部電極2hを有する内部電極の層とが交互に積層され、それらの内部電極の層の間に圧電薄板20が挿入されている。なお、これら内部電極2d〜2gおよび振動状態検知電極14は圧電薄板20に銀パラジウムなどを印刷することで形成される。内部電極2d〜2gは、それぞれ圧電薄板20の各角付近に形成されている。
また、振動状態検知電極14は圧電薄板20上であって、突起部2c−1、2c−2、2c−3のいずれか(例えば突起部2c−1)を、圧電振動子2bの積層方向に向かって投影した場合に、その投影像と交わる位置に設置されていることが好ましい。これにより、振動状態検知電極14は、突起部2c−1とロータ1との関係により圧電振動子2bに生じる振動の振幅が大きい箇所に設置されることになる。このように設置されることで、振動状態検知電極14は圧電振動子2bの振動の内、突起部2c−1とロータ1との関係により圧電振動子2bに生じる振動成分を多く含む振動検知信号を出力することができる。それにより、より精度の高い検知が可能となる。つまり、振動状態検知電極14の設置箇所は、突起部2c−1とロータ1との関係により圧電振動子2bに生じる振動がより大きい箇所が好ましい。
また、圧電振動子2bが、端面が略正方形である略四角柱形状である場合は、圧電振動子2bの断面は略正方形であり、その正方形の1辺の中央に振動状態検知電極14を設置することが好ましい。つまり、圧電薄板20が略正方形であり、1辺の中央に振動状態検知電極14を設置すればよい。それにより、圧電振動子2bが突起部2c−1とロータ1との関係により振動した場合に、その振動が顕著に現れる箇所、すなわち振幅が大きい箇所に振動状態検知電極14を設置することになるので、その振動成分を多く含む振動検知電圧値を得ることができ、より正確な圧電振動子の振動状態の検出が可能となる。
内部電極2hは、圧電薄板20の略全面に形成されている。そして、これら内部電極2d、2e、2f、2gは、駆動電極2b−1、2b−2、2b−3、2b−4とそれぞれ接続されている。また、内部電極である振動状態検知電極14は、検知信号取出し電極2b−5と接続されている。また、内部電極2hは接地電極2b−6と接続されている。なお、駆動電極2b−1、2b−2、2b−3、2b−4、検知信号取出し電極2b−5、接地電極2b−6は、例えば銀や金等をスクリーン印刷や蒸着等で形成すればよい。また、駆動電極2b−1、2b−2、2b−3、2b−4は、駆動信号生成部11と接続され、検知信号取出し電極2b−5は位相比較部12と接続され、接地電極2b−6は接地されている。上記接続および接地については、図示していないが、リード線やFPC(フレキシブルプリント配線基板)等を介して行われる。なお、圧電薄板20が圧電特性を示すためには、これらに所定の分極処理を行う必要がある。
次に、このような、圧電振動子2bの振動およびそれによる突起部2c−1〜2c−3の振動について説明する。図6は屈曲1次モードを示す図である。また、図7は突起部の回転を説明するための図であって、図7(A)は接触部の側面図であり、図7(B)は接触部の平面図である。上述のように、圧電振動子2bにおいて、駆動電極2b−1、2b−2、2b−4、2b−3に高周波駆動信号(駆動電流)を、それぞれ位相を90度ずらして印加すると、内部電極2d、2e、2g、2fの各領域が90度位相のずれた伸縮振動を行う。駆動信号の周波数を共振周波数に近づけると、圧電振動子2bには、屈曲1次モードが、90度位相がずれて励起される。ここで、屈曲1次モードが励起された場合に、直方体である圧電振動子2bは、図6に示すように、2箇所の節Pにより1次の曲げ変形運動を左右に繰り返す。本実施形態に係る超音波アクチュエータ100の場合は、各駆動電極2b−1、2b−2、2b−4、2b−3に印加される高周波駆動信号は、それぞれ90度位相がずれていることから、圧電振動子2bには各内部電極2d、2e、2g、2fにより屈曲1次モードによる振動がずれながら生じる。それにより、接触部2aと接合された圧電振動子2bの先端は公転運動(首振り振動)を行う。そして、圧電振動子2bがこのような動きをすることで、圧電振動子2b上に設置された接触部2aの突起部2c−1〜2c−3は、図7(A)および図7(B)において、矢印で示したような楕円振動を行う。なお、隣接する各突起部2c−1〜2c−3の楕円振動はそれぞれ位相が120度ずれている。上述のように、ロータ1は接触部2aに押圧されている。したがって、ロータ1と突起部2c−1〜2c−3との間の摩擦係数は大きい。そのため、各突起部2c−1〜2c−3が上述したように、位相が120度ずれた楕円振動を行うことで、ロータ1は突起部2c−1〜2c−3に突き動かされるように、回転駆動を行う。
また、ロータ1は、ロータ1に対する圧電振動子2bの位置に応じて、圧電振動子2bにおける共振状態が変化するような構造を有している。具体的には、ロータ1は、ロータ1が回転駆動する際に、圧電振動子2bに異なる力が周期的に加わるような形態を有している。例えば、ロータ1における接触部2aの突起部2c−1〜2c−3と接する面が一様ではないこととすればよい。つまり、ロータ1における突起部2c−1〜2c−3と接している面の形状が均一ではない、あるいはロータ1が異なる性質を有する複数の材料により構成されていること等で、振動検知電圧の振幅および振動検知電圧と圧電振動子2bの駆動電圧との位相差が変化するような構造を実現できる。より具体的には、例えば、ロータ1における突起部2c−1〜2c−3と接している面には複数の溝部が形成されていることとすればよい。また、例えば、ロータ1における突起部2c−1〜2c−3と接している面は複数の表面粗さを有していることとすればよい。また、例えば、ロータ1は異なる密度を有する材料もしくは異なる弾性度等を有する材料により形成されていることとすればよい。また、例えば、ロータ1における突起部2c−1〜2c−3と接する面または面近傍は、密度または弾性度等が異なる複数の材料により形成されていることとすればよい。このように、ロータ1における振動体2と接する面が一様でないことで、ロータ1における振動体2の位置が異なることで共振状態が変化する。具体的には、振動検知信号の振幅および振動検知信号と圧電振動子2bの駆動信号との位相差が変化する。
ロータ1が駆動している際に、ロータ1が上記構造を有していることから、ロータ1の回転位置により、振動している圧電振動子2bには異なる力がかかる複数の状態が存在することになる。つまり、圧電振動子2bが位置する箇所のロータ1の形態に応じて、圧電振動子2bには加わる力が異なることから、圧電振動子2bの共振状態が変化する。したがって、この共振状態を監視することで、ロータ1の移動量等を検出することができる。
ここで、ロータ1における突起部2c−1〜2c−3と接する面の一例について説明する。ロータ1においては、異なる形態を周期的に形成しておけばよい。それにより、高精度の位置決め制御を実現できる。例えば、ロータ1における振動体2と接する面には、ロータ1の円周に沿って周期的にその形状あるいは性質を変化させてある。具体的には、径方向に沿って伸びる複数の溝(凹部)が円周に沿って等間隔に形成されている。ここで、図8〜図10を用いて、ロータ1における振動体2と接する面について説明する。図8はロータと接触部との分解斜視図である。図9はロータにおける接触部と接する面の形状を説明する図である。図10はロータおよび接触部の要部拡大側面図である。
図8に示すように、振動体2(図示せず)の接触部2aは、ロータ1側の面に複数の突起部2c−1〜2c−3を備えている。ロータ1と接触部2aとの間には所定の付勢力がかかり、これらは密着している。この場合に、接触部2aは、突起部2c−1〜2c−3においてロータ1と接触している。したがって、ロータ1から力が加わるのは突起部2c−1〜2c−3のみであり、接触部2a全体に力が加わるわけではない。
図9に示すように、ロータ1における接触部2aと接触している面には、ロータ1の中心を通り、径方向に沿って伸びる溝1aが形成されている。なお、溝1aは円周に沿って等間隔に形成されている。つまり、溝1aが形成されている箇所と形成されていない箇所とが交互に、ロータ1の円周上に沿って配置されている。このような構成であることから、圧電振動子2b(図示せず)が振動することによりロータ1に接触している突起部2c−1〜2c−3が楕円振動し、それによりロータ1が駆動した場合に、突起部2c−1〜2c−3は周期的に溝1aを通過することとなる。突起部2c−1〜2c−3が溝1aの形成箇所に位置する場合と、溝1aが形成されていない箇所に位置する場合とでは、接触部2aに加わる力が異なる。また、そのため、圧電振動子2bに加わる力も異なることから、圧電振動子2bの共振状態は変化する。また、図10に示すように、ロータ1は、接触部2a側の面を覆うように薄板1bを有していてもよい。このような構成とすることで、突起部2c−1(2c−2、2c−3)が溝1aを通過する際のガタツキを防止することができる。例えば、ロータ1は、ステンレスなどの金属からなる構成とすればよい。そして、溝1aはロータ1に機械加工やエッチングなどにより形成すればよい。また、薄板1bはステンレスなどとすればよい。なお、薄板1bには、耐摩耗性を向上させるため、窒化処理などを施しておくことが好ましい。ロータ1と薄板1bとは、それらの間に薄い接着層を形成するなどして接合、または、中心付近をスポット溶接などで結合すればよい。この場合は、突起部2c−1と薄板1bとが接触し、突起部2c−1の楕円振動により薄板1bがつき動かされるので、薄板1bからロータ1に回転駆動が確実に伝達される構成であればよい。また、このような構成において、溝1aが形成されている箇所には、空洞が形成されている。したがって、溝1aの形成箇所と、溝1aが形成されていない箇所とでは、薄板1bのばね定数が異なる。つまり、薄板1bにおいて溝1aの形成箇所は、溝1aが形成されていない箇所に比べて剛性が低い。したがって、薄板1bにおいて、溝1aの形成箇所に突起部2c−1が位置する場合は、圧電振動子2bの共振周波数は低下する。このように、ロータ1に対する突起部2c−1の位置に応じて圧電振動子2bの共振状態が変化する。圧電振動子2bの共振状態の変化は、振動状態検知電極14から出力される振動検知信号から検出できる。この共振状態の変化をカウントしておけば、ロータ1の回転量を容易に求めることができる。このようにして、超音波アクチュエータおける回転位置制御を実現できる。
次に、本実施の形態に係る超音波アクチュエータ100における高効率の駆動方法について説明する。まず、振動状態検知電極14により検出される振動検知信号の振幅と駆動信号生成部により生成される駆動信号の周波数との関係について説明する。また、振動検知信号と駆動信号との位相差および駆動信号の周波数との関係についても説明する。図11は、本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータ100における振動検知信号の振幅と、振動検知信号および駆動信号の位相差と、駆動信号の周波数との関係を示すグラフである。
図11の上段は、振動検知信号の振幅および駆動信号の周波数の関係を示すグラフであり、図11の下段は振動検知信号および駆動信号の位相差と、駆動信号の周波数との関係を示すグラフである。図11の上段のグラフにおいて、横軸は駆動信号の周波数(Hz)であり、縦軸は振動検知信号の振幅(V)である。また、図11の下段のグラフにおいて、横軸は駆動信号の周波数(Hz)であり、縦軸は振動検知信号および駆動信号の位相差(deg)である。図11に示すように、駆動信号の周波数が共振周波数f1である場合に振動検知信号の振幅が最大になる。また、このとき、振動状態の圧電振動子2bの歪みが最大となる。そして、振動検知信号および駆動信号の位相差は、駆動信号が共振周波数f1付近である場合に大きく変化し、駆動信号が共振周波数f1である場合に振動検知信号および駆動信号の位相差はp1となる。超音波アクチュエータ100の駆動においては、圧電振動子2bの歪みが最大となっている状態が最も高効率の駆動状態である。なお、本実施の形態においては、超音波アクチュエータ100の駆動状態が、このように最も高効率となる駆動信号の周波数を最適駆動周波数という。
上述より、超音波アクチュエータ100の駆動においては、駆動信号は共振周波数f1で駆動させることが好ましい。しかし、超音波アクチュエータ100にかかる負荷の状態や、周囲温度によりこの共振周波数f1の値は変化する。つまり、図11に示した状態の場合は、最適駆動周波数はf1であるが、最適駆動周波数が常にf1であるとは限らない。しかし、圧電振動子2bの歪みが最大となる状態における、振動検知信号および駆動信号の位相差p1は、常に一定である。したがって、超音波アクチュエータ100の駆動において、振動検知信号および駆動信号の位相差p1を一定に保持していれば、駆動信号の周波数を最適駆動周波数に保持でき、圧電振動子2bの歪みが最大となる状態を維持することができ、高効率の駆動状態を維持できる。そこで、例えば、振動検知信号および駆動信号の位相差を監視しておき、この位相差をp1に維持するような制御を行うことで、超音波アクチュエータ100を高効率で駆動できる。
また、振動検知信号および駆動信号の位相差を算出するためには、圧電振動子2bを振動させた状態でなくてはならないため、圧電振動子2bが振動する前には、振動検知信号および駆動信号の位相差をp1に設定しておく制御が不可能である。そこで、本実施形態に係る超音波アクチュエータにおいては、駆動信号の電圧値を超音波アクチュエータの不感帯に設定し、振動検知信号および駆動信号の位相差を算出することとし、位相差をp1に設定した状態で超音波アクチュエータを駆動させることで、最適駆動周波数による駆動を実現している。それにより、本実施の形態に係る超音波アクチュエータ100は、駆動開始時および駆動中において高効率の駆動状態を維持する。ここで、不感帯とは、駆動信号の電圧値が低い状態であり、圧電振動子2aが振動をしているが、その振幅が小さすぎるためロータ1が回転しない状態をいう。図12は、駆動信号の電圧値と超音波アクチュエータ100の回転数の関係を示したグラフである。例えば、駆動信号は最適駆動周波数であるとする。図12に示すように、駆動信号の周波数が最適駆動周波数であったとしても、駆動信号の電圧値が低すぎる場合は、超音波アクチュエータ100は回転せず、回転数は0である。駆動信号の電圧値がV1以上となった場合に、ようやく超音波アクチュエータ100は駆動し始める。つまり、駆動信号の電圧値がV1未満であれば、圧電振動子2bは振動しているが、ロータ1は回転を始めない。したがって、超音波アクチュエータ100が駆動していない状態であるが、圧電振動子2bが振動していることから、振動検知信号は生じている。そこで、本実施形態に係る超音波アクチュエータ100においては、駆動信号の電圧値を不感帯における値とした状態で振動検知信号および駆動信号の位相差を算出し、その位相差がp1となるように制御してから、駆動信号の電圧値をV1以上とする。つまり、移動体は駆動しない状態において、最適駆動周波数を検出し、最適駆動周波数を検出後、移動体を駆動させることとする。それにより、移動体が駆動を開始する以前に、最適駆動周波数が検出され、移動体が駆動を開始する時には、最適駆動周波数を有する駆動信号により圧電振動子の振動を制御できる。そのため、駆動開始時から超音波アクチュエータは高効率の駆動が実現できる。それにより、超音波アクチュエータ100の駆動中だけでなく、駆動開始時においても最適駆動周波数の駆動信号を用いることができるため、高効率の駆動が可能となる。
本実施形態に係る超音波アクチュエータ100の動作について図13を用いて説明する。図13は本実施の形態に係る超音波アクチュエータの起動時における動作を説明するためのフローチャートである。まず、図3に示す超音波アクチュエータ100に駆動指示がなされると、駆動信号生成部11は初期値とされた周波数および電圧値Vsを有する駆動信号を出力する(S1)。ここで、初期値とされた電圧値Vsとは、図12における不感帯における電圧値であり、VsはV1よりも小さい値である。また、初期値とされた周波数は、ある状態(標準状態)における共振周波数f1を有することとすればよい。標準状態は、超音波アクチュエータ100を駆動させる標準的な環境における状態とすればよい。なお、標準状態において、超音波アクチュエータ100を実際に駆動させることで、共振周波数f1を測定によりあらかじめ求め、共振周波数f1で超音波アクチュエータ100が駆動している状態における駆動信号と振動検知信号との位相差p1もあらかじめ求めておけばよい。初期値である駆動信号が駆動電流に変換され、圧電振動子2bに入力されると、圧電振動子2bの先端は公転運動(首振り振動)を行う。そして、突起部2c−1〜2c−3も楕円振動を行う。しかし、駆動信号の電圧値はVsであり、不感帯における電圧値であるため、ロータ1は回転しない。
駆動信号生成部11から出力された駆動信号は、位相比較部12にも入力される。また、圧電振動子2bは振動しているので、振動状態検知電極14には振動検知信号が生じ、検知信号取出し電極2b−5を介して出力され、位相比較部12に入力される。位相比較部12では、振動検知信号と駆動信号との位相差をパルス信号として出力する。そして、フィルタ部13にこのパルス信号が入力され、交流成分が除去される。具体的には、位相差は、一定の電圧値に変換されてフィルタ部13から出力され、位相調整部15に入力される。位相調整部15には、リファレンス値として例えば、2Vの電圧が入力されている。このリファレンス値は、振動検知信号および駆動信号の位相差がp1である場合にフィルタ部13から出力される電圧値であり、あらかじめ測定されている。位相調整部15では、フィルタ部13から出力される電圧値とリファレンス値との差を信号として出力する。したがって、位相調整部15から両者の差が0であるとの信号が出力された場合は振動検知信号および駆動信号の現在の位相差がp1であることを示し、現在の駆動信号は最適駆動周波数であるといえる。また、位相調整部15からの出力が0でないとの信号の場合は、振動検知信号および駆動信号の現在の位相差がp1でなく、この駆動信号で超音波アクチュエータ100を駆動させても、駆動効率は最適ではない。
位相調整部15からの出力信号は位相判定部16に入力される。位相判定部16では、位相調整部15からの出力信号に応じて振動検知信号および駆動信号の位相差がp1であるか否かを判断する(S2)。
位相判定部16は、振動検知信号および駆動信号の位相差がp1とは異なると判断した場合は、超音波アクチュエータ100を駆動させないよう、電圧制御発振部17に指示を送る。そして、電圧制御発振部17は、位相判定部16からの指示を受けて、駆動信号の電圧値はVsのままとするよう駆動信号生成部11に指示を送る。さらに、位相判定部16は位相調整部15からの出力信号に応じて、振動検知信号および駆動信号の位相差がp1に近づくように駆動信号の周波数を変更するよう駆動信号生成部11に指示を送る。駆動信号生成部11は、これらの指示を受けて、駆動信号の電圧値をVsのまま変更せずに、振動検知信号および駆動信号の位相差がp1に近づくよう周波数を変更して出力する(S3)。そして、再びステップS2に戻る。
また、位相判定部16は、振動検知信号および駆動信号の位相差がp1と等しいと判断した場合は、超音波アクチュエータ100を駆動させるよう、電圧制御発振部17に指示を送る。そして、電圧制御発振部17は、位相判定部16からの指示を受けて、駆動信号の電圧値をV1以上の電圧であるVmに変更するよう駆動信号生成部11に指示を送る。なお、この場合、現在の駆動信号の周波数が最適駆動周波数であると検出されている。なお、現在の駆動信号の周波数は最適駆動周波数であることから、駆動信号の周波数は変更しない。そして、駆動信号生成部11は、駆動信号の電圧値をVmに変更し(S4)、現在の周波数の駆動信号を出力する。
駆動信号生成部11が、電圧値がVmである駆動信号を出力すると、不感帯よりも大きい電圧値であるため、圧電振動子2bの振動が大きくなり、ロータ1が回転し始める。すなわち、超音波アクチュエータ100が駆動を開始する。
上述のように、圧電振動子2bが振動し、ロータ1が回転していない状態で、振動検知信号および駆動信号の位相差を用いて、比較部12、フィルタ部13、位相調整部15および位相判定部16は、駆動信号生成部11が最適駆動周波数を有する駆動信号を出力するように制御する。それにより、超音波アクチュエータ100の駆動開始前に駆動信号生成部11が最適駆動周波数を有する駆動信号を出力することができる。
図14は超音波アクチュエータに起動指令がなされた後の駆動信号の波形を示すグラフである。図14において、横軸は電圧であり、横軸は時間である。時間t0において、超音波アクチュエータに起動指令がなされ、駆動信号はその振幅(電圧値)はVsのままで周波数が除々に増加していっている。そして、駆動信号は周波数が最適駆動周波数になった時間t1からその振幅がVmに変更されている。このように、超音波アクチュエータ100においては、駆動を開始する際の駆動信号は最適駆動周波数であることから、駆動開始時から高効率の駆動が可能である。
また、駆動中であっても、駆動信号および振動検知信号は位相比較部12に入力され、それらの位相差がp1と等しいか否かが位相比較部12、フィルタ部13、位相調整部15および位相判定部16により監視されている。したがって、周囲環境の変化や負荷により、最適駆動周波数の値が変化したとしても、位相判定部16は駆動信号および振動検知信号の位相差がp1となる周波数の駆動信号を出力するように、駆動信号生成部11を制御している。それにより、本実施の形態に係る超音波アクチュエータ100は駆動開始時および駆動中において、高効率の駆動が可能である。
また、本実施の形態に係る超音波アクチュエータ100においては、特に圧電振動子2bの振動を正確に検出できる振動検知電極14を有していることから、高精度に振動状態を検出でき、より高精度の制御が可能であるという効果を奏する。特に、振動検知電極14から出力される振動検知信号はS/N比が高く、高精度の制御を実現できる。
なお、上記リファレンス値、駆動信号の初期値、標準状態の共振周波数f1、位相差p1は、あらかじめ測定され、超音波アクチュエータ100に記憶されていることとすればよい。
また、上述の本実施の形態においては、超音波アクチュエータ100の駆動状態が最も高効率となる駆動信号の周波数を最適駆動周波数としたが、最適駆動周波数は、操作者が所望とする値とすればよい。例えば、ある周波数の範囲を定めておき、その範囲において超音波アクチュエータ100の回転速度および効率が最も高い周波数を最適駆動周波数としてもよい。そして、その最適駆動周波数に対応する振動検知信号および駆動信号の位相差をあらかじめ求めておき、上述したように、その位相差となるように超音波アクチュエータ100を制御すればよい。
また、本実施の形態に係る超音波アクチュエータ100において、振動検知信号の代わりに駆動電流を用いることもできる。この駆動電流と駆動信号との位相差は、圧電振動子2bの振動状態に応じて変化する。この駆動電流と駆動信号との位相差、駆動電流の振幅および駆動信号の周波数の関係を図15に示す。図15は、本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータにおける駆動電流の振幅と、駆動電流および駆動信号の位相差と、駆動信号の周波数との関係を示すグラフである。図15の上段は、駆動電流の振幅および駆動信号の周波数の関係を示すグラフであり、図15の下段は駆動電流と駆動信号との位相差と、駆動信号の周波数との関係を示すグラフである。図15の上段のグラフにおいて、横軸は駆動信号の周波数(Hz)であり、縦軸は駆動電流の振幅(A)である。また、図15の下段のグラフにおいて、横軸は駆動信号の周波数(Hz)であり、縦軸は駆動電流と駆動信号との位相差(deg)である。図15に示すように、駆動信号の周波数が共振周波数f1である場合に、駆動電流の振幅が最大となる。そのとき、振動している圧電振動子2bの歪みも最大となる。そして、駆動電流と駆動信号との位相差は、駆動信号が共振周波数f1付近である場合に大きく変化し、駆動電流と駆動信号との位相差は、駆動信号が共振周波数f1である場合にはp2となる。そして、この駆動電流と駆動信号との位相差p2は、超音波アクチュエータ100にかかる負荷の状態や、周囲温度により変化することはなく、常に一定である。つまり、駆動電流と駆動信号との位相差をp2に保持しておけば、駆動信号の周波数は最適駆動周波数である。
そこで、駆動電流および駆動信号の位相差がp2となる状態で超音波アクチェータ100が駆動開始および駆動するように制御することで、超音波アクチュエータ100の駆動開始および駆動中の効率を良くすることができる。具体的には、超音波アクチュエータ100の電気的な構成を、図16に示す構成とすればよい。図16は、本発明の他の実施形態に係る超音波アクチュエータの電気的な構成を説明するための図である。図3に示した、本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータの電気的な構成とは、位相比較部12に振動検知信号の代わりに駆動電流が入力される点であり、他の構成は略同一である。また、本発明の他の実施形態に係る超音波アクチュエータ100aの動作についても、位相比較部12に振動検知信号の代わりに駆動電流が入力され、位相比較部12により、それらの位相差がパルス信号として、出力されることとする以外は、本発明の実施形態に係る超音波アクチュエータ100と略同様である。
それにより、超音波アクチュエータ100aにおいても、駆動開始時の駆動信号は最適駆動周波数であることから、駆動開始時から高効率の駆動が可能である。また、駆動中であっても、本発明の他の実施形態に係る超音波アクチュエータ100aは高効率の駆動が可能である。それにより、駆動開始時および駆動中において、高効率の駆動が可能である。また、超音波アクチュエータ100aは、新たに部材を追加することなく、上記したように高効率の駆動が実現できるという効果を奏する。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。