JP2020089161A - 圧電駆動装置およびロボット - Google Patents
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Abstract
【課題】被駆動体の位置を検出しつつ、駆動信号制御を行い得る圧電駆動装置を提供すること、および、かかる圧電駆動装置を備えるロボットを提供すること。【解決手段】進行方向で異なる表面状態を有している位置検出用領域と、駆動制御用領域と、を備える被駆動体と、第1振動部および位置検出用領域に当接する第1先端部を備え、第1振動部の振動状態に応じた第1信号を出力する第1圧電振動体と、第2振動部および駆動制御用領域に当接する第2先端部を備え、被駆動体を駆動し、第2振動部の振動状態に応じた第2信号を出力する第2圧電振動体と、被駆動体の位置を検出する位置検出部と、圧電振動体の振動を制御する駆動制御部と、を有し、位置検出部は、第1信号に基づいて被駆動体の位置を検出し、駆動制御部は、第2信号に基づいて第1圧電振動体および第2圧電振動体の振動を制御することを特徴とする圧電駆動装置。【選択図】図1
Description
本発明は、圧電駆動装置およびロボットに関するものである。
超音波アクチュエーターは、例えばレンズ駆動ユニットに用いられ、正確なレンズ駆動が可能な駆動装置である。このような超音波アクチュエーターでは、圧電素子を有する圧電振動体を移動体に接触させ、圧電振動体を振動させることによって移動体を駆動する。
特許文献1には、圧電振動子、突起部、および圧電振動子の振動状態を検出する振動状態検知電極を有する振動体と、突起部に接触し、振動体の振動により駆動される移動体と、移動体の位置情報を算出する演算部と、演算部により算出された位置情報に基づいて移動体の駆動を制御する制御部と、を備える超音波アクチュエーターが開示されている。そして、演算部は、移動体に対する振動体の位置に応じて変化する、圧電振動子における共振状態を検出し、移動体の位置情報を算出する。具体的には、振動状態検知電極から出力される圧電振動子の振動状態を示す信号(振動検知電圧)、および、振動体の駆動電圧と、を対比して、その位相差を算出する。そして、算出した位相差に基づき、移動体の移動量等の位置情報を算出する。
一方、移動体であるローターのうち、突起部と接触している面には、等間隔で溝が形成されている。これにより、振動体によってローターが駆動されると、突起部が周期的に溝を通過することになるが、その際、圧電振動子の共振状態が変化し、前述した位相差が変化する。したがって、これらの共振状態が変化した回数をカウントすることにより、ローターの回転角や回転数を検出することができる。
さらに、超音波アクチュエーターでは、圧電振動子の振動検知電圧と振動体の駆動電圧との位相差を取得し、この位相差を振動体の駆動電圧に反映させる駆動信号のフィードバック制御が行われる。このような駆動信号制御により、例えば振動体の振動の安定化が図られるとともに、振動体の変位量を変化させることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の超音波アクチュエーターでは、突起部がローターに形成された溝を通過する際に圧電振動子の振動状態が変化する。したがって、振動状態検知電極から出力される振動検知電圧には、圧電振動子の振動状態を示す信号のみでなく、突起部が溝を通過することに伴って発生する圧電振動子の共振状態の変化を示す信号も重畳することになる。このため、移動体の位置情報を取得しつつ、駆動信号制御を行うことができないという課題がある。
本発明の適用例に係る圧電駆動装置は、進行方向に延在し、前記進行方向で異なる表面状態を有している位置検出用領域と、前記進行方向に延在し、前記位置検出用領域とは異なる駆動制御用領域と、を備える被駆動体と、
振動する第1振動部、および、前記第1振動部に配置され前記位置検出用領域に当接する第1先端部を備え、前記第1振動部の振動状態に応じた第1信号を出力する第1圧電振動体と、
振動する第2振動部、および、前記第2振動部に配置され前記駆動制御用領域に当接する第2先端部を備え、前記第2振動部の振動により前記被駆動体を駆動し、前記第2振動部の振動状態に応じた第2信号を出力する第2圧電振動体と、
前記被駆動体の位置を検出する位置検出部と、
前記第1圧電振動体および前記第2圧電振動体の振動を制御する駆動制御部と、
を有し、
前記位置検出部は、前記第1信号に基づいて、前記被駆動体の位置を検出し、
前記駆動制御部は、前記第2信号に基づいて、前記第1圧電振動体および前記第2圧電振動体の振動を制御する。
振動する第1振動部、および、前記第1振動部に配置され前記位置検出用領域に当接する第1先端部を備え、前記第1振動部の振動状態に応じた第1信号を出力する第1圧電振動体と、
振動する第2振動部、および、前記第2振動部に配置され前記駆動制御用領域に当接する第2先端部を備え、前記第2振動部の振動により前記被駆動体を駆動し、前記第2振動部の振動状態に応じた第2信号を出力する第2圧電振動体と、
前記被駆動体の位置を検出する位置検出部と、
前記第1圧電振動体および前記第2圧電振動体の振動を制御する駆動制御部と、
を有し、
前記位置検出部は、前記第1信号に基づいて、前記被駆動体の位置を検出し、
前記駆動制御部は、前記第2信号に基づいて、前記第1圧電振動体および前記第2圧電振動体の振動を制御する。
以下、本発明の圧電駆動装置およびロボットの好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る圧電駆動装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す圧電駆動装置の平面図である。図3は、図1の圧電駆動装置を示すブロック図である。図4および図5は、それぞれ図3の制御装置および振動体を示すブロック図である。図6および図7は、それぞれ図1に示す振動体の電極の配置を示す平面図である。図8は、図6および図7のA−A線断面図である。図9は、図6および図7のB−B線断面図である。図10は、図6および図7のC−C線断面図である。図11は、図3に示す振動部に印加する交番電圧を示す図である。図12ないし図15は、それぞれ図1に示す振動部の駆動状態を示す図である。図16は、図1中のE−E線断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図8ないし図10中の上側を「上」、下側を「下」ともいう。
図1は、第1実施形態に係る圧電駆動装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す圧電駆動装置の平面図である。図3は、図1の圧電駆動装置を示すブロック図である。図4および図5は、それぞれ図3の制御装置および振動体を示すブロック図である。図6および図7は、それぞれ図1に示す振動体の電極の配置を示す平面図である。図8は、図6および図7のA−A線断面図である。図9は、図6および図7のB−B線断面図である。図10は、図6および図7のC−C線断面図である。図11は、図3に示す振動部に印加する交番電圧を示す図である。図12ないし図15は、それぞれ図1に示す振動部の駆動状態を示す図である。図16は、図1中のE−E線断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図8ないし図10中の上側を「上」、下側を「下」ともいう。
また、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とし、X軸に沿う方向をX軸方向、Y軸に沿う方向をY軸方向、Z軸に沿う方向をZ軸方向とも言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」とも言い、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、X軸方向プラス側を「上」または「上側」とも言い、X軸方向マイナス側を「下」または「下側」とも言う。
図1および図2に示す圧電駆動装置1は、回転モーターまたはロータリーアクチュエーターとして利用され、回転軸Oまわりに回転可能な被駆動体であるローター2と、ローター2を回転させるように駆動する振動アクチュエーター3と、振動アクチュエーター3の駆動を制御する制御装置7と、を有している。また、振動アクチュエーター3は、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bという2つの振動体4と、各振動体4をローター2に向けて付勢する2つの付勢部材5と、を有している。なお、本実施形態では、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの構成が互いに同じである。したがって、以下の説明では、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの双方を区別することなく「振動体4」ということがある。なお、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの構成は、互いに同じであることが好ましいが、互いに異なっていてもよい。
ローター2は、円板状をなしており、回転軸Oまわりに回転可能に支持されている。ただし、ローター2の回転軸Oまわりの構成については、特に限定されない。このようなローター2には、後に詳述するが、円形をなす上面20に当接するように2つの振動体4が配置されている。
また、図3ないし図5に示す制御装置7は、2つの振動体4に対し、それぞれ駆動信号Sdを出力するように構成されている。そして、制御装置7は、一方の振動体4から出力された検出信号Ss1を受信し、ローター2の位置を検出するとともに、他方の振動体4から出力された検出信号Ss2を受信し、振動体4の駆動においてフィードバック制御による駆動信号制御を行う。
次に、振動体4について詳述する。
図6および図7に示すように、振動体4は、振動可能な振動部41と、振動部41を支持する支持部42と、振動部41および支持部42を接続する一対の接続部43と、振動部41に設けられた先端部44と、を有している。振動部41は、X軸方向からの平面視で、伸縮方向であるY軸方向を長軸とする略長方形の板状をなしている。そして、振動部41の長軸の先端に先端部44が設けられている。また、支持部42は、振動部41の基端側を囲むU字形状となっている。なお、振動体4の形状は、その機能が発揮される限り、特に限定されない。
図6および図7に示すように、振動体4は、振動可能な振動部41と、振動部41を支持する支持部42と、振動部41および支持部42を接続する一対の接続部43と、振動部41に設けられた先端部44と、を有している。振動部41は、X軸方向からの平面視で、伸縮方向であるY軸方向を長軸とする略長方形の板状をなしている。そして、振動部41の長軸の先端に先端部44が設けられている。また、支持部42は、振動部41の基端側を囲むU字形状となっている。なお、振動体4の形状は、その機能が発揮される限り、特に限定されない。
また、図6に示すように、振動部41は、振動部41を屈曲振動させるための駆動用の圧電素子6A〜6Fと、振動部41の振動を検出するための検出用の圧電素子6Gと、を有する。
圧電素子6C、6Dは、それぞれ、振動部41のZ軸方向の中央部において、振動部41の長手方向、すなわちY軸方向に沿って配置されている。また、圧電素子6Cは、圧電素子6DよりもY軸方向プラス側に位置しており、一方、圧電素子6Dは、圧電素子6CよりもY軸方向マイナス側に位置している。そして、圧電素子6Cと圧電素子6Dとの間には、圧電素子6Gが配置されている。また、圧電素子6Cおよび圧電素子6Dは、図3に示すように、互いに電気的に接続されている。
なお、2つの圧電素子6C、6Dに代えて、1つの圧電素子を設けるようにしてもよい。
また、圧電素子6C、6Dに対して振動部41のZ軸方向プラス側には圧電素子6A、6Bが振動部41の長手方向に並んで配置され、Z軸方向マイナス側には圧電素子6E、6Fが振動部41の長手方向に並んで配置されている。また、これら圧電素子6A〜6Fは、それぞれ、通電によって振動部41の長手方向に伸縮する。また、図3に示すように、圧電素子6A、6Fが互いに電気的に接続されており、圧電素子6B、6Eが互いに電気的に接続されている。そして、後述するように、圧電素子6C、6Dと、圧電素子6A、6Fと、圧電素子6B、6Eとに、互いに位相が異なりかつ互いに同じ周波数の交番電圧を印加し、これらの伸縮タイミングをずらすことにより、振動部41をその面内においてS字状に屈曲振動させることができる。
圧電素子6Gは、好ましくは圧電素子6Cと圧電素子6Dとの間に位置している。すなわち、圧電素子6Gは、圧電素子6C、6Dに対して、それらの伸縮方向に並んで配置されている。この圧電素子6Gは、圧電素子6A〜6Fの駆動に伴う振動部41の振動に応じた外力を受け、受けた外力に応じた信号を出力する。そのため、圧電素子6Gから出力される信号に基づいて、振動部41の振動状態を検知することができる。なお、「圧電素子6Gが圧電素子6C、6Dに対してその伸縮方向に並んで配置されている」とは、圧電素子6Cを伸縮方向に延長した領域と、圧電素子6Dを伸縮方向に延長した領域と、が重複する領域内に、圧電素子6Gの少なくとも一部が位置していることを意味し、好ましくは、圧電素子6Gの全体が位置していることを意味する。
また、圧電素子6Gは、振動部41の屈曲振動の節となる部分に配置されている。屈曲振動の節とは、Z軸方向への振幅が実質的に0(ゼロ)となる部分、すなわち実質的に屈曲振動が生じない部分である。このように、圧電素子6Gを圧電素子6C、6Dに対してその伸縮方向に並ぶように配置し、かつ、振動部41の屈曲振動の節を含む部分に配置することにより、圧電素子6Gに振動部41のY軸方向への伸縮振動が伝わり易くなるとともに、振動部41のZ軸方向への屈曲振動が伝わり難くなる。すなわち、圧電素子6Gにおいて、伸縮振動の感度を高めつつ、屈曲振動の感度を低下させることができる。そのため、圧電素子6Gによって、振動部41のY軸方向への伸縮振動をより精度よく検出することができる。
ただし、圧電素子6Gの配置としては、振動部41のY軸方向への伸縮振動を検出することができれば、特に限定されず、例えば、振動部41の屈曲振動の腹となる部分に配置されていてもよい。また、圧電素子6Gを複数に分割するようにしてもよい。
また、支持部42は、振動部41を支持している。支持部42は、X軸方向からの平面視で、振動部41の基端側、すなわちY軸方向マイナス側を囲むU字形状となっている。ただし、支持部42の形状や配置としては、その機能を発揮することができる限り、特に限定されない。
また、接続部43は、振動部41の屈曲振動の節となる部分、具体的には振動部41のY軸方向の中央部と支持部42とを接続している。ただし、接続部43の構成は、その機能を発揮することができる限り、特に限定されない。
以上のような振動部41および接続部43は、図8ないし図10に示すように、2つの圧電素子ユニット60を互いに向かい合わせて貼り合わせた構成となっている。すなわち、図8ないし図10に示す断面図では、圧電素子ユニット60同士の構成が、これらの中間を通過する線に対して鏡像の関係を満たしている。また、支持部42も、図示しないものの、2つの圧電素子ユニット60を互いに向かい合わせて貼り合わせた構成となっている。各圧電素子ユニット60は、基板61と、基板61上に配置された駆動用の圧電素子60A、60B、60C、60D、60E、60Fおよび検出用の圧電素子60Gと、各圧電素子60A〜60Gを覆う保護層63と、を有する。保護層63は絶縁性を有するので絶縁部とも言える。基板61としては、特に限定されないが、例えばシリコン基板を用いることができる。また、以下の説明では、図8ないし図10に示す2つの圧電素子ユニット60のうち、各図の下方に位置する圧電素子ユニット60を代表にして説明している。
圧電素子60A〜60Fは、それぞれ、図8および図10に示すように、基板61上に配置された第1電極601と、第1電極601上に配置された圧電体602と、圧電体602上に配置された第2電極603と、を有する。すなわち、第1電極601は、圧電体602の下面6021に設けられ、第2電極603は、圧電体602の上面6022に設けられている。第1電極601、圧電体602および第2電極603は、それぞれ、圧電素子60A〜60Fに設けられている。すなわち、第1電極601および第2電極603は、駆動信号に基づき、駆動用の圧電素子60A〜60Fの各圧電体602を振動させる駆動用電極である。
一方、圧電素子60Gは、図9に示すように、基板61上に配置された第3電極604と、第3電極604上に配置された圧電体602と、圧電体602上に配置された第4電極606と、を有する。すなわち、第3電極604は、圧電体602の下面6021に設けられ、第4電極606は、圧電体602の上面6022に設けられている。第3電極604は、第1電極601と個別に設けられ、第4電極606は、第2電極603と個別に設けられている。すなわち、第3電極604および第4電極606は、検出用の圧電素子60Gの圧電体602の振動に応じた検出信号を、後述する制御装置7へ出力する検出用電極である。
なお、本実施形態では、図7に示すように、第1電極601と第3電極604とを個別の電極としているが、これらは1つの共通した電極になっていてもよい。
また、第1電極601、第2電極603、第3電極604、および第4電極606は、図示しない配線を介して制御装置7と電気的に接続されている。なお、図6および図7は、圧電体602を介した異なる階層を図示した平面図であり、このうち、図6は、第2電極603および第4電極606が設けられている階層を図示しており、一方、図7は、第1電極601および第3電極604が設けられている階層を図示している。
以上のような2つの圧電素子ユニット60は、圧電素子60A〜60Gが配置されている側の面を対向させた状態で、接着剤69を介して接合されている。なお、圧電素子ユニット60は、それ単独で用いられてもよい。また、貼り合わせる数も、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
また、各圧電素子60Aの第1電極601同士が図示しない配線等を介して電気的に接続されている。また、各圧電素子60Aの第2電極603同士が図示しない配線等を介して電気的に接続されている。そして、これら2つの圧電素子60Aから圧電素子6Aが構成されている。他の圧電素子60B〜60Fについても同様であり、2つの圧電素子60Bから圧電素子6Bが構成され、2つの圧電素子60Cから圧電素子6Cが構成され、2つの圧電素子60Dから圧電素子6Dが構成され、2つの圧電素子60Eから圧電素子6Eが構成され、2つの圧電素子60Fから圧電素子6Fが構成されている。
一方、各圧電素子60Gの第3電極604同士が図示しない配線等を介して電気的に接続されている。また、各圧電素子60Gの第4電極606同士が図示しない配線等を介して電気的に接続されている。そして、これら2つの圧電素子60Gから圧電素子6Gが構成されている。
圧電体602の構成材料としては、特に限定されず、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の圧電セラミックスを用いることができる。また、圧電体602としては、上述した圧電セラミックスの他にも、ポリフッ化ビニリデン、水晶等を用いてもよい。
また、圧電体602の形成方法としては、特に限定されず、バルク材料から形成してもよいし、ゾル−ゲル法やスパッタリング法を用いて形成してもよい。本実施形態では、圧電体602をゾル−ゲル法を用いて形成している。これにより、例えばバルク材料から形成する場合と比べて薄い圧電体602が得られ、振動体4の薄型化を図ることができる。
先端部44は、振動部41の先端に設けられ、振動部41からY軸方向プラス側へ突出している。そして、先端部44は、ローター2の上面20と接触している。そのため、振動部41の振動は、先端部44を介してローター2に伝達される。先端部44の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ジルコニア、アルミナ、チタニア等の各種セラミックスが挙げられる。これにより、耐久性に優れた先端部44となる。
以上、振動体4の構成について説明したが、振動体4の構成としては、特に限定されない。例えば、支持部42および接続部43を省略するようにしてもよい。また、以下の説明では、図1ないし図3に示すように、第1圧電振動体4Aが有する振動部41を特に「第1振動部41A」といい、先端部44を特に「第1先端部44A」という。同様に、第2圧電振動体4Bが有する振動部41を特に「第2振動部41B」といい、先端部44を特に「第2先端部44B」ということもある。
次に、振動体4の作動原理について説明する。
このような振動体4において、図11に示す交番電圧V1を圧電素子6A、6Fに印加し、交番電圧V2を圧電素子6C、6Dに印加し、交番電圧V3を圧電素子6B、6Eに印加すると、図12および図14に示すように、振動部41がY軸方向に伸縮振動しつつZ軸方向にS字状に屈曲振動する。このとき、圧電素子6C、6Dに印加される交番電圧V2は、振動部41に伸縮振動を発生させる。一方、圧電素子6A、6Fに印加される交番電圧V1および圧電素子6B、6Eに印加される交番電圧V3は、振動部41に屈曲振動を発生させる。つまり、交番電圧V2は、振動部41に伸縮振動を発生させる伸縮振動駆動信号であり、交番電圧V1、V3は、それぞれ振動部41に屈曲振動を発生させる屈曲振動駆動信号である。そして、これらの振動が合成されると、先端部44の先端が矢印A1で示すように反時計回りに楕円軌道を描く楕円運動をする。したがって、交番電圧V1、V2、V3が圧電駆動装置1における駆動信号Sdである。このような先端部44の楕円運動によってローター2が送り出され、ローター2が矢印B1で示す図12および図14の右方向に回転する。また、このような振動部41の振動に対応して、圧電素子6Gから検出信号Ss1、Ss2が出力される。
このような振動体4において、図11に示す交番電圧V1を圧電素子6A、6Fに印加し、交番電圧V2を圧電素子6C、6Dに印加し、交番電圧V3を圧電素子6B、6Eに印加すると、図12および図14に示すように、振動部41がY軸方向に伸縮振動しつつZ軸方向にS字状に屈曲振動する。このとき、圧電素子6C、6Dに印加される交番電圧V2は、振動部41に伸縮振動を発生させる。一方、圧電素子6A、6Fに印加される交番電圧V1および圧電素子6B、6Eに印加される交番電圧V3は、振動部41に屈曲振動を発生させる。つまり、交番電圧V2は、振動部41に伸縮振動を発生させる伸縮振動駆動信号であり、交番電圧V1、V3は、それぞれ振動部41に屈曲振動を発生させる屈曲振動駆動信号である。そして、これらの振動が合成されると、先端部44の先端が矢印A1で示すように反時計回りに楕円軌道を描く楕円運動をする。したがって、交番電圧V1、V2、V3が圧電駆動装置1における駆動信号Sdである。このような先端部44の楕円運動によってローター2が送り出され、ローター2が矢印B1で示す図12および図14の右方向に回転する。また、このような振動部41の振動に対応して、圧電素子6Gから検出信号Ss1、Ss2が出力される。
なお、矢印A1で示す先端部44の楕円運動では、点A1’から点A1”までは、先端部44がローター2の上面20と当接してローター2を矢印B1の方向に送り出し、点A1”から点A1’までは、先端部44がローター2の上面20から離間している。そのため、点A1”から点A1’までは、ローター2の矢印B1とは反対側への回転が抑制される。
また、交番電圧V1、V3を切り換えると、すなわち交番電圧V1を圧電素子6B、6Eに印加し、交番電圧V2を圧電素子6C、6Dに印加し、交番電圧V3を圧電素子6A、6Fに印加すると、図13および図15に示すように、振動部41がY軸方向に伸縮振動しつつZ軸方向にS字状に屈曲振動する。このときも、圧電素子6C、6Dに印加される交番電圧V2は、振動部41に伸縮振動を発生させる。一方、圧電素子6B、6Eに印加される交番電圧V1および圧電素子6A、6Fに印加される交番電圧V3は、振動部41に屈曲振動を発生させる。そして、これらの振動が合成されると、先端部44が矢印A2で示すように時計回りに楕円運動する。このような先端部44の楕円運動によってローター2が送り出され、ローター2が矢印B2で示す図13および図15の左方向に回転する。また、このような振動部41の振動に対応して、圧電素子6Gから検出信号Ss1、Ss2が出力される。
なお、矢印A2で示す先端部44の楕円運動では、点A2’から点A2”までは、先端部44がローター2の上面20と当接してローター2を矢印B2の方向に送り出し、点A2”から点A2’までは、先端部44がローター2の上面20から離間している。そのため、点A2”から点A2’までは、ローター2の矢印B2とは反対側への回転が抑制される。
また、第1圧電振動体4Aから出力される検出信号Ss1は、後に詳述するが、ローター2の位置を検出するために用いられる。すなわち、第1圧電振動体4Aは、第1振動部41Aの振動状態に応じた第1信号である検出信号Ss1を制御装置7に向けて出力し、制御装置7では、この検出信号Ss1に基づいてローター2の位置を検出する。
一方、第2圧電振動体4Bから出力される検出信号Ss2は、後に詳述するが、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御するために用いられる。すなわち、第2圧電振動体4Bは、第2振動部41Bの振動状態に応じた第2信号である検出信号Ss2を制御装置7に向けて出力し、制御装置7では、この検出信号Ss2に基づいて第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する。
本実施形態に係る交番電圧V1、V2、V3は、周波数が互いに等しく、位相が互いに異なっている。ただし、本実施形態では、ローター2を少なくとも一方向に回転させることができれば、圧電素子6A〜6Fに印加する交番電圧のパターンは、特に限定されない。また、圧電素子6A〜6Fに印加する電圧は、交番電圧でなく、例えば、間欠的に印加する直流電圧でもよい。
また、振動部41は、前述したように、圧電体602と、この圧電体602に設けられている第1電極601および第2電極603と、を有する圧電素子6A〜6Fを備えている。この振動部41における伸縮振動および屈曲振動は、それぞれ、圧電体602と第1電極601との界面、すなわち第1電極601の表面に平行な平面における振動である。
これにより、振動部41における振動効率が高くなり、消費電力の小さい圧電駆動装置1を実現することができる。
なお、本明細書における「平行」とは、前述した伸縮振動および屈曲振動の振動面と第1電極601の表面とのなす角度が0°の状態に加え、この角度が±5°の範囲内にある状態を指す概念である。
また、先端部44は、必要に応じて設けられればよく、その他の部材で代替されてもよい。
次に、ローター2について詳述する。
図1および図2に示すように、ローター2は、その上面20に設けられた、位置検出用領域21と、駆動制御用領域22と、を備える。
図1および図2に示すように、ローター2は、その上面20に設けられた、位置検出用領域21と、駆動制御用領域22と、を備える。
このうち、本実施形態に係る位置検出用領域21は、図2に示すように、ローター2の上面のうち、最も外縁側に位置し、かつ外縁に沿って設けられた、回転軸Oを中心とする円環状をなしている。このような位置検出用領域21は、第1圧電振動体4Aの第1先端部44Aが当接する領域である。そして、位置検出用領域21から第1先端部44Aが受ける反力の変化に基づいて、第1圧電振動体4Aにおける振動状態が変化するため、その変化に応じた成分を含む第1信号を出力させる。制御装置7では、後に詳述するが、このような第1信号に基づき、ローター2の位置を検出する。また、制御装置7は、必要に応じて、ローター2の位置検出結果に基づき、ローター2の駆動量に反映させる等の制御を行う。
したがって、位置検出用領域21では、ローター2の回転方向、すなわち進行方向DRで表面状態が変化していることが求められる。このように表面状態が変化していることにより、ローター2の回転に伴って第1先端部44Aが受ける反力を変化させることが可能になる。図1および図2に示す位置検出用領域21では、この進行方向DRに沿って第1領域211と第2領域212とが交互に並んでいる。第1領域211および第2領域212は、表面状態が互いに異なる領域である。なお、図2に示す進行方向DRは、円板状をなすローター2の周方向である。
第1領域211および第2領域212で互いに異ならせる表面状態としては、後に詳述するが、例えば、上面20の表面硬度、表面粗さ、凸部または凹部の有無等が挙げられる。
一方、駆動制御用領域22は、第2圧電振動体4Bの第2先端部44Bが当接する領域である。そして、後述する原理により、第2先端部44Bで駆動制御用領域22を所定の方向に送り出す送り出し力が付与される。これにより、ローター2を駆動することができる。
また、本実施形態では、このような駆動制御用領域22を、前述した位置検出用領域21と異なる位置に設けている。具体的には、本実施形態に係る駆動制御用領域22は、図2に示すように、位置検出用領域21よりも回転軸O側に位置し、かつ回転軸Oを中心とする円環状をなしている。このため、駆動制御用領域22の表面状態を、位置検出用領域21の表面状態と異ならせることが可能になる。そして、駆動制御用領域22の表面状態を、ローター2の駆動に適した状態にすることができる。一例として、駆動制御用領域22の表面状態は、平滑面とされる。その結果、第2圧電振動体4Bは、より高い効率でローター2を駆動することができる。
また、駆動制御用領域22では、前述した位置検出用領域21のような表面状態の変化を形成する必要がないため、全域にわたって表面状態を一様にすることができる。このため、駆動制御用領域22から第2先端部44Bが受ける反力には、表面状態の変化の成分が加味されないことになる。したがって、第2圧電振動体4Bでは、そのような表面状態の変化の成分に影響されないで、それ自身の振動に伴って発生する電荷が第2信号として出力される。制御装置7では、後に詳述するが、このような第2信号に基づき、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する。
付勢部材5は、振動体4の先端部44をローター2の上面20に向けて付勢する部材である。付勢部材5は、図16に示すように、振動体4の上面側、すなわちX軸方向プラス側に位置する第1基板51と、振動体4の下面側、すなわちX軸方向マイナス側に位置する第2基板52と、を有する。そして、第1基板51と第2基板52とで振動体4を挟み込んでいる。なお、第1基板51および第2基板52としては、特に限定されないが、例えば、シリコン基板を用いることができる。
ここで、本実施形態では、1つの振動体4を第1基板51および第2基板52で挟み込んでいるが、これに限定されず、例えば、複数の振動体4が積層してなる積層体を第1基板51および第2基板52で挟み込んだ構成であってもよい。これにより、1つの圧電駆動装置1に含まれる振動体4の数が増えるため、その分、大きいトルクでローター2を回転させることができる。
また、図16に示すように、支持部512、522の間には、振動体4と等しい厚さの間座53が設けられている。また、当該部分には、X軸方向に貫通する貫通孔59が形成されており、この貫通孔59を利用して、付勢部材5が筐体等にねじ止めされる。図1に示すばね部513をY軸方向に撓ませた状態で付勢部材5を前記筐体等に固定することにより、ばね部513の復元力を利用して先端部44をローター2の上面20に向けて付勢することができる。
なお、付勢部材5の構成は、先端部44をローター2の上面20に向けて付勢することができれば、特に限定されない。例えば、第1基板51および第2基板52のいずれか一方を省略してもよい。また、例えば、付勢部材5として、コイルスプリング、板ばね等を用いるようにしてもよい。
次に、制御装置7について説明する。
本実施形態に係る制御装置7は、図3に示すように、駆動制御部73と、位置検出部74と、を有している。また、駆動制御部73は、検出信号処理部71と、駆動信号生成部72と、を有している。以下、各部について説明する。
本実施形態に係る制御装置7は、図3に示すように、駆動制御部73と、位置検出部74と、を有している。また、駆動制御部73は、検出信号処理部71と、駆動信号生成部72と、を有している。以下、各部について説明する。
検出信号処理部71は、図3および図5に示すように、第2圧電振動体4Bからの検出信号Ss2を取得する。そして、駆動信号Sdと検出信号Ss2との位相差θ2を検出する。検出した位相差θ2のデータは、駆動信号生成部72に出力される。
検出信号処理部71は、図5に示すように、第2圧電振動体4Bの伸縮振動に伴って圧電素子6Gから出力されるアナログ信号である検出信号Ss2を2値化して、デジタル信号である検出パルス信号Ps2を生成する検出パルス信号生成部711と、駆動パルス信号Pdと検出パルス信号Ps2との位相差θ2を取得する位相差取得部712と、を備えている。
駆動信号生成部72は、検出信号処理部71からの位相差θ2のデータを取得し、この位相差θ2のデータに基づいて駆動信号Sdの周波数を随時変化させる。例えば位相差θ2が所定値を追尾するように、駆動信号Sdの周波数を随時変化させる。位相差θ2は、第2圧電振動体4Bの振幅との間に相関関係を有するため、これを利用することでローター2の回転状態を変化させることができる。
また、本実施形態に係る駆動信号生成部72は、図4および図5に示すように、駆動信号Sdの波形を決める制御値を生成する制御値生成部720と、第1圧電振動体4Aに出力する駆動信号Sdを生成するための駆動パルス信号Pdを生成する第1PWM信号生成部721Aと、第2圧電振動体4Bに出力する駆動信号Sdを生成するための駆動パルス信号Pdを生成する第2PWM信号生成部721Bと、駆動パルス信号Pdから駆動信号Sdを生成し、第1圧電振動体4Aに向けて出力する第1駆動波形生成部722Aと、駆動パルス信号Pdから駆動信号Sdを生成し、第2圧電振動体4Bに向けて出力する第2駆動波形生成部722Bと、を備えている。
このうち、制御値生成部720は、検出信号処理部71から取得した位相差θ2のデータに基づき、駆動信号Sdの周波数を決定する。また、位置検出部74から取得したローター2の位置のデータに基づき、駆動信号Sdの周波数や出力の要否を決定する。
また、第1PWM信号生成部721Aおよび第2PWM信号生成部721Bで生成される駆動パルス信号Pdは、High/Lowに2値化された矩形波である。第1PWM信号生成部721Aおよび第2PWM信号生成部721Bでは、駆動パルス信号Pdのデューティーを変化させることで、交番電圧V1、V2、V3の振幅、すなわち駆動信号Sdの振幅を変更することができる。
また、第1PWM信号生成部721Aおよび第2PWM信号生成部721Bは、図4および図5に示すように、それぞれ、交番電圧V1を生成するための駆動パルス信号Pdを生成する信号生成部7211A、7211B、交番電圧V2を生成するための駆動パルス信号Pdを生成する信号生成部7212A、7212B、および、交番電圧V3を生成するための駆動パルス信号Pdを生成する信号生成部7213A、7213Bを備えている。
さらに、第1駆動波形生成部722Aおよび第2駆動波形生成部722Bは、図4および図5に示すように、それぞれ、交番電圧V1を生成する波形生成部7221A、7221B、交番電圧V2を生成する波形生成部7222A、7222B、および、交番電圧V3を生成する波形生成部7223A、7223Bを備えている。
また、本実施形態に係る位置検出部74は、図4に示すように、第1圧電振動体4Aの伸縮振動に伴って圧電素子6Gから出力されるアナログ信号である検出信号Ss1を2値化して、デジタル信号である検出パルス信号Ps1を生成する検出パルス信号生成部741と、駆動パルス信号Pdと検出パルス信号Ps1との位相差θ1を取得する位相差取得部742と、位相差θ1の変化に基づき、ローター2の位置を算出する位置算出部743と、を備えている。算出したローター2の位置のデータは、制御値生成部720に向けて出力される。
以上のような制御装置7を用いて圧電駆動装置1を駆動することができる。なお、本実施形態では、第1PWM信号生成部721Aと第2PWM信号生成部721Bを個別に設けているが、これらは共通化されていてもよい。同様に、本実施形態では、第1駆動波形生成部722Aと第2駆動波形生成部722Bを個別に設けているが、これらは共通化されていてもよい。この場合、駆動パルス信号Pdや駆動信号Sdをそれぞれ2つに分岐して各振動体4に入力すればよい。これにより、駆動信号生成部72の回路構成の簡素化を図ることができる。
以上のように、本実施形態に係る圧電駆動装置1は、進行方向DRに延在し、進行方向DRで異なる表面状態を有している位置検出用領域21と、進行方向DRに延在し、位置検出用領域21とは異なる駆動制御用領域22と、を備える被駆動体であるローター2と、振動する第1振動部41Aおよび第1振動部41Aに配置され位置検出用領域21に当接する第1先端部44Aを備える第1圧電振動体4Aと、振動する第2振動部41Bおよび第2振動部41Bに配置され駆動制御用領域22に当接する第2先端部44Bを備え、第2振動部41Bが振動することによりローター2を駆動する第2圧電振動体4Bと、ローター2の位置を検出する位置検出部74と、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する駆動制御部73と、を有している。そして、第1圧電振動体4Aは、第1振動部41Aの振動状態に応じた第1信号として検出信号Ss1を出力し、第2圧電振動体4Bは、第2振動部41Bの振動状態に応じた第2信号として検出信号Ss2を出力する。また、位置検出部74は、検出信号Ss1に基づいて、ローター2の位置を検出し、駆動制御部73は、検出信号Ss2に基づいて、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する。
このような圧電駆動装置1によれば、互いに独立した振動体4から得られた検出信号Ss1に基づいてローター2の位置を検出するとともに、いわゆるフィードバック制御によって第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する。すなわち、検出信号Ss1を用いてローター2の位置を検出し、検出信号Ss2を用いて各振動体4の振動を制御する。これにより、1つの圧電駆動装置1において、別途エンコーダーを用いることなくローター2の位置を検出しつつ、一方、ローター2の位置の検出に用いた検出信号Ss1とは異なる検出信号Ss2をフィードバックして各振動体4の振動を制御することができる。この検出信号Ss2には、位置検出用領域21における表面状態の変化に伴う成分が加味されていないため、各振動部41の振動状態が良好に反映されている。したがって、この検出信号Ss2を用いて各振動部41の振動を制御することにより、圧電駆動装置1におけるローター2の駆動を精度よく安定的に制御することが可能になる。
また、圧電駆動装置1では、エンコーダーを用いることなく、第1圧電振動体4Aから得られる検出信号Ss1を用いてローター2の位置を検出することが可能である。このため、エンコーダーに必要なスペースを削減することができ、圧電駆動装置1の小型化を図ることができる。
ここで、圧電駆動装置1においてローター2の位置を検出する方法について説明する。
前述したように、第2圧電振動体4Bに駆動信号Sdが入力されると、第2振動部41Bが振動し、第2先端部44Bが楕円運動する。これにより、第2先端部44Bによって駆動制御用領域22を所定の方向に送り出す力が付与される。また、第1圧電振動体4Aにも同様に駆動信号Sdが入力されるので、第1振動部41Aが振動し、第1先端部44Aが楕円運動する。これにより、第1先端部44Aによって位置検出用領域21を所定の方向に送り出す力が付与される。
前述したように、第2圧電振動体4Bに駆動信号Sdが入力されると、第2振動部41Bが振動し、第2先端部44Bが楕円運動する。これにより、第2先端部44Bによって駆動制御用領域22を所定の方向に送り出す力が付与される。また、第1圧電振動体4Aにも同様に駆動信号Sdが入力されるので、第1振動部41Aが振動し、第1先端部44Aが楕円運動する。これにより、第1先端部44Aによって位置検出用領域21を所定の方向に送り出す力が付与される。
また、第2圧電振動体4Bの圧電素子6Gからは、第2圧電振動体4Bの振動に対応して検出信号Ss2が出力される。この検出信号Ss2の周波数は、駆動信号Sdの周波数とほぼ等しくなる。そして、駆動信号Sdを生成するための駆動パルス信号Pdと検出信号Ss2をデジタル化してなる検出パルス信号Ps2との位相差θ2は、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振幅との間に相関関係を有していることから、制御装置7では、この関係を利用してローター2の回転状態を制御することが可能になる。
一方、第1圧電振動体4Aの圧電素子6Gからは、第1圧電振動体4Aの振動に対応する成分に、位置検出用領域21における表面状態の変化に伴う成分が重畳し、これが検出信号Ss1として出力される。したがって、駆動パルス信号Pdと、検出信号Ss1をデジタル化してなる検出パルス信号Ps1と、の位相差θ1は、第1圧電振動体4Aの振動に対応する成分のみでなく、位置検出用領域21における表面状態の変化に伴う成分も含むことになる。
具体的には、図14および図15に示すように、第1領域211と第2領域212とが交互に並んでいる位置検出用領域21に第1先端部44Aが当接し、矢印B1または矢印B2で示す方向、すなわち進行方向DRにローター2を回転させるとき、第1先端部44Aは、第1領域211と第2領域212とを交互に通過する。前述したように、第1領域211および第2領域212は、その表面状態が互いに異なっている。このため、第1先端部44Aが第1領域211に当接している際に受ける反力と、第1先端部44Aが第2領域212に当接している際に受ける反力と、が異なり、それに伴って、第1振動部41Aの振動状態も異なる。したがって、第1先端部44Aが第1領域211に当接している際の位相差θ1と、第1先端部44Aが第2領域212に当接している際の位相差θ1と、の間には、差が生じることとなる。よって、制御装置7の位置検出部74では、このような位相差θ1の変化を検出することにより、第1先端部44Aが第1領域211と第2領域212との境界を通過したことを検出することができる。このため、位置算出部743において位相差θ1が変化した回数を計数することにより、通過した境界の数を求めることができる。その結果、ローター2の回転角度、すなわちローター2の位置を求めることができる。すなわち、圧電駆動装置1に対し、ローター2を駆動する機能に加え、インクリメンタル方式のエンコーダーとしての機能を付与することができる。
なお、図2に示すローター2では、全周にわたって第1領域211と第2領域212とが交互に並んでいるが、このうちの1つの第1領域211を省略するようにしてもよい。その場合、第1領域211を省略した箇所を、ローター2の原点とすることができる。この原点を第1先端部44Aが通過するとき、位相差θ1が変化しない時間が他の箇所に比べて長くなる。このため、そのように位相差θ1が変化しない時間の長さに基づいて、第1先端部44Aが原点を通過したとみなすことができる。その結果、原点からの回転角度を求めることができるため、圧電駆動装置1に対し、アブソリュート方式のエンコーダーとしての機能を付与することができる。
なお、原点の構成は、上記の構成に限定されず、例えば、表面状態が第1領域211および第2領域212の双方と異なる第3領域を設け、その第3領域を原点とするようにしてもよい。
また、位置検出用領域21は、前述したように、第1領域211と、進行方向DRにおいて第1領域211に隣り合って設けられ、第1領域211とは表面状態が異なる第2領域212と、を有している。このうち、表面状態は、例えば表面硬度とされる。この場合、第1領域211は、例えば第2領域212よりも表面硬度が小さくなるように設定される。
このように表面硬度を異ならせることにより、第1先端部44Aが第1領域211に当接しているときと、第1先端部44Aが第2領域212に当接しているときとで、第1先端部44Aが受ける反力が異なるため、振動状態にも変化が生じ、位相差θ1に差を生じさせることができる。具体的には、第1先端部44Aが相対的に低硬度である第1領域211に当接しているとき、第1先端部44Aが相対的に高硬度である第2領域212に当接しているときに比べて、検出信号Ss1の周波数が高くなる。このため、例えば第1先端部44Aが第1領域211から第2領域212へと移動するとき、位相差θ1が大きくなるような変化が生じる。一方、例えば第1先端部44Aが第2領域212から第1領域211へと移動するときには、位相差θ1が小さくなるような変化が生じる。したがって、位相差θ1の変化の仕方および変化の回数を取得することにより、位置検出用領域21を第1先端部44Aが移動した距離、すなわち、ローター2の回転角度を求めることができる。
なお、上述したような位相差θ1の変化の仕方は、振動体4の構成等に応じて異なるため、上記に限定されず、上記と反対であってもよい。
また、上記のように表面硬度を異ならせるためには、例えば第1領域211と第2領域212とで構成材料を異ならせるようにすればよい。具体的には、図14および図15に示すように、ローター2の位置検出用領域21に例えばレーザー加工法や機械的加工法等により溝210を形成し、その溝210に、ローター2の構成材料とは異なる材料を充填するようにすればよい。これにより、第1領域211と第2領域212とで構成する材料が異なることになるため、表面硬度を異ならせることができる。また、溝210を形成するものの、その溝210は埋められることになるので、位置検出用領域21における溝210の影響を抑えることができる。このため、位置検出用領域21に第1先端部44Aを当接させたとき、溝210の開口端が第1先端部44Aによって削られてしまうといった懸念をなくすことができ、経時変化が少なく精度の高い位置検出が可能になる。
なお、第1領域211および第2領域212の表面硬度は、例えばJIS Z 2244:2009に規定されたビッカース硬さ試験−試験方法に準じて測定される。ここで、圧子の試験力は9.8Nとし、試験力の保持時間は15秒とする。
第1領域211と第2領域212との間の表面硬度の差は、特に限定されないが、ビッカース硬さで50以上であるのが好ましく、100以上1000以下であるのがより好ましい。これにより、位相差θ1に十分な変化を生じさせることができ、かつ、第1領域211の摩耗を抑えることができる。その結果、ローター2の位置を長期にわたって高精度に検出することができる。
ローター2の構成材料、すなわち第2領域212の構成材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニアのようなセラミックス材料、ステンレス鋼のような金属材料等が挙げられる。一方、溝210に充填される材料、すなわち第1領域211の構成材料としては、ローター2の構成材料よりも低硬度の材料であれば、特に限定されないが、例えば、アルミニウム合金、銅合金のような金属材料、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂材料が挙げられる。
また、位置検出用領域21は、前述したように、第1領域211と、進行方向DRにおいて第1領域211に隣り合って設けられ、第1領域211とは表面状態が異なる第2領域212と、を有しているが、位置検出用領域21における前述した表面状態は、例えば表面粗さであってもよい。この場合、第1領域211は、例えば第2領域212よりも表面粗さが大きくなるように設定される。
このように表面粗さを異ならせることにより、第1先端部44Aが第1領域211に当接しているときと、第1先端部44Aが第2領域212に当接しているときとで、第1先端部44Aが受ける反力が異なるため、振動状態にも変化が生じ、位相差θ1に差を生じさせることができる。具体的には、第1先端部44Aが相対的に粗い面である第1領域211に当接しているとき、第1先端部44Aが相対的に平滑な面である第2領域212に当接しているときに比べて、検出信号Ss1の周波数が高くなる。このため、例えば第1先端部44Aが第1領域211から第2領域212へと移動するとき、位相差θ1が大きくなるような変化が生じる。一方、例えば第1先端部44Aが第2領域212から第1領域211へと移動するときには、位相差θ1が小さくなるような変化が生じる。したがって、位相差θ1の変化の仕方および変化の回数を取得することにより、位置検出用領域21を第1先端部44Aが移動した距離、すなわち、ローター2の回転角度を求めることができる。
なお、上述したような位相差θ1の変化の仕方は、振動体4の構成等に応じて異なるため、上記に限定されず、上記と反対であってもよい。
また、上記のように表面粗さを異ならせるためには、例えば第2領域212にマスキングを施した状態で第1領域211に粗面化処理を施すようにすればよい。粗面化処理としては、例えばサンドブラスト処理、ショットブラスト処理、エッチング処理、レーザー処理、プラズマ処理、機械的処理等が挙げられる。
なお、第1領域211および第2領域212の表面粗さは、例えばJIS B 0601:2013に規定された幾何特性仕様のうち、最大高さ粗さRzとして測定される。
第1領域211と第2領域212との間の表面粗さの差は、特に限定されないが、最大高さ粗さRzで1μm以上であるのが好ましく、5μm以上500μm以下であるのがより好ましい。これにより、位相差θ1に十分な変化を生じさせることができ、かつ、第1領域211の摩耗を抑えることができる。その結果、ローター2の位置を長期にわたって高精度に検出することができる。
以上、位置検出用領域21における表面状態について説明したが、表面状態には上記の他に、例えば凹凸の有無も挙げられる。なお、位置検出用領域21も第1先端部44Aによって送り出す力が付与され、ローター2の駆動に寄与することを踏まえると、位置検出用領域21もできるだけ平滑な方が摩耗しにくい。したがって、前述した表面状態、すなわち第1領域211と第2領域212とで異ならせる表面状態は、表面硬度であるのが好ましい。これにより、位置検出用領域21を平滑面にすることができるので、摩耗を抑制し、長期にわたって高精度の位置検出が可能になる。
一方、駆動制御用領域22は、前述したように、第2圧電振動体4Bの第2先端部44Bが当接する領域である。したがって、駆動制御用領域22は、前述したように平滑面であることが好ましく、また、表面硬度が高い面であることが好ましい。よって、駆動制御用領域22の表面硬度は、第1領域211よりも大きいことが好ましく、表面粗さは、第1領域211よりも小さいことが好ましい。そして、双方の表面硬度の差および表面粗さの差は、前述した第1領域211と第2領域212との間における差の範囲内であることが好ましい。
また、進行方向DRにおける第1領域211の長さは、進行方向DRにおける第1先端部44Aの長さより長くてもよいが、第1先端部44Aの長さの10%以上100%以下であるのが好ましく、10%以上60%以下であるのがより好ましい。これにより、第1先端部44Aが第1領域211のみに当接することが抑制される。すなわち、第1先端部44Aを、常時、第1領域211と第2領域212の双方に当接させる確率が高くなる。その結果、例えば表面硬度が相対的に低い第1領域211が大きく削られてしまうのを抑制することができる。
なお、進行方向DRにおける第1領域211の長さとは、ローター2の外縁における長さのことをいう。
また、進行方向DRにおける第1領域211の長さと第2領域212の長さとの比は、特に限定されず、第2領域212の長さに対して第1領域211の長さが長くても短くてもよい。
また、第1領域211同士で、長さは互いに異なっていてもよいが、互いに同じであるのが好ましい。これにより、位相差θ1の変化の回数を計数することにより、簡単な演算によってローター2の回転角度を算出することができる。
また、図1および図2に示す位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、進行方向DRと直交する直交方向、すなわち円形をなす上面20の半径方向において互いにずれている。これにより、1つのローター2に対し、2つの振動体4を配置することができるので、圧電駆動装置1の小型化を図りつつ、エンコーダーの機能を付与することができる。
さらに、図1および図2に示すローター2の進行方向DRは、上面20の円周方向、つまり外縁の円弧に沿う方向であるが、位置検出用領域21は、駆動制御用領域22よりも円弧の外側に位置している。すなわち、ローター2の上面20の外側に位置検出用領域21が位置し、その内側に駆動制御用領域22が位置している。このような配置を採用することにより、円環状をなす位置検出用領域21の全長、すなわち円周をより長くすることができる。その結果、第1領域211と第2領域212との境界をより多く形成することができ、ローター2の位置検出における分解能を高めることができる。
なお、上記の説明では、第1先端部44Aが第1領域211に当接しているときと、第1先端部44Aが第2領域212に当接しているときとで、位相差θ1に差が生じる場合について説明したが、位相差θ1ではなく、検出信号Ss1の振幅に差が生じる場合であってもよい。すなわち、位置検出部74は、位相差θ1の変化ではなく、検出信号Ss1の振幅の変化に基づいてローター2の位置を検出するように構成されていてもよい。ただし、位相差θ1の変化は、振幅の変化よりも応答性が高いため、位置検出のレスポンスの観点で、位相差θ1の変化に基づくローター2の位置検出が好ましく用いられる。
また、上記の説明では、第1圧電振動体4Aの第1振動部41A、および、第2圧電振動体4Bの第2振動部41Bの双方が、伸縮振動と屈曲振動を行っている。これにより、第1先端部44Aおよび第2先端部44Bの双方が楕円運動をして、ローター2を送り出す力を付与している。
一方、第1圧電振動体4Aについては、ローター2の位置を検出するエンコーダーとしての機能のみを与え、ローター2を駆動する機能を省略するようにしてもよい。つまり、第2振動部41Bは、伸縮振動および屈曲振動する一方、第1振動部41Aについては、伸縮振動のみを行うように制御してもよい。この場合であっても、第1圧電振動体4Aから出力される検出信号Ss1には、位置検出用領域21の表面状態の変化による成分が重畳しているため、位相差θ1の変化や振幅の変化を検出することができ、ローター2の位置を検出することができる。また、この場合、屈曲振動を行わせない分、第1圧電振動体4Aの消費電力を削減することができる。
なお、位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、それぞれローター2の上面20ではなく、側面23に設けられていてもよい。この場合も、位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、ローター2の進行方向、すなわち周方向に延在するように設けられる。
また、制御装置7は、例えばCPUのようなプロセッサー、メモリー、インターフェース等を有するコンピューターで構成される。そして、メモリーに格納されている所定のプログラムをプロセッサーによって実行することにより、各部の作動が制御される。なお、プログラムは、インターフェースを介して外部からダウンロードされたものであってもよい。また、制御装置7の構成の全部または一部が、圧電駆動装置1の外部に設けられ、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信網を介して接続された構成であってもよい。
−変形例−
次に、第1実施形態に変形例について説明する。
図17は、第1実施形態の変形例を示す平面図である。
次に、第1実施形態に変形例について説明する。
図17は、第1実施形態の変形例を示す平面図である。
以下、変形例について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図17において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
変形例では、被駆動体としてローターではなく直線状に延びるスライダーを用いるようにした以外、前述した実施形態と同様である。
図17に示す圧電駆動装置1aは、第1実施形態に係るローター2に代えて、振動アクチュエーター3の駆動によって直線移動するスライダー2aを備えている。そして、スライダー2aは、その上面20に設けられた、位置検出用領域21と、駆動制御用領域22と、を備える。したがって、圧電駆動装置1aは、リニアエンコーダーの機能を内蔵した直動モーターまたはリニアアクチュエーターとして利用される。
図17に示す位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、それぞれ進行方向DRに延在する直線状をなしている。また、位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、進行方向DRに直交する直交方向に並んでいる。
一方、第1圧電振動体4Aは、第1先端部44Aが位置検出用領域21に当接するように配置され、第2圧電振動体4Bは、第2先端部44Bが駆動制御用領域22に当接するように配置されている。
以上のような変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
以上のような変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る圧電駆動装置について説明する。
図18は、第2実施形態に係る圧電駆動装置の平面図である。
次に、第2実施形態に係る圧電駆動装置について説明する。
図18は、第2実施形態に係る圧電駆動装置の平面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図18において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
第2実施形態は、ローターの構成および振動体の配置が異なる以外、第1実施形態と同様である。
すなわち、図18に示す圧電駆動装置1bにおいても、ローター2bの進行方向DRは、上面20の円周方向、つまり外縁の円弧に沿う方向であるが、図18に示す駆動制御用領域22は、位置検出用領域21よりも円弧の外側に位置している。すなわち、ローター2bの上面20の外側に駆動制御用領域22が位置し、その内側に位置検出用領域21が位置している。つまり、本実施形態と前述した第1実施形態とでは、位置検出用領域21の位置と駆動制御用領域22の位置とが互いに入れ替わっている。そして、いずれの実施形態でも、位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、それぞれ回転軸Oを中心とする同心の円環状をなしており、かつ、回転軸Oからの距離が互いに異なる領域である。
一方、これらの領域の配置に対応して、第2圧電振動体4Bは、第1圧電振動体4Aよりも外側に配置されている。
このような配置を採用することにより、円環状をなす駆動制御用領域22の全長、すなわち円周をより長くすることができる。したがって、第2圧電振動体4Bは、回転軸Oからより離れた位置において、駆動制御用領域22を送り出す力を付与することができる。その結果、ローター2bの回転モーメント、すなわちトルクを増加させることができる。
以上のような第2実施形態においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
以上のような第2実施形態においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る圧電駆動装置について説明する。
図19は、第3実施形態に係る圧電駆動装置の平面図である。
次に、第3実施形態に係る圧電駆動装置について説明する。
図19は、第3実施形態に係る圧電駆動装置の平面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図19において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
第3実施形態は、ローターの構成および振動体の配置が異なる以外、第1実施形態と同様である。
前述した第1実施形態では、ローター2cの上面20に設けられた位置検出用領域21および駆動制御用領域22が、上面20の半径方向で互いにずれた位置に設けられているのに対し、本実施形態では、位置検出用領域21および駆動制御用領域22が、進行方向DRに延在する互いに同じ線L上に設けられており、かつ、進行方向DRで互いにずれた位置に設けられている。
具体的には、図19に示す位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、それぞれ回転軸Oからの距離が互いに等しい円形の線L上に配置されている。そして、回転軸Oを通過する2本の直線で上面20をほぼ4等分したとき、回転軸Oを介して互いに対向する2つの部分には位置検出用領域21が設けられ、残る2つの部分には駆動制御用領域22が設けられている。つまり、位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、線L上において互いにずれるように、交互に配置されている。したがって、上面20には、2つの位置検出用領域21と、2つの駆動制御用領域22とが、進行方向DRで交互に配置されている。
これにより、本実施形態では、位置検出用領域21および駆動制御用領域22の双方を、上面20の外縁に近い部分、換言すれば回転軸Oから遠い部分に設けることが可能にある。このため、ローター2cの位置検出における分解能を高めることができるとともに、ローター2cのトルクを増加させることができる。加えて、スペースを必要とする振動体4を互いに離れた2か所に分散して配置することができるので、圧電駆動装置1c全体の小型化が図られやすいという利点もある。
一方、本実施形態に係る圧電駆動装置1cは、2つの第3圧電振動体4Cを備えている。これらの第3圧電振動体4Cは、進行方向DRに並べて設けられている。つまり、これらの第3圧電振動体4Cは、線L上において互いに離れた位置に設けられている。したがって、ローター2cが回転するとき、各第3圧電振動体4Cは、位置検出用領域21と駆動制御用領域22とを交互に通過することとなる。
ここで、第3圧電振動体4Cは、構造上、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bと同じである。すなわち、第3圧電振動体4Cは、第1振動部41Aや第2振動部41Bと同様の第3振動部41C、および、第1先端部44Aや第2先端部44Bと同様の第3先端部44Cを備えている。一方、本実施形態では、制御装置7における回路構成が第1実施形態と異なっている。このため、第3圧電振動体4Cは、制御装置7の制御によって、第1圧電振動体4Aにも第2圧電振動体4Bにもなり得る。つまり、進行方向DRに並べて設けられている複数の第3圧電振動体4Cは、それぞれ、時分割で、第1圧電振動体4Aまたは第2圧電振動体4Bのいずれかになる。そして、本実施形態に係る制御装置7は、ローター2cの上面20に対して第3圧電振動体4Cが相対的に移動するとき、その位置に応じて、第3圧電振動体4Cを第1圧電振動体4Aとして制御したり、第2圧電振動体4Bとして制御したりするように構成されている。
具体的には、図19に示す制御装置7の位置検出部74は、第3圧電振動体4Cが位置検出用領域21に位置するとき、第3圧電振動体4Cを第1圧電振動体4Aとして制御する。位置検出用領域21に位置するときの第3圧電振動体4Cを、特に「第3圧電振動体4C−A」とすると、図19に示す位置検出部74では、第3圧電振動体4C−Aを第1実施形態に係る第1圧電振動体4Aとして機能させるため、図示しない切替部を介して回路が切り替わるようになっている。これにより、第3圧電振動体4C−Aから出力された検出信号Ss1を位置検出部74において受信し、ローター2cの位置を検出することができる。
また、図19に示す制御装置7の駆動制御部73は、第3圧電振動体4Cが駆動制御用領域22に位置するとき、第3圧電振動体4Cを第2圧電振動体4Bとして制御する。駆動制御用領域22に位置するときの第3圧電振動体4Cを、特に「第3圧電振動体4C−B」とすると、図19に示す駆動制御部73では、第3圧電振動体4C−Bを第1実施形態に係る第2圧電振動体4Bとして機能させるため、図示しない切替部を介して回路が切り替わるようになっている。これにより、第3圧電振動体4C−Bから出力された検出信号Ss2を駆動制御部73において受信し、第3圧電振動体4Cの駆動を制御することができる。
また、2つの第3圧電振動体4Cは、一方が第3圧電振動体4C−Aになるとき、同じタイミングで他方が第3圧電振動体4C−Bになるように設定されている。具体的には、図19に示す圧電駆動装置1cでは、1つの位置検出用領域21に対応する中心角α1と、2つの第3圧電振動体4Cの離角α2と、が等しく設定されている。これにより、一方の第3圧電振動体4Cが位置検出用領域21から駆動制御用領域22に移動するとき、同じタイミングで、他方の第3圧電振動体4Cが駆動制御用領域22から位置検出用領域21に移動することとなる。その結果、圧電駆動装置1cでは、常時、第3圧電振動体4C−Aと第3圧電振動体4C−Bとが存在することになり、前述した効果を確実に得ることができる。すなわち、位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、第1圧電振動体4Aになる第3圧電振動体4C、および、第2圧電振動体4Bになる第3圧電振動体4Cの双方が、任意の時刻で存在するように設定されているため、前記実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第3圧電振動体4Cがいずれの領域に存在するかについては、ローター2cの設計情報と検出されたローター2cの回転角度とに基づいて判断することができる。例えば、図19において中心角α1が90°である場合、ローター2cが90°回転したタイミングで、位置検出部74の接続先と駆動制御部73の接続先とを入れ替えるようにすればよい。すなわち、このタイミングで、2つの第3圧電振動体4Cのうち、一方については、第1圧電振動体4Aとしての制御から第2圧電振動体4Bとしての制御へと切り替え、他方については、第2圧電振動体4Bとしての制御から第1圧電振動体4Aとしての制御へと切り替えるようにすればよい。
また、本実施形態では、2つの第3圧電振動体4Cが同一の線L上を通過するため、第3圧電振動体4C同士で第3先端部44Cの摩耗量が均一になりやすい。つまり、例えば図2では、第1先端部44Aと第2先端部44Bが互いに異なる線上を通過しており、通過距離も異なることから、摩耗量にも差が生じるおそれがある。しかし、本実施形態では、同一の線L上を通過するため、摩耗量に差が生じにくい。したがって、本実施形態では、第3先端部44Cの摩耗量の均一化を図ることができ、圧電駆動装置1cの長寿命化に寄与することができる。
−変形例1−
次に、第3実施形態に変形例1について説明する。
次に、第3実施形態に変形例1について説明する。
図20は、第3実施形態の変形例1を示す平面図である。なお、図20では、振動体4と制御装置7とを接続する配線の図示を省略している。
以下、変形例1について説明するが、前述した第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図20において、前述した第3実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
変形例1では、進行方向DRにおける位置検出用領域21の長さを駆動制御用領域22の長さより長くするとともに、圧電駆動装置1dが備える第3圧電振動体4Cの数を2つから8つに増やすようにした以外、前述した第3実施形態と同様である。
図20に示す圧電駆動装置1dにおいても、位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、線L上において互いに進行方向DRにずれた位置に設けられている。一方、進行方向DRにおける位置検出用領域21の長さは、進行方向DRにおける駆動制御用領域22の長さより長くなっており、図20の場合、駆動制御用領域22の長さの約7倍になっている。
また、圧電駆動装置1dは、8つの第3圧電振動体4Cを備えている。8つの第3圧電振動体4Cは、線L上において等間隔に並べて設けられている。そして、8つの第3圧電振動体4Cのうち、7つが位置検出用領域21に位置し、1つが駆動制御用領域22に位置する。その結果、圧電駆動装置1dでは、常時、第1圧電振動体4Aとして制御される7つの第3圧電振動体4C−Aと、第2圧電振動体4Bとして制御される1つの第3圧電振動体4C−Bとが存在することになる。
ここで、図20において、隣り合う2つの第3圧電振動体4Cと回転軸Oとを結ぶ線分がなす中心角を離角α3とする。また、図20において、この隣り合う2つの第3圧電振動体4Cの第3先端部44Cにそれぞれ最も近い位置にある第1領域211と回転軸Oとを結ぶ線分同士がなす中心角を離角α4とする。さらに、図20において、隣り合う第1領域211と回転軸Oとを結ぶ線分同士がなす中心角を離角α5とする。
このとき、離角α3と離角α4との大小関係は、特に限定されず、離角α3と離角α4とが等しくてもよいが、好ましくは多少ずれるように設定する。例えば離角α3と離角α4との差|θ3−θ4|は、離角α5より小さいことが好ましく、離角α5の5%以上50%以下であることが好ましい。差|θ3−θ4|をこのように設定することにより、演算によって離角α5よりも小さい角度をも検出することができるようになるため、ローター2dの位置をより精度よく検出することができる。すなわち、各第3圧電振動体4C−Aから出力される7つの検出信号Ss1のうち、2つ以上を統合し、各第3圧電振動体4C−Aの相対位置の違いおよびそれに伴う各検出信号Ss1の周波数変化の違いを考慮することにより、第1実施形態に係る圧電駆動装置1に比べてローター2dの位置の角度分解能を高めることができる。また、多数の第3圧電振動体4Cを用いることにより、ローター2dのトルクを増加させることができる。その結果、ローター2dをより大きなトルクで駆動することができ、かつ、検出される位置の分解能も高い圧電駆動装置1dを実現することができる。
一方、第3圧電振動体4Cのフィードバック制御に用いる検出信号Ss2については、1つ検出信号Ss2を8つの第3圧電振動体4Cのフィードバック制御に共通して用いることができる。このため、第3圧電振動体4C−Bは少なくとも1つあればよい。
したがって、本変形例1では、第1圧電振動体4Aになる第3圧電振動体4C−Aの数が、第2圧電振動体4Bになる第3圧電振動体4C−Bの数よりも多くなるように、進行方向DRにおける位置検出用領域21の長さおよび進行方向DRにおける駆動制御用領域22の長さが設定されている。これにより、フィードバック制御の精度を低下させることなく、ローター2のトルクを増加させるとともに、ローター2の位置検出の分解能を高めることができる。
以上のような変形例1においても、前記第3実施形態と同様の効果が得られる。なお、圧電駆動装置1dが備える第3圧電振動体4Cの数は、特に限定されず、3つ以上7つ以下であってもよく、9つ以上であってもよい。
−変形例2−
次に、第3実施形態に変形例2について説明する。
図21は、第3実施形態の変形例2を示す平面図である。
次に、第3実施形態に変形例2について説明する。
図21は、第3実施形態の変形例2を示す平面図である。
以下、変形例2について説明するが、前述した第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図21において、前述した第3実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
変形例2では、被駆動体としてローターではなく直線状に延びるスライダーを用いるようにした以外、前述した第3実施形態と同様である。
図21に示す圧電駆動装置1eは、第3実施形態に係るローター2cに代えて、振動アクチュエーター3の駆動によって直線移動するスライダー2eを備えている。そして、スライダー2eは、その上面20に設けられた、位置検出用領域21と、駆動制御用領域22と、を備える。
図21に示す位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、それぞれ進行方向DRに延在する直線状をなしている。また、位置検出用領域21および駆動制御用領域22は、それぞれ進行方向DRと平行な線L上に配置され、かつ、線L上において互いにずれるように、交互に配置されている。したがって、上面20には、2つの位置検出用領域21と、2つの駆動制御用領域22とが、進行方向DRで交互に配置されている。
一方、本変形例2に係る圧電駆動装置1eは、2つの第3圧電振動体4Cを備えている。これらの第3圧電振動体4Cは、進行方向DRに並べて設けられている。そして、2つの第3圧電振動体4Cは、一方が第3圧電振動体4C−Aになるとき、同じタイミングで他方が第3圧電振動体4C−Bになるように設定されている。したがって、図21に示す圧電駆動装置1eでは、進行方向DRにおける位置検出用領域21長さおよび駆動制御用領域22の長さと、第3圧電振動体4C同士のピッチと、が等しく設定されている。これにより、一方の第3圧電振動体4Cが位置検出用領域21から駆動制御用領域22に移動するとき、同じタイミングで、他方の第3圧電振動体4Cが駆動制御用領域22から位置検出用領域21に移動することとなる。その結果、圧電駆動装置1eでは、常時、第1圧電振動体4Aと第2圧電振動体4Bが存在することになり、前述した効果を確実に得ることができる。
以上のような変形例2においても、前記第3実施形態と同様の効果が得られる。
以上のような変形例2においても、前記第3実施形態と同様の効果が得られる。
<第4実施形態>
図22は、第4実施形態に係るロボットを示す斜視図である。
図22は、第4実施形態に係るロボットを示す斜視図である。
図22に示すロボット1000は、精密機器やこれを構成する部品の給材、除材、搬送および組立等の作業を行うことができる。ロボット1000は、6軸ロボットであり、床や天井に固定されるベース1010と、ベース1010に回動自在に連結されたアーム1020と、アーム1020に回動自在に連結されたアーム1030と、アーム1030に回動自在に連結されたアーム1040と、アーム1040に回動自在に連結されたアーム1050と、アーム1050に回動自在に連結されたアーム1060と、アーム1060に回動自在に連結されたアーム1070と、これらアーム1020、1030、1040、1050、1060、1070の駆動を制御する制御装置1080と、を有する。
また、アーム1070にはハンド接続部が設けられており、ハンド接続部にはロボット1000に実行させる作業に応じたエンドエフェクター1090が装着される。また、各関節部のうちの全部または一部には圧電駆動装置1が搭載されており、この圧電駆動装置1の駆動によって各アーム1020、1030、1040、1050、1060、1070が回動する。なお、圧電駆動装置1は、エンドエフェクター1090に搭載され、エンドエフェクター1090の駆動に用いられてもよい。
制御装置1080は、コンピューターで構成され、例えば、CPUのようなプロセッサー、メモリー、インターフェース等を有する。そして、プロセッサーが、メモリーに格納されている所定のプログラムを実行することで、ロボット1000の各部の駆動を制御する。なお、前記プログラムは、インターフェースを介して外部のサーバーからダウンロードされたものであってよい。また、制御装置1080の構成の全部または一部は、ロボット1000の外部に設けられ、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信網を介して接続された構成となっていてもよい。
このようなロボット1000は、前述したように、圧電駆動装置1を備えている。
このようなロボット1000は、前述したように、圧電駆動装置1を備えている。
すなわち、本実施形態に係るロボット1000は、進行方向DRに延在し、表面状態が進行方向DRで変化している位置検出用領域21と、進行方向DRに延在し、位置検出用領域21とは異なる駆動制御用領域22と、を備える被駆動体であるローター2と、振動する第1振動部41Aおよび第1振動部41Aに配置され位置検出用領域21に当接する第1先端部44Aを備える第1圧電振動体4Aと、振動する第2振動部41Bおよび第2振動部41Bに配置され駆動制御用領域22に当接する第2先端部44Bを備え、第2振動部41Bが振動することによりローター2を駆動する第2圧電振動体4Bと、ローター2の位置を検出する位置検出部74と、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する駆動制御部73と、を有する圧電駆動装置1を備えている。そして、第1圧電振動体4Aは、第1振動部41Aの振動状態に応じた第1信号として検出信号Ss1を出力し、第2圧電振動体4Bは、第2振動部41Bの振動状態に応じた第2信号として検出信号Ss2を出力する。また、位置検出部74は、検出信号Ss1に基づいて、ローター2の位置を検出し、駆動制御部73は、検出信号Ss2に基づいて、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する。
このようなロボット1000によれば、1つの圧電駆動装置1において、別途エンコーダーを用いることなくローター2の位置を検出しつつ、一方、ローター2の位置の検出に用いた検出信号Ss1とは異なる検出信号Ss2をフィードバックして第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御することができる。このため、高精度かつ安定した駆動が可能で小型化も容易なロボット1000が得られる。
なお、ロボット1000は、圧電駆動装置1に代えて、圧電駆動装置1a、1b、1c、1d、1eのいずれか1つを備えていてもよい。
<第5実施形態>
図23は、第5実施形態に係るプリンターの全体構成を示す概略図である。
図23は、第5実施形態に係るプリンターの全体構成を示す概略図である。
図23に示すプリンター3000は、装置本体3010と、装置本体3010の内部に設けられている印刷機構3020、給紙機構3030および制御装置3040と、を備えている。また、装置本体3010には、記録用紙Pを設置するトレイ3011と、記録用紙Pを排出する排紙口3012と、液晶ディスプレイ等の操作パネル3013とが設けられている。
印刷機構3020は、ヘッドユニット3021と、キャリッジモーター3022と、キャリッジモーター3022の駆動力によりヘッドユニット3021を往復動させる往復動機構3023と、を備えている。また、ヘッドユニット3021は、インクジェット式記録ヘッドであるヘッド3021aと、ヘッド3021aにインクを供給するインクカートリッジ3021bと、ヘッド3021aおよびインクカートリッジ3021bを搭載したキャリッジ3021cと、を有する。
往復動機構3023は、キャリッジ3021cを往復移動可能に支持しているキャリッジガイド軸3023aと、キャリッジモーター3022の駆動力によりキャリッジ3021cをキャリッジガイド軸3023a上で移動させるタイミングベルト3023bと、を有する。また、給紙機構3030は、互いに圧接している従動ローラー3031および駆動ローラー3032と、駆動ローラー3032を駆動する圧電駆動装置1と、を有する。
このようなプリンター3000では、給紙機構3030が記録用紙Pを一枚ずつヘッドユニット3021の下部近傍へ間欠送りする。このとき、ヘッドユニット3021が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行われる。
制御装置3040は、コンピューターで構成され、例えば、CPUのようなプロセッサー、メモリー、インターフェース等を有する。そして、プロセッサーが、メモリーに格納されている所定のプログラムを実行することで、プリンター3000の各部の駆動を制御する。このような制御は、例えば、インターフェースを介して外部から入力された印刷データに基づいて実行される。なお、前記プログラムは、インターフェースを介して外部のサーバーからダウンロードされたものであってもよい。また、制御装置3040の構成の全部または一部は、プリンター3000の外部に設けられ、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信網を介して接続された構成となっていてもよい。
このようなプリンター3000は、前述したように、圧電駆動装置1を備えている。
このようなプリンター3000は、前述したように、圧電駆動装置1を備えている。
すなわち、本実施形態に係るプリンター3000は、進行方向DRに延在し、表面状態が進行方向DRで変化している位置検出用領域21と、進行方向DRに延在し、位置検出用領域21とは異なる駆動制御用領域22と、を備える被駆動体であるローター2と、振動する第1振動部41Aおよび第1振動部41Aに配置され位置検出用領域21に当接する第1先端部44Aを備える第1圧電振動体4Aと、振動する第2振動部41Bおよび第2振動部41Bに配置され駆動制御用領域22に当接する第2先端部44Bを備え、第2振動部41Bが振動することによりローター2を駆動する第2圧電振動体4Bと、ローター2の位置を検出する位置検出部74と、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する駆動制御部73と、を有する圧電駆動装置1を備えている。そして、第1圧電振動体4Aは、第1振動部41Aの振動状態に応じた第1信号として検出信号Ss1を出力し、第2圧電振動体4Bは、第2振動部41Bの振動状態に応じた第2信号として検出信号Ss2を出力する。また、位置検出部74は、検出信号Ss1に基づいて、ローター2の位置を検出し、駆動制御部73は、検出信号Ss2に基づいて、第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御する。
このようなプリンター3000によれば、1つの圧電駆動装置1において、別途エンコーダーを用いることなくローター2の位置を検出しつつ、一方、ローター2の位置の検出に用いた検出信号Ss1とは異なる検出信号Ss2をフィードバックして第1圧電振動体4Aおよび第2圧電振動体4Bの振動を制御することができる。このため、高精度かつ安定した駆動が可能で小型化も容易なプリンター3000が得られる。
なお、本実施形態では、圧電駆動装置1が給紙用の駆動ローラー3032を駆動しているが、この他にも、例えば、キャリッジ3021cを駆動してもよい。
また、プリンター3000は、圧電駆動装置1に代えて、圧電駆動装置1a、1b、1c、1d、1eのいずれか1つを備えていてもよい。
以上、本発明の圧電駆動装置およびロボットを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
1…圧電駆動装置、1a…圧電駆動装置、1b…圧電駆動装置、1c…圧電駆動装置、1d…圧電駆動装置、1e…圧電駆動装置、2…ローター、2a…スライダー、2b…ローター、2c…ローター、2e…スライダー、3…振動アクチュエーター、4…振動体、4A…第1圧電振動体、4B…第2圧電振動体、4C…第3圧電振動体、4C−A…第3圧電振動体、4C−B…第3圧電振動体、5…付勢部材、6A…圧電素子、6B…圧電素子、6C…圧電素子、6D…圧電素子、6E…圧電素子、6F…圧電素子、6G…圧電素子、7…制御装置、20…上面、21…位置検出用領域、22…駆動制御用領域、23…側面、41…振動部、41A…第1振動部、41B…第2振動部、41C…第3振動部、42…支持部、43…接続部、44…先端部、44A…第1先端部、44B…第2先端部、44C…第3先端部、51…第1基板、52…第2基板、53…間座、59…貫通孔、60…圧電素子ユニット、60A…圧電素子、60B…圧電素子、60C…圧電素子、60D…圧電素子、60E…圧電素子、60F…圧電素子、60G…圧電素子、61…基板、63…保護層、69…接着剤、71…検出信号処理部、72…駆動信号生成部、73…駆動制御部、74…位置検出部、210…溝、211…第1領域、212…第2領域、512…支持部、513…ばね部、522…支持部、601…第1電極、602…圧電体、603…第2電極、604…第3電極、606…第4電極、711…検出パルス信号生成部、712…位相差取得部、720…制御値生成部、721A…第1PWM信号生成部、721B…第2PWM信号生成部、722A…第1駆動波形生成部、722B…第2駆動波形生成部、741…検出パルス信号生成部、742…位相差取得部、743…位置算出部、1000…ロボット、1010…ベース、1020…アーム、1030…アーム、1040…アーム、1050…アーム、1060…アーム、1070…アーム、1080…制御装置、1090…エンドエフェクター、3000…プリンター、3010…装置本体、3011…トレイ、3012…排紙口、3013…操作パネル、3020…印刷機構、3021…ヘッドユニット、3021a…ヘッド、3021b…インクカートリッジ、3021c…キャリッジ、3022…キャリッジモーター、3023…往復動機構、3023a…キャリッジガイド軸、3023b…タイミングベルト、3030…給紙機構、3031…従動ローラー、3032…駆動ローラー、3040…制御装置、6021…下面、6022…上面、7211A…信号生成部、7211B…信号生成部、7212A…信号生成部、7212B…信号生成部、7213A…信号生成部、7213B…信号生成部、7221A…波形生成部、7221B…波形生成部、7222A…波形生成部、7222B…波形生成部、7223A…波形生成部、7223B…波形生成部、A1…矢印、A2…矢印、B1…矢印、B2…矢印、DR…進行方向、L…線、O…回転軸、P…記録用紙、Pd…駆動パルス信号、Ps1…検出パルス信号、Ps2…検出パルス信号、Sd…駆動信号、Ss1…検出信号、Ss2…検出信号、V1…交番電圧、V2…交番電圧、V3…交番電圧、α1…中心角、α2…離角、α3…離角、α4…離角、α5…離角
Claims (11)
- 進行方向に延在し、前記進行方向で異なる表面状態を有している位置検出用領域と、前記進行方向に延在し、前記位置検出用領域とは異なる駆動制御用領域と、を備える被駆動体と、
振動する第1振動部、および、前記第1振動部に配置され前記位置検出用領域に当接する第1先端部を備え、前記第1振動部の振動状態に応じた第1信号を出力する第1圧電振動体と、
振動する第2振動部、および、前記第2振動部に配置され前記駆動制御用領域に当接する第2先端部を備え、前記第2振動部の振動により前記被駆動体を駆動し、前記第2振動部の振動状態に応じた第2信号を出力する第2圧電振動体と、
前記被駆動体の位置を検出する位置検出部と、
前記第1圧電振動体および前記第2圧電振動体の振動を制御する駆動制御部と、
を有し、
前記位置検出部は、前記第1信号に基づいて、前記被駆動体の位置を検出し、
前記駆動制御部は、前記第2信号に基づいて、前記第1圧電振動体および前記第2圧電振動体の振動を制御することを特徴とする圧電駆動装置。 - 前記位置検出用領域は、第1領域と、
前記進行方向において前記第1領域に隣り合って設けられ、前記表面状態である表面硬度が前記第1領域とは異なる第2領域と、を有する請求項1に記載の圧電駆動装置。 - 前記位置検出用領域は、第1領域と、
前記進行方向において前記第1領域に隣り合って設けられ、前記表面状態である表面粗さが前記第1領域とは異なる第2領域と、を有する請求項1に記載の圧電駆動装置。 - 前記位置検出用領域および前記駆動制御用領域は、前記進行方向と直交する直交方向において互いにずれている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圧電駆動装置。
- 前記進行方向は、円弧に沿っており、
前記位置検出用領域は、前記駆動制御用領域よりも前記円弧の外側に位置している請求項4に記載の圧電駆動装置。 - 前記進行方向は、円弧に沿っており、
前記駆動制御用領域は、前記位置検出用領域よりも前記円弧の外側に位置している請求項4に記載の圧電駆動装置。 - 前記位置検出用領域および前記駆動制御用領域は、前記進行方向に延在する互いに同じ線上で、かつ互いに前記進行方向にずれた位置に設けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧電駆動装置。
- 前記進行方向に並べて設けられ、時分割で前記第1圧電振動体または前記第2圧電振動体のいずれかになる第3圧電振動体を複数有し、
前記位置検出部は、前記第3圧電振動体が前記位置検出用領域に位置するとき、前記第3圧電振動体を前記第1圧電振動体として制御し、
前記駆動制御部は、前記第3圧電振動体が前記駆動制御用領域に位置するとき、前記第3圧電振動体を前記第2圧電振動体として制御し、
前記位置検出用領域および前記駆動制御用領域は、前記第1圧電振動体になる前記第3圧電振動体、および、前記第2圧電振動体になる前記第3圧電振動体の双方が存在するように設定されている請求項7に記載の圧電駆動装置。 - 前記第1圧電振動体になる前記第3圧電振動体の数が、前記第2圧電振動体になる前記第3圧電振動体の数よりも多くなるように、前記進行方向における前記位置検出用領域の長さおよび前記進行方向における前記駆動制御用領域の長さが設定されている請求項8に記載の圧電駆動装置。
- 前記第2振動部は、伸縮振動および屈曲振動を行い、
前記第1振動部は、伸縮振動を行う請求項1ないし9のいずれか1項に記載の圧電駆動装置。 - 圧電駆動装置を備えるロボットであって、
前記圧電駆動装置は、
進行方向に延在し、表面状態が前記進行方向で変化している位置検出用領域と、前記進行方向に延在し、前記位置検出用領域とは異なる駆動制御用領域と、を備える被駆動体と、
振動する第1振動部、および、前記第1振動部に配置され前記位置検出用領域に当接する第1先端部を備え、前記第1振動部の振動状態に応じた第1信号を出力する第1圧電振動体と、
振動する第2振動部、および、前記第2振動部に配置され前記駆動制御用領域に当接する第2先端部を備え、前記第2振動部の振動により前記被駆動体を駆動し、前記第2振動部の振動状態に応じた第2信号を出力する第2圧電振動体と、
前記被駆動体の位置を検出する位置検出部と、
前記第1圧電振動体および前記第2圧電振動体の振動を制御する駆動制御部と、
を有し、
前記位置検出部は、前記第1信号に基づいて、前記被駆動体の位置を検出し、
前記駆動制御部は、前記第2信号に基づいて、前記第1圧電振動体および前記第2圧電振動体の振動を制御することを特徴とするロボット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018223231A JP2020089161A (ja) | 2018-11-29 | 2018-11-29 | 圧電駆動装置およびロボット |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018223231A JP2020089161A (ja) | 2018-11-29 | 2018-11-29 | 圧電駆動装置およびロボット |
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JP2020089161A true JP2020089161A (ja) | 2020-06-04 |
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JP2018223231A Pending JP2020089161A (ja) | 2018-11-29 | 2018-11-29 | 圧電駆動装置およびロボット |
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JP (1) | JP2020089161A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113872465A (zh) * | 2020-06-30 | 2021-12-31 | 精工爱普生株式会社 | 压电驱动装置、压电电机以及机器人 |
-
2018
- 2018-11-29 JP JP2018223231A patent/JP2020089161A/ja active Pending
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