JP5144899B2 - 閉鎖式燃料電池システム - Google Patents
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Description
(1−1)大気中の酸素を利用することが困難である。
(1−2)パージによる排ガスは、水素と酸素であるため、設置空間内に放出することは安全上難しい。特に、設置空間が、居住空間となっている場合はなおさらである。
(2−1)液体水素、液体酸素などの独立したガス貯蔵源を具備し、燃料電池へ供給する。
(2−2)
a.排ガスを圧縮して貯蔵するための装置を具備する。
b.または吸着剤に吸着させて貯蔵するための装置を具備する。
といった方法が実施されている。このように、大気に依存せず運転可能な燃料電池システムを閉鎖式燃料電池システムと呼ぶ。
(a−A)圧縮させるための、エネルギーが必要であり、燃料電池システムの効率を低下させる。
(a−B)気体として貯蔵するため、大きな貯蔵スペースが必要である。
(a−C)排ガス成分のほとんどが水素と酸素であるため、危険性の問題から、混合ガスで貯蔵することができず、独立した貯蔵装置が必要になる。
(b−A)圧縮貯蔵ほどではないが、吸着させるためにエネルギーが必要であり、燃料電池システムの効率を低下させる。
(b−B)吸着量に限界があるため、長期運転を行うためには、大量の吸着材が必要である。
(b−C)排ガス成分のほとんどが水素と酸素であるため、危険性の問題から、混合ガスで貯蔵することができず、独立した貯蔵装置が必要になる。
(b−D)吸着剤を交換する必要がある。
総じていえば、圧縮貯蔵の問題点を軽減したものが、吸着貯蔵であるが、実用的な観点から見れば、その対策は不十分である。
前記排ガス処理装置は、ガスを循環させる循環路と、該循環路にてアノード側の排ガスとカソード側の排ガスとを反応させて反応物を生成する反応物生成部と、前記循環路から該循環路外に取り出される反応物を貯留する貯留タンクとを有し、前記反応物の取り出し位置の下流側であって前記反応物生成部の上流側位置で前記循環路に前記各排出路が接続されており、
前記各排出路に、アノード側排ガスとカソード側排ガスを一時貯蔵するバッファタンクがそれぞれ備えられ、
さらに、前記反応物生成部の下流側に送られた前記循環路のガスを前記各排出路が接続された位置より上流側の位置の循環路から前記各排出路が接続された位置より下流側であって前記反応物生成部の上流側の位置の循環路へ帰還させる開閉可能な未反応ガス帰還路と、前記循環路の未反応ガスを前記反応物生成部の下流側であって前記各排出路の接続位置の上流側で前記未反応ガスを検知する未反応ガス検知器と、前記未反応ガス検知器の未反応ガス検知結果に基づいて、前記ガスの循環を停止し、開いた前記未反応ガス帰還路を通して前記未反応ガスを移送させる排ガス移送制御手段を備えることを特徴とする。
燃料として水素、酸化剤として酸素を用いる場合、燃料電池システムの燃料である水素は水素貯蔵装置(ボンベ、液体水素、MHタンクなど)、酸化剤である酸素は酸素貯蔵装置(酸素ボンベ、液体酸素など)などから供給される。燃料電池から排出される排ガス(水素、酸素)は、パージガス排出路を通して排出され排ガス処理装置に送られる。排ガス処理装置において、供給された水素と酸素は水に合成され外部のドレインタンクなどに貯留することができる。ガスを循環させつつ反応処理を行うことにより排ガスを確実に処理することができる。反応物をドレインタンクなどの貯留タンクに貯留することでシステム外への排出を確実に防止する。
パージガスのガス組成は排ガス処理装置における反応比率に準ずることが望ましいが、現実には以下の理由によって困難である。
化学的に厳密に決定される反応割合と比較して、システム的に制御できるガス組成の割合の精度は非常に低く長時間の運転において、その誤差が累積される。
本来パージ動作は、燃料電池の運転状態に基づいて行うべきものであり、燃料電池の動作上、必ずしも反応比率が適切なパージ量であるとは限らない。したがって、燃焼電池の状態を回復させるために、反応比率から外れたパージ動作を行う必要がある場合も発生する。
本発明によれば、燃料電池に接続されたアノードガス排出路とカソードガス排出路に設けられたバッファタンクによって、パージガスの制御誤差及び一時的にパージガスの排出比率の操作が吸収されバッファにより平均化し連続的なガス放出に転換することが可能である。これにより排ガス処理装置に対する供給比を確実かつ容易に調整することができる。また、バッファタンクにより安定して排ガスが供給されることで触媒の温度など排ガス処理装置における動作を一定に保って反応効率を良好に維持する点でも有効である。
なお、請求項4を組み合わせることでバッファタンクによる調整が十分に得られない場合にも確実に適切な供給比に調整することができる。
触媒燃焼における触媒温度が低い場合(具体的には装置の立ち上がりなどがそれにあたる)などには、未反応ガス(例えば水素)が発生する可能性がある。この場合には、未反応ガスを触媒などの反応処理の前段へ帰還させることで、外部への水素排出を防止するとともに、触媒温度などの早期上昇に寄与する。
未反応ガス検知器によって即座に未反応ガスを検知して反応処理に供することができ、効率の低下を招くことなく反応処理を効率的に行うことができる。また、燃焼性の未反応ガスの蓄積による危険性を回避する。
触媒燃焼器は、ガス循環ブロアなどが主な電力消費源であり、これらは圧縮などと比べて物理的な負荷が大幅に低い。したがって、ガス処理のためのエネルギーの大幅な改善が可能である。また、触媒燃焼器は、基本的に触媒以外を交換する必要がない。触媒も一度のみの使用を基本とする吸着剤と比較すれば、はるかに長寿命である。
請求項3記載の発明によれば、供給比調整手段によって排ガス処理装置に供給されるアノード側排ガスとカソード側排ガスの供給比が排ガス処理装置における反応比に適したものとなり、アノード側排ガスとカソード側排ガスとを余りなく効率的に反応処理することができる。例えば、水素と酸素とを燃焼処理する場合、反応比は、水素:酸素=2:1となるので、この反応比に合わせて供給比も2:1に準じたものとする。
請求項4記載の発明によれば、不足する側の排ガスを補助ガス供給ラインから供給可能とすることで、排ガス処理装置の反応比に対して安定して適切な供給比でアノード側排ガスとカソード側排ガスとを供給することが可能になる。なお、請求項4が組み合わされることでバッファタンクによる調整が十分に得られない場合にも確実に適切な供給比に調整することができる。
前記排ガス処理装置は、ガスを循環させる循環路と、該循環路にてアノード側の排ガスとカソード側の排ガスとを反応させて反応物を生成する反応物生成部と、前記循環路から該循環路外に取り出される反応物を貯留する貯留タンクとを有し、前記反応物の取り出し位置の下流側であって前記反応物生成部の上流側位置で前記循環路に前記各排出路が接続されており、
前記各排出路に、アノード側排ガスとカソード側排ガスを一時貯蔵するバッファタンクがそれぞれ備えられ、
さらに、前記反応物生成部の下流側に送られた前記循環路のガスを前記各排出路が接続された位置より上流側の位置の循環路から前記各排出路が接続された位置より下流側であって前記反応物生成部の上流側の位置の循環路へ帰還させる開閉可能な未反応ガス帰還路と、前記循環路の未反応ガスを前記反応物生成部の下流側であって前記各排出路の接続位置の上流側で前記未反応ガスを検知する未反応ガス検知器と、前記未反応ガス検知器の未反応ガス検知結果に基づいて、前記ガスの循環を停止し、開いた前記未反応ガス帰還路を通して前記未反応ガスを移送させる排ガス移送制御手段を備えるので、燃料電池から発生する排ガスをシステム外に排出することなく閉鎖式の排ガス処理装置で処理することができる。特に、水素と酸素を用いる燃料電池では、排ガス処理装置では、気体を反応によって液体にして貯留するため、占有体積は極端に圧縮される。また、貯蔵には、水タンクのみが必要であり、構成が簡略化可能である。また、反応後の水として保管するので非常に安定でありタンクも一種類で良い。
本発明は、大気が存在しない等の理由により大気を利用できない場所、及び大気へのガス放出ができない場所において、大気に依存せず効率的に燃料電池を運転することができる。
燃料電池システムは、セルをスタックした燃料電池1を有しており、該燃料電池1のアノード入側に水素を供給する水素供給手段16と、カソード入側に酸素を供給する酸素供給手段17とを備えている。さらに燃料電池1のアノード出側に、アノードガス排出路の上流側を構成するアノードガス排出路2aが接続され、カソード出側には、カソードガス排出路の上流側を構成するカソードガス排出路3aが接続されている。
アノードガス排出路2aは、開閉弁からなる制御弁SV11と逆止弁4が介設されてアノード側バッファタンク6に接続されている。一方、カソードガス排出路3aは、開閉弁からなる制御弁SV21と逆止弁5が介設されてカソード側バッファタンク7に接続されている。
また、アノードガス排出路2bには、制御弁SV13の下流側で、前記した水素供給手段16から分岐した水素補給ライン18が合流しており、水素補給ライン18には開閉弁からなる制御弁SV14、逆止弁CV0が介設されている。一方、カソードガス排出路3bには、制御弁SV23の下流側で、前記した酸素供給手段17から分岐した酸素補給ライン19が合流しており、酸素補給ライン19には開閉弁からなる制御弁SV24、逆止弁CV1が介設されている。
通常時、水素供給手段16から水素、酸素供給手段から酸素を燃料電池1に供給する。上記水素と酸素が供給された燃料電池1では、水素と酸素とが反応することで発電がなされる。
ところで、上記燃料電池1では、発電中にセル内に次第に不純物が堆積して発電効率が低下する。このため、通常時よりも多くの水素や酸素を導入して不純物をセル外に排出するパージがなされる。このパージは、定期的に行ったり、セル電圧の変動を監視して所定の電圧まで低下した場合、該電圧をトリガとして行われる。この実施形態の燃料電池1では、燃料電池のセル電圧を監視することにより行う。セル電圧は、スタックを構成するすべてのセルについて管理しており、それぞれに基準値が設けてある。その基準値を下回った場合には、燃料電池の運転が不良であるとみなし、後述する排ガス処理に関係なく電圧復帰を目的としたパージを行う。例えば、燃料電池の各セル電圧が図2に示すような分布をとった場合、46番のセルが、基準値を下回っているため、46番のセル回復を目的をしたパージを行う。これらの電圧監視やパージ動作は、前記した制御装置40によって行うことができる。パージガス量は、制御弁SV11、SV21の開閉時間により調整を行う。上記パージによって燃料電池1では、図3に示すように安定した電池出力が得られる。
以下、排ガスに対する制御手順を図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
そして、いずれかの内圧がPmaxに達した場合、触媒燃焼装置20への供給に十分なガス圧力が得られているものと判定する。ただし、他方のバッファタンクの内圧がPmin以下である場合(ステップs3)、他方のバッファタンクでの排ガス量が不足するため、内圧がPmin以下のバッファタンク側の制御弁SV14またはSV24を開いて水素供給手段16または酸素供給手段17側から水素補助供給ライン18または酸素補助供給ライン19を通して補助ガスの供給を可能にしておく(ステップs10)。
上記のようにしていずれかの内圧がPmaxに達している場合には制御弁SV13、23を開いて、図3に示すように触媒燃焼装置20への排ガスの供給を開始する(ステップs4)。
上記によりアノードガス排出路2b、カソードガス排出路3bを通して供給される水素と酸素とは、循環路25に至り、移送媒体とともに循環路25を移動して熱交換器26、補助ヒータ27を経て触媒層30へと移動する。熱交換器26では、触媒層30を通った温度の高い移送媒体との間で熱交換されて温度上昇し、さらに必要に応じて補助ヒータ27で加熱されて例えば触媒燃焼に適した100℃程度に加熱される。触媒層30では、導入された水素と酸素とが反応比、すなわち水素:酸素=2:1の比率で触媒燃焼し、水化する。水分は移送媒体とともに循環路25を下流側に移動する。触媒層30では、上記燃焼によって高い温度が維持されるので、補助ヒータ27の動作を間欠的にするなどして電力消費を低減することができる。なお、上記触媒燃焼によって、反応に供された排ガスに応じてアノードガス排出路2bとカソードガス排出路3bとを通してアノード側バッファタンク6から水素が供給され、カソード側バッファタンク7から酸素が供給される。また、補助供給ラインからの供給が可能になっている場合には、補助供給ラインから水素または酸素が補充されて、上記反応比に従って水素と酸素とが触媒燃焼装置20に供給される。
未反応水素が含まれていると判定される場合、制御弁SV35を開いて気液分離器35内のガスを帰還路39を通して触媒層30直前の循環路25に供給する。ガスは直ちに触媒層30に移送されて触媒燃焼に供される。これにより、触媒層30の下流側に未反応ガスが残存しないようにして、残存がある場合には直ちに触媒燃焼に供して未反応ガスの蓄積を防止する。これにより水素の外部への漏洩を防ぐことができ、また、安全性を確保する。また、この動作は、触媒の温度を早期に上昇させることにも寄与し燃焼効率を高める。なお、上記のように未反応水素が気液分離器35に移送されるのは、燃焼触媒の温度が低い時点(たとえば、装置起動時)のように触媒燃焼が十分になされない場合であり、通常時には、反応比に対し適切な供給比で供給される水素と酸素とによって未反応ガスを残すことなく反応させることができる。
2a アノードガス排出路
2b アノードガス排出路
3a カソードガス排出路
3b カソードガス排出路
6 アノード側バッファタンク
7 カソード側バッファタンク
8 排液ライン
9 排液ライン
16 水素供給手段
17 酸素供給手段
18 水素補給ライン
19 酸素補給ライン
20 排ガス処理装置
25 循環路
30 触媒層
35 気液分離器
38 ドレインタンク
SV11、12、13、14、15 制御弁
SV21、22、23、24、25 制御弁
SV35 制御弁
LS11、21 液面センサ
PE11、21 圧力センサ
HS31 水素センサ
Claims (8)
- 燃料と酸化剤とを供給してこれらの反応によって発電を行う燃料電池のアノード排出側にアノードガス排出路が接続され、前記燃料電池のカソード排出側にカソードガス排出路が接続され、各排出路が閉鎖式の排ガス処理装置に接続されており、
前記排ガス処理装置は、ガスを循環させる循環路と、該循環路にてアノード側の排ガスとカソード側の排ガスとを反応させて反応物を生成する反応物生成部と、前記循環路から該循環路外に取り出される反応物を貯留する貯留タンクとを有し、前記反応物の取り出し位置の下流側であって前記反応物生成部の上流側位置で前記循環路に前記各排出路が接続されており、
前記各排出路に、アノード側排ガスとカソード側排ガスを一時貯蔵するバッファタンクがそれぞれ備えられ、
さらに、前記反応物生成部の下流側に送られた前記循環路のガスを前記各排出路が接続された位置より上流側の位置の循環路から前記各排出路が接続された位置より下流側であって前記反応物生成部の上流側の位置の循環路へ帰還させる開閉可能な未反応ガス帰還路と、前記循環路の未反応ガスを前記反応物生成部の下流側であって前記各排出路の接続位置の上流側で前記未反応ガスを検知する未反応ガス検知器と、前記未反応ガス検知器の未反応ガス検知結果に基づいて、前記ガスの循環を停止し、開いた前記未反応ガス帰還路を通して前記未反応ガスを移送させる排ガス移送制御手段を備えることを特徴とする閉鎖式燃料電池システム。 - 前記反応物生成部として、アノード側の排ガスとカソード側の排ガスとを反応させる触媒燃焼器を備えることを特徴とする請求項1記載の閉鎖式燃料電池システム。
- 前記排ガス処理装置におけるアノード側排ガスとカソード側排ガスとの反応比率に従って、前記排ガス処理装置に供給されるアノード側排ガスとカソード側排ガスの供給比を調整する供給比調整手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の閉鎖式燃料電池システム。
- アノード側とカソード側の少なくとも一方の排ガス供給量を増量して調整する補助ガス供給ラインを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の閉鎖式燃料電池システム。
- 前記循環路は、安定ガスが循環するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の閉鎖式燃料電池システム。
- 前記バッファタンクは、排ガスに含まれる液分を分離する気液分離機能を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の閉鎖式燃料電池システム。
- 前記バッファタンクは、タンク内圧力を検知する圧力検知手段と、該圧力検知手段の検知結果に基づいて、タンク内圧力が第1の所定圧力以上に達するまで排ガス処理装置への排ガス供給を停止して燃料電池から供給される排ガスを貯蔵して、第1の所定圧力以上に達した後、排ガス処理装置に排ガスを供給し、第2の所定圧力以下に低下した後、排ガス処理装置への排ガス供給を停止して燃料電池から供給される排ガスを貯蔵するように制御するバッファタンク制御手段とを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の閉鎖式燃料電池システム。
- 前記未反応ガス検知器は、前記循環路からの前記反応物の取り出し位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の閉鎖式燃料電池システム。
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