JP3215698B1 - 可視光応答材料及びその製造方法 - Google Patents

可視光応答材料及びその製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】可視光線にも応答する光応答性材料及びその製
造方法の提供。 【解決手段】 少なくともアナターゼ型酸化チタンを含
み、かつ真空中、77K、において420nm以上の波
長を有する光の照射下で測定したESRにおいて、g値
が2.004〜2.007である主シグナルとg値が
1.985〜1.986及び2.024である2つの副
シグナルが観測され、かつこれらの3つのシグナルは真
空中、77K、暗黒下においては微小に観測されるか、
又は実質的に観測されない可視光応答型材料。非晶質ま
たは不完全な結晶質の酸化チタン及び/又は水酸化チタ
ン(原料チタン化合物)をアンモニア又はその誘導体の存
在下で加熱する方法であって、生成する材料の波長45
0nmにおける光の吸収が、原料チタン化合物の波長45
0nmにおける光の吸収より大きい時点で前記加熱を終了
させる可視光応答型材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光応答型材料
及びその製造方法に関する。さらに本発明は、本発明の
可視光応答型材料を用いる殺菌、防藻、防黴、及び/又
は防汚方法、水の浄化方法、並びに大気中に含まれる窒
素酸化物の低減方法に関する。本発明の可視光応答型材
料は、光触媒、光センサー、光電池用材料、光防汚材
料、光親水性材料、光防菌材料等として有用なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】アナターゼ型二酸化チタンからなる光触
媒を用いて、抗菌性タイル、セルフ・クリーニング建
材、超親水性材料、脱臭・消臭材料、水の浄化、癌の治
療等を行えることが知られ(光クリーン革命(藤嶋昭
他))、種々の用途開発が活発に行われている。具体的
には、例えば、WO94/11092号には室内照明下
における光触媒による空気処理方法が開示されている。
特開平7−102678号には、光触媒を用いた院内感
染の防止方法が開示されている。特開平8−67835
号公報及び特開平8−164334号公報には抗菌性塗
料が開示されている。さらにWO96/29375には
超親水性材料が開示されている。
【0003】ところが、アナターゼ型二酸化チタンは、
励起光として400nm以下の紫外線が必要である。そ
れに対して、励起光源となり得る太陽光や人工光には、
紫外線よりも可視光線がケタ違いに多く含まれている。
しかし、上記二酸化チタンからなる光触媒では、残念な
がら、可視光線はほとんどといって良いほど利用でき
ず、エネルギー変換効率という観点からは、非常に非効
率的であった。そして、この非効率性が実用化に向けて
の大きな壁となっていた。
【0004】そこで、可視光線を利用可能な光触媒の開
発も徐々に行われている。例えば、特開平10−146
530号公報には、表面よりも深い層におけるO/Ti
原子数比が表面におけるO/Ti原子数比よりも小さい
酸化チタン系光触媒が開示されている。この光触媒は、
チタンアルコキシドとキレート化剤(例えば、アセチル
アセトン)との錯体を酸化性雰囲気で500℃前後で加
熱することで形成される。しかるに、この方法では、チ
タンアルコキシドとキレート化剤(例えば、アセチルア
セトン)を使用するため製造コストが高くなり、O/T
i原子数比を表面と内部とで異なるようにする必要があ
るために製造条件のコントロールが非常に困難である、
といった問題がある。また、実施例において420nm
以上の光照射により、活性が得られたと記載されている
が、得られる活性は、非常に低く、実用に供せる程度の
ものではなかった。
【0005】また、安定した酸素欠陥を有する二酸化チ
タンからなる可視光照射下で活性を有する触媒が知られ
ている(WO00/10706)。この光触媒は、例えば、紫外線
型光触媒として知られている石原産業製のST-01を原料
とし、これを水素またはアルゴン等のプラズマ処理する
ことで得られるものである。石原産業製のST-01は、主
に紫外線に対する活性を有する物であるが、表5にも示
すように(粉末F)、紫外線に対する活性よりは相当に
低くなるが、420nm付近までの可視光線に対する活
性を示す。しかし470nm以上では実質的に活性は有
さない。それに対して、上記WO00/10706に記載の光触媒
は、420nm付近にとどまらず600nm前後の波長
の光でもNOを光酸化できるものであり、真に可視型の
光触媒といえる物であった。
【0006】しかるに、プラズマ処理を用いることか
ら、減圧系を必要とした。その結果、粉体の処理、特に
均一な混合が容易でなく、また連続的な生産にも不向き
である、という問題があった。ところで、アナタース型
酸化チタンの湿式による一般的な製造方法としては、
(1)硫酸チタニル、硫酸チタンなどの含チタン溶液の
加水分解法、(2)チタンアルコキシドなどの有機チタ
ン化合物の加水分解法、(3)四塩化チタンなどのハロ
ゲン化チタン溶液の中和法又は加水分解法などにより得
られる沈殿物を焼成する方法が知られている。上述のよ
うに、チタンアルコキシドを用いた可視型光触媒の開発
の試みはあるが、原料として安価な、硫酸チタンや塩化
チタンを原料とする可視型光触媒、可視光応答性材料は
これまでに知られていない。
【0007】そこで本発明の目的は、安価に製造するこ
とが可能であり、可視光線にも応答する新規な光応答性
材料及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともア
ナターゼ型酸化チタンを含む酸化チタンであり、かつ真
空中、77Kにおいて420nm以上の波長を有する光
の照射下で測定したESRにおいて、g値が2.004
〜2.007である主シグナルとg値が1.985〜
1.986及び2.024である2つの副シグナルが観
測され、かつこれらの3つのシグナルは真空中、77
K、暗黒下において微小に観測されるか、又は実質的に
観測されないことを特徴とする可視光応答型材料に関す
る。
【0009】さらに本発明は、非晶質または不完全な結
晶質の酸化チタン及び又は水酸化チタン(原料チタン化
合物)をアンモニア又はその誘導体の存在下で加熱する
方法であって、生成する材料の波長450nmにおける光
の吸収が、原料チタン化合物の波長450nmにおける光
の吸収より大きい時点で前記加熱を終了させることを特
徴とする可視光応答型材料の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の可視光応答型材料は、少
なくともアナターゼ型酸化チタンを含む酸化チタンであ
り、かつ真空中、77Kにおいて420nm以上の波長
を有する光の照射下で測定されたESRにおいて、g値
が2.004〜2.007である主シグナル(最も強度
が強いシグナル)とg値が1.985〜1.986及び
2.024である2つの副シグナル(主シグナルよりは
強度が低いシグナル)が観測されるものである。さら
に、本発明の可視光応答型材料は、上記3つのシグナル
(主シグナル及び2つの副シグナル)は真空中、77
K、暗黒下においては微小に観測されるか、又は実質的
に観測されないことを特徴とする。尚、本発明におい
て、ESRに使用される420nm以上の波長を有する
光は、実施例に記載のとおり、高圧水銀ランプ(例え
ば、500W)からの光を420nmより短波長の光を
カットするフィルター(L−42)を透過させて得られ
た光である。また、本発明の可視光応答型材料では、真
空中、77Kにおいて455nm以上の波長を有する光
(Xeランプ(例えば、150W)からの光を455n
mより短波長の光をカットするフィルター(GG45
5))を透過させて得られた光の照射下で測定されたE
SRにおいても、g値が2.004〜2.007である
主シグナル(最も強度が強いシグナル)とg値が1.9
85〜1.986及び2.024である2つの副シグナ
ル(主シグナルよりは強度が低いシグナル)が観測され
る場合がある。
【0011】上述のWO00/10706に記載された安定した酸
素欠陥を有する二酸化チタンからなる可視型光触媒も、
特異的なESRスペクトルを有するものである。しか
し、WO00/10706に記載された可視型光触媒のESRスペ
クトルは、真空中、77K、暗黒下で測定されたESR
において、g値が2.003〜2.004のシグナルの
みを有するものであり、上記本発明の可視光応答型材料
が示すスペクトルとは異質である。
【0012】本発明の可視光応答型材料は好ましくはア
ナターゼ型酸化チタンを主成分とする酸化チタンであ
り、それ以外に非晶質の酸化チタンを含んでいてもよ
い。あるいは、さらにルチル型酸化チタンを含んでも構
わない。また、アナターゼ型酸化チタンも、必ずしも高
い結晶性を有するものでなくてもよい。また、本発明の
可視光応答型材料を構成する前記酸化チタンは、チタン
と酸素とが不定比であることができ、具体的には、チタ
ンに対する酸素の量が、二酸化チタンにおける化学量論
比(理論値2.00)より少なくても良い。本発明の可視
光応答型材料中の酸化チタンは、例えば、チタンに対す
る酸素のモル比が、2.00未満、例えば、1.00〜
1.99、または1.50〜1.99であることができ
る。本発明の可視光応答型材料中の酸化チタンにおける
チタンに対する酸素のモル比は、例えば、X線光電子分
光法を用いて測定することができる。
【0013】本発明の可視光応答型材料の真空中、77
Kで測定されたESRの典型的なスペクトルを図1に示
す。図中、上段は暗黒下でのスペクトルであり、中段が
420nm以上の波長を有する光(水銀ランプの光の
内、420nm未満の光をカットオフ)の照射下でのス
ペクトルである。下段は、420nm未満の光をカット
オフせずに水銀ランプの光をカットオフせずに光照射し
た場合のスペクトルである。尚、上段、中段及び下段
は、いずれも同一のゲイン(GAIN)の下で測定した
結果である。
【0014】図1の上段のスペクトルでは、g値が2.
004〜2.007である主シグナルは、微小に観測さ
れるが、g値が1.985〜1.986及び2.024
である2つの副シグナルは、実質的に観測されない。さ
らに、図1の上段のスペクトルと中段のスペクトルを比
較すると明らかに、中段のスペクトルにおいては、g値
が2.004〜2.007である主シグナル、並びにg
値が1.985〜1.986及び2.024である2つ
の副シグナルは、上段のスペクトルにおけるより強度が
相当に大きい。また、図1の中段と下段のスペクトルを
比較すると明らかなように、g値が2.004〜2.0
07である主シグナル、並びにg値が1.985〜1.
986及び2.024である2つの副シグナルの強度
は、いずれも、照射光中に420nm未満の光を含んで
いてもいなくても実質的に相違しない。
【0015】さらに本発明の可視光応答型材料は、図2
に示すように、真空中、常温において、暗黒下では、g
値が2.004〜2.007である主シグナルは、微小
に観測されるが、g値が1.985〜1.986及び
2.024である2つの副シグナルは、実質的に観測さ
れない。さらに、真空中、常温において、420nm以
上の波長を有する光照射下及び420nm未満の光をカ
ットオフしない水銀ランプの光照射下おけるESRにお
いては、前記3つのシグナルが測定される物であること
がわかる。図2中、上段は暗黒下でのスペクトルであ
り、中段が420nm以上の波長を有する光(水銀ラン
プの光の内、420nm未満の光をカットオフ)の照射
下でのスペクトルである。下段は、420nm未満の光
をカットオフせずに水銀ランプの光を照射した場合のス
ペクトルである。尚、上段、中段及び下段は、いずれも
同一のゲイン(GAIN)の下で測定した結果である。
【0016】また、本発明の可視光応答型材料における
前記3つのシグナルが正孔補足に起因するラジカルに帰
属されるものであることが推測される。これは、実施例
においても示すように、イソプロパノール(電子ドナー
分子である)雰囲気中でのESRスペクトル及び空気雰
囲気(空気中の酸素が電子アクセプター分子である)中
でのESRスペクトルから明らかである。
【0017】本発明の可視光応答型材料は、真空中、7
7Kにおいて420nm以上の波長を有する光の照射下
で測定されたにおいて、上記シグナルに加えて、g値が
2.009〜2.010である副シグナルをさらに有す
ることもできる。g値が2.009〜2.010である
副シグナルは、図1の中段のESRスペクトルに示され
ている。
【0018】本発明の可視光応答型材料は、上記のよう
に、特徴的なESRシグナルを有する物であるが、それ
と同時に、着色を有する物でも有り、例えば、600n
mの波長の光に対する反射率を1(又は100%)とし
たときに、450nmの波長の光に対する反射率が0.
85(又は85%)以下、好ましく0.80(又は80
%)以下、より好ましく0.70(又は70%)以下で
あることができる。着色が大きいほど、可視光応答活性
が強くなる傾向がある。ここにおける反射率は後述の実
施例で示すように分光光度計で測定された結果である。
尚、反射率はカラーアナライザーでも測定できるが、精
度の点で優れていることから、上記反射率の評価には分
光光度計を用いる。
【0019】本発明の可視光応答型材料は、上記のよう
に、特徴的なESRシグナルを有する物であるが、それ
に加えて、実施例において具体的かつ詳細に示すよう
に、可視光領域の光に対してNOの酸化活性を有するも
のである。具体的には、少なくとも波長520nm及び
それ以下の波長の可視光を照射することによりNOの酸
化活性を発現する。より好ましい材料では、波長570
nm及びそれ以下の波長の可視光を照射することにより
NOの酸化活性を発現する。
【0020】本発明の可視光応答型材料は、非晶質また
は不完全な結晶質の酸化チタン(含水酸化チタンを含
む)及び/又は水酸化チタンを原料として製造すること
ができる。この原料チタン化合物は、硫酸法や塩化物法
等の湿式法で得られる物であることができる。より具体
的には、原料チタン化合物は、塩化チタンまたは硫酸チ
タンを水酸化アンモニウムで加水分解して得られたもの
であることができる。あるいは、原料チタン化合物は、
チタンアルコキシドを水で加水分解して得られたもので
あるか、または、チタンアルコキシドを水酸化アンモニ
ウム水溶液で加水分解して得られたものであることがで
きる。但し、原料価格が安価であるという観点からは、
工業的生産においては、塩化チタンまたは硫酸チタンを
水酸化アンモニウムで加水分解して得られたものである
ことが好ましい。そこで、以下、塩化チタンまたは硫酸
チタンを水酸化アンモニウムで加水分解する場合につい
て説明する。
【0021】上記加水分解は、例えば、塩化チタン水溶
液または硫酸チタン水溶液に水酸化アンモニウム水溶液
を連続的または断続的に添加して行うか、または水酸化
アンモニウム水溶液に塩化チタン水溶液または硫酸チタ
ン水溶液を連続的または断続的に添加して行うことがで
きる。塩化チタン水溶液、硫酸チタン水溶液及び水酸化
アンモニウム水溶液の濃度は、適宜決定できる。この加
水分解は、反応液の最終的なpHが8以上のアルカリ性
になるように水酸化アンモニウムの添加量を調整して行
うことが適当である。塩化チタンは、三塩化チタン、四
塩化チタンなどであっても良く、これらの混合物を用い
てもよい。上記加水分解は、例えば、0℃〜100℃、
好ましくは20〜80℃の範囲の温度で行うことができ
るが、常温での加水分解が、比較的結晶性が低い、また
は非結晶質の二酸化チタンが得られるという観点から好
ましい場合が有る。
【0022】塩化チタンまたは硫酸チタンの水酸化アン
モニウムによる加水分解物は、水または水酸化アンモニ
ウム水溶液で洗浄した後に原料チタン化合物として用い
ることが好ましい。加水分解物の水または水酸化アンモ
ニウム水溶液による洗浄は、例えば、加水分解物を含む
反応液を濾過し、濾過物として得られた加水分解物に水
または水酸化アンモニウム水溶液をさらに通過させるこ
とで行うことができる。この方法は、濾過された加水分
解物にそのまま水または水酸化アンモニウム水溶液を加
え、濾過すれば良いことから操作が容易であり好まし
い。加水分解物の水または水酸化アンモニウム水溶液に
よる洗浄は、上記以外に、例えば、加水分解物の濾過物
を水または水酸化アンモニウム水溶液に再度懸濁させ、
得られた懸濁物を濾過することにより行うことができ
る。水または水酸化アンモニウム水溶液での洗浄は、加
水分解時に生成する塩化アンモニウムまたは硫酸アンモ
ニウム等のアンモニウム塩の残存量が適当量まで低下す
るように行うことができ、複数回行うこともできる。ま
た、非晶質または不完全な結晶質の二酸化チタンは、市
販品を用いても良く、例えば、石原産業製のST-01また
はC-02のような不完全な結晶質の二酸化チタンであって
もよい。
【0023】本発明の製造方法では、非晶質または不完
全な結晶質の酸化チタン等の原料チタン化合物をアンモ
ニア又はその誘導体の存在下で加熱する。アンモニアは
液体であっても気体であってもよい。アンモニアガスを
用いる場合、原料チタン化合物をアンモニアガス雰囲気
下加熱する。また、アンモニア誘導体としては、例え
ば、水酸化アンモニウムや塩化アンモニウム等のアンモ
ニウム塩を挙げることができ、例えば、原料チタン化合
物を水酸化アンモニウムや塩化アンモニウムの共存下で
加熱する。
【0024】原料チタン化合物のアンモニア又はその誘
導体の存在下での加熱は、加熱により生成する材料の波
長450nmにおける光の吸収が、原料チタン化合物の波
長450nmにおける光の吸収より大きい時点で前記加熱
を終了させることにより行う。通常、原料チタン化合物
は白色であり、波長450nmにおける光の吸収は10%
前後である。それに対して、原料チタン化合物をアンモ
ニア又はその誘導体の存在下で加熱すると、徐々に黄色
に着色する。しかし、この着色はある時点をピークに薄
らぎ、ついには原料チタン化合物と同程度の吸収を示す
物となる。原料チタン化合物の種類や共存させるアンモ
ニア(誘導体)の種類と量、加熱温度及び時間等により
異なるが、波長450nmにおける光の吸収は最大で60
%前後に達する場合もある。可視光応答型材料の特性
は、波長450nmにおける光の吸収強度により一義的に
決まるものではないが、波長450nmにおける光の吸収
が15%以上(反射率85%以下)である場合、明らか
に可視光応答性を示す材料となる。従って、上記加熱処
理は、600nmの波長の光に対する反射率を1(又は
100%)としたときに、450nmの波長の光に対す
る反射率が0.85(又は85%)以下、好ましく0.
80(又は80%)以下、より好ましく0.70(又は
70%)以下となる条件に設定することが好ましい。こ
こにおける反射率は後述の実施例で示すように分光光度
計で測定された結果である。
【0025】上記加熱の条件は、必ずしも温度だけで規
定はできないが、用いる温度としては例えば250〜550℃
の範囲の温度であることができる。NOxの除去(酸化)
の活性と加熱温度(加熱時間は1時間とした)との関係を
求めた図を図6〜8に示す。図6はNOの除去率、図7
はNO2の生成率、図8はNOx除去率を示す。(詳細
は実施例8に示す。)これらの図から、420nm及び
470nmの波長の光によるNOxの除去率は、300〜4
50℃の範囲での加熱で比較的高く、325〜425℃の範囲で
の加熱でより高いことが分かり、さらに520nm及び
570nmの波長の光によるNOxの除去率は、325〜4
50℃の範囲での加熱で比較的高く、350〜425℃の範囲で
の加熱でより高いことが分かる。従って、可視光領域で
のNOxの除去率が高いという点では、350〜425℃の範
囲での加熱が最も好ましい。
【0026】また、NOxの除去(酸化)の活性と加熱時
間(加熱温度は400℃とした)との関係を求めた図を図9
〜11に示す。図9はNOの除去率、図10はNO2
生成率、図11はNOx除去率を示す。(詳細は実施例
9に示す。)これらの図から、加熱時間は、520nm
及び570nmの波長の可視光領域の光に対するNOx
の除去率が良好になるという観点から、30分以上、好
ましくは1時間以上である。また、加熱時間が1時間よ
り長くなってもNOx除去率に大きな変動はみかられな
いことから、長くても3時間程度である。また、この加
熱は常圧下で行うことができる。また、加熱時間は、加
熱により生成する材料の波長450nmにおける光の吸収
を目安に適宜決定できる。
【0027】上記加熱は、当分野で通常用いられている
ロータリーキルン、トンネルキルン、マッフル炉などを
用いることができる。加熱により酸化チタンの個々の粒
子が凝集したり、焼結したりした場合には、必要に応じ
て粉砕器により粉砕してもよい。
【0028】また、上記のように加熱して得られた材料
を、必要により水又は水溶液で洗浄することができる。
この洗浄により、得られる可視光応答型材料の可視光応
答性を改善できる場合がある。また、条件によっては、
洗浄することなしに良好な可視光応答性を有する材料が
得られる場合もある。非晶質または不完全な結晶質の酸
化チタン(加熱前の原料チタン化合物)が、例えば、塩
化チタンを水酸化アンモニウムで加水分解して得られた
ものである場合、加水分解物に相当量の塩化アンモニウ
ムが残存しており、その結果、上記のように非晶質また
は不完全な結晶質の二酸化チタンを所定温度で加熱する
ことにより可視光応答型材料に変換することが可能にな
る。しかるに、加熱処理後も相当量の塩化アンモニウム
が得られる材料に残存する場合がある。その様な場合に
は、水または適当な水溶液を用いて洗浄することで、塩
化アンモニウムを除去し、可視光応答型材料の可視光応
答性を改善できる場合がある。例えば、図12〜14に
洗浄回数とNOxの除去(酸化)の活性との関係を求めた
図を示す。図12はNOの除去率、図13はNO2の生
成率、図14はNOx除去率を示す。(詳細は実施例1
0−1に示す。)これらの図から、洗浄回数が増加する
とあるところまでは、NOxの除去(酸化)の活性は増加
し、洗浄により可視光応答性の改善効果があることが分
かる。
【0029】さらに、この場合、加熱して得られた材料
の水又は水溶液での洗浄は、洗浄した後に材料から分離
した水又は水溶液のpHが例えば、3.5以上(pH
3.5〜7)となるように行うか、または洗浄した後に
材料から分離した水又は水溶液中に含まれる塩素イオン
量(塩化チタンを加水分解物の原料とする場合)または
硫酸イオン量(硫酸チタンを加水分解物の原料とする場
合)が減少するように行うことが好ましい。例えば、図
15に洗浄回数と洗浄した後に材料から分離した水のp
H及び塩素イオン濃度(塩化チタンを加水分解物の原料
した)との関係を示す実験結果を示す。図15における
洗浄回数は上記図12〜14における洗浄回数と同一の
サンプルについてのものである。また、洗浄の条件は多
少異なるが同様に加熱後に洗浄したサンプル中にどの程
度のアンモニウムイオンが残存しているかを調べた結果
を図17に示す(詳細は実施例10−2に示す。)。こ
の結果から、洗浄によりアンモニウムイオンの残存量
(付着量)も低減していることが分かる。
【0030】本発明の可視光応答型材料は、粉末または
膜(薄膜)であることもでき、膜(薄膜)は適当な基材
上に設けたものであることができる。膜(薄膜)の形成
は、基材上に非晶質または不完全な結晶質の酸化チタン
等の原料チタン化合物を、必要により適当なバインダー
とともに塗布し、アンモニア又はその誘導体を塗布膜に
含ませるか、またはアンモニア又はその誘導体を雰囲気
に存在させて、前記加熱を行うことで、実施できる。あ
るいは、粉末状態の本発明の可視光応答型材料を基材等
に塗布することにより、膜(薄膜)を形成することもで
きる。
【0031】本発明の可視光応答型材料には、用途に応
じてその表面及び/又は内部にケイ素、アルミニウム、
スズ、ジルコニウム、アンチモン、リン、白金、金、
銀、銅、鉄、ニオブ、タングステン、タンタルなどの元
素やそれらを含む化合物を被覆したり、担持したり、或
いはドープしたりすることもできる。
【0032】本発明の可視光応答型材料を用いること
で、殺菌、防藻、防黴、及び/又は防汚方法を提供する
ことができる。また、本発明の可視光応答型材料を用い
ることで、水の浄化方法や大気中の窒素酸化物を低減す
る方法を提供することもできる。
【0033】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。 実施例1 四塩化チタン(関東化学株式会社製、特級)500gを
純水の氷水(水として2リットル)に添加し、攪拌し、
溶解し、四塩化チタン水溶液を得た。この水溶液200
gをスターラーで攪拌しながら、約50mlのアンモニ
ア水(NH3として13wt%含有)をできるだけ速や
かに加えた。アンモニア水の添加量は、水溶液の最終的
なpHが約8になるように調整した。これにより水溶液
は白色のスラリー状となった。さらに攪拌を15分間続
けた後、吸引濾過器で濾過した。濾取した沈殿は20m
lのアンモニア水(NH3として6wt%含有)に分散
させ、スターラーで約20時間攪拌した後、再度吸引濾
過して、白色の加水分解物を得た。得られた白色の加水
分解物を坩堝に移し、電気炉を用い、大気中400℃で
1時間加熱し、黄色の生成物を得た。
【0034】得られた生成物のXRDの測定結果を図3
の上段に示す。併せて、白色の加水分解物を50℃で乾
燥してもののXRDの測定結果も図3の下段に示す。こ
の結果から、白色の加水分解物を50℃で乾燥したもの
は、アモルファスであり、得られた生成物はアナターゼ
型二酸化チタンを含むものであることが分かる。得られ
た生成物と白色の加水分解物を50℃で乾燥したものの
拡散反射スペクトルを、積分球を取り付けた日立自記分
光光度計(U-3210)により、以下の条件で測定した。 scan speed:120nm/min、 response:MEDIUM、 band pass:2.00nm、 リファレンス:硫酸バリウム その結果、得られた生成物の600nmにおける反射率
を100%としたときの450nmにおける反射率は6
1%であったのに対し、白色の加水分解物を50℃で乾
燥してものは、600nmにおける反射率を100%と
したときの450nmにおける反射率は95%であっ
た。また、得られた生成物の700nmにおける反射率
を100%としたときの450nmにおける反射率は6
1%であったのに対し、白色の加水分解物を50℃で乾
燥してものは、700nmにおける反射率を100%と
したときの450nmにおける反射率は95%であっ
た。
【0035】また、得られた生成物のESRスペクトル
を測定した。ESR装置、ES−RE2X、日本電子製
を用い、測定は、真空中(0.1Torr以下)、77
K又は常温で行った。測定条件は以下の通りである。 〔基本的パラメーター〕 測定温度 77K又は常温 フィールド 324mT±25mT 走査時間 4分 Mod. 0.1mT レシーバー・ゲイン 10〜100(測定感度) タイムコンスタント 0.1秒 RFパワー 0.1mW 光源 高圧水銀ランプ 500W フィルター L−42(旭テクノグラス(株)) 〔試料作成〕 真空脱気 1時間以上 〔g値の計算〕 Mn2+マーカー(gmn=1.981(高磁場側から3本
目))を基準として g=gmn×Hmn/(Hmn+△H) Hmn:Mn2+マーカーの磁場、△H:Hmnからの磁場の
変化量
【0036】図1(測定温度77K)及び図2(測定温
度常温)に、上段に暗黒下でのESRスペクトル、中段
に420nm未満の光(500Wの高圧水銀ランプを使
用)をカットするフィルター(L−42)を介して光照
射した状態で測定したESRスペクトル、下段に420
nm未満の光をカットするフィルター(L−42)を使用
せずに500Wの高圧水銀ランプを使用して光照射した
状態で測定したESRスペクトルをそれぞれ示す。
【0037】図1の上段と中段のスペクトルを比較する
と明らかに、中段のスペクトルにおいて、g値が2.0
04〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.
985〜1.986及び2.024である2つの副シグ
ナルは、上段のスペクトルにおけるより強度が大きかっ
た。また、図1の中段と下段のスペクトルを比較すると
明らかに、g値が2.004〜2.007である主シグ
ナル、並びにg値が1.985〜1.986及び2.0
24である2つの副シグナルの強度は、いずれも、照射
光中に420nm未満の光を含んでいても実質的に相違し
なかった。
【0038】さらに図2に示すように実施例1の可視光
応答型材料は、前記3つのシグナルが大気中、常温、暗
黒下及び420nm以上の波長を有する光照射下におけ
るESRにおいても測定される物であった。尚、白色の
加水分解物を50℃で乾燥してものには、g値が2.0
04〜2.007である主シグナル、並びにg値が1.
985〜1.986及び2.024である2つの副シグ
ナルは、いずれのESR測定条件においても観測されな
かった。
【0039】真空であった測定雰囲気を空気またはイソ
プロパノールとし、420nm未満の光(500Wの高圧
水銀ランプを使用)をカットするフィルター(L−4
2)を介して光照射する条件で上記と同様にしてESR
スペクトルを測定した。その結果を図4に示す。図中、
上段が真空中、中段が空気中、下段がイソプロパノール
中での測定結果である。主シグナル及び2つの副シグナ
ル共に、真空中で最も小さく、イソプロパノール中で
は、真空中よりやや大きくなるが、中段の空気中で最大
となる。イソプロパノールは電子ドナー分子であるのに
対し、空気中の酸素は電子アクセプター分子となるの
で、上記結果は、前記3つのシグナルが正孔補足に起因
するラジカルに帰属されるものであることを示唆するも
のである。
【0040】実施例2 実施例1で得た白色の加水分解物を、加熱時間を20分
または3時間とした以外は実施例1と同様の条件で加熱
して、黄色の生成物を得た。これらの生成物の拡散反射
スペクトルを実施例1と同様に測定した。加熱時間20
分の試料は、600nmにおける反射率を100%とし
たときの450nmにおける反射率は69%であり、加
熱時間3時間の試料は、600nmにおける反射率を1
00%としたときの450nmにおける反射率は68%
であった。加熱時間20分の試料は、700nmにおけ
る反射率を100%としたときの450nmにおける反
射率は68%であり、加熱時間3時間の試料は、700
nmにおける反射率を100%としたときの450nm
における反射率は68%であった。
【0041】実施例3 四塩化チタンを三塩化チタンに代えた以外は実施例1と
同様の条件で白色の加水分解物を得、この白色の加水分
解物を400℃、1時間加熱して、黄色の生成物を得
た。この生成物について、420nm未満の光(500W
の高圧水銀ランプを使用)をカットするフィルター(L
−42)を介して光照射した状態で測定したESRスペ
クトル(測定温度77K)は、図1の中段に示すと同様
のg値を有する主シグナル及び2つの副シグナルを示し
た。
【0042】実施例4 アナターゼ型二酸化チタン粉末(石原産業(株)製C−
02)1.6kgを内容積25リットルの内壁に邪魔板
を有する加熱容器に充たし、外熱型ロータリーキルン装
置に装着した。上記加熱容器内を窒素ガスでパージし、
その後アンモニアガスを窒素ガス換算で1.5リットル
/分流通させた。同時に外部ヒーターにより容器内の温
度を400℃とし、容器を回転させながら90分間加熱
した。加熱後、室温まで冷却し、黄色の生成物を得た。
図5に420nm未満の光(500Wの高圧水銀ランプを
使用)をカットするフィルター(L−42)を介して光
照射した状態で測定したESRスペクトル(測定温度7
7K)を示す。
【0043】実施例5 実施例1で得られた粉末3gを100mlの純水に懸濁
しマグネチックスターラーを用い、1時間攪拌した。得
られた溶液は吸引濾過を行った。濾紙上に残った試料を
再度純水に攪拌し、吸引濾過を行った。濾過は、ろ液が
pH試験紙で6〜7になるまで3回繰り返し行った。得
られた粉末は、110℃に設定した乾燥器内に一昼夜放
置し、乾燥させて本発明の材料を得た。
【0044】実施例6 300リットルの反応容器(冷却及び攪拌が可能)内に
満たした温度0℃の水207kgに四塩化チタン23k
gを徐々に加えた。このとき水溶液の温度は、最高6℃
であった。塩化チタン攪拌を2日間行い透明な四塩化チ
タン水溶液を作成した。作成した四塩化チタン水溶液を
攪拌しながら12.5%アンモニア水を滴下すると、こ
の溶液は徐々に白濁した、アンモニア水の量は、白濁し
た溶液がpH8となるように調整した。白濁した溶液
は、吸引濾過を行った。濾紙上に残った白色の沈殿物
は、131kgであった。白色の沈殿物は、200kg
のアンモニア水(NH3として6%)に分散させたのち、
24時間攪拌し、吸引濾過を行った。濾過後白色の沈殿
物は、108kgであった。白色の沈殿物は、50℃に
設定した強制送風式棚型乾燥機にいれ、4日間乾燥を行
った。乾燥後試料は、17kgであった。乾燥試料をア
ルミナ坩堝(20×20×5cm)に1kg入れ、ガス
炉内に設置し、試料表面に熱電対を置き、試料の温度が
400℃となるようにして、1時間焼成した。冷却後、
濃い黄色の本発明の材料が得られた。この材料を乳鉢で
粉砕して、後述の評価に用いた。
【0045】実施例7 実施例6で作成した粉末3gを100mlの純水に懸濁
しマグネチックスターラーを用い、1時間攪拌した。得
られた溶液は吸引濾過を行った。濾紙上に残った試料を
再度純水に攪拌し、吸引濾過を行った。濾過は、ろ液が
pH試験紙で6〜7になるまで3回繰り返し行った得ら
れた粉末は、110℃に設定した乾燥器内に一昼夜放置
し、乾燥させて本発明の材料を得た。
【0046】得られた本発明の材料のESRを測定し
た。但し、ESR測定にはJEOLJES−TE300
を使用し、測定条件において、温度77K、雰囲気を窒
素(760Torr)とし、センターフィールドを33
0mT±25mTとし、modulation frequency を100kH
zとし、RFパワーを1.0mWとし、走査時間4分、
タイムコンスタント0.1秒とし、光源は150W X
eランプとし、(株)三永電気製作所 SUPERBR
IGHT−152Sを用いて、フィルターGG455
(Schott日本製)を通して試料に光を照射できる
ようにして測定した。結果を図23に示す。
【0047】試験例 NOx除去活性 実施例1、3、5、6、7で作製した試料及び市販の酸
化チタン粉末(ST−01、石原産業(株)製)(比較
例1)を、各0.2gガラスプレート(6×6cm)にそ
れぞれ塗布したものを、パイレックスガラス製反応容器
(内径160mm、厚さ25mm)内に設置した。光源に
は、300Wクセノンランプを用いた照射装置(日本分
光(株)製商品名:SM−5型CT−10)により、半値幅
20nmの単光色として、光を照射した。この反応容器
に湿度O%RHの模擬汚染空気(NO:1ppm)を1.
5リットル/分の流速で連続的に供給し、反応出口にお
けるNO及びNO2の濃度変化をモニターした。NOの
濃度は、オゾンを用いた化学発光法により測定した。1
時間のモニターの値の累積値から各測定波長におけるN
Oxの除去率(%)(=NO減少率−NO2生成率)を求
めた。尚、NO濃度の測定には、Monitor labs Inc.
製、Nitrogen Oxides analyzer Model 8840を用いた。
【0048】
【表1】
【0049】実施例8(加熱温度とNOx除去率との関
係) 実施例6で得た白色の沈殿物(加水分解物)を、加熱温
度を300℃、325℃、350℃、375℃、400℃、425℃、450
℃、475℃または500℃とした以外は実施例1と同様の条
件(加熱時間は1時間)で加熱し、さらに実施例7と同
様の条件で洗浄及び乾燥して、黄色の生成物を得た。こ
れらの生成物の拡散反射スペクトルを測定し、600n
mまたは700nmにおける反射率を100%としたと
きの450nmにおける反射率を表2に示す。参考とし
て石原産業(株)製ST−01の反射率も表2に示す。
さらに、得られた各サンプルのNOx除去活性を上記試
験例と同様にして測定し、図6〜8に示す。
【0050】
【表2】
【0051】実施例9(加熱時間とNO除去率との関
係) 実施例6で得た白色の沈殿物(加水分解物)を、加熱時
間を0.5時間、1時間、3時間、6時間または10時
間とした以外は実施例1と同様の条件(加熱温度は400
℃)で加熱し、さらに実施例7と同様の条件で洗浄及び
乾燥して、黄色の生成物を得た。これらの生成物の拡散
反射スペクトルを測定し、600nmまたは700nm
における反射率を100%としたときの450nmにお
ける反射率を表3に示す。参考として石原産業(株)製
ST−01の反射率も表3に示す。さらに、得られた各
サンプルのNOx除去活性を上記試験例と同様にして測
定し、図9〜11に示す。
【0052】
【表3】
【0053】実施例10−1(加熱後の洗浄と除去率と
の関係(1)) 実施例6で作成した粉末3gを100mlの純水に懸濁
しマグネチックスターラーを用い、1時間攪拌した。得
られた溶液は吸引濾過を行った。濾紙上に残った試料を
再度純水に攪拌し、吸引濾過を行った。この濾過の回数
を、1回、2回、3回、5回、または7回繰り返し行
い、得られた粉末は、110℃に設定した乾燥器内に一
昼夜放置し、乾燥させて、さらに、得られた各サンプル
のNOx除去活性を上記試験例と同様にして測定し、図
12〜14に示す。また、洗浄回数と洗浄した後に材料
から分離した水のpH及び塩素イオン濃度との関係を図
15に示す。
【0054】実施例10−2(加熱後の洗浄と除去率と
の関係(2)) 実施例6で作成した粉末3gを100mlの純水に懸濁
し、超音波をかけながら10分間放置した。得られた溶液
は吸引濾過を行った。濾紙上に残った試料を再度純水に
攪拌し、吸引濾過を行った。この濾過の回数を、0回、1
回、または6回繰り返し行い、得られた粉末は、110
℃に設定した乾燥器内に一昼夜放置し、乾燥させて、さ
らに、得られた各サンプルのNOx除去活性を上記試験
例と同様にして測定し、図16に示す。さらに、得られ
た各サンプルのIRを測定し、洗浄回数0回のIRスペ
クトルを洗浄回数6回のIRスペクトルで割ったもの
(A)及び洗浄回数1回のIRスペクトルを洗浄回数6
回のIRスペクトルで割ったもの(B)をそれぞれ図1
7に示す。
【0055】実施例11(加水分解後加熱前の水洗条件
の検討) 純水との攪拌時間を10分または1日にした以外は実施
例5と同様にして本発明の材料を得た。得られた各サン
プルのNOx除去活性を上記試験例と同様にして測定
し、結果を以下の表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】実施例12(硫酸チタンからの可視光応答
材料の製造方法(1)) 製造例1 硫酸チタン(IV)溶液として、硫酸チタン(IV)水
溶液(関東化学(株)製商品名:硫酸チタン(IV)(鹿1
級、硫酸チタン(IV)を24重量%以上含有する水溶
液))の原液をそのまま用いた。この水溶液50gをスタ
ーラーで混ぜながら、アンモニア水(アンモニア原液:水
=1:1)58mlをビュレットでできるだけ速やかに加
えながら撹搾を続けたところ、白濁が始まり徐々に結度
が高まった。さらにアンモニア水を加え、万能試験紙で
pHが7になるよう調整した。24時間経過後に吸引濾
過器で濾過した。濾紙についた白色物は、pHが11に
調整したアンモニア水中で撹拝し、再度濾過することを
8回繰り返し、洗浄を行い、白色の粉末を得た。得られ
た粉末は、50℃で乾燥して、試料粉末Gを得た。得ら
れた加水分解物(試料粉末G)のBET表面積は、30
8.7m2/gであった。
【0058】実施例12−1 製造例1で得られた試料粉末G 8gを坩堝に入れ、電
気炉に移し、400℃で60分間焼成し、BET表面積
が、89.4m2/gの明るい黄色の粉末Aを6.3g
得た。
【0059】実施例12−2 製造例1で得られた試料粉末G 8gを坩堝に入れ、電
気炉に移し、300℃の温度で60分間焼成し、BET
表面積が、101m2/gの明るい黄色の粉末Bを6.
5g得た。
【0060】実施例12−3 製造例1で得られた試料粉末G 8gを坩堝に入れ、電
気炉に移し、500℃の温度で60分間焼成し、BET
表面積が、52.6m2/gの淡い黄色の粉末Cを6.
2g得た。
【0061】比較例12−1 製造例1で得られた試料粉末G 8gを坩堝に入れ、電
気炉に移し、100℃の温度で60分間焼成し、BET
表面積が、249m2/gの白色の粉末Dを7.6g得
た。
【0062】比較例12−2 製造例1で得られた試料粉末G 8gを坩堝に入れ、電
気炉に移し、200℃の温度で60分間焼成し、BET
表面積が、200m2/gの白色の粉末Eを7.1g得
た。
【0063】比較例12−3 市販されている酸化チタン粉末(石原産業(株)製ST-0
1)を粉末Fとした。この粉末Fは、BET表面積が、
320m2/gの白色粉末である。
【0064】特性評価 製造例1、実施例12−1〜3及び比較例12−1〜3
で得られた粉末の諸特性を、X線回折(XRD)及びX線
光電子分光法(XPS)、NOの酸化活性の測定及びイソ
プロパノールの酸化活性の測定により評価した。
【0065】1.X線回折(XRD) 製造例1で得られた試料粉末G、実施例12−1〜3で
得られた粉末A、B及びC、並びに比較例12−1〜3
で得られた粉末D、E及びFの焼成温度による変化を、
X線回折分析装置(理学電機(株)製商品名:RINT−2
000)により測定した結果を、図18に示す。図18
に示すように、粉末B、D、E、Gにおいては回折パタ
ーンが確認されず、粉末A、C、Fにおいてはアナター
ス結晶の回折パターンが確認され、粉末Aと粉末Cとの
比較では、アナタース型酸化チタンが生成し、焼成によ
り成長して、強度が増加していることがわかる。
【0066】2.X線光電子分光法(XPS) 製造例1で得られた試料粉末G、実施例12−1で得ら
れた粉末A及び比較例12−3の粉末Fの、チタンと酸
素との比率を、X線光電子分光分析(ESCA)装置
(アルバックファイ(株)製商品名:Quantum 2
000)により測定した。X線光電子分光分析は、以下
の条件で行った。励起X線発生条件:ピーム径100μm-110
Wの電子線をAlターゲットに入射させ、そこから発生し
た単色化X線(AlKα1)を励起源に用いた。 分析領域、モード:分析領域;1500μm×100μmφ、使用
ビーム径;100μmφ 取り出し角:90度 パスエネルギー:187.85eV(Survey), 23.50eV(Multiple
x) ステップ幅:1.6eV(Survey), 0.1eV(Multiplex)
【0067】X線光電子分光により得られるチタンの2
p電子に帰属されるピークの面積と、酸素の1s電子に
帰属されるピークの面積とから算出される酸素元素とチ
タン元素との存在比(O/Ti)は、それぞれ、試料粉末
Gが2.45、粉末Aが2.28及び市販品である粉末
Fが2.40であった。理論上では、通常の(市販品の)
酸化チタン粉末(IV)の酸素元素とチタン元素との存在
比(O/Ti)は、2.00であるべきところ、今回の測
定では、市販品である粉末Fの測定値が2.40であっ
たことからすると、それより小さい測定値であった粉末
Aの、理論上の(実際の)酸素元素とチタン元素との存在
比(O/Ti)は、少なくとも2.00未満であることが
わかる。
【0068】3.NOx除去活性の測定 製造例1で得られた試料粉末G、実施例12−1〜3で
得られた粉末A、B及びC、並びに比較例12−1〜3
で得られた粉末D、E及びFのNOx除去活性の測定を
前記試験例に記載の方法に従って行った。その結果を表
5に示す。
【0069】
【表5】
【0070】4.イソプロパノール酸化活性の測定 製造例1で得られた試料粉末G、実施例12−1〜3で
得られた粉末A、B及びC、並びに比較例12−1〜3
で得られた粉末D、E及びFのそれぞれ0.2gをガラ
スプレート(6×6cm)に塗布したものを、ガラス製ベ
ルジャー型反応装置(容積:1.9リットル)内に設置し
た。光源には、300Wハロゲンランプを用い、カット
フィルター((株)東芝製 商品名:IRA‐25S、6
50nm以上の波長の光をカット)及びカットフィルタ
ー((株)東芝製 商品名:L−42、420nm未満の波
長の光をカット)を用いた。系内を十分に排気した後、
2−プロパノールを反応容器内に注入して、濃度が50
0ppmの反応ガスとした。2−プロパノールが、吸着
平衡に達した後、2時間光照射を行った。反応ガスは、
ガスクロマトグラフィー(FID)で分析し、酸化により
生成したアセトン濃度の増加量(アセトン生成速度(pp
m/分))を測定した。その結果を表6に示す。
【0071】
【表6】
【0072】表6から、実施例12−1で得られた粉末
Aは、アセトンの生成速度(ppm/分)が大きく、可視
光照射による2−プロパノールの酸化において高いアセ
トン生成特性(光触媒機能)を有していることがわかる。
これに対し、粉末G、E及びFは、アセトンの増加はほ
とんど見られないことから、光触媒機能を有していない
ことがわかる。
【0073】4.カラーアナライザーによる測定 製造例1で得られた試料粉末G、実施例12−1〜3で
得られた酸化チタン粉末A、B及びC、並びに比較例1
2−1〜3で得られた酸化チタン粉末D、E及びFの光
の吸収の度合いをみるために、カラーアナライザー
((有)東京電色技術センター 商品名:TC−1800)
により、各粉末の、可視光域の波長の光を照射した場合
における反射率を測定した。その結果を図19に示す。
図19から、粉末A、C及びBが可視光をより多く吸収
しているため、着色し、可視光活性(光触媒機能)を有し
ていることがわかる。また、それぞれの粉末の反射率
(600nmの波長の光を照射した場合における反射率
を1としたときに、450nmの波長の光を照射した場
合における反射率)を表7に示す。
【0074】
【表7】
【0075】実施例12−1で得られた粉末AのESR
スペクトルを測定した。測定は、真空中(0.1Tor
r)77Kで行った。測定条件は実施例1と同様であ
る。図20(測定温度77K)に、420nm未満の光
(500Wの高圧水銀ランプを使用)をカットするフィ
ルター(L−42)を介して光照射した状態で測定した
ESRスペクトルを示す。尚、暗黒下でのESRスペク
トルも測定したが、実質的にシグナルは観測されなかっ
た。
【0076】図20に示すスペクトルでは、g値が2.
004〜2.007である主シグナル、並びにg値が
1.985〜1.986及び2.024である2つの副
シグナルが観測された。尚、白色の加水分解物を50℃
で乾燥してものには、g値が2.004〜2.007で
ある主シグナル、並びにg値が1.985〜1.986
及び2.024である2つの副シグナルは、いずれのE
SR測定条件においても観測されなかった。
【0077】実施例13(硫酸チタンからの可視光応答
材料の製造方法(2)) 24%硫酸チタン溶液(関東化学製、鹿一級)50gを蒸留
水400 mLに加え、マグネチックスターラーで撹拌する。
そこに、濃アンモニア水(28%、関東化学、特級)を加え
て中和反応を行う。中和反応後はpH 7に調製し、15分撹
拌する。この時スターラーが回らなくなる時があるの
で、蒸留水を加える(200 mL)。15 分後撹拌を止めた後
にしばらく放置し、上澄み液を捨てる。濾過はヌッチェ
にて行い、この時2Lのアンモニア水(5:95)で洗浄する。
この作業はろ紙上でケーキ状になったところでアンモニ
ア水を追加する方法である。その後得られたものを60
℃、24時間乾燥させ、400℃、1時間で焼成を行って本発
明の可視光応答型材料を得た。得られた材料のNOx除
去活性を上記試験例と同様にして測定し、表8に示す。
【0078】
【表8】
【0079】得られた材料のESRスペクトルを測定し
た。測定は、真空中(0.1Torr)77Kで行っ
た。測定条件は実施例1と同様である。図21(測定温
度77K)に420nm未満の光(500Wの高圧水銀ラ
ンプを使用)をカットするフィルター(L−42)を介
して光照射した状態で測定したESRスペクトルを示
す。
【0080】図21に示すスペクトルでは、g値が2.
004〜2.007である主シグナル、並びにg値が
1.985〜1.986及び2.024である2つの副
シグナルが観測された。尚、白色の加水分解物を50℃
で乾燥してものには、g値が2.004〜2.007で
ある主シグナル、並びにg値が1.985〜1.986
及び2.024である2つの副シグナルは、いずれのE
SR測定条件においても観測されなかった。
【0081】実施例14(アルコキシドからの製造方
法) 純水200gに撹拌しながらチタンイソプロポキシド30gを
徐々に加えた(水とチタンイソプロポキシドモル比=約
10:1)。得られた溶液を約30分撹拌した後、沈殿物
(加水分解物)を濾取し、沈殿物(加水分解物)は、純
水に懸濁させて1日撹拌したものを濾過し、110℃で乾燥
し、400℃で1時間焼成した。得られた白色の粉末を試料
Aとする。沈殿物(加水分解物)を純水に懸濁させて1
日撹拌する代わりに、アンモニア水(アンモニアの濃
度:6%)に沈殿物(加水分解物)を懸濁させて1日撹
拌した使した以外は、上記操作と同様にして、黄色粉末
を試料Bとする。試料A及びBのNOx除去活性を前記試
験方法と同様にして測定した。結果を以下の表6に示
す。
【0082】
【表9】
【0083】表9に示す結果から、可視光応答性を有す
る酸化チタンからなる材料は、酸化チタン(チタン加水
分解物)をアンモニアの共存下で熱処理することで得ら
れることが分かる。
【0084】得られた材料のESRスペクトルを測定し
た。測定は、真空中(0.1Torr)77Kで行っ
た。測定条件は実施例1と同様である。図22(測定温
度77K)に420nm未満の光(500Wの高圧水銀ラ
ンプを使用)をカットするフィルター(L−42)を介
して光照射した状態で測定したESRスペクトルを示
す。
【0085】図22に示すスペクトルでは、g値が2.
004〜2.007である主シグナル、並びにg値が
1.985〜1.986及び2.024である2つの副
シグナルが観測された。尚、白色の加水分解物を50℃
で乾燥してものには、g値が2.004〜2.007で
ある主シグナル、並びにg値が1.985〜1.986
及び2.024である2つの副シグナルは、いずれのE
SR測定条件においても観測されなかった。
【0086】実施例15(硫酸チタン加水分解物からの
製造方法) 実施例12におけるアンモニア水を水酸化ナトリウム水
溶液に代えて得られた加水分解物を純水に懸濁させて1
日撹拌したものを濾過し、110℃で乾燥し、さらに400℃
で1時間焼成した。得られた白色の粉末を試料Cとする。
沈殿物(加水分解物)を純水に懸濁させて1日撹拌する
代わりに、アンモニア水(アンモニアの濃度:6%)に
沈殿物(加水分解物)を懸濁させて1日撹拌した使した
以外は、上記操作と同様にして、黄色粉末を試料Dとす
る。試料C及びDのNOx除去活性を前記試験方法と同様
にして測定したところ、実施例14における試料A及びB
の場合と同様に、アンモニアの非存在下で400℃1時間焼
成した試料Cは、可視光応答性を有しなかったのに対し
て、アンモニアの存在下で400℃1時間焼成した試料D
は、可視光応答性を有していた。
【0087】参考例 実施例7、12−1及び13で得られた本発明の可視光
応答型材料中の酸化チタンにおけるチタンに対する酸素
のモル比をX線光電子分光法(ESCA)を用いて測定
した。対照試料として和光純薬製試薬1級二酸化チタン
を用いた。X線光電子分光法(ESCA)の測定は、実
施例12の特性評価に示したX線光電子分光法と同様に
行った。結果を表10に示す。
【0088】
【表10】
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、可視光線にも応答する
新規な光応答性材料を提供することができ、この材料
は、湿式法を用いてより安価に製造することが可能であ
る。本発明では、いわゆる硫酸法等の湿式法に使用され
る既存設備を用いて、簡易かつ安価に光触媒としての可
視光応答性を有する酸化チタンを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可視光応答型材料(実施例1)の真空
中、77Kで測定されたESRスペクトル。上段は暗黒
下でのスペクトルであり、中段が420nm以上の波長
を有する光(水銀ランプの光の内、420nm未満の光
をカットオフ)の照射下でのスペクトルであり、下段
は、420nm未満の光をカットオフせずに水銀ランプ
の光をカットオフせずに光照射した場合のスペクトルで
ある。
【図2】本発明の可視光応答型材料(実施例1)の真空
中、常温で測定されたESRスペクトル。上段は暗黒下
でのスペクトルであり、中段が420nm以上の波長を
有する光(水銀ランプの光の内、420nm未満の光を
カットオフ)の照射下でのスペクトルであり、下段は、
420nm未満の光をカットオフせずに水銀ランプの光
をカットオフせずに光照射した場合のスペクトルであ
る。
【図3】実施例1の生成物(上段)及び加水分解物(5
0℃乾燥)(下段)のXRDの測定結果。
【図4】測定雰囲気を真空中(上段)、空気中(中段)
またはイソプロパノール(下段)とし、420nm未満の
光(500Wの高圧水銀ランプを使用)をカットするフ
ィルター(L−42)を介して光照射する条件で測定し
たESRスペクトル。
【図5】 実施例4で得られた生成物の、420nm未満
の光(500Wの高圧水銀ランプを使用)をカットする
フィルター(L−42)を介して光照射した状態で測定
したESRスペクトル(測定温度77K)を示す。
【図6】実施例8で示した、NOの除去率と加熱温度と
の関係を求めた図である。
【図7】実施例8で示した、NO2の生成率と加熱温度
との関係を求めた図である。
【図8】実施例8で示した、NOx除去率と加熱温度と
の関係を求めた図である。
【図9】実施例9で示した、NOの除去率と加熱時間と
の関係を求めた図である。
【図10】実施例9で示した、NO2の生成率と加熱時
間との関係を求めた図である。
【図11】実施例9で示した、NOx除去率と加熱時間
との関係を求めた図である。
【図12】実施例10−1で示した、加熱後の洗浄回数
とNOの除去率との関係を求めた図である。
【図13】実施例10−1で示した、加熱後の洗浄回数
とNO2の生成率との関係を求めた図である。
【図14】実施例10−1で示した、加熱後の洗浄回数
とNOx除去率との関係を求めた図である。
【図15】実施例10−1で示した、洗浄回数と洗浄し
た後に材料から分離した水のpH及び塩素イオン濃度
(塩化チタンを加水分解物の原料した)との関係を示
す。
【図16】実施例10−2で得られた各サンプルのNO
x除去活性を示す。
【図17】実施例10−2で得られた洗浄回数0回のI
Rスペクトルを洗浄回数6回のIRスペクトルで割った
もの(A)及び洗浄回数1回のIRスペクトルを洗浄回
数6回のIRスペクトルで割ったもの(B)を示す。
【図18】製造例1で得られた試料粉末G、実施例12
−1〜3で得られた粉末A、B及びC、並びに比較例1
2−1〜2で得られたD及びEの焼成温度による変化
(比較例12−3のFは市販品)を、X線回折分析装置に
より測定した結果を示す説明図である。
【図19】製造例1で得られた試料粉末G、実施例12
−1〜3で得られた粉末A、B及びC、並びに比較例1
2―1〜3で得られたD、E及びFについて、カラーア
ナライザーにより測定した反射率スペクトルを示す図で
ある。
【図20】本発明の可視光応答型材料(実施例12−
1)の真空中、77K、420nm以上の波長を有する
光(高圧水銀ランプの光の内、420nm未満の光をカ
ットオフ)の照射下で測定されたESRスペクトル。
【図21】本発明の可視光応答型材料(実施例13)の
真空中、77K、420nm以上の波長を有する光(高
圧水銀ランプの光の内、420nm未満の光をカットオ
フ)の照射下で測定されたESRスペクトル。
【図22】本発明の可視光応答型材料(実施例14)の
真空中、77K、420nm以上の波長を有する光(高
圧水銀ランプの光の内、420nm未満の光をカットオ
フ)の照射下で測定されたESRスペクトル。
【図23】本発明の可視光応答型材料(実施例7)の窒
素(760Torr)中、77K、暗黒下で測定された
ESRスペクトル(上段、Dark)、本発明の可視光応答
型材料(実施例7)の窒素(760Torr)中、77
K、455nm以上の波長を有する光(Xeランプの光
の内、455nm未満の光をカットオフ)の照射下で測
定されたESRスペクトル(中段、>455nm)及び光照射
下で測定されたESRスペクトルから暗黒下で測定され
たESRスペクトルを差し引いて得られたスペクトル
(下段、>455nm-Dark)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C01G 23/07 B01D 53/36 102C 早期審査対象出願 (56)参考文献 特開2001−72419(JP,A) 特開2001−98219(JP,A) 特開 平1−301518(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 23/053 B01D 53/86 B01J 35/02 ZAB

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともアナターゼ型酸化チタンを含む
    酸化チタンであり、かつ真空中、77Kにおいて420
    nm以上の波長を有する光の照射下で測定したESRに
    おいて、g値が2.004〜2.007である主シグナ
    ルとg値が1.985〜1.986及び2.024であ
    る2つの副シグナルが観測され、かつこれらの3つのシ
    グナルは真空中、77K、暗黒下において微小に観測さ
    れるか、又は実質的に観測されないことを特徴とする可
    視光応答型材料の製造方法であって、 塩化チタンを加水分解して得られた加水分解物をアンモ
    ニア又はその誘導体の存在下で加熱し、 生成する材料の波長450nmにおける光の吸収が、加水
    分解物の波長450nmにおける光の吸収より大きい時点
    で前記加熱を終了させ、 加熱して得られた材料を水又は水溶液で洗浄して、可視
    光応答性が改善された可視光応答型材料を得ることを特
    徴とする前記製造方法。
  2. 【請求項2】前記加熱して得られた材料の水又は水溶液
    での洗浄を、洗浄後に材料から分離した水又は水溶液の
    pHが3.5以上となるように行う請求項1に記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】前記加熱して得られた材料の水又は水溶液
    での洗浄を、洗浄された材料中に含まれる塩素イオンが
    減少するように行う請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】前記加熱を250〜500℃の範囲の温度で、か
    つ常圧下で行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
    造方法。
  5. 【請求項5】前記加水分解物をアンモニアガス雰囲気下
    またはアンモニウム塩の共存下で加熱する請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】前記加熱を、生成する材料の450nmの
    波長の光に対する反射率が0.85以下(但し、600
    nmの波長の光に対する反射率を1とする)となるよう
    に行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】前記加熱を、生成する材料の450nmの
    波長の光に対する反射率が0.80以下(但し、600
    nmの波長の光に対する反射率を1とする)となるよう
    に行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】前記加熱を、生成する材料の450nmの
    波長の光に対する反射率が0.70以下(但し、600
    nmの波長の光に対する反射率を1とする)となるよう
    に行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】前記加水分解を塩化チタン水溶液に水酸化
    アンモニウム水溶液を連続的または断続的に添加して行
    うか、水酸化アンモニウム水溶液に塩化チタン水溶液を
    連続的または断続的に添加して行う請求項1〜8のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】前記加水分解を0〜100℃の範囲の温
    度で行う請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  11. 【請求項11】前記加水分解物を、水または水酸化アン
    モニウム水溶液で洗浄した後に前記加熱を行う請求項1
    〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】加水分解物の水または水酸化アンモニウ
    ム水溶液による洗浄を、濾過物として得られた加水分解
    物に水または水酸化アンモニウム水溶液をさらに通過さ
    せることで行うか、または加水分解物の濾過物を水また
    は水酸化アンモニウム水溶液に懸濁させ、得られた懸濁
    物を濾過することにより行う、請求項11に記載の製造
    方法。
  13. 【請求項13】塩化チタンが三塩化チタンまたは四塩化
    チタンである請求項1〜12のいずれか一項に記載の製
    造方法。
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