JP2005052208A - 金属製真空二重容器の封止用ガラス - Google Patents
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Abstract
【目的】PbOを含まなくても、600℃以下の温度で封止することが可能な金属製真空二重容器の封止用ガラスを提供することである。
【構成】本発明の金属製真空二重容器の封止用ガラスは、金属製内容器と外容器からなり、これら内外容器間の空隙部を真空排気する際に、前記内容器又は外容器の凹部内に設けられた排気口を真空封止するのに用いるガラスであって、該ガラスが、実質的にPbOを含有せず、質量百分率で、Bi2O3 50〜85%、B2O3 3〜35%、BaO 0〜35%、SrO 0〜30%、ZnO 0〜16%、CaO 0〜10%、Fe2O3 0〜5%、CuO 0〜10%、SiO2 0〜20%、Al2O3 0〜6%、Cs2O 0〜6%を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【構成】本発明の金属製真空二重容器の封止用ガラスは、金属製内容器と外容器からなり、これら内外容器間の空隙部を真空排気する際に、前記内容器又は外容器の凹部内に設けられた排気口を真空封止するのに用いるガラスであって、該ガラスが、実質的にPbOを含有せず、質量百分率で、Bi2O3 50〜85%、B2O3 3〜35%、BaO 0〜35%、SrO 0〜30%、ZnO 0〜16%、CaO 0〜10%、Fe2O3 0〜5%、CuO 0〜10%、SiO2 0〜20%、Al2O3 0〜6%、Cs2O 0〜6%を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、携帯用魔法瓶(水筒・ランチジャー)等の金属製二重容器を真空封止するのに用いる封止ガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から金属製真空二重容器の封止材料としてガラスが用いられている。
【0003】
金属製真空二重容器を製造する方法として、例えば、ステンレス鋼SUS304製の内容器又は外容器の凹部内に設けられた排気口に、ガラスを配置して真空排気しながら封止する方法が提案されている。(特許文献1参照)
このガラスには、低温で焼成可能であることが要求される。それ故、ガラスの融点を低下させる効果の大きいPbOを多量に含有したPbO−B2O3系の低融点ガラスが広く用いられている。(特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平6−169850号公報
【特許文献2】
特開2002−125866号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、環境保護の高まりや環境負荷物質の使用削減の動きから、近年、PbOを含まないガラスに置換することが強く求められている。
【0006】
本発明の目的は、PbOを含まなくても、600℃以下の温度で封止することが可能な金属製真空二重容器の封止用ガラスを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は種々の実験を行ったところ、Bi2O3−B2O3系ガラスを使用することによって上記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案するものである。
【0008】
即ち、本発明の金属製真空二重容器の封止用ガラスは、金属製内容器と外容器からなり、これら内外容器間の空隙部を真空排気する際に、前記内容器又は外容器の凹部内に設けられた排気口を真空封止するのに用いるガラスであって、該ガラスが、実質的にPbOを含有せず、質量百分率で、Bi2O3 50〜85%、B2O3 3〜35%、BaO 0〜35%、SrO 0〜30%、ZnO 0〜16%、CaO 0〜10%、Fe2O3 0〜5%、CuO 0〜10%、SiO2 0〜20%、Al2O3 0〜6%、Cs2O 0〜6%を含有することを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明の封止ガラスは、Bi2O3−B2O3系ガラスのガラスであるため、PbOを含まなくても600℃以下の温度で、金属製真空二重容器の排気口の真空封止を容易に行うことができる。
【0010】
以下、本発明においてガラス組成を上記の範囲に限定した理由を述べる。
【0011】
Bi2O3は、ガラスの融点を低下させる成分である。含有量が多くなると、ガラスが不安定となる傾向にあり、ガラス化し難くなる。一方、含有量が少なくなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。Bi2O3の含有量が50〜85%であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は55〜85%であり、より好ましい範囲は60〜83%である。
【0012】
B2O3は、ガラスの骨格を形成しガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの流動性が悪化する傾向にある。一方、含有量が少なくなると、ガラスが不安定となる傾向にあり、ガラス化し難くなる。B2O3の含有量が3〜35%であれば、良好な流動性を有するガラスが得やすくなる。好ましい範囲は3〜30%であり、より好ましい範囲は4〜27%である。
【0013】
BaOは、ガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。BaOの含有量が25%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0.1〜20%であり、より好ましい範囲は1〜15%である。
【0014】
SrOは、BaOと同様にガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。SrOの含有量が20%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜15%であり、より好ましい範囲は0〜10%である。
【0015】
ZnOは、ガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスが失透しやすくなる。ZnOの含有量が16%以下であれば、失透し難い低融点ガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜13%であり、より好ましい範囲は1〜11%である。
【0016】
CaOは、ZnOと同様にガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスが失透しやすくなる。ZnOの含有量が10%以下であれば、失透し難い低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜8%であり、より好ましい範囲は0〜5%である。
【0017】
Fe2O3は、ガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。Fe2O3の含有量が5%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜4%であり、より好ましい範囲は0〜3%である。
【0018】
CuOは、Fe2O3と同様にガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。CuOの含有量が10%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜8%であり、より好ましい範囲は0〜6%である。
【0019】
SiO2は、ガラスの骨格を形成しガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。SiO2の含有量が20%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜18%であり、より好ましい範囲は0〜16%である。
【0020】
Al2O3は、SiO2と同様にガラスの骨格を形成しガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。Al2O3の含有量が6%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜5%であり、より好ましい範囲は0〜3%である。
【0021】
Cs2Oは、ガラスの融点を低下させる成分である。含有量が多くなると、ガラスが不安定となる傾向にあり、ガラス化し難くなったり、ガラスの化学的耐久性が低下する。Cs2Oの含有量が6%以下であれば、ガラスの化学的耐久性を低下させることなく、低融点ガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜5%であり、より好ましい範囲は0〜4%である。
【0022】
尚、本発明の封止用ガラスは、ガラスが不安定にならない範囲で、他の成分を添加することができる。例えば、さらに低融点のガラスを得るために、F2あるいはLi2O、Na2O、K2O等をそれぞれ5%まで添加することができる。
【0023】
本発明の封止用ガラスは、金属製真空二重容器の内容器又は外容器のいずれかに形成された凹部内に配置できるものであれば、どのような形状であっても使用可能であるが、直方体、円柱、球、半球又は卵型に成形することが望ましい。これは、封止用ガラスを凹部内に安定して配置することができるからである。
【0024】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明の封止用ガラスを説明する。
【0025】
本発明の実施例(試料No.1〜4)を表1に、比較例(試料No.5及び6)を表2に示す。尚、試料No.6は、従来から金属製真空二重容器の封止に使用されているPbO系の封止用ガラスである。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
各試料は次のようにして調製した。まず、表に示す組成となるように各種酸化物、炭酸塩等のガラス原料を調合し、均一に混合した後、白金坩堝に入れて1000〜1200℃で1時間溶融してガラス化し、ブロック状の試料を得た。
【0029】
得られた試料についてガラス転移点、軟化点、封止可能温度及び熱膨張係数を評価し、結果を表に示した。
【0030】
表1から明らかなように、実施例である試料No.1〜4は、ガラス転移点が425℃以下と低く、軟化点も525℃以下と低かった。また、封止可能温度も600℃以下と低かった。30〜300℃における熱膨張係数は、89〜122×10−7/℃であり、ステンレス鋼SUS304と適合するものである。
【0031】
これに対し、比較例である試料No.5は、ガラス転移点が460℃、軟化点が570℃であり、600℃より高い温度でなければ、良好な封止を行うことは出来なかった。また、試料No.6は、ガラス転移点が300℃、軟化点が365℃と低く、420℃という低い温度で良好な封止を行うことができるが、ガラス中にPbOを含むため、金属製真空二重容器の製造工程や廃棄する際に環境汚染が懸念される。
【0032】
尚、ガラスの転移点及び軟化点は、示差熱分析(DTA)装置を用いて測定し、第一の変曲点の値をガラス転移点とし、第四の変曲点の値を軟化点とした。
【0033】
熱膨張係数は、得られた各試料を40×4mmφに成型し、JIS R3102に基づいて測定した後、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数をディラトメーターを用いて測定した。
【0034】
封止可能温度は次の様に評価した。まず、各試料を0.03cm3の体積の直方体に切断する。次に、図1に示すように、切断した各試料1を金属製真空二重容器2の外容器3に形成された直径10mm、深さ2mmの凹形状の排気口4の上に配置する。続いて、この金属製真空二重容器を各試料が融けない温度(300℃以下)で真空排気した後、試料が融ける温度まで昇温して封止する。封止後のガラスの状態を観察し、ガラス表面が凹になる温度を封止可能温度とした。金属製真空二重容器の材質は、最も一般的に使用されているステンレス鋼SUS304を使用した。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の封止用ガラスは、環境汚染の原因となる有害なPbOを含まず、600℃以下の低温で金属製真空二重容器の排気口の真空封止を容易に行うことができる。そのため、金属製真空二重容器の封止用ガラスとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属製真空二重容器の封止用ガラスの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 封止用ガラス
2 金属製真空二重容器
3 外容器
4 排気口
【産業上の利用分野】
本発明は、携帯用魔法瓶(水筒・ランチジャー)等の金属製二重容器を真空封止するのに用いる封止ガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から金属製真空二重容器の封止材料としてガラスが用いられている。
【0003】
金属製真空二重容器を製造する方法として、例えば、ステンレス鋼SUS304製の内容器又は外容器の凹部内に設けられた排気口に、ガラスを配置して真空排気しながら封止する方法が提案されている。(特許文献1参照)
このガラスには、低温で焼成可能であることが要求される。それ故、ガラスの融点を低下させる効果の大きいPbOを多量に含有したPbO−B2O3系の低融点ガラスが広く用いられている。(特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平6−169850号公報
【特許文献2】
特開2002−125866号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、環境保護の高まりや環境負荷物質の使用削減の動きから、近年、PbOを含まないガラスに置換することが強く求められている。
【0006】
本発明の目的は、PbOを含まなくても、600℃以下の温度で封止することが可能な金属製真空二重容器の封止用ガラスを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は種々の実験を行ったところ、Bi2O3−B2O3系ガラスを使用することによって上記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案するものである。
【0008】
即ち、本発明の金属製真空二重容器の封止用ガラスは、金属製内容器と外容器からなり、これら内外容器間の空隙部を真空排気する際に、前記内容器又は外容器の凹部内に設けられた排気口を真空封止するのに用いるガラスであって、該ガラスが、実質的にPbOを含有せず、質量百分率で、Bi2O3 50〜85%、B2O3 3〜35%、BaO 0〜35%、SrO 0〜30%、ZnO 0〜16%、CaO 0〜10%、Fe2O3 0〜5%、CuO 0〜10%、SiO2 0〜20%、Al2O3 0〜6%、Cs2O 0〜6%を含有することを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明の封止ガラスは、Bi2O3−B2O3系ガラスのガラスであるため、PbOを含まなくても600℃以下の温度で、金属製真空二重容器の排気口の真空封止を容易に行うことができる。
【0010】
以下、本発明においてガラス組成を上記の範囲に限定した理由を述べる。
【0011】
Bi2O3は、ガラスの融点を低下させる成分である。含有量が多くなると、ガラスが不安定となる傾向にあり、ガラス化し難くなる。一方、含有量が少なくなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。Bi2O3の含有量が50〜85%であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は55〜85%であり、より好ましい範囲は60〜83%である。
【0012】
B2O3は、ガラスの骨格を形成しガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの流動性が悪化する傾向にある。一方、含有量が少なくなると、ガラスが不安定となる傾向にあり、ガラス化し難くなる。B2O3の含有量が3〜35%であれば、良好な流動性を有するガラスが得やすくなる。好ましい範囲は3〜30%であり、より好ましい範囲は4〜27%である。
【0013】
BaOは、ガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。BaOの含有量が25%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0.1〜20%であり、より好ましい範囲は1〜15%である。
【0014】
SrOは、BaOと同様にガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。SrOの含有量が20%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜15%であり、より好ましい範囲は0〜10%である。
【0015】
ZnOは、ガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスが失透しやすくなる。ZnOの含有量が16%以下であれば、失透し難い低融点ガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜13%であり、より好ましい範囲は1〜11%である。
【0016】
CaOは、ZnOと同様にガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスが失透しやすくなる。ZnOの含有量が10%以下であれば、失透し難い低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜8%であり、より好ましい範囲は0〜5%である。
【0017】
Fe2O3は、ガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。Fe2O3の含有量が5%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜4%であり、より好ましい範囲は0〜3%である。
【0018】
CuOは、Fe2O3と同様にガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。CuOの含有量が10%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜8%であり、より好ましい範囲は0〜6%である。
【0019】
SiO2は、ガラスの骨格を形成しガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。SiO2の含有量が20%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜18%であり、より好ましい範囲は0〜16%である。
【0020】
Al2O3は、SiO2と同様にガラスの骨格を形成しガラスを安定化させる成分である。含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で封止し難くなる。Al2O3の含有量が6%以下であれば、低融点のガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜5%であり、より好ましい範囲は0〜3%である。
【0021】
Cs2Oは、ガラスの融点を低下させる成分である。含有量が多くなると、ガラスが不安定となる傾向にあり、ガラス化し難くなったり、ガラスの化学的耐久性が低下する。Cs2Oの含有量が6%以下であれば、ガラスの化学的耐久性を低下させることなく、低融点ガラスが得やすくなる。好ましい範囲は0〜5%であり、より好ましい範囲は0〜4%である。
【0022】
尚、本発明の封止用ガラスは、ガラスが不安定にならない範囲で、他の成分を添加することができる。例えば、さらに低融点のガラスを得るために、F2あるいはLi2O、Na2O、K2O等をそれぞれ5%まで添加することができる。
【0023】
本発明の封止用ガラスは、金属製真空二重容器の内容器又は外容器のいずれかに形成された凹部内に配置できるものであれば、どのような形状であっても使用可能であるが、直方体、円柱、球、半球又は卵型に成形することが望ましい。これは、封止用ガラスを凹部内に安定して配置することができるからである。
【0024】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明の封止用ガラスを説明する。
【0025】
本発明の実施例(試料No.1〜4)を表1に、比較例(試料No.5及び6)を表2に示す。尚、試料No.6は、従来から金属製真空二重容器の封止に使用されているPbO系の封止用ガラスである。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
各試料は次のようにして調製した。まず、表に示す組成となるように各種酸化物、炭酸塩等のガラス原料を調合し、均一に混合した後、白金坩堝に入れて1000〜1200℃で1時間溶融してガラス化し、ブロック状の試料を得た。
【0029】
得られた試料についてガラス転移点、軟化点、封止可能温度及び熱膨張係数を評価し、結果を表に示した。
【0030】
表1から明らかなように、実施例である試料No.1〜4は、ガラス転移点が425℃以下と低く、軟化点も525℃以下と低かった。また、封止可能温度も600℃以下と低かった。30〜300℃における熱膨張係数は、89〜122×10−7/℃であり、ステンレス鋼SUS304と適合するものである。
【0031】
これに対し、比較例である試料No.5は、ガラス転移点が460℃、軟化点が570℃であり、600℃より高い温度でなければ、良好な封止を行うことは出来なかった。また、試料No.6は、ガラス転移点が300℃、軟化点が365℃と低く、420℃という低い温度で良好な封止を行うことができるが、ガラス中にPbOを含むため、金属製真空二重容器の製造工程や廃棄する際に環境汚染が懸念される。
【0032】
尚、ガラスの転移点及び軟化点は、示差熱分析(DTA)装置を用いて測定し、第一の変曲点の値をガラス転移点とし、第四の変曲点の値を軟化点とした。
【0033】
熱膨張係数は、得られた各試料を40×4mmφに成型し、JIS R3102に基づいて測定した後、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数をディラトメーターを用いて測定した。
【0034】
封止可能温度は次の様に評価した。まず、各試料を0.03cm3の体積の直方体に切断する。次に、図1に示すように、切断した各試料1を金属製真空二重容器2の外容器3に形成された直径10mm、深さ2mmの凹形状の排気口4の上に配置する。続いて、この金属製真空二重容器を各試料が融けない温度(300℃以下)で真空排気した後、試料が融ける温度まで昇温して封止する。封止後のガラスの状態を観察し、ガラス表面が凹になる温度を封止可能温度とした。金属製真空二重容器の材質は、最も一般的に使用されているステンレス鋼SUS304を使用した。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の封止用ガラスは、環境汚染の原因となる有害なPbOを含まず、600℃以下の低温で金属製真空二重容器の排気口の真空封止を容易に行うことができる。そのため、金属製真空二重容器の封止用ガラスとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属製真空二重容器の封止用ガラスの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 封止用ガラス
2 金属製真空二重容器
3 外容器
4 排気口
Claims (2)
- 金属製内容器と外容器からなり、これら内外容器間の空隙部を真空排気する際に、前記内容器又は外容器の凹部内に設けられた排気口を真空封止するのに用いるガラスであって、該ガラスが、実質的にPbOを含有せず、質量百分率で、Bi2O3 50〜85%、B2O3 3〜35%、BaO 0〜35%、SrO 0〜30%、ZnO 0〜16%、CaO 0〜10%、Fe2O3 0〜5%、CuO 0〜10%、SiO2 0〜20%、Al2O3 0〜6%、Cs2O 0〜6%を含有することを特徴とする金属製真空二重容器の封止用ガラス。
- 封止用ガラスの形状が、直方体、円柱、球、半球、卵型のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の金属製真空二重容器の封止用ガラス。
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JP2003205913A JP2005052208A (ja) | 2003-08-05 | 2003-08-05 | 金属製真空二重容器の封止用ガラス |
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JP2003205913A JP2005052208A (ja) | 2003-08-05 | 2003-08-05 | 金属製真空二重容器の封止用ガラス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005052208A true JP2005052208A (ja) | 2005-03-03 |
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ID=34362958
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JP2003205913A Pending JP2005052208A (ja) | 2003-08-05 | 2003-08-05 | 金属製真空二重容器の封止用ガラス |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005052208A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2008013028A1 (fr) * | 2006-07-24 | 2008-01-31 | Nihon Yamamura Glass Co., Ltd. | composition de verre sans plomb POUR scelleR UN double contenant métallique sous vide |
JP2010173904A (ja) * | 2009-01-30 | 2010-08-12 | Asahi Glass Co Ltd | ガラス組成物およびそれを用いた導電性ペースト |
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