JP2005057846A - モータ駆動システム及びエレベータ駆動システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブレーカ10の遮断電流をモータ5の定格容量よりも小さくし、蓄電池12への充電要求を電源電流実効値指令isr1*に換算し、この指令値をリミッタ163でブレーカ10の遮断電流よりも小さく制限する。電源電流isを、この電源電流指令値となるように、DC/DCコンバータ11を制御する。この結果、正常時は電源電流実効値制御によって、また異常時はブレーカ10によって、確実に電源1からの最大電力を制限する。
【効果】受電設備容量を低減でき、その省スペース化と低コスト化を図り、また、契約電力値を低減でき、電気代の低減を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ駆動システムに係り、特に蓄電池等のエネルギー蓄積装置を利用して、商用電源から見た負荷電力の平準化を図るモータ駆動システム及びエレベータ駆動システムの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータ駆動システムの具体例として、ここではエレベータ駆動システムを採り挙げる。現行の中低速クラスの普及型エレベータシステムでは、モータが回生運転時(位置エネルギーが電気エネルギーへ戻るとき)において、モータからの回生電力を抵抗で消費している。これに対して、省エネルギー化を図るため、充放電が可能な蓄電池(二次電池とも呼ばれる)を利用して、蓄電池に回生電力を蓄え、必要時にモータ側へ放電するシステムが検討されている。特に、蓄電池を利用して商用電源からの最大電力を制限し、エレベータにかかる電力使用料を低減しようという方法が、特許文献1に開示されている。具体的には、「商用電源から電力蓄積装置への充電は、商用電源から供給される電力に対して、電流値や電圧値を制限した電力制限値をもって、例えば1KW以内になるように制御して、電力蓄積装置に充電する。」としている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−187676号公報(特に段落0038〜0039)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1においては、電力蓄積装置を利用することによって、商用電源から受電する最大電力を抑制することは可能であるが、次の2つの課題がある。
【0005】
1)受電設備容量の低減が難しい。
【0006】
2)負荷設備容量を基準に契約電力値を定める契約の場合、契約電力値(kW)を低減することが難しく、電力料の節約が十分にできない。
【0007】
以下、それぞれの課題について説明する。
【0008】
まず、1)の受電設備容量の低減が難しい点は次のようになる。特許文献1で提示されたエレベータの制御装置によって最大電力を抑制した場合、それに合わせて受電設備(例えば電線、分電盤等)の容量を低減させて受電設備の省スペース化やコスト低減を図ることが望まれる。しかし、最大負荷、例えばエレベータの重負荷上昇運転を担うモータ容量は大きいままである。このため、例えば、制御系を含めた電力蓄積装置の電力吸収及び供給能力に異常が生じた場合、大きな電流が流れてしまい、低容量とした受電設備を壊しかねない。従って、このままでは受電設備容量の低減は難しい。
【0009】
次に、2)の契約電力値(kW)を下げることが難しい点は次のようになる。特許文献1のエレベータの制御装置によって最大電力を抑制した場合でも、エレベータを駆動するモータの定格容量は、電力蓄積装置を設置しない場合と何ら変わらない。したがって、負荷設備容量(機器定格容量を基準に算出)を基準に契約電力値を定めるような契約に対しては、契約電力値は変わらず、電気料を下げることは難しい。
【0010】
本発明の目的は、受電設備容量を下げて、受電設備の低コスト化及び省スペース化を図るとともに、電気料の節約を図ることができるモータ駆動システム及びエレベータ駆動システムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エネルギー蓄積手段を備え、通常の運転においてモータに流入する電力つまりモータ定格容量よりも、小さい定格容量をもつブレーカやヒューズ等の電流遮断手段を、モータ駆動システムの受電部に備えることを特徴とする。
【0012】
このように構成することによって、エレベータの重負荷上昇のように通常の運転において最大の電力を必要とするケースにおいても、ブレーカ等で制限された電源電流と、電池等のエネルギー蓄積手段からの放電電流とで賄い切る。このとき、エネルギー蓄積手段の電力吸収能力及び電力供給能力に異常が生じた場合でも、受電電流を、ブレーカ等の電流遮断手段によってその遮断電流未満に抑制することができる。このため、この遮断電流で決る受電設備容量を、モータの定格容量未満に抑制し、これに応じて契約電力値(kW)を設定することができ、電気料の節約、受電設備の低コスト化及び省スペース化を図ることができる。
【0013】
このとき、ブレーカ等の電流遮断手段の電流容量を、モータ定格容量よりも小さく設定するので、正常時には、確実に、電源電流を制限してブレーカ等の電流遮断手段を動作させない制御が必要となる。
【0014】
そこで、本発明の他の特徴とするところは、蓄電池等のエネルギー蓄積手段への充電要求を実効値ベースの電源電流指令値に換算し、この指令値をブレーカの定格電流値よりも小さくなるように制限し、制限後の実効値ベースの電源電流指令値と、実効値ベースの電源電流検出値とを電流制御手段でフィードバック制御することである。
【0015】
ブレーカの動作判定は電源電流の実効値を基にして決るので、電源電流の実効値がブレーカの定格電流値を超えたときブレーカが動作する。従って、電源電流を実効値ベースでフィードバック制御するようにして、その制御指令を常にブレーカの定格電流より小さい値に制限すれば、ブレーカを動作させないように確実に電源電流を制御できるのである。この結果、電源電流の実効値は、常に、蓄電池側が要求する、ブレーカの定格電流値よりも小さい適正値に制御できる。言い換えると、正常時には、制御によって確実に、電源電流を制御してブレーカを動作させないことが可能となる。
【0016】
このように、確実に電源からの最大電力を制限して受電設備の容量低減を図ることができ、かつ、負荷設備容量を基準に契約電力値を定めるような契約に対しても契約電力費を低減できるモータ駆動システムを実現することができる。
【0017】
また、本発明のさらに他の特徴とするところは、電流遮断手段に代えて、その遮断電流と同レベルの限流値をもつ限流器を使用することである。これによっても前述同様の作用効果を達成することが可能である。
【0018】
本発明によるその他の目的と特徴は、以下の実施形態の説明で明らかにする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるモータ駆動システムの構成図を示しており、エレベータシステムに適用した例を表している。システム中のモータ駆動部の基本構成から説明する。商用電源である交流電源1からの3相交流電力を、ダイオード整流器2によって直流電力に変換する。このダイオード整流器2で変換された直流電力を平滑コンデンサ3で平滑し、その直流電力をPWM(Pulse Width Modulation)インバータ4によって可変電圧・可変周波数の3相交流電力に変換する。このPWMインバータ4は、可変電圧・可変周波数の3相交流電力を交流モータ5に供給し、可変速駆動する。エネルギー蓄積装置としての蓄電池12は、充放電回路(DC/DCコンバータや昇降圧チョッパ)11を介して、平滑コンデンサ3との間に接続され、この充放電回路11は制御装置16で制御される。充放電回路(以下、DC/DCコンバータと略記)11は、制御装置16の制御指令に従って、直流電力を蓄電池12へ充電させたり、蓄電池12に充電された電力を直流回路(平滑コンデンサ)3側へ放電させたりする。エレベータ装置の駆動系は、綱車6、ロープ7、エレベータかご8、釣合い錘9で構成され、交流モータ5によって、ロープ7両端のエレベータかご8と釣合い錘9を昇降移動させることができる。
【0021】
エネルギー蓄積系の要素について、説明を補足する。まず、DC/DCコンバータ11は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やトランジスタなどのスイッチング要素で構成され、スイッチング作用によって直流電力の流れを双方向に制御することができる。蓄電池12には、鉛蓄電池、シール鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、レドックスフロー電池、NaS電池のような2次電池や電気二重層コンデンサ、燃料電池などを採用できる。制御装置16は、DC/DCコンバータ11のスイッチング要素に制御指令(ゲート指令)を与えて電力の流れを制御する。この結果、蓄電池12に対する充電電力及び放電電力を制御することができる。
【0022】
電流遮断手段としてのブレーカ10は、図1に示すように、モータ駆動システムの受電側(入力側)に備えられる。所定の定格電流値(遮断電流値)が定められており、定格を超える電流が所定の時間以上継続して流れると、接点を切り離して、電気的に回路を切離す働きをもっている。この遮断電流値は、モータ5の定格電流より十分に小さく、例えば、1/4以下に設定される。この実施形態では、電流遮断手段すなわち遮断器(ブレーカやヒューズ)10を採用する例を説明するが、限流器等の限流手段であっても、本発明の作用効果を達成できる。限流器の場合、定格を超える電流が流れると、通流部のインピーダンスが高くなるなどして、電流値を制限する働きをもっている。
【0023】
次に、制御装置16の処理について説明する。制御装置16は、次の3つの制御機能をもつ。すなわち上位レベルの制御機能から、1)電源から入力する電流(以下、電源電流と呼ぶ)を制御する機能、2)平滑コンデンサ3の直流電圧を制御する機能、3)蓄電池12の電流を制御する機能である。これら3つの機能を組合せることで、次の3つの制御を実現できる。すなわち、▲1▼電源1から蓄電池12を充電する制御、▲2▼交流モータ5の駆動時(力行時)に蓄電池12から放電してモータに電力を供給する制御、▲3▼交流モータ5の回生時(制動時)に蓄電池12に回生電力を充電する制御である。制御装置16における大きな特徴は、電源1からの電源電流を制御する処理系にあり、具体的には、ブレーカや限流器10の遮断電流や限流値に達することが無いように、実効値ベースでの電流フィードバック制御を実行する。すなわち、その制御指令値(電源電流指令値)は、ブレーカや限流器10の遮断電流(定格電流)や限流値より小さく制限している。以下、制御装置16の具体的な処理について詳細に説明する。
【0024】
充電電流指令設定回路161では、蓄電池12の端子電圧Vbと時刻情報tから、その時刻と充電状態に応じた適切な蓄電池への充電電流指令Ic*を設定する。蓄電池12の端子電圧Vbは充電量に応じて変化するため、端子電圧Vbを検出することで充電量を推定することができる。例えば、深夜でモータ5が殆ど休止状態にあり、かつ充電量が低い場合(Vbが低い場合)には、Ic*を大きな値に設定し、逆に充電量が高い場合(Vbが高い場合)には、Ic*を小さな値に設定するような方法が考えられる。また、モータが頻繁に稼働する日中に充電を停止させる場合には、時刻情報tから判別してIc*を零に設定すればよい。さらに、端子電圧Vbではなく、出力電流Ibを検出してその積算値から充電量を算出することも可能である。この場合、蓄電池電流検出値Ibを充電電流指令設定回路161に入力させ、Ibを積算して、その積算値と時刻情報tから、その時刻と充電状態に応じた適切な蓄電池への充電電流指令Ic*を設定する。また、蓄電池12の温度情報を入力して、温度情報により端子電圧Vbを補正して、より正確に充電量を推定するようにしてもよい。
【0025】
電源電流実効値変換回路162では、蓄電池12に対する充電電流指令Ic*を電源電流(交流電流)に対する実効値に変換して、実効値ベースの電源電流指令isr1*を算出する。これは、電池側の充電要求を電源側の電流値に変換するインターフェースの役割を果たすと考えればよい。充電電流指令Ic*から電源電流指令isr1*への変換式は次式のようになる。
【0026】
isr1*=K1・Ic* (1)
ここで、K1は定数で、その値は(2)式により求めることができる。
【0027】
K1=Vb0/(3・vsr0・cosθ) (2)
(2)式において、Vb0は蓄電池12の端子電圧の定格値、vsr0は電源側相電圧の定格値、cosθはダイオード整流器2の力率を表している。以下、(1),(2)式について説明する。エレベータが停止しており、かつ蓄電池12への充電時には、電源1からダイオード整流器2に入力する電力と、蓄電池12へ入力する電力とが一致する。従って(3)式が成り立つ。
【0028】
3・vsr・isr・cosθ=Vb・Ic (3)
ここで、vsrは電源側の相電圧(実効値)、isrは電源側の電流(実効値)、Vbは蓄電池12の端子電圧、Icは蓄電池12への充電電流を表している。(3)式を基にして、isrを指令値isr1*、Icを指令値Ic*に置換え、vsrを定格電圧vsr0、Vbを定格電圧Vb0で近似すると、(1)式、(2)式を導くことができる。(1)式を用いることにより、定数を乗ずるだけの簡単な演算で、蓄電池への充電電流指令Ic*から実効値ベースの電源電流指令isr1*を求めることができる。また、蓄電池12の端子電圧Vbは既に検出しているため、Vb0の代わりに検出値Vbを用いてもよい。この場合はより精度良くisr1*を求めることができる。
【0029】
電源電流指令リミッタ回路163では、isr1*を上限値以下に制限する。この上限値は、ブレーカ10が動作する電流レベル、即ちブレーカの定格電流値を基に決められる。isr1*は、あくまで蓄電池側が要求する電源電流指令であり、この回路によってブレーカを動作させないように、isr1*の値を制限させている。電源電流指令リミッタ回路163の出力は、新たに電源電流指令isr2*となる。電源電流指令リミッタ回路163の詳細は後述する。
【0030】
実効値演算回路164では、電流センサ13によって検出した電源電流検出値(交流量の瞬時値)isを実効値isrに変換する。その変換式は(4)式のようになる。
【0031】
isr=√{(1/T)・∫(is2)dt} (4)
(4)式において、Tは電源電流の基本波成分の周期(例えば50Hzの電源系の場合、T=20ms)を表し、また積分区間は周期Tの時間幅で取る。実際にはディジタル演算によってなされるため、積分はΣ(シグマ)を用いた和の演算に置き換えられ、(5)式のような変換式となる。
【0032】
isr=√{(1/T)・Σ(is2)Δt} (5)
ここで、Δtはサンプリング時間を表している。(5)式に示した変換式は平方根演算を含むため、演算処理に時間がかかる。そこで、簡素化した(6)式または(7)式を用いて実効値を演算してもよい。
【0033】
isr=K2・Σ(is2) (6)
isr=K3・Σ{|is|} (7)
(6)式、(7)式において、K2とK3は所定の定数を表している。(6)、(7)式を用いた場合、演算処理に要する時間を短縮することができる。(7)式は、移動平均フィルタと見なすこともでき、同様に考えると、例えば(8)式のような1次遅れフィルタ(TLはフィルタの時定数)を使用してもよい。
【0034】
isr={1/(1+TL・s)}・|is| (8)
電流制御手段としての電源電流制御回路165は、実効値ベースの電源電流指令値isr2*と、実効値ベースの電源電流検出値isrとを用いて、両者を一致させるように電流フィードバック制御を実行する。その結果、isr2*とisrとを一致させるような直流電圧指令Vdc*が算出される。
【0035】
図2は、電源電流制御回路165の詳細構成図である。差分器1651において、isr2*とisrの偏差が算出され、比例積分制御器1652において、この偏差を零にするような比例積分制御が実行される。比例積分制御器1652の出力は直流電圧指令Vdc*となる。このように、電源電流制御回路165では実効値ベースで電源電流に対するフィードバック制御が実行されるため、電源電流の実効値を制御指令に一致するように制御できる。
【0036】
直流電圧制御回路166では、指令値Vdc*と、電圧センサ14により検出された直流電圧検出値Vdcとを一致させるような電池電流指令Ib*が算出される。具体的には、直流電圧指令Vdc*と直流電圧検出値Vdcの偏差が取られ、この偏差を零にするように比例積分制御が実行される。この比例積分制御の結果が充放電電流指令Ib*となる。
【0037】
電池電流制御回路167では、電流指令Ib*と、電流センサ15により検出された電池電流検出値Ibとを一致させるように、DC/DCコンバータ電圧指令Vx*が算出される。具体的には、電流指令Ib*と電流検出値Ibの偏差が取られ、この偏差を零にするように比例積分制御が実行される。この比例積分制御の結果が電圧指令Vx*となる。
【0038】
PWM制御回路168では、DC/DCコンバータ電圧指令Vx*をパルス幅変調して、ゲート指令G*に変換する。ゲート指令G*は、DC/DCコンバータ11に送られ、DC/DCコンバータのスイッチング素子を駆動する。
【0039】
以下、制御装置16によるシステムの充電動作と放電動作について説明する。
【0040】
まず、交流電源1から蓄電池12へ充電する場合、制御装置16の作用は次のようになる。充電電流指令設定回路161から、Ic*>0を満たす値をもつ充電電流指令Ic*が出力され、電源電流実効値変換回路162にて、実効値ベースの電源電流指令isr1*に変換される。この電流指令isr1*は、電源電流指令リミッタ回路163で上限が制限された後、電流指令isr2*として電源電流制御回路165へ送られる。電源電流制御回路165では、電流指令isr2*と一致する電源電流(実効値ベース)isrを流すように、直流電圧Vdcを上下させるような電圧指令Vdc*が算出される。ここで、直流電圧Vdcが下がると、電源1の電圧と直流回路の電圧Vdcとの間に電圧差が生じ、電源1からダイオード整流器2を介して直流回路側へ電流が流入するようになる。直流電圧指令Vdc*は、直流電圧制御回路166に送られる。直流電圧制御回路166では、電圧指令Vdc*に一致するように直流電圧Vdcを上下させるための電池電流指令Ib*が算出される。電池電流指令Ib*は、結果的に充電電流指令Ic*に一致する。電池電流指令Ib*は電池電流制御回路167に指令として送られる。電池電流制御回路167では、電池電流指令Ib*と一致するように充電方向に電池電流Ibを流すために、蓄電値12の電圧に対して高めの値となるDC/DCコンバータ電圧指令Vx*を算出する。Vx*はPWM制御回路167でゲート信号G*に変換されて、電圧指令Vx*と一致するDC/DCコンバータ電圧Vxを出力するように、DC/DCコンバータ11が駆動される。コンバータ電圧Vxが電圧指令Vx*に一致すると、Vxと電池電圧との電圧差により、充電方向でIb*と一致するようなIbが流れて、蓄電池12が充電される。Ibに充電方向の電流が流れるため、平滑コンデンサ3の静電エネルギーは減少し、直流電圧Vdcも減少し、電圧指令Vdc*と一致するようになる。VdcがVdc*に一致すると、電源電圧とVdcとの電圧差により、希望する電源電流指令isr2*に一致する電源電流(実効値)isrが電源側から流入し、この電流はそのまま蓄電池12に充電されるようになる。
【0041】
この実施形態では、常に、電池12の電圧に応じて、充電電流指令Ic*を作り、これを電源電流実効値指令isr1*に変換している。したがって、電池12の充電量が十分であれば、この電源電流実効値指令isr1*は極めて小さいと言える。しかし、エレベータが運転中には、モータ5は、その最大(リミット)値isr2*よりもはるかに大きな電流を必要としている場合が多く、電源1からの入力電流を制限しながら、電池12からの放電でこの大きな電力を賄うことになる。そして、電池残量が減ってきて初めて、実効値指令isr1*は増え始める。この間は、負荷が電力を必要とするタイミングであるにもかかわらず、電源1から負荷への直接の給電を制限しており、負荷に対しては、必ず電池12に一旦蓄えた電力のみを供給することを意味する。これは、変換効率を考えると、必ずしも得策ではない。そこで、図示はしないが、例えば、平滑コンデンサ3からインバータ4側へ流れる電流を検出して、電源電流の実効値指令isr1*を補正するようにすれば、遮断電流の範囲内で電源1からも加勢させ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0042】
さて次に、交流モータ5を駆動する場合、蓄電池12からモータ5へ電力を供給する制御は次のようにして実行される。交流モータ5を駆動(力行状態とする)するために、PWMインバータ4は必要な電力をモータ側へ供給する。この結果、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが減少する。Vdcが下がるため、直流電圧制御回路166において、VdcをVdc*に引き上げるための、放電方向のIb*が算出される。Ib*は指令値として電池電流制御回路167に入力し、電池電流制御回路167では、Ib*に従って放電方向にIbを流そうとするため、蓄電池電圧に対して低い値となるDC/DCコンバータ電圧指令Vx*が算出される。Vx*はPWM制御回路168でゲート信号G*に変換される。そして、Vx*に一致するDC/DCコンバータ電圧Vxを出力するように、DC/DCコンバータ11が駆動される。その結果、Vxと電池電圧との電圧差(Vxの方が低い)により、蓄電池12から電力が放電されてモータ側へ供給された電力を補うため、直流電圧Vdcは指令値Vdc*へと回復する。このようにして、交流モータ駆動時には、蓄電池12からモータへ電力が供給される。
【0043】
次に、モータ駆動システムに対する負荷平準化の考え方について説明する。以下では、モータ駆動システムとして、エレベータシステムを例に採って説明する。
【0044】
図3は、エレベータシステムに対する負荷平準化の考え方を示す電流波形図である。図3(イ)は、通常のエレベータシステムの電源電流波形を表し、横軸が時間(例えば30分程度)、縦軸が電源電流値を表している。このグラフから分かるように、エレベータシステムは典型的な間欠性の負荷であり、稼働時間よりも休止時間の方がより長くなっている。これはマンションやアパートなどの集合住宅のエレベータでは特に顕著であり、朝の通勤時と夕方の帰宅時以外はあまりエレベータが使われないことによる。一方、エレベータシステムは人間を何人も載せて上に運ぶため、大きなモータが必要であり、これを駆動するために、図3(イ)の電流ピークに対応する定格電流値は大きくなる。
【0045】
図3(ロ)の波形は、仮に図3(イ)の電源電流波形を平準化した場合の波形を表している。図3(イ)の電流波形の面積(時間積分)と図3(ロ)の電流波形の面積(時間積分)は等しい。つまり両者の使用電力量は等しい。エレベータシステムは間欠性負荷のため、図3(ロ)のように、負荷平準化を図ることができれば、電流ピーク値を大きく低減できることになる。これが負荷平準化のメリットである。尚、この負荷平準化を実現するためには、電力を一旦蓄えるバッファが必要であり、蓄電池がこの役割を実行する。
【0046】
図3に示すような負荷平準化により電源電流のピーク値を大きく下げることによって、受電設備(電力線、受電盤、端子台等)の設備容量を大きく低減したり、電気代中の契約電力費を大きく低減できる可能性が生まれる。
【0047】
本実施形態では、モータ駆動システムの電源側に負荷平準化で低減させた最大電流値(実効値)に等しい定格電流値をもつブレーカ10を設置する。実際には余裕を持たせるため、ブレーカの定格電流は低減後の最大電流値(実効値)よりもやや大きい値とする。この結果、仮に蓄電池に異常が生じて、モータの電力を電源側から供給するような事態になっても、ブレーカが即座に引外し動作をして、モータ駆動システムを電気的に切り離すため、受電設備は保護される。つまり、ブレーカ10によって異常時は確実に最大電流を制限できるため、受電設備の容量を低減することができる。
【0048】
契約電力費については、「新版電気供給約款の理論と実際」、電気供給約款研究会編著、社団法人日本電気協会新聞部発行(平成8年8月30日初版発行)に詳細が記述されている。概要をまとめると、契約電力費は契約電力値に比例して決められその契約電力値は実測によって決められる場合(実量ベース)と負荷機器の定格電力によって決められる場合の2通りがある。後者の場合、電力供給を受ける各負荷機器の定格電力値の総和が契約電力値になる(実際には補正係数が乗じられたりする)。したがって、ブレーカの定格電流値(もしくは定格容量値)を基準にして、その機器に関する契約電力値を設定できる。このため、負荷平準後の最大電流に合わせ、モータ定格よりも小さい定格のブレーカ10を設置することで、契約電力値を下げることができる。
【0049】
ところで、ブレーカの定格容量を下げるということは、正常な動作状態においてもブレーカが動作しやすくなる。従って、正常時には電源電流の実効値を確実にブレーカの定格容量以下に制御することが必要になる。
【0050】
そこで、本実施形態では前述したように、実効値ベースの電源電流フィードバック制御により、正常時には電源電流の実効値を確実にブレーカの定格電流値以下に制御しているのである。
【0051】
図4は、電源電流指令値リミッタ回路163の入出力特性図である。図において、横軸は入力となる電源電流指令値isr1*を表しており、縦軸は出力となる適正化された電源電流指令値isr2*を表している。図4の特性を式で表すと次のようになる。
【0052】
isr2*=isr1* (isr1*≦isr*_max) (9)
isr2*=isr*_max (isr1*>isr*_max) (10)
(9)、(10)式において、isr*_maxは電源電流指令値(実効値ベース)の上限値を表しており、ブレーカ10の定格電流値をi_normとすると、両者は次の関係式を満たす。
【0053】
isr*_max<i_norm (11)
即ち、電源電流指令値の上限値は、ブレーカ10の定格電流値よりも小さくなるように設定される。このように指令値に対して、ブレーカ10の定格電流値よりも小さくなるように制限をかけることが特徴である。この結果、後に述べる電源電流フィードバック制御による作用と合わせて、電源電流実効値を確実にブレーカ10の定格電流値よりも小さく抑えることが可能となる。
【0054】
実効値ベースで電源電流フィードバック制御を行うため、実効値演算回路164により、電流センサ13で検出した電源電流isを実効値isrに変換する。
【0055】
実効値ベースの電源電流指令値isr2*と電源電流検出値isrを用いて、電源電流制御回路165では、電源電流に対するフィードバック制御が実施される。この結果、電源電流検出値isrは電源電流指令値isr2*に一致するように制御される。指令値isr2*は、ブレーカ10の定格電流値i_normより小さくなるように制限されているため、isrも確実にisr<i_normを満たすことになる。従って、ブレーカ10の定格電流値をモータの定格電流値に対して大きく低減させたとしても、正常状態では、確実に電源電流の実効値がブレーカの定格電流値よりも小さくなるように制御できる。
【0056】
図5は、図1に示した本発明の第1の実施形態によるモータ駆動システムの動作波形を表している。図5(イ)は電源電流波形、図5(ロ)は蓄電池電流波形、図5(ハ)はモータ電流波形を表している。縦軸は電流値を実効値ベースで表しており、横軸はそれぞれ1日分(24時間分)の時間スケールを表している。また、モータ駆動システムとして、図5ではマンションやアパートなどの集合住宅に設置されたエレベータシステムを想定している。以下、時間帯に区切って説明する。
【0057】
(A)深夜から早朝(0時から6時):
この時間帯ではほとんどエレベータは動作しないため、蓄電池への充電時間にあてる。電源電流指令設定回路、電源電流実効値変換回路、電源電流指令リミッタ回路を介して求められた適正化された電源電流指令値に従って、電源から蓄電池へ充電がなされる。このため、図5(イ)のように、ブレーカの定格電流レベルより常に小さい電源電流実効値となり、図5(ロ)に示すように、この電流がそのまま蓄電池へ充電されていることが分かる。尚、この時間帯にエレベータが動作しても、蓄電池からモータへの電力供給は可能である。
【0058】
(B)朝から昼間(6時から12時):
6時前に蓄電池は満充電状態となり、充電は完了する。充電完了後は電源電流指令を零にする。その後はモータの稼働に応じて蓄電池からモータへ電力を供給するモードとなる。6時から出勤のためのエレベータ使用が始まり、7時から8時の間で使用頻度はピークに達する。この時、図5(ロ)の蓄電池の放電電流波形と、図5(ハ)のモータ電流波形は一致しており、蓄電池からモータに向けて電力を供給していることが分かる。尚、この期間では、蓄電池の充電量にまだ余裕があるため、電源電流は零を維持している。
【0059】
(C)昼間から夜(12時から24時):
昼間付近ではエレベータの使用は閑散となり、夕方になると買い物や帰宅のための利用者が増えるため二度目の使用ピークが発生する。ここでも、蓄電池からモータに向けて電力が供給されている。そして、まだ蓄電池の充電量には余裕があるため、電源電流は零を維持している。そして、日が替わり0時を過ぎると、(A)に戻り、再び蓄電池への充電が開始される。図5(イ)の波形から、電源電流波形はブレーカの定格電流値より小さくなるように確実に制御されていることが分かる。従って、システム正常時はブレーカを動作させることがないような安定した負荷平準化制御を実現している。蓄電池を電気エネルギー貯蔵バッファとして利用し、図5(ロ)から明らかなように、深夜から早朝の期間に必要な電力を一括充電し、日中は運転に必要な全ての電力を蓄電池で賄っている。エレベータの場合、休止時間の方が長い間欠性の負荷であるため、実際に使用している電力量(電力の時間積分)は小さく、図5(ロ)のような使い方が可能となる。図5(ロ)において、充電時の電流積分値(充電電力量に対応)と放電時の電流積分値(放電電力量に対応)は一致もしくは充電時の方が大である。
【0060】
図5のような負荷平準化制御の結果、モータの定格電流に比べて定格電流値を大きく下げたブレーカを電源入力部に設置することができる。その結果、モータ駆動システムに対する受電設備容量を大きく下げることができ、かつブレーカの定格値を基準にすることで、契約電力費を大きく削減することができる。図5の場合を例に取ると、図5(イ)において、負荷平準化前のエレベータ装置の定格電流レベルが、現行あるモータ駆動システムの契約電力値に対応しており、ブレーカ定格電流レベルが、本実施形態によるモータ駆動システムの契約電力値に対応している。
【0061】
本発明によるモータ駆動システムが特に高い効果を得る例として、共用部の電気設備が独立して契約しているような集合住宅(マンション、アパート)に設けられたエレベータシステムを挙げることができる。その理由は大きく次の2つが挙げられる。
【0062】
[理由その1]:
集合住宅では、エレベータの利用者が住人にほぼ限定されており、そのために利用回数が少なく、間欠性の高い負荷パターンとなる。従って、1日の使用電力量(kWh)は小さくなり、蓄電池の容量が小さくてすみ、かつ負荷平準化後のピーク値も大幅に低減できる。つまり、必要な装置コストを低減することができ、さらに受電設備容量や契約電力費も大幅に低減することができるという効果がある。
【0063】
[理由その2]:
図6は、集合住宅の共用部の電気設備(動力、200V受電)の典型的な構成例を示す。共用部の電気設備(動力、200V受電)は、エレベータ装置23と上水道用の給水ポンプ25の2つの設備のみで構成されている。電源から根元のブレーカ21を介して、エレベータ側は、エレベータ装置用ブレーカ(図1のブレーカ10に対応)22を介してエレベータ装置23へ電力が供給される。給水ポンプ側は、給水ポンプ用ブレーカ24を介して給水ポンプ装置25へ電力が供給される。エレベータ装置23の定格電力値は5kW〜20kW程度であり、給水ポンプ装置25の定格電力値は3kW〜5kW程度になる。従って、共用部においては、受電容量の80%を占めるエレベータ装置23が主たる負荷であり、その負荷平準化を図れれば、共用部の受電設備(電力線、根元ブレーカ21、受電盤)の設備容量も大きく低減することができる。また、共用部の契約電力費も大きく低減することができる。
【0064】
このように、本発明によるモータ駆動システムを集合住宅の共用部に導入すると、共用部の契約電力費を大幅に低減できるという効果と、蓄電池容量をより小さくできるという効果を得ることができる。
【0065】
図7は、本発明の第2の実施形態によるモータ駆動システムをエレベータに適用した全体構成図である。図において、図1と同じ構成要素については同じ符号を付け重複説明は避ける。図7が図1と異なる点は、ダイオード整流器2の直流側の直流電流Isを直流電流検出手段(以下単に電流センサと呼ぶ)18で検出することであり、その出力を制御装置16内の実効値変換回路16Aで電源電流実効値isrに変換する。そのほかは、図1と同様に電源電流制御回路165によりフィードバック制御を実行している。この場合、165は、直流電流制御手段と言うことができる。
【0066】
実効値変換回路16Aの実効値算出は次式によって行われる。
【0067】
isr=K4・Is (12)
ここで、K4は所定の定数である。Isが直流分のため、図1に比べて実効値の算出は簡単である。また、図1のようにダイオード整流器2の交流側で電流を検出すると、電流センサは1〜3個必要であるが、図7では、ダイオード整流器2の直流側で電流を検出するため、電流センサは1つで済み、装置コストを低減できる効果は大きい。
【0068】
図8は、本発明による第3の実施形態をエレベータに適用して示すモータ駆動システムの全体構成図である。図において、図1及び図7と同じ構成要素については同じ符号を付け、重複説明は避ける。図8において、図1と異なる点は、電源電流に対するフィードバック制御を、ダイオード整流器2の直流側の直流電流値に対して実施している点にある。即ち、電源電流フィードバック制御器を直流側の電源電流に対するフィードバック制御器16Cとし、検出値はダイオード整流器2の直流側の直流電流Isを電流センサ18で検出した値を用いる。そして指令値は、電源電流指令リミッタ回路163の出力isr2*を、直流側の電流値に変換する直流成分変換回路16Bに通すことで、直流側の電源電流指令値Is*に置き換えている。直流成分変換回路16Bの変換式は次のようになる。
【0069】
Is*=K5・isr2* (13)
図8に示したモータ駆動システムでは、実効値ベースの電源電流フィードバック制御の代わりにダイオード整流器の直流側でみた直流電流ベースの電源電流フィードバック制御を実施している。したがって、検出値Isをそのまま電源電流(直流側)制御器16Cで利用することができる。即ち、検出値に対して変換処理を必要としないため、検出値に関わる部分の処理の実行を高速化でき、より安定なフィードバック制御系を構築できる。フィードバック制御系では検出処理に時間遅れがあると、それは制御性能の劣化、制御系の安定性の低下につながるが、検出値に関わる部分を高速化できる図8のシステムではこのような問題を回避することができる。
【0070】
図9は、本発明の第3の実施形態によるモータ駆動システムをエレベータに適用した全体構成図である。図において、図1及び図7、図8と同じ構成要素については同じ符号を付け、重複説明は避ける。図9において図1と異なる点は、電源電流に対するフィードバック制御を、蓄電池12側の充電電流に対するフィードバック制御に置き換えている点にある。即ち、指令値の導出においては、ブレーカの定格電流値を、直流成分変換回路16Eにより、蓄電池電流ベースの値に変換している。また、充電電流指令リミット回路16Dでは、充電電流指令設定回路161より得られた指令値Ic1*をブレーカが動作しないような値Ic2*に制限している。検出値側は、電流センサ13で電源電流isを検出して、実効値演算回路164で実効値isrに変換し、さらに直流側成分変換回路16Fで蓄電池電流ベースの検出値Icに変換している。充電電流(蓄電池側)制御回路16Gでは、指令値Ic2*と検出値Icとにより蓄電池電流ベースのフィードバック制御を実行している。図9に示したモータ駆動システムでは、蓄電池電流ベースのフィードバック制御を実施することにより、図1のシステムで得られる効果に加えて、蓄電池の状況に即した制御を実施できる効果がある。
【0071】
次に、第1〜第4の実施形態において、蓄電池12、DC/DCコンバータ11及び制御装置16を含むエネルギー蓄積系に異常が発生した場合について説明する。このエネルギー蓄積系の異常時には、DC/DCコンバータ11を停止させて、蓄電池からの電力供給を止める。その代わりに、電源1からブレーカ10の定格電流値を超えない範囲の小さい電流で電力供給を受けるように非常にゆっくりした速度で交流モータ5を駆動するようにPWMインバータ4を制御する。交流モータ5を低速度で回す場合は必要な電力は小さくなるため、電源1からブレーカ10の定格電流値を超えない範囲の小さい電流を流すことでも対処できる。特に、エレベータシステムの場合に、蓄積系の異常時にも、エレベータが完全休止を回避できる利点がある。蓄積系の異常を検知した場合、DC/DCコンバータ11を止めて、PWMインバータ4の制御装置に蓄積系異常の信号を送る。蓄積系異常の信号を受信したPWMインバータ4の制御装置は、蓄積系異常時の動作モードに切り替え、交流モータ5の駆動速度の設定を所定の低速度に切り替える。このようにして、エネルギー蓄積系の異常時にも交流モータを完全に停止させないで、低速度ではあるが運転を継続させることができる。
【0072】
以上、本発明によるモータ駆動システムをエレベータシステムへ適用して説明したが、本発明は、エレベータに限らず、広くモータを使用する設備機器に適用でき、同様の効果を発揮することができる。例えば、上下水道用のポンプや空調機器、家電製品、ロボット、工作機械、エスカレータ、動く歩道、あるいは自動搬送機等が挙げられる。また、交流電源1に繋がるコンバータとして、ダイオード整流器2を例示したが、公知のPWMコンバータに置き換えることができる。
【0073】
以上説明した本発明の実施形態によるモータ駆動システムによれば、正常時、異常時共に、確実に電源からの最大電流値または最大電力値を制限させて受電設備容量を低減することができる。また、負荷設備容量を基準に契約電力値を定めるような契約に対しても、契約電力費を低減することができる。その結果、受電設備の省スペース化と低コスト化、さらにモータ駆動システムに関わる電気代の低減を図ることができる。特に、集合住宅に設置されたエレベータシステムのように、共用部の電気設備が独立して電力供給契約されるモータ駆動システムでは上記効果をより大きく享受できる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、エネルギー蓄積装置を備えたモータ駆動システムにおいて、受電設備容量を低減でき、その低コスト化及び省スペース化を図るとともに、電気料の節約を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態をエレベータに適用したモータ駆動システム全体構成図。
【図2】本発明の第1、第2の実施形態における電源電流制御回路165の詳細構成図。
【図3】エレベータシステムに対する負荷平準化の考え方を示す電流波形図。
【図4】本発明の第1の実施形態における電源電流指令値リミッタ回路の入出力特性図。
【図5】本発明の第1の実施形態によるモータ駆動システムの動作波形図。
【図6】本発明を適用して好適な集合住宅共用部の電気機器構成図。
【図7】本発明の第2実施形態をエレベータに適用したモータ駆動システム全体構成図。
【図8】本発明の第3実施形態をエレベータに適用したモータ駆動システム全体構成図。
【図9】本発明の第4実施形態をエレベータに適用したモータ駆動システム全体構成図。
【符号の説明】
1…交流電源、2…ダイオード整流器(コンバータ)、3…平滑コンデンサ、4…PWMインバータ、5…交流モータ、6…エレベータの綱車、7…エレベータのロープ、8…エレベータのかご、9…エレベータの釣り合い錘、10…電流遮断手段(ブレーカ,ヒューズ等)、11…充放電回路(DC/DCコンバータ,昇降圧チョッパ等)、12…エネルギー蓄積装置(蓄電池等)、13,15,18…電流センサ、14,17…電圧センサ、16…制御装置、161…充電電流指令設定回路、162…電源電流実効値変換回路、163…電源電流指令リミッタ回路、164…電源電流制御回路、1641…減算器、1642…比例積分制御器、165…実効値演算回路、166…直流電圧制御回路、167…電池電流制御回路、168…PWM制御回路、16A…実効値変換回路、16B…直流成分変換回路、16C…電源電流(直流側)制御回路、20,21…根元のブレーカ、22…エレベータ装置用ブレーカ、23…エレベータ装置、24…給水ポンプ装置用ブレーカ、25…給水ポンプ装置。
Claims (13)
- 商用電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、このコンバータの直流側に接続されたインバータと、このインバータから可変電圧・可変周波数の交流電力を供給される交流モータと、前記コンバータとインバータ間に接続されたコンデンサと、エネルギー蓄積装置と、前記コンデンサと前記エネルギー蓄積装置との間で電力の授受を行う充放電回路と、前記商用電源と前記コンバータ間に流れる電流が規定の遮断電流値を越えたときこの電流を遮断する電流遮断手段を備えたモータ駆動システムにおいて、前記遮断電流値を、前記交流モータの定格電流よりも小さく設定したことを特徴とするモータ駆動システム。
- 請求項1において、前記商用電源から前記コンバータに流れる電流を前記電流遮断手段の遮断電流以下に抑制するように前記充放電回路を制御する手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 請求項1又は2において、前記商用電源から前記コンバータに流れる交流電流の実効値を前記電流遮断手段の定格電流値よりも小さくなるように前記充放電回路を制御する手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記商用電源から前記コンバータに流れる電流を制御する電流制御手段と、この電流制御手段に対する電流指令値を前記電流遮断手段の遮断電流値よりも小さく制限するリミッタを備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記エネルギー蓄積装置に対する充電指令を、前記商用電源から前記コンバータに流れる交流電流の実効値に変換する手段と、実効値に変換された前記充電指令により、前記商用電源から前記コンバータに流れる交流電流の実効値を制御する手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記エネルギー蓄積装置に対する充電指令値を、前記商用電源から前記コンバータに流れる交流電流に対する交流電流指令値に変換する手段と、前記コンバータの直流側に流れる直流電流を検出する直流電流検出手段と、検出された前記直流電流を前記商用電源から前記コンバータに流れる交流電流の実効値に変換する手段と、前記交流電流指令値と検出された前記交流電流の実効値とを用いてフィードバック制御する電流制御手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記エネルギー蓄積装置に対する充電指令値を、前記コンバータの直流側に流れる電流に対する直流電流指令値に変換する手段と、前記コンバータの直流側に流れる直流電流を検出する直流電流検出手段と、前記直流電流指令値と検出された前記直流電流とを用いてフィードバック制御する直流電流制御手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 商用電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、このコンバータの直流側に接続されたインバータと、このインバータから可変電圧・可変周波数の交流電力を供給される交流モータと、前記コンバータとインバータ間に接続されたコンデンサと、エネルギー蓄積装置と、前記コンデンサと前記エネルギー蓄積装置との間で電力の授受を行う充放電回路と、前記商用電源と前記コンバータ間に流れる電流が規定の遮断電流値を越えたときこの電流を遮断する遮断手段を備えたモータ駆動システムにおいて、前記商用電源から前記コンバータに流れる交流電流の実効値を演算する手段と、この実効値を前記モータの定格電流値よりも小さくなるように前記充放電回路を制御する手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 請求項1〜8のいずれかにおいて、前記充放電回路を停止させ、前記商用電源からの入力電流を前記遮断電流値よりも小さく抑制しながら、前記インバータから前記モータに可変電圧・可変周波数の交流電力を供給するように、前記インバータを制御する手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 商用電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、このコンバータの直流側に接続されたインバータと、このインバータから可変電圧・可変周波数の交流電力を供給されエレベータを駆動する交流モータと、前記コンバータとインバータ間に接続されたコンデンサと、エネルギー蓄積装置と、前記コンデンサと前記エネルギー蓄積装置との間で電力の授受を行う充放電回路と、前記商用電源と前記コンバータ間に流れる電流が規定の遮断電流値を越えたときこの電流を遮断する遮断手段を備えたエレベータ駆動システムにおいて、前記遮断電流値を、前記交流モータの定格電流よりも小さく設定したことを特徴とするエレベータ駆動システム。
- 商用電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、このコンバータの直流側に接続されたインバータと、このインバータから可変電圧・可変周波数の交流電力を供給される交流モータと、前記コンバータとインバータ間に接続されたコンデンサと、エネルギー蓄積装置と、前記コンデンサと前記エネルギー蓄積装置との間で電力の授受を行う充放電回路と、前記商用電源と前記コンバータ間に流れる電流を規定の限流値以内に抑える限流手段を備えたモータ駆動システムにおいて、前記限流値は、前記モータの定格電流値よりも小さい値であり、かつ前記商用電源から前記コンバータに流れる交流電流の実効値が前記限流値よりも小さくなるように前記充放電回路を制御する手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 請求項11において、前記充放電回路を停止させ、前記商用電源からの入力電流を前記限流値よりも小さく抑制しながら、前記インバータから前記モータに可変電圧・可変周波数の交流電力を供給するように、前記インバータを制御する手段を備えたことを特徴とするモータ駆動システム。
- 商用電源からの交流電力を整流して直流電力に変換するコンバータと、このコンバータの直流側に接続されたインバータと、このインバータから可変電圧・可変周波数の交流電力を供給されエレベータを駆動する交流モータと、前記コンバータとインバータ間に接続されたコンデンサと、エネルギー蓄積装置と、前記コンデンサと前記エネルギー蓄積装置との間で電力の授受を行う充放電回路と、前記商用電源と前記コンバータ間に流れる電流を規定の限流値未満に抑制する限流手段を備えたエレベータ駆動システムにおいて、前記限流値を、前記交流モータの定格電流よりも小さく設定したことを特徴とするエレベータ駆動システム。
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