JP2005057374A - A/d変換装置およびマイクロコントローラ - Google Patents

A/d変換装置およびマイクロコントローラ Download PDF

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雄一朗 守田
Kohei Sakurai
康平 櫻井
Nobuyasu Kanekawa
信康 金川
Masatoshi Hoshino
雅俊 星野
Hiromichi Yamada
弘道 山田
Kotaro Shimamura
光太郎 島村
Satoshi Tanaka
敏 田中
Naoki Yada
直樹 矢田
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Abstract

【課題】従来と同等の記憶容量で各A/D変換におけるアナログ入力チャネルの選択パターンを増やし、また、基本的な機能のみを有するA/D変換装置を用いてCPUに負荷を与えることなくA/D変換を実行するA/D変換装置およびマイクロコントローラを提供する。
【解決手段】各アナログ入力チャネルをA/D変換するかどうかを設定するイネーブルビットとA/D変換の実行回数を設定する複数の回数ビットからなるエントリを1つまたは複数有するA/D変換テーブルをA/D変換装置またはDMA転送装置に備える。
これにより、従来のA/D変換テーブルに対して同程度の記憶容量で約n倍のアナログ入力チャネルの選択パターンを設定できる。また、DMA転送装置にA/D変換テーブルを備えることにより、基本的な機能のみを有するA/D変換装置を用いてもCPUに負荷を与えることなく任意のA/D変換を実行できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のアナログ入力チャネルからの信号をA/D変換(アナログ/デジタル変換)するA/D変換装置に関するものであり、特にマイクロコントローラに内蔵されるA/D変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のマイクロコントローラは、LSI技術の進展により多様な周辺回路を集積するようになってきている。特に、自動車制御システムに適用されるマイクロコントローラは、多数のセンサから得られるアナログ信号をA/D変換するA/D変換装置の役割が重要になってきている。
【0003】
従来のA/D変換装置は、中央演算処理装置(以下、CPUと呼ぶ)に負荷をかけることなく複数のアナログ入力チャネルからの信号をA/D変換するためにいくつかの工夫がなされている。
【0004】
例えば、特開平6−149479号公報(特許文献1)や特開2002−314418号公報(特許文献2)で開示された従来の技術では、A/D変換するアナログ入力チャネルの選択パターンを設定するために、複数のアナログ入力チャネル番号を記憶するA/D変換テーブルを備え、タイマなどによりA/D変換の起動がかかると、A/D変換テーブルに設定した順番でアナログ入力チャネルを選択してA/D変換を実行している。
【0005】
また、特開平8−162953号公報(特許文献3)で開示された従来の技術では、1つまたは複数のアナログ入力チャネルのA/D変換を繰り返して行う連続A/D変換動作モードにおいて変換結果を変換結果レジスタに格納するために、変換結果転送制御回路をA/D変換装置に設けている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−149479号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2002−314418号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平8−162953号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のA/D変換装置は、CPUに負荷をかけることなく複数のアナログ入力チャネルからの信号をA/D変換し、さらに変換結果を所定の場所に格納する上で一定の効果を上げている。
【0010】
一方、自動車制御システムなどでは機能の多様化が求められ、CPUの処理速度を向上させてより多くのタスクを実行させるようになってきている。このため、A/D変換におけるアナログ入力チャネルの選択パターンが増加する傾向にある。しかしながら、従来の技術では複数のビットからなるアナログ入力チャネル番号を多数記憶する大容量のA/D変換テーブルを必要とするので、多数のA/D変換テーブルを内蔵するためにはさらに大容量の記憶手段が必要となる。例えば、アナログ入力チャネル数が2チャネルの場合、アナログ入力チャネル番号はnビットで、2チャネル分を設定するA/D変換テーブルのビット数は2×nとなる。
【0011】
また、マイクロコントローラに内蔵されるA/D変換装置は、用途の異なる複数のマイクロコントローラに共通して適用されることが多い。この場合、機能の充実よりも低コストを優先したマイクロコントローラもあるので、基本的な機能のみを有するA/D変換装置を用いることになる。しかしながら、従来の技術ではA/D変換テーブルや変換結果転送制御回路などをA/D変換装置に設ける必要があり、A/D変換装置の共通化が困難である。
【0012】
本発明の目的は、従来と同等の記憶容量で各A/D変換におけるアナログ入力チャネルの選択パターンを増やし、また、基本的な機能のみを有するA/D変換装置を用いてCPUに負荷を与えることなくA/D変換を実行するA/D変換装置およびマイクロコントローラを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置において、各アナログ入力チャネルをA/D変換するかどうかを設定するイネーブルビットとA/D変換の実行回数を設定する複数の回数ビットからなるエントリを1つまたは複数有するA/D変換テーブルを備え、
A/D変換装置は、A/D変換が起動されるとそれに対応するエントリを参照してイネーブルビットがセットされているアナログ入力チャネルのA/D変換を回数ビットで設定された回数だけ繰り返し実行する。これにより、各A/D変換におけるアナログ入力チャネルの組み合わせの設定数を従来よりもより少ない記憶容量で増やすことができる。例えば、アナログ入力チャネル数が2チャネルの場合、従来はアナログ入力チャネル番号はnビットで、2チャネル分を設定するA/D変換テーブルのビット数は2×nとなるが、本発明によれば1つのエントリが2のイネーブルビットとnビットの回数ビットの合計2+nビットで構成されるので、従来のA/D変換テーブルに対して約n倍のアナログ入力チャネルの組み合わせが設定できる。
【0014】
また、複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置において、複数のA/D変換要求から1つのA/D変換要求を選択する要求選択手段と、複数のA/D変換要求の優先順位を設定する優先順位設定手段とを備え、要求選択手段は、複数のA/D変換要求が同時に発生した場合には優先順位設定手段を参照して優先順位が高いA/D変換要求を選択し、また、A/D変換中に新たなA/D変換要求が発生した場合には、優先順位設定手段を参照してA/D変換中のA/D変換要求よりも優先順位が高い場合には新たなA/D変換要求を選択する。これにより、複数のA/D変換要求の優先順位を任意に設定できる。
【0015】
また、複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置において、複数のA/D変換要求から1つのA/D変換要求を選択する要求選択手段と、複数のA/D変換要求の優先順位を設定する優先順位設定手段と、A/D変換を制御する変換制御手段と、複数のA/D変換要求の各々において変換すべきアナログ入力チャネルを設定する複数のエントリを有するA/D変換テーブルとを備え、要求選択手段は、複数のA/D変換要求が同時に発生した場合には優先順位設定手段を参照して優先順位が高いA/D変換要求を選択し、また、A/D変換中に新たなA/D変換要求が発生した場合には、優先順位設定手段を参照してA/D変換中のA/D変換要求よりも優先順位が高い場合には新たなA/D変換要求を選択し、変換制御手段は、要求選択手段が選択したA/D変換要求に対応するA/D変換テーブルのエントリを参照してA/D変換を制御し、また、A/D変換中に要求選択手段が新たなA/D変換要求を選択した場合には、A/D変換中の実行経過を一時的に退避してA/D変換を中断した後、新たなA/D変換要求のA/D変換を実行し、新たなA/D変換が終了した後、退避した実行経過を戻して中断したA/D変換を再開する。これにより、A/D変換を実行中にそれよりも緊急を要する新たなA/D変換が要求された場合には直ちに新たなA/D変換を実行することができる。
【0016】
また、メモリと、複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置と、A/D変換装置からメモリにA/D変換結果を転送するDMA転送装置とを有するマイクロコントローラにおいて、DMA転送装置は、A/D変換の対象となるアナログ入力チャネルを設定するA/D変換テーブルを備え、A/D変換が起動されるとA/D変換テーブルを参照してA/D変換装置のA/D変換を起動し、A/D変換が終了すると、変換結果をA/D変換装置からメモリに転送する。これにより、基本的な機能のみを有するA/D変換装置を用いてもCPUに負荷を与えることなく任意のA/D変換を実行できる。
【0017】
また、上記のマイクロコントローラにおいて、A/D変換装置は、A/D変換の対象となるアナログ入力チャネルを設定する制御レジスタと、DMA転送装置にDMA転送を要求するDMA要求信号とを備え、DMA転送装置は、A/D変換装置の制御レジスタにアナログ入力チャネルを設定することによりA/D変換を起動し、A/D変換後にA/D変換装置がDMA要求信号を出力するとDMA転送を開始する。これにより、A/D変換装置とDMA転送装置のインタフェースを簡素化できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、図1ないし図9を参照して、本発明にかかる第1の実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、第1の実施例における演算処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【0020】
演算処理システム1は、中央演算処理装置(以下、CPU)2と、メモリ3と、タイマ4と、A/D変換装置(以下、A/D変換装置)5を備えており、それぞれシステムバス6で接続されている。
【0021】
CPU2はシステムバス6を経由してメモリ3、タイマ4、A/D変換装置5にアクセスできる。
【0022】
メモリ3には演算処理プログラムやデータを格納する記憶手段であり、CPU2によって読み出しと書き込みが行われる。
【0023】
タイマ4は、所定の周期でA/D変換要求信号(ADREQt)を発生する。周期はCPU2によって設定される。
【0024】
A/D変換装置5は、外部から入力されるアナログ信号をデジタルデータに変換する装置であり、変換制御レジスタ51と、A/D変換テーブル52と、変換結果レジスタ53と、要求選択回路54と、変換制御回路55と、マルチプレクサ56と、A/D変換回路57と、インタフェース回路58と、外部端子である7チャネルのアナログ入力チャネル(AN0−AN7)とを有しており、制御レジスタ51、A/D変換テーブル52、結果レジスタ53はそれぞれ内部バス59でインタフェース回路58に接続されている。なお、本実施例では説明のためにアナログ入力を7チャネルとしているが、本発明は任意のチャネル数に対応できる。
【0025】
変換制御レジスタ51は、CPU2から書き込みや読み出しが可能であり、CPU2からの書き込みによってA/D変換を起動したり、A/D変換の状態を表示するレジスタである。
【0026】
A/D変換テーブル52は、複数のA/D変換要求のそれぞれに応じて選択するアナログ入力チャネルと変換回数を設定するものであり、CPU2によって書き込みや読み出しができる。
【0027】
変換結果レジスタ53は、A/D変換結果を格納するためのものである。
【0028】
要求選択回路54は、タイマ4のA/D変換要求信号(ADREQt)と、CPU2が変換制御レジスタ51に所定の値を書き込むことによって発生するA/D変換要求信号(ADREQr)と、外部端子からのA/D変換要求(ADREQe)から1つのA/D変換要求を選択して変換制御回路55に出力する。複数のA/D変換要求が発生した場合には、変換制御レジスタ51に設定された優先順位に従ってA/D変換要求を選択する。また、変換制御レジスタ51の設定に応じて、特定のA/D変換要求を選択しないようにすることもできる。
【0029】
変換制御回路55は、要求選択回路54からA/D変換要求の通知を受けると、そのA/D変換要求に対応する1つまたは複数のアナログ入力チャネルを順次選択してA/D変換を実行し、変換結果を変換結果レジスタ53の所定のアドレスに格納するように、変換テーブル52を参照してマルチプレクサ56とA/D変換回路57と変換結果レジスタ53を制御する。
【0030】
マルチプレクサ56は、複数のアナログ入力チャネルAN0―AN7のうち変換制御回路55が指定したチャネルを選択してA/D変換回路57に出力する。
【0031】
A/D変換回路57は、変換制御回路55から指示されたタイミングで、マルチプレクサ56が選択したアナログ入力チャネルをデジタル値に変換して変換結果レジスタ53に出力する。
【0032】
変換結果レジスタ53は、A/D変換回路57が出力した変換結果を、変換制御回路55から指示された指定されたアドレスに格納する。
【0033】
インタフェース回路58は、システムバス6と内部バス59を接続しており、CPU2はインタフェース回路58を経由して変換制御レジスタ51、A/D変換テーブル52、変換結果レジスタ53にアクセスできる。
【0034】
図2は、変換制御レジスタ51の形式を示す図である。
【0035】
変換制御レジスタ51は、A/D変換要求レジスタ(ADREQR)と、A/D変換モードレジスタ(ADMODR)と、A/D変換ステータスレジスタ(ADSTAR)と、A/D変換割込みレジスタ(ADINTR)とを有している。
【0036】
A/D変換要求レジスタ(ADREQR)は、A/D要求ビット(ADRQ)を有している。これはCPU2によってA/D変換を要求するためのものであり、CPU2がADRQをセットすると、A/D変換要求信号(ADREQr)を要求選択回路54に出力し、要求選択回路54がこのA/D変換要求を選択すると、ADRQはクリアされる。
【0037】
A/D変換モードレジスタ(ADMODR)は、各A/D変換要求を有効にするかまたは無効にするかを選択する3つのA/D変換要求イネーブル(ADREr、ADREt、ADREe)と、各A/D変換要求間の優先度を設定する3ビットのA/D変換優先度セレクタ(ARB[2−0])を有している。
【0038】
A/D変換要求イネーブル(ADREr、ADREt、ADREe)はそれぞれ、CPU2がADRQをセットすることによって要求選択回路54に入力されるA/D変換要求信号(ADREQr)、タイマ4から要求選択回路54に入力されるA/D変換要求信号(ADREQt)、外部端子から要求選択回路54に入力されるA/D変換要求信号(ADREQe)の各々に対応しており、要求選択回路54は、イネーブルがセットされているとそれに対応するA/D変換要求信号を有効と判断して選択対象とし、イネーブルがクリアされているとそれに対応するA/D変換要求信号を無効と判断して選択対象から除外する。
【0039】
A/D変換優先度セレクタ(ARB[2−0])は、000から101までの値のいずれかを設定することにより、ADREQr、ADREQt、ADREQeの各A/D変換要求間の優先順位を選択する。ARB[2−0]の各値におけるA/D変換要求間の優先順位は図3の通りとなる。
【0040】
A/D変換ステータスレジスタ(ADSTAR)は、A/D変換実行中を示す3つのA/D変換実行フラグ(ADFr、ADFt、ADFe)と、A/D変換終了を示す3つのA/D変換終了フラグ(ADEFr、ADEFt、ADEFe)とを有している。
【0041】
A/D変換実行フラグ(ADFr、ADFt、ADFe)はそれぞれ、ADREQr、ADREQt、ADREQeの各々のA/D変換要求によるA/D変換に対応しており、それぞれのA/D変換が開始された時にセットされ、A/D変換が終了した時にクリアされる。
【0042】
A/D変換終了フラグ(ADEFr、ADEFt、ADEFe)はそれぞれ、ADREQr、ADREQt、ADREQeの各々のA/D変換要求によるA/D変換に対応しており、それぞれのA/D変換が終了した時にセットされ、CPU2からの書き込みによってクリアされる。
【0043】
A/D変換インタラプトレジスタ(ADINTR)は、各A/D変換要求によるA/D変換が全て終了した時にCPU2に対して割り込み信号(INTA)を出力するかどうかを選択する3つのA/Dインタラプトイネーブル(ADIEr、ADIEt、ADIEe)を有している。
【0044】
A/Dインタラプトイネーブル(ADIEr、ADIEt、ADIEe)はそれぞれ、ADREQr、ADREQt、ADREQeの各々のA/D変換要求によって実行されるA/D変換に対応しており、変換制御回路55は、イネーブルがセットされているとA/D変換終了後に割り込みを発生し、イネーブルがクリアされているとA/D変換終了後に割り込みを発生しない。
【0045】
図4は、A/D変換テーブル52の形式を示す図である。
【0046】
A/D変換テーブル52は、3つのエントリ(ADENTr、ADENTt、ADENTe)を有しており、それぞれA/D変換制御レジスタ(ADCTLR)書き込みによるA/D変換と、タイマ4のA/D変換要求によるA/D変換と、外部端子TRGからのA/D変換要求によるA/D変換に対応している。
【0047】
各エントリは、7チャネルのアナログ入力チャネルのそれぞれに対応する7ビットの変換イネーブルビット(AE0−AE7)と、3ビットの変換回数ビット(RE[2−0])を有している。
【0048】
変換イネーブルビット(AE0−AE7)はそれぞれ、アナログ入力(AN0−AN7)をA/D変換するかどうかを設定するものであり、変換制御回路55は、要求選択回路54が選択したA/D変換要求に対応するエントリを読み出し、変換イネーブルビットをAE0、AE2、AE3、・・・、AE7の順序でサーチしながら変換イネーブルビットがセットされているアナログ入力のA/D変換を逐次実行する。
【0049】
変換回数ビット(RE[2−0])は、変換イネーブルビットでセットされているアナログ入力の一連のA/D変換の繰り返し回数を設定するものであり、変換制御回路55は、変換イネーブルビットをAE0、AE2、AE3、・・・、AE7の順序でサーチしながら変換イネーブルビットがセットされているアナログ入力のA/D変換を逐次実行する動作をRE[2−0]に設定された回数だけ繰り返す。
【0050】
図5は、変換結果レジスタ53の形式を示す図である。
【0051】
変換結果レジスタ53は、3つの結果データバッファ(ADBUFr、ADBUFt、ADBUFe)を有しており、各結果データバッファはそれぞれN個の結果レジスタ(ADDx0−ADDx(N−1))を有している。3つの結果データバッファ(ADBUFr、ADBUFt、ADBUFe)はそれぞれ、CPU2がADRQをセットすることによって要求選択回路54に入力されるA/D変換要求信号(ADREQr)、タイマ4から要求選択回路54に入力されるA/D変換要求信号(ADREQt)、外部端子から要求選択回路54に入力されるA/D変換要求信号(ADREQe)の各々のA/D変換要求によるA/D変換に対応し、A/D変換要求に対応した結果データバッファに変換結果を格納する。なお、デジタルデータを格納する結果レジスタは、アナログ入力チャネル番号に関係なくADDx0、ADDx1、ADDx2、・・・の順序とする。A/D変換が再び起動されたら、ADDx0から格納することになる。
【0052】
図6は、変換制御回路55におけるA/D変換テーブル52の参照制御を示す状態遷移図である。
【0053】
要求待ち601は、A/D変換を実行しておらず、A/D変換要求を待っている状態を示す。
【0054】
エントリフェッチ602は、A/D変換要求を受けてそれに該当する変換テーブル52のエントリを読み出している状態を示す。
【0055】
A/D変換603は、読み出したエントリに基づいてA/D変換を実行している状態である。
【0056】
実行経過退避604は、実行中のA/D変換の実行経過を図示していないバッファまたはFIFOに退避している状態を示す。
【0057】
実行経過復帰605は、実行経過退避604で図示していないバッファまたはFIFOに退避した実行経過を元に戻している状態を示す。
【0058】
変換制御回路55は、最所に要求待ち601の状態にあり、要求選択回路54からA/D変換要求を受けるとエントリフェッチ602の状態に遷移して(611)、A/D変換テーブル52から対応するエントリを読み出す。その後、A/D変換603の状態に遷移して(612)A/D変換を実行し、実行中のA/D変換要求よりも優先度の高いA/D変換要求が発生することなく実行中のA/D変換が終了し、かつ、図示しないバッファまたはFIFOに実行経過が退避されていなければ要求待ち601の状態に遷移する(613)。
【0059】
また、変換制御回路55は、A/D変換603の状態にある時に実行中のA/D変換要求よりも優先度の高いA/D変換要求が発生した場合、実行経過退避604の状態に遷移して(614)、実行中のA/D変換の実行経過(どのアナログ入力チャネルまで変換したか、A/D変換を何回実行したか)を図示しないバッファまたはFIFOに格納し、優先度の高いA/D変換要求のA/D変換を実行するためにエントリフェッチ602の状態に遷移する(615)。
【0060】
また、変換制御回路55は、A/D変換603の状態で(612)A/D変換を実行し、実行中のA/D変換要求よりも優先度の高いA/D変換要求が発生することなく実行中のA/D変換が終了し、かつ、図示しないバッファまたはFIFOに実行経過が退避されていれば実行経過復帰605の状態に遷移して(617)、図示しないバッファまたはFIFOに退避した実行経過を元に戻し、その後A/D変換603の状態に遷移して(617)、中断していたA/D変換を再開する。
【0061】
以上により、変換制御回路55は優先度の高いA/D変換要求を待たせることは無く、また、バッファまたはFIFOに複数の実行経過を退避できるようにすることにより、優先度の低いA/D変換の実行を喪失することはない。
【0062】
図7は、変換制御回路55におけるA/D変換制御を示すフローチャート図である。
【0063】
変換制御回路55は、A/D変換要求を受けて変換テーブルから対応するエントリを読み出した後、以下のようにA/D変換を制御する。
【0064】
先ず、変数mにエントリの変換回数RE[2−0]の値を代入し(701)、変数nに0を代入する(702)。
【0065】
次に、エントリのAEnに1がセットされているかどうかを判定し(703)、AEnに1がセットされていれば、マルチプレクサ56にアナログ入力チャネルANnを選択させ(704)、選択したアナログ入力チャネルをA/D変換器57によってA/D変換し(705)、変換結果を変換結果レジスタ53に格納する(706)。一方、AEnに1がセットされていなければこれらの制御をキャンセルする。
【0066】
次に、nが31であるかどうか、即ち、最後のAEかどうかを判定し(707)、nが7でなければnに1を加算して(710)、次のアナログ入力チャネルANnのA/D変換を試みる。一方、nが7であればアナログ入力AN0―AN7の所望のA/D変換が完了したと判断し、A/D変換を再度繰り返すかどうを判断する。
【0067】
A/D変換の繰り返し判定においては、先ず、変数mが0であるかどうかを確認する(708)。変数mが0、即ち、RE[2−0]が0である場合には、A/D変換を無限に繰り返すと判断し、そのまま702に戻る。一方、変数mが0でなければ、RE[2−0]で指定された回数に達したかどうかを判定する。これは、アナログ入力AN0―AN7の所望のA/D変換を実行した後に変数mを減算するので、変数mが1であるかどうかで判定できる。変数mが1であればA/D変換を終了し、変数mが1でなければ702に戻る。
【0068】
なお、上記の制御は論理回路などのハードウェアを用いてパイプライン化することにより高速に処理できる。
【0069】
図8は、A/D変換装置5の動作例を示すタイムチャート図である。
【0070】
ADREQrはCPU2によるADREQのセットで発生するA/D変換要求、ADREQtはタイマ4のA/D変換要求、ADREQeは外部端子からのA/D変換要求を示している。要求選択は、要求選択回路54が変換制御回路55に出力するA/D変換要求を示している。制御状態は、変換制御回路55の変換テーブル参照の制御状態を示しており、Iは要求待ち状態、Fはエントリフェッチ状態、CはA/D変換状態、Sは実行経過退避状態、Rは実行経過復帰状態を示している。A/D変換はA/D変換の対象となるアナログ入力チャネル番号を示している。INTAは、変換制御回路55がCPU2に出力する割込み信号を示している。
【0071】
ADREQr、ADREQt、ADREQeのそれぞれに対応するA/D変換テーブル52のエントリは図9に示すように設定されているものとする。また、変換制御レジスタ51のADMODRは、ADREr、ADREt、ADREeの全てが“1”に、ARB[2−0]が“000”設定されいるものとする。即ち、3つのA/D変換要求はいずれも有効であり、優先順位はADREQr、ADREQt、ADREQeとなる。
【0072】
先ず、要求選択回路54は、タイマ4からADREQtが入力されると、A/D変換要求ADREQtを変換制御回路55に出力し、変換制御回路55は、エントリフェッチ状態に遷移してエントリADENTtを読み出し、A/D変換状態に遷移して変換イネーブルがセットされているアナログ入力を順次変換していく。
【0073】
要求選択回路54は、A/D変換の途中で高優先度のADREQrが入力されると、このA/D変換要求ADREQrを変換制御回路55に出力する。変換制御回路55は実行経過退避状態に繊維して1回目のアナログ入力チャネル3まで変換が終わったことをバッファまたはFIFOに退避し、その後エントリフェッチ状態に遷移してエントリADENTrを読み出し、A/D変換状態に遷移して変換イネーブルがセットされているアナログ入力を順次変換していく。
【0074】
また、要求選択回路54は、A/D変換の途中で低優先度のADREQeが入力されると、本要求を内部に保持して他の高優先度のA/D変換が終了した後に変換制御回路55に出力する。
【0075】
次に、変換制御回路55は、エントリADENTrのA/D変換が終了すると、要求選択回路54に変換終了を通知するとともにCPU2にINTAを出力する。要求選択回路54は、変換終了を受けると、先に出力していたADREQtを変換制御回路55に再び出力する。
【0076】
変換制御回路55は、実行経過復帰状態に繊維してエントリADENTtのA/D変換の実行経過を元に戻し、A/D変換状態に遷移してADREQtのA/D変換を再開する。
【0077】
次に、変換制御回路55は、エントリADENTtのA/D変換が終了すると、要求選択回路54に変換終了を通知するとともにCPU2に再びINTAを出力する。要求選択回路54は、変換終了を受けると、先に入力されたADREQeを変換制御回路55に出力する。
【0078】
変換制御回路55は、エントリフェッチ状態に遷移してエントリADENTeを読み出し、A/D変換状態に遷移して変換イネーブルがセットされているアナログ入力を順次変換していく。
【0079】
最後に、変換制御回路55は、エントリADENTeのA/D変換が終了すると、要求選択回路54に変換終了を通知するとともにCPU2に再びINTAを出力し、待ち状態に遷移する。
【0080】
以上、第1の実施例においては、A/D変換要求とA/D変換テーブル52内のエントリの数を3として説明したが、A/D変換要求とエントリをそれぞれ2以下にしてもよいし4つ以上にしてもよい。また、アナログ入力チャネル数を7チャネルとして説明したが、アナログ入力チャネル数を6チャネル以下にしてもよいし8チャネル以上にしてもよい。
【0081】
次に、図10ないし図16を参照して、本発明にかかる第2の実施例を図面に基づいて説明する。
【0082】
図10は、第2の実施例における演算処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【0083】
第2の演算処理システム10は、中央演算処理装置(以下、CPUと呼ぶ)2と、メモリ3と、タイマ4と、A/D変換装置(以下、A/D変換装置と呼ぶ)5と、ダイレクトメモリアクセス(以下、DMAと呼ぶ)転送装置7と、バスブリッジ8とを備えており、CPU2、メモリ3、DMA転送装置7はシステムバス6に接続され、タイマ4、A/D変換装置5、DMA転送装置7は周辺バス9に接続され、システムバス6と周辺バス7はバスブリッジ9によって接続されている。システムバス6はCPU2とDMA転送装置7がメモリ3に短時間でアクセスできるよう高速にしており、周辺バス9は多数の周辺モジュールを接続するためにシステムバス6よりも低速にしている。なお、周辺バス7とシステムバス6が同じ速度でも構わない。また、システムバス6や周辺バス7の代わりにスイッチ回路を用いて接続してもよい。
【0084】
CPU2は、システムバス6を経由してメモリ3にアクセスし、また、システムバス6とバスブリッジ8と周辺バス9を経由してタイマ4、A/D変換装置5、DMA転送装置7にアクセスする。
【0085】
メモリ3は、演算処理プログラムやデータを格納する記憶手段であり、CPU2によって読み出しと書き込みが行われ、また、DMA転送装置7によってデータの書き込みが行われる。
【0086】
タイマ4は、所定の周期でA/D変換要求信号(ADREQt)を発生する。周期はCPU2によって設定される。
【0087】
A/D変換装置5は、外部から入力されるアナログ信号をデジタルデータに変換する装置であり、変換制御レジスタ51と、変換結果レジスタ53と、変換制御回路55と、マルチプレクサ56と、A/D変換回路57と、インタフェース回路58と、外部端子である7チャネルのアナログ入力チャネル(AN0−AN7)とを有している。変換制御レジスタ51、変換結果レジスタ53はそれぞれ内部バス59を介してインタフェース回路58に接続されている。なお、本実施例では説明のためにアナログ入力を7チャネルとしているが、本発明は任意のチャネル数に対応できる。
【0088】
変換制御レジスタ51は、A/D変換の起動やA/D変換の状態表示を行うものであり、CPU2とDMA転送装置7によって書き込みや読み出しができる。CPU2とDMA転送装置7は変換制御レジスタ51に所定の値を書き込むことによってA/D変換を起動することができ、また、A/D変換の状態を読み出すことができる。
【0089】
変換結果レジスタ53は、A/D変換結果を格納するためのものである。
【0090】
変換制御回路55は、CPU2またはDMA転送装置7による制御レジスタ51への書き込みでA/D変換が起動されると、変換制御レジスタ51に設定されたアナログ入力チャネルを選択してA/D変換を実行し、変換結果を変換結果レジスタ53の所定のアドレスに格納するように、マルチプレクサ56とA/D変換回路57と変換結果レジスタ53を制御する。また、変換制御回路55は、A/D変換が終了すると、DMA転送装置7にDMA転送要求信号(DREQ)を出力し、DMA転送装置7からDMA要求受理信号(DRACK)を受信すると、DREQの出力を解除する。
【0091】
マルチプレクサ56は、複数のアナログ入力チャネルAN0―AN7のうち変換制御回路55が指定したチャネルを選択してA/D変換回路57に出力する。
【0092】
A/D変換回路57は、変換制御回路55から指示されたタイミングで、マルチプレクサ56が選択したアナログ入力チャネルをデジタル値に変換して変換結果レジスタ53に出力する。
【0093】
変換結果レジスタ53は、A/D変換回路57が出力した変換結果を、変換制御回路55から指示された指定されたアドレスに格納する。
【0094】
インタフェース回路58は、周辺バス9と内部バス59を接続しており、CPU2やDMA転送装置7はインタフェース回路58を経由して変換制御レジスタ51と変換結果レジスタ53にアクセスできる。
【0095】
DMA転送装置7は、A/D変換結果をA/D変換装置5からメモリ3に転送する装置であり、転送制御レジスタ71と、A/D変換テーブル72と、転送データバッファ73と、要求選択回路74と、DMA制御回路75と、システムバスインタフェース回路76と、周辺バスインタフェース回路77とを有しており、転送制御レジスタ71、A/D変換テーブル72、転送データバッファ73はそれぞれ内部バス78を介して周辺バスインタフェース回路77に接続され、また、転送データバッファ73はシステムバスインタフェース回路76にも接続されている。
【0096】
一般的に、A/D変換装置5のような周辺装置からメモリ3のような記憶装置への直接的なデータ転送をダイナミックメモリアクセス(DMA)転送と呼ぶ。DMA転送はCPUを介さないので、CPUの処理負荷を削減することができる。
【0097】
転送制御レジスタ71は、DMA転送を制御するために必要な情報の設定やDMA転送の状態表示、さらには、A/D変換要求を行うものであり、CPU2によって書き込みや読み出しができる。CPU2は転送制御レジスタ71に所定の値を書き込むことによってA/D変換要求信号(ADREQr)を出力することができる。
【0098】
A/D変換テーブル72は、複数のA/D変換要求のそれぞれに応じて選択するアナログ入力チャネルと変換回数を設定するものであり、CPU2によって書き込みや読み出しができる。
【0099】
転送データバッファ73は、A/D変換装置5の変換結果レジスタ53からメモリ3に変換結果を転送する時に、変換結果を一時的に格納するバッファである。
【0100】
要求選択回路74は、タイマ4のA/D変換要求信号(ADREQt)と、CPU2が転送制御レジスタ71に所定の値を書き込むことによって発生するA/D変換要求信号(ADREQr)と、外部端子からのA/D変換要求(ADREQe)から1つのA/D変換要求を選択してDMA制御回路75に出力する。複数のA/D変換要求が発生した場合には、転送制御レジスタ71に設定された優先度に従ってA/D変換要求を選択する。また、転送制御レジスタ71の設定に応じて、特定のA/D変換要求を選択しないようにすることもできる。
【0101】
DMA制御回路75は、要求選択回路74からA/D変換要求が出力されると、A/D変換テーブル72を参照してそのA/D変換要求に対応するアナログ入力チャネルのA/D変換をA/D変換装置5に逐次要求し、A/D変換終了後に変換結果レジスタ53から変換結果を読み出してメモリ3にDMA転送する。A/D変換テーブル72の参照制御は、図6で説明した第1の実施形態のA/D変換制御回路55におけるA/D変換テーブル52の参照制御と同じである。
【0102】
なお、DMA制御回路75は、A/D変換装置5の変換制御レジスタ51にアナログ入力チャネル番号を書き込むことによってA/D変換を起動する。
【0103】
また、DMA制御回路75は、A/D変換装置5の変換制御回路55からDREQを受信すると、DRACKを出力して変換データのDMA転送を開始する。
【0104】
図11は、変換制御レジスタ51の形式を示す図である。
【0105】
変換制御レジスタ51は、A/D変換ステータスレジスタ(ADSTAR)と、A/D変換制御レジスタ(ADCTLR)とを有している。
【0106】
A/D変換ステータスレジスタ(ADSTAR)は、A/D変換実行中を示すA/D変換実行フラグ(ADF)と、A/D変換終了を示すA/D変換終了フラグ(ADEF)とを有している。
【0107】
A/D変換実行フラグ(ADF)は、A/D変換が開始された時にセットされ、A/D変換が終了した時にクリアされる。
【0108】
A/D変換終了フラグ(ADEF)は、A/D変換が終了した時にセットされ、CPU2からの書き込みまたはDMA制御回路75からのDRACK出力によってクリアされる。
【0109】
A/D変換制御レジスタ(ADCTLR)は、A/Dスタート(ADST)と、3ビットのチャネルセレクト(CH[2−0])を有している。これらはCPU2またはDMA転送装置7によってA/D変換を起動するためのものであり、CPU2またはDMA転送装置7がADSTをセットすると、A/D変換を開始し、A/D変換が終了するとクリアされる。
【0110】
図12は、転送制御レジスタ71の形式を示す図である。
【0111】
転送制御レジスタ71は、A/D変換要求レジスタ(ADREQR)と、A/D変換モードレジスタ(ADMODR)と、DMAステータスレジスタ(DMSTAR)と、DMAインタラプトレジスタ(DMINTR)と、DMA転送先アドレスレジスタ(DMARHr、DMARLr、DMARHt、DMARLt、DMARHe、DMARLe)とを有している。
【0112】
A/D変換要求レジスタ(ADREQR)は、A/D要求ビット(ADRQ)を有している。これはCPU2によってA/D変換を要求するためのものであり、CPU2がADRQをセットすると、A/D変換要求信号(ADREQr)を要求選択回路74に出力し、要求選択回路54がこのA/D変換要求を選択すると、ADRQはクリアされる。
【0113】
A/D変換モードレジスタ(ADMODR)は、各A/D変換要求を有効にするかまたは無効にするかを選択する3つのA/D変換要求イネーブル(ADREr、ADREt、ADREe)と、各A/D変換要求間の優先度を設定する3ビットのA/D変換優先度セレクタ(ARB[2−0])を有している。
【0114】
A/D変換要求イネーブル(ADREr、ADREt、ADREe)はそれぞれ、CPU2がADRQをセットすることによって要求選択回路74に入力されるA/D変換要求信号(ADREQr)、タイマ4から要求選択回路74に入力されるA/D変換要求信号(ADREQt)、外部端子から要求選択回路74に入力されるA/D変換要求信号(ADREQe)の各々に対応しており、要求選択回路74は、イネーブルがセットされているとそれに対応するA/D変換要求信号を有効と判断して選択対象とし、イネーブルがクリアされているとそれに対応するA/D変換要求信号を無効と判断して選択対象から除外する。
【0115】
A/D変換優先度セレクタ(ARB[2−0])は、000から101までの値のいずれかを設定することにより、ADREQr、ADREQt、ADREQeの各A/D変換要求間の優先度を選択する。ARB[2−0]の各値におけるA/D変換要求間の優先度は、第1の実施例と同様に図3の通りとなる。
【0116】
DMAステータスレジスタ(DMSTAR)は、DMA転送の終了を示す3つのDMA終了フラグ(DMEFr、DMEFt、DMEFe)を有している。
【0117】
DMA終了フラグ(DMEFr、DMEFt、DMEFe)はそれぞれ、ADREQr、ADREQt、ADREQeの各々のA/D変換要求によるA/D変換およびDMA転送に対応しており、各々のA/D変換およびDMA転送が終了した時にセットされ、CPU2からの書き込みによってクリアされる。
【0118】
DMAインタラプトレジスタ(DMINTR)は、各A/D変換要求によるA/D変換およびDMA転送が全て終了した時にCPU2に対して割り込み信号(INTD)を出力するかどうかを選択する3つのDMAインタラプトイネーブル(DMIEr、DMIEt、DMIEe)を有している。
【0119】
DMAインタラプトイネーブル(DMIEr、DMIEt、DMIEe)はそれぞれ、ADREQr、ADREQt、ADREQeの各々のA/D変換要求によって実行されるA/D変換およびDMA転送に対応しており、DMA制御回路75は、対応するイネーブルがセットされているとA/D変換およびDMA転送の終了後に割り込み信号(INTD)を出力し、対応するイネーブルがクリアされているとA/D変換およびDMA転送の終了後に割り込み信号(INTD)を出力しない。
【0120】
DMA転送先アドレスレジスタ(DMARHr、DMARLr)はそれぞれ、ADREQrによるA/D変換およびDMA転送に対応しており、ADREQrによるA/D変換データをメモリ3に転送する際の先頭アドレスの上位16ビットと下位16ビットを設定する。DMA制御回路75は、ADREQrによるA/D変換で得られる1つないし2つ以上の変換データを、メモリ3のアドレスARr[31−0]を先頭とする領域に転送する。
【0121】
DMA転送先アドレスレジスタ(DMARHt、DMARLt)はそれぞれ、ADREQtによるA/D変換およびDMA転送に対応しており、ADREQtによるA/D変換データをメモリ3に転送する際の先頭アドレスの上位16ビットと下位16ビットを設定する。DMA制御回路75は、ADREQtによるA/D変換で得られる1つないし2つ以上の変換データを、メモリ3のアドレスARt[31−0]を先頭とする領域に転送する。
【0122】
DMA転送先アドレスレジスタ(DMARHe、DMARLe)はそれぞれ、ADREQeによるA/D変換およびDMA転送に対応しており、ADREQeによるA/D変換データをメモリ3に転送する際の先頭アドレスの上位16ビットと下位16ビットを設定する。DMA制御回路75は、ADREQeによるA/D変換で得られる1つないし2つ以上の変換データを、メモリ3のアドレスARe[31−0]を先頭とする領域に転送する。
【0123】
図13は、変換結果レジスタ53の形式を示す図である。
【0124】
変換結果レジスタ53は、7ワードの記憶領域(ADD0−ADD7)を有している。各ワードはそれぞれ、アナログ入力チャネル(AN0−7)に対応しており、各アナログ入力チャネルの変換結果はそれに対応する変換結果レジスタに格納される。また、変換結果レジスタ53の先頭アドレスを“a”とした場合、各ワードADD0、ADD1、ADD2、・・・、ADD7のアドレスはそれぞれ“a”、“a+1” 、“a+2” 、・・・、“a+7” 、となる。
【0125】
図14は、DMA制御回路75におけるA/D変換起動およびDMA転送の制御を示すフローチャート図である。
【0126】
DMA制御回路75は、要求選択回路74からA/D変換要求を受けてA/D変換テーブル72から対応するエントリを読み出した後、以下のようにA/D変換起動とDMA転送を制御する。
【0127】
先ず、変数mにエントリの変換回数RE[2−0]の値を代入し(1401)、変数nに0を代入する(1402)。
【0128】
次に、エントリのAEnに1がセットされているかどうかを判定し(1403)、AEnに1がセットされていれば、A/D変換制御レジスタ(ADCTLR)のADSTをセットして、かつ、CH[4−0]にn(AEnに対応するアナログ入力チャネル番号)を設定してA/D変換を起動し(1404)、その後、A/D変換制御回路がDREQ信号を出力するまで待つ(1405)。
【0129】
A/D変換制御回路がDREQ信号を出力すると、DMA制御回路75はDRACK信号を出力し(1406)、変換結果のDMA転送を実行する(1407)。
【0130】
本DMA転送においては、変換結果レジスタ53の先頭アドレスにアナログ入力チャネル番号を加算したアドレスを転送元のワードアドレス、転送制御レジスタ71のDMA転送先アドレスレジスタにアナログ入力チャネル番号を加算したアドレスを転送先のワードアドレスとする。あるいは、転送制御レジスタ71のDMA転送先アドレスレジスタを順次インクリメントしたアドレスを転送先のワードアドレスとしてもよい。
【0131】
一方、1403においてAEnに1がセットされていなければこれらの制御をキャンセルする。
【0132】
次に、nが7であるかどうか、即ち、最後のAEかどうかを判定し(1408)、nが7でなければnに1を加算して(1411)、次のアナログ入力チャネルANnのA/D変換を試みる。一方、nが7であればアナログ入力AN0―AN7の所望のA/D変換が完了したと判断し、A/D変換を再度繰り返すかどうを判断する。
【0133】
A/D変換の繰り返し判定においては、先ず、変数mが0であるかどうかを確認する(1409)。変数mが0、即ち、RE[2−0]が0である場合には、A/D変換を無限に繰り返すと判断し、そのまま1402に戻る。一方、変数mが0でなければ、RE[2−0]で指定された回数に達したかどうかを判定する(1410)。これは、アナログ入力AN0―AN7の所望のA/D変換を実行した後に変数mを減算するので、変数mが1であるかどうかで判定できる。変数mが1であればA/D変換を終了し、変数mが1でなければ1402に戻る。
【0134】
なお、上記の制御は論理回路などのハードウェアを用いてパイプライン化することにより高速に処理できる。
【0135】
図15は、DMA転送装置7によるA/D変換結果のDMA転送の動作例を示すタイムチャート図である。本図では、アナログ入力チャネルAN1、AN2、AN3の3チャネルのA/D変換を実行し、変換結果をメモリ3にDMA転送する動作を示している。
【0136】
ADCTLR書き込みは、DMA転送装置7がA/D変換装置5のA/D変換を起動するために行う変換制御レジスタ51のADCTLRへの書き込みを示し、A/D変換は、DMA転送装置7のADCTLR書き込みによって起動されたA/D変換装置5のA/D変換を示している。また、DMA転送、Iは要求待ち状態、Fはエントリフェッチ状態、CはA/D変換状態、Sは実行経過退避状態、Rは実行経過復帰状態を示している。また、A/D変換はA/D変換の対象となるアナログ入力チャネル番号を示している。
【0137】
DMA転送装置7は、A/D変換要求が発生するとそれに対応するA/D変換テーブル72のエントリを参照し、ADCTLRのCH[2−0]にアナログ入力チャネルAN1のチャネル番号を書き込むとともにADREQをセットする。
【0138】
A/D変換装置5は、ADCTLRのADREQがセットされるとCH[2−0]に設定されたアナログ入力チャネルAN1を選択してA/D変換を行い、変換結果を変換結果レジスタ53に格納してDREQを出力する。
【0139】
DMA転送装置7は、DREQが出力されるとDRACKを出力し、ADCTLRのCH[2−0]にアナログ入力チャネルAN2のチャネル番号を書き込むとともにADREQをセットする。また、変換結果レジスタ53からアナログ入力チャネルAN1の変換結果を読み出して転送バッファ73に格納する。
【0140】
DMA転送装置7は、上記の動作をアナログ入力チャネルAN3まで実行した後、転送バッファ73に格納されたアナログ入力チャネルAN1、AN2、AN3の変換結果をメモリ3に転送し、その後CPU2にINTDを出力する。
【0141】
なお、上記の動作では、DMA転送装置7は全てのアナログ入力チャネルの変換結果を転送バッファ73に格納した後にメモリ3に転送しているが、各アナログ入力チャネルの変換結果を転送バッファ73に格納する毎にメモリ3に転送してもよい。
【0142】
以上、第2の実施例においては、A/D変換要求とA/D変換テーブル72内のエントリの数を3として説明したが、A/D変換要求とエントリをそれぞれ2以下にしてもよいし4つ以上にしてもよい。また、アナログ入力チャネル数を7チャネルとして説明したが、アナログ入力チャネル数を6チャネル以下にしてもよいし8チャネル以上にしてもよい。
【0143】
【発明の効果】
各アナログ入力チャネルをA/D変換するかどうかを設定するイネーブルビットとA/D変換の実行回数を設定する複数の回数ビットからなるエントリを1つまたは複数有するA/D変換テーブルを用いており、1つのエントリが2のイネーブルビットとnビットの回数ビットの合計2+nビットで構成されるので、従来のA/D変換テーブルに対して同程度の記憶容量で約n倍のアナログ入力チャネルの組み合わせが設定できる。
【0144】
また、DMA転送装置にA/D変換の対象となるアナログ入力チャネルを設定するA/D変換テーブルを備え、これを参照してA/D変換装置のA/D変換を起動し、変換結果をメモリにDMA転送することにより、基本的な機能のみを有するA/D変換装置を用いてもCPUに負荷を与えることなく任意のA/D変換を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における演算処理システムの概略構成を示す図である。
【図2】変換制御レジスタの形式を示す図である。
【図3】ARB[2−0]の各値におけるA/D変換要求間の優先順位を示す図である。
【図4】A/D変換テーブルの形式を示す図である。
【図5】変換結果レジスタの形式を示す図である。
【図6】変換制御回路におけるA/D変換テーブルの参照制御を示す状態遷移を示す図である。
【図7】変換制御回路におけるA/D変換制御を示すフローチャートである。
【図8】A/D変換装置の動作例を示すタイムチャートである。
【図9】A/D変換テーブルのエントリの設定例を示す図である。
【図10】第2の実施例における演算処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図11】変換制御レジスタの形式を示す図である。
【図12】転送制御レジスタの形式を示す図である。
【図13】変換結果レジスタの形式を示す図である。
【図14】DMA制御回路におけるA/D変換起動およびDMA転送の制御を示すフローチャートである。
【図15】DMA転送装置によるA/D変換結果のDMA転送の動作例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1…演算処理システム、2…CPU、3…メモリ、4…タイマ、5…A/D変換装置、6…システムバス。

Claims (7)

  1. 複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置において、
    前記各アナログ入力チャネルをA/D変換するかどうかを設定するイネーブルビットとA/D変換の実行回数を設定する複数の回数ビットからなるエントリを1つまたは複数有するA/D変換テーブルを備えることを特徴とするA/D変換装置。
  2. 複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置において、
    前記各アナログ入力チャネルをA/D変換するかどうかを設定するイネーブルビットとA/D変換の実行回数を設定する複数の回数ビットからなるエントリを1つまたは複数有するA/D変換テーブルを備え、
    A/D変換が起動されるとそれに対応する前記エントリを参照して前記イネーブルビットがセットされている前記アナログ入力チャネルのA/D変換を前記回数ビットで設定された回数だけ繰り返し実行することを特徴とするA/D変換装置。
  3. 複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置において、
    複数のA/D変換要求から1つのA/D変換要求を選択する要求選択手段と、複数のA/D変換要求の優先順位を設定する優先順位設定手段とを備え、
    前記要求選択手段は、複数のA/D変換要求が同時に発生した場合には前記優先順位設定手段を参照して優先順位が高いA/D変換要求を選択し、また、A/D変換中に新たなA/D変換要求が発生した場合には、前記優先順位設定手段を参照してA/D変換中のA/D変換要求よりも優先順位が高い場合には新たなA/D変換要求を選択することを特徴とするA/D変換装置。
  4. 複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置において、
    複数のA/D変換要求から1つのA/D変換要求を選択する要求選択手段と、複数のA/D変換要求の優先順位を設定する優先順位設定手段と、A/D変換を制御する変換制御手段と、複数のA/D変換要求の各々において変換すべき前記アナログ入力チャネルを設定する複数のエントリを有するA/D変換テーブルとを備え、
    前記要求選択手段は、複数のA/D変換要求が同時に発生した場合には前記優先順位設定手段を参照して優先順位が高いA/D変換要求を選択し、また、A/D変換中に新たなA/D変換要求が発生した場合には、前記優先順位設定手段を参照してA/D変換中のA/D変換要求よりも優先順位が高い場合には新たなA/D変換要求を選択し、前記変換制御手段は、前記要求選択手段が選択したA/D変換要求に対応する前記A/D変換テーブルの前記エントリを参照してA/D変換を制御し、また、A/D変換中に要求選択手段が新たなA/D変換要求を選択した場合には、A/D変換中の実行経過を一時的に退避してA/D変換を中断した後、新たなA/D変換要求のA/D変換を実行し、新たなA/D変換が終了した後、退避した実行経過を戻して中断したA/D変換を再開することを特徴とするA/D変換装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のA/D変換装置を有するマイクロコントローラ。
  6. メモリと、複数のアナログ入力チャネルを備えるA/D変換装置と、A/D変換装置からメモリにA/D変換結果を転送するDMA転送装置とを有するマイクロコントローラにおいて、
    前記DMA転送装置は、A/D変換の対象となるアナログ入力チャネルを設定するA/D変換テーブルを備え、
    A/D変換が起動されると前記A/D変換テーブルを参照して前記A/D変換装置のA/D変換を起動し、A/D変換が終了すると、変換結果を前記A/D変換装置から前記メモリに転送することを特徴とするマイクロコントローラ。
  7. 請求項6に記載のマイクロコントローラにおいて、
    前記A/D変換装置は、A/D変換の対象となるアナログ入力チャネルを設定する制御レジスタと、前記DMA転送装置にDMA転送を要求するDMA要求信号とを備え、前記DMA転送装置は、前記A/D変換装置の前記制御レジスタに前記アナログ入力チャネルを設定することによりA/D変換を起動し、A/D変換後に前記A/D変換装置が前記DMA要求信号を出力するとDMA転送を開始することを特徴とするマイクロコントローラ。
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