JP2005050739A - 燃料電池システム - Google Patents

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    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

【課題】 燃料ガス又はアノードオフガスの燃焼時に、燃焼器の上限温度を超えないように速やかに燃焼させる。
【解決手段】 コントローラ31は、燃焼器15へ水素ガスまたはアノードオフガスの供給を開始したときに、燃焼温度検出手段30の検出値に基づいて燃焼温度の経過時間に対する変化率を算出し、変化率が大きいほど燃焼器15へ供給する空気またはカソードオフガスの供給流量を増加させるように制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システムに係り、特に、燃料ガスまたはアノードオフガスを燃焼させる燃焼器を備えた燃料電池システムに関する。
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。すなわち、燃料電池車両は、高圧水素タンク、液体水素タンク、水素吸蔵合金タンクなどの水素貯蔵装置を車両に搭載し、そこから供給される水素と、酸素を含む空気とを燃料電池に送り込んで反応させ、燃料電池から取り出した電気エネルギで駆動輪につながるモータを駆動するものであり、排出物質は水だけであるという究極のクリーン車両である。
通常、地上で使用される固体高分子型燃料電池は、酸化剤極に空気を供給している。この空気中の窒素の一部は、高分子電解質膜をリークして、酸化剤極から燃料極に至り、燃料ガス循環経路内に蓄積する。また、燃料ガスとして化学工業の副生水素ガスを用いる場合には、水素ガス中の不純物が燃料ガス循環経路に蓄積する。このような窒素等の不純物が燃料ガス循環路に蓄積すると、燃料極に供給される燃料ガス分圧が下がるので発電効率が低下する。
このため、一定時間毎、或いは、一定電力量を発電した後には、燃料ガス循環路内の不純物濃度が高まった燃料ガスを循環路外へ放出するパージ動作を行っている。但し、水素を含むパージガスをそのまま大気中に放出するのは好ましくないので、燃焼触媒を備えた燃焼器で燃焼させてから系外へ放出している。
また、この燃焼器は、燃料ガスを燃焼させて燃料電池システム起動時の熱源となり、凍結した純水の解凍等に利用されることもある。
このような触媒を用いた燃焼器は、触媒の耐熱温度を超えると、触媒活性が失われてしまい、温度を下げても復活しない場合が多い。従って、耐熱温度を超えないように燃焼器の温度制御を行う必要がある。
燃焼器の温度制御の従来技術としては、例えば、特許文献1記載の触媒燃焼器が知られている。この触媒燃焼器は、触媒温度を検出する触媒温度検出手段と、その検出信号を入力とする制御装置とを設けてあり、制御装置を触媒温度の時間変化率を演算して時間変化率が予め設定した上限値を超えると、触媒で異常発生と判定するように設定して触媒状態判定手段となすとともに、異常発生と判定されると燃料を供給する燃料供給手段を制御して異常燃焼の初期段階で燃料の供給を停止する、または燃料の供給量を異常発生前の燃料供給量より少量とし且つ空気の供給量を異常発生前よりも少量とする構成となっている。
特開平9−152104号公報(第4ページ、図2)
しかしながら上記従来の触媒燃焼器にあっては、触媒温度の時間変化率で異常発生の判定を行い、異常発生と判定された場合に、燃料の供給を停止する、または異常発生前よりも燃料および空気の供給量を低減する構成になっていたため、これを燃料電池システムのアノードオフガス処理用に適用しようとすると、運転中において、アノードおよびアノードオフガス循環装置内に蓄積する水素以外のガスや水を除去して発電効率の回復を短時間で行う必要がある場合は、アノードオフガス排出量を低減することは難しく、現実的でない。
またシステム起動直後などのシステム全体の温度が比較的低い場合では、温度の時間変化率が上限値を超えていても燃焼温度は燃焼器の構成品やシステムの耐熱温度までは上昇しない可能性もあり、その際に燃料や空気を変化させればシステム性能が低下する可能性があるという問題点があった。
本発明は、上記従来の問題点を解決するため、燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、酸化剤ガス供給する酸化剤ガス供給装置と、前記燃料ガスと前記酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックのアノードから排出されるアノードオフガスをアノード入口に循環させると共に外部からの指令により一時的に前記アノードオフガスを排出するアノードオフガス循環装置と、燃料ガスまたはアノードオフガスと酸化剤ガスまたは燃料電池スタックのカソードから排出されるカソードオフガスとの混合ガスを燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器内の燃焼温度を検出する燃焼温度検出手段と、前記燃焼器に燃料ガスまたはアノードオフガスの供給を開始した際に、前記燃焼温度検出手段が検出した燃焼温度の経過時間に対する変化率が大きいほど前記燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加するように前記酸化剤ガス供給装置を制御する制御手段と、を備えたことを要旨とする燃料電池システムである。
本発明によれば、燃焼器に燃料ガスまたはアノードオフガスの供給を開始した際に、燃焼温度が所定の上限燃焼温度に到達する以前に経過時間に対する燃焼温度変化率が大きいほど燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加することにより、燃焼温度が所定の上限温度を超えないように燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加するよう制御することができ、過度な熱負荷が生じる可能性がある場合でも燃焼温度がシステム部品の耐熱温度を超える以前に対応して燃焼器の性能低下を防止し、十分にアノードオフガスを燃焼させることができるという効果がある。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下の各実施例では、燃料ガスとして水素、酸化剤ガスとして空気を用いる例を説明する。
図1から図5は、本発明に係る燃料電池システムの実施例1を説明する図である。図1は、実施例1の燃料電池システムの概略構成図、図2(a)は、実施例1における燃焼器温度の時間変化を示すタイムチャート、図2(b)は、実施例1における空気流量制御を説明するタイムチャート、図3は、実施例1の制御内容を説明するフローチャート、図4は、実施例1で用いる水素排出流量マップの例、図5は、実施例1で用いる空気過剰率λマップの例である。
図1において、燃料電池システムは、水素供給装置1と、水素供給装置1から供給する水素ガスの圧力を調整する水素圧力調整弁2と、水素供給配管3と、アノード5およびカソード6を有する燃料電池スタック4と、アノード5から排出されるアノードオフガスをアノード入口に循環させるアノードオフガス循環装置7と、アノードオフガス循環配管8と、空気を供給する空気供給装置9と、カソード出口のカソードオフガス流量を制御することによりカソード圧力を調整する空気圧調整弁11と、アノードオフガス循環装置7からアノードオフガスを燃焼器15へ排出させるパージ弁12と、カソードオフガスから水を分離するセパレータ13と、セパレータ13から供給される水を用いて燃料電池スタック4に供給する水素および空気を加湿する加湿器14と、水素またはアノードオフガスを燃焼させる燃焼器15と、燃焼器15の排ガスと冷却水とを熱交換する冷媒用熱交換器18を備えている。
また、燃料電池システムは、燃料電池スタック4を冷却するための冷媒用ポンプ20と、冷媒の熱を外部へ放出するラジエター22と、冷媒通路を冷媒用熱交換器18またはラジエター22に切り替える三方弁21とを備えている。
さらに燃料電池システムは、空気供給装置9から燃焼器15へ空気を供給する開閉弁23と、水素圧力調整弁2で圧力調整された水素ガスを燃焼器15へ供給する開閉弁24とを備えている。そして、燃料電池起動時に冷媒を加熱する必要があるとき、開閉弁23,24を介して空気および水素を燃焼器15へ供給し、燃焼器15から高温の燃焼ガスを冷媒用熱交換器18に供給して、冷媒を加熱するようになっている。
燃料電池システム全体を制御するコントローラ31には、入力装置として、燃料電池スタック4の出力電圧を検出する電圧検出手段25,アノードオフガスの温度を検出する温度検出手段26,同圧力を検出する圧力検出手段27,カソードオフガスの温度を検出する温度検出手段28,同圧力を検出する圧力検出手段29、燃焼器15の燃焼室17の燃焼温度を検出する燃焼温度検出手段30が接続されている。
またコントローラ31には、出力装置として、水素圧力調整弁2,空気供給装置9,空気圧力調整弁11,パージ弁12,開閉弁23,24,三方弁21が接続されている。
そして、コントローラ31は、上記各入力装置の検出値に基づいて上記各出力装置に指令を発して、燃料電池システムの運転を制御する。
燃料電池システムの通常運転時には、水素供給装置1から水素をアノード5に、また空気供給装置9により空気をカソード6にそれぞれ供給し、燃料電池スタック4内で反応させて発電する。その際アノード5からは消費されずに残ったアノードオフガスが、またカソード6からは一部の酸素が消費され且つ発電により生成した水分を含んだカソードオフガスがそれぞれ排出される。
通常作動時では、アノードオフガスは、アノードオフガス循環装置7により水素供給配管3に全量循環されて再度アノード5へと供給される。カソードオフガスは、空気圧調整弁11からセパレータ13を経由して燃焼器15へ供給された後に、外部に排気される。セパレータ13は、カソードオフガスから水を凝縮させて気液分離し、液体として回収した水を加湿器14へ供給する。加湿器14は、燃料電池スタック4に供給される水素および空気を加湿する。
通常運転中に、燃料電池スタック4の電解質膜をカソード6からアノード5へリークした窒素ガスは、アノード5とアノードオフガス循環装置7およびアノードオフガス循環配管8からなる循環経路内に蓄積する。このためアノード5の水素ガス分圧が低下し発電効率が下がるので、ある程度窒素が蓄積すると、アノードオフガスを循環経路から外部へ放出する必要がある。このためアノードオフガス循環装置7からアノードオフガスを燃焼器15へ排出するためのパージ弁12が設けられている。パージ弁12を開いてアノードオフガスを排出する動作は、パージと呼ばれている。
また、化学工業の副生ガスとして得られる水素ガス等を燃料ガスとして用いる場合、水素ガスに不純物が混入している場合がある。これらの不純物は、燃料電池スタックを構成する材料や電極触媒に影響しない不純物であっても、上記の窒素ガスと同様に水素循環路に蓄積して、水素分圧を低下させることがある。このような場合にもパージが必要となる。さらに、燃料電池スタック4の内部で水詰まりを生じた場合にもパージが必要となる。
燃焼器15は、供給される水素あるいはアノードオフガスと、空気あるいはカソードオフガスとを混合して均一な混合ガスを形成するミキサ16と、燃焼触媒を担持して混合ガスを燃焼させる燃焼室17と、燃焼室17の温度を検出する燃焼温度検出手段30で構成され、燃焼ガスは冷媒用熱交換器18と排気管19を経由してシステム外へ排気される。
コントローラ31は、燃焼温度検出手段30が検出した燃焼室17の温度に基づいて、アノードオフガス供給開始時からの経過時間に対する燃焼温度変化率を算出し、この燃焼温度変化率が大きいほど、燃焼器15へのアノードオフガス供給流量を増加させるように制御する制御手段である。
次に、図3のフローチャートを参照して、コントローラ31による制御動作を説明する。
まず、S10でコントローラ31は、燃料電池スタック4の出力電圧を検出する電圧検出手段25の検出値を読み込み、検出値が所定の電圧値よりも低下しているか否かを判定する。所定電圧以上であれば、パージの必要がないので、S10による出力電圧の検出および判定を繰り返す。所定の電圧値より低下していれば、パージが必要なので、S20へ進み、コントローラ31がパージ弁12を開かせるためにパージ信号を発信する。これによりパージ弁12が開いて、アノードオフガス循環装置7からアノードオフガスが燃焼器15に排出される。
その際、アノードオフガス排出に先立って、S30で、温度検出手段26により検出されるアノードオフガス温度と、圧力検出手段27により検出されるアノードオフガス圧力とから、予め設定される温度、圧力に対応した水素排出流量マップ(図4)を元にアノードオフガス循環装置7から排出されるアノードオフガス中に含まれる水素排出流量Qh2を求める。
次いで、S40で排出水素を燃焼させる際に燃焼温度を上限燃焼温度とするために必要なカソードオフガス流量に対応する燃料電池スタックへの供給空気流量Q1 を求めるため、温度検出手段28により検出するカソードオフガスの温度と、圧力検出手段29により検出するカソードオフガスの圧力から、予め設定される空気過剰率λマップ(図5)をもとに空気過剰率λを求める。
ここで空気過剰率λマップにおいて空気過剰率λは、カソードオフガスの温度、圧力に対してカソードオフガスが内包する水蒸気量を勘案して設定されており、求められた水素排出流量Qh2に乗ずることにより、必要な目標空気流量Q1 を次の式(1)により演算する。
(数1)
Q1 =(Qh2/2/0.21)×λ …(1)
次いで、S50で、目標空気流量Q1 が運転中の空気流量初期値Q0 より多いか否かを判定し、目標空気流量Q1 が運転中の空気流量初期値Q0 以下であれば、供給空気流量は初期値Q0 のまま変化させずにS70へ移る。
逆にS50の判定で、目標空気流量Q1 が空気流量初期値Q0 より多ければ、S60へ移り、コントローラ31は、空気供給装置9から供給する空気流量が目標空気流量Q1 となるように供給空気流量を増加させた後に、S70でパージ弁12を開いてアノードオフガスの排出を行うとともに、水素供給装置1から供給する水素圧力を維持しながら水素流量を増量するように水素圧力調整弁2を調整する。
また、アノードオフガスには、水素の他に水蒸気や窒素なども含まれており、燃焼温度も低減することが予想されるが、アノードオフガス流量がカソードオフガス流量に対して比較的小さいために温度制御への影響度は比較的小さく、且つ上限燃焼温度よりも温度が低くなるために上記目標空気流量Q1 にて対応可能としている。
S70で、アノードオフガスを排出する間は、水素供給装置1からの水素供給量を水素排出流量Qh2と略同量だけ増量し、水素の供給圧力を一定に保ちつつアノードオフガス排出を行い、燃料電池スタック4の適正運転に必要なアノードガス流量を確保する。
アノードオフガスの排出に伴い燃焼器15では水素の燃焼が行われ、燃焼器15の温度が上昇する。その際燃焼器15に設置された燃焼温度検出手段30により検出する燃焼開始以前の初期温度TCSおよび継続的に検出する燃焼温度TCとを用いて、アノードオフガス排出時点からの経過時間Z時点での経過時間に対する燃焼温度変化率RCTを次の式(2)により演算する(S80)。
(数2)
RCT =(TC −TCS)/ Z …(2)
一方、所定の上限燃焼温度になる際の上限温度変化率RUPを、その際の燃焼開始前の初期温度TUPS、上限燃焼温度をTUPとして経過時間Zに対して予め運転条件毎に次の式(3)により演算しておく。
(数3)
RUP =(TUP − TUPS)/ Z …(3)
上限温度変化率RUPに対する燃焼温度変化率RCTの増減割合RCHと、実際にアノードオフガスを燃焼器15に排出する直前の初期温度TCSとから、最終到達燃焼温度TCEを次の式(4)にて継続的に演算する(S80)。
(数4)
TCE =(RCT/RUP)×(TUP−TUPS)+TCS …(4)
ここで燃焼温度変化率は、燃焼器の熱容量が一定値であることによりカソードオフガスとアノードオフガスが燃焼して生成する燃焼ガスの温度、流量に依存する。
同じ燃焼温度であっても燃焼ガス流量、言い換えると燃焼ガスの発熱量の差異によって燃焼器15自体の温度上昇に要する時間が異なるために、燃焼温度変化率も異なる値となる。そのため予め設定される上限温度変化率は、運転負荷毎に設定しておく必要がある。
逆に同じ流量であれば燃焼温度によって燃焼温度変化率も変化するが、その場合は上限燃焼温度からその際の初期温度を差し引いた基準温度差と、実際に検出される燃焼温度とその際の初期温度を差し引いた実温度差との比率の応じて燃焼温度変化率が変化する。
ここで温度差が生じるということは、カソードオフガスとアノードオフガスの流量バランスが変化している可能性や水素供給装置1や空気供給装置9の制御不具合が発生している可能性が考えられ、その際にはガス流量が変化することになるが、本実施例ではアノードオフガスを排出する際に燃焼温度が上限温度を超えないように予め設定される流量以上のカソードオフガスを燃焼開始前に燃焼器15に供給してあり、ガス流量条件の制御誤差が生じて燃焼温度が上限燃焼温度を超える場合でも、ガス流量は略同等と見なせる範囲となる。
そのため、式(3)のように基準温度差(=TUP−TUPS)に温度上昇率の増加割合を乗じ、初期温度TCSを加算することにより最終到達温度TCEが演算できる。
次に、S90で、最終到達燃焼温度TCEが上限燃焼温度TUPを超える場合には、S100で上限燃焼温度TUPに到達するまでの時間を算出する。ここで、経過時間Zに対する上限温度変化率RUPは予め求められており、燃焼温度の上限曲線Ftup(Z)も温度変化率の増減割合に応じて変化するため、実際の温度上昇曲線Ftc(Z)は上限温度となる際の温度上昇特性を用いて次の式(5)で表せる。
(数5)
Ftc(Z)=(Ftup(Z)−TUPS)×RTC+TCS …(5)
この時、式(5)が上限温度に等しくなる際の上限温度到達予想経過時間Z’を演算し、経過時間Zと上限温度到達予想時間Z’との差が上限燃焼温度に到達するまでの到達時間Zmgとなる。
(数6)
Zmg=Z’−Z …(6)
また空気流量を増加する際の目標空気流量Q2 は次式(7)にて演算する。
(数7)
Q2 =Q1 ×(TCE−TCS)/(TUP−TCS) …(7)
ただしQ0 >Q1 の時は、上記式(7)においてQ1 はQ0 に置き換えられる。
S110で算出した到達時間Zmgが、空気供給装置9での空気を増量する際の応答遅れ時間DTと等しくなった時点で、S120でコントローラ31は、空気供給装置9から供給する空気を増量させ目標空気流量Q2 となるように制御する。
(数8)
Zmg = DT …(8)
ここで、空気の増量を極力遅らせることにより、カソードオフガス中に含まれるミスト状の液水が温度検出手段に付着することに起因する温度検出誤差や、燃焼器15へのアノードオフガス輸送時間に起因する温度変化率演算誤差などの影響を小さくして最終到達燃焼温度演算精度を向上することができ、また上限燃焼温度以下の範囲でできるだけ燃焼温度を高い温度に維持して水素の燃焼効率を上げることによりシステム外への未反応水素の排出を極力抑制することができる。
供給空気流量を増加した後においては、空気増加時点での燃焼温度を初期温度として再度燃焼温度上昇率を算出して同様の演算を繰り返し、最終到達燃焼温度TCEが上限燃焼温度TUPを超えると判断された場合は同様の手順で空気増加を行い、逆に最終到達燃焼温度TCEが上限燃焼温度TUPを下回ると判断された場合には、フィードバック温度制御に移行する。
次いで、S130でコントローラ31は、燃料電池スタック4の出力電圧を検出する電圧検出手段25の検出値を読み込み、検出値が所定の電圧値を超えたか否かを判定する。S130の判定で、検出値が所定電圧値を超えていなければ、パージを継続するために、S80へ戻る。S130で検出値が所定電圧値を超えて発電電圧が回復したことが判断されれば、S140へ移り、コントローラ31は、水素供給装置1から供給させる水素増量を停止させるとともに、パージ弁12を閉じる。次いで、S150で空気供給装置9の空気供給量を初期値Q0 に設定して、パージ動作を終了する。
図2に本施例による燃焼器温度及び空気流量の時間変化の様子を示す。
尚、本実施形態では、燃料電池の運転時にアノードオフガスを燃焼器で燃焼させる場合を説明したが、燃料電池の起動時に水素供給装置から直接開閉弁24を介して供給する水素を燃焼させる場合の温度制御も同様に行うことができる。
以上のように本実施例によれば、燃焼器に燃料ガスまたはアノードオフガスの供給を開始した際に、燃焼温度が所定の上限燃焼温度に到達する以前に経過時間に対する燃焼温度変化率が大きいほど燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加することにより、燃焼温度が所定の上限温度を超えないように燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加するよう制御することができ、過度な熱負荷が生じる可能性がある場合でも燃焼温度がシステム部品の耐熱温度を超える以前に対応して燃焼器の性能低下を防止し、十分にアノードオフガスを燃焼させることができる。
また、最終到達燃焼温度は、燃料電池スタックの運転条件毎に予め取得する上限燃焼温度となる際の上限温度変化率に対するシステム運転中に取得する温度変化率の過剰割合と、燃焼温度検出手段により検出される燃焼を行う前の初期温度とに基づいて算出し、最終到達燃焼温度が上限燃焼温度を超える場合に、燃焼温度変化率の前記過剰割合または最終到達燃焼温度と上限燃焼温度との差に基づき、燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加することにより、低温下での起動時などにおいてもシステム温度に応じて酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量増加判断を行えるため、酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量増加を必要以上に行うことによる燃費の悪化を防止することができる。
また、演算された燃焼温度変化率に基づいて上限燃焼温度までの到達時間を演算し、前記到達時間が酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量増加の際の応答遅れ時間と等しくなる以前において、酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加することにより、燃焼温度変化率を演算する時間を極力長くして最終到達燃焼温度予測の精度を向上することができ、また比較的燃焼温度を高く維持して水素の燃焼効率を高くして未燃水素のシステム外への排出を抑制することができる。
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例2を説明する。実施例2の燃料電池システムの構成は、図1に示した実施例1の構成と同様である。
本実施例においては、コントローラ31が空気供給装置9から供給する空気流量を増加する際には、上限燃焼温度TUPよりも任意に設定されている余裕温度Tmgだけ低く設定される目標燃焼温度TUP’になる目標空気流量Q2 に増加する。
その際の目標空気流量Q2 は例えば次式(9)にて演算する。
(数9)
Q2 =Q1 ×(TCE−TCS)/(TUP−Tmg−TCS) …(9)
ただしQ0 >Q1 の時は、上記式(9)においてQ1 はQ0 に置き換えられる。◎ ここでは余裕温度Tmgは、例えば温度検出手段の検出誤差や空気供給装置9の供給流量設定誤差などの不確定要因を基に実験的に求められた値を採用しており、これにより必要最低限の操作により短時間で燃焼温度を上限燃焼温度よりも低くすることができる。
図6に本実施例の温度、空気量の時間変化を示す。
本実施例によれば、酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給量を増加する際の目標酸化剤ガス供給量は、温度上限値よりも低い燃焼温度を実現できる流量とすることにより、上限燃焼温度を確実に下回るようにして温度制御動作を継続的に行う必要性を低減することができる。
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例3を説明する。実施例3の燃料電池システムの構成は、図1に示した実施例1の構成と同様である。
実施例3では、コントローラ31が燃焼温度変化率を演算する際に、アノードオフガスの温度、圧力および水素排出量マップから求められる水素排出流量Qh2からアノードオフガスに含まれる水蒸気を考慮したアノードオフガス流量を演算し、またアノードオフガス配管の内容積を基に燃焼器15への輸送時間DTh2を演算し、アノードオフガスの排出を開始した時点から輸送時間が経過した時点で燃焼温度変化率の演算を開始するものであり、燃焼温度変化率に基づいて演算される最終到達燃焼温度の演算精度を向上して、燃焼温度の制御をより正確に行うことができる。
その際、アノードオフガス流量Qaoは、圧力をPao、温度をTao、温度Taoの際の飽和水蒸気圧をPs 、湿度検出手段で検出されるアノードオフガス相対湿度をRaw(単位:%)とすると以下の式(10)にて演算する。
(数10)
Qao =Qh2 ×(1+(Ps×Raw/100)/(Pao−Ps×Raw/100)) …(10)
図7に本実施例の温度、空気流量の時間変化を示す。
本実施例によれば、燃焼温度変化率は、燃料ガスまたはアノードオフガスを燃焼器に供給開始した時点から燃焼器に到達するまでの供給遅れ時間を考慮して演算することにより、燃焼の初期段階からより正確な燃焼温度変化率を演算することができる。
本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を説明する概略構成図である。 (a)実施例1における燃焼器温度の時間変化、(b)実施例1における空気流量制御をそれぞれ説明するタイムチャートである。 実施例1の制御内容を説明するフローチャートである。 実施例1で用いる水素排出流量マップの例である。 実施例1で用いる空気過剰率λマップの例である。 (a)実施例2における燃焼器温度の時間変化、(b)実施例2における空気流量制御をそれぞれ説明するタイムチャートである。 (a)実施例3における燃焼器温度の時間変化、(b)実施例3における空気流量制御をそれぞれ説明するタイムチャートである。
符号の説明
1…水素供給装置(燃料ガス供給装置)
2…水素圧力調整弁
4…燃料電池スタック
5…アノード
6…カソード
7…アノードオフガス循環装置
9…空気供給装置(酸化剤ガス供給装置)
11…空気圧調整弁
12…パージ弁
13…セパレータ
14…加湿器
15…燃焼器
16…ミキサ
17…燃焼室
18…冷媒用熱交換器
20…冷媒用ポンプ
21…三方弁
22…ラジエター
30…燃焼温度検出手段
31…コントローラ(制御手段)

Claims (6)

  1. 燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、
    酸化剤ガス供給する酸化剤ガス供給装置と、
    前記燃料ガスと前記酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックのアノードから排出されるアノードオフガスをアノード入口に循環させると共に外部からの指令により一時的に前記アノードオフガスを排出するアノードオフガス循環装置と、
    燃料ガスまたはアノードオフガスと酸化剤ガスまたは燃料電池スタックのカソードから排出されるカソードオフガスとの混合ガスを燃焼させる燃焼器と、
    前記燃焼器内の燃焼温度を検出する燃焼温度検出手段と、
    前記燃焼器に燃料ガスまたはアノードオフガスの供給を開始した際に、前記燃焼温度検出手段が検出した燃焼温度の経過時間に対する変化率が大きいほど前記燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加するように前記酸化剤ガス供給装置を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの増加量は、経過時間に対する燃焼温度変化率に基づいて最終到達燃焼温度を予測することにより、燃焼温度が所定の上限燃焼温度を超えないように前記燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を決定することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記最終到達燃焼温度は、予め設定された上限燃焼温度となる際の燃焼温度変化率である上限温度変化率と、システム運転中に算出する温度変化率と、前記燃焼温度検出手段により検出される燃焼を行う前の初期温度とに基づいて算出し、
    最終到達燃焼温度が上限燃焼温度を超える場合に、上限温度変化率と燃焼温度変化率との割合または最終到達燃焼温度と上限燃焼温度との差に基づき、燃焼器への酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃焼温度変化率は、燃料ガスまたはアノードオフガスを燃焼器に供給開始した時点から燃焼温度検出手段による検出温度値を基に継続的に演算し、演算された燃焼温度変化率に基づいて上限燃焼温度までの到達時間を演算し、前記到達時間が酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量増加の際の応答遅れ時間と等しくなる以前に、酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給流量を増加することを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
  5. 酸化剤ガスまたはカソードオフガスの供給量を増加する際の目標酸化剤ガス供給量は、所定の上限燃焼温度よりも低い燃焼温度を実現できる流量とすることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃焼温度変化率は、燃料ガスまたはアノードオフガスを燃焼器に供給開始した時点から燃焼器に到達するまでの供給遅れ時間を考慮して演算することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の燃料電池システム。
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KR101610063B1 (ko) * 2010-09-10 2016-04-08 현대자동차 주식회사 연료 전지 시스템

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