JP2005053904A - フラーレン類、及び抗癌治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】
癌の治療法であるホウ素中性子捕捉療法では、癌親和性基に10Bからなる化合物を付加した抗癌治療剤を癌細胞に送り込み、熱中性子線を照射して核反応で発生するα線で癌細胞を選択的に破壊していた。しかし、反応後に生成するLiが人体に対し有害であるという問題があった。
【解決手段】
10B、または6Liを内包するフラーレン類に癌親和性基を付加した抗癌治療剤を中性子捕捉療法用の治療剤として用いた。10B、または6Liが、人体に対し安全性の高いフラーレン類の中に閉じ込められているため、中性子捕捉療法の安全性を向上できる。
【選択図】 図1
癌の治療法であるホウ素中性子捕捉療法では、癌親和性基に10Bからなる化合物を付加した抗癌治療剤を癌細胞に送り込み、熱中性子線を照射して核反応で発生するα線で癌細胞を選択的に破壊していた。しかし、反応後に生成するLiが人体に対し有害であるという問題があった。
【解決手段】
10B、または6Liを内包するフラーレン類に癌親和性基を付加した抗癌治療剤を中性子捕捉療法用の治療剤として用いた。10B、または6Liが、人体に対し安全性の高いフラーレン類の中に閉じ込められているため、中性子捕捉療法の安全性を向上できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、医療分野において、癌組織の選択的治療性という観点から期待が高い中性子捕捉療法(NCT: Neutron Capture Therapy)に使用される抗癌治療剤に関する。
近年、癌研究の進歩により早期診断技術および延命治療技術が向上している。癌の治療法に関しては、外科手術、薬物療法、放射線療法、温熱療法等があり、また、それらの併用による治療も行われている。癌、すなわち悪性腫瘍の中で、特に、患部の切除が難しい脳腫瘍の治療法においては、正常な脳神経細胞を傷つけることなく、癌細胞を選択的に破壊する治療法に対する要求が高く、例えば、中性子捕捉療法の研究がすすめられている。
中性子捕捉療法は、γ線やX線を利用する従来の放射線治療法とは異なり、熱中性子線または熱外中性子線による体外照射と、α線による細胞内照射を組み合わせたものである。第3図(a)及び(b)は、熱中性子を使用した場合の中性子捕捉療法の原理を説明するための図である。第3図(b)に示すように、あらかじめ癌細胞15内にホウ素の同位体10Bを取り込ませておき、外部からエネルギーの低い熱中性子線を照射する。図3(a)に示すように、ホウ素の原子核は、低速の熱中性子を好んで捕捉し、捕捉と同時に核分裂を起こし、α粒子(He核)を発生する。
10B + n -> 7Li + α + 2.79Mev (6.3%)
10B + n -> 7Li* + α + 2.31Mev (93.7%)
α粒子は、生体組織内において約5μmの飛程を持っており、これは、およそ癌細胞一個分の大きさに相当する。また、α線は、γ線にくらべLET(linear energy transfer)が大きいため、より大きな生物学的効果比(RBE)を有している。そのため、ホウ素を癌細胞15に送り込むことができれば、中性子線を照射することにより、正常細胞14を傷つけずに癌細胞15のみを選択的に破壊することが可能になる(図3(b))。
10B + n -> 7Li + α + 2.79Mev (6.3%)
10B + n -> 7Li* + α + 2.31Mev (93.7%)
α粒子は、生体組織内において約5μmの飛程を持っており、これは、およそ癌細胞一個分の大きさに相当する。また、α線は、γ線にくらべLET(linear energy transfer)が大きいため、より大きな生物学的効果比(RBE)を有している。そのため、ホウ素を癌細胞15に送り込むことができれば、中性子線を照射することにより、正常細胞14を傷つけずに癌細胞15のみを選択的に破壊することが可能になる(図3(b))。
ホウ素10Bを選択的に癌細胞に送り込む方法としては、ポルフィリン金属錯体にカゴ状ホウ素化合物を結合させた治療剤を静脈注射などの方法で投与し、ポルフィリン金属錯体の持つ癌親和性を利用し、ホウ素を癌細胞に送りこむ方法が知られている(特許文献1)。
第2図(a)ないし(c)は、従来の抗癌治療剤を使用した中性子捕捉療法を説明するための図である。従来の抗癌治療剤は、[10B12H11]2-で表されるカゴ状ホウ素化合物11が、ポルフィリン錯体などの癌親和性基12に結合した構造をしている(第2図(a))。抗癌治療剤を患者の体内に投与すると、癌親和性基12の作用により、抗癌治療剤は癌細胞の近くに蓄積される。次に、医療用に放射線を照射できる施設において、患者に対し熱中性子線を照射する(第2図(b))。熱中性子線は、癌細胞に取り込まれたカゴ状ホウ素化合物に捕捉され、α線の発生により癌細胞が破壊される(第2図(c))。
中性子捕捉療法に使用される抗癌治療剤としては、リチウムの同位体6Liを用いる方法も提案されている。リチウムの同位体に熱中性子を照射すると、
6Li + n -> 3H + α + 4.8MeV
の反応により、10Bと同様にα粒子を発生し癌細胞を破壊することができる。
6Li + n -> 3H + α + 4.8MeV
の反応により、10Bと同様にα粒子を発生し癌細胞を破壊することができる。
ボロンの同位体を含む抗癌治療剤を用いる場合は、第2図(c)に示すように、核反応後、ボロンはリチウムに変化し、一部のリチウムは原子あるいは化合物の形で血管内、または正常細胞内に入り込む。
国際化学物質安全性カード(ICSC番号0710)によると、リチウムの経口摂取による急性症状として、胃痙攣、腹痛、灼熱感、吐き気、ショックまたは虚脱、嘔吐、脱力感があると報告されている。従って、リチウムが体内物質と反応できる形で体内に存在すると、胃痙攣、吐き気などの症状を起こし、人体に対し悪影響を及ぼすという問題があった。
同様に、リチウムの同位体を含む抗癌治療剤を用いる場合についても、抗癌治療剤が人体に対し悪影響を及ぼすという問題があった。
同様に、リチウムの同位体を含む抗癌治療剤を用いる場合についても、抗癌治療剤が人体に対し悪影響を及ぼすという問題があった。
10Bまたは6Liを内包したフラーレン類からなる抗癌治療剤を、切開手術により癌患者の患部を露出させて投与してから熱中性子線を照射する、あるいは、10Bまたは6Liを内包したフラーレン類に癌親和性基を付加した抗癌治療剤を静脈注射または切開手術により患部に投与してから熱中性子線を照射することにした。
本発明(1)は、10B又は6Liを内包するフラーレン類である。
本発明(2)は、フラーレン類がC60及び/又はC70である、前記発明(1)のフラーレン類である。
本発明(3)は、フラーレン類が、癌親和性基により化学修飾されている、前記発明(1)又は前記発明(2)記載のフラーレン類である。
本発明(4)は、癌親和性基が、ポルフィリン錯体又は水溶性高分子化合物からなる残基である、前記発明(3)のフラーレン類である。
本発明(5)は、前記発明(1)乃至前記発明(4)のフラーレン類を含むα粒子放出剤である。
本発明(6)は、中性子捕捉療法による抗癌治療のための、前記発明(5)のα粒子放出剤である。
本発明(7)は、前記発明(1)乃至前記発明(4)のいずれか一項記載のフラーレン類を含む中性子捕捉療法用抗癌治療剤である。
1.6Li、10B内包フラーレン類は、人体に対する悪影響がなく安全性が高い。
2.中性子と核反応しやすい非放射性同位体として6Liを用いる場合、フラーレン類で内包することにより、患部に到達するまで6Liがフラーレンの殻に閉じ込められているため、安全性の点で問題がある6Liについても、中性子捕捉療法に使用することができる。
3.内包フラーレン類に癌親和性基を付加することにより、静脈注射などの方法で抗癌治療剤を投与して選択的に癌細胞に治療剤を集積させ、治療剤が癌細胞に留まる時間を長くすることができる。
4.6Li、10Bはフラーレン類に内包されたまま癌細胞に到達するので、途中で化学反応などで減少したり、人体に悪影響を及ぼすことがない。また、熱中性子線を照射した後に、核反応で変化した原子が内包されたまま体外に排出されるので、安全性が高い。
2.中性子と核反応しやすい非放射性同位体として6Liを用いる場合、フラーレン類で内包することにより、患部に到達するまで6Liがフラーレンの殻に閉じ込められているため、安全性の点で問題がある6Liについても、中性子捕捉療法に使用することができる。
3.内包フラーレン類に癌親和性基を付加することにより、静脈注射などの方法で抗癌治療剤を投与して選択的に癌細胞に治療剤を集積させ、治療剤が癌細胞に留まる時間を長くすることができる。
4.6Li、10Bはフラーレン類に内包されたまま癌細胞に到達するので、途中で化学反応などで減少したり、人体に悪影響を及ぼすことがない。また、熱中性子線を照射した後に、核反応で変化した原子が内包されたまま体外に排出されるので、安全性が高い。
本発明の最良形態について説明する。
「フラーレン類」とは、フラーレン、ヘテロフラーレン、化学修飾フラーレン、フラーレンダイマーのようなフラーレン同士の繰り返し結合体(イオン結合、共有結合等)を包含する概念であり、ここで、「フラーレン」とは、Cn(n=60,70,76,78,・・・)で示される中空の炭素クラスター物質であり、例えば、C60やC70を挙げることができる。また、繰り返し結合体の場合、すべてのフラーレン単位中に6Li、10Bが内包されていなくともよい(例えばダイマーの場合、一方のフラーレンのみ6Li、10Bが内包されている態様を挙げることができる)。
また、「内包する」とは、フラーレンの中空部に炭素以外の原子を閉じ込めることとして定義される。内包される原子の数は、一個でもよいし、複数個でもよい。また、10B及び6Liなど異なる原子を同時に内包させてもよい。内包原子は複数個内包されているほうが、α粒子の放出効率がよくなるが、内包される原子の最大数は、フラーレン分子の大きさと内包原子の大きさに制限される。C60に10B又は6Liを内包する場合は、1個または2個の原子を内包するのが好ましい。
非特許文献2によると、抵抗加熱法やアーク放電法でフラーレンを製造する場合、生成されたフラーレンの中で、重量比にして、70〜85%がC60、10〜15%がC70、残りがC76、C78、C84などの高次フラーレンとなる。燃焼法によるフラーレンの製造においても、C60、C70の重量比は高次フラーレンよりも大きい。従って、C60、C70は、高次フラーレンと比較して入手が容易でかつ安価である。また、C60とC70からなる混合フラーレンも、フロンティアカーボンなどから市販されており、C60とC70からなる混合フラーレンに10B又は6Liを内包させた内包フラーレンをα粒子放出剤あるいは抗癌治療剤に用いることが可能である。
「癌親和性基」とは、癌細胞に選択的に集積し、かつ癌細胞からの排泄が遅いという性質と、正常な臓器や細胞からは速やかに排泄され、人体に対する悪影響がないという性質を兼ね備えた基であり、既知の癌親和性基をすべて包含する概念である。癌親和性基の例として、ポルフィリン錯体又は水溶性高分子化合物を挙げることができる。
ここにいう「ポルフィリン錯体」とは、ポルフィリン錯体を母核とする癌親和性基の誘導体である限り特に限定されず、例えば、図4に示すようなポルフィリン錯体(10B@C60と結合)、特開平08-967682号公報に記載の化合物、再表01/040233に記載の化合物を挙げることができる。
また、「水溶性高分子」は、特に限定されないが、ポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールなどの非荷電水溶性合成高分子、デキストラン、プルラン、デンプン、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルデンプンのようなデンプン誘導体などの非荷電水溶性天然高分子など、さらにはそれらの高分子の正電荷および負電荷をもつ誘導体などを挙げることができる。水溶性高分子の分子量に関しても、特に限定されるものではないが、重量平均にして5,000から1,000,000が好ましい。中性子捕捉剤を構成するフラーレン類自身は水に不溶であり、フラーレンなどの水不溶性のフラーレン類に水溶性を持たせ、中性子捕捉剤を癌細胞に集積させるためには、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子化合物をフラーレン類に化学修飾させる方法によって、中性子捕捉剤を癌細胞に選択的に送り込むことが可能になる。
「α粒子放出剤」とは、何らかの外部操作により、He核であるα粒子を放出する物質のことであり、放出されたα粒子を利用して癌細胞を破壊するなどの応用がある。外部操作により、α粒子の放出を制御できるので、正常細胞を破壊せずに癌細胞のみ選択的に破壊することが可能である。
「中性子捕捉療法」は、原子炉から比較的容易に取り出すことができる熱中性子、あるいは熱外中性子を利用する癌の治療方法である。患部に中性子線を照射する前に、あらかじめ、癌細胞に抗癌治療剤を選択的に送り込む。抗癌治療剤(α粒子放出剤)を送り込む方法としては、癌親和性基を付加していない内包フラーレンからなる本発明の抗癌治療剤の場合、患部が露出するように切開手術を行って、直接癌細胞に抗癌治療剤を投与する。また、癌親和性基を付加した内包フラーレンからなる本発明の抗癌治療剤の場合、患部が露出するように切開手術を行って、直接癌細胞に抗癌治療剤を投与してもよいが、静脈注射により抗癌治療剤を投与することも可能である。
中性子捕捉療法に通常使用する熱中性子線は、組織内での減衰率が高く、大きな腫瘍、浸潤した腫瘍に十分量の中性子を照射することが困難という問題があり、より組織内での減衰率が小さい熱外中性子線を使用する中性子捕捉療法の研究がすすめられている。本発明の抗癌治療剤は、熱中性子線を使用した中性子捕捉療法に限らず、熱外中性子線を使用した中性子捕捉療法においても有効である。
(内包フラーレン類の製造方法)
本発明に係る内包フラーレン類は、例えば、真空容器中で加熱したホットプレートに対し内包原子蒸気を噴射してプラズマを発生させ、発生した内包原子プラズマ流にフラーレン類を噴射し、プラズマ流の下流に配置したプレートに内包フラーレン類を堆積させる方法により製造可能である。
本発明に係る内包フラーレン類は、例えば、真空容器中で加熱したホットプレートに対し内包原子蒸気を噴射してプラズマを発生させ、発生した内包原子プラズマ流にフラーレン類を噴射し、プラズマ流の下流に配置したプレートに内包フラーレン類を堆積させる方法により製造可能である。
例えば、本発明に係る内包フラーレン類は、非特許文献1に記載の方法及び製造装置で製造し得る。これにつき簡単に説明すると、内包フラーレン類の製造装置は、プラズマ発生室、フラーレン類導入室、内包フラーレン類堆積室からなる管状の反応室とプラズマを閉じ込めるための磁界発生コイルにより構成される。最初に、6Li、10Bなどの内包原子材料をオーブンで加熱し昇華させる。発生した内包原子蒸気を真空引きしたプラズマ発生室に導入管を通して導入し、ホットプレート上で内包原子プラズマを発生させる。発生した内包原子プラズマは、ホットプレート前面で形成された電子シースによる電位降下により加速され、均一磁場に沿って管軸方向に流れる。フラーレン類導入室において、プラズマ流に対しC60などのフラーレン類を昇華させた蒸気を噴射することにより、プラズマ流を構成する電子とC60が衝突してC60の負イオンが発生する。内包原子の正イオンと発生したC60の負イオンからなるプラズマ流は、内包フラーレン類堆積室において、バイアス電源により正のバイアス電圧を印加した堆積プレート近傍で衝突し、堆積プレート表面に内包フラーレン類が堆積する。
(内包原子同位体の精製方法)
本発明の抗癌治療剤の原料である内包フラーレン類は、フラーレン類に内包する原子として安定同位体である6Liあるいは10Bを用いている。自然界に存在する安定同位体の存在比率は、Liの場合、6Liが7.6%、7Liが92.4%であり、Bの場合、10Bが19.9%、11Bが80.1%である。内包原子として、市販のLiあるいはB(同位体未精製品)を購入し、精製を行わずに内包フラーレン類を製造すると、生成された内包フラーレン類の内、抗癌治療剤の原料となるのは一部の安定同位体内包フラーレン類であるため、α粒子放出剤又は抗癌治療剤の製造効率が高くない。
本発明の抗癌治療剤の原料である内包フラーレン類は、フラーレン類に内包する原子として安定同位体である6Liあるいは10Bを用いている。自然界に存在する安定同位体の存在比率は、Liの場合、6Liが7.6%、7Liが92.4%であり、Bの場合、10Bが19.9%、11Bが80.1%である。内包原子として、市販のLiあるいはB(同位体未精製品)を購入し、精製を行わずに内包フラーレン類を製造すると、生成された内包フラーレン類の内、抗癌治療剤の原料となるのは一部の安定同位体内包フラーレン類であるため、α粒子放出剤又は抗癌治療剤の製造効率が高くない。
7Li内包フラーレン類や11B内包フラーレン類が人体に対し有害なわけではなく、人体に取り入れても速やかに排泄されるので、同位体未精製品のLiやBを内包した内包フラーレン類を原料として用いても、α粒子放出剤又は抗癌治療剤として機能する。しかし、以下に述べる同位体精製方法を用いて、内包原子の同位体を精製してから内包フラーレン類を生成し、α粒子放出剤又は抗癌治療剤を製造するほうが、製造効率が高く、また、抗癌治療に用いた場合の治療効果が大きいので、より好ましい。
市販のLi材料に含まれるLi同位体を精製する方法として、水銀アマルガム法、イオン伝導体を用いる方法(日本原子力研究所)、イオン交換樹脂を用いる方法(名古屋大学)などが知られている。例えば、イオン伝導体を用いる精製方法では、Liイオン伝導体中で同位体質量の違いによる移動速度の差を利用して同位体を分離する。LiHSO4などのLi化合物を溶かした溶液中にアノード電極と多孔質カソード電極を配置し、アノード電極が正極、カソード電極が負極となるように電圧を印加すると、溶液中で6Li+が7Li+よりも移動速度が大きいので、6Li+が7Li+よりも早くカソード電極に移動し、電極上に析出するので、6Li+を濃縮分離することができる。
(本発明の抗癌治療剤による中性子捕捉療法)
第1図(a)ないし(c)は、本発明の抗癌治療剤(α粒子放出剤)を使用した中性子捕捉療法を説明するための図である。本発明の抗癌治療剤は、10B内包フラーレン1が、ポルフィリン錯体などの癌親和性基2に結合した構造をしている(第1図(a))。抗癌治療剤を患者の体内に投与すると、癌親和性基2の作用により、抗癌治療剤は癌細胞の近くに集積される。次に、医療用に放射線を照射できる施設において、患者に対し熱中性子線を照射する(第1図(b))。熱中性子線は、癌細胞に取り込まれたカゴ状ホウ素化合物に捕捉され、α線の発生により癌細胞が破壊される(第1図(c))。核反応により、フラーレンに内包された10Bは7Liに変化するが、反応後、7Li内包フラーレン3は7Liを内包し癌親和性基2を付加したまま体外に排出される。
第1図(a)ないし(c)は、本発明の抗癌治療剤(α粒子放出剤)を使用した中性子捕捉療法を説明するための図である。本発明の抗癌治療剤は、10B内包フラーレン1が、ポルフィリン錯体などの癌親和性基2に結合した構造をしている(第1図(a))。抗癌治療剤を患者の体内に投与すると、癌親和性基2の作用により、抗癌治療剤は癌細胞の近くに集積される。次に、医療用に放射線を照射できる施設において、患者に対し熱中性子線を照射する(第1図(b))。熱中性子線は、癌細胞に取り込まれたカゴ状ホウ素化合物に捕捉され、α線の発生により癌細胞が破壊される(第1図(c))。核反応により、フラーレンに内包された10Bは7Liに変化するが、反応後、7Li内包フラーレン3は7Liを内包し癌親和性基2を付加したまま体外に排出される。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<製造例1>
(Li内包フラーレン製造例)
Liを内包した内包フラーレンの製造には、円筒形状のステンレス製容器の周囲に電磁コイルを配置した構造の製造装置を用いた。使用原料であるLiは、アルドリッチ製の同位体に関し未精製のLiを用い、また、使用原料であるC60は、フロンティアカーボン製のC60を用いた。真空容器を真空度4.2×10-5Paに排気し、電磁コイルにより、磁場強度0.2Tの磁界を発生させた。内包原子昇華オーブンに固体状のLiを充填し、480℃の温度に加熱してLiを昇華させ、Li ガスを発生させた。発生したLi ガスを500℃に加熱したガス導入管を通して導入し、2500℃に加熱したホットプレートに噴射した。Li蒸気がホットプレート表面で電離し、Liの正イオンと電子からなるプラズマ流が発生し、発生したプラズマ流に、フラーレンオーブンで610℃に加熱、昇華させたC60蒸気を導入した。プラズマ流と接触する堆積プレートに+10Vのバイアス電圧を印加し、堆積プレート表面に内包フラーレンを含む薄膜を堆積した。約1時間の堆積を行い、厚さ0.9μmの薄膜が堆積した。
(Li内包フラーレン製造例)
Liを内包した内包フラーレンの製造には、円筒形状のステンレス製容器の周囲に電磁コイルを配置した構造の製造装置を用いた。使用原料であるLiは、アルドリッチ製の同位体に関し未精製のLiを用い、また、使用原料であるC60は、フロンティアカーボン製のC60を用いた。真空容器を真空度4.2×10-5Paに排気し、電磁コイルにより、磁場強度0.2Tの磁界を発生させた。内包原子昇華オーブンに固体状のLiを充填し、480℃の温度に加熱してLiを昇華させ、Li ガスを発生させた。発生したLi ガスを500℃に加熱したガス導入管を通して導入し、2500℃に加熱したホットプレートに噴射した。Li蒸気がホットプレート表面で電離し、Liの正イオンと電子からなるプラズマ流が発生し、発生したプラズマ流に、フラーレンオーブンで610℃に加熱、昇華させたC60蒸気を導入した。プラズマ流と接触する堆積プレートに+10Vのバイアス電圧を印加し、堆積プレート表面に内包フラーレンを含む薄膜を堆積した。約1時間の堆積を行い、厚さ0.9μmの薄膜が堆積した。
生成した薄膜を堆積基板から剥離し、粉末状にした薄膜を二硫化炭素からなる溶媒に溶解し、HPLCを用いてLiが内包されていないフラーレンとLi内包フラーレンを分離した。
図5は、上記内包フラーレンの製造方法で生成したLi内包フラーレンの質量分析データである。7Li@C60(質量数727)のピークと、6Li@C60(質量数726)のピークが観測され、7Liと6Liがフラーレンに内包されていることが確認できた。ピーク強度から、生成された薄膜中の6Li@C60の7Li@C60に対する重量比は約10%であることがわかった。
<製造例2>
(B内包フラーレン製造例)
Bを内包した内包フラーレンの製造には、円筒形状のステンレス製容器の周囲に電磁コイルを配置した構造の製造装置を用いた。使用原料であるB2H6は、日本酸素製のB2H6(10B:11B = 1:4)を用い、また、使用原料であるC60は、フロンティアカーボン製のC60を用いた。真空容器を真空度4.7×10-5Paに排気し、電磁コイルにより、磁場強度0.3Tの磁界を発生させた。Bプラズマ生成室にB2H6ガスを導入し、高周波誘導コイルにより500Wの高周波電力を印加してB2H6ガスを励起し、Bの正イオンと電子を含むプラズマ流を発生させた。発生したプラズマ流に、フラーレンオーブンで590℃に加熱、昇華させたC60蒸気を導入した。プラズマ流と接触する堆積プレートに+8Vのバイアス電圧を印加し、堆積プレート表面に内包フラーレンを含む薄膜を堆積した。約1時間の堆積を行い、厚さ0.8μmの薄膜が堆積した。
(B内包フラーレン製造例)
Bを内包した内包フラーレンの製造には、円筒形状のステンレス製容器の周囲に電磁コイルを配置した構造の製造装置を用いた。使用原料であるB2H6は、日本酸素製のB2H6(10B:11B = 1:4)を用い、また、使用原料であるC60は、フロンティアカーボン製のC60を用いた。真空容器を真空度4.7×10-5Paに排気し、電磁コイルにより、磁場強度0.3Tの磁界を発生させた。Bプラズマ生成室にB2H6ガスを導入し、高周波誘導コイルにより500Wの高周波電力を印加してB2H6ガスを励起し、Bの正イオンと電子を含むプラズマ流を発生させた。発生したプラズマ流に、フラーレンオーブンで590℃に加熱、昇華させたC60蒸気を導入した。プラズマ流と接触する堆積プレートに+8Vのバイアス電圧を印加し、堆積プレート表面に内包フラーレンを含む薄膜を堆積した。約1時間の堆積を行い、厚さ0.8μmの薄膜が堆積した。
生成した薄膜を堆積基板から剥離し、粉末状にした薄膜を二硫化炭素からなる溶媒に溶解し、HPLCを用いてBが内包されていないフラーレンとB内包フラーレンを分離した。
堆積したB内包フラーレンの質量分析を行った結果、11B@C60(質量数731)のピークと、10B@C60(質量数730)のピークが観測され、11Bと10Bがフラーレンに内包されていることが確認できた。ピーク強度から、生成された薄膜中の10B @C60の11B @C60に対する重量比は約20%であることがわかった。
<α粒子放出試験>
上記製造例1及び2で得られた内包フラーレンのα粒子放出試験を行った。α粒子放出試験サンプルとして、製造例1で得られた粉末状の混合Li@C60(6Li@C6010%, 7Li@C6090%)と製造例2で得られた粉末状の混合B@C60(10B@C6020%, 11B@C6080%)、1サンプル当たり5mgを、それぞれ5サンプル用意し、日本バイクロン社製プラスティックシンチレータの検知部に封入し、三菱レイヨン社製光ファイバーに光学的に接続した。光ファイバーにより伝達された光信号は、浜松ホトニクス社製光電子増倍管により電気信号に変換され、さらに、電気信号を波形整形アンプ回路により増幅した後、ディスクリミネータでα線信号を弁別し、カウンターを用いてα線信号だけを計数した。
上記製造例1及び2で得られた内包フラーレンのα粒子放出試験を行った。α粒子放出試験サンプルとして、製造例1で得られた粉末状の混合Li@C60(6Li@C6010%, 7Li@C6090%)と製造例2で得られた粉末状の混合B@C60(10B@C6020%, 11B@C6080%)、1サンプル当たり5mgを、それぞれ5サンプル用意し、日本バイクロン社製プラスティックシンチレータの検知部に封入し、三菱レイヨン社製光ファイバーに光学的に接続した。光ファイバーにより伝達された光信号は、浜松ホトニクス社製光電子増倍管により電気信号に変換され、さらに、電気信号を波形整形アンプ回路により増幅した後、ディスクリミネータでα線信号を弁別し、カウンターを用いてα線信号だけを計数した。
試験装置は、大型試料輸送台車を用い、医療照射で用いる中性子コリメータに頭部を模擬した水ファントムを取り付けた。水ファントムは18cmφ×20cmのアクリル樹脂製で、中央に光ファイバーを通すための3mmφの穴が空いている。光ファイバーは、ガイドチューブ内を通って水ファントム中央の穴まで導かれる。
中性子コリメータを熱中性子照射モード、炉出力3MWとして、中性子照射により製造例1及び2で得られた内包フラーレンから放出されるα線を計数した。計数結果は5サンプルの平均値をとった。
[α線計数結果(個/cm2s)]
α粒子放出剤位置* 混合Li@C60 混合B@C60
0mm 7 x 108 9 x 108
50mm 1 x 108 2 x 108
100mm 2 x 107 3 x 107
* 中性子コリメータからα粒子放出剤までの距離
α粒子放出剤位置* 混合Li@C60 混合B@C60
0mm 7 x 108 9 x 108
50mm 1 x 108 2 x 108
100mm 2 x 107 3 x 107
* 中性子コリメータからα粒子放出剤までの距離
<製造例3>
(ポルフィリン錯体修飾型抗癌治療剤製造例)
プロトポルフィリンジメチルエステル(PP-Me)50gを酢酸170mlに懸濁させ、この懸濁液に30%HBr/酢酸溶液340mlを加え、2日間放置し、反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、残渣としてHBr付加体(Br-Dp)約70gを得た。得られたBr-Dp約70gに、アミノプロピルアルコール・塩酸塩350mlを加え、55℃にて攪拌下、約1ヶ月間反応させた。反応終了後、反応液に水を加えて、さらに20%水酸化ナトリウム水溶液にてpHを10.5に調整し、加水分解を行った。生成した沈殿物を30分間放置し、ついで10%HCl水溶液にてpHを3.0に調整し、合成吸着剤(HP-20)を用いて吸着させた。吸着物を水洗し、メタノールにて溶出し、アミノプロポキシポルフィリン誘導体(AP-DP-AP)を40g得た。上記Mnなどの金属錯体化反応で得られたAP-DP-AP(32.5g)を、メタノール975mlに溶解し、酢酸マンガン水和物のメタノール溶液(40g/180ml)を加え、55℃加温、攪拌下に3時間反応を行った。TLCにより反応完結を確認後、反応液を約半分に減圧濃縮し、粗アミノプロポキシポルフィリンMn錯体(AP-Mn-DP-AP)を泥状物として得た。カラムクロマト法によるモノアミノプロポキシポルフィリンMn錯体(monoAP-Mn-DP-AP)およびジアミノプロポキシポルフィリンMn錯体(diAP-Mn-DP-AP)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル、酢酸メタル/メタノール(1:1)、メタノールおよびメタノール/酢酸(20:1)により順次溶出した。その結果、メタノール溶出画分よりモノアミノプロポキシポルフィリンMn錯体(monoAP-Mn-DP-AP)が、ついでメタノール/酢酸溶液画分よりジアミノプロポキシポルフィリンMn錯体(diAP-Mn-DP-AP)が得られた。0.54mM濃度の製造例1で得られた内包フラーレンのベンゼン溶液10mlへ、0〜108mM濃度のdiAP-Mn-DP-APを含む等量のベンゼン溶液を加え、25℃、24時間、遮光条件下にて攪拌し、結合反応を行った。反応終了後、反応溶液を凍結乾燥し内包フラーレン-ポルフィリン錯体の結合体を得た。
(ポルフィリン錯体修飾型抗癌治療剤製造例)
プロトポルフィリンジメチルエステル(PP-Me)50gを酢酸170mlに懸濁させ、この懸濁液に30%HBr/酢酸溶液340mlを加え、2日間放置し、反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、残渣としてHBr付加体(Br-Dp)約70gを得た。得られたBr-Dp約70gに、アミノプロピルアルコール・塩酸塩350mlを加え、55℃にて攪拌下、約1ヶ月間反応させた。反応終了後、反応液に水を加えて、さらに20%水酸化ナトリウム水溶液にてpHを10.5に調整し、加水分解を行った。生成した沈殿物を30分間放置し、ついで10%HCl水溶液にてpHを3.0に調整し、合成吸着剤(HP-20)を用いて吸着させた。吸着物を水洗し、メタノールにて溶出し、アミノプロポキシポルフィリン誘導体(AP-DP-AP)を40g得た。上記Mnなどの金属錯体化反応で得られたAP-DP-AP(32.5g)を、メタノール975mlに溶解し、酢酸マンガン水和物のメタノール溶液(40g/180ml)を加え、55℃加温、攪拌下に3時間反応を行った。TLCにより反応完結を確認後、反応液を約半分に減圧濃縮し、粗アミノプロポキシポルフィリンMn錯体(AP-Mn-DP-AP)を泥状物として得た。カラムクロマト法によるモノアミノプロポキシポルフィリンMn錯体(monoAP-Mn-DP-AP)およびジアミノプロポキシポルフィリンMn錯体(diAP-Mn-DP-AP)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル、酢酸メタル/メタノール(1:1)、メタノールおよびメタノール/酢酸(20:1)により順次溶出した。その結果、メタノール溶出画分よりモノアミノプロポキシポルフィリンMn錯体(monoAP-Mn-DP-AP)が、ついでメタノール/酢酸溶液画分よりジアミノプロポキシポルフィリンMn錯体(diAP-Mn-DP-AP)が得られた。0.54mM濃度の製造例1で得られた内包フラーレンのベンゼン溶液10mlへ、0〜108mM濃度のdiAP-Mn-DP-APを含む等量のベンゼン溶液を加え、25℃、24時間、遮光条件下にて攪拌し、結合反応を行った。反応終了後、反応溶液を凍結乾燥し内包フラーレン-ポルフィリン錯体の結合体を得た。
<製造例4>
(PEG-NH2修飾型抗癌治療剤製造例)
内包フラーレンを化学修飾するための癌親和性基として、一端がメトキシ基、片末端がアミノ基であるポリエチレングリコールモノアミン(以下、PEG-NH2と略記する)を用いた。PEG-NH2と製造例1で得られた内包フラーレンとを溶解させたベンゼン溶液を25℃にて攪拌させ、PEG-NH2と内包フラーレンとを化学結合させた。得られた反応生成物は凍結乾燥により回収した。PEG-NH2としては日本油脂製で分子量5000のものを用いた。0.54mM濃度の内包フラーレンのベンゼン溶液10mlへ、0〜108mM濃度のPEG-NH2を含む等量のベンゼン溶液を加え、25℃、24時間、遮光条件下にて攪拌し、結合反応を行った。反応終了後、反応溶液を凍結乾燥し内包フラーレン-PEG結合体を得た。内包フラーレン濃度が0.27mMとなるように結合体をベンゼンに溶解させた後、等量の蒸留水と混ぜ合わせた。48時間、25℃にて放置し、結合体の水相への抽出操作を行い、水への移行性を調べた。水への移行性は、抽出操作を行う前後におけるベンゼン溶液の500nmの内包フラーレンの吸光度の変化を測定することにより評価した。その結果、PEG-NH2の添加量の増加とともに結合体の水相への移行性が増加し、水に不溶な内包フラーレンも、PEGで化学修飾することにより溶解性が変化し、水溶性になることがわかった。
(PEG-NH2修飾型抗癌治療剤製造例)
内包フラーレンを化学修飾するための癌親和性基として、一端がメトキシ基、片末端がアミノ基であるポリエチレングリコールモノアミン(以下、PEG-NH2と略記する)を用いた。PEG-NH2と製造例1で得られた内包フラーレンとを溶解させたベンゼン溶液を25℃にて攪拌させ、PEG-NH2と内包フラーレンとを化学結合させた。得られた反応生成物は凍結乾燥により回収した。PEG-NH2としては日本油脂製で分子量5000のものを用いた。0.54mM濃度の内包フラーレンのベンゼン溶液10mlへ、0〜108mM濃度のPEG-NH2を含む等量のベンゼン溶液を加え、25℃、24時間、遮光条件下にて攪拌し、結合反応を行った。反応終了後、反応溶液を凍結乾燥し内包フラーレン-PEG結合体を得た。内包フラーレン濃度が0.27mMとなるように結合体をベンゼンに溶解させた後、等量の蒸留水と混ぜ合わせた。48時間、25℃にて放置し、結合体の水相への抽出操作を行い、水への移行性を調べた。水への移行性は、抽出操作を行う前後におけるベンゼン溶液の500nmの内包フラーレンの吸光度の変化を測定することにより評価した。その結果、PEG-NH2の添加量の増加とともに結合体の水相への移行性が増加し、水に不溶な内包フラーレンも、PEGで化学修飾することにより溶解性が変化し、水溶性になることがわかった。
<中性子照射前毒性試験>
本発明のα粒子放出剤自身の生体に対する毒性の有無を評価するために、マウスに対し製造例1及び2で得られた内包フラーレンを2週間にわたって連続的に経口投与し、体重変化、血算、肝毒性、及び、Li、Bの検出有無を指標に毒性試験を行った。
本発明のα粒子放出剤自身の生体に対する毒性の有無を評価するために、マウスに対し製造例1及び2で得られた内包フラーレンを2週間にわたって連続的に経口投与し、体重変化、血算、肝毒性、及び、Li、Bの検出有無を指標に毒性試験を行った。
(実験方法)
製造例1で得られた粉末状の混合Li@C60(6Li@C6010%, 7Li@C6090%)と製造例2で得られた混合B@C60(10B@C6020%, 11B@C6080%)を用意した。
製造例1で得られた粉末状の混合Li@C60(6Li@C6010%, 7Li@C6090%)と製造例2で得られた混合B@C60(10B@C6020%, 11B@C6080%)を用意した。
マウスを一群あたり10匹で検体非投与群2と検体投与群2とし、無作為に4群に分けた。検体投与群Aには混合Li@C60 10mgを 1000mlの生理食塩水に加えて、マウスに経口投与した。検体投与群Bには混合B@C60 10mgを 1000mlの生理食塩水に加えて、マウスに経口投与した。検体非投与群には、生理食塩水のみを投与した。なお、経口投与(0.1ml/10g body weight)はいずれも一日一回17時に行った。
(毒性評価)
体重変動:マウスの体重計測は検体あるいは生理食塩水を投与する前に一日一回測定した。マウスの体重は群によってばらつきに偏りが生じるため各群の投与開始初日の体重の平均を1として、この値に対する増加率で算出した。
体重変動:マウスの体重計測は検体あるいは生理食塩水を投与する前に一日一回測定した。マウスの体重は群によってばらつきに偏りが生じるため各群の投与開始初日の体重の平均を1として、この値に対する増加率で算出した。
血算:2週間の検体投与が終了した後に、心臓採血を行い赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、ヘマトクリット値(HCT)、ヘモグロビン値(HGB)、そして血小板数(PLT)を計測した。
臓器重量:投与終了後の採血時に剖検し、肝臓、及び、腎臓を摘出してそれらの臓器の湿重量を測定した。
肝逸脱酵素(ASTとALT)の測定:採血終了後に一部の血液を遠心して血漿を摂取し、血中のトランスアミナーゼのALTとASTの酵素活性を測定した。
有意差検定:薬理統計学的有意差の算出に関してはANOVAで検出した後にDunnett’sの多重検定で処理し、対象群と比較して5%以下の危険率が認められた場合に有意差があると判定した。
(結果及び考察)
2週間にわたって、体重変化は検体非投与群と比較しても全く差は認められず、同じ比率で体重が増加した。なお、実験終了日まで致死率についても観察を行ったが、急性的な致死や衰弱は全く認められなかった。
2週間にわたって、体重変化は検体非投与群と比較しても全く差は認められず、同じ比率で体重が増加した。なお、実験終了日まで致死率についても観察を行ったが、急性的な致死や衰弱は全く認められなかった。
剖検の結果、胃、十二指腸、小腸、及び、大腸に肉眼的な異常所見は全く認められなかった。毒性が端的に現れる肝臓、及び、腎臓についてこれらの臓器の湿重量を測定したところ、萎縮や炎症などの肉眼的な異常は認められなかった。
また、肝臓、及び、腎臓について、ICP(誘導結合プラズマ)によるLi及びBの発光分析をおこなったところ、これらの臓器に対するLi及びBの残留は観測されなかった。
2週間の投与終了後に血液を採取し、血算値を調べたところ、白血球数、ヘモグロビン、及び、ヘマトクリットレベルは全く差がなかった。赤血球数はすべての用量においてわずかながら増加したが有意差は認められなかった。さらに血小板数については赤血球数の場合とは異なりいずれの用量の投与群においても減少する傾向が見られたが、有意差は認められなかった。
最後に薬物の安全性を評価する上で最も普遍的に用いられる肝臓実質細胞から逸脱する酵素(トランスアミラーゼ:AST=GOTとALT=GOT)の血中レベルを測定した。その結果、ASTとALTレベルは非投与群と比較して上昇することはなかった。
以上の実験結果から、混合Li@C60(6Li@C6010%, 7Li@C6090%)と混合B@C60(10B@C6020%, 11B@C6080%)には経口投与において臓器に炎症を起こしたり致死をもたらす急性または亜急性の毒性がないことが判明した。また、生体へのLi、Bの放出や残留がなく、Li、Bは、フラーレンに内包されたまま、すみやかに体外に排泄されることが確認できた。
<中性子照射後毒性試験>
中性子を照射した本発明のα粒子放出剤の生体に対する毒性の有無を評価するために、マウスに対し製造例1及び2で得られた内包フラーレンを3日間にわたって連続的に経口投与した。その後、熱中性子照射を行った後、マウスの体重変化、血算、肝毒性、及び、Li、Bの検出有無を指標に毒性試験を行った。
中性子を照射した本発明のα粒子放出剤の生体に対する毒性の有無を評価するために、マウスに対し製造例1及び2で得られた内包フラーレンを3日間にわたって連続的に経口投与した。その後、熱中性子照射を行った後、マウスの体重変化、血算、肝毒性、及び、Li、Bの検出有無を指標に毒性試験を行った。
(実験方法)
製造例1で得られた粉末状の混合Li@C60(6Li@C6010%, 7Li@C6090%)と製造例2で得られた混合B@C60(10B@C6020%, 11B@C6080%)を用意した。
製造例1で得られた粉末状の混合Li@C60(6Li@C6010%, 7Li@C6090%)と製造例2で得られた混合B@C60(10B@C6020%, 11B@C6080%)を用意した。
マウスを一群あたり10匹で検体非投与群2と検体投与群2とし、無作為に4群に分けた。検体投与群Aには混合Li@C60 10mgを 1000mlの生理食塩水に加えて、マウスに経口投与した。検体投与群Bには混合B@C60 10mgを 1000mlの生理食塩水に加えて、マウスに経口投与した。検体非投与群には、生理食塩水のみを投与した。なお、経口投与(0.1ml/10g body weight)はいずれも一日一回17時に行った。3日間の投与の後、4日目に全てのマウスに対し、医療照射で用いる中性子コリメータによる熱中性子照射を行った。中性子コリメータは熱中性子照射モード、炉出力3MWとした。
(毒性評価)
体重変動:マウスの体重計測は検体あるいは生理食塩水を投与する前に一日一回測定した。マウスの体重は群によってばらつきに偏りが生じるため各群の投与開始初日の体重の平均を1として、この値に対する増加率で算出した。
体重変動:マウスの体重計測は検体あるいは生理食塩水を投与する前に一日一回測定した。マウスの体重は群によってばらつきに偏りが生じるため各群の投与開始初日の体重の平均を1として、この値に対する増加率で算出した。
血算:2週間の検体投与が終了した後に、心臓採血を行い赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、ヘマトクリット値(HCT)、ヘモグロビン値(HGB)、そして血小板数(PLT)を計測した。
臓器重量:投与終了後の採血時に剖検し、肝臓、及び、腎臓を摘出してそれらの臓器の湿重量を測定した。
肝逸脱酵素(ASTとALT)の測定:採血終了後に一部の血液を遠心して血漿を摂取し、血中のトランスアミナーゼのALTとASTの酵素活性を測定した。
有意差検定:薬理統計学的有意差の算出に関してはANOVAで検出した後にDunnett’sの多重検定で処理し、対象群と比較して5%以下の危険率が認められた場合に有意差があると判定した。
(結果及び考察)
4日間の実験中、体重変化は検体非投与群と比較しても全く差は認められず、同じ比率で体重が増加した。なお、実験終了日まで致死率についても観察を行ったが、急性的な致死や衰弱は全く認められなかった。
4日間の実験中、体重変化は検体非投与群と比較しても全く差は認められず、同じ比率で体重が増加した。なお、実験終了日まで致死率についても観察を行ったが、急性的な致死や衰弱は全く認められなかった。
剖検の結果、胃、十二指腸、小腸、及び、大腸に肉眼的な異常所見は全く認められなかった。毒性が端的に現れる肝臓、及び、腎臓についてこれらの臓器の湿重量を測定したところ、萎縮や炎症などの肉眼的な異常は認められなかった。
また、肝臓、及び、腎臓について、ICP(誘導結合プラズマ)によるLi及びBの発光分析をおこなったところ、これらの臓器に対するLi及びBの残留は観測されなかった。
実験終了後に血液を採取し、血算値を調べたところ、白血球数、ヘモグロビン、及び、ヘマトクリットレベルは全く差がなかった。赤血球数はすべての用量においてわずかながら増加したが有意差は認められなかった。さらに血小板数については赤血球数の場合とは異なりいずれの用量の投与群においても減少する傾向が見られたが、有意差は認められなかった。
最後に薬物の安全性を評価する上で最も普遍的に用いられる肝臓実質細胞から逸脱する酵素(トランスアミラーゼ:AST=GOTとALT=GOT)の血中レベルを測定した。その結果、ASTとALTレベルは非投与群と比較して上昇することはなかった。
以上の実験結果から、混合Li@C60(6Li@C6010%, 7Li@C6090%)と混合B@C60(10B@C6020%, 11B@C6080%)を経口投与した後に熱中性子を照射しても、臓器に炎症を起こしたり致死をもたらす急性または亜急性の毒性が発生しないことが判明した。また、中性子照射後、生体へのLi、Bの放出や残留がなく、Li、Bは、フラーレンに内包されたまま、すみやかに体外に排泄されることが確認できた。
1 10B内包フラーレン
2 癌親和性基
3 7Li内包フラーレン
11 カゴ状ホウ素化合物
12 癌親和性基
13 Li原子
14 正常細胞
15 癌細胞
2 癌親和性基
3 7Li内包フラーレン
11 カゴ状ホウ素化合物
12 癌親和性基
13 Li原子
14 正常細胞
15 癌細胞
Claims (7)
10B又は6Liを内包するフラーレン類。
フラーレン類がC60及び/又はC70である、請求項1記載のフラーレン類。
フラーレン類が、癌親和性基により化学修飾されている、請求項1又は2記載のフラーレン類。
癌親和性基が、ポルフィリン錯体又は水溶性高分子化合物からなる残基である、請求項3記載のフラーレン類。
請求項1〜4のいずれか一項記載のフラーレン類を含むα粒子放出剤。
中性子捕捉療法による抗癌治療のための、請求項5記載のα粒子放出剤。
請求項1〜4のいずれか一項記載のフラーレン類を含む中性子捕捉療法用抗癌治療剤。
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