JP2005051145A - 露光方法及び露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学素子の移動に伴う収差の変動を防止し、高い露光精度を実現する。
【解決手段】 投影光学系の収差を求め、当該収差を補正しうる該投影光学系に含まれる光学素子の目標位置を予測し、非露光中であって次の露光開始前に該光学素子の該目標位置への移動が完了するように、該光学素子の移動を制御する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド、その他のマイクロデバイスの製造工程の1つとして設けられるフォトグラフィ工程において用いられる露光方法及び露光装置に関する。
半導体集積回路、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド、その他のマイクロデバイスは、一般的にフォトリソグラフィ技術を用いて製造される。フォトリソグラフィ技術は、微細なパターンが形成されたマスク又はレチクル(以下、これらを総称するときには「マスク」という)に照明光を照明し、パターンをフォトレジスト等の感光剤が塗布された半導体ウエハや透明ガラス基板等の基板上に転写し、感光剤を現像することで基板表面にレジストパターンを形成し、その基板に対してエッチング等の各種処理を施す技術である。露光装置はマスクのパターンを基板上に転写する際に用いられる。
露光装置としては種々の方式のものが実現されているが、例えば半導体素子を製造する場合には、マスクに形成されたパターン全体を一度に投影し得るイメージフィールドを有する投影光学系を介して基板をステップ・アンド・リピート方式で露光する投影露光装置(所謂、ステッパ)と、マスクと基板とを同期移動させつつ、マスクに形成されたパターンを基板上に逐次走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置とが用いられることが多い。
近年のマイクロデバイスの微細化に伴って、上記の何れの露光装置にも高い露光精度が要求されている。露光精度を向上させるためには、マスクのパターンが形成されている面(以下、パターン面という)と基板表面との共役関係を正確に保つとともに、残存収差が極力低減された状態となるように投影光学系を調整する必要がある。マスクのパターン面と基板表面との共役関係を保つ技術として、投影光学系の焦点位置の変動に応じて、焦点位置に対する基板の位置ずれを補正する技術、及び投影光学系の焦点位置変動に応じて投影光学系に含まれる一部のレンズ群を光軸方向に移動させて投影光学系の焦点位置ずれを補正する技術がある。
また、例えば、以下の特許文献1は、非露光中には基板を投影光学系の光軸方向に移動させて投影光学系の焦点位置に対する基板の位置ずれを補正し、露光中(走査露光中)には投影光学系の光軸方向における基板の位置を変化させずに投影光学系に含まれる一部のレンズ群を光軸方向に移動させて投影光学系の焦点位置ずれを補正する技術を開示している。
特開平11−274070号公報
ところで、投影光学系に含まれる一部のレンズ群を移動させて投影光学系の焦点位置ずれ、収差、倍率等を補正する技術においては、投影光学系が露光光を吸収して生ずる熱及び大気圧の変動に起因する焦点位置ずれ、収差、倍率等の変動を求め、これを補正するように一部のレンズ群を移動させている。
このとき、焦点位置ずれ等を補正するために投影光学系に含まれる一部のレンズ群を移動させると、レンズ群の移動に伴って投影光学系の結像特性(例えば、像面の平坦性)が悪化することがあるので、レンズ群を移動させるときには複数のレンズ群を移動させて、一つのレンズ群の移動による結像特性の悪化を他のレンズ群の移動によって相殺させるようにしている。
しかしながら、近年においてはスループット(単位時間当たり露光処理することができる基板の枚数)の向上を図るため、露光に用いる光(露光光)の強度が高く設定され、一つのショット領域に対する露光光の照射時間や次のショット領域に移動するための露光光の非照射時間が短縮される傾向にある。このため、収差等を補正するためにレンズ群を目標位置に素早く追従させる必要があるが、短時間で長い距離に亘ってレンズ群をほぼ平行に移動させることは困難であり、移動中にレンズ群が光軸に対して傾斜(チルト)してしまうことがある。レンズ群のチルトが生じると、投影光学系PLにコマ収差が発生するため投影光学系の結像特性が悪化するという問題があった。
特に、複数のレンズ群を移動させる場合には、移動させる全てのレンズ群を平行に移動させる必要があるため、一つのレンズ群を移動させる場合に比べてコマ収差が容易に発生してしまうとともに、他の収差も発生しやすくなり、投影光学系の結像特性の悪化が容易に引き起こされるという問題があった。
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、光学素子の移動に伴う収差の変動を防止し、高い露光精度を実現することを目的とする。
以下、この項に示す説明では、本発明を、実施形態を表す図面に示す部材符号に対応付けて説明するが、本発明の各構成要件は、これら部材符号を付した図面に示す部材に限定されるものではない。
上述した課題を解決するため、本発明の第1の観点によると、パターンが形成されたマスク(R)及び複数の光学素子(52b,52d,52e,52f,52g)を有する投影光学系(PL)を介して間欠的に露光光を照射して基板(W)を露光する露光方法であって、前記投影光学系の収差を求め、当該収差を補正しうる前記光学素子の目標位置を予測する予測工程(S17)と、非露光中であって次の露光開始前に前記光学素子の前記目標位置への移動が完了するように、該光学素子の移動を制御する移動工程(S18)とを含む露光方法が提供される。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によると、パターンが形成されたマスク(R)及び光学素子(52b,52d,52e,52f,52g)を有する投影光学系(PL)を介して、間欠的に露光光を照射して基板(W)を露光する露光装置であって、前記光学素子を駆動する駆動装置(55b,55d,55e,55f,55g)と、前記投影光学系の収差を求め、当該収差を補正しうる前記光学素子の目標位置を予測する予測部(34)、及び非露光中であって次の露光開始前に前記光学素子の前記目標位置への移動が完了するように、該光学素子の移動を制御する制御部(40)を含む制御装置とを備えた露光装置が提供される。
本発明では、投影光学系の収差を補正しうる光学素子の目標位置を予測し、非露光中であって次の露光開始前に光学素子の目標位置への移動が完了するように、該光学素子の移動するようにしたので、投影光学系の収差を補正しうる位置に光学素子が固定された状態で基板の露光が行われ、露光時には光学素子の移動に伴う収差の変動が生じないため、光学素子の駆動に伴うチルトにより生じていた結像特性の悪化(例えば像面の悪化)が防止される。
本発明によると、投影光学系の収差を補正しうる位置に光学素子が固定された状態で基板の露光が行われ、露光時には光学素子の移動に伴う収差の変動が生じないため、高い露光精度を実現することができるという効果がある。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成の概略を示す図である。図1に示す露光装置は、図1中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウエハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウエハWに逐次転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
なお、本実施形態において、「露光時」又は「露光期間」とは、主として1つのショット領域に対する露光を開始してから当該ショット領域に対する露光を終了するまでの期間をいう。また、「非露光時」又は「非露光期間」とは、主として1つのショット領域に対する露光を終了してから次のショット領域にステッピングさせて当該次のショット領域に対する露光を開始するまでの期間をいう。但し、「非露光時」又は「非露光期間」には、ウエハ交換やその他の理由により露光処理を中断している場合のその中断期間が含まれる場合がある。
以下の説明においては、図1中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウエハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウエハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態ではレチクルR及びウエハWを同期移動させる方向(同期移動方向SD)をY方向に設定している。
図1において、1は断面が略長方形状の平行光束である露光光ILを射出する露光光源であり、例えばArFエキシマレーザ光源(波長193nm)である。露光光源1からの波長193nmの紫外パルスよりなる露光光ILは、ビームマッチングユニット(BMU)2を通り、光アッテネータとしての可変減光器3に入射する。露光光源1の発光の開始及び停止、並びに出力(発振周波数、パルスエネルギー、パルス数)は、ウエハW上のフォトレジストに対する露光光の強度(照度)を制御するための露光制御ユニット33が制御する。また、露光制御ユニット33は、可変減光器3における減光率を段階的、又は連続的に調整する。
可変減光器3を通った露光光ILは、レンズ系4a,4bよりなるビーム成形系5を経て第1段のオプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ、又はホモジナイザ)としての第1フライアイレンズ6に入射する。この第1フライアイレンズ6から射出された露光光ILは、第1レンズ系7a、光路折り曲げ用のミラー8、及び第2レンズ系7bを介して第2段のオプティカル・インテグレータとしての第2フライアイレンズ9に入射する。
第2フライアイレンズ9の射出面(射出側焦点面)、即ちレチクルRのパターン面に対する光学的なフーリエ変換面(照明系の瞳面、投影光学系PLの瞳面と光学的に共役な面)には開口絞り板10が、駆動モータ10cによって回転自在に配置されている。開口絞り板10は回転軸の周りで回転自在に構成された円板からなり、通常照明用の円形の開口絞り10a、輪帯照明用の開口絞り(図示省略)、複数(例えば4極)の偏心した小開口よりなる変形照明用の開口絞り10b、及び小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の小円形の開口絞り(図示省略)が周方向に沿って形成されている。
開口絞り板10の回転軸は駆動モータ10cの回転軸に接続されており、駆動モータ10cを駆動して開口絞り板10を回転軸の周りで回転させることにより、第2フライアイレンズ9の射出面に配置する開口絞りを切り替えることができる。第2フライアイレンズ9の射出面に配置される開口絞りに応じて、その射出面における露光光ILの強度分布が変更される。駆動モータ10cの駆動は露光装置の全体の動作を統括制御する主制御系34が制御する。なお、開口絞り板10の代わりに、例えば照明光学系内に交換して配置される複数の回折光学素子、照明光学系の光軸に沿って可動なプリズム(円錐プリズムなど)、及びズーム光学系を含む成形光学系を、光源1と第1フライアイレンズ6との間に配置し、照明光学系の瞳面上での露光光ILの光量分布(2次光源の大きさや形状)、即ちレチクルRの照明条件の変更に伴う光量損失を抑えることが好ましい。
第2フライアイレンズ9から射出されて開口絞り板10に形成された開口絞りの何れかを通過した露光光ILは、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ11に入射する。ビームスプリッタ11を透過した露光光ILは、光軸IAXに沿ってレンズ系12,13を順次経て、固定ブラインド(固定照明視野絞り)14及び可動ブラインド(可動照明視野絞り)15に入射する。本実施形態では、固定ブラインド14はレチクルRのパターン面(下面)との共役面から光軸IAX方向に所定量だけ離れて配置され、可動ブラインド15は実質的にその共役面に配置される。このブラインド14,15によって規定される、レチクルRのパターン面上で露光光ILが照射される照明視野領域(照明領域)IAは、投影光学系PLの円形視野内で光軸AXをほぼ中心とし、かつ走査露光時にレチクルRが移動される同期移動方向(以下では走査方向とも呼び、本来ではY方向と一致)SDと直交する非走査方向(X方向)に伸びる直線スリット状又は矩形状(以下、まとめて「スリット状」という)となっている。
なお、照明領域IAは走査方向の幅が固定ブラインド14によって規定されるが、ウエハW上の各ショット領域の走査露光の開始直後及び終了直前の所定期間に、露光対象のショット領域以外が不要に露光されるのを防止するため、可動ブラインド15によって走査方向の幅が変更される。また、可動ブラインド15は照明領域IAの非走査方向の幅を規定するとともに、例えばレチクルRのパターン領域のサイズに応じて非走査方向の幅を可変とする。
露光時に可動ブラインド15を通過した露光光ILは、光路折り曲げ用のミラー17、結像用のレンズ系18、コンデンサレンズ19、及び主コンデンサレンズ系20を順次介して、マスクとしてのレチクルRのパターン面(下面)の照明領域(照明視野領域)IAを照明する。露光光ILのもとで、レチクルRの照明領域IA内の回路パターンの像が両側テレセントリックな投影光学系PLを介して所定の投影倍率α(αは例えば1/4又は1/5等)で、投影光学系PLの結像面に配置された基板としてのウエハW上のスリット状の露光領域EAに転写される。なお、投影光学系PLは片側テレセントリックであっても良い。
本実施形態の投影光学系PLは、ジオプトリック系(屈折系)であるが、カタジオプトリック系(反射屈折系)や反射系も使用できることはいうまでもない。また、投影光学系PLは、所定の気温(例えば、25℃)、所定の大気圧(例えば、1気圧)の下で露光光ILの波長に関して最良に収差補正されており、かかる条件下においてレチクルRとウエハWとは互いに共役になっている。また、本例の露光装置ではケーラー照明が採用されており、前述した照明光学系の瞳面に形成される2次光源(多数の光源像からなる面光源)が投影光学系PLの瞳面に結像される。なお、投影光学系PLは複数のレンズ等の光学素子を有し、その光学素子の硝材としては露光光ILの波長に応じて石英、蛍石等の光学材料から選択されている。
図1において、レチクルRは、マスクステージとしてのレチクルステージ21上に吸着保持され、レチクルステージ21は、レチクルベース22上でY方向に等速移動できると共に、X方向、Y方向、及びZ軸回りの回転方法にレチクルRを微動できるようになっている。レチクルステージ21の一端には移動鏡23が取り付けられており、移動鏡23の鏡面に対面してレーザ干渉計24が設けられている。このレーザ干渉計24によってレチクルステージ21(レチクルR)の2次元的な位置及び回転角がリアルタイムに計測されている。このレーザ干渉計24の計測結果及び主制御系34からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット25がレチクルステージ21の走査速度、及び位置の制御を行う。
一方、ウエハWは、ウエハホルダ26を介して基板ステージとしてのウエハステージ27上に吸着保持され、ウエハステージ27は、ウエハベース28上で投影光学系PLの像面と平行なXY平面に沿って2次元移動する。即ち、ウエハステージ27は、ウエハベース28上でY方向に一定速度で移動すると共に、X方向、Y方向にステップ移動する。更に、ウエハステージ27には、ウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)、並びにX軸及びY軸の回りの傾斜角(θx及びθy方向の回転量)を制御するZレベリング機構も組み込まれている。なお、Zレベリング機構は上記3つの方向に加えてX方向、Y方向、及びZ軸回りのθz方向にもウエハWを微動可能としてもよい。
ウエハステージ27の一端には移動鏡29が取り付けられており、移動鏡29の鏡面に対面してレーザ干渉計30が設けられている。このレーザ干渉計30によってウエハステージ27のX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角がリアルタイムに計測されている。レーザ干渉計30の計測結果及び主制御系34からの制御情報に基づいて、駆動制御ユニット(リニアモータ、ボイスコイルモータなどのアクチュエータを含む)31がウエハステージ27の走査速度、及び位置の制御を行う。なお、移動鏡29を設ける代わりに、例えばウエハステージ27の端面(側面)を鏡面加工して形成される反射面を用いてもよい。
また、ウエハステージ27上のウエハWの近傍には、ウエハWの露光面と同じ高さの受光面を有する光電検出器からなる照射量センサ32が設置されている。この照射量センサ32は、前述の露光領域EAと同程度以上の大きさの受光面を有し、その受光面に設けられた透過部から露光光ILを受光して露光領域EA内での照射量を検出するものであり、照射量を測定するときには、ウエハステージ27を駆動して受光面が露光領域EAとほぼ一致するように照射量センサ32を配置する。さらに、ウエハステージ27は固定したままレチクルステージ21を駆動し、レチクルRのパターン領域及び投影光学系PLを通過する露光光ILが照射量センサ32で受光され、照射量センサ32から出力される検出信号は露光制御ユニット33に供給される。
また、前述したビームスプリッタ11で反射された光は、集光レンズ35を介して光電検出器よりなるインテグレータセンサ35の受光面に集光されている。インテグレータセンサ35の受光面は、一例としてレチクルRのパターン形成面及びウエハWの露光面とほぼ共役であり、インテグレータセンサ35の検出信号(光電変換信号)は、露光制御ユニット33に供給されている。
露光制御ユニット33にはインテグレータセンサ35の出力信号からウエハW上での照射量(単位時間当たりの露光量)を求めるための変換係数等が格納されている。インテグレータセンサ35の受光面はレチクルRのパターン面とほぼ共役な位置に配置されているので、第2フライアイレンズ9の射出面に配置された開口絞り板10により照明条件を変更した場合でも、インテグレータセンサ35の検出信号に誤差が生じないようになっている。なお、インテグレータセンサ35の受光面を、投影光学系PLにおけるレチクルRのパターンのフーリエ変換面(瞳面)と実質的に共役な観察面に配置して、この観察面を通過する全光束を受光できるようにしても構わない。
更に、本実施形態では、ビームスプリッタ11に関してインテグレータセンサ35と反対側に集光レンズ37と光電検出器よりなるウエハ反射率センサ38とが設置されており、ウエハ反射率センサ38の受光面は集光レンズ37によりウエハWの表面とほぼ共役になっている。この場合、レチクルRを透過して投影光学系PLを介してウエハW上に照射される露光光ILのうちで、ウエハWでの反射光が、投影光学糸PL、レチクルR等を介してウエハ反射率センサ38で受光され、この検出信号(光電変換信号)が露光制御ユニット33に供給される。
露光制御ユニット33は、照射量センサ32の検出信号などから算出される、レチクルRを介して投影光学系PLに入射する露光光ILの単位時間当たりの光エネルギー、及びウエハ反射率センサ38の検出信号から算出されるウエハWでの反射光の単位時間当たりの光エネルギーを算出する。算出された光エネルギーは主制御系34に出力される。主制御系34は、この光エネルギーに基づいて基づいて、投影光学系PLを通過する露光光ILの単位時間当たりの光エネルギーを求める。更に、このように求められた光エネルギーに露光時間を乗じて得られる熱エネルギーに基づいて、主制御系34は投影光学系PLの熱膨張量を予測し、この予測された熱膨張量による投影光学系PLの各結像特性の変化量を求める。
また、投影光学系PLの鏡筒付近には大気圧センサ39が設けられており、主制御系34は大気圧センサ39の検出結果に基づいて大気圧の変動による投影光学系PLの各結像特性の変化量を求める。そして、主制御系34は、結像特性制御部40を介して投影光学系PLに設けられた結像特性補正部41を制御することで、熱膨張による投影光学系PLの各結像特性の変化及び大気圧の変動による投影光学系PLの各結像特性を調整する。なお、投影光学系PLの結像特性の調整についての詳細は後述する。上記の主制御系34は、本発明にいう予測部に相当し、結像特性制御部40は、本発明にいう制御部に相当する。これら主制御部34及び結像特性制御部40を含む構成が、本発明にいう制御装置に相当する。
なお、大気圧センサ39は投影光学系PLの鏡筒の内部と鏡筒の外部との2箇所に設けることが好ましい。このように投影光学系PLの内部と外部との2箇所に大気圧センサ39を設けるのは、投影光学系PL内部には、投影光学系PL外部の空気とは別の気体(例えば、窒素又はヘリウム)が充填又はフローされる場合があるからである。窒素は例えば投影光学系PL内におけるオゾンの発生を抑えるために用いられ、ヘリウムは空気に比べて屈折率が小さいため、例えば投影光学系PLの結像特性変化を小さくするために用いられる。
また、本実施形態においては、投影光学系PLの結像面に向けてピンホール又はスリット状の像を形成するための結像光束を、投影光学系PLの光軸AXに対して斜め方向から供給する照射光学系42aと、その結像光束のウエハW表面での反射光束を受光する受光光学系42bとからなる斜入射方式の焦点位置検出系42が設けられている。この焦点位置検出系42により、ウエハW表面の結像面に対するZ方向の位置及び傾斜角を検出してウエハWと投影光学系PLとの合焦状態を検出することができるようになっている。
更に、レチクルR裏面側には、スリット状の像を形成するための結像光束を、投影光学系PLの光軸AXに対して斜め方向から供給する照射光学系43aと、その結像光束のレチクルR裏面での反射光束を受光する受光光学系43bとからなる斜入射方式の焦点位置検出系43が設けられている。この焦点位置検出系43により、レチクルR裏面の結像面に対するZ方向の位置及び傾斜角を検出してウエハWとレチクルRとの共役関係の状態を検出することができるようになっている。
次に、投影光学系PLに設けられた結像特性補正部41の概略構成及び動作について説明する。図2は、本実施形態の露光装置が備える投影光学系PLの概略構成を示す図であり、図3は、投影光学系の分割鏡筒のうちの一つの分割鏡筒を示す上面図である。なお、図2及び図3においても、図1に示したXYZ直交座標系と同様のXYZ直交座標系を設定して各部材の位置関係について説明する。
図2に示すように、投影光学系PLの鏡筒50は複数の分割鏡筒50a〜50lを備えており、フランジ51を介して、図示せぬ露光装置のフレームに支持されている。これら複数の分割鏡筒50a〜50lは、光軸AX方向に積層されている。そして、本実施形態では、複数の分割鏡筒50a〜50lのうち、分割鏡筒50b,50d,50e,50f,50gにより支持されているレンズ52b,52d,52e,52f,52gは、光軸AX方向(Z方向)に移動可能かつX方向又はY方向を軸として傾斜(チルト)可能な可動レンズとなっている。レンズ52b,52d,52e,52f,52gを保持している分割鏡筒50b,50d,50e,50f,50gの構成につき、分割鏡筒50bの構成を代表させて説明する。なお、他の分割鏡筒50d,50e,50f,50gの構成については、分割鏡筒50bの構成とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
分割鏡筒50bは、分割鏡筒50bの(Z方向)上下に位置する分割鏡筒50a,50cと接続される外側環53bと、レンズ52bを保持するレンズ枠54bとを備えている。このレンズ枠54bは、外側環53bに対して光軸方向(Z方向)に移動可能かつX軸に平行な軸又はY軸に平行な軸の周りでチルト可能となるように、外側環53bに連結されている。また、分割鏡筒50bは、外側環53bに取り付けられたアクチュエータ55bを備えている。このアクチュエータ55bとしては、例えば圧電素子を適用することができる。アクチュエータ55bは、図1に示す結像特性制御部40の制御の下で、例えば弾性ヒンジから構成される変位拡大機構としてのリンク機構を介してレンズ枠54bを駆動する。このアクチュエータ55bは、分割鏡筒50bの3箇所に取り付けられており、これにより、レンズ枠54bの3箇所が独立に光軸方向(Z方向)へ移動する。なお、上記レンズ52b,52d,52e,52f,52gは、本発明にいう光学素子に相当し、アクチュエータ55b,55d,55e,55f,55gは、本発明にいう駆動装置に相当する。
図3を参照して詳述する。なお、以下の説明では分割鏡筒50b,50d,50e,50f,50g及びそれを構成する各部材を区別せずにそれらの何れかを指定する場合には、符号の末尾に付される記号「a」〜「g」を省略して説明する。図3において、レンズ52の周縁には、3つの鍔部61a〜61cがXY平面内における方位角120°毎に設けられている。そして、レンズ枠54は、クランプ部62a〜62cを備えており、これらがレンズ52の3つの鍔部61a〜61cを保持している。そして、レンズ枠54は、XY平面内における方位角120°ごとの駆動点DP1〜DP3の位置で、リンク機構を介して3つのアクチュエータ(不図示)によりZ方向に沿って独立に駆動される。
ここで、3つのアクチュエータによるZ方向の駆動量が同じ量である場合は、レンズ枠54は外側環53に対しZ方向(光軸方向)へ移動することとなり、3つのアクチュエータによるZ方向の駆動量が異なる量である場合は、レンズ枠54は外側環53に対しX軸に平行な軸又はY軸に平行な軸の周りで傾くこととなる。なお、3つのアクチュエータによるZ方向の駆動量が異なる量である場合には、レンズ枠54が外側環53に対しZ方向(光軸方向)へ移動することもあり得る。図1に示す結像特性補正部41は以上の構成により実現されている。
さて、図2に戻り、分割鏡筒50bは、外側環53bに取り付けられて、例えば光学式エンコーダ(又は静電容量センサなど)からなる駆動量計測部56bを備えている。この駆動量計測部56bは、図3に示した方位角120°ごとの3つの計測点MP1〜MP3の位置における外側環53bに対するレンズ枠54bのZ方向(光軸方向)の移動量を計測する。従って、アクチュエータ55b及び駆動量計測部56bにより、レンズ枠54bの移動、ひいてはレンズ52bの移動をクローズドループで制御することができる。
図2に示した分割鏡筒50a〜50lのうち、分割鏡筒50a,50c,50h,50i,50j,50k,50lにより支持されているレンズ52a,52c,52h,52i,52j,52k,52lは、固定レンズとなっている。これらの固定レンズ52a,52c,52h,52i,52j,52k,52lを保持している分割鏡筒50a,50c,50h,50i,50j,50k,50lの構成につき、分割鏡筒50cの構成を代表させて説明する。なお、分割鏡筒50c以外の他の分割鏡筒50a,50h,50i,50j,50k,50lの構成については、分割鏡筒50cの構成とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。分割鏡筒50cは、分割鏡筒50cの(Z方向)上下に位置する分割鏡筒50b,50dと接続される外側環53cと、当該外側環53cに取り付けられてレンズ52cを保持するレンズ枠54cとを備えて構成される。
本実施形態においては、アクチュエータ55として、高精度、低発熱、高剛性及び高クリーン度の圧電素子を使用して、この圧電素子の駆動力を弾性ヒンジからなるリンク機構により拡大させる構成としているため、圧電素子自体のコンパクト化を図れる利点がある。なお、アクチュエータ55を圧電素子で構成する代わりに、磁歪アクチュエータや流体圧アクチュエータで構成しても良い。また、上記レンズ52a〜52lは単一のレンズ素子から構成されることもあり、複数のレンズ素子を組み合わせたレンズ群からなることもある。
以上の構成の投影光学系PLにおいては、レンズ52a,52c,52h,52i,52j,52k,52lの姿勢(光軸AX方向の位置及びXY平面に対する傾斜)を変えることなくレンズ52b,52d,52e,52f,52gの姿勢を可変することができる。本例では結像特性制御部40によりこれらのレンズの内、1つのレンズの姿勢を調整することにより、又は、複数のレンズの姿勢を互いに関連付けて調整することにより、投影光学系PLで生ずる5つの回転対称な結像特性(収差など)及び5つの偏心収差を個別に補正することができる。なお、ここでいう5つの回転対称な結像特性とは、倍率、ディストーション(歪曲収差)、コマ収差、像面湾曲、及び球面収差をいう。また、5つの偏心収差とは、偏心ディストーション(歪曲収差)、偏心コマ収差、偏心非点収差、及び偏心球面収差をいう。
次に、焦点位置合わせ方法について説明する。まず、レチクルRとウエハWとを共役状態に合わせるため、ウエハWのZ方向における基準位置を以下に示す方法で求める。まず、所定のマークが描かれたレチクルRをレチクルステージ21の所定の場所に搭載して、ウエハステージ27をZ方向にステップ送りしつつ、レチクルRの所定のマークをウエハW上に焼き付けて現像する。このウエハWを光学顕微鏡で観察して焼き付けたマーク形状が最も良好なZ方向の位置を基準位置とし、そのときのレチクルR側の斜入射方式の焦点位置検出系43及びウエハW側の斜入射方式の焦点位置検出系42の出力を焦点基準位置として主制御系34の図示しない記憶装置に記憶しておく。これ以降の焦点位置の変動についての補正はこの焦点基準位置に基づいて行われる。なお、上記焼き付けの代わりに、投影光学系PLの像面側でレチクルRのマークの投影像を検出して最良な焦点位置を求めるようにしてもよい。
次に、本実施形態におけるウエハステージ27を用いた焦点位置の補正(調整)方法について説明する。既に説明したように、本実施形態においては、レチクルR及びウエハWはそれぞれレチクルR側の斜入射焦点位置検出系43及びウエハW側の斜入射焦点位置検出系42により、レチクルR及びウエハWの投影光学系PLの光軸AX方向の変位をそれぞれ検出できるようになっている。主制御系34は、これら斜入射焦点位置検出系42,43の検出結果と投影光学系PL自体の焦点位置変動量とを用いて焦点位置合わせを行う。
投影光学系PL自体の焦点位置変動量は、投影光学系PLの特性並びに投影光学系PLに入射する光量及び大気圧に基づいて算出する。投影光学系PL自体の焦点位置変動は、大別すると2つの要因で生ずる。第1の要因は投影光学系PL周囲の環境の変動、すなわち大気圧、温度、湿度の変化に基づく結像特性の変化である。第2の要因はウエハWの露光時に投影光学系PL自体が露光光ILを吸収して投影光学系PLを構成するレンズの形状や屈折率が変化してしまうことによる結像特性の変化である。なお、露光装置は、通常、温度及び湿度が厳しく管理されたチャンバ内に設置されているため、投影光学系PLの温度及び湿度の変化による結像特性の変化は無視できる場合が多い。
大気圧の変動が要因で生ずる投影光学系PL自体の焦点位置変動は、大気圧の変動率と投影光学系PLの焦点位置の変化率との関係を予め求めておき、この関係と大気圧センサ39の検出結果とに基づいて算出する。また、露光光ILの吸収が要因で生ずる投影光学系PL自体の焦点位置変動は、予めモデル関数を用いて投影光学系PLをモデル化して露光光ILの吸収による焦点位置変動率を求めておき、このモデル関数とインテグレータセンサ35の検出結果及びウエハ反射率センサ38の検出結果とに基づいて算出する。なお、投影光学系PL自体の焦点位置変動量を求める方法の詳細については前掲の特許文献1を参照されたい。
ここで、焦点基準位置に対するレチクルRの変位量をRz、焦点基準位置に対するウエハWの変位量をWz、投影光学系PLの投影倍率をML、投影光学系PL自体の焦点位置変動量をFLとすると、焦点位置変位量ΔFは、以下の(1)式で表される。
ΔF=FL+Rz×ML−Wz ……(1)
上記(1)式の左辺の焦点位置変位量ΔFが零となるようにウエハステージ27のZ方向の位置を調整することで、レチクルRとウエハWとの共役関係が保たれる。
また、投影光学系PLは、大気圧の変動又は露光光ILの吸収により上記の焦点位置変動以外に、投影光学系PLの結像特性が変化する。つまり、大気圧等の変動によって、倍率変化が生じるとともに、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、コマ収差、像面湾曲収差、及び球面収差が発生してしまう。本実施形態においては、主制御系34が上述した投影光学系PL自体の焦点位置変動に加えて、投影光学系PLの結像特性の変化を、投影光学系PLの特性並びに投影光学系PLに入射する光量及び大気圧に基づいて算出する。
大気圧の変動が要因で生ずる投影光学系PLの結像特性の変化は、大気圧の変動率と、像面湾曲変化、倍率変化、ディストーション変化、コマ収差変化、及び球面収差変化との関係を各々予め求めておき、これらの関係と大気圧センサ39の検出結果とに基づいて算出する。また、露光光ILの吸収が要因で生ずる投影光学系PLの結像特性は、焦点位置変動を求める場合と同様に、予めモデル関数を用いて投影光学系PLの各収差についてモデル化して露光光ILの吸収による収差の変化をそれぞれ求めておき、これらのモデル関数とインテグレータセンサ35の検出結果及びウエハ反射率センサ38の検出結果とに基づいて算出する。
投影光学系PLの結像特性変化(像面湾曲変化CU、倍率変化M、ディストーション変化D、コマ収差変化CO、球面収差変化SA)は以下の(2)式で表される。
Figure 2005051145
但し、上記(2)式中の各項は以下に示す変化を表すものである。
CUPRESS:大気圧変化による像面湾曲変化
PRESS :大気圧変化による倍率変化
PRESS :大気圧変化によるディストーション変化
COPRESS:大気圧変化によるコマ収差変化
SAPRESS:大気圧変化による球面収差変化
CUHEAT :露光光吸収による像面湾曲変化
HEAT :露光光吸収による倍率変化
HEAT :露光光吸収によるディストーション変化
COHEAT :露光光吸収によるコマ収差変化
SAHEAT :露光光吸収による球面収差変化
また、図2に示した投影光学系PLのレンズ52b,52d,52e,52f,52gの移動量G〜Gに対する投影光学系PLの結像特性変化は以下の(3)式で表すことができる。
Figure 2005051145
上記(3)式中のC11〜C55は係数であり、これらは実際にレンズ52b,52d,52e,52f,52gを光軸AX方向へ移動させて得られた移動量と結像特性変化量との関係から求められる。なお、ここでは、係数C11〜C55を実験により求める場合について説明したが、投影光学系PLの設計データからシミュレーションにより求めても良い。
主制御系34は、上記(2)式を用いてインテグレータセンサ35の検出結果、ウエハ反射率センサ38の検出結果、及び大気圧センサ39の検出結果から投影光学系PLの結像特性変化(像面湾曲変化CU、倍率変化M、ディストーション変化D、コマ収差変化CO、球面収差変化SA)を求めている。このため、上記(3)式の関係から、投影光学系PLの結像特性変化を補正するためのレンズ52b,52d,52e,52f,52gの移動量G〜Gは以下の(4)式で表すことができる。
Figure 2005051145
従って、主制御系34が求めた投影光学系PLの結像特性変化を上記(4)式に代入して得られた移動量G〜Gに基づいて、レンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動すれば、投影光学系PLの結像特性変化を補正することができる。
以上、ウエハステージ27を用いた焦点位置の補正及び投影光学系PLのレンズの移動による結像特性変化の補正について説明したが、次に、本実施形態の露光装置の動作について説明する。図4は、駆動されるレンズの位置変化の一例を示す図であって、(a)は従来の方法により駆動されるレンズの位置変化の一例を示し、(b)は本実施形態の方法により駆動されるレンズの位置変化の一例を示す図である。
なお、図4においては、投影光学系PLに含まれるレンズ52b,52d,52e,52f,52gの内の何れか2つの位置変化を示しており、ここではレンズ52b,52dの位置変化として説明する。図4において、符号Tr1を付した曲線はレンズ52bの位置変化を示し、符号Tr2を付した曲線はレンズ52dの位置変化を示している。また、図4においては、レンズ52aの初期位置を基準としてレンズ52b,52dの位置変化を図示している。
図4(a)に示す従来の方法においては、大気圧の変動及び投影光学系の露光光吸収による結像特性の変化(焦点位置や倍率の変動)に応じて、これを補正するために常時レンズ52b,52dを移動させている。このとき、例えばレンズ52bの移動によって生ずる投影光学系PLの結像特性の悪化を相殺するようにレンズ52dを駆動している。図4(a)を参照すると、露光時においては投影光学系PLにおいて露光光ILの吸収が生じ、投影光学系PLの結像特性の変化が大きいため、レンズ52b,52dの位置が大きく変化する。また、露光光ILの照射時間が長くなる(即ち、露光光ILの吸収による投影光学系PLの熱蓄積量が多くなる)につれて、レンズ52a,52dの位置変化が徐々に大きくなる。
これに対して、非露光時においては露光光ILの照射が停止されて投影光学系PLにおける露光光ILの吸収が生じないため、吸収した熱が放熱されて投影光学系PLの結像特性が徐々に初期の状態に戻る。これに合わせて、レンズ52b,52dも徐々に初期の位置に向かって移動するよう制御される。再度露光が開始されると、投影光学系PLでの露光光ILの吸収が生じるため、レンズ52b,52dの位置が大きく変化する。以下、このような動作が繰り返される。
スループットの向上を図る観点から、露光光ILの強度は高く設定されている。このため、非露光期間が終了して露光が開始されると、投影光学系PLに入射する光エネルギー量が急激に変化して露光光ILの吸収量も急激に大きくなり、その結果、投影光学系PLの結像特性が大きく変化する。この結像特性の変化を補正するためにレンズ52b,52dを駆動しても、結像特性補正部41の応答特性が遅く、移動させるべき目標位置にレンズ52b,52dが追従しないことがある。
また、図2及び図3を参照して説明した通り、レンズ52b,52dは、アクチュエータ55b,55dによってそれぞれ3点で駆動される。アクチュエータ55bの各々、及びアクチュエータ55dの各々によるZ方向の駆動量を等しくすれば、レンズ52b,52dは光軸AX方向(Z方向)に沿って平行移動する筈である。しかしながら、アクチュエータ55bの各々、及びアクチュエータ55dの各々の特性のばらつきにより、平行移動させようとする場合であってもレンズ52b,52dが傾斜することがある。この傾斜は駆動量を大きくして単位時間当たりのレンズ52b,52dの移動量が大きくなると顕著になる。
このため、従来の駆動方法によりレンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動すると、レンズ52b,52d,52e,52f,52gが目標位置に追従せず、又はレンズ52b,52d,52e,52f,52gの傾斜が生じて、例えばコマ収差の発生を引き起こしてしまい、却って投影光学系PLの結像特性の悪化を引き起こしてしまうという問題があった。また、露光中のレンズ52b,52d,52e,52f,52gの駆動量が大きくなると、レンズ52b,52d,52e,52f,52gの駆動によって振動が生ずることもある。
かかる問題点を解決するために、本実施形態では露光時にはレンズ52b,52d,52e,52f,52gの駆動を行わず、非露光時にレンズ52b,52d,52e,52f,52gを移動させて露光時における投影光学系PLの結像特性を補正するようにしている。具体的には、露光時に投影光学系PLで生ずるであろう収差を求め、この収差を補正しうるレンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置を予測し、露光が終了してから次の露光が開始されるまでに、予測した位置にレンズ52b,52d,52e,52f,52gを移動して固定し、露光中にはレンズ52b,52d,52e,52f,52gの駆動を行わないようにしている。
なお、本実施形態においては、投影光学系PLで生ずる収差を補正するために露光中にレンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動していないが、露光中において生ずる投影光学系PLの焦点位置ずれを補正するために、焦点位置ずれに応じてウエハステージ27を光軸AX方向(Z方向)に駆動するようにしても良い。但し、ウエハステージ27を光軸AX方向に駆動することにより、ウエハステージ27の振動が生じて露光精度の悪化を招く場合には、光軸AX方向におけるウエハステージ27の位置を変化させずに露光を行うことが好ましい。
次に、本実施形態の露光方法について説明する。なお、図4(a)に示した従来の方法との差異を明確にするため、本実施形態の説明においてもレンズ52b,52dを駆動して投影光学系PLの結像特性を補正する場合を例に挙げて説明する。
図4(b)において、符号OP1を付した破線で示した曲線がレンズ52bの目標位置を示し、符号OP2を付した破線で示した曲線がレンズ52dの目標位置を示している。図4(b)を参照すると、目標位置を示す曲線OP1,OP2は、露光終了時にのみステップ状の変化をしている。また、露光終了時において一度変化してから次の露光終了時までは変化をしない。露光終了時に示す変化は、次の露光時に生ずる収差を補正し得るレンズ52b,52dの位置である。また、レンズ52dはレンズ52bとはほぼ逆の位置変化をしており、本実施形態においても、レンズ52bの移動によって生ずる投影光学系PLの結像特性の悪化を相殺するようにレンズ52dが移動していることが分かる。
レンズ52b,52dの目標位置は、直前のショット領域を露光した際に生ずる投影光学系PLの収差の変動分と露光中に変動した収差とに基づいて算出する。ここで、例えば図4(b)中の期間T4,T5におけるレンズ52b,52dの目標位置を算出する場合について考える。この場合、「直前のショット領域を露光した際に生ずる投影光学系PLの収差の変動分」とは、期間T1で生じた投影光学系PLの収差の変動量から期間T2で生じた投影光学系PLの収差の変動分を差し引いて得られる収差、即ち期間T3の開始時における投影光学系PLの収差である。また、「露光中に変動した収差」とは、期間T3において生じた投影光学系PLの収差変動分である。つまり、期間T4の開始時において、主制御系PLは期間T3の終了時点で投影光学系PLで生じている収差を補正し得る位置をレンズ52b,52dの目標位置としている。
なお、主制御系34はインテグレータセンサ35の検出結果、ウエハ反射率センサ38の検出結果、及び大気圧センサ39の検出結果から投影光学系PLの結像特性変化を常時算出しており、期間T3の終了時点において算出した投影光学系PLの結像特性変化を前述した(4)式に代入して期間T4開始時におけるレンズ4b,54dの目標位置を求める。
また、図4(b)を参照すると、レンズ52b,52dの目標位置を示す曲線OP1,OP2は、露光終了時においてステップ状の変化を示しているが、レンズ52b,52dは実際にはこのような急激な目標位置の変化に追従することができない。このため、露光終了時点におけるレンズ52b,52dの位置変化は符号Tr1,Tr2を付した曲線の通り、目標位置を示す曲線OP1,OP2からずれた変化を示す。本実施形態においては、露光終了時から次に露光が開始されるまでの期間においてレンズ52b,52dを駆動して各々の目標位置に配置するとともに、移動中に生じたチルトを補正し終えてからレンズ52,52dの姿勢を固定している。
次に、本実施形態による投影光学系PLの結像特性の補正動作の流れについて説明する。図5は、本実施形態の投影光学系PLの結像特性の補正動作の流れを示すフローチャートである。露光処理が開始されると、まず主制御系34は不図示の記憶装置に記憶されている露光動作に必要な各種の情報(レシピ)を読み込み、露光処理を行う上で必要となる初期処理を行う。ここにいう、初期処理とは、例えば、レチクルRの導入、ウエハWのロード、レチクルR上の照明領域の設定、投影光学系PL(即ち、前述のステージ座標系)に対するレチクルRの位置合わせ(アライメント)、最初に露光すべきショット領域をレチクルRのパターンの像が投影される位置へ位置合わせする処理等の処理である。
また、主制御系34は、上記の初期処理を行っている最中に、インテグレータセンサ35の検出結果、ウエハ反射率センサ38の検出結果、及び大気圧センサ39の検出結果から投影光学系PLの結像特性変化を算出する(ステップS10)。投影光学系PLの結像特性変化を算出すると、主制御系34は前述した(4)式を用いて、算出した投影光学系PLの結像特性変化を補正しうるレンズ52b,52d,52e,52f,52gの駆動量(目標位置)を算出し、この駆動量を結像特性制御部40に出力する。結像特性制御部40は、主制御系34から出力された駆動量に基づいてレンズ52b,52d,52e,52f,52gの少なくとも1つを駆動し、目標位置に追従させる(ステップS11)。
次に、ウエハステージ27上に載置されたウエハWの最初に露光すべきショット領域(第1ショット)に対する露光準備処理が完了したか否かが主制御系34において判断される(ステップS12)。この判断結果が「NO」である場合には、主制御系34は再度ステップS10,S11の処理を行い、投影光学系PLにおいて生じている収差を補正するためにレンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動する。
一方、ステップS12における判断結果が「YES」になった場合、つまり第1ショットに対する露光準備が完了した場合には、主制御系34は結像特性制御部40に制御信号を出力し、レンズ52b,52d,52e,52f,52gを現在の位置に固定させる(ステップS13)。露光処理の開始時においては、目標位置を予測することができないため、ステップS10,S11において投影光学系PLの収差を補正するようにレンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動し、第1ショットの露光準備が完了した時点において、各レンズ52b,52d,52e,52f,52gをその位置に固定している。
レンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置を固定する工程が終了すると、露光光ILをレチクルRの照明領域IAに照射し、レチクルRとウエハWとを同期移動させつつレチクルRに形成されたパターンを投影光学系PLを介してウエハW上に逐次転写する(ステップS14)。露光処理を行っている最中に主制御系34は常時露光処理が終了したか否かを判断しており、露光処理が終了した場合(判断結果が「YES」になった場合)には、インテグレータセンサ35の検出結果、ウエハ反射率センサ38の検出結果、及び照射量(又は露光時間)、並びに、大気圧センサ39の検出結果から露光処理を開始してから生じた投影光学系PLの収差変化を算出する(ステップS16)。なお、露光光ILの吸収による投影光学系PLの収差変化は、投影光学系PLを通過する光エネルギー量が一定であれば、時間の関数となる。
投影光学系PLの結像特性変化を算出すると、主制御系34は露光開始直前における投影光学系PLの収差(露光開始直前にステップS10で算出される収差)と、ステップS16で算出した収差変化とに基づいて、収差を補正しうるレンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置(目標位置)を予測する(ステップS17)。目標位置を予測すると、主制御系34は結像特性制御部40に制御信号を出力し、レンズ52b,52d,52e,52f,52gの移動を開始させ、次の露光処理が開始されるまでレンズ52b,52d,52e,52f,52gを目標位置に配置させるとともに、移動によって生じた各レンズ52b,52d,52e,52f,52gのチルトを補正させて固定させる(ステップS18)。なお、ステップS17では投影光学系PLの結像特性の変化量が主制御系34によって露光期間及び非露光期間の区別なく常時計算されている。このとき、主制御系34は結像特性の変換量だけでなく各レンズの目標位置をも上記期間の区別なく計算しておくようにしてもよい。
各レンズ52b,52d,52e,52f,52gを目標位置に固定すると、主制御系34は次に露光すべきショット領域が有るか否かを判断する(ステップS19)。次に露光すべきショット領域が有ると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、ステップS14に戻り、ウエハステージ27を駆動して露光すべきショット領域を露光開始位置に配置した後で、露光光ILをレチクルRの照明領域IAに照射し、レチクルRとウエハWとを同期移動させつつレチクルRに形成されたパターンを投影光学系PLを介してウエハW上に逐次転写する。
一方、ステップS19において、次に露光すべきショット領域が無いと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、主制御系34は次に露光すべきウエハWの有無を判断する(ステップS20)。ここで、次に露光すべきウエハWが無いと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、一連の露光処理が終了する。ステップS20において、次に露光すべきウエハWが有ると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、露光処理を終えたウエハWの搬出を行うとともに、次に露光すべきウエハWを搬入してウエハWの交換を行う(ステップS21)。
ウエハWの交換が開始されると、主制御系34の処理はステップS10に戻り、投影光学系PLの収差を求めて、算出した収差を補正しうるレンズ52b,52d,52e,52f,52gの駆動量(目標位置)を算出し、結像特性制御部40に制御信号を出力してレンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動させる。この状態で、主制御系34は新たに搬入したウエハWの第1ショットに対する露光準備処理が完了したか否かを判断し(ステップS12)、完了していない場合には、ステップS10,S11の処理を繰り返し行う。
一方、第1ショットに対する露光準備処理が完了した場合には、主制御系34は結像特性制御部40に制御信号を出力し、レンズ52b,52d,52e,52f,52gを現在の位置に固定させる(ステップS13)。前述した通り、本実施形態においては、基本的には露光時に投影光学系PLで生ずるであろう収差を求め、この収差を補正しうるレンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置を予測し、露光が終了してから次の露光が開始されるまでに、予測した位置にレンズ52b,52d,52e,52f,52gを移動して固定し、露光中にはレンズ52b,52d,52e,52f,52gの駆動を行わないようにしている。
しかしながら、ウエハWの交換を行う場合には、最終のショット領域の露光処理を終えてから交換した新たなウエハWの第1ショットを露光するまでの時間(非露光時間)が長くなってしまう。非露光時間が長くなると、最終のショット領域の露光処理を終えた時点でレンズ52b,52d,52e,52f,52gを予測した目標位置に配置しても、交換した新たなウエハWの第1ショットを露光するときの投影光学系PLの収差を補正しうるレンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置は予測した目標位置とは異なることが多い。
このため、ウエハWの交換を行うときには、一度投影光学系PLの収差の変化に合わせて、これを補正するように各レンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動し、新たなウエハWの第1ショットを露光する準備が完了した時点において、各レンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置をその時点における位置に固定するようにしている。
以上説明した露光処理を繰り返している最中において、何らかの事情により強制的に露光処理が中止されることがある。露光処理が強制的に中止された場合には、次に露光処理が開始されるまでに長い間露光処理が中止されることが多い。このため、ウエハWを交換する場合と同様に、非露光時間が長くなる状況となる。従って、露光処理が強制的に中止された場合には、一度投影光学系PLの収差の変化に合わせて、これを補正するように各レンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動し、露光処理の強制的な中止が解除された時点において、各レンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置をその時点における位置に固定するようにしている。
図6は、露光処理が強制的に中止されてから露光処理が再開されるまでの処理を示すフローチャートである。図6において、露光処理(例えば、図5中におけるステップS14の処理)を行っている間に、露光処理を中止しなければならない事態が生じた場合には、まず露光処理が強制的に中止される(ステップS30)。露光処理が中止されている状態において、主制御系34は露光処理の強制的な中止から所定時間(例えば、数分程度)が経過したか否かを判断する(ステップS31)。
ステップS31において所定時間経過したと判断すると、主制御系34は、インテグレータセンサ35の検出結果、ウエハ反射率センサ38の検出結果、及び大気圧センサ39の検出結果から投影光学系PLの結像特性変化を算出する(ステップS32)。投影光学系PLの結像特性変化を算出すると、主制御系34は前述した(4)式を用いて、算出した投影光学系PLの結像特性変化を補正しうるレンズ52b,52d,52e,52f,52gの駆動量(目標位置)を算出し、この駆動量を結像特性制御部40出力する。結像特性制御部40は、主制御系34から出力された駆動量に基づいてレンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動し、目標位置に追従させる(ステップS33)。
次に、主制御系34は、露光装置が露光処理を再開可能な状態になって露光処理の強制中止が解除されたか否かを判断する(ステップS34)。露光処理の強制中止が解除されていない場合(判断結果が「NO」の場合)には、主制御系34は再度ステップS32,S33の処理を行い、投影光学系PLにおいて生じている収差を補正するためにレンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動する。一方、露光処理の強制中止が解除された場合(判断結果が「YES」の場合)には、各レンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置をその時点における位置に固定して図5中の露光処理S14を開始する。
以上説明した通り、本実施形態においては、露光終了時点において、次の露光時に生ずるであろう投影光学系PLの収差を求めるとともに、この収差を補正しうる各レンズ52b,52d,52e,52f,52gの目標位置を予測し、次の露光処理が開始されるまでの間に各レンズ52b,52d,52e,52f,52gを予測した目標位置に移動させてチルトを補正した上で固定している。このため、露光処理を行っている最中にレンズを駆動させて却って投影光学系PLの悪化を招くといった事態は生ぜず、投影光学系PLの結像特性の悪化をさほど引き起こさず、良好な露光精度を得ることができる。
また、ウエハWの交換又は露光処理の強制的な中止等の非露光期間が長くなる場合には、一度投影光学系PLの収差を求めてこれを補正するように各レンズ52b,52d,52e,52f,52gを駆動し、露光処理が再開されたときに各レンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置をその時点における位置に固定しているため、予想した各レンズ52b,52d,52e,52f,52g目標位置と実際に投影光学系PLの収差を補正しうる各レンズ52b,52d,52e,52f,52gの位置との差異を極力小さくすることができる。なお、上記実施形態では非露光期間が長くなる場合、例えば露光処理の終了直後などに一度だけ投影光学系PLの収差変化を補正するように各レンズを駆動するものとしたが、非露光期間中に前述の収差変化に応じて各レンズを駆動し続けるようにしてもよいし、あるいは非露光期間中に所定の時間間隔で各レンズを駆動するだけでもよい。また、その非露光期間中は結像特性の変化量の計算のみを行うものとし、各レンズの駆動は行わないようにしてもよい。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。例えば、上記実施形態では非露光期間中に収差変化の補正を全く行わないものとしたが、例えば投影光学系の種類などによってはレンズの駆動量が比較的小さくて済む収差が存在し得るので、この収差についてはその変化を露光中に補正してもよい。また、倍率変化の補正に必要なレンズの駆動量が比較的小さい投影光学系では、露光中に倍率変化の補正を行ってもよい。
また、上記実施形態では露光中にウエハWのZ方向の位置のみを調整するものとしたが、例えば像面湾曲をも考慮して、露光領域EA内でウエハWの表面が投影光学系PLの焦点深度内に設定されるようにウエハWの傾斜角(θx及びθy方向の回転量)の調整を行うようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では結像特性補正部41、即ち投影光学系PLのレンズの移動のみによって倍率や各種収差を調整するものとしたが、他の少なくとも1つの補正機構、例えばレチクルRのZ方向への移動及び傾斜を行う機構、あるいは露光光ILの波長をシフトさせる機構などを組み合わせて、投影光学系PLの結像特性を調整してもよい。このとき、結像特性補正部41以外の補正機構でもその補正対象の結像特性を非露光期間中のみ補正するようにしてもよい。
また、上記実施形態では投影光学系PLの物体面側でレチクルRのパターン面の位置情報を検出する焦点位置検出系43を設けるものとしたが、この焦点位置検出系43を設けないでウエハ側の焦点位置検出系42を用いるだけでもよい。
例えば、上記実施形態では本発明をステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、上記実施形態では、レンズ52b,52d,52e,52f,52gの目標位置は、直前のショット領域を露光した際に生ずる投影光学系PLの収差の変動分と露光中に変動した収差とに基づいて算出していた。つまり、投影光学系PLの過去の収差の変動分のみに基づいて目標位置を算出していた。しかしながら、各露光期間の間の非露光期間の長さ及びこれから露光を行う露光期間の長さが予め既知である場合には、これから露光を行う期間において生ずる投影光学系PLの収差変化を予測することができるため、この予測結果をも考慮して各レンズ52b,52d,52e,52f,52gの目標位置を算出するようにしても良い。
また、上記実施形態では露光光ILとしてArFエキシマレーザから射出されるレーザ光(波長193nm)を用いていたが、超高圧水銀ランプから射出されるg線(波長436nm)及びi線(波長365nm)又は、KrFエキシマレーザ(波長248nm)若しくはFエキシマレーザ(波長157nm)から射出されるレーザ光、又は金属蒸気レーザやYAGレーザの高調波等を用いても良い。
さらに、例えば国際公開(WO)99/46835号に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を用いるようにしてもよい。さらに、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いてもよい。また、投影光学系は、反射光学系、屈折光学系、及び反射屈折光学系のいずれを用いてもよいし、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれを用いてもよい。
さらに、半導体素子の製造に用いられるデバイスパターンをウエハ上に転写する露光装置だけでなく、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられるデバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置等にも本発明を適用することができる。また、露光装置で使用するマスク(レチクル)の製造に用いられる露光装置にも本発明を適用することができる。さらに、例えば国際公開(WO)99/49504号に開示される液浸型露光装置にも本発明を適用することができる。また、例えば国際公開(WO)98/24115号、98/40791号に開示されるように、露光動作とアライメント動作(マーク検出動作)とをほぼ並行に可能な2つのウエハステージを備える露光装置にも本発明を適用することができる。
複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージや基板ステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、さらに総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより本実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
半導体素子は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいて、レチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、上述した実施形態の露光装置等によりレチクルのパターンをウエハに露光転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成の概略を示す図である。 本発明の実施形態に係る露光装置が備える投影光学系の概略構成を示す図である。 投影光学系の分割鏡筒のうちの一つの分割鏡筒を示す上面図である。 駆動されるレンズの位置変化の一例を示す図であって、(a)は従来の方法により駆動されるレンズの位置変化の一例を示し、(b)は本実施形態の方法により駆動されるレンズの位置変化の一例を示している。 本発明の実施形態における投影光学系の結像特性の補正動作の流れを示すフローチャートである。 露光処理が強制的に中止されてから露光処理が再開されるまでの処理を示すフローチャートである。
符号の説明
34…主制御系(予測部、制御装置)
40…結像特性制御部(制御部、制御装置)
52b,52d,52e,52f,52g…レンズ(光学素子)
55b,55d,55e,55f,55g…アクチュエータ(駆動装置)
PL…投影光学系
R…レチクル(マスク)
W…ウエハ(基板)

Claims (14)

  1. パターンが形成されたマスク及び複数の光学素子を有する投影光学系を介して間欠的に露光光を照射して基板を露光する露光方法であって、
    前記投影光学系の収差を求め、当該収差を補正しうる前記光学素子の目標位置を予測する予測工程と、
    非露光中であって次の露光開始前に前記光学素子の前記目標位置への移動が完了するように、該光学素子の移動を制御する移動工程とを含むことを特徴とする露光方法。
  2. 前記予測工程では露光終了時点における前記投影光学系の収差を求め、
    前記移動工程では前記光学素子の移動制御を非露光開始時点で開始することを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
  3. 前記予測工程では、前記投影光学系に入射する光量、大気圧、及び前記投影光学系の特性に基づいて、前記収差を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光方法。
  4. 非露光中であって非露光時間が予め決められた所定時間を越えた場合に、前記投影光学系の収差の変動に追従して前記光学素子を移動させる追従移動工程を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の露光方法。
  5. 前記追従移動工程中であって露光を再開する場合には、前記追従移動工程を終了し、前記光学素子を当該追従移動工程終了時点における該光学素子の位置で停止させることを特徴とする請求項4に記載の露光方法。
  6. 露光を強制的に中止させて前記追従移動工程を行っている場合であって前記中止が解除された場合には、前記光学素子を前記中止が解除された時点における前記光学素子の位置で停止させることを特徴とする請求項4に記載の露光方法。
  7. 前記光学素子の移動は、何れか一つの光学素子の移動に伴って生ずる前記投影光学系の光学特性の変化を他の光学素子の移動によって相殺するように行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の露光方法。
  8. パターンが形成されたマスク及び光学素子を有する投影光学系を介して、間欠的に露光光を照射して基板を露光する露光装置であって、
    前記光学素子を駆動する駆動装置と、
    前記投影光学系の収差を求め、当該収差を補正しうる前記光学素子の目標位置を予測する予測部、及び非露光中であって次の露光開始前に前記光学素子の前記目標位置への移動が完了するように、該光学素子の移動を制御する制御部を含む制御装置とを備えることを特徴とする露光装置。
  9. 前記予測部は露光終了時点における前記投影光学系の収差を求め、
    前記制御部は前記光学素子の移動制御を非露光開始時点で開始することを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
  10. 前記予測部は、前記投影光学系に入射する光量、大気圧、及び前記投影光学系の特性に基づいて、前記収差を求めることを特徴とする請求項8又は9に記載の露光装置。
  11. 前記制御装置は、非露光中であって非露光時間が予め決められた所定時間を越えた場合に、前記投影光学系の収差の変動に追従して前記光学素子を移動させる追従移動制御部をさらに含むことを特徴とする請求項8〜10の何れか一項に記載の露光装置。
  12. 前記追従移動制御部により前記光学素子が前記投影光学系の収差に追従して移動させている場合であって露光を再開する場合に、当該追従移動を終了し、前記光学素子を当該追従移動終了時点における該光学素子の位置で停止させることを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
  13. 露光を強制的に中止させて前記追従移動制御部により前記光学素子が前記投影光学系の収差に追従して移動させている場合であって前記中止が解除された場合に、前記光学素子を前記中止が解除された時点における前記光学素子の位置で停止させることを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
  14. 前記光学素子の移動は、何れか一つの光学素子の移動に伴って生ずる前記投影光学系の光学特性の変化を他の光学素子の移動によって相殺するように行うことを特徴とする請求項8〜13の何れか一項に記載の露光装置。
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