JP2005054321A - 分割型ポリ乳酸系複合繊維 - Google Patents

分割型ポリ乳酸系複合繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】 生分解性を有し、分割性が良好であり、かつ不織布などにした際の風合いが非常にソフトな分割型ポリ乳酸系複合繊維を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸と生分解性を有するガラス転移温度が45℃以下の脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとから成る複合繊維であって、前記複合繊維断面において、ポリ乳酸が脂肪族−芳香族共重合ポリエステルによって複数個に分割されているか、又は脂肪族−芳香族共重合ポリエステルがポリ乳酸によって複数個に分割されており、かつ、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが繊維表面に露出することがなく、ポリ乳酸に覆われている複合形態を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生分解性を有する分割型のポリ乳酸系複合繊維に関するものである。
繊維断面において、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートのようなポリアルキレンテレフタレート成分が、これと非相溶のポリオレフィン、ポリアミド等によって複数個に分割された複合形態を有する分割型複合繊維や、前記複合繊維を用いた布帛・不織布に物理的な衝撃を付与して複合繊維を分割させ、極細繊維を生成させる方法は周知であり、このような分割型ポリエステル複合繊維については種々提案されている。(例えば特許文献1)。
しかし、ポリアルキレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアミドなどは、使用後に自然環境中に廃棄されると分解せずに蓄積し、環境を汚染するという問題があり、また焼却処理を行った場合でも、その発熱量が高いために焼却炉を傷めたり、有害ガスを発生する恐れがある。このため、近年の環境保全に対する社会的要求の高まりに伴い、微生物などにより分解可能な生分解性を有し、コンポストでの堆肥化処理が可能な生分解性の素材が求められるようになり、その開発が盛んに行われている。
このような取り組みのなかで、自然環境において分解される、環境にやさしい樹脂として、ポリ乳酸樹脂が注目されており、このポリ乳酸樹脂を使用した分割型複合繊維についても種々提案されている。
例えば、繊維断面において、ポリ乳酸によって、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ナイロンなどを分割するように配した複合繊維を、アルカリ溶液処理してポリ乳酸を溶解させ、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの細繊度糸を得る方法が提案されている(例えば特許文献2〜4)。
しかし、これらの分割型複合繊維は、ポリ乳酸自体を溶解させるため、ポリ乳酸自体の細繊度糸を得るには至っていない。
これを解決するために、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートなどの生分解性を示す脂肪族ポリエステルとの複合繊維を、物理的な衝撃によって分割させる繊維が提案されている(例えば特許文献5〜6)。しかし、これらのポリ乳酸と脂肪族ポリエステルとからなる分割型複合繊維は、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルに相溶性が若干あるため、特に分割数が多い場合などは分割性が悪いという問題があった。
また、ポリ乳酸繊維は剛性が強い反面、不織布の風合いが固いという問題点があり、その改善が望まれている。
特開平10−212624号公報 特開平8−35121号公報 特開平8−188922号公報 特開2003−119626号公報 特開平9−041223号公報 特開平9−217232号公報
本発明は、上記の問題を解決し、生分解性を有し、分割性が良好であり、かつ不織布などに加工した際の風合いが非常にソフトな分割型ポリ乳酸系複合繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(1)ポリ乳酸と生分解性を有するガラス転移温度が45℃以下の脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとから成る複合繊維であって、前記複合繊維断面において、ポリ乳酸が脂肪族−芳香族共重合ポリエステルによって複数個に分割されているか、又は脂肪族−芳香族共重合ポリエステルがポリ乳酸によって複数個に分割されており、かつ、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが繊維表面に露出することがなく、ポリ乳酸に覆われている複合形態を有することを特徴とする分割型ポリ乳酸系複合繊維。
(2)上記(1)記載の分割型ポリ乳酸系複合繊維を使用した不織布。
本発明の分割型ポリ乳酸系複合繊維は、生分解性を有する脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとポリ乳酸とで構成されているので、繊維も生分解性を有しており、また、前記二成分は相溶性が乏しいので、物理的な衝撃による分割性が良好である。
さらに、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルはガラス転移温度が45℃以下なので、この繊維を使用した不織布などは、繊維の分割後に風合いが非常にソフトになり、しかも、分割前の複合繊維の状態では脂肪族−芳香族共重合ポリエステルがポリ乳酸に覆われているので、紡糸、延伸工程などの製糸工程で単糸同士が密着することもなく、安定して製造できるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の分割型ポリ乳酸系複合繊維は、その繊維断面において、ポリ乳酸が脂肪族−芳香族共重合ポリエステルによって複数個に分割されているか、又は脂肪族−芳香族共重合ポリエステルがポリ乳酸によって複数個に分割されている複合繊維である。
本発明の複合繊維の一方を形成する脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、少なくとも構成成分として脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを有する共重合ポリエステルであって、そのガラス転移温度は45℃以下であることが必要であり、より好ましくは0℃以下である。ガラス転移温度の下限は特に限定されるものではないが、通常使用される熱可塑性樹脂で最も低いもので−20〜−40℃程度であり、−40℃以上のものであれば好適に使用される。
本発明の複合繊維を使用した不織布などは、繊維の分割後に風合いが非常にソフトになるが、その理由は、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルのガラス転移温度が45℃以下と、常温に近いか、常温以下なので、ポリマーは非結晶状態で分子鎖同士の結合が弱く、このため、風合いがソフトになるものと推定される。
一方、ガラス転移温度が45℃を超えると、繊維の剛性が高くなり、この繊維や、この繊維を用いた紡績糸、不織布、布帛において、ソフトな風合いが得られなくなる。
また、上記の脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、生分解性を有していることが必要である。本発明において、生分解性を有するとは、例えばJIS K 6953に準ずる生分解率が60%以上であればよい。
脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが生分解性を有しない場合、ポリ乳酸が生分解性を有していても、複合繊維や不織布では、生分解性がないと判断されるため、本発明の効果が得られない。
このような脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを構成する脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。ポリ乳酸との相溶性を低くし、複合繊維の分割性を高めるために、芳香族ジカルボン酸の共重合量は全酸成分の10mol%以上が好ましく、30〜80mol%がより好ましい。
さらに、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。そして、これらから少なくとも1種以上選択して重縮合することにより、目的とする脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが得られ、必要に応じて、イソシアネートや酸無水物、エポキシ化合物、有機過酸化物などを用いて長鎖分岐を構造上持たせることもできる。また、生分解性に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合などを導入してもよい。
次に、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとともに本発明の複合繊維を形成するポリ乳酸としては、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリDL−乳酸、あるいはポリL乳酸とポリD乳酸の混合物(ステレオコンプレックス)のいずれでもよく、また数平均分子量は、3万〜15万であるものが好ましく、9万〜13万の範囲にあるものがより好ましい。数平均分子量が3万未満になると、溶融押出が困難となるだけでなく、繊維の機械的強力が低下する傾向を示す。また、数平均分子量が15万を超えると、溶融押出が困難となる。なお、本発明におけるポリ乳酸には、分子量の増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、有機過酸化物、ビスオキサゾリン化合物、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などが配合されていてもよい。
また、本発明において、ポリ乳酸がポリL−乳酸やポリD−乳酸である場合には、光学純度は95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。ポリ乳酸樹脂の光学純度とは、ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸が、L−乳酸を主体とする場合には、全乳酸におけるL−乳酸の含有率で表し、ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸が、D−乳酸を主体とする場合には、全乳酸におけるD−乳酸の含有率で表す。例えば、ポリ乳酸がL−乳酸95%、D−乳酸5%からなる場合には、このポリ乳酸樹脂の光学純度は95%となる。
本発明の複合繊維は、ポリ乳酸が脂肪族−芳香族共重合ポリエステルによって複数個に分割されているか、又は脂肪族−芳香族共重合ポリエステルがポリ乳酸によって複数個に分割されている複合形態を有している。本発明の複合繊維の横断面の具体例を模式的に図1で示すが、複合繊維の横断面は、これらに限定されるものではなく、扁平断面、中空断面など、周知の形状のいずれであってもよい。図1において、1はポリ乳酸成分、2は脂肪族−芳香族共重合ポリエステル成分を示しており、(A)は3葉断面、(B)は4葉断面、(C)は花弁型断面の複合繊維である。
ポリ乳酸成分と脂肪族−芳香族共重合ポリエステル成分との複合比率は、複合繊維の単糸繊度、複合形態、断面形態、分割数、分割後の繊維の単糸繊度等を考慮して決定すればよく、通常は95/5〜30/70、好ましくは90/10〜50/50の質量比の範囲で選択するのが好ましい。
また、本発明の複合繊維は、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが繊維表面に露出することがなく、ポリ乳酸樹脂に覆われていることが必要である。
本発明において、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、ガラス転移温度が45℃以下であるため、繊維の表面に一部でも露出していると、紡糸、延伸工程などの製糸工程において、単糸同士の密着が起こり、安定して製造することができなくなる。また、単糸同士が密着した複合繊維を分割しても、細繊度化することが困難となる。
上述したように、本発明の複合繊維は、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが繊維表面に露出することがなく、ポリ乳酸樹脂に覆われているが、例えば図1(A)、(B)、(C)のように脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは薄肉のポリ乳酸で覆われている部分があるので、物理的な衝撃により薄肉のポリ乳酸部分が破れ、細繊度化することができる。
本発明の不織布は、少なくともその一部に本発明の複合繊維を使用したものであり、不織布によりソフトな風合いを付与するためには、全部に本発明の複合繊維を使用したものが好ましい。
前述したように、本発明の複合繊維は、相溶性が乏しい脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとポリ乳酸とで構成されているので、この繊維あるいはこの繊維を使用した不織布や織編物に物理的な衝撃を与えることにより、繊維を良好に分割して細繊度化することができる。これらの繊維、紡績糸、不織布、織編物は、細繊度によるソフト性に加えて、ガラス転移温度が45℃以下の脂肪族ポリエステルから成る繊維が含まれるため、非常にソフトな風合いを有したものとなる。
本発明の複合繊維を分割する物理的な衝撃とは、延伸工程における機械クリンプ付与時などの製糸工程における物理的な衝撃や、混打綿、カード機などのウェブを作成する際の物理的な衝撃、ウェブをニードルパンチ、スパンレース処理などで不織布化する際の物理的な衝撃など、いずれでもよい。
本発明において、複合繊維の単糸繊度、繊維長などの繊維物性は、繊維に要求される特性に応じて適宜決定すればよく、分割数、分割後の単糸繊度にもよるが、生産性、操業安定性などの点から単糸繊度の範囲は概ね1〜6dtexである。
単糸繊度が1dtex未満では、目的とする断面形態が得られ難い場合があり、また、溶融紡糸する際の紡糸口金の単孔当たりの吐出量が低下し、生産量が低下する傾向を示す。一方、生産量を向上させるために、紡糸口金の孔数を増加させると、紡糸工程が不安定になりやすい。
また、単糸繊度が6dtexを超えると、分割後の繊度が太くなり、分割後に細繊度の単糸を得ようとすると分割数が多くなるため、煩雑な紡糸装置が必要となるため、好ましくない。
一方、分割数が多ければ分割後の繊度が小さくなるという利点があるが、逆に分割後の個々の形態が均一になり難いという問題もあり、実際には両成分の合計で分割数を4〜30とすることが好ましい。
また、本発明の複合繊維には、各種顔料、染料、撥水剤、吸水剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属粒子、結晶核剤、滑剤、可塑剤、抗菌剤、香料その他の添加剤を混合することができる。
次に、本発明の複合繊維の製造法について説明する。
まず、ポリ乳酸成分と脂肪族−芳香族共重合ポリエステル成分は、従来公知の溶融複合紡糸法で紡糸され、横吹付や環状吹付などの従来公知の冷却装置を用いて、吹付風により冷却された後、油剤を付与され、引き取りローラを介して未延伸糸として巻取機に巻取られる。
巻取られた未延伸糸は、公知の延伸機にて周速の異なるローラ群間で延伸され、必要に応じて油剤の付与が行なわれる。目的とする繊維が短繊維の場合は、必要に応じてクリンパーなどでの機械クリンプの付与を行い、ECカッター、ギロチンカッターなどのカッタ−で目的とする長さに切断すればよい。目的とする繊維が長繊維の場合は、そのまま捲き取り、必要に応じて、撚糸、仮撚加工等の加工を行う。
(実施例)
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における特性値等の測定法は、次の通りである。
(1)相対粘度(ηR)
フェノール/四塩化エタンの等質量混合溶液を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用して20℃で測定した。
(2)光学純度(%)
超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichiral OA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)(℃)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定した。
(4)生分解性
JIS K 6953に準じて測定した。生分解率60%以上を○、30%以上〜60%未満を△、30%未満を×とし、生分解率60%以上を合格とした。
(5)単糸繊度(dtex)
JIS L−1015 7−5−1−1Aの方法により測定した。
(6)単糸の密着
未延伸糸を5mmの長さにカットし、水に分散させ、単糸の密着の程度を観察し、次の3段階で評価した。
○:密着なし、 △:密着が一部見られる、 ×:ほとんどの単糸が密着している。
(7)不織布の通気度(cm3/cm2・sec)
カトーテック社製、通気性測定装置KESF−8型を用い、JIS L−1096の方法により測定した。通気度40cm3/cm2・sec以下を合格とした。
(8)不織布のソフト性
JIS L−1096−6−19−1Aに準じて、45度カンチレバー法により測定した。2×15cmの不織布片を、縦と横を測定するために5枚ずつ採取し、剛軟性を示す剛軟度は試験片が移動した長さで評価するものとし、各々5枚の表裏を測り、縦横それぞれについて平均値で表した。縦80mm、横40mm以下を合格とした。
光学純度が98.7%であり、[ηR]=1.870であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)にアジピン酸を50mol%共重合したガラス転移温度が−23℃の脂肪族−芳香族ポリエステルとを、孔数1014孔、繊維断面形状が図1の(B)に示すようなものとなる、分割数が5個(両成分の合計)であり、脂肪族−芳香族ポリエステルが繊維表面に露出することなく、ポリ乳酸樹脂に覆われるように配した四葉断面複合紡糸口金を用い、複合比を溶融容積比として50/50、紡糸温度230℃、紡糸速度1100m/分で溶融紡糸し、分割型ポリエステル複合繊維の未延伸糸を得た。
次いで、得られた未延伸糸を延伸温度60℃、延伸倍率3.50倍で延伸した後、押し込み式クリンパーにて機械捲縮を付与し、仕上げ油剤を付与後に切断し、繊度2.2dtex、繊維長51mmの分割型ポリ乳酸系複合繊維を得た。
得られた複合繊維をカード機で開繊し、目付80g/m2のウエブを作成した。次いで、このウエブを100メッシュスクリーンからなるネットコンベアーに載置し、孔径0.12mm、孔間隔1.0mmの噴射孔を複数個有する噴射ノズルを3段階に設け、前段1960kPa、中段2940kPa、後段2940kPaの水圧でウエブの表裏に水流交絡処理を施して、繊維が分割された不織布を得た。
PBTにアジピン酸を30mol%共重合した、ガラス転移温度が−15℃の脂肪族−芳香族ポリエステルを使用した以外は、実施例1の方法と同様にして、分割型ポリ乳酸系複合繊維と不織布を得た。
ポリエチレンテレフタレート(PET)にアジピン酸を30mol%共重合した、ガラス転移温度が10℃の脂肪族−芳香族ポリエステルを使用した以外は、実施例1の方法と同様にして、分割型ポリ乳酸系繊維と不織布を得た。
PETにエチレングリコール(EG)を50mol%、ε−カプロラクタム(ε−CL)を15mol%共重合した、ガラス転移温度が35℃の脂肪族−芳香族ポリエステルを使用した以外は、実施例1の方法と同様にして、分割型ポリ乳酸系複合繊維と不織布を得た。
孔数850、繊維断面形状が図1の(C)に示すようなものとなる、分割数が20個(両成分の合計)になる花弁型断面複合紡糸口金を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして、分割型ポリ乳酸系複合繊維と不織布を得た。
(比較例1)
PBTにアジピン酸を10mol%共重合した、ガラス転移温度が53℃の脂肪族−芳香族ポリエステルを使用した以外は、実施例1の方法と同様にして、分割型ポリ乳酸系繊維と不織布を得た。
(比較例2)
ガラス転移温度が25℃のPBTを脂肪族−芳香族ポリエステルとして使用した以外は、実施例1の方法と同様にして、分割型ポリ乳酸系繊維と不織布を得た。
(比較例3)
脂肪族−芳香族ポリエステルではなく、脂肪族ポリエステルであるポリブチレンサクシネート(PBS)を使用した以外は、実施例1の方法と同様にして、分割型ポリ乳酸系繊維と不織布を得た。
(比較例4)
繊維断面形状を、脂肪族−芳香族ポリエステルが繊維表面に露出するように配した四葉断面とした以外は実施例1の方法と同様にして、分割型ポリ乳酸系繊維を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた複合繊維と不織布の評価結果を表1に示す
Figure 2005054321
表1から明らかなように、実施例1〜5では、製糸工程での繊維の密着がなく、分割性が良好であり、ソフトな風合いを有する生分解性の不織布が得られた。
一方、比較例1は、脂肪族−芳香族ポリエステルのガラス転移温度が高いため、得られた不織布はソフト性に欠けるものであった。
また、比較例2は、脂肪族−芳香族ポリエステルとしてPBTを使用したので、ソフト性が良好な不織布が得られたが、PBTは生分解性を示さず、目的である生分解性の繊維、不織布は得られなかった。
比較例3は、脂肪族ポリエステルを使用したため、分割性が悪く、通気度が高くなり、得られた不織布もソフト性を欠くものであった。
さらに、比較例4は、脂肪族−芳香族ポリエステルが繊維の表面に露出していたため、紡糸工程での単糸の密着が著しく、不織布の作成は不可能であった。
本発明の分割型ポリ乳酸系複合繊維の横断面の実施態様を示す模式図である。
符号の説明
1 ポリ乳酸成分
2 脂肪族−芳香族共重合ポリエステル成分

Claims (2)

  1. ポリ乳酸と生分解性を有するガラス転移温度が45℃以下の脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとから成る複合繊維であって、前記複合繊維断面において、ポリ乳酸が脂肪族−芳香族共重合ポリエステルによって複数個に分割されているか、又は脂肪族−芳香族共重合ポリエステルがポリ乳酸によって複数個に分割されており、かつ、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが繊維表面に露出することがなく、ポリ乳酸に覆われている複合形態を有することを特徴とする分割型ポリ乳酸系複合繊維。
  2. 請求項1記載の分割型ポリ乳酸系複合繊維を使用した不織布。
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