JP2005054168A - 液状シリコーンゴムコーティング剤組成物及びエアーバッグ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜50質量部
(C)架橋反応触媒として触媒量の有機過酸化物
(D)比表面積(BET法)が50m2/g以上である微粉末状シリカ:0〜50質量部
(E)接着付与成分:0.1〜10質量部
を含有してなることを特徴とする液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。
【効果】 本発明は、溶剤を使用せずに繊維上に塗布することが可能であり、硬化物の繊維に対する接着性、ゴム強度に優れ、膨脹時間の持続性に優れたエアーバッグ、特には織りにより袋部を形成したエアーバッグにも好適に使用し得る液状シリコーンゴムコーティング剤組成物、及びこの組成物によるゴムコーティング層を有するエアーバッグを提供することを目的とする。
【選択図】 なし
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜50質量部
(C)架橋反応触媒として触媒量の有機過酸化物
(D)比表面積(BET法)が50m2/g以上である微粉末状シリカ:0〜50質量部
(E)接着付与成分:0.1〜10質量部
を含有してなることを特徴とする液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。
【効果】 本発明は、溶剤を使用せずに繊維上に塗布することが可能であり、硬化物の繊維に対する接着性、ゴム強度に優れ、膨脹時間の持続性に優れたエアーバッグ、特には織りにより袋部を形成したエアーバッグにも好適に使用し得る液状シリコーンゴムコーティング剤組成物、及びこの組成物によるゴムコーティング層を有するエアーバッグを提供することを目的とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、接着性を有するコーティング材料に関するもので、特に有機溶剤に溶解しなくとも繊維布帛用として好適に使用可能であり、とりわけ平織り基布にコートした後に袋状に形成する、又は織りにより袋部を形成した後にコートするエアーバッグ用として好適な液状シリコーンゴムコーティング剤組成物、及び該組成物によるゴムコーティング層を有するエアーバッグに関する。
近年、繊維布帛用のコーティング材料にはシリコーンゴムが種々使用され、これはワッペン、ステッカー等の装飾類、ズボン、紳士服等滑り止めなどの衣料関係、また自動車等輸送機に使用されるエアーバッグ等に用いられている。
エアーバッグには、内面にゴムコーティングされた2枚の平織り基布の外周部同士を接着剤で張り合わせ、かつその接着剤層を縫い合わせて作製されるものがある(以後、平織りタイプと略す)。
また、特開平2−158442号公報(特許文献1)では、接着剤による張り合わせの必要がない、織りにより袋部を形成したエアーバッグを開示している(以後、袋織りタイプと略す)。
しかし、袋織りタイプのエアーバッグは、コンパクト性に優れる反面、次のような課題も生じている。即ち、袋織りタイプのコーティング層は、構造上、エアーバッグ外面に施されるため、膨脹時のインフレーターガスは基布面側より掛かり、ゴムコーティング面側から掛かる平織りタイプとは大きく異なる。このため、エアーバッグの一定膨脹時間を維持しようとした場合、従来の平織りタイプで使用されていたゴムコーティング剤では、袋織りタイプで同じ膨脹時間を維持できないという問題が生じており、袋織りタイプエアーバッグに好適に使用できるコーティング材料が望まれている。
一方、シリコーンコーティング剤としては、特開平5−25435号公報(特許文献2)、特開平5−179203号公報(特許文献3)、特開平6−41874号公報(特許文献4)、特開平7−70923号公報(特許文献5)、特開平7−195990号公報(特許文献6)、特開平7−300774号公報(特許文献7)等が報告されている。また液状のシリコーンコーティング剤として、特開平5−214295号公報(特許文献8)、特開2000−191915号公報(特許文献9)、特開2002−138249号公報(特許文献10)、特許第3349516号公報(特許文献11)等が報告されている。
これらのコーティング剤は、有機溶剤に溶解して粘度を下げてコーティングする方法か、コートしやすい液状であってもヒドロシリル化反応を用いたものであり、有機過酸化物反応を利用したものは主に生ゴム状のものが主流で、液状の有機過酸化物反応による無溶剤型の液状のシリコーンゴムコーティング剤の報告はなされていない。
本発明は、溶剤を使用せずに繊維上に塗布することが可能であり、硬化物の繊維に対する接着性、ゴム強度に優れ、膨脹時間の持続性に優れたエアーバッグ、特には織りにより袋部を形成したエアーバッグにも好適に使用し得る液状シリコーンゴムコーティング剤組成物、及びこの組成物によるゴムコーティング層を有するエアーバッグを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、(A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)架橋反応触媒として有機過酸化物、又は付加反応触媒と有機過酸化物との併用、(D)比表面積(BET法)が50m2/g以上である微粉末状シリカ、及び(E)接着付与成分を含有してなる液状シリコーンゴムコーティング剤組成物が、引裂き強度、接着性に優れたシリコーンゴムとなり得、この組成物をエアーバッグ、特には袋織りタイプのエアーバッグのゴムコーティング層に使用した場合、インフレーターガス洩れを抑え、膨脹時間の持続性に優れることを知見した。
即ち、上記有機過酸化物硬化、或いは有機過酸化物硬化と付加反応硬化の双方を併用してゴム架橋させる液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、溶剤を使用せずに繊維上に塗布可能で、硬化物の繊維に対する接着性、ゴム強度に優れたものであり、エアーバッグ、特には織りにより袋部を形成したエアーバッグにも好適に使用し得ることを見出した。
従って、本発明は、
(A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜50質量部、
(C)架橋反応触媒として触媒量の有機過酸化物、又は付加反応触媒と有機過酸化物、
(D)比表面積(BET法)が50m2/g以上である微粉末状シリカ:0〜50質量部、
(E)接着付与成分:0.1〜10質量部
を含有してなることを特徴とする液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を提供する。
また、上記コーティング剤組成物によるゴムコーティング層を有するエアーバッグ、更には上記コーティング剤組成物によるゴムコーティング層を有する、織りにより袋部を形成したエアーバッグを提供する。
(A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜50質量部、
(C)架橋反応触媒として触媒量の有機過酸化物、又は付加反応触媒と有機過酸化物、
(D)比表面積(BET法)が50m2/g以上である微粉末状シリカ:0〜50質量部、
(E)接着付与成分:0.1〜10質量部
を含有してなることを特徴とする液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を提供する。
また、上記コーティング剤組成物によるゴムコーティング層を有するエアーバッグ、更には上記コーティング剤組成物によるゴムコーティング層を有する、織りにより袋部を形成したエアーバッグを提供する。
本発明の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物によれば、溶剤に希釈しなくとも塗工性が良好で、シリコーンゴムコーティング層の剥がれがないためにインフレーターガスの漏れが生じ難く、膨張時間の持続性に優れた袋織りタイプのエアーバッグが得られる。
本発明の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、下記成分を含有するものである。
(A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)架橋反応触媒として有機過酸化物、又は付加反応触媒と有機過酸化物
(D)比表面積(BET法)が50m2/g以上である微粉末状シリカ
(E)接着付与成分
(A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)架橋反応触媒として有機過酸化物、又は付加反応触媒と有機過酸化物
(D)比表面積(BET法)が50m2/g以上である微粉末状シリカ
(E)接着付与成分
ここで、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、この組成物の主剤であり、1分子中に平均2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する。(A)成分のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等の通常、炭素数2〜8、好ましくは2〜4程度のものが挙げられ、特に、ビニル基であることが好ましい。
(A)成分中におけるケイ素原子に結合したアルケニル基の結合位置としては、例えば、分子鎖末端及び/又は分子鎖側鎖が挙げられる。(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などの、通常、炭素数1〜12、好ましくは1〜10程度の、非置換又はハロゲン置換一価炭化水素基が挙げられ、特に、メチル基、フェニル基であることが好ましい。
なお、(A)成分中のアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(又は非置換又は置換一価炭化水素基)全体に対して0.001〜10モル%、特に0.01〜5モル%程度であることが好ましい。
このような(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、分岐鎖状が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された、直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい(なお、ここでのオルガノ基にはアルケニル基も包含し得る。)。
(A)成分の25℃における粘度は、得られるシリコーンゴムの物理的特性が良好であり、また、組成物の取扱い作業性が良好であることから、100〜500,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に300〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
このような(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、式:R1 3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 2R2SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 2SiOで示されるシロキサン単位と少量の式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R1 3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 2R2SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R1 2R2SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 2SiOで示されるシロキサン単位と少量の式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R1R2SiOで示されるシロキサン単位と少量の式:R1SiO1.5で示されるシロキサン単位もしくは式:R2SiO1.5で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
上記式中のR1はアルケニル基以外の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。また、上記式中のR2はアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基などが挙げられる。
特に、(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端がアルケニルジオルガノシロキシ基、ジアルケニルオルガノシロキシ基、又はトリアルケニルシロキシ基で封鎖された(主鎖中にアルケニル基を含有しない)ジオルガノポリシロキサン(例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、あるいは分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン)と、分子鎖両末端がトリアルケニルシロキシ基、ジアルケニルオルガノシロキシ基、アルケニルジオルガノシロキシ基又はトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノシロキサン・アルケニルオルガノシロキサン共重合体(例えば、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン共重合体、あるいは分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン共重合体)とを併用したものであることが好ましい(但し、ここでいうオルガノ基にはアルケニル基は含有されない。即ち、前記したR1で例示したものと同様の非置換又は置換のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を意味する)。
更に、この場合、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等の分子鎖両末端トリアルケニルシロキシ基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体等の分子鎖両末端トリアルケニルシロキシ基封鎖ジオルガノシロキサン・アルケニルオルガノシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等の分子鎖両末端ジアルケニルオルガノシロキシ基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体等の分子鎖両末端ジアルケニルオルガノシロキシ基封鎖ジオルガノシロキサン・アルケニルオルガノシロキサン共重合体から選ばれる1種又は2種以上を、(A)成分中少なくとも1質量%(即ち、1〜100質量%)、通常1〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは40〜75質量%含有することが特に望ましい。この配合量が少なすぎると、得られる硬化物のゴム物性が不十分なものとなる場合がある。
次に、本発明に用いられる(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分と反応して接着性を補助する作用を有し、また有機過酸化物硬化に影響を与えるものである。また、架橋反応触媒として付加反応触媒を用いる場合、付加硬化反応において(A)成分と反応し、架橋剤として作用するものであり、更に接着性にも効果を与えるものである。(B)成分の分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば線状、環状、分岐状、三次元網状構造(樹脂状)等各種のものが使用可能であるが、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiHで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、通常、2〜500個、好ましくは3〜200個、より好ましくは3〜100個程度のSiH基を有することが望ましい。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものが用いられる。
R3 bHcSiO(4-b-c)/2 (1)
R3 bHcSiO(4-b-c)/2 (1)
上記式(1)中、R3は、脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、ケイ素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基であり、このR3における非置換又は置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等が挙げられる。R3の非置換又は置換の一価炭化水素基としては、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくはbは1.0〜2.0、cは0.01〜1.0、b+cは1.5〜2.5である。
1分子中に2個以上、好ましくは3個以上含有されるSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、この両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、得られるシリコーンゴムの物理特性、組成物の取扱い作業性の点から、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、通常、2〜1,000個、好ましくは3〜300個、より好ましくは4〜150個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常、0.1〜5,000mPa・s、好ましくは0.5〜1,000mPa・s、より好ましくは5〜500mPa・s程度の、室温(25℃)で液状のものが使用される。
このような(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、式:R1 3SiO0.5で示されるシロキサン単位と式:R1 2HSiO0.5で示されるシロキサン単位と少量の式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R1 2HSiO0.5で示されるシロキサン単位と少量の式:SiO2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R1HSiOで示されるシロキサン単位と少量の式:R1SiO1.5で示されるシロキサン単位もしくは式:HSiO1.5で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。なお、上記式中のR1はアルケニル基以外の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。
本発明において、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン等の分子鎖両末端トリオルガノシロキシ基封鎖オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖あるいは分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖のジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等の分子鎖両末端トリオルガノシロキシ基封鎖あるいは分子鎖両末端ジオルガノハイドロジェンシロキシ基封鎖のジオルガノシロキサン・オルガノハイドロジェンシロキサン共重合体とを併用したものであることが好ましい(但し、ここでいうオルガノ基にはアルケニル基は含有されない)。
架橋反応触媒として有機過酸化物のみを用いる第1のコーティング剤組成物の場合、(B)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部である。0.1質量部未満であると、コーティング膜の強度、接着補助性が十分に得られず、また、50質量部を超えると、コーティング膜の耐熱性、強度が極端に劣るためである。
また、架橋反応触媒として有機過酸化物と付加反応触媒とを併用して用いる第2のコーティング剤組成物の場合、(B)成分の配合量は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が1〜7モル、好ましくは2〜5モルの範囲内となる量であることが好ましい。これは(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が1モル未満であると、コーティング膜の強度が十分に得られない場合があり、また、これが7モルを超えると、コーティング膜の耐熱性、強度が極端に劣る場合があるためである。
本発明のコーティング剤組成物に用いられる(C)成分の有機過酸化物反応触媒としては、一般にシリコーンゴムの硬化に用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボキシ)ヘキサン、ジ−(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ−(2−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート等を例示することができる。
(C)成分の有機過酸化物反応触媒の配合量は、触媒量であり、通常、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部程度である。0.1質量部未満では十分な架橋が得られず、多すぎても有機過酸化物の影響が強すぎ、またコスト的にも無駄となる。
この場合、有機過酸化物反応触媒に更に付加型反応触媒とを併用することができる。このように、2種の反応系を用いることにより、ゴム強度、接着性、ひいてはエアーバッグのコーティング層として用いた場合、シリコーンゴムコーティング層の強度が高く、また剥がれにくいためにエアー気密性に優れるものとなり、インフレーターガスの漏れが生じ難く、膨張時間が持続するものである。
ここで、付加型反応触媒としては、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のSiH基との付加反応を促進するものであればいかなる触媒を使用してもよい。例えば、白金、パラジウム、ロジウム等や塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属又はこれらの化合物が使用されるが、特に好ましくは白金系化合物である。
付加反応触媒の配合量は、通常、(A),(B)成分の合計量に対して触媒金属元素の量として1〜500ppmの割合であることが好ましく、より好ましくは10〜100ppmの範囲である。配合量が1ppm未満では付加反応が著しく遅くなるか、もしくは硬化しない場合があり、500ppmを超えると硬化後のポリシロキサン組成物の耐熱性が低下するおそれがある。
本発明に用いられる(D)成分の微粉末状シリカは、補強剤として作用する。即ち、本発明の組成物に高引裂き性を付与するもので、微粉末状シリカを補強剤として使用することにより、本発明に必要な引裂き強度特性を満足するコーティング膜を形成することが可能となる。かかる微粉末状シリカは、比表面積(BET法)が50m2/g以上、好ましくは50〜400m2/g、特に好ましくは100〜300m2/gであることが必要であり、比表面積が50m2/g未満では、満足するような引裂き強度特性を付与することができない。
本発明において、このような微粉末シリカとしては、比表面積が上記範囲内であることを条件として、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されている公知のものでよく、例えば、沈澱シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。このような微粉末状シリカは、そのまま使用してもよいが、本発明組成物に良好な流動性を付与させるため、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン及びクロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物などで表面処理することにより、疎水性シリカ微粉末としたものを使用することが好ましい。
本発明のコーティング剤組成物は、(D)成分を配合しない場合でも強度を得ることは可能であるが、配合することがより好ましい。(D)成分の配合量としては、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0〜50質量部で、配合する場合は1質量部以上、特に1〜30質量部とすることが好ましい。配合量が多すぎると、液状組成物の流動性が低下してコーティング作業性が悪くなる。
本発明に用いられる(E)接着付与成分は、エアーバッグ用の合成繊維織物基材、不織布基材、或いは熱可塑性樹脂シート状又はフィルム状基材等に対する接着性を向上させるために用いられる成分であり、本コーティング剤組成物に自己接着性を付与する観点から、接着性を付与するものであればよく、具体的には官能基を少なくとも1種、好ましくは2種以上含有する(非シリコーン系、即ち、分子中にケイ素原子を含有しない)有機化合物又は有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の1種又は2種以上を併用することが好ましい。
官能基を含有する有機ケイ素化合物の具体例としては、ケイ素原子に結合したビニル基、アリル基のようなアルケニル基、炭素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基(例えば、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基など)や(メタ)アクリロキシ基(例えば、γ−アクリロキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基など)、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、アルコキシシリル基(例えば、エステル構造、ウレタン構造、エーテル構造を1〜2個含有してもよいアルキレン基を介してケイ素原子に結合したトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基など)、イソシアネート基、SiH基から選ばれる官能基の1種又は2種以上を有するオルガノシラン及びケイ素数3〜50、特に5〜20の直鎖状又は環状構造のシロキサンオリゴマーやトリアリルイソシアヌレートの(アルコキシ)シリル変性物やそのシロキサン誘導体などが挙げられ、本発明においては、特に1分子中にこれらの官能基を2種類以上含有するものが好ましい。このような官能基を含有するケイ素化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
(非シリコーン系)有機化合物の具体例としては、分子中に1個のアルケニル基と少なくとも1個のエステル基を有する有機化合物、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸等の不飽和カルボン酸類のアリルエステル、安息香酸アリルエステル、フタル酸ジアリルエステル、ピロメリット酸テトラアリルエステル、アルキル酸アリルエステル等のアリルエステル類などの(非シリコーン系)有機化合物が挙げられる。また、有機金属キレート、アミン系、アミド系、イミダゾール系、酸無水物系などのエポキシ基開環触媒を添加してもよい。
上記有機チタン化合物(チタネート系カップリング剤)として、具体的には、テトラi−プロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムラクテート及びオクチレングリコールチタネート、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、テトラブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、チタニウムステアレート、テトラオクチルオキシチタン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート、チタニウムエチルアセトネート、チタニウムラクトネート、又はこれらの縮合反応物オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。
なお、上記官能基を含有する有機化合物又は有機ケイ素化合物において、官能基として上記エポキシ基を用いる場合、その化合物のエポキシ当量は100〜5,000g/1mol、特に150〜3,000g/1molであることが好ましい。エポキシ当量が小さすぎると組成物の粘度が高くなりすぎる場合があり、大きすぎると接着性が低下する場合がある。
本発明においては、これらの中でも、特にエポキシ当量が100〜5,000g/1molである(非シリコーン系)有機化合物又は有機ケイ素化合物、1分子中にアルケニル基又はSiH基とアルコキシ基をそれぞれ1個以上含有する有機ケイ素化合物、1分子中に炭素原子を12個以上含有する有機チタン化合物、及び1分子中に窒素原子を1個以上含有する有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
(E)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜5質量部である。配合量が少なすぎると、本発明に必要な十分なピール接着力が得られず、配合量が多すぎると、コスト的に高いものとなり、不経済となる。
本発明の組成物において、上記の(A)〜(E)成分以外の任意の成分としては、例えば、結晶性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機質充填剤、及びこれらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面処理した充填剤等が挙げられる。またシリコーンゴムパウダーやシリコーンレジンパウダーなども挙げられる。
更に、この組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、その他任意の成分として、例えば、一分子中に1個のケイ素原子結合水素原子又はアルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子及びアルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チクソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
また、本発明の組成物において、架橋反応触媒として有機過酸化物と付加反応触媒を用いる第2のコーティング剤組成物の場合、上記の(A)〜(E)成分以外の任意の成分として、付加反応触媒に対して硬化抑制効果を持つ化合物とされている従来公知の制御剤化合物はすべて使用することができる。このような化合物としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物、トリブチルアミンやテトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物、硫黄含有化合物、アセチレン系化合物、アルケニル基を2個以上含む化合物、ハイドロパーオキシ化合物、マレイン酸誘導体などが例示される。制御剤化合物による硬化遅延効果の度合は、制御剤化合物の化学構造によって大きく異なるため、制御剤化合物の添加量は、使用する制御剤化合物の個々について最適な量に調整することが好ましく、一般には、その添加量が少なすぎると室温での長期貯蔵安定性が得られない場合があり、逆に多すぎるとかえって硬化が阻害されるおそれがある。
上記コーティング剤組成物は、上記成分を単純に混合しても、また(A)成分と(D)成分を熱処理混合し、後から他の成分を添加して室温で混合しても製造することができる。このようにして得られた組成物は、繊維布帛用コーティング剤として有効であり、特にエアーバッグのコーティング剤、とりわけ袋織りタイプのエアーバッグコーティング剤として有用である。
この場合、本発明のコーティング剤組成物は、25℃における粘度が通常5〜5,000Pa・s、好ましくは5〜1,000Pa・s、より好ましくは10〜500Pa・sの液状のものであることが望ましい。5Pa・s未満では十分なゴム物性を得ることが難しく、5,000Pa・sを超えるとコーティングしにくくなる。
この場合、本発明のコーティング剤組成物は、25℃における粘度が通常5〜5,000Pa・s、好ましくは5〜1,000Pa・s、より好ましくは10〜500Pa・sの液状のものであることが望ましい。5Pa・s未満では十分なゴム物性を得ることが難しく、5,000Pa・sを超えるとコーティングしにくくなる。
上記コーティング剤組成物の硬化方法、条件としては、公知の硬化方法、条件を採用することができ、通常、120〜180℃において1〜10分の硬化条件とすることができる。
この場合、本発明においては、このように硬化して得られた硬化物(シリコーンゴム)の引裂き強度が25kN/m以上、また、ピール接着力が30N/cm以上であることが好ましい。引裂き強度が小さいと、エアーバッグ膨張時に接合部のコーティング層に亀裂が入り、膨張時間が維持できない場合がある。また、ピール接着力が小さいと、エアーバッグ膨張時に接合部のコーティング層が基布より剥離して膨張時間が維持できないおそれがある。
この場合、本発明においては、このように硬化して得られた硬化物(シリコーンゴム)の引裂き強度が25kN/m以上、また、ピール接着力が30N/cm以上であることが好ましい。引裂き強度が小さいと、エアーバッグ膨張時に接合部のコーティング層に亀裂が入り、膨張時間が維持できない場合がある。また、ピール接着力が小さいと、エアーバッグ膨張時に接合部のコーティング層が基布より剥離して膨張時間が維持できないおそれがある。
なお、引裂き強度は、JIS K 6249に従った測定法による値であり、また、ピール接着力は、組成物をエアーバッグ用ナイロン66(420デニール)織物2枚の間に、厚みが0.5mmになるように挟んで、170℃で1分間、5kgf/cm2の圧力で硬化させた幅2.5cm×長さ20cmに切断して、ピール角度180度、引張り速度50mm/分の条件でピール接着力試験を行った場合の値である。
本発明において、上記組成物によるシリコーンゴムのコーティング層が形成される袋織りタイプのエアーバッグとしては、公知の構成のものが用いられ、具体的にはナイロン66、ナイロン6、ポリエステル繊維、アラミド繊維、各種ポリアミド繊維、各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地を基布とする袋織りタイプのエアーバッグが挙げられる。
このような袋織りタイプエアーバッグに対し、上記組成物をコーティングする方法は常法を採用することができるが、コーティング層の厚さ(又は表面塗布量)は、例えば15〜150g/m2、好ましくは15〜80g/m2、より好ましくは20〜60g/m2程度とすることが望ましい。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例で部は質量部を示し、粘度は25℃の値である。また、下記例で使用した接着付与成分(i)〜(iii)は下記の通りである。
[実施例1]
分子鎖両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン40部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を5モル%とジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、粘度が2,000mPa・sであるジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体10部、トリメチルシリル基で処理された比表面積120m2/gの疎水性シリカ17部、粘度が50mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.45質量%)1.0部、粘度が12mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)2.2部、ジ−(2−メチルベンゾイル)パーオキサイド5部、接着付与成分(i)3部、接着付与成分(ii)1部を混合して粘度50Pa・sの組成物Aを調製した。
分子鎖両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン40部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を5モル%とジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、粘度が2,000mPa・sであるジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体10部、トリメチルシリル基で処理された比表面積120m2/gの疎水性シリカ17部、粘度が50mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.45質量%)1.0部、粘度が12mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)2.2部、ジ−(2−メチルベンゾイル)パーオキサイド5部、接着付与成分(i)3部、接着付与成分(ii)1部を混合して粘度50Pa・sの組成物Aを調製した。
この組成物を150℃/5分で硬化させ、JIS K 6249に従ってシートを作製し、一般物性を測定した。
また、この組成物をエアーバッグ用ナイロン66(420デニール)織物2枚の間に、厚みが0.5mmになるように挟んで、170℃で1分間、5kgf/cm2の圧力で硬化させた。幅2.5cm×長さ20cmに切断してピール接着力試験を行った。
袋織りエアーバッグへのコーティングは、コーターでシリコーンゴム組成物が塗りむらなく均一にコーティング可能な最小量になるようにコーティングし、塗工性を確認すると共に、オーブン中で170℃で3分間加熱硬化させて袋織りエアーバッグを作製した。このエアーバッグを用いてインフレーション試験を行った。インフレーション試験は、空気圧7kgf/cm2を3秒で吹き込むことにより瞬間的に膨らませ、気密性を肉眼で観察した。
これらの結果を表1に示した。
また、この組成物をエアーバッグ用ナイロン66(420デニール)織物2枚の間に、厚みが0.5mmになるように挟んで、170℃で1分間、5kgf/cm2の圧力で硬化させた。幅2.5cm×長さ20cmに切断してピール接着力試験を行った。
袋織りエアーバッグへのコーティングは、コーターでシリコーンゴム組成物が塗りむらなく均一にコーティング可能な最小量になるようにコーティングし、塗工性を確認すると共に、オーブン中で170℃で3分間加熱硬化させて袋織りエアーバッグを作製した。このエアーバッグを用いてインフレーション試験を行った。インフレーション試験は、空気圧7kgf/cm2を3秒で吹き込むことにより瞬間的に膨らませ、気密性を肉眼で観察した。
これらの結果を表1に示した。
[実施例2]
分子鎖両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖された粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン60部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン32部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を10モル%とジメチルシロキサン単位を90モル%含有し、粘度が70mPa・sであるジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体3部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%、SiO2単位54モル%からなるオルガノポリシロキサン樹脂5部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ22部、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)1.8部、粘度が20mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)5.3部、ジ−(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド5部、接着付与成分(i)1部、接着付与成分(iii)0.5部を混合して粘度100Pa・sの組成物Bを調製した。
実施例1と同様にして、硬化物物性、塗工性、ピール接着力試験、インフレーション試験を測定した。これらの結果を表1に示した。
分子鎖両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖された粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン60部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン32部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を10モル%とジメチルシロキサン単位を90モル%含有し、粘度が70mPa・sであるジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体3部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%、SiO2単位54モル%からなるオルガノポリシロキサン樹脂5部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ22部、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)1.8部、粘度が20mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)5.3部、ジ−(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド5部、接着付与成分(i)1部、接着付与成分(iii)0.5部を混合して粘度100Pa・sの組成物Bを調製した。
実施例1と同様にして、硬化物物性、塗工性、ピール接着力試験、インフレーション試験を測定した。これらの結果を表1に示した。
[比較例1]
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン30部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が2,000mPa・sのジメチルポリシロキサン33部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン37部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ22部、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)1部、粘度が12mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)3部、1−エチニルシクロヘキサノール0.06部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を白金金属として(A)成分と(B)成分の合計量に対して15ppm、接着付与成分(i)1.5部、接着付与成分(iii)0.5部を混合して粘度100Pa・sの組成物Cを調製した。
実施例1と同様にして、硬化物物性、塗工性、ピール接着力試験、インフレーション試験を行った。これらの結果を表1に示した。
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン30部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が2,000mPa・sのジメチルポリシロキサン33部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン37部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ22部、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)1部、粘度が12mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)3部、1−エチニルシクロヘキサノール0.06部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を白金金属として(A)成分と(B)成分の合計量に対して15ppm、接着付与成分(i)1.5部、接着付与成分(iii)0.5部を混合して粘度100Pa・sの組成物Cを調製した。
実施例1と同様にして、硬化物物性、塗工性、ピール接着力試験、インフレーション試験を行った。これらの結果を表1に示した。
[比較例2]
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された重合度が10,000のジメチルポリシロキサン(生ゴム)70部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を10モル%とジメチルシロキサン単位を90モル%含有し、重合度が10,000であるジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(生ゴム)30部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ33部、(CH3)3SiO1/2単位を39.5モル%含有し、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)2.7部、粘度が12mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)8.3部、ジ−(2−メチルベンゾイル)パーオキサイド5部、接着付与成分(i)1.5部、接着付与成分(ii)0.5部を混合してコンパウンド状(即ち、室温で流動性のない非液状)の組成物Dを調製した。
比較例2の組成物Dは、そのままでは塗工できないためトルエンで50%希釈し、粘度を100Pa・sとして硬化物物性、塗工性、ピール接着力試験、インフレーション試験を行った。これらの結果を表1に示した。
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された重合度が10,000のジメチルポリシロキサン(生ゴム)70部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を10モル%とジメチルシロキサン単位を90モル%含有し、重合度が10,000であるジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(生ゴム)30部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ33部、(CH3)3SiO1/2単位を39.5モル%含有し、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)2.7部、粘度が12mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)8.3部、ジ−(2−メチルベンゾイル)パーオキサイド5部、接着付与成分(i)1.5部、接着付与成分(ii)0.5部を混合してコンパウンド状(即ち、室温で流動性のない非液状)の組成物Dを調製した。
比較例2の組成物Dは、そのままでは塗工できないためトルエンで50%希釈し、粘度を100Pa・sとして硬化物物性、塗工性、ピール接着力試験、インフレーション試験を行った。これらの結果を表1に示した。
[実施例3]
分子鎖両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン40部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を5モル%とジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、粘度が700mPa・sのジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体10部、トリメチルシリル基で処理された比表面積120m2/gの疎水性シリカ17部、粘度が50mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.45質量%)1.0部、粘度が25mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)2.2部(H/Vi(即ち、(A)成分のビニル基含有オルガノポリシロキサン中の合計のビニル基に対する(B)成分中の合計のSiH基のモル比、以下同様)=3.9モル/モル)、1−エチニルシクロヘキサノール0.05部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を白金金属として(A)成分と(B)成分との合計量に対して30ppm、ジ−(2−メチルベンゾイル)パーオキサイドを(A)成分100部に対して5部、接着性付与剤(i)1.5部、接着性付与剤(ii)0.5部、チタン酸オクチル0.5部を混合して粘度45Pa・sの組成物Eを調製した。
分子鎖両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン40部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を5モル%とジメチルシロキサン単位を95モル%含有し、粘度が700mPa・sのジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体10部、トリメチルシリル基で処理された比表面積120m2/gの疎水性シリカ17部、粘度が50mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.45質量%)1.0部、粘度が25mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)2.2部(H/Vi(即ち、(A)成分のビニル基含有オルガノポリシロキサン中の合計のビニル基に対する(B)成分中の合計のSiH基のモル比、以下同様)=3.9モル/モル)、1−エチニルシクロヘキサノール0.05部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を白金金属として(A)成分と(B)成分との合計量に対して30ppm、ジ−(2−メチルベンゾイル)パーオキサイドを(A)成分100部に対して5部、接着性付与剤(i)1.5部、接着性付与剤(ii)0.5部、チタン酸オクチル0.5部を混合して粘度45Pa・sの組成物Eを調製した。
この組成物を150℃/5分で硬化させ、JIS K 6249に従ってシートを作製し、一般物性を測定した。
また、この組成物をエアーバッグ用ナイロン66(420デニール)織物2枚の間に、厚みが0.5mmになるように挟んで、170℃で1分間、5kgf/cm2の圧力で硬化させた。幅2.5cm×長さ20cmに切断してピール接着力試験を行った。
袋織りエアーバッグへのコーティングは、コーターでシリコーンゴム組成物が塗りむらなく均一にコーティング可能な最小量になるようにコーティングし、塗工性を確認すると共に、オーブン中で170℃で1分間加熱硬化させて袋織りエアーバッグを作製した。このエアーバッグを用いてインフレーション試験を行った。インフレーション試験は、空気圧7kgf/cm2を3秒で吹き込むことにより瞬間的に膨らませ、気密性を肉眼で観察した。これらの結果を表2に示した。
また、この組成物をエアーバッグ用ナイロン66(420デニール)織物2枚の間に、厚みが0.5mmになるように挟んで、170℃で1分間、5kgf/cm2の圧力で硬化させた。幅2.5cm×長さ20cmに切断してピール接着力試験を行った。
袋織りエアーバッグへのコーティングは、コーターでシリコーンゴム組成物が塗りむらなく均一にコーティング可能な最小量になるようにコーティングし、塗工性を確認すると共に、オーブン中で170℃で1分間加熱硬化させて袋織りエアーバッグを作製した。このエアーバッグを用いてインフレーション試験を行った。インフレーション試験は、空気圧7kgf/cm2を3秒で吹き込むことにより瞬間的に膨らませ、気密性を肉眼で観察した。これらの結果を表2に示した。
[実施例4]
分子鎖両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン60部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン20部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が700mPa・sのジメチルポリシロキサン12部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を10モル%とジメチルシロキサン単位を90モル%含有し、粘度が500mPa・sであるジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体3部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%、SiO2単位54モル%からなるオルガノポリシロキサン樹脂5部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ22部、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)1.8部、粘度が12mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)5.3部(H/Vi=3.4モル/モル)、1−エチニルシクロヘキサノール0.03部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を白金金属として(A)成分と(B)成分との合計量に対して15ppm、ジ−(4−メチルベンゾイル)パーオキサイドを(A)成分100質量部に対して5部、接着性付与剤(i)1部、接着性付与剤(iii)0.5部、チタン酸オクチル0.5部を混合して粘度40Pa・sの組成物Fを調製した。
実施例3と同様にして、硬化物物性、ピール接着力試験、インフレーション試験を行った。これらの結果を表2にまとめた。
分子鎖両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン60部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン20部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が700mPa・sのジメチルポリシロキサン12部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を10モル%とジメチルシロキサン単位を90モル%含有し、粘度が500mPa・sであるジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体3部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%、SiO2単位54モル%からなるオルガノポリシロキサン樹脂5部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ22部、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)1.8部、粘度が12mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)5.3部(H/Vi=3.4モル/モル)、1−エチニルシクロヘキサノール0.03部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を白金金属として(A)成分と(B)成分との合計量に対して15ppm、ジ−(4−メチルベンゾイル)パーオキサイドを(A)成分100質量部に対して5部、接着性付与剤(i)1部、接着性付与剤(iii)0.5部、チタン酸オクチル0.5部を混合して粘度40Pa・sの組成物Fを調製した。
実施例3と同様にして、硬化物物性、ピール接着力試験、インフレーション試験を行った。これらの結果を表2にまとめた。
[比較例3]
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン30部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が700mPa・sのジメチルポリシロキサン33部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が500mPa・sのジメチルポリシロキサン37部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ22部、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)1部、粘度が25mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)3部(H/Vi=4.1モル/モル)、1−エチニルシクロヘキサノール0.06部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を白金金属として(A)成分と(B)成分の合計量に対して15ppm、接着性付与剤(i)1.5部、接着性付与剤(iii)0.5部、チタン酸オクチル0.5部を混合して粘度40Pa・sの組成物Gを調製した。
実施例3と同様にして、硬化物物性、ピール接着力試験、インフレーション試験を行った。これらの結果を表2に示した。
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン30部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が700mPa・sのジメチルポリシロキサン33部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された粘度が500mPa・sのジメチルポリシロキサン37部、トリメチルシリル基で処理された比表面積170m2/gの疎水性シリカ22部、粘度が45mPa・sである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.14質量%)1部、粘度が25mPa・sの分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.54質量%)3部(H/Vi=4.1モル/モル)、1−エチニルシクロヘキサノール0.06部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を白金金属として(A)成分と(B)成分の合計量に対して15ppm、接着性付与剤(i)1.5部、接着性付与剤(iii)0.5部、チタン酸オクチル0.5部を混合して粘度40Pa・sの組成物Gを調製した。
実施例3と同様にして、硬化物物性、ピール接着力試験、インフレーション試験を行った。これらの結果を表2に示した。
Claims (9)
- (A)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜50質量部
(C)架橋反応触媒として触媒量の有機過酸化物
(D)比表面積(BET法)が50m2/g以上である微粉末状シリカ:0〜50質量部
(E)接着付与成分:0.1〜10質量部
を含有してなることを特徴とする液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。 - 架橋反応触媒として更に付加反応触媒を含有する請求項1記載のコーティング剤組成物。
- (A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンが、分子鎖両末端がアルケニルジオルガノシロキシ基、ジアルケニルオルガノシロキシ基、又はトリアルケニルシロキシ基で封鎖された主鎖中にアルケニル基を含有しないジオルガノポリシロキサンと、分子鎖両末端がアルケニルジオルガノシロキシ基又はトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノシロキサン・アルケニルオルガノシロキサン共重合体とを併用したものである(但し、オルガノ基は、非置換又は置換のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)請求項1又は2記載のコーティング剤組成物。
- (A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンが、分子鎖両末端トリアルケニルシロキシ基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端トリアルケニルシロキシ基封鎖ジオルガノシロキサン・アルケニルオルガノシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジアルケニルオルガノシロキシ基封鎖ジオルガノポリシロキサン、及び分子鎖両末端ジアルケニルオルガノシロキシ基封鎖ジオルガノシロキサン・アルケニルオルガノシロキサン共重合体から選ばれる1種又は2種以上を、(A)成分中少なくとも1質量%含有するものである(但し、オルガノ基は、非置換又は置換のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す)請求項3記載のコーティング剤組成物。
- (B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、分子鎖両末端トリオルガノシロキシ基封鎖オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、分子鎖両末端トリオルガノシロキシ基封鎖又はジオルガノハイドロジェンシロキシ基封鎖のジオルガノシロキサン・オルガノハイドロジェンシロキサン共重合体とを含有するものである請求項1〜4のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
- (E)成分の接着付与成分が、エポキシ当量が100〜5,000g/1molである有機化合物又は有機ケイ素化合物、1分子中に窒素原子を1個以上含有する有機ケイ素化合物、1分子中に炭素原子を12個以上含有する有機チタン化合物、及び1分子中にアルケニル基又はSiH基とアルコキシ基をそれぞれ1個以上含有する有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上を含有するものである請求項1〜5のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
- 25℃における粘度が5〜5,000Pa・sである請求項1〜6のいずれか1項記載のコーティング組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のコーティング剤組成物によるゴムコーティング層を有するエアーバッグ。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のコーティング剤組成物によるゴムコーティング層を有する、織りにより袋部を形成したエアーバッグ。
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JP2006342350A (ja) * | 2005-06-06 | 2006-12-21 | Wacker Chemie Ag | 有機ケイ素化合物を基礎とする架橋可能な組成物、その使用並びに該組成物を用いて製造された成形体、織布及び不織布 |
JP2019173262A (ja) * | 2013-08-26 | 2019-10-10 | 東洋紡株式会社 | エアバッグ用コート布 |
JP2022150604A (ja) * | 2021-03-26 | 2022-10-07 | 信越化学工業株式会社 | 硬化性シリコーン樹脂組成物およびその硬化物 |
-
2004
- 2004-04-12 JP JP2004116296A patent/JP2005054168A/ja active Pending
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