JP2005053707A - 可視光応答性材料の製造方法 - Google Patents

可視光応答性材料の製造方法 Download PDF

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Masazumi Ando
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Abstract

【課題】硫酸チタンまたは硫酸チタニルを原料とする湿式法の光触媒の製造方法であって、加熱前の洗浄処理条件を改善することにより、より高い活性を有する光触媒を製造できる方法を提供する。
【解決手段】硫酸チタンまたは硫酸チタニルを加水分解して得られた加水分解物を、水で洗浄して前記加水分解物に含まれる硫酸イオンの少なくとも一部を除去した後に、アンモニア又はその誘導体の存在下で加熱することを含む、少なくともアナターゼ型酸化チタンを含む酸化チタンからなる可視光応答型材料の製造方法。前記水での洗浄を洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が2000ppm以下になるまで行う。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光応答型材料の製造方法に関する。
特に本発明は、改良された可視光応答性を有する材料を湿式法で製造する方法に関する。
本発明の製造方法により得られる可視光応答型材料は、光触媒、光センサー、光電池用材料、光防汚材料、光親水性材料、光防菌材料等として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
アナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒を用いて、抗菌性タイル、セルフ・クリーニング建材、超親水性材料、脱臭・消臭材料、水の浄化、癌の治療等を行えることが知られ(光クリーン革命(藤嶋昭他))、種々の用途開発が活発に行われている。具体的には、例えば、WO94/11092号には室内照明下における光触媒による空気処理方法が開示されている。特開平7−102678号には、光触媒を用いた院内感染の防止方法が開示されている。特開平8−67835号公報及び特開平8−164334号公報には抗菌性塗料が開示されている。さらにWO96/29375には超親水性材料が開示されている。
【0003】
ところが、アナターゼ型二酸化チタンは、励起光として400nm以下の紫外線が必要である。それに対して、励起光源となり得る太陽光や人工光には、紫外線よりも可視光線がケタ違いに多く含まれている。しかし、上記二酸化チタンからなる光触媒では、残念ながら、可視光線はほとんどといって良いほど利用できず、エネルギー変換効率という観点からは、非常に非効率的であった。そして、この非効率性が実用化に向けての大きな壁となっていた。
【0004】
そこで、可視光線を利用可能な光触媒の開発も徐々に行われている。例えば、特開平10−146530号公報には、表面よりも深い層におけるO/Ti原子数比が表面におけるO/Ti原子数比よりも小さい酸化チタン系光触媒が開示されている。この光触媒は、チタンアルコキシドとキレート化剤(例えば、アセチルアセトン)との錯体を酸化性雰囲気で500℃前後で加熱することで形成される。しかるに、この方法では、チタンアルコキシドとキレート化剤(例えば、アセチルアセトン)を使用するため製造コストが高くなり、O/Ti原子数比を表面と内部とで異なるようにする必要があるために製造条件のコントロールが非常に困難である、といった問題がある。また、実施例において420nm以上の光照射により、活性が得られたと記載されているが、得られる活性は、非常に低く、実用に供せる程度のものではなかった。
【0005】
また、安定した酸素欠陥を有する二酸化チタンからなる可視光照射下で活性を有する触媒が知られている(WO00/10706)。この光触媒は、例えば、紫外線型光触媒として知られている石原産業製のST−01を原料とし、これを水素またはアルゴン等のプラズマ処理することで得られるものである。石原産業製のST−01は、主に紫外線に対する活性を有する物であるが、表5にも示すように(粉末F)、紫外線に対する活性よりは相当に低くなるが、420nm付近までの可視光線に対する活性を示す。しかし470nm以上では実質的に活性は有さない。それに対して、上記WO00/10706に記載の光触媒は、420nm付近にとどまらず600nm前後の波長の光でもNOを光酸化できるものであり、真に可視型の光触媒といえる物であった。
【0006】
しかるに、プラズマ処理を用いることから、減圧系を必要とした。その結果、粉体の処理、特に均一な混合が容易でなく、また連続的な生産にも不向きである、という問題があった。
ところで、アナタース型酸化チタンの湿式による一般的な製造方法としては、(1)硫酸チタニル、硫酸チタンなどの含チタン溶液の加水分解法、(2)チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物の加水分解法、(3)四塩化チタンなどのハロゲン化チタン溶液の中和法又は加水分解法などにより得られる沈殿物を焼成する方法が知られている。
上述のように、チタンアルコキシドを用いた可視型光触媒の開発の試みはある。しかし、原料として安価な、硫酸チタン、硫酸チタニル、さらには塩化チタンを原料とする可視型光触媒、可視光応答性材料の提供が望まれていた。
【0007】
これに対して、塩化チタンを原料とする湿式法により、可視型光を有する光触媒を製造できることが報告されている(特開2000−72419号公報)。EP1065169A1及びEP1095908A1にも湿式法により、可視型光を有する光触媒を製造できることが報告されている。
また、上記報告とは独立に、本願出願人も、湿式法により、可視型光を有する光触媒を製造できることを見いだし、特許出願し、既にその一部は許可されている(特願2001−19248号及び特願2001−185990号)。
【0008】
上記湿式法による光触媒の製造方法は、硫酸チタン、硫酸チタニルまたは塩化チタンなどをアンモニア水で加水分解し、それを例えば、400℃程度の温度で、大気中で加熱するものである。
ところが、本発明者の詳細な検討によれば、原料化合物の種類に応じて、加熱の前または後に適当な洗浄処理を設けないと、実用レベルの光触媒活性を有する生成物が得られないことが分かった。しかし、上記特開2000−72419号公報、EP1065169A1及びEP1095908A1には、洗浄による光触媒活性の影響については、全く記載がない。例えば、EP1065169A1には、硫酸チタニルを原料とする光触媒の製造方法に関する実施例(実施例1及び2)の記載があるが、洗浄を行うことは記載されていない。さらに、本発明者が行った上記実施例2のトレース実験によれば、生成物に可視光光触媒活性はなった。
【0009】
一方、本発明者の検討の結果、湿式法の光触媒の製造方法において、硫酸チタンまたは硫酸チタニルを原料とする場合、実用レベルの光触媒活性を有する生成物を得るためには、加熱の前に洗浄処理することが必須であることは分かっている。しかし、実用化のためには、より高い活性を有する光触媒を提供できる製造方法が必要である。
【0010】
そこで本発明の目的は、上記課題を解決するため、硫酸チタンまたは硫酸チタニルを原料とする湿式法の光触媒の製造方法であって、加熱前の洗浄処理条件を改善することにより、より高い活性を有する光触媒を製造できる方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
(請求項1)硫酸チタンまたは硫酸チタニルを加水分解して得られた加水分解物を、水で洗浄して前記加水分解物に含まれる硫酸イオンの少なくとも一部を除去した後に、アンモニア又はその誘導体の存在下で加熱することを含む、少なくともアナターゼ型酸化チタンを含む酸化チタンからなる可視光応答型材料の製造方法であって、
前記水での洗浄を洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が2000ppm以下になるまで行うことを特徴とする上記製造方法。
(請求項2)前記水での洗浄を洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が1500ppm以下になるまで行う請求項1に記載の製造方法。
(請求項3)硫酸チタンまたは硫酸チタニルの加水分解を、アンモニアを用いるか、またはアンモニウム塩の存在下で行う請求項1または2に記載の製造方法。
(請求項4)前記水での洗浄を洗浄濾過液中のアンモニアイオン濃度が200ppm以下になるまで行う請求項3に記載の製造方法。
(請求項5)前記水での洗浄を洗浄された加水分解物中にアンモニアイオンが残存する条件で行い、かつ前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱を、外部からアンモニア又はその誘導体を加えることなく行う、請求項3または4に記載の製造方法。
(請求項6)前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱を、生成する材料の波長450nmにおける光の吸収が、加水分解物の波長450nmにおける光の吸収より大きくなる条件で行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項7)前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱を、生成する材料の450nmの波長の光に対する反射率が0.70以下(但し、600nmの波長の光に対する反射率を1とする)となるように行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項8)前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱を250〜500℃の範囲の温度で、かつ大気中又は酸素雰囲気中、常圧下で行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項9)前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱をアンモニアガス雰囲気下またはアンモニウム塩の共存下で行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項10)前記加熱して得られた材料を水又は水溶液で洗浄する請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
(請求項11)前記可視光応答型材料は、真空中、77Kにおいて420nm以上の波長を有する光の照射下で測定したESRにおいて、g値が2.004〜2.007である主シグナルとg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルが観測され、かつこれらの3つのシグナルは真空中、77K、暗黒下において微小に観測されるか、又は実質的に観測されないものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項12)前記可視光応答型材料は、BET比表面積が70m/g以上である請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項13)前記可視光応答型材料が波長520nmの光によりNOの酸化活性を有するものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項14)前記可視光応答型材料が波長570nmの光によりNOの酸化活性を有するものである請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項15)前記可視光応答型材料を構成する酸化チタンは、チタン原子と酸素原子とが不定比である請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項16)チタン原子に対する酸素原子の量が、二酸化チタンにおける化学量論比(理論値2.00)より少ない請求項15に記載の製造方法。
(請求項17)チタン原子に対する酸素原子のモル比が、下限が1.0であり、上限が1.95の範囲である請求項16に記載の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、硫酸チタンまたは硫酸チタニルを加水分解して得られた加水分解物を、水で洗浄して前記加水分解物に含まれる硫酸イオンの少なくとも一部を除去した後に、アンモニア又はその誘導体の存在下で加熱することを含む、少なくともアナターゼ型酸化チタンを含む酸化チタンからなる可視光応答型材料の製造方法である。
上記加水分解物の洗浄は水またはアンモニア水で行うことができるが、その後の検討の結果、アンモニア水洗浄に比べ、水洗浄により、BET比表面積がより高い生成物が得られることが分かり、本発明では、水洗浄を採用している。より具体的には、加熱条件を同一にした場合、アンモニア水洗浄に比べ、水洗浄で得られる生成物は、ほぼ2倍のBET比表面積を有する生成物を得ることができる。
より高いBET比表面積を有する生成物は、吸着性能の点で優れることが期待できることから、本発明の製造方法により得られた材料を光触媒として使用する場合、極めて有利である。
【0013】
さらに、本発明の製造方法は、前記水での洗浄を洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が2000ppm以下になるまで行うことを特徴とする。前記水での洗浄を洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が1500ppm以下になるまで行うことが好ましい。尚、後述のように、硫酸チタンまたは硫酸チタニルを加水分解をアンモニアを用いて行う場合は、前記水での洗浄を洗浄濾過液中のアンモニアイオン濃度が200ppm以下になるまで行うことが好ましい。
【0014】
加水分解物の水での洗浄における洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度と、その後加熱して得られる材料の可視光応答性(具体的にはNO酸化活性)との間には一定の相関があることが、本発明者の検討の結果分かった。
その結果を図4に示す。
図4に示す結果によれば、洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度2000ppm以下になるまで洗浄を行った後に、加熱処理することで、より高い可視光応答性(NO酸化活性)が得られる。さらに、硫酸イオン濃度が1500ppm以下になるまで行うことが好ましい。洗浄を進めればその分だけ洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度は低下するが、図4の結果からは、洗浄の程度が一定値を超えると可視光応答性(NO酸化活性)低下することが分かる。また、実用上も、過剰な洗浄は、製造コストを押し上げる原因ともなる。そこで、本発明では、上記洗浄は、硫酸イオン濃度が1500ppm以下になるまで行うことが好ましい。
【0015】
[加水分解]
本発明の可視光応答型材料の製造方法では、硫酸チタンまたは硫酸チタニルを加水分解して加水分解物を得る。
硫酸チタンまたは硫酸チタニルの加水分解は、水酸化アンモニウム(アンモニア水)で行うことができる。あるいは、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩の存在下、水酸化ナトリウム等のアルカリで行うこともできる。上記加水分解は、硫酸チタンまたは硫酸チタニルの水溶液に水酸化アンモニウム水溶液等のアルカリ水溶液を連続的または断続的に添加して行うか、または水酸化アンモニウム水溶液等のアルカリ水溶液に硫酸チタンまたは硫酸チタニルの水溶液を連続的または断続的に添加して行うことができる。硫酸チタンまたは硫酸チタニルの水溶液及び水酸化アンモニウム水溶液等のアルカリ水溶液の濃度は、適宜決定できる。この加水分解は、反応液の最終的なpHは、例えば、6〜9、好ましくは6〜8の範囲となるように、水酸化アンモニウム等のアルカリ水溶液の添加量等を適宜調整して行うことが適当である。上記加水分解は、例えば、0℃〜100℃、好ましくは20〜80℃の範囲の温度で行うことができるが、常温での加水分解が、比較的結晶性が低い、または非結晶質の二酸化チタンが得られるという観点から好ましい場合が有る。
【0016】
[水洗浄]
硫酸チタンまたは硫酸チタニルの、例えば、水酸化アンモニウムによる加水分解物は、上記のように水で洗浄する。水洗浄は、例えば、加水分解物を含む反応液を濾過し、濾過物として得られた加水分解物に水をさらに通過させることで行うことができる。この方法は、濾過された加水分解物にそのまま水を加え、濾過すれば良いことから操作が容易であり好ましい。加水分解物の水洗浄は、上記以外に、例えば、加水分解物の濾過物を水に再度懸濁させ、得られた懸濁物を濾過することにより行うことができる。水洗浄は、加水分解時に生成する硫酸アンモニウム等の硫酸イオンの残存量が適当量まで低下するように、上記のように、洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が2000ppm以下になるまで行う。洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が上記範囲になるように、複数回の水洗浄を行うこともできる。
【0017】
[加熱]
本発明の製造方法では、上記水洗浄した加水分解物を、洗浄後、必要により乾燥した後、アンモニア又はその誘導体の存在下で加熱する。アンモニアは液体であっても気体であってもよい。アンモニアガスを用いる場合、加水分解物をアンモニアガス雰囲気下加熱する。また、アンモニア誘導体としては、例えば、水酸化アンモニウムや塩化アンモニウム等のアンモニウム塩を挙げることができ、例えば、原料チタン化合物を水酸化アンモニウムや塩化アンモニウムの共存下で加熱する。
【0018】
加水分解物のアンモニア又はその誘導体の存在下での加熱は、大気中又は酸素雰囲気中、常圧下で行うが、例えば、加熱により生成する材料の波長450nmにおける光の吸収が、原料チタン化合物の波長450nmにおける光の吸収より大きい時点で前記加熱を終了させることにより行うことが適当である。通常、原料チタン化合物は白色であり、波長450nmにおける光の吸収は10%前後である。それに対して、加水分解物をアンモニア又はその誘導体の存在下で加熱すると、徐々に黄色に着色する。しかし、この着色はある時点をピークに薄らぎ、ついには加水分解物と同程度の吸収を示す物となる。加水分解物の洗浄の度合いや共存させるアンモニア(誘導体)の種類と量、加熱温度及び時間等により異なるが、波長450nmにおける光の吸収は最大で60%前後に達する場合もある。可視光応答型材料の特性は、波長450nmにおける光の吸収強度により一義的に決まるものではないが、波長450nmにおける光の吸収が15%以上(反射率85%以下)である場合、明らかに可視光応答性を示す材料となる。従って、上記加熱処理は、600nmの波長の光に対する反射率を1(又は100%)としたときに、450nmの波長の光に対する反射率が0.85(又は85%)以下、好ましく0.80(又は80%)以下、より好ましく0.70(又は70%)以下となる条件に設定することが好ましい。ここにおける反射率は後述の実施例で示すように分光光度計で測定された結果である。
【0019】
上記加熱の条件は、必ずしも温度だけで規定はできないが、用いる温度としては例えば250〜550℃の範囲の温度であることができる。420nm及び470nmの波長の光によるNOxの除去率は、300〜450℃の範囲での加熱で比較的高く、325〜425℃の範囲での加熱でより高いことが分かり、さらに520nm及び570nmの波長の光によるNOxの除去率は、325〜450℃の範囲での加熱で比較的高く、350〜425℃の範囲での加熱でより高いことが分かる。従って、可視光領域でのNOxの除去率が高いという点では、350〜425℃の範囲での加熱が最も好ましい。
【0020】
また、NOxの除去(酸化)の活性と加熱時間は、520nm及び570nmの波長の可視光領域の光に対するNOxの除去率が良好になるという観点から、30分以上、好ましくは1時間以上である。また、加熱時間が1時間より長くなってもNOx除去率に大きな変動はみかられないことから、長くても3時間程度である。
また、この加熱は、空気中、常圧下で行うことができる。また、加熱時間は、加熱により生成する材料の波長450nmにおける光の吸収を目安に適宜決定できる。
【0021】
上記加熱は、当分野で通常用いられているロータリーキルン、トンネルキルン、マッフル炉などを用いることができる。加熱により酸化チタンの個々の粒子が凝集したり、焼結したりした場合には、必要に応じて粉砕器により粉砕してもよい。
【0022】
また、上記のように加熱して得られた材料を、必要により水又は水溶液で洗浄することができる。この洗浄により、得られる可視光応答型材料の可視光応答性を改善できる場合がある。また、条件によっては、洗浄することなしに良好な可視光応答性を有する材料が得られる場合もある。
【0023】
本発明の製造方法では、硫酸チタンまたは硫酸チタニルの加水分解物を水洗した後に加熱しているが、加熱生成物には、水洗の程度に応じてある程度の硫酸アンモニウム等の塩が残存している可能性がある。その様な場合には、水または適当な洗浄液を用いて洗浄することで、硫酸アンモニウム等の塩を除去し、可視光応答型材料の可視光応答性を改善できる場合がある。また、加熱生成物を水洗することで、可視光応答型材料の純度を高めることもできる。加熱して得られた材料の水又は洗浄液での洗浄は、洗浄した後に材料から分離した水又は水溶液のpHが、例えば、約5〜7となるように行うか、または洗浄した後に材料から分離した水又は水溶液中に含まれる硫酸イオン量(硫酸チタンを加水分解物の原料とする場合)が減少するように行うことが好ましい。
【0024】
以下、本発明の製造方法により得られる可視光応答型材料(以下、本発明の可視光応答型材料と呼ぶ)について説明する。
本発明の可視光応答型材料は、少なくともアナターゼ型酸化チタンを含む酸化チタンであり、かつ真空中、77Kにおいて420nm以上の波長を有する光の照射下で測定されたESRにおいて、g値が2.004〜2.007である主シグナル(最も強度が強いシグナル)とg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナル(主シグナルよりは強度が低いシグナル)が観測されるものである。さらに、本発明の可視光応答型材料は、上記3つのシグナル(主シグナル及び2つの副シグナル)は真空中、77K、暗黒下においては微小に観測されるか、又は実質的に観測されない。
尚、本発明において、ESRに使用される420nm以上の波長を有する光は、実施例に記載のとおり、高圧水銀ランプ(例えば、500W)からの光を420nmより短波長の光をカットするフィルター(L−42)を透過させて得られた光である。
また、本発明の可視光応答型材料では、真空中、77Kにおいて455nm以上の波長を有する光(Xeランプ(例えば、150W)からの光を455nmより短波長の光をカットするフィルター(GG455))を透過させて得られた光の照射下で測定されたESRにおいても、g値が2.004〜2.007である主シグナル(最も強度が強いシグナル)とg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナル(主シグナルよりは強度が低いシグナル)が観測される場合がある。
【0025】
本発明の可視光応答型材料は好ましくはアナターゼ型酸化チタンを主成分とする酸化チタンであり、それ以外に非晶質の酸化チタンを含んでいてもよい。あるいは、さらにルチル型酸化チタンを含んでも構わない。また、アナターゼ型酸化チタンも、必ずしも高い結晶性を有するものでなくてもよい。また、本発明の可視光応答型材料を構成する前記酸化チタンは、チタン原子と酸素原子とが不定比であることができ、具体的には、チタン原子に対する酸素原子の量が、二酸化チタンにおける化学量論比(理論値2.00)より少なくても良い。本発明の可視光応答型材料中の酸化チタンは、例えば、チタン原子に対する酸素原子のモル比が、例えば、下限が1.0、1.4、1.5、好ましくは1.7であり、上限は1.8、1.85、1.9、好ましくは1.95であることができる。本発明の可視光応答型材料中の酸化チタンにおけるチタンに対する酸素のモル比は、例えば、X線光電子分光法を用いて測定することができる。
【0026】
本発明の可視光応答型材料は、BET比表面積が70m/g以上である。好ましくはBET比表面積が100〜300m/g、より好ましくは100〜200m/gである。
【0027】
本発明の可視光応答型材料の真空中、77Kで測定されたESRの典型的なスペクトルを図1に示す。図中、上段は暗黒下でのスペクトルであり、中段が420nm以上の波長を有する光(水銀ランプの光の内、420nm未満の光をカットオフ)の照射下でのスペクトルである。下段は、420nm未満の光をカットオフせずに水銀ランプの光をカットオフせずに光照射した場合のスペクトルである。尚、上段、中段及び下段は、いずれも同一のゲイン(GAIN)の下で測定した結果である。
【0028】
図1の上段のスペクトルでは、g値が2.004〜2.007である主シグナルは、微小に観測されるが、g値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルは、実質的に観測されない。さらに、図1の上段のスペクトルと中段のスペクトルを比較すると明らかに、中段のスペクトルにおいては、g値が2.004〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルは、上段のスペクトルにおけるより強度が相当に大きい。また、図1の中段と下段のスペクトルを比較すると明らかなように、g値が2.004〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルの強度は、いずれも、照射光中に420nm未満の光を含んでいてもいなくても実質的に相違しない。
【0029】
さらに本発明の可視光応答型材料は、図2に示すように、真空中、常温において、暗黒下では、g値が2.004〜2.007である主シグナルは、微小に観測されるが、g値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルは、実質的に観測されない。さらに、真空中、常温において、420nm以上の波長を有する光照射下及び420nm未満の光をカットオフしない水銀ランプの光照射下おけるESRにおいては、前記3つのシグナルが測定される物であることがわかる。図2中、上段は暗黒下でのスペクトルであり、中段が420nm以上の波長を有する光(水銀ランプの光の内、420nm未満の光をカットオフ)の照射下でのスペクトルである。下段は、420nm未満の光をカットオフせずに水銀ランプの光を照射した場合のスペクトルである。尚、上段、中段及び下段は、いずれも同一のゲイン(GAIN)の下で測定した結果である。
【0030】
本発明の可視光応答型材料は、真空中、77Kにおいて420nm以上の波長を有する光の照射下で測定されたにおいて、上記シグナルに加えて、g値が2.009〜2.010である副シグナルをさらに有することもできる。g値が2.009〜2.010である副シグナルは、図1の中段のESRスペクトルに示されている。
【0031】
本発明の可視光応答型材料は、上記のように、特徴的なESRシグナルを有する物であるが、それと同時に、着色を有する物でも有り、例えば、600nmの波長の光に対する反射率を1(又は100%)としたときに、450nmの波長の光に対する反射率が0.85(又は85%)以下、好ましく0.80(又は80%)以下、より好ましく0.70(又は70%)以下であることができる。着色が大きいほど、可視光応答活性が強くなる傾向がある。ここにおける反射率は後述の実施例で示すように分光光度計で測定された結果である。尚、反射率はカラーアナライザーでも測定できるが、精度の点で優れていることから、上記反射率の評価には分光光度計を用いる。
【0032】
本発明の可視光応答型材料は、上記のように、特徴的なESRシグナルを有する物であるが、それに加えて、実施例において具体的かつ詳細に示すように、可視光領域の光に対してNOの酸化活性を有するものである。具体的には、少なくとも波長520nm及びそれ以下の波長の可視光を照射することによりNOの酸化活性を発現する。より好ましい材料では、波長570nm及びそれ以下の波長の可視光を照射することによりNOの酸化活性を発現する。
【0033】
本発明の可視光応答型材料は、粉末または膜(薄膜)であることもでき、膜(薄膜)は適当な基材上に設けたものであることができる。膜(薄膜)の形成は、基材上に非晶質または不完全な結晶質の酸化チタン等の原料チタン化合物を、必要により適当なバインダーとともに塗布し、アンモニア又はその誘導体を塗布膜に含ませるか、またはアンモニア又はその誘導体を雰囲気に存在させて、前記加熱を行うことで、実施できる。あるいは、粉末状態の本発明の可視光応答型材料を基材等に塗布することにより、膜(薄膜)を形成することもできる。
尚、本発明の可視光応答型材料は、700〜800℃における加熱処理を施してもアナターゼ型を維持することかできる。それに対して、塩化チタンを原料として製造される可視光応答型材料は、700℃ではアナターゼ型をある程度維持できるが、800℃では殆どルチル型に転移してしまう。したがって、本発明の可視光応答型材料は、耐熱性が高く、例えば、高温での焼き付けにより塗膜を形成する場合などに適している。
また、本発明の本発明の可視光応答型材料は、大気中でクセノンランプを長期間(例えば、1カ月)照射しても、そのNO活性は低下しないことから、高い耐候性を有するものでもある。
【0034】
本発明の可視光応答型材料には、用途に応じてその表面及び/又は内部にケイ素、アルミニウム、スズ、ジルコニウム、アンチモン、リン、白金、金、銀、銅、鉄、ニオブ、タングステン、タンタルなどの元素やそれらを含む化合物を被覆したり、担持したり、或いはドープしたりすることもできる。
【0035】
本発明の可視光応答型材料を用いることで、殺菌、防藻、防黴、及び/又は防汚方法を提供することができる。また、本発明の可視光応答型材料を用いることで、水の浄化方法や大気中の窒素酸化物を低減する方法を提供することもできる。
【0036】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:
反応調製:
2Lビーカーに1600mLの純水を用意する。これに関東化学(鹿一級)硫酸チタン(IV)溶液200gを加え、ラボミキサーで攪拌した。次に、この水溶液に関東化学(特級)アンモニア水100mLを加えることにより、加水分解沈殿物を得た。加水分解反応時の最終pHは6.4であった。得られた沈殿物を吸引ろ過して、白色の固形分(沈殿ケーキ)を分離した。更に、このケーキを2.0Lの純水でリンスし、ろ過洗浄を行った。
【0037】
洗浄1:
上記、反応調製において得られた沈殿ケーキのうち1/4を分取して、約0.5L/5g(100mL/g(焼成後の触媒重量g、以下同様))洗浄水量相当サンプルとした。
洗浄2:
上記、洗浄1の分取において残った3/4の沈殿ケーキを600mLの純水に再分散させ、吸引ろ過した後、0.9Lの純水でリンスし、ろ過洗浄を行った。得られた沈殿ケーキのうち1/3を分取して、約1.0L/5g(200mL/g)洗浄水量相当サンプルとした。
洗浄3:
上記、洗浄2の分取において残った2/3の沈殿ケーキを500mLの純水に再分散させ、吸引ろ過した後、0.5Lの純水でリンスし、ろ過洗浄を行った。得られた沈殿ケーキのうち1/2を分取して、約1.5L/5g(300mL/g)洗浄水量相当サンプルとした。
洗浄4:
上記、洗浄3の分取において残った1/2の沈殿ケーキを500mLの純水に再分散させ、吸引ろ過した。得られた沈殿ケーキを、約2.0L/5g(400mL/g)洗浄水量相当サンプルとした。
【0038】
乾燥焼成:
以上、洗浄水量の異なる上記4種類の沈殿ケーキを110℃、12時間で乾燥し、乳鉢で粉砕した後、空気中400℃、1時間で焼成した。
【0039】
(1)硫酸イオン分析方法
関東化学株式会社が販売している、ドイツメルク社製、簡易テストキット商品名メルコクァントMerckoquant(イオン検出半定量用試験紙)製品番号10019−1Mを用いて試験を行った。この製品は赤色のトリンバリウム錯体が硫酸イオンと反応し、黄色のイエロートリンへ変色することを利用した化学分析である。
【0040】
(2)アンモニウムイオン分析方法
関東化学株式会社が販売している、ドイツメルク社製、簡易テストキット商品名メルコクァントMerckoquant(イオン検出半定量用試験紙)製品番号10024−1Mを用いて試験を行った。この製品はネスラー反応を利用した化学分析である。
【0041】
各々の洗浄水量における洗浄ろ過液中の残存イオン量を以下の表に示す。
【0042】
【表1】
Figure 2005053707
但し、メルコクァントの定量上限および下限は次の通り
硫酸イオンSO 2−: max 1600 ppm(mg/L), 200ppm(mg/L)
アンモニウムイオンNH : max 400 ppm(mg/L), 0ppm(mg/L)
【0043】
[NOx除去活性]
上記未洗浄及び洗浄1〜4で作製した試料を、各0.2gガラスプレート(6×6cm)にそれぞれ塗布したものを、パイレックスガラス製反応容器(内径160mm、厚さ25mm)内に設置した。光源には、300Wクセノンランプを用いた照射装置(日本分光(株)製商品名:SM−5型CT−10)により、半値幅20nmの単光色として、光を照射した。
この反応容器に湿度O%RHの模擬汚染空気(NO:1ppm)を1.5リットル/分の流速で連続的に供給し、反応出口におけるNO及びNOの濃度変化をモニターした。NOの濃度は、オゾンを用いた化学発光法により測定した。1時間のモニターの値の累積値から各測定波長におけるNOxの除去率(%)(=NO減少率−NO生成率)を求めた。尚、NO濃度の測定には、Monitor labs Inc.製、Nitrogen Oxides analyzer Model 8840を用いた。
結果を以下の表2及び図4に示す。
【0044】
【表2】
Figure 2005053707
【0045】
[XRDの測定]
洗浄3で得られた生成物のXRDの測定結果を図3の上段に示す。併せて、白色の加水分解物を50℃で乾燥してもののXRDの測定結果も図3の下段に示す。この結果から、白色の加水分解物を50℃で乾燥したものは、アモルファスであり、得られた生成物はアナターゼ型二酸化チタンを含むものであることが分かる。
【0046】
[反射スペクトル]
得られた生成物と白色の加水分解物を50℃で乾燥したものの拡散反射スペクトルを、積分球を取り付けた日立自記分光光度計(U−3210)により、以下の条件で測定した。
scan speed:120nm/min、
response:MEDIUM、
band pass:2.00nm、
リファレンス:硫酸バリウム
【0047】
その結果、洗浄3で得られた生成物の600nmにおける反射率を100%としたときの450nmにおける反射率は60%であったのに対し、白色の加水分解物を50℃で乾燥してものは、600nmにおける反射率を100%としたときの450nmにおける反射率は95%であった。また、洗浄3で得られた生成物の700nmにおける反射率を100%としたときの450nmにおける反射率は60%であったのに対し、白色の加水分解物を50℃で乾燥してものは、700nmにおける反射率を100%としたときの450nmにおける反射率は95%であった。
【0048】
[ESRスペクトル]
また、得られた生成物のESRスペクトルを測定した。ESR装置、ES−RE2X、日本電子製を用い、測定は、真空中(0.1Torr以下)、77K又は常温で行った。測定条件は以下の通りである。
(基本的パラメーター)
測定温度 77K又は常温
フィールド 324mT±25mT
走査時間 4分
Mod. 0.1mT
レシーバー・ゲイン 10〜100(測定感度)
タイムコンスタント 0.1秒
RFパワー 0.1mW
光源 高圧水銀ランプ 500W
フィルター L−42(旭テクノグラス(株))
(試料作成)
真空脱気 1時間以上
(g値の計算)
Mn2+マーカー(gmn=1.981(高磁場側から3本目))を基準として
g=gmn×Hmn/(Hmn+△H)
mn:Mn2+マーカーの磁場、△H:Hmnからの磁場の変化量
【0049】
図1(測定温度77K)及び図2(測定温度常温)に、上段に暗黒下でのESRスペクトル、中段に420nm未満の光(500Wの高圧水銀ランプを使用)をカットするフィルター(L−42)を介して光照射した状態で測定したESRスペクトル、下段に420nm未満の光をカットするフィルター(L−42)を使用せずに500Wの高圧水銀ランプを使用して光照射した状態で測定したESRスペクトルをそれぞれ示す。
【0050】
図1の上段と中段のスペクトルを比較すると明らかに、中段のスペクトルにおいて、g値が2.004〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルは、上段のスペクトルにおけるより強度が大きかった。また、図1の中段と下段のスペクトルを比較すると明らかに、g値が2.004〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルの強度は、いずれも、照射光中に420nm未満の光を含んでいても実質的に相違しなかった。
【0051】
さらに図2に示すように洗浄3で得られた生成物(可視光応答型材料)は、前記3つのシグナルが大気中、常温、暗黒下及び420nm以上の波長を有する光照射下におけるESRにおいても測定される物であった。
尚、白色の加水分解物を50℃で乾燥してものには、g値が2.004〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルは、いずれのESR測定条件においても観測されなかった。
【0052】
[X線光電子分光法(XPS)]
洗浄3で得られた生成物の、チタンと酸素との比率を、X線光電子分光分析(ESCA)装置(アルバックファイ(株)製商品名:Quantum 2000)により測定した。
X線光電子分光分析は、以下の条件で行った。
励起X線発生条件:ピーム径100μm−110Wの電子線をAlターゲットに入射させ、そこから発生した単色化X線(AlKα1)を励起源に用いた。
分析領域、モード:分析領域;1500μm×100μmφ、使用ビーム径;100μmφ
取り出し角:90度
パスエネルギー:187.85eV(Survey), 23.50eV(Multiplex)
ステップ幅:1.6eV(Survey), 0.1eV(Multiplex)
【0053】
X線光電子分光により得られるチタンの2p電子に帰属されるピークの面積と、酸素の1s電子に帰属されるピークの面積とから算出される酸素元素とチタン元素との存在比(O/Ti)は、洗浄3で得られた生成物では1.83であった。
【0054】
[BET比表面積]
常法で測定した。洗浄3で得られた生成物の比表面積は135m/gであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可視光応答型材料(実施例1)の真空中、77Kで測定されたESRスペクトル。上段は暗黒下でのスペクトルであり、中段が420nm以上の波長を有する光(水銀ランプの光の内、420nm未満の光をカットオフ)の照射下でのスペクトルであり、下段は、420nm未満の光をカットオフせずに水銀ランプの光をカットオフせずに光照射した場合のスペクトルである。
【図2】本発明の可視光応答型材料(実施例1)の真空中、常温で測定されたESRスペクトル。上段は暗黒下でのスペクトルであり、中段が420nm以上の波長を有する光(水銀ランプの光の内、420nm未満の光をカットオフ)の照射下でのスペクトルであり、下段は、420nm未満の光をカットオフせずに水銀ランプの光をカットオフせずに光照射した場合のスペクトルである。
【図3】実施例1の生成物(上段)及び加水分解物(50℃乾燥)(下段)のXRDの測定結果。
【図4】加水分解物の水での洗浄における洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度と、その後加熱して得られる材料の可視光応答性(NO酸化活性)との関係を示す。

Claims (17)

  1. 硫酸チタンまたは硫酸チタニルを加水分解して得られた加水分解物を、水で洗浄して前記加水分解物に含まれる硫酸イオンの少なくとも一部を除去した後に、アンモニア又はその誘導体の存在下で加熱することを含む、少なくともアナターゼ型酸化チタンを含む酸化チタンからなる可視光応答型材料の製造方法であって、
    前記水での洗浄を洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が2000ppm以下になるまで行うことを特徴とする上記製造方法。
  2. 前記水での洗浄を洗浄濾過液中の硫酸イオン濃度が1500ppm以下になるまで行う請求項1に記載の製造方法。
  3. 硫酸チタンまたは硫酸チタニルの加水分解を、アンモニアを用いるか、またはアンモニウム塩の存在下で行う請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記水での洗浄を洗浄濾過液中のアンモニアイオン濃度が200ppm以下になるまで行う請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記水での洗浄を洗浄された加水分解物中にアンモニアイオンが残存する条件で行い、かつ前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱を、外部からアンモニア又はその誘導体を加えることなく行う、請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱を、生成する材料の波長450nmにおける光の吸収が、加水分解物の波長450nmにおける光の吸収より大きくなる条件で行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱を、生成する材料の450nmの波長の光に対する反射率が0.70以下(但し、600nmの波長の光に対する反射率を1とする)となるように行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱を250〜500℃の範囲の温度で、かつ大気中又は酸素雰囲気中、常圧下で行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記アンモニア又はその誘導体の存在下で行う加熱をアンモニアガス雰囲気下またはアンモニウム塩の共存下で行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記加熱して得られた材料を水又は水溶液で洗浄する請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記可視光応答型材料は、真空中、77Kにおいて420nm以上の波長を有する光の照射下で測定したESRにおいて、g値が2.004〜2.007である主シグナルとg値が1.985〜1.986及び2.024である2つの副シグナルが観測され、かつこれらの3つのシグナルは真空中、77K、暗黒下において微小に観測されるか、又は実質的に観測されないものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記可視光応答型材料は、BET比表面積が70m/g以上である請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記可視光応答型材料が波長520nmの光によりNOの酸化活性を有するものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記可視光応答型材料が波長570nmの光によりNOの酸化活性を有するものである請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記可視光応答型材料を構成する酸化チタンは、チタン原子と酸素原子とが不定比である請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. チタン原子に対する酸素原子の量が、二酸化チタンにおける化学量論比(理論値2.00)より少ない請求項15に記載の製造方法。
  17. チタン原子に対する酸素原子のモル比が、下限が1.0であり、上限が1.95の範囲である請求項16に記載の製造方法。
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