JP2005053188A - キトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法及び該製造方法により得られた積層体 - Google Patents

キトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法及び該製造方法により得られた積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 紙層とキトサン含有組成物層とからなる積層体の工業的規模での製造方法を提供すること
【解決手段】 キトサンの酸塩からなる組成物層を1つの表面層とする熱可塑性樹脂基材との積層体をアルカリ処理後、該積層体に紙層を積層することを特徴とするキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法であり、具体的には以下の工程の順序による。
(i)熱可塑性樹脂基材の片面にキトサン酸塩を含む溶液を塗工、乾燥し、熱可塑性樹脂基材との積層体(1)とする工程、
(ii)積層体(1)をアルカリ水溶液で処理し、キトサン含有組成物層を含む積層体(2)とする工程、次いで、
(iii)積層体(2)の熱可塑性樹脂基材の他の片面(a)、又はキトサン乾燥皮膜層(b)に紙を積層し、積層体(3)とする工程、
(iv)積層体(3)のいずれかの表面に、随意に、熱シール性樹脂層を積層する工程。
【選択図】 なし

Description

本発明は、キトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法及び該製造方法により得られる積層体、積層体から形成された食品包装容器、又は蓋材に関する。
キトサン含有組成物層を含む積層体は、炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度の比が大きく、炭酸ガスを多量に発生し、酸素との接触を嫌う食品の包装用として注目されている。この積層体を、紙材をベースにした包装材のガスバリヤー材として利用することが検討されている。特許文献1には、モンモリロナイト、ポリビニルアルコール、キトサンからなる塗工液を、ポリウレタンポリオール系樹脂とポリイソシアネート系樹脂からなるアンカー剤を表面に有するOPPフィルムのアンカー剤の面に塗布したフィルムを記載している。また、特許文献2は、脱アセチル化度が70モル%以上であるキトサンからなり、炭酸ガス透過度(PCO2)と酸素ガス透過度(PO2)の比(PCO2/PO2)が15以上である炭酸ガス選択透過性フィルムを記載している。特許文献3には、外側層、中間層及び内側層からなり、外側層と内側層が熱可塑性樹脂からなり、中間層が脱アセチル化度が70モル%以上であるキトサンとモンモリロナイト又はフッ素3ケイ素金雲母から選ばれた少なくとも一種の無機層状化合物からなる組成物からなっている積層フィルムであって、積層フィルムとしての(CO2TR/O2TR)が12以上である炭酸ガス選択透過性を有するフィルムが記載されている。
紙材とキトサン含有組成物層を有する積層体は、実験室的に作成することは可能であったが、これを工業的規模で製造する場合には、製品である紙層とキトサン含有組成物層とを含む積層体の紙層の皺、剥がれ、積層体のカール等の問題があり、工業的規模での製造方法の開発が望まれている。
特願2002−213210号(請求項1、実施例1) 国際公開 WO01/36519A1号公報(請求項1) 特開2002−327090号公報(請求項8)
本発明の目的は、紙層とキトサン含有組成物層とからなる積層体の工業的規模での製造方法を提供することである。
本発明者らは、キトサンの酸塩からなる層と熱可塑性樹脂基材との積層体の熱可塑性樹脂基材の面に紙層を積層する前に、キトサン酸塩のアルカリ処理を行うことにより、紙による皺の発生、剥がれ等の問題を防ぐことができることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1は、キトサンの酸塩からなる組成物層を1つの表面層とする熱可塑性樹脂基材との積層体をアルカリ処理後、該積層体に紙層を積層することを特徴とするキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法を提供する。
本発明の第2は、以下の工程をこの順序で有する前記第1の発明のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法を提供する。
(i)熱可塑性樹脂基材の片面にキトサン酸塩を含む溶液を塗工、乾燥し、熱可塑性樹脂基材との積層体(1)とする工程、
(ii)積層体(1)をアルカリ水溶液で処理し、キトサン含有組成物層を含む積層体(2)とする工程、次いで、
(iii)積層体(2)の熱可塑性樹脂基材の他の片面(a)、又はキトサン乾燥皮膜層(b)に紙を積層し、積層体(3)とする工程、
(iv)積層体(3)のいずれかの表面に、随意に、熱シール性樹脂層を積層する工程。
本発明の第3は、キトサン含有組成物層を構成するキトサンが脱アセチル化度70モル%以上で前記第1又は第2の発明のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法を提供する。
本発明の第4は、キトサン含有組成物層を構成する成分がキトサン、キトサンと無機層状化合物からなる複合組成物、又はキトサン、無機層状化合物、及び多価アルコールからなる複合組成物である前記第1〜第3のいずれかの発明のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法を提供する。
本発明の第5は、無機層状化合物が水膨潤性モンモリロナイト、フッ素3ケイ素金雲母、合成マイカから選ばれた少なくとも一種である前記第4の発明のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法を提供する。
本発明の第6は、多価アルコールがポリビニルアルコール、酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、糖類、澱粉類から選ばれた少なくとも一種である前記第4又は第5の発明のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法を提供する。
本発明の第7は、熱可塑性樹脂基材がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレンから選ばれた少なくとも1種の樹脂で構成されている前記第1〜第6のいずれかの発明のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法を提供する。
本発明の第8は、坪量(g/cm2)が30以上、1000以下である紙を用いる前記第1〜第7のいずれかの発明のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法を提供する。
本発明の第9は、前記第1〜第8のいずれかの発明の製造方法により得られたキトサン含有組成物層を含む積層体を提供する。
本発明の第10は、前記第9の発明の積層体から形成された食品包装用容器又は蓋材を提供する。
本発明の第11は、炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度の比(CO2TR/O2TR)が6以上である前記第10の発明の食品包装用容器又は蓋材を提供する。
本発明の第12は、食品包装容器がパウチ、スタンディングパウチ、絞り容器、及び組み立て容器である前記第10又は第11の発明の食品包装用容器又は蓋材を提供する。
本発明の第13は、食品がチーズ類、味噌類、漬物類、根菜類、菌茸類、葉茎菜類、果菜類、又は生果類である前記第10〜第12のいずれかの発明の食品包装用容器又は蓋材を提供する。
本発明の第14は、熱可塑性樹脂基材を構成する樹脂がポリエチレンである前記第9〜第13のいずれかの発明の食品包装用容器又は蓋材を提供する。
本発明の第15は、熱可塑性樹脂基材を構成する樹脂がポリプロピレンである前記第9〜第13のいずれかの発明の食品包装用容器又は蓋材を提供する。
本発明によるキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法によれば、紙層の皺、剥がれ、積層体のカール等の問題が低減された、炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度の比が大きい積層体を工業的規模で得ることができる。また、得られる積層体は、これを食品包装用容器、又は蓋材として用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、紙層とキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法に関する。
本発明の製造方法に用いられるキトサンは、例えば海老や蟹などの殻の構成成分として自然界に広く存在するキチンを濃アルカリ中で固体状態で脱アセチル化して得ることができ、完全脱アセチル化したものは構成単位分子内に2個の水酸基と1個のアミノ基を有する塩基性多糖類である。遊離のものは水や有機溶媒に溶けないが、塩酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、酪酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、アミノ酸等の有機酸の存在で塩を生成し酸塩溶液となる。本発明で用いるキトサンは、分子量10000〜1000000、更に10000〜500000、粘度(後記条件による)は1〜20000cp(1〜20000mpa・s)、更に1〜2000cp(1〜2000mpa・s)のものが後述の実施例で示すように塗工性及び溶液調製のし易さの点で好ましい。脱アセチル化度は70モル%以上、更には、80モル%以上が好ましい。尚、キチンを濃アルカリ中で処理して得られる脱アセチル化度が70モル%未満のキトサンは酢酸に溶解せず、製膜できない。
本発明で用いる無機層状化合物は、層状の単位結晶層が重なって一つの層状粒子を形成している無機化合物の内粘土鉱物等であって、水膨潤性モンモリロナイト、フッ素3ケイ素金雲母から選ばれた少なくとも1種の無機層状化合物である。殊に天然スメクタイトの水膨潤性モンモリロナイト、及び合成マイカのうち、フッ素3ケイ素金雲母が好ましい。
本発明で用いる多価アルコールとは、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール系重合体であり、酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、PVAや糖類及び澱粉類を含むものである。なお、PVAはポリ酢酸ビニルの部分ケン化物に対しても用いられる呼称であり、そのケン化度は好ましくは80%以上、更に好ましくは88%以上であり、数平均重合度が通常300〜1500である。糖類としては、単糖類、オリゴ糖類及び多糖類を使用する。これらの糖類には、糖アルコールや各種置換体・誘導体、サイクロデキストリンのような環状オリゴ糖なども含まれる。これらの糖類は、水に溶解性のものが好ましい。澱粉類は、多糖類に含まれるが本発明で使用される澱粉類としては小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉などの生澱粉(未変性澱粉)のほか、各種の加工澱粉がある。加工澱粉としては、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学分解変性澱粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉などが挙げられる。
これらの澱粉類の中でも、加工澱粉の一種である焙焼デキストリンやそれらの還元性末端をアルコール化した還元澱粉糖化物等の水に可溶性の加工澱粉が好ましい。澱粉類は、含水物であってもよい。また、これらの澱粉類は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、多価アルコールの一構成成分をなす多糖類は、前記アミノ基を有する多糖類であるキトサンと区別するために、アミノ基を有しない多糖類を意味することとする。
多価アルコールの中、PVAが好ましく用いられる。本発明の塗工用組成物においては、PVAが無機層状化合物、中でも天然スメクタイトのモンモリロナイトを効果的に分散することが見出されている。
本発明で用いるキトサン含有組成物は、前記キトサン単独の他に、キトサンと無機層状化合物、又はキトサンと無機層状化合物、及び多価アルコールとを混合してなる複合組成物が好ましい。具体的にキトサン、多価アルコールとしてPVA、無機層状化合物としてモンモリロナイトを使用する場合を具体例として、キトサン酸塩を含む溶液、特に塗工用の組成物の製造方法を説明する。
キトサンは、取り扱い易さの点から、キトサン酸塩溶液として取り扱う。酢酸塩及び乳酸塩が価格及び食品安全性の点で好ましい。キトサン酸塩水溶液にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ケトン類等の親水性有機溶剤を希釈剤として用いてもよい。
一例として、先ず無機層状化合物を水などの溶媒に分散させた後に、この溶液にPVAを溶解させ、酢酸、イソプロピルアルコール(IPA)を加えた後、キトサンを溶解させることが取り扱い易さの点から好ましい。
PVAは、モンモリロナイトの分散性を増加し、同時に塗膜を形成したときの膜自体の強度を増加させる。本発明の組成物の製造方法では、モンモリロナイトは、PVA水溶液に分散して用いることが、好ましい。本発明の組成物から得られるフィルム等の成形体のX線回折によれば、観察されるモンモリロナイトの(001)面の面間隔dは、10Å以上、更に14.5Å以上、特には17Å以上であることが分散性の点から好ましい。
無機層状化合物としてのモンモリロナイトの量が多いと、酸素ガスバリヤー性は向上するが、塗工膜の強度が損なわれることがある。キトサンの質量割合は、特に制限はないがキトサン/無機層状化合物=99/1〜10/90(質量比)、更に98/2〜30/70が好ましい。また、多価アルコールとしてのPVAの質量割合は99/1〜1/99、更に98/02〜10/90が好ましい。多価アルコールとしてPVAを、無機層状化合物としてモンモリロナイトを用いた場合を例にとって以下説明する。
キトサン、PVA及びモンモリロナイトの塗工液を得るには、キトサン1質量部に対して酸、例えば、酢酸0.1〜10質量部、更に好ましくは0.2〜5質量部、モンモリロナイトを前記の好ましい範囲を目安にした適当量、PVAを前記の好ましい範囲を目安にした適当量、及び溶媒の5〜1000質量部を、水、モンモリロナイト、PVA、IPA、酢酸(IPAと酢酸は、どちらが先に混合されてもよい)、キトサンの順で混合し、撹拌し、調製すればよい。尚、原料の混合時は、添加順序(添加速度)等に注意して行うことが好ましい。溶媒としては水が好ましい。キトサン酸塩が溶解する範囲で溶媒として水と、この水に可溶な有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール及びエタノール等)との混合液を用いてもよい。
前記塗工液のキトサン、PVA及びモンモリロナイトの固形分濃度は、熱可塑性樹脂(基材)への塗工のし易さから1〜20質量%、更に3〜18質量%が好ましい。また、該塗工液を基材に塗布する際、基材表面で塗工液が塗れ難く、はじかれてしまう場合に、上記希釈剤又は少量の界面活性剤を用いると塗布し易くなる。フィルム、シート又は板等からなる熱可塑性樹脂に前記の塗工液を塗布し、基材の熱可塑性フィルムと共に乾燥してキトサン酸塩・PVA・モンモリロナイトの乾燥皮膜層と熱可塑性樹脂基材との積層体(1)を得る。即ち、熱可塑性樹脂(基材)の片面にキトサン酸塩を含む溶液を、塗工し、乾燥して熱可塑性樹脂基材とキトサンの酸塩を含む乾燥膜層との積層体(1)とする。キトサンの酸塩を含む溶液を塗工する方法は、特に限定されない。例えば、グラビヤロール、リバースグラビアロール、3本リバースロール、エアナイフコート、ダイコート等を用いて塗工することができる。液の高濃度の水溶液をエキストルーダーにより吐出圧力をかけながら細隙から熱可塑性樹脂フィルムに膜状に流延し、含水フィルムを回転ドラム又はベルト上で乾燥する押出法、又は、熱可塑性樹脂フィルムに該水溶液を塗工した後、塗工したフィルムを加熱下で乾燥する方法などにより形成される。このようにして積層体(1)を得る。これらの製膜法の中でも、特に、溶液流延法(キャスト法、コーティング法)は、透明性に優れた乾燥皮膜を容易に得ることができるため好ましく用いられる。乾燥後のキトサン酸塩を含有する組成物層の厚さは、0.1〜10μm、更には0.15〜2.0μmが好ましい。
積層体(1)を構成するアルカリ処理前のキトサン酸塩を含有する組成物層、例えば、キトサン、PVA及びモンモリロナイトを含む組成物層のキトサンは酸塩を形成している。そこで、積層体(1)をアルカリ性水溶液で処理、例えば水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬(例えば、好ましくは0.1〜2規定水酸化ナトリウム水溶液に5〜60℃で0.5秒〜48時間浸漬、更に好ましくは、15〜40℃で1秒〜15分間浸漬)した後、水洗(例えば、水道水中1秒〜1時間)することにより水に不溶性のキトサン・PVA・モンモリロナイトからなるキトサン皮膜層を有する積層体となる。これを乾燥し(例えば、好ましくは30〜200℃、0.5秒〜1時間)、水に不溶性のキトサン乾燥皮膜層(これをキトサン含有組成物層と云う)と熱可塑性樹脂基材との積層体(2)を得る。
本発明では、キトサン酸塩を含有する組成物層をアルカリ処理して乾燥したものをキトサン乾燥皮膜(キトサン含有組成物層)と云う。このキトサン乾燥皮膜は、水に不溶性である。ここで、水に不溶性であるとは、キトサン乾燥皮膜を温度40℃の水に、30分間浸漬した後、90℃、20分間乾燥し、キトサン乾燥皮膜層の厚み減少率が20%以下であることを云う。測定は、キトサン乾燥皮膜層が厚い場合は、ダイアルゲージや光学顕微鏡で行うが、塗工膜が薄い場合は走査型電子顕微鏡或いは透過型電子顕微鏡などを用い、断面観察によって行う。
次いで、紙層を積層体(2)の熱可塑性樹脂基材の積層されていない他の片面(a)、又はキトサン乾燥皮膜層(b)に積層し、積層体(3)とする。本発明の製造方法の特徴は、前記の製造工程において、紙層を積層する前にキトサン酸塩を含有する組成物層のアルカリ処理が済んでいる工程をとることである。紙層が積層された状態でアルカリ処理のため、積層体をアルカリ水溶液に浸漬することは、紙層の皺、剥がれ、積層体のカール等の問題を生ずる懸念があるからである。
紙層を熱可塑性樹脂基材の積層されていない他の片面(a)、又はキトサン乾燥皮膜層(b)に積層するには、ドライラミネート法、Non−Solラミネート法(溶剤を使用しない接着方法)、及びルーダーラミネート法が用いられる。積層方法に関しては、いずれの方法によってもよいが、炭酸ガスの透過性を高める観点からドライラミネート法、Non−Solラミネート法(溶剤を使用しない接着方法)が好ましい。
前記積層体(3)の層構成は、熱可塑性樹脂基材の積層されていない他の片面(a)に紙層を積層する場合は、紙層/熱可塑性樹脂基材/キトサン乾燥皮膜層となる。また、キトサン乾燥皮膜層(b)に紙を積層する場合は、熱可塑性樹脂層/キトサン乾燥皮膜層/紙層となる。なお、紙層は接着剤を介して複数層積層されていてもよい。
更に、積層体(3)には、いずれかの表面層に、随意に、熱シール性樹脂層を積層することができる。具体的には、熱シール性樹脂層を積層しない場合は、積層体(3)の層構成のままであり、熱シール性樹脂層を積層すると、紙層/熱可塑性樹脂層/キトサン乾燥皮膜層/熱シール性樹脂層、熱シール性樹脂層/紙層/熱可塑性樹脂層/キトサン乾燥皮膜層、熱可塑性樹脂層/キトサン乾燥皮膜層/紙層/熱シール性樹脂層、熱シール性樹脂層/熱可塑性樹脂層/キトサン乾燥皮膜層/紙層等の層構成を挙げることができる。
積層体(3)のいずれかの表面層に熱シール性樹脂層を積層する際に、EVA、PE、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等の樹脂をベースにしたホットメルト樹脂とキトサン乾燥皮膜層(b)、又は熱可塑性樹脂基材(この層が熱シール性を有しない場合)とをルーダーラミ法により、または、熱シール性樹脂層がポリエチレン系樹脂(PE)やエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)のフィルムの場合は、ドライラミネート法により積層することができる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、積層体の用途及び熱可塑性樹脂基材の気体透過度が極端に積層体の炭酸ガス選択透過性能を妨げないこと等を考慮して、適宜選択することができる。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン等であり、好ましくはポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリアミドである。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート等、及びこれらの共重合体、ブレンド物、又はこれらと少量の他の樹脂とのブレンド物なども含まれる。
ポリオレフィンとしては、超低密度、低密度、直鎖低密度、中密度、高密度等のポリエチレン系樹脂、単独重合体(ホモ)、エチレン・プロピレンランダム、エチレン・プロピレンブロック等の延伸又は未延伸ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン共重合体、メタロセン触媒を用いて合成したポリオレフィン等が含まれる。これらの熱可塑性樹脂の積層体も基材層に含まれる。これらのうちポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレンが塗工機械適性及びガス透過性の点で好ましい。
積層体が食品包装用容器又は蓋材の場合には、柔らかさ、熱融着性の観点からCO2TRが10000cm3/m2・day・atom(23℃、相対湿度80%)以上のポリエチレン系樹脂が特に好ましい。また、耐熱性を要求される食品包装用容器又は蓋材の場合は、融点が150℃以上のポリプロピレン系樹脂が特に好ましい。
積層体の熱シール性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、メタロセン触媒を使用して得られたエチレン系共重合体、メタロセン触媒を使用して得られたプロピレン系共重合体、未延伸ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸塩共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン、ナイロン6・66共重合体、ナイロン6・12共重合体などのナイロン共重合体などが挙げられる。高周波シール可能な樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6、ナイロン66などが挙げられる。熱可塑性樹脂基材の樹脂と熱シール性樹脂層の樹脂は同じであっても、異なっていてもよい。
本発明で用いられる紙は、特別な制限はない。片面コート紙、未コート紙、耐水性油紙、両面コート紙等が挙げられる。坪量(g/m2)は30以上、1000以下、更には、50〜500が好ましい。また、紙のループステフネステスターによる曲げ剛性は、好ましくは2g/20mm幅以上、3000g/20mm幅以下、更に好ましくは5g/20mm幅以上、2000g/20mm幅以下である。紙自体の酸素透過度は、好ましくは20000cm3/m2・day・atom(23℃、相対湿度80%)以上、更に好ましくは10000cm3/m2・day・atom(23℃、相対湿度80%)以上である。酸素透過度で代表されるガス透過度があまり低いとキトサン乾燥皮膜層のガスバリア性、例えば炭酸ガス透過度と酸素透過度の比、(CO2TR/O2TR)(以下、αと略称することもある)に影響するので紙自体の酸素透過度は20000cm3/m2・day・atom(23℃、相対湿度80%)以上が好ましい。
なお、前記各層間の接着力を強めるためには、各層間に接着剤、アンカーコート剤(AC)を用いることができる。接着剤、アンカーコート剤は、接着する各層の樹脂の種類により適宜選択されるが、例えば、接着剤としては、2液硬化型接着剤(ポリエステル系樹脂TM−590(東洋モートン(株)製))、ポリエステル系樹脂CAT−8B(東洋モートン(株)製)の15質量%酢酸エチル溶液等、ホットメルト剤としては、ヒロダイン(株)製の7573T等を用いることができる。
本発明の製造方法から得られる積層体は、23℃、80%RH条件下における酸素透過度は90cm3/m2・day・atm以下、更に65cm3/m2・day・atm以下、特に50cm3/m2・day・atm以下であることが好ましい。積層体の40℃、90%RH条件下における水蒸気透過度は、食品変色及び目減り抑制の観点から1〜100g/m2・day、更に1〜30g/m2・dayが好ましい。
また、積層体の各層の厚さは、キトサン乾燥皮膜層の厚さを除き、特に制限されるものではないが、積層体全体として50〜2000μm、更に100〜1500μmが好ましい。また、熱シール性樹脂層の厚さは、10〜60μm、更に15〜40μmであることが、シール強度及びガス透過性の点から好ましい。
キトサン乾燥皮膜層の厚さは、0.1〜10μm、更には0.15〜2.0μmであることが高速製膜性(経済性)の観点から好ましい。
本発明の製造方法により得られる積層体の、α(CO2TR/O2TR)は、6以上、更に8以上、特に10以上を有するので、この積層体を成形してなる食品包装用容器、及び蓋材は炭酸ガスを発生し易く、酸素ガスを嫌う食品の包装に用いると効果的である。食品包装用の容器としては、パウチ、スタンディングパウチ、絞り容器、及び組み立て容器等及び蓋材として用いるとよい。
包装対象となる食品としては、上記の性質を有するもの、即ち、炭酸ガスを発生し易く、酸素ガスを嫌う食品であれば特に制限されないが、例えばチーズ類、味噌類、漬物類、根菜類、菌茸類、葉茎菜類、果菜類、生果類、糠床等を挙げることができる。
チーズ類としては、例えば、エメンタール、チェダー、グリュイエール、ゴーダ等のナチュラルチーズ、或いはこれらを含有する加工チーズ等が挙げられる。味噌類としては、例えば、白味噌、赤味噌、生味噌等、特に発酵が継続しているような製品の味噌等が挙げられる。漬物類としては、例えば、らっきょ、しょうが、梅干し、白菜等の塩漬、奈良漬、わさび漬等の粕漬、べったら漬等の糀漬、山菜や大根等の味噌漬、千枚漬等の酢漬、たくあん漬等の糠漬、なすの辛子漬等の辛子漬、キュウリ漬等のもろみ漬、キムチ等の発酵漬物が挙げられる。根菜類としては、例えば、長イモ、ヤマトイモ、レンコン、馬鈴薯、しょうが、ゴボウ、里芋等が挙げられる。菌茸類としては、例えば、椎茸、ナメコ、マイタケ、エノキダケ、シメジ、マッシュルーム、モヤシ等が挙げられる。葉茎菜類としては、例えば、ほうれん草、アスパラガス、ニンニク、キャベツ、白菜、レタス、ニラ、カリフラワー等が挙げられる。果菜類としては、例えば、枝豆、サヤエンドウが、また生果類として、例えばミカン、リンゴ、ブドウ、モモ、ナシ、メロン、柿、梅、栗、杏等が挙げられる。この他にも切り花等が挙げられる。
これらの食品の生産或いは製造時の熟成、保存、製品の流通過程での保存、陳列時等に必要に応じて本発明の炭酸ガス選択透過性を有する積層体を用いることができる。
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、本発明の評価のための測定は以下のように行った。
酸素ガスおよび炭酸ガス混合ガス(CO2:O2=20:80体積%:巴商会(株))をテストガスとして用いた。また、ガスクロマトグラフィーのキャリアーガスとしては、高純度ヘリウムガス(巴商会(株))を用い等圧法に準じた方法で測定した。測定試料であるフィルムは23℃、80%相対湿度雰囲気下で2日間以上調湿したものを用いた。
酸素ガス及び炭酸ガス透過度は積層体の状態で測定した。混合ガス透過度測定装置(GLサイエンス(株)製、フィルム両面加湿ガス透過試験器)を用い、温度23℃、80%相対湿度(以後、RHと略記する)の条件で測定した。透過ガスの検出器にはガスクロマトグラフ(GLサイエンス(株)製、ガスクロマトグラフ(GC−390))、カラムはPorapak−Nを用いた。
(炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度の比:(CO2TR/O2TR))
前記測定法により得られた炭酸ガス透過度を酸素ガス透過度で除去することにより求めた。この比から炭酸ガス選択透過性を評価した。
(キトサン酸塩溶液の粘度)
キトサンの粘度の測定は、1.0質量%酢酸水溶液中の1質量%キトサン濃度溶液にして、20℃の温度に保持した水溶液をB型粘度計で測定した。
(脱アセチル化度)
0.5質量%の酢酸水溶液に0.5質量%となるようにキトサン−酢酸水溶液を得た。次いで、このキトサン溶液1gを取り出し、蒸留水を300ml加えた。得られた水溶液を1/400規定のポリビニル硫酸カリウムで滴定し、指示薬としてメチレンブルーを用いて脱アセチル化度を求めた。
(実施例1〜3)
水100質量部に対して、酢酸を7.2質量部、IPA(イソプロピルアルコール)を71質量部、キトサン(大日精化工業(株)製、商品名「ダイキトサン100DVL」、脱アセチル化度:100モル%、粘度:5〜7cp(mPa・S)(1質量%酢酸水溶液中の1質量%キトサン濃度))を11.4質量部加えて、撹拌、溶解させ、塗工液を得た。得られた塗工液の水とIPAの質量比は約60:40であった。この塗工液を30μmのLLDPEフィルム(東セロ(株)製、(TUX−HC))上にグラビヤロールを用いて、塗工した。乾燥炉の温度は70℃とし、50m/分のライン速度で製膜を行った。この方法により、基材であるLLDPEフィルム面上にキトサン酢酸塩からなる厚さ0.3μmの乾燥皮膜が塗工された積層体を得た。この積層体を20℃で1規定の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に10秒間浸漬した。次いで、浸漬したフィルムを水道水で30秒間洗浄後、乾燥させて厚さ0.3μmのキトサン乾燥皮膜が積層された積層体を得た。
次いで、コート紙(目付量50g/m2)と厚さ0.3μmのキトサン乾燥皮膜が積層された積層体のLLDPE面とを2液硬化型の接着剤(DL)を用いてドライラミネート法によりラミネートした。ドライラミネートには、ポリエステル系樹脂(1)(東洋モートン(株)製、TM−590)を100質量部、ポリエステル系樹脂(2)(東洋モートン(株)製、CAT−8B)を100質量部、及び酢酸エチル(和光純薬(株))765質量部を混合し、15質量%の濃度となる接着剤を用いた。接着剤層の乾燥後の厚みは3μmとした。
次いで、キトサンの面に乾燥後の厚みが2μmとなるアンカーコート剤を塗工した後、25μmのPE(実施例1)、EVA(実施例2)、及びEVAベースのホットメルト剤(実施例3)を押出しコーティング法によりルーダーコーティングし、コート紙が積層された積層体を得た(実施例1〜3)。積層体には、紙層の皺、剥がれ、カールはなかった。
(実施例4〜6)
実施例1と同様な方法で、厚さ0.3μmのキトサン乾燥皮膜が積層された積層体を得た。次いで、Non−Sol系接着剤(NL)を用い、コート紙(50g/m2)と厚さ0.3μmのキトサン乾燥皮膜が積層されたLLDPE面とをラミネートした。接着剤(NL)の乾燥後の厚みは3μmとした。
次いで、実施例1と同様に、アンカーコート剤をキトサン乾燥皮膜面に塗工後、ルーダーコート法によりPE、EVA、及びEVAベースのホットメルト(H・M)を塗工し、コート紙の層を含む積層体を得た(実施例4、5、6)。積層体には、紙層の皺、剥がれ、カールはなかった。
(実施例7〜9)
実施例1で使用したキトサンが塗工された積層体のLLDPEの面と実施例1で使用したコート紙をルーダーラミネート法により貼り合わせた。ルーダーラミネートは、PE系樹脂(日本ポリオレフィン(株)製、NH725(密度:0.907g/cm3))を用い、厚みは15μmとした。次いで、実施例1と同様に、アンカーコート剤をキトサン乾燥皮膜面に塗工後、ルーダーコート法によりPE、EVA、及びホットメルト(H・M)を塗工し、コート紙層を含む積層体を得た(実施例7、8、9)。積層体には、紙層の皺、剥がれ、カールはなかった。
(実施例10〜11)
実施例1で使用したキトサンが塗工された積層体のLLDPEの面とパーチメント紙(35g/m2)をドライラミネート法(NL)及びNon−Solラミネート法(有機溶剤を使わない積層方法(NL))によりラミネートした。次いで、実施例1で使用したコート紙をパーチメント紙面へドライラミネート法(DL)、及びNon−Solラミネート法(NL)によりラミネートして積層体を得た(実施例10、11)。積層体には、紙層の皺、剥がれ、カールはなかった。
(実施例12〜15)
水100質量部に対して、酢酸を3.87質量部、IPAを25質量部、実施例1で使用したキトサンを6.1質量部、水膨潤性のモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、商品名:クニピアG)を0.34質量部加えて、撹拌、溶解させ、塗工液を得た。得られた塗工液の水とIPAの重量比は80:20であり、キトサンとクニピアGの重量比は95:5であった。この塗工液を実施例1と同様な方法でLLDPEの面に塗工し、水酸化ナトリウム水溶液で処理し、厚さ0.3μmのキトサン乾燥皮膜(M−キトサン)が積層された積層体を得た。次いで、実施例1、及び実施例4、10、及び11と同様な方法でコート紙(50g/m2)、及びパーチメント紙とをラミネートした。次いで、実施例3と同様にアンカーコート剤を塗工後、ルーダーコート法によりEVAベースのホットメルト(H・M)を塗工し、積層体を得た。積層体には、紙層の皺、剥がれ、カールはなかった。
(実施例16〜19)
水115.2質量部に対して、水膨潤性のモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、商品名:クニピアG)を1.6質量部、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:ポバールPVA−205、ケン化度88%)を3.2質量部、酢酸を7.68質量部、IPAを7.68質量部、実施例1で使用したキトサンを3.2質量部加えて、撹拌、溶解させ、塗工液を得た。この塗工液を実施例1と同様な方法で塗工し、水酸化ナトリウム水溶液で処理し、厚さ0.3μmのキトサン乾燥皮膜(MP−キトサン)が積層された積層体を得た。次いで、実施例3、及び実施例6、10、及び11と同様な方法でコート紙(50g/m2)、及びパーチメント紙とをラミネートした。次いで、実施例1と同様にアンカーコート剤を塗工後、ルーダーコート法によりEVAベースのホットメルト(H・M)を塗工し、積層体を得た。積層体には、紙層の皺、剥がれ、カールはなかった。
実施例1〜19の積層体の層構成、及び酸素ガス透過度、炭酸ガス透過度、及び目視による皺の評価結果を表1に示した。
Figure 2005053188
(比較例1〜3)
コート紙(目付け量50g/m2)と厚さ30μmのLLDPEフィルム(東セロ(株)製、(TUX−HC))と実施例1で使用した接着剤を用い、実施例1と同様な方法でドライラミネート法によりラミネートした。
次いで、実施例1で使用したキトサン含有塗工液を実施例1と同様な方法で、LLDPEの面に塗工、及び水酸化ナトリウム水溶液への浸漬と水洗処理を施し、厚さ0.3μmのキトサン乾燥皮膜が積層された積層体を得た。
次いで、実施例1、2、3と同様な方法でPE、EVA、EVAベースのホットメルト剤を押出コーティング法によりルーダーコーティングし、積層体を得た。積層体には、紙層の皺及び強いカールが発生した。
(比較例4及び5)
実施例1で使用したコート紙と厚さ30μmのLLDPEフィルム(東セロ(株)、TUX−HC)とを実施例1で使用したドライラミネート用接着剤を用いて、ラミネートした。接着剤の厚みは3μmとした。次いでLLDPEの面にアンカーコート剤を塗工した後、EVAベースのホットメルト剤を押出コーティング法によりルーダーコーティングし、紙が積層された積層体を得た(比較例4)。
これとは別に、実施例1で使用したコート紙と厚さ12μmのPETフィルム(東レ(株)、S10)とを実施例1と同様な方法でラミネートした。接着剤の厚みは3μmとした。次いで実施例1と同様な方法で、EVAベースのホットメルト剤を押出コーティング法によりルーダーコーティングし、紙が積層された積層体を得た(比較例5)。
比較例1〜5の積層体の層構成、及び酸素透過度、炭酸ガス透過度、α、皺、カールの評価結果を表に示す。
Figure 2005053188
(実施例20〜22)
実施例3、6、及び11で得た紙層を有する積層体を用いて、生味噌の包装テストを行った。包装形態としてはPET製のカップ(厚さ350μm)に生味噌を750g充填し、表2に示した積層体で作成した11cm×11cmの蓋材で蓋をし、25℃で3ヶ月間保存し、6週間毎に目視による包材の外観と味噌の天面の色を評価した。評価結果を表3に示した。
(比較例6及び7)
比較例4及び5の積層体を用いて、実施例20と同様な包装テストを行ない、その評価結果を表3に示した。
Figure 2005053188
(実施例23〜25)
実施例3、実施例6、及び実施例11で得た紙の層を含む積層体を用いて、キムチの包装テストを行った。包装形態としてはPET製のカップ(厚さ400μm)に白菜キムチを50g充填し、表4に示した層構成の積層体で作成した半径3.5cmの蓋をし、15℃で2週間保存し、1週間毎に目視による包材の外観とキムチの色を評価した。結果を表4に示した。
(比較例8及び9)
比較例4及び5の積層体で作成した蓋を用いて、実施例20と同様な包装テストを行った。評価結果を表4に示した。
Figure 2005053188

Claims (15)

  1. キトサンの酸塩からなる組成物層を1つの表面層とする熱可塑性樹脂基材との積層体をアルカリ処理後、該積層体に紙層を積層することを特徴とするキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法。
  2. 以下の工程をこの順序で有する請求項1記載のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法。
    (i)熱可塑性樹脂基材の片面にキトサン酸塩を含む溶液を塗工、乾燥し、熱可塑性樹脂基材との積層体(1)とする工程、
    (ii)積層体(1)をアルカリ水溶液で処理し、キトサン含有組成物層を含む積層体(2)とする工程、次いで、
    (iii)積層体(2)の熱可塑性樹脂基材の他の片面(a)、又はキトサン乾燥皮膜層(b)に紙を積層し、積層体(3)とする工程、
    (iv)積層体(3)のいずれかの表面に、随意に、熱シール性樹脂層を積層する工程。
  3. キトサン含有組成物層を構成するキトサンが脱アセチル化度70モル%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法。
  4. キトサン含有組成物層を構成する成分がキトサン、キトサンと無機層状化合物からなる複合組成物、又はキトサン、無機層状化合物、及び多価アルコールからなる複合組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法。
  5. 無機層状化合物が水膨潤性モンモリロナイト、フッ素3ケイ素金雲母、合成マイカから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項4記載のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法。
  6. 多価アルコールがポリビニルアルコール、酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、糖類、澱粉類から選ばれた少なくとも一種である請求項4又は5記載のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法。
  7. 熱可塑性樹脂基材がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレンから選ばれた少なくとも1種の樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法。
  8. 坪量(g/cm2)が30以上、1000以下である紙を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のキトサン含有組成物層を含む積層体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたキトサン含有組成物層を含む積層体。
  10. 請求項9記載の積層体から形成された食品包装用容器又は蓋材。
  11. 炭酸ガス透過度と酸素ガス透過度の比(CO2TR/O2TR)が6以上である請求項10記載の食品包装用容器又は蓋材。
  12. 食品包装容器がパウチ、スタンディングパウチ、絞り容器、及び組み立て容器である請求項10又は11記載の食品包装用容器又は蓋材。
  13. 食品がチーズ類、味噌類、漬物類、根菜類、菌茸類、葉茎菜類、果菜類、又は生果類である請求項10〜12のいずれかに記載の食品包装用容器又は蓋材。
  14. 熱可塑性樹脂基材を構成する樹脂がポリエチレンである請求項9〜13のいずれかに記載の食品包装用容器又は蓋材。
  15. 熱可塑性樹脂基材を構成する樹脂がポリプロピレンである請求項9〜13のいずれかに記載の食品包装用容器又は蓋材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008105374A (ja) * 2006-09-28 2008-05-08 Kohjin Co Ltd 滅菌紙
WO2009038986A1 (en) * 2007-09-17 2009-03-26 Dow Global Technologies, Inc. Aqueous based coating
WO2022120428A1 (en) * 2020-12-09 2022-06-16 Varden Process Pty Ltd A barrier system

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