JP2005053266A - 自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用電子機器の制御装置としてバッテリ供給停止,書込み不良等の事由による自己診断情報の欠損を防止する。
【解決手段】メインストレージ6上の自己診断情報の欠損に対してはサブストレージ11上の自己診断情報を以って、サブストレージ11上の自己診断情報の欠損に対してはメインストレージ6上の自己診断情報を以って、それぞれ相互にデータ補修を行う。このように構成することで、バッテリ供給停止,書込み不良等の事由による自己診断情報の欠損を防止することが出来、信頼性の高い自己診断情報の運用が可能となり、車両サービス性能の向上に寄与することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】メインストレージ6上の自己診断情報の欠損に対してはサブストレージ11上の自己診断情報を以って、サブストレージ11上の自己診断情報の欠損に対してはメインストレージ6上の自己診断情報を以って、それぞれ相互にデータ補修を行う。このように構成することで、バッテリ供給停止,書込み不良等の事由による自己診断情報の欠損を防止することが出来、信頼性の高い自己診断情報の運用が可能となり、車両サービス性能の向上に寄与することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己診断情報のバックアップ機能を備える自動車用制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、動力性能や環境対応といった自動車に求められる性能が高度,多岐化するにともない、自動車システムは多数のセンサやアクチュエータ類によって構成されるようになり、制御装置においては、それら機能の自己診断機能を行うことが必須で求められている。
【0003】
ところで、このような自己診断機能にはその最新結果を常時記憶していることが求められる。こうした要求に応えるべく、例えば、特開平9−16202号公報において示されるような自己診断情報のバックアップ機能を備えた車両制御装置が実施されている。自己診断情報のバックアップ機能を備えた車両制御装置の例について、フローチャートと機能ブロック構成をそれぞれ図9と図10に示す。
【0004】
まず図9に、従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の機能ブロックを説明する。図9に示されるように、従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両装置は、車両の各部に取り付けられたセンサー群15からの入力信号を受けて処理する入力信号検出手段3と、入力信号検出手段3の出力を受けて各アクチュエータ群14を駆動する出力回路2を制御する制御手段4と、入力信号検出手段3の出力と制御手段4の出力を受けて自己診断を行う自己診断手段5と、自己診断手段5の出力する自己診断結果を暫時記憶する揮発性のメインストレージ6と、メインストレージ6上の自己診断結果が更新されたことを検出する自己診断結果更新検出手段7と、書き換え可能である不揮発性のサブストレージ11と、自己診断結果更新検出手段7からの信号7aに基づき、不揮発性のサブストレージ11からのデータの読出あるいは書込を行う不揮発性メモリアクセス手段10を備え、かつ前記各手段を実行するCPUを備える。
【0005】
次に図10に基づいて、従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置におけるバックアップ機能を説明する。従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置におけるバックアップ機能においては、制御装置が起動すると自己診断を開始する(ステップS43)。ここで得られた自己診断の結果は揮発性のメインストレージ6に記憶され、かつ不揮発性のサブストレージ11にバックアップされている。次に、メインストレージ6に記憶されている最新の自己診断結果と、サブストレージ11に記憶されている従前の自己診断結果に差異があるか否か、すなわちサブストレージに対して更新事象が発生したか否かを判定する(ステップS44)。ここで更新事象発生がYESであるならば、すなわち最新の自己診断の結果に変化があった場合には、サブストレージ11の内容をメインストレージ6の内容に基づき更新する(ステップS45)。つづいて、イグニッションキーの判定(ステップS46)に進み、イグニッションキーがオンであるならば、再度自己診断を行い、イグニッションキーがオフであるならば、処理を終了する。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−16202号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置においては、メインストレージは例えばRAMのような揮発性の記憶装置であり、サブストレージは例えばEEPROM,SRAMのような不揮発性の記憶装置で構成されている。ここで車両制御装置に対するバッテリの供給が断たれた場合、揮発性の記憶装置であるメインストレージの内容は完全、または部分的に消失することとなる。したがって、いったん各部の故障を自己診断が検出し、メインストレージとサブストレージの双方に自己診断結果を記憶しておいた状態から、バッテリの供給が断たれ、再度供給が再開された場合、揮発性の記憶装置であるメインストレージと、不揮発性の記憶装置であるサブストレージの内容は異なる可能性がある。
【0008】
しかしながら、前記のような従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置においては、メインストレージとサブストレージの自己診断結果が異なる場合、メインストレージの内容に基づきサブストレージの内容を更新する。すなわち、完全にまたは部分的に消失したメインストレージの内容をもって、サブストレージの内容を上書きしてしまい、その結果保持していた自己診断情報を喪失してしまうという不都合があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題を解決するために為されたもので、その目的は、バッテリ供給停止,書込み不良等の事由による自己診断情報の喪失を防止し、信頼性および捕捉性の高い自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置は、揮発性のメインストレージの記憶情報が消失等の事由により不正である場合に、不揮発性のサブストレージから揮発性のメインストレージに自己診断情報をダウンロードして、メインストレージの記憶情報を修復するように構成する。また、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置は、不揮発性のサブストレージの記憶情報が不正である場合に、揮発性のメインストレージ内容で修復するように構成する。
【0011】
また、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置は、揮発性のメインストレージと不揮発性のサブストレージ双方の記憶情報が不正である場合には、もはや修復元とする情報がないと見做し、記憶情報を再初期化するよう構成する。また再初期化した際に再初期化履歴を不揮発性のサブストレージに記憶するよう構成するものである。
【0012】
更に、不揮発性のサブストレージから揮発性のメインストレージへのダウンロードが一段、若しくは数段により分割され、該当する自己診断情報のダウンロードが終了した自己診断プログラムから起動が許可されるように構成する。
【0013】
以上のように構成することでメインストレージとサブストレージ上の自己診断情報を以って相互にデータ補修を行い、双方ストレージ上の自己診断情報が同時に欠損している場合には自己診断情報の再初期化を行い、かつ再初期化の履歴を残すため、信頼性および捕捉性の高い自己診断情報の運用を可能とすることで、車両サービス効率向上に寄与することができる。また、自己診断情報のダウンロードするにあたって、数段に分けた処理を行うことで車両制御装置の起動時にかかる処理負荷を分散させることができるため、従来機能を阻害することなくダウンロードを実施することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面を使って説明する。まず、図1と図2に基づいて車両用電子機器としての車両制御装置について説明する。図1は、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例の機能ブロック図である。図1において、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置(ECU)1は、車両の各部に取り付けられたセンサー群15からの入力信号を受けて処理する入力信号検出手段3と、入力信号検出手段3の出力を受けて各アクチュエータ群14を駆動する出力回路2を制御する制御手段4と、入力信号検出手段3の出力と制御手段4の出力を受けて自己診断を行う自己診断手段5と、自己診断手段5の出力する自己診断結果を暫時記憶する揮発性のメインストレージ6と、メインストレージ6上の自己診断結果が更新されたことを検出する自己診断結果更新検出手段7と、書き換え可能である不揮発性のサブストレージ11と、不揮発性のサブストレージ11からのデータの読出あるいは書込を制御する不揮発性メモリアクセス手段10を備え、かつ前記各手段を実行するCPUを備える。
【0015】
さらに、メインストレージ6の記憶情報を走査し、記憶情報が異常であることを検出するメインストレージ異常検出手段12と、サブストレージ11の記憶情報を走査し、記憶情報が異常であることを検出するサブストレージ異常検出手段13と、メインストレージ異常検出手段12の出力12aとサブストレージ異常検出手段13の出力13aに従ってサブストレージ11からメインストレージ6へのデータ転送を制御するダウンロード手段8と、自己診断結果更新検出手段7の出力7aとサブストレージ異常検出手段13からの出力13aに従ってメインストレージ6からサブストレージ11へのデータ転送を制御するアップロード手段9を備える。
【0016】
図2は、図1の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置のブロック構成図である。自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置(ECU)1は、アクチュエータ群14、およびセンサ群15と接続され入出力を司る入出力インタフェース16と、書き換え可能な不揮発性の記憶装置の一例であるEEPROM18と、書き換え可能な揮発性の記憶装置であるRAM19と、読み出し専用の不揮発性の記憶装置であるROM20と、CPU17がバス21にて接続されている。したがって、車両制御装置(ECU)1はマイコンで構成することも可能である。
【0017】
前記の入力信号検出手段3,制御手段4,自己診断手段5,自己診断結果更新検出手段7,ダウンロード手段8,アップロード手段9,不揮発性メモリアクセス手段10,メインストレージ異常検出手段12,サブストレージ異常検出手段13はいずれもROM20に記憶されていて、CPU17が実行する。また、メインストレージ6はRAM19内に、サブストレージ11はEEPROM18にそれぞれ配置されている。車両制御装置(ECU)1にはバッテリが接続されており、図示しないイグニッションキーがオフであるときにもRAM19の記憶を保持することができる。ただしバッテリが切断されたときにはRAM19の記憶情報は全体または部分的に消失する可能性がある。
【0018】
次に図3に基づき、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の前記メインストレージ6、およびサブストレージ11の情報定義の一実施例について説明する。図3の左半部において示される通り、メインストレージ6において、自己診断情報22は配列データとして定義されており、ひとつの配列要素がひとつの自己診断プログラムに対応する。また配列の要素数、すなわち自己診断プログラムの数はここではIMAXと定義する。各要素は対応する自己診断データ24と、自己診断データ24の記憶情報に対する照合データ25と、サブストレージ11からメインストレージ6へのダウンロードを要求していることを示すダウンロード要求フラグ26と、メインストレージ6からサブストレージ11へのアップロードを要求していることを示すアップロード要求フラグ27によって構成される。また、図3の右半部において示される通り、サブストレージ11においても、自己診断情報23は配列データとして定義されており、各要素は対応する自己診断データ28と、自己診断データ28の記憶情報に対する照合データ29と、自己診断データを再初期化した履歴を示す再初期化履歴フラグ30によって構成されている。サブストレージ11上の自己診断情報各要素は、メインストレージ6上の自己診断情報と同一の配列インデックスによって指し示すことができる。すなわち、同一の配列インデックスにより示されるメインストレージ6,サブストレージ11上の自己診断データ24と28は、データ転送により相互に同一の自己診断データを記憶するように働く。また、メインストレージ6とサブストレージ11の照合データは、パリティやサムチェック,巡回冗長検査法などによって演算され、ストレージから読み出した自己診断データに基づいて再度同一演算を行った結果によって記憶情報が妥当であるか否かを判別できるものとする。
【0019】
次に図4と図5のフローチャートに基づき、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置におけるデータバックアップの一実施例について説明する。図4は本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置における主たる処理である。まず車両制御装置が起動されると、サブストレージ11からメインストレージ6へのダウンロード処理(ステップS1)を行う。本処理の詳細については後述する。つづいて、ステップS2の自己診断プログラムの実行を行い、自己診断プログラムは診断結果をメインストレージ上の自己診断データ24に記憶する。ステップS3からS4までは、前記自己診断結果更新検出手段7の処理である。自己診断結果更新検出手段7によって、ステップS3において自己診断データの更新を確認するとステップS4に進み、当該診断のアップロード要求フラグ27を“1”とする。ステップS5からS9までは、前記アップロード手段9の処理である。まずステップS5においてインデックスを初期化し、メインストレージ上のアップロード要求フラグ27を走査する(ステップS6)。ここでアップロード要求フラグが“1”となっている診断を確認したらステップS7に進み、前記不揮発性メモリアクセス手段10に対して、自己診断データの転送を要求する。なお、アップロード要求フラグは自己診断データが書込み終了となった時点で“0”に戻される。その後インデックスを増加し(ステップS8)、全ての自己診断項目についてステップS6からS8の処理を行う(ステップS9)。以上のステップS2からS9までを車両制御装置の終了条件となるまで続行する(ステップS10)。
【0020】
図5は、サブストレージ11からメインストレージ6へのダウンロード処理(ステップS1)の詳細フローチャートである。図5において、ステップS11からS17までは、前記メインストレージ異常検出手段12の処理である。まずステップS11においてインデックスを初期化し、メインストレージ上の照合データ25を走査する(ステップS12,S13)。ここで照合データが異常となっている診断を確認したら、メインストレージ上の自己診断データ24を初期化し(ステップS14)、当該診断のダウンロード要求フラグ26を“1”とする(ステップS15)。その後インデックスを増加し(ステップS16)、全ての自己診断項目についてステップS12からS16の処理を行う(ステップS17)。以上のステップを終了したらステップS18において再度インデックスを初期化する。ステップS19からS21までは、前記サブストレージ異常検出手段13の処理である。サブストレージ上の照合データ29を走査し(ステップS19,S20)、ここで照合データが異常となっている診断を確認したらステップS21に進む。ここでダウンロード要求フラグ26が“1”であったなら、メインストレージとサブストレージがどちらも記憶情報の異常を検出されたこととなるので再初期化履歴フラグ30を“1”として、ステップS23に進む。なお、再初期化履歴フラグ30は、前記不揮発性メモリアクセス手段10が自己診断データを転送する際にサブストレージ11に書きこまれる。ステップS21においてダウンロード要求フラグ26が“0”であったならステップS23に進み、当該診断のアップロード要求フラグ27を“1”とし(ステップS23)、ダウンロード要求フラグ26を“0”とする(ステップS24)。ステップS20において照合データが正常であれば、ステップS25に進む。ステップS25からS26までは前記ダウンロード手段8の処理である。まず、メインストレージ上のダウンロード要求フラグ26を走査する(ステップS25)。ここでダウンロード要求フラグが“1”となっている診断を確認したらステップS26に進み、前記不揮発性メモリアクセス手段10に対して、自己診断データの転送を要求する。なお、ダウンロード要求フラグは自己診断データが読込み終了となった時点で“0”に戻される。その後インデックスを増加し(ステップS27)、全ての自己診断項目についてステップS19からS27の処理を行う(ステップS28)。
【0021】
以上の説明から明らかの通り、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置においては、メインストレージ上の自己診断情報の欠損に対してはサブストレージ上の自己診断情報を以って、サブストレージ上の自己診断情報の欠損に対してはメインストレージ上の自己診断情報を以って、それぞれ相互にデータ補修を行うことができる。また、メインストレージとサブストレージの双方の自己診断情報が同時に欠損している場合には、自己診断情報を再初期化し、かつ再初期化した履歴を残すことができる。
【0022】
さらに、比較的低速なストレージをサブストレージとして使用している場合や、自己診断プログラムが多数である場合などにおいては、起動時にすべての自己診断情報を一括してダウンロードすることは、車両制御装置の起動時に実行される診断等の機能を阻害するなど、ソフト処理時間上許容されない場合も考えられる。図6から図8はこのような事態に対処すべく、ダウンロード処理を分散させた場合のフローチャートである。
【0023】
図6は本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置における、ダウンロード処理を分散させた場合の主たる処理の一例である。まず車両制御装置が起動されると、サブストレージ11からメインストレージ6への起動時ダウンロード処理(ステップS29)を行う。本処理の詳細については後述するが、車両制御装置が起動直後に行われなければならない診断(起動時診断)の自己診断情報は全てここでダウンロードされる。これに引き続き、起動時診断の自己診断プログラムを実行する(ステップS30)。ステップS31からステップS33までは、終了条件成立までループ実行される一連の処理である。まずステップS31で起動時診断以外の診断(通常時診断)の自己診断情報をダウンロードする。本処理の詳細については後述するが、本処理は一度の実行で終了しない可能性がある。ここで、起動時診断以外の自己診断情報のダウンロードが終了したことが確認(ステップS32)されたらステップS33に進み、起動時診断以外の自己診断プログラムを許可する。
【0024】
図7は起動時ダウンロード処理(ステップS29)の詳細フローチャートである。図7の処理は、図5のダウンロード処理と比較して、ひとつの処理が追加されている。すなわち、ステップS35に示される通り、本処理においては起動時診断以外の自己診断情報はダウンロードされない。ステップS35前後の処理は、図5のダウンロード処理と同一である。
【0025】
図8は通常時ダウンロード処理(ステップS31)の詳細フローチャートである。通常時ダウンロードでは起動時ダウンロードでダウンロードしなかった自己診断情報をダウンロードする。まず、ステップS36においてインデックス、およびダウンロード処理数を初期化する。続いてステップS37に示される通り、本処理においては通常時診断以外の自己診断情報はダウンロードされない。すなわち、始動時診断のサブストレージ異常検出手段、およびダウンロード手段の処理はスキップされる。通常時診断であればダウンロードを行い、ダウンロード処理数をカウントする(ステップS38)。ダウンロードした処理数がある規定回数未満であれば(ステップS39)ステップS40に進んでインデックスを増加し、全診断の走査が終わるまでステップS37からS40までのループを繰り返す。全診断の走査が終了したらステップS42に進み、通常時診断の実行を許可する。また、ステップS39においてダウンロードした処理数がある規定回数以上となったら、ループを脱出して処理を終了する。この場合、通常時診断の実行許可は次回の通常時ダウンロード処理以降まで待たされる。
【0026】
なお、本説明ではダウンロードを起動時診断と通常時診断の2段に分け、2段目を規定回数以内のダウンロードとして負荷分散を図っているが、車両制御装置に対する要求に応じてダウンロードを数段に展開しても同様である。以上の説明によって明らかな通り、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置においては、自己診断情報をサブストレージからメインストレージへダウンロードするにあたって、数段に分けた処理を行うことで車両制御装置の起動時にかかる処理負荷を分散させることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、バッテリ供給停止,書込み不良等の事由による自己診断情報の喪失を防止し、信頼性および捕捉性の高い自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例の機能ブロック図である。
【図2】自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例のブロック構成図である。
【図3】自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例の記憶定義図である。
【図4】自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例における、主たる処理を示すフローチャートである。
【図5】図4におけるダウンロード処理の詳細フローチャートである。
【図6】自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例における、ダウンロード処理を分散させた場合の主たる処理を示すフローチャートである。
【図7】図6における起動時ダウンロード処理の詳細フローチャートである。
【図8】図6における通常時ダウンロード処理の詳細フローチャートである。
【図9】従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の機能ブロックである。
【図10】従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置におけるバックアップ機能のフローチャートである。
【符号の説明】
1…自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置、2…出力回路、3…入力信号検出手段、4…制御手段、5…自己診断手段、6…メインストレージ、7…自己診断結果更新検出手段、8…ダウンロード手段、9…アップロード手段、10…不揮発性メモリアクセス手段、11…サブストレージ、12…メインストレージ異常検出手段、13…サブストレージ異常検出手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己診断情報のバックアップ機能を備える自動車用制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、動力性能や環境対応といった自動車に求められる性能が高度,多岐化するにともない、自動車システムは多数のセンサやアクチュエータ類によって構成されるようになり、制御装置においては、それら機能の自己診断機能を行うことが必須で求められている。
【0003】
ところで、このような自己診断機能にはその最新結果を常時記憶していることが求められる。こうした要求に応えるべく、例えば、特開平9−16202号公報において示されるような自己診断情報のバックアップ機能を備えた車両制御装置が実施されている。自己診断情報のバックアップ機能を備えた車両制御装置の例について、フローチャートと機能ブロック構成をそれぞれ図9と図10に示す。
【0004】
まず図9に、従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の機能ブロックを説明する。図9に示されるように、従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両装置は、車両の各部に取り付けられたセンサー群15からの入力信号を受けて処理する入力信号検出手段3と、入力信号検出手段3の出力を受けて各アクチュエータ群14を駆動する出力回路2を制御する制御手段4と、入力信号検出手段3の出力と制御手段4の出力を受けて自己診断を行う自己診断手段5と、自己診断手段5の出力する自己診断結果を暫時記憶する揮発性のメインストレージ6と、メインストレージ6上の自己診断結果が更新されたことを検出する自己診断結果更新検出手段7と、書き換え可能である不揮発性のサブストレージ11と、自己診断結果更新検出手段7からの信号7aに基づき、不揮発性のサブストレージ11からのデータの読出あるいは書込を行う不揮発性メモリアクセス手段10を備え、かつ前記各手段を実行するCPUを備える。
【0005】
次に図10に基づいて、従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置におけるバックアップ機能を説明する。従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置におけるバックアップ機能においては、制御装置が起動すると自己診断を開始する(ステップS43)。ここで得られた自己診断の結果は揮発性のメインストレージ6に記憶され、かつ不揮発性のサブストレージ11にバックアップされている。次に、メインストレージ6に記憶されている最新の自己診断結果と、サブストレージ11に記憶されている従前の自己診断結果に差異があるか否か、すなわちサブストレージに対して更新事象が発生したか否かを判定する(ステップS44)。ここで更新事象発生がYESであるならば、すなわち最新の自己診断の結果に変化があった場合には、サブストレージ11の内容をメインストレージ6の内容に基づき更新する(ステップS45)。つづいて、イグニッションキーの判定(ステップS46)に進み、イグニッションキーがオンであるならば、再度自己診断を行い、イグニッションキーがオフであるならば、処理を終了する。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−16202号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置においては、メインストレージは例えばRAMのような揮発性の記憶装置であり、サブストレージは例えばEEPROM,SRAMのような不揮発性の記憶装置で構成されている。ここで車両制御装置に対するバッテリの供給が断たれた場合、揮発性の記憶装置であるメインストレージの内容は完全、または部分的に消失することとなる。したがって、いったん各部の故障を自己診断が検出し、メインストレージとサブストレージの双方に自己診断結果を記憶しておいた状態から、バッテリの供給が断たれ、再度供給が再開された場合、揮発性の記憶装置であるメインストレージと、不揮発性の記憶装置であるサブストレージの内容は異なる可能性がある。
【0008】
しかしながら、前記のような従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置においては、メインストレージとサブストレージの自己診断結果が異なる場合、メインストレージの内容に基づきサブストレージの内容を更新する。すなわち、完全にまたは部分的に消失したメインストレージの内容をもって、サブストレージの内容を上書きしてしまい、その結果保持していた自己診断情報を喪失してしまうという不都合があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題を解決するために為されたもので、その目的は、バッテリ供給停止,書込み不良等の事由による自己診断情報の喪失を防止し、信頼性および捕捉性の高い自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置は、揮発性のメインストレージの記憶情報が消失等の事由により不正である場合に、不揮発性のサブストレージから揮発性のメインストレージに自己診断情報をダウンロードして、メインストレージの記憶情報を修復するように構成する。また、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置は、不揮発性のサブストレージの記憶情報が不正である場合に、揮発性のメインストレージ内容で修復するように構成する。
【0011】
また、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置は、揮発性のメインストレージと不揮発性のサブストレージ双方の記憶情報が不正である場合には、もはや修復元とする情報がないと見做し、記憶情報を再初期化するよう構成する。また再初期化した際に再初期化履歴を不揮発性のサブストレージに記憶するよう構成するものである。
【0012】
更に、不揮発性のサブストレージから揮発性のメインストレージへのダウンロードが一段、若しくは数段により分割され、該当する自己診断情報のダウンロードが終了した自己診断プログラムから起動が許可されるように構成する。
【0013】
以上のように構成することでメインストレージとサブストレージ上の自己診断情報を以って相互にデータ補修を行い、双方ストレージ上の自己診断情報が同時に欠損している場合には自己診断情報の再初期化を行い、かつ再初期化の履歴を残すため、信頼性および捕捉性の高い自己診断情報の運用を可能とすることで、車両サービス効率向上に寄与することができる。また、自己診断情報のダウンロードするにあたって、数段に分けた処理を行うことで車両制御装置の起動時にかかる処理負荷を分散させることができるため、従来機能を阻害することなくダウンロードを実施することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面を使って説明する。まず、図1と図2に基づいて車両用電子機器としての車両制御装置について説明する。図1は、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例の機能ブロック図である。図1において、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置(ECU)1は、車両の各部に取り付けられたセンサー群15からの入力信号を受けて処理する入力信号検出手段3と、入力信号検出手段3の出力を受けて各アクチュエータ群14を駆動する出力回路2を制御する制御手段4と、入力信号検出手段3の出力と制御手段4の出力を受けて自己診断を行う自己診断手段5と、自己診断手段5の出力する自己診断結果を暫時記憶する揮発性のメインストレージ6と、メインストレージ6上の自己診断結果が更新されたことを検出する自己診断結果更新検出手段7と、書き換え可能である不揮発性のサブストレージ11と、不揮発性のサブストレージ11からのデータの読出あるいは書込を制御する不揮発性メモリアクセス手段10を備え、かつ前記各手段を実行するCPUを備える。
【0015】
さらに、メインストレージ6の記憶情報を走査し、記憶情報が異常であることを検出するメインストレージ異常検出手段12と、サブストレージ11の記憶情報を走査し、記憶情報が異常であることを検出するサブストレージ異常検出手段13と、メインストレージ異常検出手段12の出力12aとサブストレージ異常検出手段13の出力13aに従ってサブストレージ11からメインストレージ6へのデータ転送を制御するダウンロード手段8と、自己診断結果更新検出手段7の出力7aとサブストレージ異常検出手段13からの出力13aに従ってメインストレージ6からサブストレージ11へのデータ転送を制御するアップロード手段9を備える。
【0016】
図2は、図1の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置のブロック構成図である。自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置(ECU)1は、アクチュエータ群14、およびセンサ群15と接続され入出力を司る入出力インタフェース16と、書き換え可能な不揮発性の記憶装置の一例であるEEPROM18と、書き換え可能な揮発性の記憶装置であるRAM19と、読み出し専用の不揮発性の記憶装置であるROM20と、CPU17がバス21にて接続されている。したがって、車両制御装置(ECU)1はマイコンで構成することも可能である。
【0017】
前記の入力信号検出手段3,制御手段4,自己診断手段5,自己診断結果更新検出手段7,ダウンロード手段8,アップロード手段9,不揮発性メモリアクセス手段10,メインストレージ異常検出手段12,サブストレージ異常検出手段13はいずれもROM20に記憶されていて、CPU17が実行する。また、メインストレージ6はRAM19内に、サブストレージ11はEEPROM18にそれぞれ配置されている。車両制御装置(ECU)1にはバッテリが接続されており、図示しないイグニッションキーがオフであるときにもRAM19の記憶を保持することができる。ただしバッテリが切断されたときにはRAM19の記憶情報は全体または部分的に消失する可能性がある。
【0018】
次に図3に基づき、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の前記メインストレージ6、およびサブストレージ11の情報定義の一実施例について説明する。図3の左半部において示される通り、メインストレージ6において、自己診断情報22は配列データとして定義されており、ひとつの配列要素がひとつの自己診断プログラムに対応する。また配列の要素数、すなわち自己診断プログラムの数はここではIMAXと定義する。各要素は対応する自己診断データ24と、自己診断データ24の記憶情報に対する照合データ25と、サブストレージ11からメインストレージ6へのダウンロードを要求していることを示すダウンロード要求フラグ26と、メインストレージ6からサブストレージ11へのアップロードを要求していることを示すアップロード要求フラグ27によって構成される。また、図3の右半部において示される通り、サブストレージ11においても、自己診断情報23は配列データとして定義されており、各要素は対応する自己診断データ28と、自己診断データ28の記憶情報に対する照合データ29と、自己診断データを再初期化した履歴を示す再初期化履歴フラグ30によって構成されている。サブストレージ11上の自己診断情報各要素は、メインストレージ6上の自己診断情報と同一の配列インデックスによって指し示すことができる。すなわち、同一の配列インデックスにより示されるメインストレージ6,サブストレージ11上の自己診断データ24と28は、データ転送により相互に同一の自己診断データを記憶するように働く。また、メインストレージ6とサブストレージ11の照合データは、パリティやサムチェック,巡回冗長検査法などによって演算され、ストレージから読み出した自己診断データに基づいて再度同一演算を行った結果によって記憶情報が妥当であるか否かを判別できるものとする。
【0019】
次に図4と図5のフローチャートに基づき、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置におけるデータバックアップの一実施例について説明する。図4は本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置における主たる処理である。まず車両制御装置が起動されると、サブストレージ11からメインストレージ6へのダウンロード処理(ステップS1)を行う。本処理の詳細については後述する。つづいて、ステップS2の自己診断プログラムの実行を行い、自己診断プログラムは診断結果をメインストレージ上の自己診断データ24に記憶する。ステップS3からS4までは、前記自己診断結果更新検出手段7の処理である。自己診断結果更新検出手段7によって、ステップS3において自己診断データの更新を確認するとステップS4に進み、当該診断のアップロード要求フラグ27を“1”とする。ステップS5からS9までは、前記アップロード手段9の処理である。まずステップS5においてインデックスを初期化し、メインストレージ上のアップロード要求フラグ27を走査する(ステップS6)。ここでアップロード要求フラグが“1”となっている診断を確認したらステップS7に進み、前記不揮発性メモリアクセス手段10に対して、自己診断データの転送を要求する。なお、アップロード要求フラグは自己診断データが書込み終了となった時点で“0”に戻される。その後インデックスを増加し(ステップS8)、全ての自己診断項目についてステップS6からS8の処理を行う(ステップS9)。以上のステップS2からS9までを車両制御装置の終了条件となるまで続行する(ステップS10)。
【0020】
図5は、サブストレージ11からメインストレージ6へのダウンロード処理(ステップS1)の詳細フローチャートである。図5において、ステップS11からS17までは、前記メインストレージ異常検出手段12の処理である。まずステップS11においてインデックスを初期化し、メインストレージ上の照合データ25を走査する(ステップS12,S13)。ここで照合データが異常となっている診断を確認したら、メインストレージ上の自己診断データ24を初期化し(ステップS14)、当該診断のダウンロード要求フラグ26を“1”とする(ステップS15)。その後インデックスを増加し(ステップS16)、全ての自己診断項目についてステップS12からS16の処理を行う(ステップS17)。以上のステップを終了したらステップS18において再度インデックスを初期化する。ステップS19からS21までは、前記サブストレージ異常検出手段13の処理である。サブストレージ上の照合データ29を走査し(ステップS19,S20)、ここで照合データが異常となっている診断を確認したらステップS21に進む。ここでダウンロード要求フラグ26が“1”であったなら、メインストレージとサブストレージがどちらも記憶情報の異常を検出されたこととなるので再初期化履歴フラグ30を“1”として、ステップS23に進む。なお、再初期化履歴フラグ30は、前記不揮発性メモリアクセス手段10が自己診断データを転送する際にサブストレージ11に書きこまれる。ステップS21においてダウンロード要求フラグ26が“0”であったならステップS23に進み、当該診断のアップロード要求フラグ27を“1”とし(ステップS23)、ダウンロード要求フラグ26を“0”とする(ステップS24)。ステップS20において照合データが正常であれば、ステップS25に進む。ステップS25からS26までは前記ダウンロード手段8の処理である。まず、メインストレージ上のダウンロード要求フラグ26を走査する(ステップS25)。ここでダウンロード要求フラグが“1”となっている診断を確認したらステップS26に進み、前記不揮発性メモリアクセス手段10に対して、自己診断データの転送を要求する。なお、ダウンロード要求フラグは自己診断データが読込み終了となった時点で“0”に戻される。その後インデックスを増加し(ステップS27)、全ての自己診断項目についてステップS19からS27の処理を行う(ステップS28)。
【0021】
以上の説明から明らかの通り、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置においては、メインストレージ上の自己診断情報の欠損に対してはサブストレージ上の自己診断情報を以って、サブストレージ上の自己診断情報の欠損に対してはメインストレージ上の自己診断情報を以って、それぞれ相互にデータ補修を行うことができる。また、メインストレージとサブストレージの双方の自己診断情報が同時に欠損している場合には、自己診断情報を再初期化し、かつ再初期化した履歴を残すことができる。
【0022】
さらに、比較的低速なストレージをサブストレージとして使用している場合や、自己診断プログラムが多数である場合などにおいては、起動時にすべての自己診断情報を一括してダウンロードすることは、車両制御装置の起動時に実行される診断等の機能を阻害するなど、ソフト処理時間上許容されない場合も考えられる。図6から図8はこのような事態に対処すべく、ダウンロード処理を分散させた場合のフローチャートである。
【0023】
図6は本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置における、ダウンロード処理を分散させた場合の主たる処理の一例である。まず車両制御装置が起動されると、サブストレージ11からメインストレージ6への起動時ダウンロード処理(ステップS29)を行う。本処理の詳細については後述するが、車両制御装置が起動直後に行われなければならない診断(起動時診断)の自己診断情報は全てここでダウンロードされる。これに引き続き、起動時診断の自己診断プログラムを実行する(ステップS30)。ステップS31からステップS33までは、終了条件成立までループ実行される一連の処理である。まずステップS31で起動時診断以外の診断(通常時診断)の自己診断情報をダウンロードする。本処理の詳細については後述するが、本処理は一度の実行で終了しない可能性がある。ここで、起動時診断以外の自己診断情報のダウンロードが終了したことが確認(ステップS32)されたらステップS33に進み、起動時診断以外の自己診断プログラムを許可する。
【0024】
図7は起動時ダウンロード処理(ステップS29)の詳細フローチャートである。図7の処理は、図5のダウンロード処理と比較して、ひとつの処理が追加されている。すなわち、ステップS35に示される通り、本処理においては起動時診断以外の自己診断情報はダウンロードされない。ステップS35前後の処理は、図5のダウンロード処理と同一である。
【0025】
図8は通常時ダウンロード処理(ステップS31)の詳細フローチャートである。通常時ダウンロードでは起動時ダウンロードでダウンロードしなかった自己診断情報をダウンロードする。まず、ステップS36においてインデックス、およびダウンロード処理数を初期化する。続いてステップS37に示される通り、本処理においては通常時診断以外の自己診断情報はダウンロードされない。すなわち、始動時診断のサブストレージ異常検出手段、およびダウンロード手段の処理はスキップされる。通常時診断であればダウンロードを行い、ダウンロード処理数をカウントする(ステップS38)。ダウンロードした処理数がある規定回数未満であれば(ステップS39)ステップS40に進んでインデックスを増加し、全診断の走査が終わるまでステップS37からS40までのループを繰り返す。全診断の走査が終了したらステップS42に進み、通常時診断の実行を許可する。また、ステップS39においてダウンロードした処理数がある規定回数以上となったら、ループを脱出して処理を終了する。この場合、通常時診断の実行許可は次回の通常時ダウンロード処理以降まで待たされる。
【0026】
なお、本説明ではダウンロードを起動時診断と通常時診断の2段に分け、2段目を規定回数以内のダウンロードとして負荷分散を図っているが、車両制御装置に対する要求に応じてダウンロードを数段に展開しても同様である。以上の説明によって明らかな通り、本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置においては、自己診断情報をサブストレージからメインストレージへダウンロードするにあたって、数段に分けた処理を行うことで車両制御装置の起動時にかかる処理負荷を分散させることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、バッテリ供給停止,書込み不良等の事由による自己診断情報の喪失を防止し、信頼性および捕捉性の高い自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例の機能ブロック図である。
【図2】自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例のブロック構成図である。
【図3】自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例の記憶定義図である。
【図4】自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例における、主たる処理を示すフローチャートである。
【図5】図4におけるダウンロード処理の詳細フローチャートである。
【図6】自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の一実施例における、ダウンロード処理を分散させた場合の主たる処理を示すフローチャートである。
【図7】図6における起動時ダウンロード処理の詳細フローチャートである。
【図8】図6における通常時ダウンロード処理の詳細フローチャートである。
【図9】従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置の機能ブロックである。
【図10】従来の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置におけるバックアップ機能のフローチャートである。
【符号の説明】
1…自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置、2…出力回路、3…入力信号検出手段、4…制御手段、5…自己診断手段、6…メインストレージ、7…自己診断結果更新検出手段、8…ダウンロード手段、9…アップロード手段、10…不揮発性メモリアクセス手段、11…サブストレージ、12…メインストレージ異常検出手段、13…サブストレージ異常検出手段。
Claims (5)
- 制御装置からの入力信号を処理する入力信号検出手段と、前記入力信号検出手段の出力に基づき自己診断を行う自己診断手段と、前記自己診断手段により診断された自己診断情報を記憶するメインストレージと書き換え可能な不揮発性の記憶領域であるサブストレージから構成される記憶手段と、サブストレージにアクセスするための不揮発性メモリアクセス手段と、前記メインストレージに記憶された自己診断情報が更新されていることを検出する自己診断情報更新検出手段と、前記メインストレージの記憶情報が異常であることを検出するメインストレージ異常検出手段を備え、前記メインストレージ異常検出手段がメインストレージ記憶情報の異常を検出した場合には、前記サブストレージの自己診断情報を前記メインストレージにダウンロードすることを特徴とする自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置。
- 制御装置からの入力信号を処理する入力信号検出手段と、前記入力信号検出手段の出力に基づき自己診断を行う自己診断手段と、前記自己診断手段により診断された自己診断情報を記憶するメインストレージと書き換え可能な不揮発性の記憶領域であるサブストレージから構成される記憶手段と、サブストレージにアクセスするための不揮発性メモリアクセス手段と、前記メインストレージに記憶された自己診断情報が更新されていることを検出する自己診断情報更新検出手段と、前記サブストレージの記憶情報が異常であることを検出するサブストレージ異常検出手段を備え、前記サブストレージ異常検出手段がサブストレージ記憶情報の異常を検出した場合には、前記メインストレージの自己診断情報を前記サブストレージにアップロードすることを特徴とする自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置。
- 制御装置からの入力信号を処理する入力信号検出手段と、前記入力信号検出手段の出力に基づき自己診断を行う自己診断手段と、前記自己診断手段により診断された自己診断情報を記憶するメインストレージと書き換え可能な不揮発性の記憶領域であるサブストレージから構成される記憶手段と、サブストレージにアクセスするための不揮発性メモリアクセス手段と、前記メインストレージに記憶された自己診断情報が更新されていることを検出する自己診断情報更新検出手段と、前記メインストレージの記憶情報が異常であることを検出するメインストレージ異常検出手段と、前記サブストレージの記憶情報が異常であることを検出するサブストレージ異常検出手段を備え、前記メインストレージ異常検出手段がメインストレージ記憶情報の異常を検出し、かつ前記サブストレージ異常検出手段がサブストレージ記憶情報の異常を検出した場合には、前記メインストレージおよびサブストレージの自己診断情報を初期化することを特徴とする自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置。
- 前記メインストレージ異常検出手段が前記記憶手段のメインストレージ記憶情報の異常を検出し、かつ前記サブストレージ異常検出手段がサブストレージ記憶情報の異常を検出した場合には、前記メインストレージおよびサブストレージの自己診断情報を初期化し、かつ初期化履歴をサブストレージに記憶することを特徴とする、請求項3に記載の自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置。
- 制御装置からの入力信号を処理する入力信号検出手段と、前記入力信号検出手段の出力に基づき自己診断を行う自己診断手段と、前記自己診断手段により診断された自己診断結果を記憶するメインストレージと書き換え可能な不揮発性の記憶領域であるサブストレージから構成される記憶手段と、前記不揮発性の記憶領域であるサブストレージにアクセスするための不揮発性メモリアクセス手段と、前記メインストレージに記憶された自己診断情報が更新されていることを検出する自己診断情報更新検出手段と、前記メインストレージの記憶情報が異常であることを検出するメインストレージ異常検出手段と、前記サブストレージの自己診断情報を前記メインストレージにダウンロードする少なくとも一つのダウンロード手段を備え、前記メインストレージ異常検出手段が異常を検出した場合には、前記サブストレージの自己診断情報を前記メインストレージに対して各段毎にダウンロードし、ダウンロードが終了した自己診断情報の属する前記自己診断手段から、その実行を許可することを特徴とする自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置。
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JP2003206162A JP2005053266A (ja) | 2003-08-06 | 2003-08-06 | 自己診断のバックアップ機能を備えた車両制御装置 |
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JP2011203082A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Denso Corp | 車両通信システム及び電子制御装置 |
-
2003
- 2003-08-06 JP JP2003206162A patent/JP2005053266A/ja active Pending
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