JP2007191817A - 分割型複合短繊維及び短繊維不織布 - Google Patents

分割型複合短繊維及び短繊維不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】特に静電気の発生により繊維塊が発生しやすい乾式不織布の製造においても、空気攪拌による分割率が高く、極細繊維に容易に分割することによって、極細繊維からなり、未分割部が少なく均一性に優れ、ソフトな風合いを有し、かつ低通気度の不織布を得ることができる分割型複合短繊維及びこの分割型複合短繊維から分割された極細繊維を含有してなる短繊維不織布を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸系重合体Aとポリオレフィン系重合体Bの2成分からなる分割型複合繊維であって、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面において、ポリオレフィン系重合体の周囲に接してポリ乳酸系重合体が複数個配列された形状を呈しており、空気攪拌分割率が65%以上であり、繊維長が1.0〜30mm、単糸繊度が0.5〜20dtexである分割型複合短繊維。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリ乳酸系重合体とポリオレフィン系重合体の2成分からなる分割型の複合繊維であって、分割後はポリ乳酸短繊維とポリオレフィン短繊維となるものであって、両成分の分割率が高く、分割性に優れており、乾式不織布や湿式不織布等の不織布用途に好適に用いられる分割型複合短繊維に関するものであり、また、本発明は、本発明の分割型複合短繊維が分割して得られたポリ乳酸短繊維を含有してなる短繊維不織布に関するものである。
衛生材料分野をはじめとして、様々な分野において、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる短繊維を用い、均一に分散させて、バインダー樹脂による接着や熱風による接着、熱ロールによる圧着、高圧水流や金属針による交絡等により得られる乾式不織布や湿式不織布が使用されている。
中でも、ソフトな風合い、低通気度、ドレープ性、ワイピング性等に優れた不織布への要望が高く、このような不織布とするには、極細繊維からなる不織布とすることが提案されている。例えば特許文献1には、ウェブ状に堆積させた分割型複合繊維に高圧液体流を噴射することによって、繊維を分割させて極細繊維からなる不織布とすることが提案されている。
また、特許文献2や特許文献3には、複合繊維からなる不織布を得た後に、複合繊維の一方の成分を溶剤で溶かすことによって、得られた極細繊維からなる不織布が提案されている。
しかしながら、いずれの不織布も複合繊維を分割もしくは溶出させる際の処理速度が遅く、また処理方法が複雑でコストが高くなるという欠点があり、また複合繊維が十分に分割もしくは溶出しないために、得られる不織布の品位も十分満足できるものではなかった。
また、短繊維を用いて乾式不織布を得る方法としてエアレイド法がある。エアレイド法では、繊維を解繊して空気の流れにのせて搬送し、金網又は細孔を有するスクリーンを通過させた後、ワイヤーメッシュ上に落下堆積させる方法を採用するが、短繊維の解繊、搬送、分散、積層工程において、繊維−繊維間及び繊維−金属間の摩擦が大きく、静電気が発生しやすく、このため繊維塊が生成されるという問題が生じやすい。
繊維塊が生じると、各工程での通過性が悪化し、操業性が低下することはもちろん、得られる不織布においても堆積した繊維が不均一となり、斑の生じた不織布となり製品品位が著しく低下する。
今日では製品の高級化及び高機能化等の差別化のために、機能性を有する熱可塑性樹脂が多く用いられ、中には低温加工を必要とするもの、高粘着性を有する熱可塑性樹脂等が用いられ、従来の繊維に比べてさらに繊維−繊維間の摩擦及び繊維−金属間の摩擦が大きくなる繊維が使用されている。また、製造加工効率を向上させるために加工速度の高速化が図られている。これらの要因により、エアレイド法による製造工程における静電気の発生量は多くなり、繊維塊の発生も多くなっている。
このようなエアレイド法によって得られる不織布においても、極細繊維で構成され、十分な品位を有する不織布が求められている。しかしながら、静電気の発生により繊維塊が生成されると、分割型複合繊維の分割率が低下するため、極細繊維で構成され、斑のない品位の高い不織布を得ることが困難であるという問題があった。
特開昭62−133164号公報 特開昭62−78213号公報 特開昭56−154512号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、特に静電気の発生により繊維塊が発生しやすい乾式不織布の製造においても、空気攪拌による分割率が高く、極細繊維に容易に分割することによって、極細繊維からなり、未分割部が少なく均一性に優れ、ソフトな風合いを有し、かつ低通気度の不織布を得ることができる分割型複合短繊維及びこの分割型複合短繊維から分割された極細繊維を含有してなる短繊維不織布を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、次の(ア)、(イ)を要旨とするものである。
(ア)ポリ乳酸系重合体Aとポリオレフィン系重合体Bの2成分からなる分割型複合繊維であって、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面において、ポリオレフィン系重合体の周囲に接してポリ乳酸系重合体が複数個配列された形状を呈しており、空気攪拌分割率が65%以上であり、繊維長が1.0〜30mm、単糸繊度が0.5〜20dtexであることを特徴とする分割型複合短繊維。
(イ)(ア)記載の分割型複合短繊維を40質量%以上含有してなることを特徴とする短繊維不織布。
本発明の分割型複合短繊維は、空気攪拌による分割率が高く、ポリ乳酸短繊維とポリオレフィン短繊維の極細繊維に容易に分割するので、特に静電気の発生により繊維塊が発生しやすい乾式不織布の製造においても好適に使用することができる。そして、未分割部が少なく均一性に優れ、ソフトな風合いを有し、かつ通気度の低い、極細繊維からなる不織布を得ることが可能となる。
また、本発明の短繊維不織布は、本発明の分割型複合短繊維から分割された極細繊維を含有してなるものであるため、均一性とソフトな風合い、低通気度を有する不織布であり、様々な用途に使用することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の分割型複合短繊維(以下、複合短繊維と略する)は、ポリ乳酸系重合体(重合体Aとする)とポリオレフィン系重合体(重合体Bとする)の2成分からなり、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面において、重合体Bの周囲に接して重合体Aが複数個配列された形状を呈している。
つまり、図1〜3に示すように、重合体Bを主として、重合体Aがその周囲に複数個配列されたものであり、図1に示すものは、重合体Bを中心として重合体Aがその周囲に接して4個配列されているものである。図2に示すものは、重合体Bを中心として重合体Aがその周囲に接して8個配列されているものであり、図3に示すものは、重合体Bを中心として重合体Aがその周囲に接して12個配列されているものである。
重合体Bの周囲に配される重合体Aの個数は、2〜20個が好ましく、中でも3〜8個が好ましい。重合体A、Bの形状は特に限定されるものではなく、丸や楕円形状のもののみならず、三角や四角等の多角形のものであってもよい。これらの形状は、分割後に得られる繊維の形状や繊度、紡糸時の操業性を考慮して適宜選択すればよい。
さらには、重合体Aと重合体Bの複合割合は、得ようとする不織布等の製品の用途を考慮して適宜調整すればよいが、重合体Aの割合が50質量%以上であることが好ましく、中でも75質量%以上であることが好ましい。
次に、本発明の複合短繊維は、繊維長が1.0〜30mmであり、さらに好ましい繊維長は、2〜25mm、より好ましくは5〜15mmである。また、単糸繊度は0.5〜20dtexであり、好ましくは1.0〜15dtexである。なお、繊維長はJIS L1015 8.4.1(平均繊維長)A法に基づき測定したものであり、単糸繊度はJIS L1015 8.5.1(正量繊度)B法(簡便法)に基づき測定したものである。
繊維長が1.0mm未満であると、繊維の切断時に発生する熱で繊維同士の融着が起きやすくなる。一方、30mmを超えると、空気攪拌時に繊維同士の絡みによる繊維塊が生じて、繊維の分割率が低下する。
単糸繊度が0.5dtex未満であると、製糸時の操業性、生産性の面から好ましくない。一方、20dtexを超えると、分割後の繊維の繊度が十分に細くならず、極細繊維を得ることが困難となる。
さらに、本発明の複合短繊維は、空気攪拌分割率が65%以上である。空気攪拌分割率とは、空気中で攪拌した際に複合繊維が重合体Aからなるポリ乳酸短繊維と重合体Bからなるポリオレフィン短繊維に分割する割合を示すものである。つまり、本発明における空気攪拌分割率とは、以下のようにして測定、算出するものである。
本発明の複合短繊維を図7に示すような簡易空気流撹拌試験機を用い、100gの複合短繊維をサンプル送り込み用ブロア3から空気流にて撹拌タンク1に投入し、撹拌用ブロア2から20m/秒の空気流を吹き込み、攪拌タンク1内で1分間撹拌する。攪拌後の短繊維をサンプリング口4より取り出し、任意の10ケ所を選び、繊維断面の拡大写真を撮影する。撮影した10枚の写真中において複合繊維から分割された重合体A(ポリ乳酸短繊維)の数を数え、分割前の重合体Aの配列数より下記式にて算出する。
空気攪拌分割率(%)=(分割された重合体Aの数/分割前の重合体Aの配列数)×100
例:図5の模式図において、分割された重合体Aの数=9、分割前の重合体Aの配列数=12、分割率(%)=(9/12)×100=75
空気攪拌分割率が65%以上であることによって、空気攪拌により、ポリ乳酸短繊維とポリオレフィン短繊維の極細繊維に容易に分割するので、エアレイド法による乾式不織布を製造する場合はもちろんのこと、湿式不織布を製造する場合においても、未分割部の少ない、均一性に優れ、通気度の低い、ソフトな風合いの不織布を得ることが可能となる。空気攪拌分割率が65%未満であると、上記のような効果を奏することが困難となる。空気攪拌分割率は中でも70%以上、さらには75%以上であることが好ましい。
なお、図4に示すような、重合体A、Bを放射状に配列した複合短繊維の場合、空気攪拌による分割が難しくなり、空気攪拌分割率が低くなり、65%以上とすることができない。
さらに、本発明の複合短繊維は、捲縮が付与されていることが好ましく、中でも単糸の捲縮形態が捲縮部の最大山部において、山部の頂点と隣接する谷部の底点2点を結んだ三角形の高さ(H)と底辺(L)の比(H/L)が下記(1)式を満足することが好ましい。
(1)式:0.01T+0.10≦H/L≦0.02T+0.25
Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数
このような形状とすることにより、静電気の発生が少なくなり、短繊維同士が集合して繊維塊を生じることが格段に減少されるため、空気攪拌分割率も高いものとなる。
つまり、上記のような捲縮形態を満足する場合は、空気攪拌分割率を70%以上とすることができ、エアレイド法で乾式不織布を得る場合に特に好適である。さらには、後述するように、本発明の複合短繊維の捲縮形態が(1)〜(3)式を全て満足する場合は、空気攪拌分割率を75%以上とすることができる。
乾式不織布を得る場合、特にエアレイド法で製造する場合には、静電気の発生が多くなる。このエアレイド法に用いられる装置としては、例えば特開平5−9813号公報に開示されているような、複数の回転シリンダーをハウジング内に収納し、これらシリンダーを高速回転させることによってシリンダーの周縁に積極的に空気流を発生させ、この空気流によって繊維成分を所定方向に吹き飛ばし得る装置が挙げられる。そして、このエアレイド法によるウエブ形成(短繊維の解繊、搬送、分散、積層工程の全て)においては、空気流を積極的に発生させているために、繊維同士が摩擦され、また繊維と装置(金属製部材)との摩擦によっても静電気の発生が多くなる。
本発明の複合短繊維は、捲縮を有する繊維の形状を特定のものとすることで、ウェブ形成の各工程(解繊、搬送、分散、積層工程)において、繊維同士、繊維と金属間での摩擦による静電気を発生しにくく、かつ発生した静電気をためにくいものとなり、短繊維同士が集合して繊維塊を生じることが格段に減少される。
上記のような静電気の問題を考慮する場合、捲縮数が多く、捲縮が大きく又は強く付与されているほど形状的に電気をためやすいものとなる。つまり、繊維に捲縮が付与されていると、3次元的な立体形状を呈するため、その立体的な空間部分が多くなるほど静電気がたまりやすくなる。一方、捲縮がないフラットな状態となるほど、平面的な形状となり、静電気をためにくくなるが、繊維同士、あるいは繊維と金属との接触点(面)が増え、摩擦による静電気の発生が多くなる。
嵩高性を考慮する場合、捲縮がないフラットな状態とするほど得られる不織布の嵩高性は低下する。一方、捲縮が付与されているほど、得られる不織布の嵩高性は向上するが、繊維の嵩高性も高くなるため、ウエブ形成の工程中において、繊維同士が絡み合い、繊維塊を生じやすくなり、均一性に劣った不織布となりやすい。
また、静電気や繊維の絡み合いの問題、得られる不織布の風合い(嵩高性や柔軟性)は、単糸繊度によっても影響を受けるものである。つまり、静電気の問題においては、繊維同士あるいは繊維と金属との接触により静電気は発生するものなので、接触点や接触面の大きさを左右する単糸繊度の要因は大きいものとなる。また、捲縮により3次元的な立体形状を形成するので、単糸繊度はその空間部分の大きさを左右する要因となり、静電気をためる程度や繊維の絡みあいの程度を左右する要因となる。
そこで、本発明者等は、これらの要因を考えあわせて検討し、分割型複合短繊維の形状を、単糸繊度を考慮した特定の捲縮が付与された立体形状とすることにより、特に上記の効果(静電気、繊維絡みの防止と不織布風合いの向上)が向上され、さらに、分割型複合短繊維が空気攪拌で容易に分割され、前記した空気攪拌分割率もさらに高くなることを見出した。
まず、本発明の繊維は、図6に示すように、単糸の捲縮形態において、捲縮部の最大山部における山部の頂点Pと、隣接する谷部の底点Q、Rの2点を結んで三角形とし、この三角形の高さ(H)と底辺(L)の比(H/L)が下記(1)式を満足するものである。
ここで、最大山部とは、本発明の繊維の繊維長において複数の山部がある場合、山部の高さ(H)が最大のものをいう。
(1)式:0.01T+0.10≦H/L≦0.02T+0.25
捲縮の度合いを表すためには、一般的に捲縮率が用いられるが、捲縮率の測定方法は、荷重をかけたときと無荷重状態での長さの差から求めるものである。しかし、本発明においては、後述する捲縮率を規定した(3)式を満足していたとしても、繊維中の一部の捲縮部に立体形状の空間部分が大きくなるような、捲縮が大きくかかった部分があると、静電気をためやすく、繊維同士の絡み合いが生じやすくなる。そこで(1)式に規定するように、捲縮形態として最大山部における形態を特定のものとすることで、捲縮による空間部分の大きさを特定のものとし、これにより静電気や繊維の絡みによる繊維塊の発生を防ぐことが可能となる。
H/Lが大きすぎると、繊維の立体形状において、空間部分が大きくなり、静電気をためやすく、繊維の絡みが生じやすくなる。一方、H/Lが小さすぎると、繊維の形態がフラットに近いものとなり、繊維同士、あるいは繊維と金属との接触点(面)が多くなるため静電気が発生しやすく、繊維塊が生成し、空気攪拌分割率も低下する。このため、空気攪拌等の分割処理を行っても未分割部が多くなり、得られる不織布は均一性に乏しいものとなりやすい。
なお、H/Lの測定は次のとおりである。まず、短繊維1gを採取し、ここから任意に20本の単繊維を取り出す。そして、取り出した単繊維について拡大写真(約10倍)を撮り、その写真から上記したように、最大山部における、山部の頂点Pと隣接する谷部の底点Q、Rの2点を結んで三角形とし、三角形の高さ(H)と底辺(L)の長さを測定し、その比(H/L)を算出するものである。このようにして20本分の単繊維の測定を行い、その平均値をとる。
次に、本発明の複合短繊維は、(2)式:0.1T+3.8≦捲縮数≦0.3T+7.3 〔Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数〕を満足することが好ましい。この捲縮数とは、JIS L1015 8.12.1に基づき測定、算出したものである。なお、捲縮数の測定において繊維長が短い場合は、捲縮付与後、カット前の繊維において測定し、繊維長25mmあたりの個数に換算する。
捲縮数が(2)式より高くなると、3次元的な立体形状による空間部分となる捲縮部が多くなり、空気流での短繊維の送り込み、分散、解繊工程等において繊維間で発生した静電気をためやすくなり、また、繊維同士が絡みやすくなるため玉状の繊維塊が生成し、空気攪拌分割率が低下して好ましくない。一方、(2)式より低くなると、捲縮部が少なくなることから繊維の形態がフラットに近くなり、繊維同士あるいは繊維と金属との接触点(面)が多くなるため静電気の発生が生じやすく、玉状の繊維塊が生成し、空気攪拌分割率が低下して好ましくない。このため、空気攪拌等による分割処理を行っても未分割部が多くなり、得られる不織布は均一性に乏しいものとなる。
さらに、本発明の複合短繊維は、(3)式:0.8T+0.3≦捲縮率≦1.0T+4.9〔Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数〕を満足することが好ましい。この捲縮率とは、JIS L1015 8.12.2に基づき測定、算出したものである。なお、捲縮率の測定において繊維長が短くて測定が困難となる場合は、捲縮付与後、カット前の繊維において測定し、繊維長25mmあたりの個数に換算する。
捲縮率が(3)式より高くなると、3次元的な立体形状による空間部分が多く又は大きくなり、空気流での短繊維の送り込み、分散、解繊工程等において繊維間で発生した静電気をためやすくなり、また、繊維同士が交絡しやすくなるため、玉状の繊維塊が生成し、空気攪拌分割率が低下して好ましくない。一方、(3)式より低くなると、繊維の形態がフラットに近いものとなり、繊維同士、あるいは繊維と金属との接触点(面)が多くなるため静電気の発生が生じやすく、玉状の繊維塊が生成し、空気攪拌分割率が低下して好ましくない。このため、空気攪拌等による分割処理を行っても未分割部が多くなり、得られる不織布は均一性に乏しいものとなる。
次に、本発明の複合短繊維を構成するポリ乳酸系重合体としては、ポリ−D−乳酸と、ポリ−L−乳酸と、D−乳酸とL−乳酸との共重合体と、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体との群から選ばれる重合体、あるいはこれらのブレンド体や、L−乳酸とD−乳酸の混合物(ステレオコンプレックス)が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸を共重合する場合のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。これらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸が、微生物分解性能および低コストの点から好ましい。
いずれの重合体においても重合体の耐熱性を考慮すると、ポリ乳酸としてはポリ乳酸中のL−乳酸又はD−乳酸の一方の含有割合(共重合割合や混合割合)が97モル%以上のものとすることが好ましい。
また、本発明の複合短繊維を構成するポリオレフィン系重合体としては、炭素数2〜18の脂肪族α−モノオレフィンが挙げられ、中でもポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。必要に応じて他のオレフィンが共重合された共重合オレフィンとしてもよく、また、2種類以上のポリオレフィンを混合して用いてもよい。
さらに、本発明の複合短繊維中には、その効果を損なわない範囲で、酸化チタン等の艶消剤、ヒンダートフェノール系化合物等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、難燃剤、抗菌剤、導電性付与剤、親水剤、吸水剤等が配合されていてもよい。
そして、本発明の複合短繊維は、乾式不織布用途において、特にエアレイド法により製造する際に好適である。エアレイド法によると、繊維の生産機内へ搬送する際(予備解繊や風送)や解繊する際に繊維が容易にポリ乳酸短繊維とポリオレフィン短繊維に分割し、繊維を分割させる工程や設備を別途設ける必要がなくコスト的に有利である。
また、本発明の複合短繊維は、不織布とする際には他の繊維とともに用いても、本発明の複合短繊維のみを用いてもよい。中でも本発明の複合短繊維の組成を考慮すると、本発明の複合短繊維のみを用いて不織布を得ることが好ましい。つまり、分割後のポリ乳酸短繊維を主体繊維、ポリオレフィン短繊維をバインダー繊維とし、熱処理を施してポリオレフィン短繊維(バインダー繊維)部分を溶融させて不織布を得ることが好ましい。
上記のように本発明の短繊維のみを用いて不織布とする場合は、熱風による熱処理のみでバインダー繊維(ポリオレフィン短繊維)を容易に溶融させ、主体繊維(ポリ乳酸短繊維)を接着させることができるので、一般的に行われているバインダー樹脂による接着あるいは熱ロールによる圧着工程を省略することができ、コスト的に有利である。
次に、本発明の短繊維不織布について説明する。本発明の短繊維不織布は、上述した本発明の複合短繊維を40質量%以上含有するものであり、中でも45質量%以上含有することが好ましい。さらには、本発明の複合短繊維のみを用いた(100質量%含有)不織布とすることが好ましい。
そして、本発明の複合短繊維から分割した、ポリ乳酸短繊維を主体繊維、ポリオレフィン短繊維をバインダー繊維として、バインダー繊維を溶融させて主体繊維を接着したものとすることが好ましい。
本発明の短繊維不織布において、本発明の複合短繊維の割合が40質量%未満であると、得られる不織布は、極細繊維の割合が少なくなることから、均一性に劣り、低通気度、ソフト性にも劣るものとなる。また、機械的特性に乏しいものとなりやすい。
本発明の短繊維不織布において、不織布中の本発明の複合短繊維の割合が40質量%以上であれば、本発明の複合短繊維とともに他の短繊維を用いてもよく、この場合、他の短繊維は主体繊維、バインダー繊維のいずれに用いてもよい。得られる不織布の均一性、柔軟性等を考慮すると、他の短繊維は、単糸の形状が本発明の短繊維と同様のものであり、本発明における(1)〜(3)式の形状、捲縮数、捲縮率を満足するものが好ましい。
また、本発明の短繊維不織布において、本発明の複合短繊維から分割したポリ乳酸短繊維の質量は30質量%以上、中でも50質量%以上であることが好ましい。30質量%未満であると、得られる不織布は、極細繊維の割合が少なくなることから、均一性に劣り、低通気度、ソフト性にも劣るものとなりやすい。また、機械的特性に乏しいものとなりやすい。
次に、本発明の複合短繊維の製造方法について、一例を用いて説明する。
ポリ乳酸系重合体とポリオレフィン系重合体とを、通常用いられる複合紡糸装置を用いて、ポリオレフィン系重合体の周囲に接してポリ乳酸系重合体が複数個配列された形状となるように穿孔した紡糸孔から複合紡糸する。そして、紡糸した糸条を延伸することなく、一旦巻き取る。得られた未延伸糸を集束して1〜100ktex程度のトウとし、延伸倍率2〜6倍、温度20〜90℃程度で熱延伸を施す。そして、押し込み式クリンパーで捲縮を付与した後、必要に応じて仕上げ油剤を付与し、所望の繊維長にカットして本発明の繊維を得る。
本発明で規定する捲縮形態を満足するものとするには、延伸条件(倍率、温度)及び押込み式クリンパー等の捲縮付与装置での捲縮付与条件(ニップ圧力、スタフィング圧力)を調整することにより行う。
次に、本発明の短繊維不織布の製造方法について、一例を用いて説明する。
予備開繊として、図7に示すような簡易空気流撹拌試験機を用い、本発明の複合短繊維をサンプル送り込み用ブロア3から空気流にて撹拌タンク1に投入し、撹拌用ブロア2から20m/秒の空気流を吹き込み、攪拌タンク1内で1分間撹拌する。続いて、図8に示す簡易エアレイド試験機を用い、試料投入ブロア13より、予備開繊した本発明の繊維を投入し、解繊翼回転モータ15により解繊翼回転用スプロケット16を介して回転する、それぞれ5枚1組の第1解繊翼11と第2解繊翼12で解繊し、飛散落下させる。これにより、本発明の複合短繊維はポリ乳酸短繊維とポリオレフィン短繊維に分割される。そして、落下する両短繊維を下部にあるサクションボックス14で吸引しつつ、矢印方向に移動する集綿コンベア17の上に堆積させウエブを作成する。続いて、下流にある熱処理機18にて熱処理(熱処理温度:ポリオレフィン短繊維の融点+10℃程度)を施し、ポリオレフィン短繊維をバインダー繊維として溶融させ、ポリ乳酸短繊維からなる乾式不織布を得る。不織布の目付調整は、集綿コンベア17の移動速度を変化させることで行う。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例における各特性値の測定方法は以下の通りである。
(1)融点
示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の極値を与える温度を融点とした。
(2)数平均分子量
テトラヒドロフランを溶媒として、Gel Permeation Chromatography(GPC)法により測定した。充填剤として、Waters社製のStyragel HR #54460、および#44225、Ultrastyragel #10571の3種類を使用し、屈折率計を使用して測定した。
(3)ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の含有割合(モル比)
超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichiral OA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(4)メルトインデックス(MI)
ASTM D 1238で測定した。
(5)繊度、繊維長、捲縮部のH/L、捲縮数、捲縮率
前記の方法で測定、算出した。
(6)空気攪拌分割率
前記の方法で測定、算出した。
(7)繊維塊の生成
得られた複合短繊維を上記空気攪拌分割率と同様の条件、方法で空気攪拌する。攪拌後の短繊維を取り出す際に短繊維を0.1g採取し、黒色紙の上に広げ、繊維塊の有無を目視にて評価した。
○:繊維塊が発生していない
△:繊維塊が少量発生している
×:繊維塊が大量発生している
(8)不織布の均一性、通気度、柔軟性
−均一性−
得られた乾式不織布の均一性の状態を目視にて観察し、以下のように3段階評価とした。
○:十分に解繊されて均一である
△:部分的に未解繊な部分がある
×:解繊が不十分で不均一である
−通気度−
得られた乾式不織布を、織物通気度試験機(大栄科学精器製作所製AP−360型)を用いて通気度を測定し、5点の平均値により以下のように3段階評価とした。
分割前の繊度が2.2dtexの場合
○:通気度が20.0cc/cm/sec未満である。
△:通気度が20.0cc/cm/sec以上、30.0cc/cm/sec未満である。
×:通気度が30.0cc/cm/sec以上である。
分割前の繊度が17dtexの場合
○:通気度が30.0cc/cm/sec未満である。
△:通気度が30.0cc/cm/sec以上、40.0cc/cm/sec未満である。
×:通気度が40.0cc/cm/sec以上である。
−柔軟性−
得られた湿式不織布を20cm×20cmに切り出してサンプルとし、パネラーによる感触で柔軟性を以下のように3段階評価とした。
○:良好
△:やや不良
×:不良
実施例1
L−乳酸とD−乳酸の共重合体であって、L−乳酸の共重合割合が98.8モル%、数平均分子量81200、相対粘度1.850、融点168℃であるポリ乳酸を重合体Aとし、融点132℃、メルトインデックス(MI)値が20g/分のポリエチレンを重合体Bとし、これらを通常の複合溶融紡糸装置を用い、紡糸温度225℃、吐出量612g/min(ポリ乳酸459g/min、ポリエチレン153g/min)、紡糸速度1000m/minの条件で溶融紡糸を行った。このとき、図1に示すような断面形状の繊維となるように複合紡糸を行い(紡糸孔数1014個の紡糸口金を使用)、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を11.9ktexのトウに集束した後、延伸倍率2.75倍、延伸温度60℃で延伸を行った。続いて、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.37MPa、スタフィング圧0.12MPaとして、捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、切断して単糸繊度2.2dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
図7に示す簡易空気流撹拌試験機を用い、得られた複合短繊維のみをサンプル送り込み用ブロア3から空気流にて撹拌タンク1に投入し、撹拌用ブロア2から20m/秒の空気流を吹き込み、攪拌タンク1内で1分間撹拌(予備開繊)した。
次に、図8に示す簡易エアレイド試験機を用い、以下のようにして目付100g/m2の乾式不織布を得た。まず、試料投入ブロア13より予備開繊した複合短繊維を投入し、解繊翼回転モータ15により解繊翼回転用スプロケット16を介して回転する、それぞれ5枚1組の第1解繊翼11と第2解繊翼12で解繊し、飛散落下させた。これにより、複合短繊維はポリ乳酸短繊維とポリオレフィン短繊維に分割された。そして、落下する短繊維を、下部にあるサクションボックス14で吸引しつつ、矢印方向に移動する集綿コンベア17の上に堆積させウェブを作成する。続いて、下流にある熱処理機18にて熱処理(熱処理温度:140℃)を施し、ポリオレフィン短繊維をバインダー繊維として溶融させて、ポリ乳酸短繊維を主体繊維とする乾式不織布を得た。このとき、不織布の目付調整は、集綿コンベア17の移動速度を変化させることで行った。
実施例2、比較例1
繊維の断面形状が表1に示すように図2、図4の形状となるように、それぞれ紡糸口金を変更した以外は、実施例1と同様に行って複合短繊維を得た。
次に、得られた複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
実施例3〜14
押し込み式クリンパーで捲縮を付与する条件(ニップ圧、スタフィング圧)を表1に示すように種々変更し、表1に示す捲縮形態、捲縮数、捲縮率のものとした以外は、実施例1と同様に行って複合短繊維を得た。
次に、得られた複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
実施例15
実施例1と同様のポリ乳酸を重合体Aとし、実施例1と同様のポリエチレンを重合体Bとし、これらを通常の複合溶融紡糸装置を用い、紡糸温度225℃、吐出量452g/min(ポリ乳酸339g/min、ポリエチレン113g/min)、紡糸速度800m/minの条件で溶融紡糸を行った。このとき、図1に示すような断面形状の繊維となるように複合紡糸を行い(紡糸孔数90個の紡糸口金を使用)、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を12.4ktexのトウに集束した後、延伸倍率3.69倍、延伸温度65℃で延伸を行った。続いて、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.50MPa、スタフィング圧0.21MPaとして、捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、切断して単糸繊度17dtex、繊維長5mmの複合短繊維を得た。
次に、得られた複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
実施例16、比較例2
繊維の断面形状が表1に示すように図2、図4の形状となるように、それぞれ紡糸口金を変更した以外は、実施例15と同様に行って複合短繊維を得た。
次に、得られた複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
実施例17〜28
押し込み式クリンパーで捲縮を付与する条件(ニップ圧、スタフィング圧)を表1に示すように種々変更し、表1に示す捲縮形態、捲縮数、捲縮率のものとした以外は、実施例15と同様に行って複合短繊維を得た。
次に、得られた複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
実施例29〜30、比較例3〜4
切断時の繊維長を変更し、表1に示す繊維長とした以外は、実施例1と同様に行って短繊維を得、さらに実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
比較例5
実施例1と同様のポリ乳酸を重合体Aとし、実施例1と同様のポリエチレンを重合体Bとし、これらを通常の複合溶融紡糸装置を用い、紡糸温度225℃、吐出量216g/min(ポリ乳酸162g/min、ポリエチレン54g/min)、紡糸速度1200m/minの条件で溶融紡糸を行った。このとき、図1に示すような断面形状の繊維となるように複合紡糸を行い(紡糸孔数2000個の紡糸口金を使用)、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を12.5ktexのトウに集束した後、延伸倍率2.25倍、延伸温度60℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.30MPa、スタフィング圧0.09MPaとして、捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、切断して単糸繊度0.4dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
次に、得られた複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
比較例6
実施例1と同様のポリ乳酸を重合体Aとし、実施例1と同様のポリエチレンを重合体Bとし、これらを通常の複合溶融紡糸装置を用い、紡糸温度225℃、吐出量480g/min(ポリ乳酸360g/min、ポリエチレン120g/min)、紡糸速度600m/minの条件で溶融紡糸を行った。このとき、図1に示すような断面形状の繊維となるように複合紡糸を行い(紡糸孔数90個の紡糸口金を使用)、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を12.4ktexのトウに集束した後、延伸倍率4.04倍、延伸温度65℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.55MPa、スタフィング圧0.25MPaとして、捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、切断して単糸繊度22dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
次に、得られた複合短繊維を用い、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
参考例1
L−乳酸とD−乳酸の共重合体であって、L−乳酸の共重合割合が98.8モル%、数平均分子量81200、相対粘度1.850、融点168℃であるポリ乳酸を用い、通常の溶融紡糸装置を用い、紡糸温度225℃、吐出量364g/min、紡糸速度900m/minの条件で溶融紡糸を行った。このとき、丸型断面形状となるように、紡糸孔数518個の紡糸口金を使用し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を12.3ktexのトウに集束した後、延伸倍率3.55倍、延伸温度60℃で延伸を行った。続いて、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.36MPa、スタフィング圧0.14MPaとして、捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、切断して単糸繊度2.2dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
実施例1〜30、比較例1〜6で得られた複合短繊維の測定値及び評価結果を表1に示す。また、これらの複合短繊維を用いた乾式不織布の均一性、通気度、柔軟性の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜30の複合短繊維は、空気攪拌分割率が65%以上であり、中でも、実施例1〜8、15〜22、29〜30は、捲縮形態が(1)〜(3)式を満足するものであったため、特に空気攪拌分割率が高く、75%以上であり、容易に極細繊維に分割するものであった。このため、得られた不織布は均一性、通気度、柔軟性ともに優れていた。
一方、比較例1〜2の複合短繊維は、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面において、ポリマーA、Bが放射状に配列されたものであったため、空気攪拌分割率が低いものであった。このため、これらの短繊維から得られた不織布は通気度が高く、柔軟性も乏しいものであった。また、比較例3の複合短繊維は、繊維長が短すぎたため、繊維切断時の摩擦熱で繊維の密着が発生し、予備開繊でほとんど開繊せず、不織布を得ることができなかった。比較例4の複合短繊維は、繊維長が長すぎたため、静電気をためやすく、また、繊維の絡みも生じ、玉状の繊維塊が生成し、空気攪拌分割率が低いものであった。このため、得られた乾式不織布は、均一性に劣り、通気度が高く、柔軟性に乏しいものであった。比較例5の複合短繊維は、単糸繊度が小さすぎたため、紡糸時に切れ糸が発生し、紡糸操業性が悪かった。また切れ糸による繊維の密着が発生し、空気攪拌分割率が低いものであった。このため、得られた乾式不織布は、均一性に劣り、通気度が高く、柔軟性に乏しいものであった。また、比較例6の複合短繊維は、単糸繊度が大きすぎたため、得られた乾式不織布は、通気度が高く、柔軟性に乏しいものであった。
実施例31〜33、比較例7
実施例1の分割型複合短繊維と、他の繊維として上記に示す参考例1の短繊維を用い、これらの質量比(実施例1の分割型複合短繊維/参考例1の短繊維)を表2に示すように種々変更し、両繊維を図7に示す簡易空気流撹拌試験機に投入し、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。このとき、不織布を構成する主体繊維は、重合体Aからなる短繊維(ポリ乳酸短繊維)と参考例1の短繊維であった。
実施例34〜36、比較例8
実施例15の分割型複合短繊維と他の繊維として上記に示す参考例1の短繊維を用い、これらの質量比(実施例15の分割型複合短繊維/参考例1の短繊維)を表2に示すように種々変更し、両繊維を図7に示す簡易空気流撹拌試験機に投入し、実施例18と同様にして乾式不織布を得た。このとき、不織布を構成する主体繊維は、重合体Aからなる短繊維(ポリ乳酸短繊維)と参考例1の短繊維であった。
実施例31〜36、比較例7〜8で得られた乾式不織布の均一性、通気度、柔軟性の評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例31〜36の短繊維不織布(乾式不織布)は、本発明の分割型複合短繊維を40質量%以上含有してなるものであったため、均一性、通気度、柔軟性に優れたものであった。一方、比較例7〜8の短繊維不織布は、本発明の分割型複合短繊維を40質量%以上含有していなかったため、通気度が高く、柔軟性にも乏しいものであった。
本発明の分割型複合短繊維の一実施態様を示す横断面図である。 本発明の分割型複合短繊維の他の実施態様を示す横断面図である。 本発明の分割型複合短繊維の他の実施態様を示す横断面図である。 2種類の重合体が放射状に配列された分割型複合短繊維の一実施態様を示す横断面図である。 図1の分割型複合短繊維が分割した状態を示す模式図である。 本発明の分割型複合短繊維の捲縮形態を示す拡大説明図である。 本発明の空気攪拌分割率を測定、算出、繊維塊の試験及び乾式不織布を製造する際に用いる簡易空気流攪拌試験機を示す説明図である。 本発明の短繊維不織布のうち、エアレイド法による乾式不織布を製造する際に用いる簡易エアレイド試験機の一例を示す説明図である。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸系重合体Aとポリオレフィン系重合体Bの2成分からなる分割型複合繊維であって、繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面において、ポリオレフィン系重合体の周囲に接してポリ乳酸系重合体が複数個配列された形状を呈しており、空気攪拌分割率が65%以上であり、繊維長が1.0〜30mm、単糸繊度が0.5〜20dtexであることを特徴とする分割型複合短繊維。
  2. 捲縮が付与されており、単糸の捲縮形態が捲縮部の最大山部において、山部の頂点と隣接する谷部の底点2点を結んだ三角形の高さ(H)と底辺(L)の比(H/L)が下記(1)式を満足する請求項1記載の分割型複合短繊維。
    (1)式:0.01T+0.10≦H/L≦0.02T+0.25
    Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数
  3. 捲縮数と捲縮率が下記(2)及び(3)式を同時に満足する請求項1〜2のいずれかに記載の分割型複合短繊維。
    (2)式:0.1T+3.8≦捲縮数≦0.3T+7.3
    (3)式:0.8T+0.3≦捲縮率≦1.0T+4.9
    ただし、捲縮数は繊維長25mm当たりの数、Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の分割型複合短繊維を40質量%以上含有してなることを特徴とする短繊維不織布。
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