JP7180100B2 - 酸素バリア性紙容器の評価方法および酸素バリア性紙容器 - Google Patents

酸素バリア性紙容器の評価方法および酸素バリア性紙容器 Download PDF

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Description

本発明は、酸素バリア性紙容器の評価方法および酸素バリア性紙容器に関する。
内容物を酸素から保護した状態で保存するため、酸素バリア層を有する紙カップが様々な用途で実用化されている。このような紙カップを成型するためには、紙基材の状態から各工程にて熱や応力が掛かっており、酸素バリア層が分解することや割れることで紙カップの酸素バリア性が悪化することが懸念されている。
特に、酸素バリア層として紙基材にコーティング層を設けている場合、バリアフィルムをラミネートしている場合と比較して酸素バリア層が薄く強度が弱い。このため、紙カップの成型加工の際に酸素バリア層がダメージを受けやすい。そこで、加工後の紙カップが適正な酸素バリア性を備えているか確認する評価方法が必要である。
酸素バリア性紙カップの酸素バリア性を評価する方法として、例えば、蓋を設けた容器に2本のパイプを挿入し、このパイプと酸素透過率を測定する装置を連結し、バリア性紙カップの酸素バリア性を評価する方法がある(特許文献1)。
また、紙カップに内容物を充填した状態でさらにヘリウムガスを封入し、封入下でヘリウムガスの濃度を経時的に測定する紙容器のバリア性の評価方法も提案されている(特許文献2)。
特開平10-267826号公報 特許第3773837号公報
一般的な構造の紙カップには、酸素バリア紙の端面同士の接合があり、この接合部分に酸素バリア紙の端面が露出している。詳細は後述するが、酸素バリア性紙カップの酸素透過率を測定する場合、紙カップ内に露出している酸素バリア紙の端面から酸素が大量に流入するため、酸素透過率の測定装置の測定限界を超えてしまい、測定ができない。
したがって、特許文献1に開示の評価方法で、酸素バリア性紙カップの酸素バリア性を評価するためには、酸素バリア性を有する樹脂やシートで酸素バリア紙の端面を保護し、酸素バリア層を通らずにバリア性紙カップの外から内部に酸素が流入する経路を塞いだ状態で評価する手法が考えられる。しかし、この評価方法では部分的に保護された状態となっており、バリア性紙カップの実際の使用態様に即した酸素バリア性を評価できない。
さらに、紙カップに液体を充填した場合、酸素バリア紙の端面から内容物が染込み、酸素バリア層が吸水・吸湿するため、酸素バリア性が悪化する事が懸念される。特に、水系の樹脂を紙基材にコーティングして酸素バリア層を積層する場合、酸素バリア層に内容物が染み込む事により酸素バリア性への影響が大きくなることが懸念される。しかし、従来の方法では内容物による酸素バリア性への影響は評価できない。
特許文献2に開示の評価方法は、容器の内部から外部にヘリウムガスが流出する流出量を評価する方法であり、容器の外部から内部に流入する酸素透過量は評価できない。さらにヘリウムは分子の大きさが酸素よりも小さいため、特許文献2の方法は、酸素バリア性の評価に代替可能な評価ができるとは言い難い。例えば、紙カップの加工の際に酸素バリア層に微細な欠陥部が発生している場合、ヘリウムはこの欠陥部を透過しても、ヘリウムよりも分子量が大きい酸素は物理的に透過しないことも考えられる。
また、発明者は、特許文献2の手法を応用し、内容物が入っている状態で窒素ガスを充填して容器を封止した後に、容器の外部から流入してくる酸素の量を測定する方法で酸素バリア性を評価することを検討した。しかし、充填された内容物の溶存酸素が容器の系内に溶出するため酸素濃度に影響する。そのため、酸素の濃度を測定することで容器の酸素バリア性の評価ができないという課題があった。
上記事情を踏まえ、本発明は、実際の使用態様に即した環境下で酸素バリア性紙容器の酸素バリア性を評価できる酸素バリア性紙容器の評価方法及びこの評価方法により評価を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、上記酸素バリア性紙容器の評価方法で適切に評価され酸素バリア性を有する酸素バリア性紙容器を提供することを目的とする。
本発明に係る酸素バリア性紙容器の評価方法は、紙基材と、前記紙基材上に形成された酸素バリア層とからなる積層体の両面に熱可塑性樹脂が積層された酸素バリア紙を使用してカップ状に形成された酸素バリア性紙容器の評価方法であって、前記酸素バリア性紙容器の内面側に位置する前記酸素バリア紙の端面を非保護状態とし、脱酸素した水からなる液体試料を前記酸素バリア性紙容器の上端まで隙間無く充填し、酸素バリア層を含むシーラントフィルムからなる蓋を前記酸素バリア性紙容器の上端部をヒートシールして前記酸素バリア性紙容器を封止する試料封止工程と、前記酸素バリア性紙容器を一定温度で一定の保存期間保存する保存工程と、前記保存工程における前記保存期間経過後に前記酸素バリア性紙容器の内部の溶存酸素量を測定する測定工程と、前記測定工程において測定された前記溶存酸素量に基づき、前記酸素バリア性紙容器の酸素バリア性を評価する評価工程と、を含むことを特徴とする。
この酸素バリア性紙容器の評価方法では、前記試料封止工程において前記液体試料を前記酸素バリア性紙容器に充填する際の前記液体試料の溶存酸素量が1.0mg/l以下であってもよい。
この酸素バリア性紙容器の評価方法では、前記試料封止工程において前記酸素バリア性紙容器に充填する前記液体試料は、全体量を100重量%とした場合に無機物の溶解量が20重量%以下であってもよい。
この酸素バリア性紙容器の評価方法では、前記蓋の前記シーラントフィルムの酸素透過率が30cc/m・day以下であってもよい。
この酸素バリア性紙容器の評価方法は、前記保存工程では、気温が0℃超50℃以下の保存室内で前記酸素バリア性紙容器を保存してもよい。
この酸素バリア性紙容器の評価方法は、前記測定工程では、隔膜電極法、蛍光法、または滴定法のいずれかにより前記酸素バリア性紙容器の内部の溶存酸素量を測定してもよい。
本発明に係る酸素バリア性紙容器の評価方法は、実際の使用態様に即した環境下で酸素バリア性紙容器の酸素バリア性を評価できる。また、上記酸素バリア性紙容器の評価方法で酸素バリア性紙容器が評価されることにより、酸素バリア性が高く、且つ品質の信頼性が高い酸素バリア性紙容器を提供できる。
本発明の一実施形態に係る酸素バリア性紙容器の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る酸素バリア性紙容器の酸素バリア紙の層構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る酸素バリア性紙容器の接合部分を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る酸素バリア性紙容器の評価方法のフローチャートである。
本発明の一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る酸素バリア性紙カップ1(酸素バリア性紙容器)の斜視図である。図2は、本実施形態に係る酸素バリア性紙カップ1の酸素バリア紙10の層構成を示す模式図である。図3は、本実施形態に係る酸素バリア性紙カップ1の接合部分を示す断面図である。図4は、本実施形態に係る酸素バリア性紙カップ1の評価方法のフローチャートである。
酸素バリア性紙カップ1は、酸素バリア紙を扇形状に打ち抜いた胴部用ブランクと、円形状に打ち抜いた底部用ブランクとを接合してカップ状に成形した紙カップである。扇形状の胴部用ブランクの直線状の端部同士が接合されて筒状の胴部2が形成され、胴部用ブランクにおける一方の円弧状の端部が底部用ブランクと接合されて底部3が形成され、他方の円弧状の端部が酸素バリア性紙カップ1(以下、「紙カップ」と記す。)の開口部5となる。
紙カップ1は、開口部5にガスバリア性を有するシーラントフィルムを蓋としてシールすることにより、内容物を保存する保存容器として使用される。特に、内容物が酸素に触れることによる劣化を防ぐ目的で使用される保存容器として使用される。そこで、本実施形態に係る酸素バリア性紙カップの評価方法では、適正な酸素バリア性を有する紙カップ1を提供する目的で、紙カップ1の酸素バリア性を評価する。
評価対象となる紙カップ1の酸素バリア紙10の構成について説明する。
紙カップ1を形成する酸素バリア紙10は、図2に示すように、紙基材11と、紙基材11の一方の面に形成された酸素バリア層12とからなる積層体15の両面に熱可塑性樹脂層13が積層されて構成されている。
紙基材11は、セルロース繊維、紙力剤、サイズ剤、印刷コート層等からなるシートである。
酸素バリア層12は、紙基材11に酸素バリア性を付与する層である。酸素バリア層12は、紙基材11上にウェットコーティングして形成されている。これにより塗布、乾燥という比較的簡便な手法で安価に紙基材11に酸素バリア層12を形成できる。
紙基材11に酸素バリア層12を形成するウェットコーティング法としては、公知のウェット成膜方法を用いることができる。具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ブレードコーター等である。このようなウェット成膜方法を用いることにより、紙基材の凹凸を埋めながら製膜し、紙基材11と密着性の良い酸素バリア層12を形成することができる。
紙基材11上への酸素バリア層12の塗工量は0.1g/m以上10g/m以下であることが好ましい。酸素バリア層12の塗工量を0.1g/m以上10g/m以下の範囲にすることにより、塗工量が少なくても充分な酸素バリア性を発揮でき、コスト面でも優れている。また、酸素バリア層12の塗工量が0.1g/m以上である場合、紙カップ1に加工する際に酸素バリア層12が割れ難く、成形性に優れる。
酸素バリア層12の塗工量が上記範囲より大きい値であっても、強度が向上し、酸素バリア性も悪くはならないが、製造コストが上昇する。また、酸素バリア層12の塗工量が上記範囲より小さい値であると、被膜成形時にピンホールなどが生じ易く、また紙基材11表面の繊維を充分に覆うことができなくなり、ガス・水分・油などのバリア性が発揮できない場合がある。
さらに、酸素バリア層12は、水に溶解又は分散可能な樹脂(水系の樹脂)を使用することが好ましい。水系の樹脂を使用することでカップ成型後に残留する溶媒量が少なく、異臭を防げるため、紙カップ1が食品用途にも使用できる。また、水系の樹脂は紙や紙に添加される薬品と相性が良く、均一な膜を形成しやすいため、ピンホールなどの欠陥や塗りムラが発生し難い。さらに、紙基材11に使用されているセルロース繊維の水酸基と水系樹脂の水酸基とが相互作用するため、製膜後の密着性が得られやすく、紙カップ1に成型する際にも酸素バリア層12の剥がれなどの問題が生じ難い。
酸素バリア層12に使用される水系樹脂としてはセルロースナノファイバー、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、カルボキシメチルセルロース(CMC)の何れか、またはこれからから選ばれた2種の混合物が好ましい。上記より選択した樹脂を酸素バリア層12に使用することでウェットコーティングにより均一な酸素バリア層を生産性良く形成できる。酸素バリア層12に使用される水系樹脂について、以下に詳細を記述する。
(セルロースナノファイバー)
水系樹脂のセルロースナノファイバーの原料として、セルロース繊維が好適に用いられる。セルロースとしては、例えば、針葉樹や広葉樹などから得られる各種木材パルプ、ケナフ、バガス、ワラ、竹、綿、海藻などから得られる非木材パルプ、ホヤから得られるセルロース、微生物が生産するセルロースなどが挙げられる。
セルロース繊維としては、必要に応じて化学処理したものを使用可能である。化学処理方法としては、特に限定されないが、例えば、セルロース繊維をカルボキシメチル化する方法が挙げられる。
セルロース繊維の化学処理方法の他の例として、次のような方法が挙げられる。セルロース繊維を含む溶媒に、マーセル化剤として水酸化ナトリウムを添加、混合し、セルロース繊維のマーセル化処理を行った後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05倍モル~10.0倍モル添加し、エーテル化反応を行うと、カルボキシメチル基を導入したセルロース繊維が得られる。このカルボキシメチル基を導入したセルロース繊維は、カルボキシメチル基に起因して、セルロース繊維相互の静電反発が起こる。このため、低エネルギーを投入した機械処理によってセルロース繊維を容易に微細化し、セルロースナノファイバー分散液を調製できる。
カルボキシメチル基の導入量としては、置換度0.05以上0.5以下が好ましい。置換度が0.05以上であると、解繊処理の際、ナノファイバー化し易くなり、均一なセルロースナノファイバー分散液が得られる。一方、カルボキシメチル基の導入量が置換度0.5よりも大きいと、溶解性が高くなり繊維形状を維持することが困難になり、十分なバリア性が得られなくなる。
また、セルロース繊維の化学処理方法としては、TEMPO触媒を用い、pHを調整しながら次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤、臭化ナトリウムなどの臭化物を用いて、セルロース繊維を酸化してカルボキシル化する方法が挙げられる。この方法により、セルロースのC6位の水酸基がカルボキシル化されたセルロース繊維、すなわち、セルロースのC6位にカルボキシ基を有するセルロース繊維が得られる。このカルボキシル化されたセルロース繊維も、セルロース繊維相互の静電反発が高まり膨潤するため、容易に微細化し、セルロースナノファイバー分散液を調製することができる。
この方法の場合、セルロースに導入するカルボキシ基量(セルロースナノファイバー1g中に含まれるカルボキシ基のモル量)は、0.1~3.5mmol/gが好ましく、0.5~2.5mmol/gがより好ましく、1.0~2.0mmol/gがさらに好ましい。カルボキシ基量が0.1mmol/g以上であると、解繊処理の際、ナノファイバー化しやすくなり、均一なセルロースナノファイバー分散液が得られる。一方、カルボキシ基量が3.5mmol/gより多いと、溶解性が高くなり繊維形状を維持することが困難になり、十分なバリア性が得られなくなる。
さらに別のセルロース繊維の化学処理方法としては、例えば、セルロース繊維に、酵素処理、薬品処理(アルカリ処理、酸処理、膨潤薬品処理)、オゾン処理などの前処理を行うことができる。前処理したセルロース繊維を洗浄したもの、またはその前処理の処理液を懸濁液として微細化し、セルロースナノファイバー分散液を調製することができる。
セルロース繊維の微細化方法(解繊処理方法)としては特に限定されないが、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、グラインダー磨砕、凍結粉砕、メディアミルなど機械処理が挙げられるが、いずれの方法を用いてもよい。
(PVA)
水系樹脂のPVAは、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものであるが、酢酸基が10%~20%残存している、いわゆる部分けん化PVAから、酢酸基が1%~2%しか残存していない完全けん化PVAまでを含む。
(EVOH)
水系樹脂のEVOHは、エチレンとビニルアルコールの共重合体であり、エチレン組成比が50%以下のものを使用できる。エチレン組成比が50%を超えると水系の溶剤へ溶解し難くなることや、塗膜の酸素バリア性が悪いことから好ましくない。
(CMC)
水系樹脂のCMCは、アルカリセルロースにクロロ酢酸塩を作用させて得られるセルロースエーテルである。重合度や官能基の量は特に限定されず、用途に応じて適宜選定すればよい。
紙基材11に、このような酸素バリア層12が積層された積層体15の両面に熱可塑性樹脂層13を設ける。熱可塑性樹脂層13は、シール性、耐水性、スベリ性、耐汚れ性を付与する為に積層する。熱可塑性樹脂層13に使用する樹脂はポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に価格、物性面から厚さ10μm~50μmの低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂層13を積層体15に積層する方法としては、例えば、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて熱可塑性樹脂層13を積層体15に貼り合わせるドライラミネート法、デンプン系の水溶性接着剤や酢酸ビニルエマルジョンのような水性接着剤を用いたウェットラミネーション法、高温で溶融した樹脂を押し出して積層する押し出しラミネーション法が挙げられる。
紙カップ1は、上述の構成を備える酸素バリア紙10で形成された扇形状の胴部用ブランクの一方の端の最外面を構成する熱可塑性樹脂層13と、他方の端の最内面を構成する熱可塑性樹脂層13とを熱融着させてサイドシール部6が形成されている(図1及び図3参照)。
図3に示すように、胴部2のサイドシール部6では、酸素バリア紙10の内面側Iの端面4が紙カップ1の内部Iに露出している。そのため、酸素バリア紙10の端面4は、紙カップ1内に収容される内容物に直接触れるように構成されている。従来の紙カップでは、酸素バリア紙10の端面から紙カップ内に酸素が大量に流入する。つまり、紙カップを形成する酸素バリア紙はシートの厚さ方向への酸素バリア性は考慮されるが、紙カップ内の酸素バリア紙の端面からの酸素の流入が考慮されてこなかった。
一方、本実施形態に係る紙カップ1は、酸素バリア層12、紙基材11、及び熱可塑性樹脂層13の相互の密着性が良好である。そのため、内容物が酸素バリア紙10のサイドシール部6から外部Oに滲み出したりすることがなく、ガスバリア性の劣化が小さいのでガスバリア性も維持される。また、内容物が紙カップ1の外部O側に漏れることも無く、品質保存性を有している。
(酸素バリア性紙容器の評価方法)
上述の紙カップ1の酸素バリア性を評価する酸素バリア性紙容器の評価方法の一実施形態について説明する。
(試料封止工程S1)
試料封止工程S1では、紙カップ1の内面側Iに位置する酸素バリア紙10の端面4を覆わず非保護状態を保持する。この状態で、脱酸素した水からなる液体試料を紙カップ1の上端まで隙間無く充填し、酸素バリア層を含むシーラントフィルムからなる蓋で紙カップ1の上端部をヒートシールして封止する。
液体試料を用意する。液体試料は、脱酸素した水からなる。液体試料は、以下に示す窒素バブリングを行う方法、減圧する方法、加熱する方法により脱酸素して得ることができる。各脱酸素方法を以下に説明する。
(窒素バブリングによる脱酸素方法)
5リットルのビーカーに水を約4リットル加え、スターラーで攪拌する。続いてガスボンベからビーカーまでホースで繋ぎ、ビーカーの底にホースの先端が着いた状態で窒素ガスを流す。ビーカーの開口部を樹脂フィルムでなるべく隙間の無いように封止する。
(減圧による脱酸素方法)
2リットルのビーカーに水を約1.5リットル加え、スターラーで攪拌する。続いてアスピレーターなどで約30分減圧することにより脱酸素する。減圧を完了した後に後述する溶存酸素量の測定方法で液体試料の溶存酸素量を測定する。
(加熱による脱酸素方法)
2リットルのビーカーに水を約1.5リットル加え、スターラーで攪拌する。続いてウォーターバスやオイルバスを用いて水の温度を80℃以上に加熱する。80℃以上の水温を30分以上維持する。加熱を完了した後に後述の溶存酸素量の測定方法で溶存酸素量を測定する。
水を脱酸素する手法は上記以外の方法を用いることもできる。
(液体試料中の溶存酸素量の測定方法)
続いて溶存酸素量を測定する電極(OE-470BA、東亜ディーケーケー株式会社製)を水中に入れ、水中の溶存酸素量を溶存酸素計(DO-31P、東亜ディーケーケー株式会社製)にてモニタリングする。この手法で脱酸素する場合、水をサンプリングする際の溶存酸素量を確認する事ができるためハンドリング性が良好である。
脱酸素が完了し、紙カップ1に充填する際の液体試料の溶存酸素量(初期値)は1.0mg/l以下とする。水に溶解している酸素の濃度は少ないほど酸素の溶解速度が速く、後述する保存工程後の溶存酸素量の測定値に影響する。そのため、紙カップ1に液体試料を充填した時点の、液体試料の溶存酸素量が大幅に異なる場合、保存期間中に流入した酸素量を比較できない。試料封止工程S1で紙カップ1に液体試料を充填した時点の液体試料の溶存酸素量が1.0mg/lを下回っている場合は概ね酸素の溶解速度が同レベルと考えられるため、誤差の小さい測定をする事ができる。一方、溶存酸素量1.0mg/lを上回る水が充填される場合は後述する測定工程における測定値にばらつきが生じやすい。
また、試料封止工程において、液体試料を紙カップ1に充填する際は、なるべく同じ酸素濃度の水を充填することが好ましい。脱酸素の方法に依らず、液体試料として、溶存酸素量が1.0mg/lを超えている水を充填する場合は、保存工程後の溶存酸素量のばらつきが大きくなり、誤差が出やすいため不適切である。
また、紙カップ1に充填する液体試料の無機物の溶解量は、液体試料の全体量を100重量%とした場合に20重量%以下であるものを使用することが好ましい。無機物のイオン濃度が高い場合、酸素が溶解し難い。液体試料中の無機物の溶解量が20重量%以下である場合、紙カップ1の外部Oから流入してくる酸素が紙カップ1に充填された液体試料に十分に溶解するため、評価サンプル間での酸素バリア性を比較し易い。一方、液体試料中の無機物の溶解量が20重量%を超える場合、酸素が溶解し難く、評価サンプル間での溶存酸素量に差が出難いため評価できなくなる。
上述の方法で脱酸素した水を液体試料として用いる。窒素ガスで置換したシリンジで液体試料を吸い取り、紙カップ1に充填する。この際、紙カップ1よりも容量の大きいシリンジを使用し、一度で充填することが好ましい。液体試料が空気に触れる時間を短くすることで保存工程後の溶存酸素量を正確に測定できる。
紙カップ1に液体試料を充填後、紙カップ1の開口部5をシーラントフィルム(蓋)でヒートシールして封止する。この際、シーラントフィルムは蒸着層や金属層などの酸素バリア層を含み、表面にヒートシール可能な熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
シーラントフィルムは酸素透過率が小さいものほど紙カップの酸素バリア性を正確に測定できる。シーラントフィルムは酸素透過率が30cc/m・day以下であることが好ましい。シーラントフィルムの酸素透過率が30cc/m・dayより大きい場合、紙カップの形状や容量、開口部の面積に関わらず、開口部からの空気の流入量が大き過ぎるため酸素も多く流入し、紙カップ自体の酸素バリア性の評価できなくなる。また、シーラントフィルムの酸素透過率が30cc/m・day以下である場合は開口部からの流入量が少なく、一定期間保存した後の溶存酸素量に影響を与え難く、正確に測定できる。
シーラントフィルムをヒートシールする際、紙カップ1の内面側Iに気泡が入らないよう注意する。紙カップ1内に気泡を含む場合、紙カップ1への酸素の流入量が実際の量より多く測定され、酸素バリア性の評価結果の精度が下がる。
(保存工程S2)
試料封止工程S1の後に、保存工程S2を行う。保存工程S2は、液体試料を入れて封止した紙カップ1を一定温度で一定の保存期間保存する工程である。
保存工程S2における保存期間は1日以上50日以内が好ましい。保存期間が短すぎると紙カップ1に流入する酸素量が少な過ぎるため溶存酸素量が殆ど増加せず、評価サンプル間での酸素バリア性を比較できない。また、50日より長期間保存する場合、酸素バリア紙の端面から酸素バリア層を通らずに流入してくる酸素により、内容物である水の溶存酸素量が飽和濃度に近くなる。そのため評価サンプル間での紙カップ1の酸素バリア性が比較できなくなる。
保存工程S2では、紙カップ1を保存する保存室の温度は0℃超50℃以下であることが好ましい。0℃以下で保存室で保存すると、充填した液体試料の水が氷って紙カップ1に流入した酸素が水に溶解されないため、紙カップ1の酸素バリア性の評価には適さない。また、50℃より高温の保存室で保存する場合、酸素バリア紙の端面4などから水が蒸発する。その結果、紙カップ1内に水が蒸発して生じた空間に、外部から空気が流入し、溶存酸素量の増加量を正確に測定する事ができず、紙カップ1の酸素バリア性の評価には適さない。
(測定工程S3)
保存工程S2の後に、測定工程S3を行う。上述の一定期間保存した紙カップ1に充填されている液体試料の溶存酸素量を測定する。測定方法としては隔膜電極法、蛍光法、滴定法で測定した場合、水中に含まれた酸素量を正確に測定できるため好ましい。隔膜電極法で測定すると、ハンドリング性が良く測定時間も短いため特に好ましい。
(評価工程S4)
測定工程S3で測定された保存期間経過後の溶存酸素量の測定値に基づき、紙カップ1の酸素バリア性を評価する。具体的には、測定工程S3で測定された保存期間経過後の紙カップ1の液体試料の溶存酸素量の測定結果に基づき、紙カップ1の酸素バリア性を評価できる。
例えば、液体試料の溶存酸素量の初期値を1.0mg/l以下とし、液体試料の溶存酸素量が飽和濃度の80%以下である状態が7日以上保持された評価サンプルを酸素バリア性が適正な紙カップ1として評価してもよい。
上記紙カップ1の評価方法によれば、紙カップ1に流入する酸素量を数値化して客観的に評価することができる。また、酸素バリア紙10の端面4を保護しない非保護状態とするため、保存されている内容物が端面4と接触する状態で紙カップ1の酸素バリア性を評価することができる。この結果、紙カップ1の実際の使用態様に即した環境で紙カップ1の酸素バリア性を評価できる。したがって、紙カップ1の酸素バリア性の評価結果と、実際の使用結果との乖離を防ぎ、有効な評価が実現できる。
また、上記紙カップの評価方法を用いて、酸素バリア性紙容器が評価されることにより、酸素バリア性が高く、且つ品質の信頼性が高い酸素バリア性紙容器を提供できる。
本実施形態に係る酸素バリア性紙容器の評価方法によれば、溶存酸素量が1.0mg/l以下の水を紙カップ内に隙間なく満たすように充填して封止し、保存工程S2後の溶存酸素量の測定結果に基づき、紙カップの酸素バリア性を評価する。つまり、紙カップ内の酸素量が低濃度の状態か紙カップ内の酸素量の経時変化を測定できるため、評価に影響を及ぼし得る他の要素を排除して、紙カップ内の酸素量の経時変化を測定できる。また、試料封止時に、液体試料が隙間なく充填されることにより、試料封止時に紙カップ内の酸素量を極微量に抑えられる。したがって、紙カップの内面側Iから外部Oに酸素が流出する要素を考慮する必要がなく、測定工程S3で測定される溶存酸素量の変化量は、紙カップの外部Oから内部への酸素の流入と推定できる。したがって、紙カップの酸素バリア性を高精度で評価できる。
本実施形態に係る酸素バリア性容器の評価方法で酸素バリア性がよいと評価された紙カップは、内容物が液体の場合のみならず、固形物を保存する場合等、紙カップ内に気体が含まれる場合にも酸素バリア性を発揮し有る紙カップの評価が可能である。
(実施例1)
酸素バリア性紙容器の評価方法の実施例を以下に示す。水系樹脂を用いた塗工液として、5種類の塗工液を作製した。各塗工液の製造方法を以下に示す。
(塗工液A)
セルロースナノファイバーを用いたものを塗工液Aとして作製した。漂白クラフトパルプ50gを350mlの水に懸濁させ、パルプを膨潤させた。続いて、70gの水酸化ナトリウムを混合し、30℃、1時間でマーセル化処理を行う。続いて、70℃まで昇温し、モノクロロ酢酸ナトリウムを90g添加し、1時間エーテル化反応を行う。反応後のパルプを中和、洗浄した後に、アニオン化パルプの固形分濃度が1%となるようにイオン交換水で調整し、高速回転ミキサーを用いて約60分間攪拌し、透明なセルロースナノファイバーの分散液である塗工液Aを得た。
(塗工液B)
PVA(PVA-124、クラレ社製)5gをビーカーに入れ、純水495gを加えた。これを100℃に加熱して攪拌し、溶解させ濃度1%溶液とし、塗工液Bを得た。
(塗工液C)
EVOH(ソアノールD2908B、日本合成社製)5gをビーカーに入れ、純水247.5gとイソプロピルアルコール247.5gを加えた。これを100℃に加熱して攪拌し、溶解させ濃度1%溶液とし、塗工液Cを得た。
(塗工液D)
CMC(F10LC、日本製紙社製)5gをビーカーに入れ、純水495gを加えた。これを室温で攪拌し、溶解させ濃度1%溶液とし、塗工液Dを得た。
(塗工液E)
上述の塗工液Aと、塗工液Bとをそれぞれ250gずつ混合し、セルロースナノファイバーとPVAとの混合液である塗工液Eを得た。
上記塗工液A~Eを用いて酸素バリア紙を作製した。紙基材として、耐酸紙(PC-CUP 坪量280g/m、日本製紙社製)を用いた。紙基材上に、バーコート法により、塗工液をそれぞれ0.5g/mとなるように塗工した後、150℃で乾燥させガスバリア層を形成し積層体を得た。この方法で塗工液A~Eを塗工した5種類の積層体を得た。
続いて、押し出しラミネーション法にて積層体の両面にヒートシール層を30μm厚となるよう貼り合わせ、酸素バリア紙A~Eを作製した。ヒートシール層としてはポリエチレンLC600A(日本ポリエチレン社製)を使用した。
公知の方法により、抜き型を用いて酸素バリア紙を打ち抜き、胴部用ブランク及び底部用ブランクを作製した。その後、公知のカップ成形機を用いて酸素バリア紙A~Eからなる紙カップを作製した。各酸素バリア紙A~Eについて、それぞれ60個の紙カップを作製した。
液体試料を以下の方法で作製した。5リットルビーカーに純水を約4リットル加え、樹脂フィルムでフタをしてスターラーで攪拌した。続いて、ガスボンベからビーカーまでホースで繋ぎ、ビーカーの底にホースの先端が着いた状態で窒素ガスを1時間流した。ビーカーに溶存酸素量を測定する電極(OE-470BA、東亜ディーケーケー株式会社製)を入れ、水中の溶存酸素量を溶存酸素計(DO-31P、東亜ディーケーケー株式会社製)にてモニタリングしたところ、0.5mg/lであった。これを液体試料とした。なお、液体試料は純水を用いているため、塩分濃度は0wt%である。
得られた液体試料をシリンジで吸い取り、各紙カップに気泡が入らないように充填し、蓋で封止した。蓋として、アルミフィルム層を含むシーラントフィルムを用意し、開口部に乗せ、熱をかけてヒートシールした。ヒートシール部(ヒートシール層)からの内容物の漏洩の有無を確認した(試料封止工程)。このように液体試料を入れて封止した紙カップを複数用意した。試料封止工程後の各紙カップを、気温5℃の保存室内で保存した(保存工程)。
保存した複数の紙カップの中から毎日3個ずつ評価サンプルを抽出し、評価サンプルの溶存酸素濃度の測定を行った(測定工程)。各紙カップに充填した液体試料の酸素濃度が保存温度の飽和溶存酸素量の80%を超える濃度に達するまで測定を続けた。
(実施例2)
実施例2は、液体試料の塩分濃度(塩化ナトリウム濃度)を20wt%とした例である。実施例1と同様の条件で実施例1と同様の紙カップに、塩分濃度が20wt%の液体試料を充填し、実施例1と同様に封止した。紙カップの条件、保存条件、測定条件は実施例1と同様にして酸素バリア性の評価を行った。
(実施例3)
実施例3は、蓋の構成が実施例1と異なる。実施例3では、蓋として、20μmの膜厚の2軸延伸ナイロンを含むシーラントフィルムを用い、実施例1の試料封止工程と同様の処理を行った。したがって、実施例3の蓋はアルミ層を含まない例である。紙カップの条件、保存条件、測定条件は実施例1と同様にして酸素バリア性の評価を行った。
(実施例4)
実施例4は、保存工程の保存温度を40℃とした。紙カップの条件、試料封止条件、測定条件は実施例1と同様にして酸素バリア性の評価を行った。
(実施例5)
実施例5は、液体試料の塩分濃度を25wt%とした例である。実施例1と同様の条件で実施例1と同様の紙カップに、塩分濃度が20wt%の液体試料を充填し、実施例1と同様に封止した。さらに、比較用としてバリア層を含まないノンバリア紙カップも塩分濃度が20wt%の液体試料を充填した。紙カップの条件、保存条件、測定条件は実施例1と同様にして、評価を行った。その結果、ノンバリア紙カップでも酸素が溶解難いことを示す結果となり、酸素バリア性を有する紙カップとの比較がし難い結果となった。
(実施例6)
実施例6は、塗工液A~Eの塗工量をそれぞれ0.08g/mとした例である。その他の条件は実施例1と同様にして、評価を行った。その結果、溶存酸素量が飽和溶存酸素量の80%に達するまでの日数が実施例に比べて短いサンプルが多かった。したがって、酸素バリア性紙カップの酸素バリア性能が不十分であると評価した。
実施例1~6の評価条件を表1に示す。
Figure 0007180100000001
実施例1~6における、各紙カップに充填した液体試料の溶存酸素量が飽和溶存酸素量の80%に達するまでに必要な日数を、表2に示す。表2の各欄の数値は日数である。
Figure 0007180100000002
実施例1~4では各紙カップの酸素バリア性を明確に比較する事ができた。すなわち、これまで数値化することが難しかった紙カップ自体の酸素バリア性を容易に判断でき、かつ信頼性の高い評価ができた。これに対し、実施例5及び実施例6は明確な酸素バリア性の有無や優劣を確認する事ができなかった。
また、実施例1~4に記載の評価方法で酸素バリア性を評価した際に溶存酸素量が飽和濃度の80%に達するまで7日以上かかる紙カップは、滲みなどによるガスバリア性の劣化が小さく一定以上の酸素バリア性を有していた。したがって、食品保存用途や嫌気性の産業資材の保管や輸送などの用途に使用することができる。特定の紙基材をカップ形状にすることで容易にバリア性を付与でき、信頼性の高いバリア性紙カップを提供することができた。
(参考例)
参考例として、本実施形態に係る酸素バリア性紙容器の評価方法で評価した紙カップの性能を検証した。実施例1の評価方法で酸素バリア性に優れると評価された紙カップと同じ条件で作製した紙カップ内に、紙カップの容積の3%の体積の固体のp-ジクロロベンゼンを入れ、実施例1と同様の条件で封止した。また、酸素バリア層を設けないノンバリア紙カップを用意し、ノンバリア紙カップ内に上記と同様にp-ジクロロベンゼンを入れ、上記と同様の条件で封止した。
封止後の紙カップをそれぞれ、温度40度の保存室で保存した。保存室の湿度は、紙カップ内の湿度に略等しいRH90%とした。封止された紙カップの重量変化を毎日測定した。また、毎日、紙カップの外部の臭気確認も行った。その結果、実施例1と同じ紙カップの重量の経時変化量は、ノンバリア紙カップよりも少なかった。また、臭気確認においても、実施例1と同じ紙カップでは、外部の臭気漏れが抑えられており、紙カップ内部から外部への気体の透過が抑えられている結果が得られた。したがって、本実施形態に係る酸素バリア性紙容器の評価方法では、液体を充填して測定しているが、本評価方法で酸素バリア性に優れると評価された紙カップは、内容物が液体ではない場合でも酸素バリア性が優れることが検証できた。
実施例1で酸素バリア性に優れると評価した紙カップと同じ条件の紙カップを用いた参考例の紙カップでは、重量減少量が初期値の80%に達するまでの保存日数が10日となった。また、ノンバリア紙カップは、保存日数2日の時点でp-ジクロロベンゼンの減少量が初期値の80%に達していた。したがって、上記実施例の評価結果と、参考例のp-ジクロロベンゼンの減少量の測定結果とは、相関がみられると言える。この結果から、実施例の評価方法は、酸素バリア性の評価として有効であることが示された。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態等の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
1 紙カップ(酸素バリア性紙容器)
4 端面
10 酸素バリア紙
11 紙基材
12 酸素バリア層
13 熱可塑性樹脂層

Claims (6)

  1. 紙基材と、前記紙基材上に形成された酸素バリア層とからなる積層体の両面に熱可塑性樹脂が積層された酸素バリア紙を使用してカップ状に形成された酸素バリア性紙容器の評価方法であって、
    前記酸素バリア性紙容器の内面側に位置する前記酸素バリア紙の端面を非保護状態とし、脱酸素した水からなる液体試料を前記酸素バリア性紙容器の上端まで隙間無く充填し、酸素バリア層を含むシーラントフィルムからなる蓋を前記酸素バリア性紙容器の上端部をヒートシールして前記酸素バリア性紙容器を封止する試料封止工程と、
    前記酸素バリア性紙容器を一定温度で一定の保存期間保存する保存工程と、
    前記保存工程における前記保存期間経過後に前記酸素バリア性紙容器の内部の溶存酸素量を測定する測定工程と、
    前記測定工程において測定された前記溶存酸素量に基づき、前記酸素バリア性紙容器の酸素バリア性を評価する評価工程と、
    を含むことを特徴とする酸素バリア性紙容器の評価方法。
  2. 前記試料封止工程において前記液体試料を前記酸素バリア性紙容器に充填する際の前記液体試料の溶存酸素量が1.0mg/l以下である
    請求項1に記載の酸素バリア性紙容器の評価方法。
  3. 前記試料封止工程において前記酸素バリア性紙容器に充填する前記液体試料は、全体量を100重量%とした場合に無機物の溶解量が20重量%以下である
    請求項1または請求項2に記載の酸素バリア性紙容器の評価方法。
  4. 前記蓋の前記シーラントフィルムの酸素透過率が30cc/m・day以下である
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸素バリア性紙容器の評価方法。
  5. 前記保存工程では、気温が0℃超50℃以下の保存室内で前記酸素バリア性紙容器を保存する
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の酸素バリア性紙容器の評価方法。
  6. 前記測定工程では、隔膜電極法、蛍光法、または滴定法のいずれかにより前記酸素バリア性紙容器の内部の前記溶存酸素量を測定する
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の酸素バリア性紙容器の評価方法。
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