JP2005057817A - 電動駆動制御装置、電動駆動制御方法及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】電動駆動装置に開放による異常が発生した場合にも、異常が発生したと判断することができるようにする。
【解決手段】電動機械と、コイルに電流を供給する電流供給部と、前記コイルに供給される電流を検出する電流検出部と、検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段と、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段と、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段91とを有する。この場合、周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分が抽出され、該周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかが判断される。
【選択図】 図1
【解決手段】電動機械と、コイルに電流を供給する電流供給部と、前記コイルに供給される電流を検出する電流検出部と、検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段と、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段と、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段91とを有する。この場合、周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分が抽出され、該周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかが判断される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動駆動制御装置、電動駆動制御方法及びそのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両、例えば、電気自動車、ハイブリッド型車両等の電動車両においては、電動駆動装置が搭載され、該電動駆動装置によって電動車両を走行させることができるようになっている。
【0003】
そして、電気自動車の場合、前記電動駆動装置に電動機械としての駆動モータが配設され、該駆動モータを駆動することによって発生させられた回転が駆動輪に伝達され、電気自動車が走行させられる。前記駆動モータは、力行(駆動)時に、バッテリから直流の電流を受けて駆動され、駆動モータのトルク、すなわち、駆動モータトルクを発生させ、回生(発電)時に、電気自動車のイナーシャによってトルクを受け、直流の電流を発生させ、該電流をバッテリに供給する。
【0004】
また、ハイブリッド型車両の場合、エンジンのほかに、前記電動駆動装置に、第1の電動機械としての発電機(発電機モータ)及び第2の電動機械としての駆動モータが配設され、エンジンのトルク、すなわち、エンジントルクの一部を発電機に、残りを駆動輪に伝達するようになっている。そして、前記電動駆動装置は、サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤを備えたプラネタリギヤユニットを有し、前記キャリヤとエンジンとが連結され、リングギヤと駆動輪とが連結され、サンギヤと発電機とが連結され、前記リングギヤ及び駆動モータから出力された回転が駆動輪に伝達され、ハイブリッド型車両が走行させられる。
【0005】
そのために、前記駆動モータ、発電機等には、回転自在に配設され、N極及びS極の永久磁石から成る磁極対を備えたロータ、該ロータより径方向外方に配設され、U相、V相及びW相のステータコイルを備えたステータ等の電動機械部品が配設される。
【0006】
また、前記電気自動車には駆動モータ制御装置が、前記ハイブリッド型車両には発電機制御装置及び駆動モータ制御装置がそれぞれ電動機械制御装置として配設され、該電動機械制御装置において発生させられたU相、V相及びW相のパルス幅変調信号をインバータに送り、該インバータにおいて発生させられた相電流、すなわち、U相、V相及びW相の電流を前記各ステータコイルに供給することによって、前記駆動モータを駆動して駆動モータトルクを発生させたり、発電機を駆動して、発電機のトルク、すなわち、発電機トルクを発生させたりするようになっている。
【0007】
ところで、前記電動駆動装置において、例えば、前記駆動モータ、発電機、電動機械部品、インバータ、ゲート信号をインバータに送るためのゲート信号線等に異常が発生することがある。そこで、各ステータコイルに供給される各相の電流を検出し、各相の電流をd軸電流及びq軸電流に変換するとともに、該d軸電流及びq軸電流とd軸電流指令値及びq軸電流指令値との偏差、又は該偏差の積分値に基づいて、前記駆動モータ、電動機械部品、ゲート信号線等に異常が発生したかどうかを判断するようにした異常判定方法が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−332002号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の異常判定方法においては、前記電動駆動装置に短絡による異常が発生した場合には、過電流、過電圧、過熱等の現象が起こるので、異常が発生したと判断することができるが、例えば、インバータを構成するスイッチング素子が破損したり、ゲート信号線等が断線したりして、前記電動駆動装置に開放による異常が発生した場合には、d軸電流とd軸電流指令値とのd軸電流偏差、及びq軸電流とq軸電流指令値とのq軸電流偏差が大きくなっても必ずしも過電流の現象が起こらず、異常が発生したと判断することができない場合がある。
【0010】
本発明は、前記従来の異常判定方法の問題点を解決して、電動駆動装置に短絡による異常が発生した場合だけでなく、電動駆動装置に開放による異常が発生した場合にも、異常が発生したと判断することができる電動駆動制御装置、電動駆動制御方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の電動駆動制御装置においては、電動機械と、該電動機械を駆動するためにコイルに電流を供給する電流供給部と、前記コイルに供給される電流を検出電流として検出する電流検出部と、前記検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段と、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段と、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段とを有する。
【0012】
本発明の他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記周波数成分抽出用変数は、d軸電流及びq軸電流である。
【0013】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記周波数成分抽出用変数は、d軸電流及びq軸電流の実効値である。
【0014】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記抽出処理手段は、所定の周波数領域の周波数成分を抽出するバンドパスフィルタである。
【0015】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記周波数領域は電動機械の回転速度に対応させて変更される。
【0016】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記抽出処理手段は、所定のサンプリング周期で前記周波数成分抽出用変数を読み込む。
【0017】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記サンプリング周期は電動機械の回転速度に対応させて変更される。
【0018】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記異常発生判断処理手段は、前記周波数成分の振幅に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する。
【0019】
本発明の電動駆動制御方法においては、電動機械を駆動するためにコイルに電流を供給し、前記コイルに供給される電流を検出電流として検出し、該検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出し、該周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出し、該周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する。
【0020】
本発明の電動駆動制御方法のプログラムにおいては、コンピュータを、電流検出部によって検出された検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段、及び前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段として機能させる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、電動車両として電気自動車について説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態における電動駆動制御装置の機能ブロック図である。
【0023】
図において、31は電動機械としての駆動モータ、40は該駆動モータ31を駆動するために図示されないコイルに電流を供給する電流供給部としてのインバータ、33、34は前記コイルに供給される電流を検出電流として検出する電流検出部としての電流センサ、61は、該電流センサ33、34によって検出された検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段としてのUV−dq変換部、81は前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段としてのバンドパスフィルタ、91は、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段である。
【0024】
図2は本発明の実施の形態における電気自動車の概略図、図3は本発明の実施の形態における駆動モータ制御装置のブロック図である。
【0025】
図において、31は電動機械としての駆動モータであり、該駆動モータ31は電気自動車の図示されない駆動軸等に取り付けられる。本実施の形態においては、前記駆動モータ31としてDCブラシレス駆動モータが使用される。前記駆動モータ31は、回転自在に配設された図示されないロータ、及び該ロータより径方向外方に配設されたステータを備える。前記ロータは、図示されないシャフトに図示されないハブを介して取り付けられたロータコア、及び該ロータコアの円周方向における複数箇所に配設された永久磁石を備え、該永久磁石のS極及びN極によって磁極対が構成される。また、前記ステータは、円周方向における複数箇所に、径方向内方に向けて突出させてティースが形成された図示されないステータコア、並びに前記ティースに巻装されたU相、V相及びW相のコイルとしてのステータコイル11〜13を備える。なお、前記駆動モータ31の出力軸に、磁極位置θを検出するための磁極位置検出部としてレゾルバ71が配設され、該レゾルバ71は、センサ出力としての磁極位置信号SGθを発生させ、電動機械制御装置としての駆動モータ制御装置45に送る。また、前記駆動モータ31、図示されない駆動輪等によって電動駆動装置が構成される。
【0026】
そして、前記駆動モータ31を駆動して電気自動車を走行させるために、バッテリ14からの直流の電流が、電流供給部としてのインバータ40に供給され、該インバータ40によって相電流、すなわち、U相、V相及びW相の電流Iu、Iv、Iwに変換され、各相の電流Iu、Iv、Iwはそれぞれ各ステータコイル11〜13に供給される。
【0027】
そのために、前記インバータ40は、6個のスイッチング素子としてのトランジスタTr1〜Tr6を備え、各トランジスタTr1〜Tr6を選択的にオン・オフさせることによって、前記各相の電流Iu、Iv、Iwを発生させることができるようになっている。
【0028】
なお、本実施の形態においては、電流供給部としてインバータ40を使用するようになっているが、該インバータ40に代えて、2〜6個のスイッチング素子を一つのパッケージに組み込むことによって形成されたIGBT等のパワーモジュールを使用したり、IGBTにドライブ回路等を組み込むことによって形成されたIPMを使用したりすることもできる。
【0029】
ところで、前記ステータコイル11〜13はスター結線されているので、各相のうちの二つの相の電流の値が決まると、残りの一つの相の電流の値も決まる。したがって、各相の電流Iu、Iv、Iwを制御するために、例えば、ステータコイル11、12のリード線にU相及びV相の電流Iu、Ivを検出電流iu、ivとして検出する電流検出部としての電流センサ33、34が配設され、該電流センサ33、34は、検出電流iu、ivを駆動モータ制御装置45に送り、該駆動モータ制御装置45は検出電流iu、ivに基づいて検出電流iw
iw=−iu−iv
を算出することによって検出する。
【0030】
前記駆動モータ制御装置45には、コンピュータとして機能する図示されないCPUのほかに、データを記録したり、各種のプログラムを記録したりするためのRAM、ROM、フラッシュメモリ等の図示されない記録装置が配設される。そして、前記駆動モータ制御装置45のRAMには、各種のプログラム、データ等が記録されるようになっているが、プログラム、データ等をハードディスク、メモリカード等の外部の記録媒体に記録することもできる。その場合、例えば、該外部の記録媒体から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに記録する。したがって、外部の記録媒体を交換することによって、前記プログラム、データ等を更新することができる。また、駆動モータ制御装置45のROMはd軸用及びq軸用の電流指令値マップを備える。
【0031】
そして、前記駆動モータ制御装置45の磁極位置算出部46は、磁極位置信号SGθを読み込み、磁極位置信号SGθに従って磁極位置θを算出する。また、前記駆動モータ制御装置45の図示されない駆動モータ回転速度算出処理手段は、駆動モータ回転速度算出処理を行い、磁極位置算出部46によって算出された磁極位置θに基づいて駆動モータ31の回転速度、すなわち、駆動モータ回転速度NMを算出する。また、前記駆動モータ制御装置45の図示されない車速検出処理手段は、車速検出処理を行い、前記駆動モータ回転速度NMに対応する車速Vを検出し、検出された車速Vを、電気自動車の全体の制御を行う図示されない車両制御装置に送る。
【0032】
そして、該車両制御装置の図示されない車両用指令値発生処理手段は、車両用指令値発生処理を行い、前記車速V及び図示されないアクセル開度検出部において検出されたアクセル開度を読み込み、車速V及びアクセル開度に基づいて車両要求トルクTO* を算出し、該車両要求トルクTO* に対応させて駆動モータトルクTMの目標値を表す駆動モータ目標トルク(トルク指令値)TM* を発生させ、該駆動モータ目標トルクTM* を前記駆動モータ制御装置45に送る。次に、該駆動モータ制御装置45の図示されない駆動モータ制御処理手段は、前記駆動モータ目標トルクTM* を受けると、駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ31を駆動する。
【0033】
そして、前記駆動モータ制御処理手段の電流用の指令値発生処理手段としてのトルク指令・電流指令変換部47は、指令値発生処理を行い、バッテリ電圧検出センサ15によって検出されたバッテリ14の電圧、すなわち、バッテリ電圧VBを読み込むとともに、駆動モータ回転速度NMを読み込み、前記各電流指令値マップを参照して、前記駆動モータ目標トルクTM* に対応するd軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* を、インバータ40を作動させるための電流用の指令値として算出し、減算器62、63に送る。
【0034】
ところで、前記駆動モータ制御装置45においては、ロータにおける磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われるようになっている。
【0035】
そのために、前記駆動モータ制御処理手段は、電流センサ33、34から検出電流iu、ivを読み込む。そして、駆動モータ制御装置45の第1の変換処理手段としてのUV−dq変換部61は、第1の変換処理を行い、前記検出電流iu、iv及び前記磁極位置θに基づいて三相/二相変換を行い、検出電流iu、ivをそれぞれd軸電流id及びq軸電流iqに変換する。
【0036】
次に、d軸電流idは減算器62に送られ、該減算器62においてd軸電流idと前記d軸電流指令値id* とのd軸電流偏差Δidが算出され、該d軸電流偏差Δidが電圧指令値発生部64に送られる。一方、q軸電流iqは減算器63に送られ、該減算器63においてq軸電流iqと前記q軸電流指令値iq* とのq軸電流偏差Δiqが算出され、該q軸電流偏差Δiqが電圧指令値発生部65に送られる。
【0037】
そして、前記電圧指令値発生部64、65は、前記d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqが零(0)になるように、2軸上のインバータ出力としてのd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をそれぞれ発生させ、該d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をそれぞれ駆動モータ制御装置45の第2の変換処理手段としてのdq−UV変換器67に送る。
【0038】
なお、前記電圧指令値発生部64、65によって駆動モータ制御装置45の電圧用の第1の指令値発生処理手段が構成され、電圧指令値発生部64、65は、前記電流Iu、Iv、Iwに基づいて、前記d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* を電圧用の第1の指令値として発生させる。
【0039】
続いて、前記dq−UV変換器67は、第2の変換処理を行い、前記d軸電圧指令値Vd* 、q軸電圧指令値Vq* 及び磁極位置θを読み込み、二相/三相変換を行い、d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をU相、V相及びW相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* に変換し、該電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* をPWM発生器68に送る。なお、前記dq−UV変換器67によって駆動モータ制御装置45の電圧用の第2の指令値発生処理手段が構成され、dq−UV変換器67は、前記電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* を電圧用の第2の指令値として発生させる。
【0040】
前記PWM発生器68は、前記各相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* 及び前記バッテリ電圧VBに基づいて、前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* に対応するパルス幅を有する各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを発生させ、ドライブ回路51に送る。
【0041】
該ドライブ回路51は、前記各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを受けて、トランジスタTr1〜Tr6を駆動するための6個のゲート信号をそれぞれ発生させ、該ゲート信号をインバータ40に送る。該インバータ40は、前記ゲート信号がオンの間だけトランジスタTr1〜Tr6をオンにして各相の電流Iu、Iv、Iwを発生させ、該各相の電流Iu、Iv、Iwを前記各ステータコイル11〜13に供給する。
【0042】
このように、駆動モータ目標トルクTM* に基づいてトルク制御が行われ、駆動モータ31が駆動されて電動車両が走行させられる。なお、17はインバータ40とバッテリ14との間に配設された平滑用のコンデンサである。また、前記PWM発生器68、ドライブ回路51、インバータ40等によって、駆動モータ31を駆動する駆動装置部が構成される。
【0043】
ところで、前記電動駆動装置において、例えば、前記駆動モータ31、駆動モータ31の電動機械部品、インバータ40、ゲート信号をインバータ40に送るためのゲート信号線等に異常が発生することがあるが、その場合、前記駆動モータ制御装置45の図示されない異常判定処理手段によって、異常判定処理を行い、駆動モータ31、電動機械部品、インバータ40、ゲート信号線等に異常が発生したかどうかを判断するようにしている。
【0044】
次に、異常判定処理手段の動作について説明する。
【0045】
図4は本発明の実施の形態における駆動モータ制御装置の要部を示すブロック図、図5は本発明の実施の形態における異常判定処理の動作を示すフローチャートである。
【0046】
ところで、前記駆動モータ31(図1)が正常に、かつ、定常状態で駆動されている場合、d軸電流id及びq軸電流iqは一定の値を採り、駆動モータ31が正常に、かつ、過渡状態で駆動されている場合、d軸電流id及びq軸電流iqは滑らかに変化する。ところが、前記電動駆動装置に開放による異常が発生した場合には、d軸電流id及びq軸電流iqには、電流Iu、Iv、Iwの周期の整数倍の周期の、所定の周波数から成る異常な振動が発生する。
【0047】
そこで、d軸電流id及びq軸電流iqに発生する前記振動の周波数成分を抽出処理手段としてのバンドパスフィルタ81によって抽出し、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断するようになっている。
【0048】
そのために、まず、異常判定処理手段の変量取得処理手段は、変量取得処理を行い、異常判定処理を行うために必要な変量として、d軸電流id、q軸電流iq及び駆動モータ回転速度NMを読み込み、取得する。
【0049】
ところで、d軸電流id及びq軸電流iqには、各種の周波数成分が含まれるので、各種の周波数成分のうちの前記振動の周波数成分を抽出しようとすると、振動の周波数成分の周波数領域を特定する必要がある。また、振動の周波数成分を抽出するに当たり、d軸電流id及びq軸電流iqが所定のサンプリング周期で読み込まれることになるが、該サンプリング周期が長いと、各サンプリング値に基づいてd軸電流id及びq軸電流iqの微小変化をとらえることができず、その結果、振動の周波数成分を抽出するのが困難になってしまう。したがって、振動の周波数に対応するサンプリング周期を設定する必要がある。
【0050】
そして、前記振動の周波数は、駆動モータ回転速度NMが変化するのに伴って変化し、駆動モータ回転速度NMが高くなるのに伴って高くなり、駆動モータ回転速度NMが低くなるのに伴って低くなる。
【0051】
そこで、前記異常判定処理手段の抽出条件算出処理手段は、抽出条件算出処理を行い、想定される振動の周波数及び前記駆動モータ回転速度NMに基づいて、第1の抽出条件として、抽出しようとする周波数成分の周波数領域を表すフィルタ係数fkを、第2の抽出条件として、抽出しようとする周波数成分の周波数に対応するサンプリング周期τsを算出する。
【0052】
続いて、前記異常判定処理手段のバンドパスフィルタ81は、抽出処理を行い、フィルタ係数fk及びサンプリング周期τsを読み込み、該サンプリング周期τsで前記d軸電流id及びq軸電流iqを読み込み、該d軸電流id及びq軸電流iqのサンプリング値を駆動モータ制御装置45(図2)の前記RAMに記録する。
【0053】
そして、バンドパスフィルタ81は、前記フィルタ係数fkによって表される周波数領域において、d軸電流idに発生した振動の周波数成分Ivd、及びq軸電流iqに発生した振動の周波数成分Ivqを抽出し、出力する。なお、本実施の形態においては、前記UV−dq変換部61によって、周波数成分抽出用変数算出処理手段が構成され、該周波数成分抽出用変数算出処理手段は、周波数成分抽出用変数算出処理を行い、所定の周波数成分抽出用変数としての前記d軸電流id及びq軸電流iqを算出する。
【0054】
本実施の形態においては、前記バンドパスフィルタ81はプログラムによって構成されるが、ハードウェアによって構成することもできる。
【0055】
次に、前記異常判定処理手段の判定条件成立判断処理手段は、判定条件成立判断処理を行い、前記周波数成分Ivd、Ivqの振幅Iad、Iaq
Iad=F(Ivd)
Iaq=F(Ivq)
を算出する。なお、F(Ivd)、F(Ivq)は、それぞれ、周波数成分Ivd、Ivqを変数とする関数を表す。また、前記振幅Iad、Iaqは、振動のレベルを表す振動指標値を構成する。
【0056】
続いて、前記判定条件成立判断処理手段は、前記振幅Iadの絶対値が閾(しきい)値Iadthより大きいか、又は振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqthより大きいかどうかによって判定条件が成立するかどうかを判断する。そして、前記振幅Iadの絶対値が閾値Iadthより大きいか、又は振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqthより大きい場合、前記判定条件成立判断処理手段は、判定条件が成立すると判断し、前記振幅Iadの絶対値が閾値Iadth以下であり、かつ、振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqth以下である場合、前記判定条件成立判断処理手段は、判定条件が成立しないと判断する。
【0057】
続いて、前記判定条件が成立する場合、前記異常判定処理手段の異常発生判断処理手段91は、異常発生判断処理を行い、電動駆動装置に異常が発生したと判断し、ドライブ回路51によって発生させられ、インバータ40に送られるゲート信号をオフにして、駆動モータ31のシャットダウンを行う。
【0058】
このように、実際の検出電流iu、iv、iwに基づいてd軸電流id及びq軸電流iqが算出され、d軸電流id及びq軸電流iqに発生する振動の周波数成分Ivd、Ivqに基づいて各相の電流Iu、Iv、Iwが異常であるかどうかを判断し、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断するようになっているので、異常が発生したかどうかの判断を確実に行うことができる。
【0059】
例えば、短絡によって過電流、過電圧、過熱等の現象が起こった場合に、異常が発生したと判断することができるだけでなく、過電流、過電圧、過熱等の現象が起こらない場合、例えば、トランジスタTr1〜Tr6が破損したり、ゲート信号線等が断線したりして、前記電動駆動装置に開放による異常が発生した場合においても、異常が発生したと判断することができる。
【0060】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 フィルタ係数fk及びサンプリング周期τsを算出する。
ステップS2 振幅Iad、Iaqを算出する。
ステップS3 振幅Iadの絶対値が閾値Iadthより大きいか、又は振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqthより大きいかどうかを判断する。振幅Iadの絶対値が閾値Iadthより大きいか、又は振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqthより大きい場合はステップS4に進み、振幅Iadの絶対値が閾値Iadth以下であり、かつ、振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqth以下である場合は処理を終了する。
ステップS4 異常が発生したと判断し、シャトダウンを行い、処理を終了する。
【0061】
本実施の形態においては、所定の周波数成分抽出用変数としてd軸電流id及びq軸電流iqを算出し、該d軸電流id及びq軸電流iqに振動の周波数成分Ivd、Ivqが発生しているかどうかを判断するようにしているが、周波数成分抽出用変数としてd軸電流id及びq軸電流iqの電流指標Zを使用することもできる。
【0062】
その場合、異常判定処理手段に、UV−dq変換部61とは別に図示されない周波数成分抽出用変数算出処理手段が配設され、該周波数成分抽出用変数算出処理手段は、周波数成分抽出用変数算出処理を行い、前記電流指標Z
Z=√(id2 +iq2 )/√(3)
を算出する。
【0063】
続いて、異常判定処理手段の抽出処理手段としてのバンドパスフィルタは、抽出処理を行い、フィルタ係数fk及びサンプリング周期τsを読み込み、該サンプリング周期τsで前記電流指標Zを読み込み、電流指標Zのサンプリング値を前記RAMに記録する。そして、バンドパスフィルタは、前記フィルタ係数fkによって表される周波数領域において、電流指標Zに発生した振動の周波数成分Izを抽出し、出力する。
【0064】
次に、前記異常判定処理手段の判定条件成立判断処理手段は、判定条件成立判断処理を行い、前記周波数成分Izの振幅Iaz
Iaz=F(Iz)
を算出する。
【0065】
続いて、前記判定条件成立判断処理手段は、前記振幅Iazの絶対値が閾値Iazthより大きいかどうかによって判定条件が成立するかどうかを判断する。
そして、前記振幅Iazの絶対値が閾値Iazthより大きい場合、前記判定条件成立判断処理手段は、判定条件が成立すると判断し、前記振幅Iazの絶対値が閾値Iazth以下である場合、前記判定条件成立判断処理手段は、判定条件が成立しないと判断する。
【0066】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0067】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、電動駆動制御装置においては、電動機械と、該電動機械を駆動するためにコイルに電流を供給する電流供給部と、前記コイルに供給される電流を検出電流として検出する電流検出部と、前記検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段と、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段と、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段とを有する。
【0068】
この場合、実際の検出電流に基づいて周波数成分抽出用変数が算出され、該周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分が抽出され、該周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかが判断されるので、異常が発生したかどうかの判断を確実に行うことができる。
【0069】
例えば、短絡によって過電流、過電圧、過熱等の現象が起こった場合に、異常が発生したと判断することができるだけでなく、過電流、過電圧、過熱等の現象が起こらない場合、例えば、電流供給部を構成するスイッチング素子が破損したり、ゲート信号線等が断線したりして、前記電動駆動装置に開放による異常が発生した場合においても、異常が発生したと判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における電動駆動制御装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における電気自動車の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態における駆動モータ制御装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における駆動モータ制御装置の要部を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態における異常判定処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11〜13 ステータコイル
31 駆動モータ
33、34 電流センサ
40 インバータ
45 駆動モータ制御装置
61 UV−dq変換部
81 バンドパスフィルタ
91 異常発生判断処理手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動駆動制御装置、電動駆動制御方法及びそのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両、例えば、電気自動車、ハイブリッド型車両等の電動車両においては、電動駆動装置が搭載され、該電動駆動装置によって電動車両を走行させることができるようになっている。
【0003】
そして、電気自動車の場合、前記電動駆動装置に電動機械としての駆動モータが配設され、該駆動モータを駆動することによって発生させられた回転が駆動輪に伝達され、電気自動車が走行させられる。前記駆動モータは、力行(駆動)時に、バッテリから直流の電流を受けて駆動され、駆動モータのトルク、すなわち、駆動モータトルクを発生させ、回生(発電)時に、電気自動車のイナーシャによってトルクを受け、直流の電流を発生させ、該電流をバッテリに供給する。
【0004】
また、ハイブリッド型車両の場合、エンジンのほかに、前記電動駆動装置に、第1の電動機械としての発電機(発電機モータ)及び第2の電動機械としての駆動モータが配設され、エンジンのトルク、すなわち、エンジントルクの一部を発電機に、残りを駆動輪に伝達するようになっている。そして、前記電動駆動装置は、サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤを備えたプラネタリギヤユニットを有し、前記キャリヤとエンジンとが連結され、リングギヤと駆動輪とが連結され、サンギヤと発電機とが連結され、前記リングギヤ及び駆動モータから出力された回転が駆動輪に伝達され、ハイブリッド型車両が走行させられる。
【0005】
そのために、前記駆動モータ、発電機等には、回転自在に配設され、N極及びS極の永久磁石から成る磁極対を備えたロータ、該ロータより径方向外方に配設され、U相、V相及びW相のステータコイルを備えたステータ等の電動機械部品が配設される。
【0006】
また、前記電気自動車には駆動モータ制御装置が、前記ハイブリッド型車両には発電機制御装置及び駆動モータ制御装置がそれぞれ電動機械制御装置として配設され、該電動機械制御装置において発生させられたU相、V相及びW相のパルス幅変調信号をインバータに送り、該インバータにおいて発生させられた相電流、すなわち、U相、V相及びW相の電流を前記各ステータコイルに供給することによって、前記駆動モータを駆動して駆動モータトルクを発生させたり、発電機を駆動して、発電機のトルク、すなわち、発電機トルクを発生させたりするようになっている。
【0007】
ところで、前記電動駆動装置において、例えば、前記駆動モータ、発電機、電動機械部品、インバータ、ゲート信号をインバータに送るためのゲート信号線等に異常が発生することがある。そこで、各ステータコイルに供給される各相の電流を検出し、各相の電流をd軸電流及びq軸電流に変換するとともに、該d軸電流及びq軸電流とd軸電流指令値及びq軸電流指令値との偏差、又は該偏差の積分値に基づいて、前記駆動モータ、電動機械部品、ゲート信号線等に異常が発生したかどうかを判断するようにした異常判定方法が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−332002号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の異常判定方法においては、前記電動駆動装置に短絡による異常が発生した場合には、過電流、過電圧、過熱等の現象が起こるので、異常が発生したと判断することができるが、例えば、インバータを構成するスイッチング素子が破損したり、ゲート信号線等が断線したりして、前記電動駆動装置に開放による異常が発生した場合には、d軸電流とd軸電流指令値とのd軸電流偏差、及びq軸電流とq軸電流指令値とのq軸電流偏差が大きくなっても必ずしも過電流の現象が起こらず、異常が発生したと判断することができない場合がある。
【0010】
本発明は、前記従来の異常判定方法の問題点を解決して、電動駆動装置に短絡による異常が発生した場合だけでなく、電動駆動装置に開放による異常が発生した場合にも、異常が発生したと判断することができる電動駆動制御装置、電動駆動制御方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の電動駆動制御装置においては、電動機械と、該電動機械を駆動するためにコイルに電流を供給する電流供給部と、前記コイルに供給される電流を検出電流として検出する電流検出部と、前記検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段と、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段と、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段とを有する。
【0012】
本発明の他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記周波数成分抽出用変数は、d軸電流及びq軸電流である。
【0013】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記周波数成分抽出用変数は、d軸電流及びq軸電流の実効値である。
【0014】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記抽出処理手段は、所定の周波数領域の周波数成分を抽出するバンドパスフィルタである。
【0015】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記周波数領域は電動機械の回転速度に対応させて変更される。
【0016】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記抽出処理手段は、所定のサンプリング周期で前記周波数成分抽出用変数を読み込む。
【0017】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記サンプリング周期は電動機械の回転速度に対応させて変更される。
【0018】
本発明の更に他の電動駆動制御装置においては、さらに、前記異常発生判断処理手段は、前記周波数成分の振幅に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する。
【0019】
本発明の電動駆動制御方法においては、電動機械を駆動するためにコイルに電流を供給し、前記コイルに供給される電流を検出電流として検出し、該検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出し、該周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出し、該周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する。
【0020】
本発明の電動駆動制御方法のプログラムにおいては、コンピュータを、電流検出部によって検出された検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段、及び前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段として機能させる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、電動車両として電気自動車について説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態における電動駆動制御装置の機能ブロック図である。
【0023】
図において、31は電動機械としての駆動モータ、40は該駆動モータ31を駆動するために図示されないコイルに電流を供給する電流供給部としてのインバータ、33、34は前記コイルに供給される電流を検出電流として検出する電流検出部としての電流センサ、61は、該電流センサ33、34によって検出された検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段としてのUV−dq変換部、81は前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段としてのバンドパスフィルタ、91は、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段である。
【0024】
図2は本発明の実施の形態における電気自動車の概略図、図3は本発明の実施の形態における駆動モータ制御装置のブロック図である。
【0025】
図において、31は電動機械としての駆動モータであり、該駆動モータ31は電気自動車の図示されない駆動軸等に取り付けられる。本実施の形態においては、前記駆動モータ31としてDCブラシレス駆動モータが使用される。前記駆動モータ31は、回転自在に配設された図示されないロータ、及び該ロータより径方向外方に配設されたステータを備える。前記ロータは、図示されないシャフトに図示されないハブを介して取り付けられたロータコア、及び該ロータコアの円周方向における複数箇所に配設された永久磁石を備え、該永久磁石のS極及びN極によって磁極対が構成される。また、前記ステータは、円周方向における複数箇所に、径方向内方に向けて突出させてティースが形成された図示されないステータコア、並びに前記ティースに巻装されたU相、V相及びW相のコイルとしてのステータコイル11〜13を備える。なお、前記駆動モータ31の出力軸に、磁極位置θを検出するための磁極位置検出部としてレゾルバ71が配設され、該レゾルバ71は、センサ出力としての磁極位置信号SGθを発生させ、電動機械制御装置としての駆動モータ制御装置45に送る。また、前記駆動モータ31、図示されない駆動輪等によって電動駆動装置が構成される。
【0026】
そして、前記駆動モータ31を駆動して電気自動車を走行させるために、バッテリ14からの直流の電流が、電流供給部としてのインバータ40に供給され、該インバータ40によって相電流、すなわち、U相、V相及びW相の電流Iu、Iv、Iwに変換され、各相の電流Iu、Iv、Iwはそれぞれ各ステータコイル11〜13に供給される。
【0027】
そのために、前記インバータ40は、6個のスイッチング素子としてのトランジスタTr1〜Tr6を備え、各トランジスタTr1〜Tr6を選択的にオン・オフさせることによって、前記各相の電流Iu、Iv、Iwを発生させることができるようになっている。
【0028】
なお、本実施の形態においては、電流供給部としてインバータ40を使用するようになっているが、該インバータ40に代えて、2〜6個のスイッチング素子を一つのパッケージに組み込むことによって形成されたIGBT等のパワーモジュールを使用したり、IGBTにドライブ回路等を組み込むことによって形成されたIPMを使用したりすることもできる。
【0029】
ところで、前記ステータコイル11〜13はスター結線されているので、各相のうちの二つの相の電流の値が決まると、残りの一つの相の電流の値も決まる。したがって、各相の電流Iu、Iv、Iwを制御するために、例えば、ステータコイル11、12のリード線にU相及びV相の電流Iu、Ivを検出電流iu、ivとして検出する電流検出部としての電流センサ33、34が配設され、該電流センサ33、34は、検出電流iu、ivを駆動モータ制御装置45に送り、該駆動モータ制御装置45は検出電流iu、ivに基づいて検出電流iw
iw=−iu−iv
を算出することによって検出する。
【0030】
前記駆動モータ制御装置45には、コンピュータとして機能する図示されないCPUのほかに、データを記録したり、各種のプログラムを記録したりするためのRAM、ROM、フラッシュメモリ等の図示されない記録装置が配設される。そして、前記駆動モータ制御装置45のRAMには、各種のプログラム、データ等が記録されるようになっているが、プログラム、データ等をハードディスク、メモリカード等の外部の記録媒体に記録することもできる。その場合、例えば、該外部の記録媒体から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに記録する。したがって、外部の記録媒体を交換することによって、前記プログラム、データ等を更新することができる。また、駆動モータ制御装置45のROMはd軸用及びq軸用の電流指令値マップを備える。
【0031】
そして、前記駆動モータ制御装置45の磁極位置算出部46は、磁極位置信号SGθを読み込み、磁極位置信号SGθに従って磁極位置θを算出する。また、前記駆動モータ制御装置45の図示されない駆動モータ回転速度算出処理手段は、駆動モータ回転速度算出処理を行い、磁極位置算出部46によって算出された磁極位置θに基づいて駆動モータ31の回転速度、すなわち、駆動モータ回転速度NMを算出する。また、前記駆動モータ制御装置45の図示されない車速検出処理手段は、車速検出処理を行い、前記駆動モータ回転速度NMに対応する車速Vを検出し、検出された車速Vを、電気自動車の全体の制御を行う図示されない車両制御装置に送る。
【0032】
そして、該車両制御装置の図示されない車両用指令値発生処理手段は、車両用指令値発生処理を行い、前記車速V及び図示されないアクセル開度検出部において検出されたアクセル開度を読み込み、車速V及びアクセル開度に基づいて車両要求トルクTO* を算出し、該車両要求トルクTO* に対応させて駆動モータトルクTMの目標値を表す駆動モータ目標トルク(トルク指令値)TM* を発生させ、該駆動モータ目標トルクTM* を前記駆動モータ制御装置45に送る。次に、該駆動モータ制御装置45の図示されない駆動モータ制御処理手段は、前記駆動モータ目標トルクTM* を受けると、駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ31を駆動する。
【0033】
そして、前記駆動モータ制御処理手段の電流用の指令値発生処理手段としてのトルク指令・電流指令変換部47は、指令値発生処理を行い、バッテリ電圧検出センサ15によって検出されたバッテリ14の電圧、すなわち、バッテリ電圧VBを読み込むとともに、駆動モータ回転速度NMを読み込み、前記各電流指令値マップを参照して、前記駆動モータ目標トルクTM* に対応するd軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* を、インバータ40を作動させるための電流用の指令値として算出し、減算器62、63に送る。
【0034】
ところで、前記駆動モータ制御装置45においては、ロータにおける磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われるようになっている。
【0035】
そのために、前記駆動モータ制御処理手段は、電流センサ33、34から検出電流iu、ivを読み込む。そして、駆動モータ制御装置45の第1の変換処理手段としてのUV−dq変換部61は、第1の変換処理を行い、前記検出電流iu、iv及び前記磁極位置θに基づいて三相/二相変換を行い、検出電流iu、ivをそれぞれd軸電流id及びq軸電流iqに変換する。
【0036】
次に、d軸電流idは減算器62に送られ、該減算器62においてd軸電流idと前記d軸電流指令値id* とのd軸電流偏差Δidが算出され、該d軸電流偏差Δidが電圧指令値発生部64に送られる。一方、q軸電流iqは減算器63に送られ、該減算器63においてq軸電流iqと前記q軸電流指令値iq* とのq軸電流偏差Δiqが算出され、該q軸電流偏差Δiqが電圧指令値発生部65に送られる。
【0037】
そして、前記電圧指令値発生部64、65は、前記d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqが零(0)になるように、2軸上のインバータ出力としてのd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をそれぞれ発生させ、該d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をそれぞれ駆動モータ制御装置45の第2の変換処理手段としてのdq−UV変換器67に送る。
【0038】
なお、前記電圧指令値発生部64、65によって駆動モータ制御装置45の電圧用の第1の指令値発生処理手段が構成され、電圧指令値発生部64、65は、前記電流Iu、Iv、Iwに基づいて、前記d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* を電圧用の第1の指令値として発生させる。
【0039】
続いて、前記dq−UV変換器67は、第2の変換処理を行い、前記d軸電圧指令値Vd* 、q軸電圧指令値Vq* 及び磁極位置θを読み込み、二相/三相変換を行い、d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をU相、V相及びW相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* に変換し、該電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* をPWM発生器68に送る。なお、前記dq−UV変換器67によって駆動モータ制御装置45の電圧用の第2の指令値発生処理手段が構成され、dq−UV変換器67は、前記電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* を電圧用の第2の指令値として発生させる。
【0040】
前記PWM発生器68は、前記各相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* 及び前記バッテリ電圧VBに基づいて、前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* に対応するパルス幅を有する各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを発生させ、ドライブ回路51に送る。
【0041】
該ドライブ回路51は、前記各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを受けて、トランジスタTr1〜Tr6を駆動するための6個のゲート信号をそれぞれ発生させ、該ゲート信号をインバータ40に送る。該インバータ40は、前記ゲート信号がオンの間だけトランジスタTr1〜Tr6をオンにして各相の電流Iu、Iv、Iwを発生させ、該各相の電流Iu、Iv、Iwを前記各ステータコイル11〜13に供給する。
【0042】
このように、駆動モータ目標トルクTM* に基づいてトルク制御が行われ、駆動モータ31が駆動されて電動車両が走行させられる。なお、17はインバータ40とバッテリ14との間に配設された平滑用のコンデンサである。また、前記PWM発生器68、ドライブ回路51、インバータ40等によって、駆動モータ31を駆動する駆動装置部が構成される。
【0043】
ところで、前記電動駆動装置において、例えば、前記駆動モータ31、駆動モータ31の電動機械部品、インバータ40、ゲート信号をインバータ40に送るためのゲート信号線等に異常が発生することがあるが、その場合、前記駆動モータ制御装置45の図示されない異常判定処理手段によって、異常判定処理を行い、駆動モータ31、電動機械部品、インバータ40、ゲート信号線等に異常が発生したかどうかを判断するようにしている。
【0044】
次に、異常判定処理手段の動作について説明する。
【0045】
図4は本発明の実施の形態における駆動モータ制御装置の要部を示すブロック図、図5は本発明の実施の形態における異常判定処理の動作を示すフローチャートである。
【0046】
ところで、前記駆動モータ31(図1)が正常に、かつ、定常状態で駆動されている場合、d軸電流id及びq軸電流iqは一定の値を採り、駆動モータ31が正常に、かつ、過渡状態で駆動されている場合、d軸電流id及びq軸電流iqは滑らかに変化する。ところが、前記電動駆動装置に開放による異常が発生した場合には、d軸電流id及びq軸電流iqには、電流Iu、Iv、Iwの周期の整数倍の周期の、所定の周波数から成る異常な振動が発生する。
【0047】
そこで、d軸電流id及びq軸電流iqに発生する前記振動の周波数成分を抽出処理手段としてのバンドパスフィルタ81によって抽出し、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断するようになっている。
【0048】
そのために、まず、異常判定処理手段の変量取得処理手段は、変量取得処理を行い、異常判定処理を行うために必要な変量として、d軸電流id、q軸電流iq及び駆動モータ回転速度NMを読み込み、取得する。
【0049】
ところで、d軸電流id及びq軸電流iqには、各種の周波数成分が含まれるので、各種の周波数成分のうちの前記振動の周波数成分を抽出しようとすると、振動の周波数成分の周波数領域を特定する必要がある。また、振動の周波数成分を抽出するに当たり、d軸電流id及びq軸電流iqが所定のサンプリング周期で読み込まれることになるが、該サンプリング周期が長いと、各サンプリング値に基づいてd軸電流id及びq軸電流iqの微小変化をとらえることができず、その結果、振動の周波数成分を抽出するのが困難になってしまう。したがって、振動の周波数に対応するサンプリング周期を設定する必要がある。
【0050】
そして、前記振動の周波数は、駆動モータ回転速度NMが変化するのに伴って変化し、駆動モータ回転速度NMが高くなるのに伴って高くなり、駆動モータ回転速度NMが低くなるのに伴って低くなる。
【0051】
そこで、前記異常判定処理手段の抽出条件算出処理手段は、抽出条件算出処理を行い、想定される振動の周波数及び前記駆動モータ回転速度NMに基づいて、第1の抽出条件として、抽出しようとする周波数成分の周波数領域を表すフィルタ係数fkを、第2の抽出条件として、抽出しようとする周波数成分の周波数に対応するサンプリング周期τsを算出する。
【0052】
続いて、前記異常判定処理手段のバンドパスフィルタ81は、抽出処理を行い、フィルタ係数fk及びサンプリング周期τsを読み込み、該サンプリング周期τsで前記d軸電流id及びq軸電流iqを読み込み、該d軸電流id及びq軸電流iqのサンプリング値を駆動モータ制御装置45(図2)の前記RAMに記録する。
【0053】
そして、バンドパスフィルタ81は、前記フィルタ係数fkによって表される周波数領域において、d軸電流idに発生した振動の周波数成分Ivd、及びq軸電流iqに発生した振動の周波数成分Ivqを抽出し、出力する。なお、本実施の形態においては、前記UV−dq変換部61によって、周波数成分抽出用変数算出処理手段が構成され、該周波数成分抽出用変数算出処理手段は、周波数成分抽出用変数算出処理を行い、所定の周波数成分抽出用変数としての前記d軸電流id及びq軸電流iqを算出する。
【0054】
本実施の形態においては、前記バンドパスフィルタ81はプログラムによって構成されるが、ハードウェアによって構成することもできる。
【0055】
次に、前記異常判定処理手段の判定条件成立判断処理手段は、判定条件成立判断処理を行い、前記周波数成分Ivd、Ivqの振幅Iad、Iaq
Iad=F(Ivd)
Iaq=F(Ivq)
を算出する。なお、F(Ivd)、F(Ivq)は、それぞれ、周波数成分Ivd、Ivqを変数とする関数を表す。また、前記振幅Iad、Iaqは、振動のレベルを表す振動指標値を構成する。
【0056】
続いて、前記判定条件成立判断処理手段は、前記振幅Iadの絶対値が閾(しきい)値Iadthより大きいか、又は振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqthより大きいかどうかによって判定条件が成立するかどうかを判断する。そして、前記振幅Iadの絶対値が閾値Iadthより大きいか、又は振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqthより大きい場合、前記判定条件成立判断処理手段は、判定条件が成立すると判断し、前記振幅Iadの絶対値が閾値Iadth以下であり、かつ、振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqth以下である場合、前記判定条件成立判断処理手段は、判定条件が成立しないと判断する。
【0057】
続いて、前記判定条件が成立する場合、前記異常判定処理手段の異常発生判断処理手段91は、異常発生判断処理を行い、電動駆動装置に異常が発生したと判断し、ドライブ回路51によって発生させられ、インバータ40に送られるゲート信号をオフにして、駆動モータ31のシャットダウンを行う。
【0058】
このように、実際の検出電流iu、iv、iwに基づいてd軸電流id及びq軸電流iqが算出され、d軸電流id及びq軸電流iqに発生する振動の周波数成分Ivd、Ivqに基づいて各相の電流Iu、Iv、Iwが異常であるかどうかを判断し、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断するようになっているので、異常が発生したかどうかの判断を確実に行うことができる。
【0059】
例えば、短絡によって過電流、過電圧、過熱等の現象が起こった場合に、異常が発生したと判断することができるだけでなく、過電流、過電圧、過熱等の現象が起こらない場合、例えば、トランジスタTr1〜Tr6が破損したり、ゲート信号線等が断線したりして、前記電動駆動装置に開放による異常が発生した場合においても、異常が発生したと判断することができる。
【0060】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 フィルタ係数fk及びサンプリング周期τsを算出する。
ステップS2 振幅Iad、Iaqを算出する。
ステップS3 振幅Iadの絶対値が閾値Iadthより大きいか、又は振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqthより大きいかどうかを判断する。振幅Iadの絶対値が閾値Iadthより大きいか、又は振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqthより大きい場合はステップS4に進み、振幅Iadの絶対値が閾値Iadth以下であり、かつ、振幅Iaqの絶対値が閾値Iaqth以下である場合は処理を終了する。
ステップS4 異常が発生したと判断し、シャトダウンを行い、処理を終了する。
【0061】
本実施の形態においては、所定の周波数成分抽出用変数としてd軸電流id及びq軸電流iqを算出し、該d軸電流id及びq軸電流iqに振動の周波数成分Ivd、Ivqが発生しているかどうかを判断するようにしているが、周波数成分抽出用変数としてd軸電流id及びq軸電流iqの電流指標Zを使用することもできる。
【0062】
その場合、異常判定処理手段に、UV−dq変換部61とは別に図示されない周波数成分抽出用変数算出処理手段が配設され、該周波数成分抽出用変数算出処理手段は、周波数成分抽出用変数算出処理を行い、前記電流指標Z
Z=√(id2 +iq2 )/√(3)
を算出する。
【0063】
続いて、異常判定処理手段の抽出処理手段としてのバンドパスフィルタは、抽出処理を行い、フィルタ係数fk及びサンプリング周期τsを読み込み、該サンプリング周期τsで前記電流指標Zを読み込み、電流指標Zのサンプリング値を前記RAMに記録する。そして、バンドパスフィルタは、前記フィルタ係数fkによって表される周波数領域において、電流指標Zに発生した振動の周波数成分Izを抽出し、出力する。
【0064】
次に、前記異常判定処理手段の判定条件成立判断処理手段は、判定条件成立判断処理を行い、前記周波数成分Izの振幅Iaz
Iaz=F(Iz)
を算出する。
【0065】
続いて、前記判定条件成立判断処理手段は、前記振幅Iazの絶対値が閾値Iazthより大きいかどうかによって判定条件が成立するかどうかを判断する。
そして、前記振幅Iazの絶対値が閾値Iazthより大きい場合、前記判定条件成立判断処理手段は、判定条件が成立すると判断し、前記振幅Iazの絶対値が閾値Iazth以下である場合、前記判定条件成立判断処理手段は、判定条件が成立しないと判断する。
【0066】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0067】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、電動駆動制御装置においては、電動機械と、該電動機械を駆動するためにコイルに電流を供給する電流供給部と、前記コイルに供給される電流を検出電流として検出する電流検出部と、前記検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段と、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段と、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段とを有する。
【0068】
この場合、実際の検出電流に基づいて周波数成分抽出用変数が算出され、該周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分が抽出され、該周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかが判断されるので、異常が発生したかどうかの判断を確実に行うことができる。
【0069】
例えば、短絡によって過電流、過電圧、過熱等の現象が起こった場合に、異常が発生したと判断することができるだけでなく、過電流、過電圧、過熱等の現象が起こらない場合、例えば、電流供給部を構成するスイッチング素子が破損したり、ゲート信号線等が断線したりして、前記電動駆動装置に開放による異常が発生した場合においても、異常が発生したと判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における電動駆動制御装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における電気自動車の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態における駆動モータ制御装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における駆動モータ制御装置の要部を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態における異常判定処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11〜13 ステータコイル
31 駆動モータ
33、34 電流センサ
40 インバータ
45 駆動モータ制御装置
61 UV−dq変換部
81 バンドパスフィルタ
91 異常発生判断処理手段
Claims (10)
- 電動機械と、該電動機械を駆動するためにコイルに電流を供給する電流供給部と、前記コイルに供給される電流を検出電流として検出する電流検出部と、前記検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段と、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段と、前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段とを有することを特徴とする電動駆動制御装置。
- 前記周波数成分抽出用変数は、d軸電流及びq軸電流である請求項1に記載の電動駆動制御装置。
- 前記周波数成分抽出用変数は、d軸電流及びq軸電流の実効値である請求項1に記載の電動駆動制御装置。
- 前記抽出処理手段は、所定の周波数領域の周波数成分を抽出するバンドパスフィルタである請求項1に記載の電動駆動制御装置。
- 前記周波数領域は電動機械の回転速度に対応させて変更される請求項4に記載の電動駆動制御装置。
- 前記抽出処理手段は、所定のサンプリング周期で前記周波数成分抽出用変数を読み込む請求項1に記載の電動駆動制御装置。
- 前記サンプリング周期は電動機械の回転速度に対応させて変更される請求項6に記載の電動駆動制御装置。
- 前記異常発生判断処理手段は、前記周波数成分の振幅に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する請求項1に記載の電動駆動制御装置。
- 電動機械を駆動するためにコイルに電流を供給し、前記コイルに供給される電流を検出電流として検出し、該検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出し、該周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出し、該周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断することを特徴とする電動駆動制御方法。
- コンピュータを、電流検出部によって検出された検出電流に基づいて、所定の周波数成分抽出用変数を算出する周波数成分抽出用変数算出処理手段、前記周波数成分抽出用変数に発生した所定の周波数成分を抽出する抽出処理手段、及び前記周波数成分に基づいて、電動駆動装置に異常が発生したかどうかを判断する異常発生判断処理手段として機能させることを特徴とする電動駆動制御方法のプログラム。
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