JP2005049541A - トナー搬送装置、現像装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送基板101に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1収容室142及び第2収容室143内に収容されるトナーと摩擦促進物質との混合物を第1搬送スクリュウ144及び第2搬送スクリュウ145によって攪拌しながら、第1収容室142内の混合物中のトナーを静電気力によって重力に逆らって飛翔させてトナー静電搬送基板101に供給するトナー供給部140を、現像装置100に設けた。また、トナー供給部140に補給用のトナーを補給するトナー補給部160も現像装置100に設けた。
【選択図】 図2
【解決手段】第1収容室142及び第2収容室143内に収容されるトナーと摩擦促進物質との混合物を第1搬送スクリュウ144及び第2搬送スクリュウ145によって攪拌しながら、第1収容室142内の混合物中のトナーを静電気力によって重力に逆らって飛翔させてトナー静電搬送基板101に供給するトナー供給部140を、現像装置100に設けた。また、トナー供給部140に補給用のトナーを補給するトナー補給部160も現像装置100に設けた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー静電搬送部材の表面上のトナーを静電気力によってその表面に対して相対移動させて搬送するトナー搬送装置、並びに、これを用いる現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置として、特許文献1や特許文献2に記載のものが知られている。これらの画像形成装置では、表面移動する現像ローラ等の現像剤担持体に担持したトナーを、感光体等の潜像担持体との対向位置である現像位置に搬送して、潜像担持体上の静電潜像を現像する。
かかる構成では、トナーが表面移動する現像剤担持体と潜像担持体との間で擦れ、何れか一方の表面に固着して、画像に悪影響を及ぼすことがあった。また、現像位置において、トナーを現像剤担持体の表面と潜像担持体上の静電潜像との電位差によって静電移動させるのであるが、この電位差を相当に大きくしなければならなかった。静電移動の開始に先立って、ファンデルワールス力や鏡像力等によるトナーと現像剤担持体との付着力に打ち勝つだけの力をトナーに付与して付着状態を解く必要があり、そのために大きな静電気力を必要とするからである。
【0003】
一方、表面移動する現像剤担持体を用いずにトナー像を現像する画像形成装置としては、特許文献3に記載のものが知られている。この画像形成装置の現像装置は、複数の電極が所定ピッチで配設されたトナー静電搬送基板の表面上でEH(Electrostatic Transport&Hopping)現象を生じせしめて、トナーを現像位置まで搬送する。このEH現象とは、粉体に作用する移相電界のエネルギーが機械的なエネルギーに変換されて、粉体自身が動的に変動する現象をいう。EH現象が生起せしめられたトナーは、静電搬送基板面上で移相電界によって進行方向の成分を持って飛び跳ねて、基板面方向の移動(搬送)と、基板面に垂直な方向の移動(ホッピング)とを行う。トナー静電搬送基板上でトナーをホッピングさせながら現像位置に搬送することで、表面移動する現像剤担持体を用いた構成では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。例えば、周囲の非画像部との電位差が僅か数十[V]である静電潜像にトナーを選択的に付着させることも可能である。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−197781号公報
【特許文献2】
特開平9−329947号公報
【特許文献3】
特開2002−341656号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この画像形成装置の現像装置は、十分に帯電したトナーをトナー静電搬送基板に供給することができずに、トナーの帯電不良による悪影響を引き起こすおそれがあった。具体的には、トナーホッパ部内のトナーを帯電ローラ表面に汲み上げた後に規制ブレードで摩擦して帯電させているのであるが、この程度の摩擦では不十分な場合もあり得る。
【0006】
そこで、本発明者らは、トナーをガラスビーズ等の摩擦促進粒子からなる摩擦促進物質に混合せしめて混合物の状態で攪拌することで、十分に摩擦帯電せしめてからトナー静電搬送基板に供給する新規なトナー供給装置を開発中である。このトナー供給装置は、上記混合物を収容する混合物収容部と、これの内部に配設された回転するスクリュウ部材等の攪拌搬送部材と、これによる混合物搬送路の底面の一部に設けられたメッシュとを有している。また、上記混合物収容部内に新たなトナーを補給するトナー補給装置も有している。混合物収容部内の混合物は、攪拌搬送部材によって攪拌されながら搬送される過程で、内部のトナーの摩擦帯電が促される。そして、上記メッシュの上側を通過する際に、トナーが電界によってメッシュに向けて引き寄せられ、メッシュの開口を通ってトナー静電搬送基板に向けて排出される。かかる構成では、トナーを摩擦促進物質によってより確実に摩擦帯電せしめてから、トナー静電搬送基板に供給することができる。
【0007】
しかしながら、この現像装置においては、次のような新たな問題が生じてしまった。即ち、トナー静電搬送基板への供給によるトナー減少分に応じて、新たなトナーを上記トナー補給装置から混合物収容部に補給した直後に、多量の未帯電トナーを上記メッシュからこぼれ落としてしまうという問題である。
【0008】
本発明者らは、この新たな問題に対応すべく鋭意研究を行った結果、次のようなことがわかってきた。即ち、上記混合物収容部内において、ガラスビーズ等の摩擦促進粒子は、トナーがごく僅かにでも帯電していれば、それを表面に静電吸着させて数個(1〜2個)の厚みのトナー層を形成する。そして、同様にしてトナー層を形成した他の摩擦促進粒子と擦れ合うことで、表面のトナーを良好に摩擦帯電させる。ところが、トナー補給装置から混合物収容部に新たに補給されたトナーは殆ど帯電していないために、摩擦促進粒子の表面に静電吸着することができない。そして、摩擦促進粒子間の空隙に多量に滞留してしまい、殆ど帯電しないままに上記メッシュの上側まで搬送され、自重によってメッシュの開口からこぼれ落ちてしまうのである。
【0009】
なお、これまで、トナーをメッシュによって混合物中から分離する構成における問題について説明してきた。しかしながら、摩擦促進粒子に静電吸着したトナーを電界による静電気力によって分離するなど、他の構成によってトナーを分離する場合にも同様の問題が生じ得る。
【0010】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のようなトナー搬送装置、並びに、これを用いる現像装置及び画像形成装置を提供することである。即ち、EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送基板等のトナー静電搬送部材に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができるトナー搬送装置等である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面上のトナーを静電気力によって該表面に対して相対移動させて搬送先まで搬送するトナー静電搬送部材を備えるトナー搬送装置において、混合物収容部内に収容されるトナーと摩擦促進物質との混合物を攪拌部材によって攪拌しながら、該混合物中のトナーを静電気力によって飛翔させて上記トナー静電搬送部材に供給するトナー供給部と、該トナー供給部に補給用のトナーを補給するトナー補給部とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のトナー搬送装置において、上記混合物収容部内に導電性部材を配設し、該混合物収容部内の混合物中のトナーを、該導電性部材と上記トナー静電搬送部材との電位差によって飛翔させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1のトナー搬送装置において、上記混合物収容部内に導電性部材を配設するとともに、該混合物収容部内の混合物を介して該導電性部材に対向し、且つ、導電性材料からなる基体にトナーの通過可能な複数の孔が設けられたメッシュを該混合物収容部に配設し、該導電性部材と該メッシュとの電位差によって該混合物中から飛翔したトナーを、該メッシュと上記トナー静電搬送部材との電位差によって該トナー静電搬送部材に向けて飛翔させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3のトナー搬送装置であって、工場出荷時の初期状態にて上記混合物収容部内に摩擦促進物質を収容しており、上記メッシュの孔の径が、該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3のトナー搬送装置において、上記混合物収容部にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定し、且つ、上記メッシュとして、その孔の径が該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3のトナー搬送装置において、上記混合物収容部にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定し、且つ、上記メッシュとして、その孔の径が該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも大きいものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかのトナー搬送装置において、上記混合物収容部内から上記トナー静電搬送部材へのトナーの供給と供給停止とを、周期的に交互に繰り返すようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、トナー搬送手段に設けられたトナー静電搬送部材の表面上に存在するトナーを静電気力によって該表面に対して相対移動させながら該潜像担持体との対向位置に搬送して、該潜像担持体に担持される潜像をトナー像に現像する現像手段とを備える画像形成装置において、上記現像手段のトナー搬送手段として、請求項1〜7の何れかのトナー搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
【0012】
これらの発明において、トナー搬送装置のトナー供給部は、混合物収容部内でトナーを摩擦促進物質と混合した混合物の状態で攪拌することで、その摩擦帯電を促す。このようにして摩擦帯電を促しても、トナー補給部からトナー供給部に補給した直後のトナーについてはまだ十分に帯電させていないが、かかるトナーに対しては、混合物中から飛翔させるほどの静電気力が作用しない。このため、かかるトナーのトナー静電搬送部材への供給が回避される。よって、本発明においては、EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送部材に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、タンデム方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。このプリンタは、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。なお、以下、各符号の添字Y,M,C,Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す。
【0014】
プロセスユニット1Y,M,C,Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体11Y,M,C,Kを有している。本プリンタは、これらプロセスユニット1Y,M,C,Kの他、光書込ユニット2、給紙カセット3,4、レジストローラ対5、転写ユニット6、ベルト定着方式の定着ユニット7、排紙トレイ8を備えている。また、図示しない手差しトレイ、電源ユニットなども備えている。
【0015】
上記光書込ユニット2は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体11Y,M,C,Kの表面にレーザー光を走査しながら照射する。
【0016】
図2は、上記プロセスユニット1Y,M,C,Kのうちの何れか1つを、上記転写ユニット6の一部とともに示す拡大構成図である。なお、各プロセスユニット1Y,M,C,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他は、ほぼ同様の構成になっているので、同図においては、符号の添字Y,M,C,Kを省略している。同図において、プロセスユニット1は、感光体11の他、これの表面に対して潤滑剤を塗布するブラシローラ12、クリーニング処理を施す揺動可能なカウンタブレード13、除電処理を施す除電ランプ14などを有している。また、感光体11を一様帯電せしめる帯電ローラ15や、これの表面をクリーニングするローラクリーニング装置16、現像装置100なども有している。
【0017】
プロセスユニット1において、図示しない電源によって交流の帯電バイアスが印加される帯電ローラ15は、感光体11に当接するように配設されている。そして、図示しない駆動手段により、当接部でその表面を感光体11の表面移動と同方向に移動させるように回転せしめられながら、感光体11の表面を一様帯電せしめる。このように一様帯電せしめられた感光体11の表面に、上記光書込ユニット(図1の2)で変調及び偏向されたレーザー光が走査されながら照射されると、感光体11の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、後述する現像装置100によってトナー像に現像される。
【0018】
先に示した図1において、プリンタ本体の下部には、2つの給紙カセット3,4が配設されている。これら給紙カセット3,4は、内部に転写紙束を収容しており、その一番上の転写紙Pに給紙ローラ3a,4aを押し当てている。そして、所定のタイミングで給紙ローラ3a,4aを回転させて、転写紙Pを給紙路に送り出す。この給紙路の末端には、レジストローラ対5が配設されており、送られてきた転写紙Pを、Y用のプロセスユニット1Yの感光体11Y上に形成されたYトナー像に同期させ得るタイミングで、転写ユニット6に向けて送り出す。
【0019】
転写ユニット6は、感光体11Y,M,C,Kのそれぞれに接触して4つの転写ニップを形成しながら無端移動する表面移動体たる転写搬送ベルト60を有している。転写搬送ベルト60は、各プロセスユニット1Y,M,C,Kの感光体11Y,M,C,Kに接触して4つの転写ニップを形成するように、4つの支持ローラ61に掛け回されている。これらの支持ローラ61のうち、図中最も右側のものに対しては、図示しない電源から所定電圧が印加された静電吸着ローラ62が対向するように配置されている。この静電吸着ローラ62からの電荷付与により、転写搬送ベルト60は、そのおもて面(スープ外面)に転写紙Pを静電吸着することができる。
【0020】
各転写ニップの下方には、転写搬送ベルト60の裏面に接触する転写バイアス印加ローラ65Y,M,C,Kが設けられている。これら転写バイアス印加ローラ65Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によって定電流制御される転写バイアスが印加される。これにより、転写搬送ベルト60に転写電荷が付与され、各転写ニップにおいて転写搬送ベルト60と感光体表面との間に所定強度の転写電界が形成される。なお、本プリンタにおいては、転写バイアス印加部材として転写バイアス印加ローラ65を設けているが、ローラに代えて、ブラシやブレード等のものを設けてもよい。
【0021】
図中の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセット3,4から給送された図示しない転写紙は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら複数の搬送ローラ対によって搬送され、レジストローラ対5が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対5によって所定のタイミングで送り出された転写紙は上記転写搬送ベルト60に保持され、感光体11Y,M,C,Kに接触し得るY転写ニップ、M転写ニップ、C転写ニップ、K転写ニップを順次通過する。これにより、各プロセスユニット1Y,M,C,Kの感光体11Y,M,C,K上で現像されたY,M,C,Kトナー像が、それぞれ転写ニップで転写紙Pに重ね合わされ、上記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙上にはフルカラー画像が形成される。
【0022】
フルカラー画像が形成された図示しない転写紙は、加熱ベルトを備える上記定着ユニット7内でこのフルカラートナー像が定着された後、排紙トレイ8上に排出される。
【0023】
先に示した図2において、トナー像が転写された後の感光体11の表面は、ブラシローラ12で所定量の潤滑剤が塗布された後、カウンタブレード13でクリーニングされる。そして、除電ランプ14から照射された光によって除電され、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0024】
カウンタブレード13によってクリーニングされた感光体11表面には、どうしても除去し切れなかったトナーが僅かながら残ってしまう。このように残ってしまったクリーニング残トナーは、感光体11表面に当接しながら回転する帯電ローラ15に付着して汚れとなってしまう。この汚れがそのまま放置されると、やがて帯電ローラ15上で堆積したクリーニング残トナーによって感光体11の局所的な帯電不良が発生し、黒スジなどの異常画像を引き起こしてしまう。そこで、プロセスユニット1Yには、帯電ローラ15に付着したクリーニング残トナーをクリーニングするローラクリーニング装置16が設けられている。
【0025】
図3は、プロセスユニット(1)の感光体11と、上記現像装置(100)のトナー静電搬送基板101とを示す拡大構成図である。なお、同図においても、符号の添字Y,M,C,Kを省略している。現像装置(100)内では、図示しない領域にて、トナー静電搬送基板101上に対して後述するトナー供給部からトナーが供給される。トナー静電搬送基板101は、ガラス等からなる絶縁性基板101dに対して、複数の短冊状の搬送電極が基板長手方向(図の左右方向)に所定のピッチで並ぶように配設されている。これら搬送電極は幅寸法(基板長手方向における寸法)が30[μm]になっており、互いに30[μm]の間隙を介して平行配設されている。このような配設により、絶縁性基板上では短冊状の搬送電極がストライプ状に並べられた構成になっている。
【0026】
各搬送電極について更に詳しく述べると、それらはA群、第B群、第C群の3種類に分類され、同じ群に属する電極同士は互いに電気的に接続された状態になっている。そして、絶縁性基板101d上では、図中左側、A群に属するA搬送電極101a、B群に属するB搬送電極101b、C群に属するC搬送電極101cという順序が繰り返されるように、各搬送電極が配設されている。各A搬送電極101a、各B搬送電極101b、各C搬送電極101cに対しては、駆動電源回路30からA相駆動バイアス、B相駆動バイアス、C相駆動バイアスがそれぞれ印加される。なお、同図において、トナーはマイナス極性に帯電しており、トナー静電搬送基板101上にて図中上側から下側に向けて搬送される。
【0027】
図4は、上述のA相駆動バイアス、B相駆動バイアス及びC相駆動バイアスの波形を示す波形図である。各相では、それぞれ電圧−100[V]、持続時間501[μsec]の直流パルス波が501[μsec]の間隔をおいて出力される。ここで、まず上記C搬送電極(101c)に印加されるC相駆動バイアスに着目してみると、時点t0においては0[V]になっている。このとき、上記C搬送電極(101c)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っている上記A搬送電極(101a)も0[V]になっている(C相駆動パルス参照)。また、トナー搬送方向下流側で隣り合っている上記B搬送電極(101a)には、−100[V]の電圧が印加されている(B相駆動バイアス参照)。このような状態において、時点t0における上記C搬送電極(101c)上のトナーは、殆ど動かずにそこに留まっている。
【0028】
その後、334[μsec]が経過して時点t1が到来すると、上記C搬送電極(101c)には、−100[V]の電圧が印加される。すると、上記C搬送電極(101c)上に存在しているマイナス極性のトナーに対して、C搬送電極(101c)と反発する静電気力が作用する。このとき、上記C搬送電極に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っている上記A搬送電極(101a)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っている上記B搬送電極(101b)は、0[V]になっている。このため、上記C搬送電極(101c)上に存在しているマイナス極性のトナーは、上記B搬送電極(101b)に向けて静電移動する。
【0029】
その後、更に約334[μsec]が経過して時点t2が到来すると、それまで0[V]であった上記B搬送電極(101b)に、−100[V]の電圧が印加される。そして、上記C搬送電極(101c)上からの静電移動によって上記B搬送電極(101b)上に存在するようになったトナーに対して、B搬送電極(101b)と反発する静電気力が作用する。このとき、B搬送電極(101b)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っているC搬送電極(101c)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っているA搬送電極(101a)は、0[V]になっている。このため、B搬送電極(101b)上のトナーは、A搬送電極(101a)に向けて静電移動する。
【0030】
その後、更に約334[μsec]が経過して時点t3が到来すると、それまで0[V]であったA搬送電極(101a)に、−100[V]の電圧が印加される。そして、B搬送電極(101b)からの静電移動によってA搬送電極(101a)上に存在するようになったトナーに対して、A搬送電極と反発する静電気力が作用する。このとき、A搬送電極(101a)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っているB搬送電極(101b)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っているC搬送電極(101c)は0[V]になっている。このため、A搬送電極(101a)上のトナーは、C搬送電極(101c)に向けて静電移動する。
【0031】
以上のような静電移動の繰り返しにより、先に示した図3において、トナー静電搬送基板101上のトナーは図中右側から左側に向けて、ホッピングしながら静電移動していく。そして、トナー静電搬送基板101と感光体11とが所定の間隙を介して対向している現像領域に進入する。この現像領域において、感光体11の画像部11aは0[V]になっているのに対し、非画像部11bは−100[V]になっている。すると、トナーは現像領域中を図中右側から左側に向けて静電移動する過程で、感光体11の画像部11aに付着して静電潜像を現像する。
【0032】
なお、感光体11の非画像部11bについては、トナー静電搬送基板101の各搬送電極に印加する駆動バイアスの電位平均値よりも、トナーの帯電極性側に大きな電位を帯びさせる必要がある。例えば、図4に示した各相の駆動バイアスは、それぞれ、持続時間501[μsec]の−100[V]の電位と、持続時間501[μsec]の0[V]の電位との繰り返しであるので、電位平均値は−50[V]になる。一方、図3における感光体11の非画像部11bの電位は、この−50[V]よりもマイナス極性側に大きな−100[V]になっている。このような電位の関係では、現像領域でトナー静電搬送基板101と感光体11の非画像部11bとの間に存在するトナーが、相対的にトナー静電搬送基板101に向けて静電移動するため、非画像部11bへの付着が阻止される。ところが、非画像部11bの電位を駆動バイアスの電位平均値よりもマイナス極性側に小さくしてしまうと、トナーを相対的に非画像部11bに向けて静電移動させ、付着させてしまうおそれがある。そこで、非画像部11bの電位を駆動バイアスの電位平均値よりもトナーの帯電極性側に大きくするのである。
【0033】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
先に示した図2において、プロセスユニット1の現像装置100は、感光体11の付近でトナーを循環搬送するトナー搬送部120、これに向けてトナーを供給するトナー供給部140、これにトナーを補給するトナー補給部160等を備えている。
【0034】
図5、図6、図7は、それぞれ、上記トナー供給部140を示す平断面図、縦断面図である。トナー供給部140は、図示しないトナーと摩擦促進物質との混合物を収容する混合物収容部たる収容室を有しており、この収容室は仕切壁141によって第1収容室142、第2収容室143の2つに仕切られている。第1収容室142内には、図示しない駆動手段によって回転駆動される第1搬送スクリュウ144が設けられている。また、第2収容室143内には、図示しない駆動手段によって回転駆動される第2搬送スクリュウ145が設けられている。これら第1搬送スクリュウ144,第2搬送スクリュウ145は、回転軸144a,145aの表面に螺旋突起144b,145bが突設せしめられた構造になっている。それぞれ、スクリューピッチ120[mm]、螺旋突起厚み1.5[mm]になっている。また、回転軸144a,145aは、螺旋突起144b,145bの先端を60[mm/sec]の周速で移動させるように回転せしめられる。また、各スクリュウは、アルミ等の導電性材料からなる基材の表面に、厚さ1[μm]程度のポリイミド樹脂層がコーティングされている。
【0035】
収容室の両端付近には、それぞれ長さL2(例えば25mm)に渡って仕切壁141の設けられていない連通スペースがあり、2つの収容室(142、143)がここで連通している。図5において、第1搬送スクリュウ144は、図示しないスクリュウ駆動系によって回転駆動されるのに伴って、第1収容室142に収容されている上記混合物を図中左側から右側に向けて攪拌搬送する。これによって第1収容室142の図中右側の連通スペースまで搬送された混合物は、第2収容室143内に進入する。そして、スクリュウ駆動系によって回転駆動される第2搬送スクリュウ143によって今度は図中右側から左側に向けて搬送され、第2収容室143の図中左側の連通スペースを経由して第1収容室142内に戻る。このようにして、収容室内では、混合物が攪拌搬送されながら図中反時計回りに循環する。
【0036】
第2収容室143には、トナー濃度検知手段(図2の147)が配設されており、第2収容室143内の混合物のトナー濃度を検知してそれに応じた値の電圧を出力する。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。制御部は、RMA等の記憶手段を備えており、この中にトナー濃度検知手段からの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像装置に搭載されたTセンサからの出力電圧の目標値であるM,C,K用Vtrefのデータを格納している。そして、Y用の現像装置100については、トナー濃度検知手段からの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、後述のトナー補給部(図2の160)を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。このようにトナー補給部の駆動が制御されることで、後述のトナー搬送部120へのトナー供給に伴ってトナー濃度を低下させたトナー供給部140内の混合物に適量のYトナーが補給され、そのYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色の現像装置100についても、同様のトナー補給制御が実施される。
【0037】
第2収容室143内に新たに補給されたトナーは、混合物に取り込まれた後、攪拌搬送に伴って摩擦促進物質に摺擦せしめられながら、第1収容室142に送られる。図6に示したように、第1収容室142の天井には、メッシュ146が設けられている。第1収容室142内では、混合物が第1搬送スクリュウ144によって攪拌搬送されながらメッシュ146の下を通過する。このメッシュ146は、厚さ0.08[mm]のステンレス等からなる金属製板状部材に、長径0.2[mm]且つ短径0.15[mm]の複数の孔が約50[%]の開口率になるように設けられたものである。各孔は、その短径方向をスクリュウ軸線方向に沿わせるような姿勢で設けられている。第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144b先端と、メッシュ146との間には、所定の間隙が保持されている。この間隙については、トナーの直径の1/5〜10倍程度の範囲に設定することが望ましい。望ましくはキャリア径の1/3〜2倍程度であると、混合物の入れ替え効率や混合攪拌効率が良くなる。本プリンタにおいては、0.7〜1.0[mm]程度に設定されている。第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144bの先端と、メッシュ146との間には、所定のギャップを設けることが望ましい。
【0038】
図7に示すように、第1搬送スクリュウ144の導電性基材には、スクリュウ電源回路190が接続されている。また、メッシュ146には、メッシュ電源回路191が接続されている。これら電源回路は、何れもスクリュウやメッシュにマイナス極性の電位を生じせしめるものであり、図示しない制御部によってそれぞれ出力電圧が制御される。トナー供給部140からトナー搬送部120のトナー静電搬送基板101にトナーが供給される際には、これら電源回路からの出力によって第1搬送スクリュウ144、メッシュ146がそれぞれトナーと同極性の電位を帯びる。詳しくは、第1搬送スクリュウ144は、メッシュ146よりもトナーと同極性側(マイナス極性側)に大きな電位を帯びる。また、メッシュ146は、図示しないトナー静電搬送基板(101)の各搬送電極に印加される駆動バイアスの平均電圧値よりも、トナーと同極性側に大きな電位を帯びる。更に詳しくは、例えば、上述のように駆動バイアスの平均電圧値が−50[V]である場合に、第1搬送スクリュウ144、メッシュ146がそれぞれ−1.45[kV]、−0.25[kV]の電位を帯びる。
【0039】
すると、第1収容室142から図示しないトナー静電搬送基板101にかけて、図8に示すような電界が形成される。即ち、第1搬送スクリュウ(144)とメッシュ146との間には、スクリュウの螺旋突起144b先端からメッシュ146の孔146a内に向けて延びる電気力線が形成される。また、メッシュ146と図示しないトナー静電搬送基板(101)との間には、孔146aの出口付近から基板に向けて延びる電気力線が形成される。第1搬送スクリュウ(144)によって攪拌搬送される混合物中のトナーは、まず、前者の電気力線の影響を受けて、摩擦帯電粒子の表面から離脱し、重力に逆らって孔146内に向けて飛翔する。次に、後者の電気力線の影響を受けて孔146を通過した後、トナー静電搬送基板(101)に向けて飛翔を続ける。このような静電気的な飛翔現象により、図7に示した第1収容室142内で攪拌搬送される混合物中のトナーが、摩擦帯電物質から分離されてトナー静電搬送基板101に供給される。なお、メッシュ146を通過した後のトナーは、メッシュ146の電位よりも平均電圧値の小さい基板上の各搬送電極に向けて相対的に静電移動しながら、基板上でトナー搬送方向にも相対的に静電移動していく。
【0040】
第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144b先端と、メッシュ146との電位差については、両者間の電界強度が絶対値で0.3〜3.5[kV/mm]の範囲におさまるように設定することが望ましい。3.5[kV/mm]よりも大きくなると、螺旋突起144bから延びる電気力線を孔146aのエッジに集中させてスクリュウからメッシュへの放電を引き起こし易くなるからである。また、0.3[kV/mm]よりも小さくなると、摩擦促進粒子の表面に付着しているトナーに対して、その付着力(鏡像力やファンデルワールス力)よりも大きい静電気力を付与することができなくなるからである。螺旋突起144b先端とメッシュ146との距離が1[mm]である場合には、両者の電位差を絶対値で0.3〜3.5[kV]にすれば、電界強度を上述の範囲に収めることができる。
なお、より望ましい電界強度の範囲は、絶対値で0.8〜3.0[kV]である。
【0041】
トナー搬送部120のトナー静電搬送基板101は、従来のような板状の形状ではなく、筒に板を固定したアルファベットの「P」のような形状をしている。
そして、この「P」における真っ直ぐに延びる棒線箇所(以下、平面部という)を、図示しない感光体に向けるような姿勢で配設されている。重力に逆らって飛翔してトナー供給部140のメッシュ146を通過したトナーは、まず、トナー静電搬送基板101における図中下側の曲面上に供給される。そして、EH現象によって図中反時計回りにホッピングしながら曲面に沿って搬送される。このとき、トナーはトナー静電搬送基板101上でも重力に逆らって搬送されることになるが、本発明者らの試験によれば、上述の駆動バイアスを印加している限りは、トナーを基板面から大きく引き離してしまうことはなかった。
【0042】
トナーは、トナー静電搬送基板101の曲面に沿って図中反時計回りに約280[°]搬送されると、図示しない感光体に対向する現像領域に到達し、ここで一部が静電潜像の現像に寄与する。現像に寄与したかった残りのトナーは、現像領域を通過した後に、トナー静電搬送基板101の「P」形状の平面部に送られる。そして、この平面部に沿ってホッピングしながら図中上側から下側へと搬送されて、トナー供給部140の第1収容室142内に戻される。これにより、現像に寄与しなかったトナーがリサイクルされる。
【0043】
トナー供給部140の第2収容室143には、トナー補給部160が着脱可能に連結している。このトナー補給部160は、補給用のトナーを収容するトナー収容部161、これの内部からトナー供給部の第2搬送スクリュウ145へとトナーを送出するための送出ローラ162、掻き取りブレード163等を有している。送出ローラ162は、その表面に図示しない複数の凹部を有しており、トナー収容部161の下方で、その周面の一部をケーシング164に設けられた開口から露出させるように配設されている。そして、上述の制御部に制御されて図中反時計回りに回転駆動される。
【0044】
上記掻き取りブレード163は、その一端側がケーシングに固定される一方で、もう一端側が固定されていない自由端になっている。そして、この自由端を送出ローラ162の周面に当接させるように配設されている。トナー収容部161内に収容されているトナーは、自重によって送出ローラ162に押さえ付けられて、その一部がローラ表面の複数の凹部内に充填される。このようにして凹部内にトナーが充填された送出ローラ162は、図中時計回りに回転する過程で、周面上(非凹部)に付着している余分なトナーがウレタンゴムからなる掻き取りブレード163によって掻き取られる。そして、ケーシング164の開口を通って外部に出て、その下方に位置する第2搬送スクリュウ145に向けて凹部内のトナーを送出する。この送出により、トナー補給部160からトナー供給部140へとトナーが補給される。
【0045】
トナー搬送部120と、トナー供給部140と、トナー補給部160との組合は、現像装置100におけるトナー搬送手段を構成している。このトナー搬送手段とは、トナー静電搬送部材たるトナー静電搬送基板101の表面上に存在するトナーを、静電気力によってその表面に対して相対移動させながら潜像担持体たる感光体11との対向位置に搬送する手段である。また、本プリンタの現像装置100においては、第1収容室142や第2収容室143が、トナーに対してこれの摩擦帯電を促進する摩擦帯電物質が混合された混合物を収容する混合物収容部として機能している。また、第1搬送スクリュウ144、第2搬送スクリュウ145、これらを回転駆動させる回転駆動系などからなる組合せが、混合物収容部内の混合物を攪拌する攪拌部材として機能している。また、メッシュ146、上記スクリュウ電源回路(190)、上記メッシュ電源(191)などからなる組合せが、攪拌手段によって攪拌される混合物をトナーと摩擦促進物質とに分離する分離手段として機能している。
【0046】
以上の構成の本プリンタにおいて、各プロセスユニット(1Y,M,C,K)の現像装置100のトナー供給部140は、第2収容室143や第1収容室142内でトナーを摩擦促進物質と混合した混合物の状態で攪拌することで、その摩擦帯電を促す。このようにして摩擦帯電を促しても、トナー補給部160からトナー供給部140に補給した直後のトナーについてはまだ十分に帯電させていない。しかし、かかるトナーに対しては、第1主要室142内において、重力に逆らってトナー静電搬送基板101に向けて飛翔させるほどの静電気力が作用しない。このため、かかるトナーのトナー静電搬送基板101への供給が回避される。よって、本プリンタにおいては、EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送基板101に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができる。
【0047】
金属材料からなるメッシュ146については、金属膜(板)のエッチングやエレクトロホーミング(電鋳)などによって容易に製造することができる。図9(a)、(b)、(c)に、エッチングによるメッシュ形成工程の一例を示す。この一例では、まず、図9(a)に示すように、SUS等の金属膜に対し、レーザー加工による微細加工を施したフォトマスクの開口パターンをフォトレジストによって形成する。次に、図9(b)に示すように、FeCl3等によってエッチングを行なって孔を形成する。更に、図9(c)に示すように、レジスト膜を剥離して、メッシュ146を完成させる。なお、エレクトロホーミングによるメッシュ形成については、図10(a)及び(b)に示すような工程で行えばよい。また、細線ワイヤーを編んでメッシュ146を形成することも可能である。
【0048】
メッシュ146の材料としては、可撓性や摩耗耐久性を発揮するものを用いることが望ましい。また、メッシュ146の孔の形状は、丸形、楕円形、四角形、長方形、星形、異形等のものを採用することができる。本プリンタでは、図9(c)に示したように、メッシュの孔を楕円形状とし、長手方向の開口の大きさを孔の長さLとし、短手方向の開口の大きさを孔の幅Wとしている。
【0049】
メッシュ146の構造については、金属材料の他、図11に示すように、トナー静電搬送基板101との対向面が金属材料層146bからなり、且つ混合物との接触面が有機樹脂146cからなる二重構造としてもよい。このような構造のメッシュ146では、摩擦促進粒子Pと接触する部分が有機材料であるので、摩擦促進粒子Pに対する摩擦によるダメージが金属材料に較べて小さく、その耐久性を向上させることができる。
【0050】
メッシュ146の孔146aについては、図12に示すように、トナーが入り込む入口側から出口側に向けて先細になる構造にしてもよい。かかる構造にすることで、出口側にて、孔146a内壁の金属材料部分(146b)から図示しないトナー静電搬送基板(101)に向けて電気力線を確実に延ばすことができる。そして、このことにより、孔146aからのトナーの抜け性を向上させることができる。
【0051】
また、メッシュ146については、図13に示すように、金属材料からなる基体146dの表面を、絶縁性の保護膜146eで被覆したものとしても良い。この場合、保護膜146eについては、電界強度劣化を起こさないよう0.5〜30[μm]の薄膜とし、SiO2、SiN、Ta2O5、ポリイミド等の材料を用いる。かかる構成のメッシュ146では、帯電したトナーと接触する表面が全て絶縁性の保護膜146eで覆われることで、基体146dからトナーへの電荷注入を阻止することができ、帯電量を適正に保つことができる。また、基体146dと混合物とが接触しないので、混合物、とりわけトナーの劣化も金属部と接触するものと較べて少なくすることができる。
【0052】
また、メッシュ146については、図14に示すように、有機樹脂材料からなる基体146fの外面に、金属材料からなる金属層146gを蒸着や電鋳によって被覆したものとしても良い。この場合、基体146fに用いる有機樹脂材料としては、トナー帯電能力の比較的高いものを用いることが望ましい。金属層146gは、0.5〜5[μm]の厚みの薄膜であり、孔146a内のトナーがこの薄膜からトナー静電搬送基板101に向けて延びる電気力線に沿って孔内を通過する。かかる構成のメッシュ146では、基体146fが有機樹脂材料であるため、良好なフレキシブル性と弾性とを発揮するとともに、良好は形状復元性を発揮する。そして、外から力が加わった場合でも、その形状を安定して保つことができる。また、孔146a内のトナーと接触することでトナーの摩擦帯電を促すこともできる。
【0053】
また、メッシュ146については、図15に示すように、金属材料からなる基材146hにおけるスクリュー対向面側に、有機樹脂剤量からなる保護層146iを貼り合わせたものとしてもよい。この場合、有機樹脂材料としては、トナー帯電能力の比較的高いものを用いることが望ましい。両材料の貼り合わせ法については、加熱接合によるものや、ホットプレスによるものを用いることができる。有機樹脂材料が用いられたメッシュ146は、良好なフレキシブル性、弾性、及び形状復元性を発揮することができる。
【0054】
また、メッシュ146については、図16に示すように、トナーが進入する入口側から出口側に向けて広がるテーパー状の形状にしてもよい。外面に向かって傾斜があり、孔径が広がる形状に形成してもよい。出口側に向けて広がる傾斜を孔内壁に形成することで、内壁へのトナー付着を抑えることができる。
【0055】
本発明者らは、図2に示したプロセスカートリッジ1と同様の構成の試作機を製造して、次のような実験を行った。即ち、トナー補給部160に市販のマイナス帯電性のトナーを充填し、送出ローラ162、第1搬送スクリュウ144、第2搬送スクリュウ145を連続的に5分間回転させた。この間、第1収容室142のトナーに対して、メッシュ146を通過させて外部に飛び出させるようなことはなかった。5分後における第1収容室142内の混合物中のトナー平均帯電量(q/m)を測定したところ、−24[μC/g]であった。静電潜像の現像には十分な値である。なお、2つのスクリューについては、それぞれ螺旋突起(144b、145b)先端の周速が60[mm/sec]になるように回転駆動した。また、第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144bの先端と、メッシュ146との間には、1.0[mm]の間隙を設けた。また、メッシュ146と、トナー静電搬送基板101との間にも、1.0[mm]の間隙を設けた。
【0056】
上述のようにしてトナーを十分に帯電させた後、第1搬送スクリュウ144、メッシュ146ともにマイナスの電位差を帯びさせ、且つ、両者間に1.2[kV]の電位差(|スクリュウ電位|>|メッシュ電位|)をかけた。また、同時に、トナー静電搬送基板101の各搬送電極に対して3相駆動バイアス(デューティ60%、波高−100V、周波数3.0kHz)を印加して、駆動バイアスの平均電位値とメッシュ電位との電位差を0.25[kV]とした。すると、第1収容室142内の混合物中からトナーを飛翔させて、メッシュの孔を通してトナー静電搬送基板101に良好に供給することができた。そして、供給後のトナーをトナー静電搬送基板101上で搬送して、感光体11上の静電潜像を十分な濃度で現像することができた。
【0057】
更に、このようにして感光体11上でベタ画像を連続的に現像しながら、上述のトナー補給制御によってトナー補給部160からトナー供給部140内に適宜トナーを補給した。このような連続的なベタ画像の現像においても、トナー静電搬送基板101にトナーを安定して供給することができた。
【0058】
連続現像後に装置を止めて、第1収容室142内の混合物中のトナーと、トナー静電搬送基板101上のトナーとをサンプリングした。そして、それぞれについて帯電分布を測定した。図17は、かかる帯電分布を示すグラフである。同図より、第1収容室(142)内では帯電量がほぼゼロのトナー、即ち、未帯電トナーも少なからず含まれるが、トナー静電搬送基板101上では、未帯電トナーを含んでいないことがわかる。
【0059】
なお、先に示した図7において、第1搬送スクリュウ144や第2搬送スクリュウ145の攪拌能力によっては、多量のトナーが補給されるベタ画像連続現像にて、トナーの摩擦帯電が間に合わずに、トナー供給不足をきたすおそれがある。このような場合には、トナー補給部160からトナー供給部140へのトナー補給の際に、トナーをプレ帯電させる構成を採用すればよい。
【0060】
図18は、プレ帯電機能を搭載したトナー補給部160を、トナー供給部(140)の第2搬送スクリュウ145とともに示す拡大構成図である。同図において、トナー補給部160の送出ローラ162は、金属などの導電性の高い材料から構成されている。送出ローラ162の周面には、図19に示すように、螺旋状に掘り込まれた螺旋溝162aが形成されている。この螺旋溝162aは、幅1[mm]、深さ0.2[mm]のサイズに形成されており、送出ローラ162の下方にある第2搬送スクリュウ(145)の上記螺旋突起(145b)とピッチが等しくなっている。そして、送出ローラ162と第2搬送スクリュウ(145)とは、それぞれ互いの対向部にて、螺旋溝162aと螺旋突起(145b)とを常に対向させるように、等しい周速で回転駆動せしめられる。
【0061】
図20は、同トナー補給部160と、トナー供給部140との間に形成される補給領域の周囲構成を示す拡大図である。同図において、第2搬送スクリュウ145は、アルミ等の金属からなる基体の表面に、有機樹脂材料からなる保護層が被覆されている。そして、その金属製の基体は電気的に接地されている。一方、金属材料からなる送出ローラ162には、図示しない制御部によって出力が制御される送出電源回路192が接続されている。この送出電源回路192からの出力により、送出ローラ162はトナーの帯電極性と同極性であるマイナスの電位を帯びる。その電位値は、例えば−1.0[kV]である。
【0062】
送出ローラ162の回転に伴い、送出ローラ162の螺旋溝162a内に充填されているトナーは、補給領域に向けて搬送される。この補給領域では、−1.0[kV]の電位を帯びている送出ローラ162と、接地されている第2搬送スクリュウ145の螺旋突起145aとの間に強電界が形成されている。補給領域に至った螺旋溝162a内のトナーは、この強電界を受けて、送出ローラ162からマイナス極性の電荷が注入されて、螺旋溝162a内から飛翔する。そして、間隙Gを通過して第2搬送スクリュウ145の螺旋突起145bに付着する。
このようにして、トナー補給部160からトナー供給部140の第2収容室(143)内にトナーが補給される。補給されたトナーは、第2収容室内の混合物に混合されながら、第1収容室(142)に向けて攪拌搬送される。この過程で、トナーは更に摩擦帯電が促される。
【0063】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。
[実施例1]
実施形態においては、摩擦促進物質として、平均粒径0.3[mm]のガラスビーズからなるものを用いていた。また、図2に示したメッシュ146として、次に列記する条件を具備するものを用いていた。
・基体の材質:金属
・厚さ:0.08[mm]
・孔長径:0.2[mm]
・孔短径:0.15[mm]
・開口率:約50[%]
【0064】
メッシュ146の孔短径を摩擦促進粒子たるガラスビーズの平均粒径よりも小さくしていたことがわかる。ここで、第1収容室142内において、ガラスビーズを攪拌時の反動によって第1収容室142の開口から外に飛び出させるおそれがある。しかし、実施形態のように、孔短径がガラスビーズの平均粒径よりも小さいメッシュ146を用いれば、たとえガラスビーズを攪拌の反動によって跳ねさせたとしても、メッシュ146に引っ掛けて外部への飛び出しを回避することができる。
【0065】
一方、本実施例1のプリンタでは、メッシュ146の孔と、ガラスビーズ等の摩擦促進粒子との径関係を実施形態と逆にしている。具体的には、本プリンタでは、第1収容室142や第2収容室143にセットする摩擦促進物質として、所定の性状のものを用いるようにユーザーに指定している。この指定については、例えば、所定の性状の摩擦促進物質を収容室内にセットした状態でプリンタを出荷することによって行うことができる。また例えば、その所定の性状の摩擦促進物質をプリンタとともに梱包して出荷することによって行ってもよい。また例えば、その所定の性状の摩擦促進物質の製品番号や商品名などを、プリンタ本体やこれの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって上記性状、製品番号、商品名などを通知することによって行ってもよい。そして、メッシュ146として、その孔短径が指定した摩擦帯電粒子の平均粒径よりも大きいものを用いている。
【0066】
かかるメッシュ146を用いたとしても、混合物からのトナーの分離については、トナーを静電気力によって重力に逆らって飛翔させることで実現することができる。そうすると、メッシュ146の役割が不明であると思われがちであるが、メッシュ146は第1収容室142内でトナーを飛翔させる強電界を発生させるのに重要な役割を担っている。具体的には、少なくとも基体に導電性材料が用いられたメッシュ146を設けないと、第1収容室142内のトナーを、第1搬送スクリュウ144とトナー静電搬送基板101との電位差だけで重力に逆らって飛翔させる必要がある。そのためには、第1搬送スクリュウ144に相当に高い(マイナス極性側に)電圧を印加する必要が生じ、その電圧の影響によってトナー静電搬送基板101上の搬送用の電界を押し潰してしまうおそれがある。そこで、メッシュ146を設けるのである。そうすると、メッシュ146と第1搬送スクリュウ144との間に十分な強電界を形成しつつ、第1搬送スクリュウ144の高電位による電界をメッシュ146でシールドすることができる。
【0067】
このシールド機能については、メッシュの孔径をある程度大きくしても、十分に発揮させ得ると思われた。そこで、メッシュ146として、次に掲げる条件を具備するものを用いた。
・材質:金属
・孔径:0.5[mm]
・厚さ:25[μ]
・開口率:90[%]
【0068】
かかる構成のメッシュ146を上述した試作機に搭載して運転してみたところ、第1収容室142からトナー静電搬送基板101への単位時間あたりにおけるトナー供給量を80[%]も増加させることができた。メッシュ146の開口率を50[%]から80[%]に高めたことで、メッシュ146の非孔部に邪魔されて飛翔を阻まれるトナーの量が大幅に減少したためである。
【0069】
[実施例2]
本実施例2に係るプリンタにおいては、メッシュ146を設けていない。かかる構成では、メッシュ146を設けることによる構成の複雑化やコストアップを回避することができる。但し、上述のシールドとして機能するメッシュ146を設けないことで、第1搬送スクリュウ144に印加するスクリュウ電圧については、大幅に小さくしなければならない。実施形態と同様の値であると、トナー静電搬送基板101上の搬送電界を押し潰してトナーをホッピング搬送することができなくなるからである。
【0070】
上述した試作機において、メッシュ146をはずし、スクリュー電圧を−1.2[kV]から−0.6[kV]に引き下げてみた。すると、第1収容室142からトナー静電搬送基板101へのトナー供給量を、実施形態における実験の約1/10程度まで減少させた。しかし、文章原稿など、画像面積率の比較的小さなプリントアウトであれば、このようなトナー供給量でも何とか対応することができた。
【0071】
[実施例3]
本プリンタでは、第1収容室142からトナー静電搬送基板101へのトナー供給と供給停止とを、短い周期で交互に繰り返すようにに構成されている。具体的には、例えば、まず第1収容室142内の混合物中のトナーに対して10[msec]間だけ電界(以下、飛翔用電界という)を作用させてトナー静電搬送基板101に向けて飛翔させる。そして、次の10[msec]間については、かかる飛翔用電界を形成しないか、あるいはその強度を弱めるかして、第1収容室142内からトナーを飛翔させないで、トナー静電搬送基板101へのトナー供給を停止する。このように、トナー供給と、トナー供給停止とを交互に繰り返すのである。
【0072】
かかる構成の本プリンタでは、飛翔用電界によってトナー静電搬送基板101上の搬送用電界を押し潰してしまったとしても、トナー供給停止時には飛翔用電界による搬送用電界の押し潰しを抑える。そして、先に第1収容室内からトナー静電搬送基板101上に供給しておいたトナーを、トナー供給停止時に押し潰しが抑えられた搬送用電界によって現像領域に向けて良好に搬送する。よって、トナーを供給するために形成する飛翔用電界によるトナー搬送能力の低下を抑えることができる。
【0073】
本発明者らは、実施例2で用いた試作機について、スクリュウ電圧を−0.6[kV]から−1.2[kV]に引き上げた。但し、そのままでは、第1搬送スクリュウ144からトナー静電搬送基板101に向けて延びる飛翔用電界により、基板上の搬送用電界を押し潰してトナーを搬送することができなかった。そこで、−1.2[kV]のスクリュウ電圧を10[msec]印加して第1収容室142内からトナー静電搬送基板101に向けてトナーを飛翔させた後、その後の10[msec]についてはスクリュウ電圧を0[kV]にした。10[msec]間のトナー供給と、10[msec]間のトナー供給停止とを交互に繰り返すようにしたのである。すると、トナー供給停止時にトナー静電搬送基板101上でトナーを良好に搬送することができた。そして、トナー搬送量を実施例2のプリンタの約2倍にまで増加させることができた。なお、この実験では、メッシュ146を設けていない構成でトナー供給と供給停止とを交互に繰り返したが、メッシュ146を設けた構成であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0074】
これまで、実施形態や各実施例において、トナー静電搬送基板101として、アルファベットの「P」の形状に湾曲したものを用いたプリンタについて説明したが、従来と同様に平板状のものを用いてもよい。また、トナー供給部140をトナー静電搬送基板101の真下に配設したプリンタについて説明したが、重力に逆らってトナーを供給させることができれば、真下でなくて斜め下に配設してもよい。
【0075】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、混合物収容部たる第1収容室142内に導電性部材たる第1搬送スクリュウ144を配設している。また、第1収容室142内の混合物を介して第1搬送スクリュウ144に対向し、且つ、導電性材料からなる基体にトナーの通過可能な複数の孔が設けられたメッシュ146を第1収容室142に配設している。そして、第1搬送スクリュウ144とメッシュ146との電位差によって混合物中から重力に逆らって飛翔したトナーを、メッシュ146とトナー静電搬送基板101との電位差によってトナー静電搬送基板101に向けて飛翔させている。かかる構成では、図7に示したメッシュ電源回路191のような電位差発生手段により、攪拌部材たる第1搬送スクリュウと、メッシュ142との間に電位差を生じせしめて、両者間に強電界を形成することができる。そして、ある程度の付着力で混合物中の摩擦促進粒子に吸着しているトナーに対し、第1搬送スクリュウ144とトナー静電搬送基板101との電位差による電界だけを作用させる場合に比べ、より強い静電気力を付与して重力に逆らって確実に飛翔を開始させることができる。更に、両者間に形成される強電界をメッシュ142でシールドして、その強電界がトナー静電搬送基板101上の搬送用電界に及ぼす影響を抑えることができる。
【0076】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、混合物収容部たる第1収容室142や第2収容室143内にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定している。そして、メッシュ146として、その孔の径が、指定した摩擦促進物質の摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいものを用いている。かかる構成では、第1収容室142内で摩擦帯電粒子を攪拌の反動によって跳ねさせたとしても、それをメッシュ146によって捕捉してトナーだけをトナー静電搬送基板101に供給することができる。よって、第1収容室142内からトナー静電搬送基板101に摩擦促進粒子を供給してしまうといった事態を回避することができる。
【0077】
また、実施例1に係るプリンタにおいては、第1収容室142や第2収容室143にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定している。そして、メッシュ146として、その孔の径が、指定した摩擦促進物質の摩擦促進粒子の平均粒径よりも大きいものを用いている。かかる構成では、既に述べたように、孔の径が摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいものを用いる場合に比べて、メッシュ146の開口率を高めて、第1収容室142内からトナー静電搬送基板101へのトナー供給能力を高めることができる。
【0078】
また、実施例3に係るプリンタにおいては、第1収容室142内からトナー静電搬送基板101へのトナーの供給と供給停止とを、周期的に交互に繰り返すようにしている。かかる構成では、既に述べたように、トナーを供給するために第1収容室142内やその周囲に形成する飛翔用電界によって、トナー静電搬送基板101上に形成する搬送用電界を押し潰してしまうことによるトナー搬送能力の低下を抑えることができる。
【0079】
【発明の効果】
請求項1乃至8の発明によれば、EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送基板に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのプロセスユニットを転写ベルトとともに示す拡大構成図。
【図3】同プロセスユニットにおける感光体とトナー静電搬送基板とを示す拡大構成図。
【図4】同トナー静電搬送基板の搬送電極に印加されるA相駆動バイアス、B相駆動バイアス及びC相駆動バイアスの波形を示す波形図。
【図5】同プロセスユニットの現像装置のトナー供給部を示す平断面図。
【図6】同トナー供給部を示す縦断面図。
【図7】同プロセスユニットと各種電源回路とを示す拡大構成図。
【図8】同トナー供給部内やその周囲に形成される電界を示す模式図。
【図9】(a)、(b)、(c)は、それぞれ同メッシュを形成するためのメッシュ形成工程の一例を示す模式図。
【図10】(a)、(b)は、それぞれエレクトロホーミングによるメッシュ形成工程の一例を示す模式図。
【図11】二重構造の同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図12】各開口が先細に形成された同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図13】金属材料からなる基体の表面を、絶縁性の保護膜で被覆して得た同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図14】有機樹脂材料からなる基体の外面に、金属材料からなる金属層を被覆して得た同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図15】金属材料からなる基材におけるスクリュー対向面側に、有機樹脂剤量からなる保護層を貼り合わせて得た同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図16】トナーが進入する入口側から出口側に向けて広がるテーパー状に形成された開口を有する同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図17】同トナー供給部の第1収容室内の混合物中のトナーにおける帯電量分布と、同トナー静電搬送基板上のトナーにおける帯電量分布とを示すグラフ。
【図18】同プリンタにおけるトナー補給部を、同トナー供給部の第2搬送スクリュウとともに示す拡大構成図。
【図19】同トナー補給部の送出ローラの一部を示す斜視図。
【図20】同トナー補給部と同トナー供給部との間に形成される補給領域の周囲構成を示す拡大構成図。
【符号の説明】
1Y,M,C,K プロセスユニット
11Y,M,C,K 感光体(潜像担持体)
100 現像装置
101 トナー静電搬送基板(トナー静電搬送部材)
140 トナー供給部
142 第1収容室(混合物収容部)
143 第2収容室(混合物収容部)
144 第1搬送スクリュウ(攪拌部材、導電性部材)
145 第2搬送スクリュウ(攪拌部材)
146 メッシュ
160 トナー補給部
161 トナー収容部
162 送出ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー静電搬送部材の表面上のトナーを静電気力によってその表面に対して相対移動させて搬送するトナー搬送装置、並びに、これを用いる現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置として、特許文献1や特許文献2に記載のものが知られている。これらの画像形成装置では、表面移動する現像ローラ等の現像剤担持体に担持したトナーを、感光体等の潜像担持体との対向位置である現像位置に搬送して、潜像担持体上の静電潜像を現像する。
かかる構成では、トナーが表面移動する現像剤担持体と潜像担持体との間で擦れ、何れか一方の表面に固着して、画像に悪影響を及ぼすことがあった。また、現像位置において、トナーを現像剤担持体の表面と潜像担持体上の静電潜像との電位差によって静電移動させるのであるが、この電位差を相当に大きくしなければならなかった。静電移動の開始に先立って、ファンデルワールス力や鏡像力等によるトナーと現像剤担持体との付着力に打ち勝つだけの力をトナーに付与して付着状態を解く必要があり、そのために大きな静電気力を必要とするからである。
【0003】
一方、表面移動する現像剤担持体を用いずにトナー像を現像する画像形成装置としては、特許文献3に記載のものが知られている。この画像形成装置の現像装置は、複数の電極が所定ピッチで配設されたトナー静電搬送基板の表面上でEH(Electrostatic Transport&Hopping)現象を生じせしめて、トナーを現像位置まで搬送する。このEH現象とは、粉体に作用する移相電界のエネルギーが機械的なエネルギーに変換されて、粉体自身が動的に変動する現象をいう。EH現象が生起せしめられたトナーは、静電搬送基板面上で移相電界によって進行方向の成分を持って飛び跳ねて、基板面方向の移動(搬送)と、基板面に垂直な方向の移動(ホッピング)とを行う。トナー静電搬送基板上でトナーをホッピングさせながら現像位置に搬送することで、表面移動する現像剤担持体を用いた構成では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。例えば、周囲の非画像部との電位差が僅か数十[V]である静電潜像にトナーを選択的に付着させることも可能である。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−197781号公報
【特許文献2】
特開平9−329947号公報
【特許文献3】
特開2002−341656号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この画像形成装置の現像装置は、十分に帯電したトナーをトナー静電搬送基板に供給することができずに、トナーの帯電不良による悪影響を引き起こすおそれがあった。具体的には、トナーホッパ部内のトナーを帯電ローラ表面に汲み上げた後に規制ブレードで摩擦して帯電させているのであるが、この程度の摩擦では不十分な場合もあり得る。
【0006】
そこで、本発明者らは、トナーをガラスビーズ等の摩擦促進粒子からなる摩擦促進物質に混合せしめて混合物の状態で攪拌することで、十分に摩擦帯電せしめてからトナー静電搬送基板に供給する新規なトナー供給装置を開発中である。このトナー供給装置は、上記混合物を収容する混合物収容部と、これの内部に配設された回転するスクリュウ部材等の攪拌搬送部材と、これによる混合物搬送路の底面の一部に設けられたメッシュとを有している。また、上記混合物収容部内に新たなトナーを補給するトナー補給装置も有している。混合物収容部内の混合物は、攪拌搬送部材によって攪拌されながら搬送される過程で、内部のトナーの摩擦帯電が促される。そして、上記メッシュの上側を通過する際に、トナーが電界によってメッシュに向けて引き寄せられ、メッシュの開口を通ってトナー静電搬送基板に向けて排出される。かかる構成では、トナーを摩擦促進物質によってより確実に摩擦帯電せしめてから、トナー静電搬送基板に供給することができる。
【0007】
しかしながら、この現像装置においては、次のような新たな問題が生じてしまった。即ち、トナー静電搬送基板への供給によるトナー減少分に応じて、新たなトナーを上記トナー補給装置から混合物収容部に補給した直後に、多量の未帯電トナーを上記メッシュからこぼれ落としてしまうという問題である。
【0008】
本発明者らは、この新たな問題に対応すべく鋭意研究を行った結果、次のようなことがわかってきた。即ち、上記混合物収容部内において、ガラスビーズ等の摩擦促進粒子は、トナーがごく僅かにでも帯電していれば、それを表面に静電吸着させて数個(1〜2個)の厚みのトナー層を形成する。そして、同様にしてトナー層を形成した他の摩擦促進粒子と擦れ合うことで、表面のトナーを良好に摩擦帯電させる。ところが、トナー補給装置から混合物収容部に新たに補給されたトナーは殆ど帯電していないために、摩擦促進粒子の表面に静電吸着することができない。そして、摩擦促進粒子間の空隙に多量に滞留してしまい、殆ど帯電しないままに上記メッシュの上側まで搬送され、自重によってメッシュの開口からこぼれ落ちてしまうのである。
【0009】
なお、これまで、トナーをメッシュによって混合物中から分離する構成における問題について説明してきた。しかしながら、摩擦促進粒子に静電吸着したトナーを電界による静電気力によって分離するなど、他の構成によってトナーを分離する場合にも同様の問題が生じ得る。
【0010】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のようなトナー搬送装置、並びに、これを用いる現像装置及び画像形成装置を提供することである。即ち、EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送基板等のトナー静電搬送部材に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができるトナー搬送装置等である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面上のトナーを静電気力によって該表面に対して相対移動させて搬送先まで搬送するトナー静電搬送部材を備えるトナー搬送装置において、混合物収容部内に収容されるトナーと摩擦促進物質との混合物を攪拌部材によって攪拌しながら、該混合物中のトナーを静電気力によって飛翔させて上記トナー静電搬送部材に供給するトナー供給部と、該トナー供給部に補給用のトナーを補給するトナー補給部とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のトナー搬送装置において、上記混合物収容部内に導電性部材を配設し、該混合物収容部内の混合物中のトナーを、該導電性部材と上記トナー静電搬送部材との電位差によって飛翔させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1のトナー搬送装置において、上記混合物収容部内に導電性部材を配設するとともに、該混合物収容部内の混合物を介して該導電性部材に対向し、且つ、導電性材料からなる基体にトナーの通過可能な複数の孔が設けられたメッシュを該混合物収容部に配設し、該導電性部材と該メッシュとの電位差によって該混合物中から飛翔したトナーを、該メッシュと上記トナー静電搬送部材との電位差によって該トナー静電搬送部材に向けて飛翔させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3のトナー搬送装置であって、工場出荷時の初期状態にて上記混合物収容部内に摩擦促進物質を収容しており、上記メッシュの孔の径が、該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3のトナー搬送装置において、上記混合物収容部にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定し、且つ、上記メッシュとして、その孔の径が該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3のトナー搬送装置において、上記混合物収容部にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定し、且つ、上記メッシュとして、その孔の径が該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも大きいものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかのトナー搬送装置において、上記混合物収容部内から上記トナー静電搬送部材へのトナーの供給と供給停止とを、周期的に交互に繰り返すようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、トナー搬送手段に設けられたトナー静電搬送部材の表面上に存在するトナーを静電気力によって該表面に対して相対移動させながら該潜像担持体との対向位置に搬送して、該潜像担持体に担持される潜像をトナー像に現像する現像手段とを備える画像形成装置において、上記現像手段のトナー搬送手段として、請求項1〜7の何れかのトナー搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
【0012】
これらの発明において、トナー搬送装置のトナー供給部は、混合物収容部内でトナーを摩擦促進物質と混合した混合物の状態で攪拌することで、その摩擦帯電を促す。このようにして摩擦帯電を促しても、トナー補給部からトナー供給部に補給した直後のトナーについてはまだ十分に帯電させていないが、かかるトナーに対しては、混合物中から飛翔させるほどの静電気力が作用しない。このため、かかるトナーのトナー静電搬送部材への供給が回避される。よって、本発明においては、EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送部材に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、タンデム方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。このプリンタは、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。なお、以下、各符号の添字Y,M,C,Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す。
【0014】
プロセスユニット1Y,M,C,Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体11Y,M,C,Kを有している。本プリンタは、これらプロセスユニット1Y,M,C,Kの他、光書込ユニット2、給紙カセット3,4、レジストローラ対5、転写ユニット6、ベルト定着方式の定着ユニット7、排紙トレイ8を備えている。また、図示しない手差しトレイ、電源ユニットなども備えている。
【0015】
上記光書込ユニット2は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体11Y,M,C,Kの表面にレーザー光を走査しながら照射する。
【0016】
図2は、上記プロセスユニット1Y,M,C,Kのうちの何れか1つを、上記転写ユニット6の一部とともに示す拡大構成図である。なお、各プロセスユニット1Y,M,C,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他は、ほぼ同様の構成になっているので、同図においては、符号の添字Y,M,C,Kを省略している。同図において、プロセスユニット1は、感光体11の他、これの表面に対して潤滑剤を塗布するブラシローラ12、クリーニング処理を施す揺動可能なカウンタブレード13、除電処理を施す除電ランプ14などを有している。また、感光体11を一様帯電せしめる帯電ローラ15や、これの表面をクリーニングするローラクリーニング装置16、現像装置100なども有している。
【0017】
プロセスユニット1において、図示しない電源によって交流の帯電バイアスが印加される帯電ローラ15は、感光体11に当接するように配設されている。そして、図示しない駆動手段により、当接部でその表面を感光体11の表面移動と同方向に移動させるように回転せしめられながら、感光体11の表面を一様帯電せしめる。このように一様帯電せしめられた感光体11の表面に、上記光書込ユニット(図1の2)で変調及び偏向されたレーザー光が走査されながら照射されると、感光体11の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、後述する現像装置100によってトナー像に現像される。
【0018】
先に示した図1において、プリンタ本体の下部には、2つの給紙カセット3,4が配設されている。これら給紙カセット3,4は、内部に転写紙束を収容しており、その一番上の転写紙Pに給紙ローラ3a,4aを押し当てている。そして、所定のタイミングで給紙ローラ3a,4aを回転させて、転写紙Pを給紙路に送り出す。この給紙路の末端には、レジストローラ対5が配設されており、送られてきた転写紙Pを、Y用のプロセスユニット1Yの感光体11Y上に形成されたYトナー像に同期させ得るタイミングで、転写ユニット6に向けて送り出す。
【0019】
転写ユニット6は、感光体11Y,M,C,Kのそれぞれに接触して4つの転写ニップを形成しながら無端移動する表面移動体たる転写搬送ベルト60を有している。転写搬送ベルト60は、各プロセスユニット1Y,M,C,Kの感光体11Y,M,C,Kに接触して4つの転写ニップを形成するように、4つの支持ローラ61に掛け回されている。これらの支持ローラ61のうち、図中最も右側のものに対しては、図示しない電源から所定電圧が印加された静電吸着ローラ62が対向するように配置されている。この静電吸着ローラ62からの電荷付与により、転写搬送ベルト60は、そのおもて面(スープ外面)に転写紙Pを静電吸着することができる。
【0020】
各転写ニップの下方には、転写搬送ベルト60の裏面に接触する転写バイアス印加ローラ65Y,M,C,Kが設けられている。これら転写バイアス印加ローラ65Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によって定電流制御される転写バイアスが印加される。これにより、転写搬送ベルト60に転写電荷が付与され、各転写ニップにおいて転写搬送ベルト60と感光体表面との間に所定強度の転写電界が形成される。なお、本プリンタにおいては、転写バイアス印加部材として転写バイアス印加ローラ65を設けているが、ローラに代えて、ブラシやブレード等のものを設けてもよい。
【0021】
図中の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセット3,4から給送された図示しない転写紙は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら複数の搬送ローラ対によって搬送され、レジストローラ対5が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対5によって所定のタイミングで送り出された転写紙は上記転写搬送ベルト60に保持され、感光体11Y,M,C,Kに接触し得るY転写ニップ、M転写ニップ、C転写ニップ、K転写ニップを順次通過する。これにより、各プロセスユニット1Y,M,C,Kの感光体11Y,M,C,K上で現像されたY,M,C,Kトナー像が、それぞれ転写ニップで転写紙Pに重ね合わされ、上記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙上にはフルカラー画像が形成される。
【0022】
フルカラー画像が形成された図示しない転写紙は、加熱ベルトを備える上記定着ユニット7内でこのフルカラートナー像が定着された後、排紙トレイ8上に排出される。
【0023】
先に示した図2において、トナー像が転写された後の感光体11の表面は、ブラシローラ12で所定量の潤滑剤が塗布された後、カウンタブレード13でクリーニングされる。そして、除電ランプ14から照射された光によって除電され、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0024】
カウンタブレード13によってクリーニングされた感光体11表面には、どうしても除去し切れなかったトナーが僅かながら残ってしまう。このように残ってしまったクリーニング残トナーは、感光体11表面に当接しながら回転する帯電ローラ15に付着して汚れとなってしまう。この汚れがそのまま放置されると、やがて帯電ローラ15上で堆積したクリーニング残トナーによって感光体11の局所的な帯電不良が発生し、黒スジなどの異常画像を引き起こしてしまう。そこで、プロセスユニット1Yには、帯電ローラ15に付着したクリーニング残トナーをクリーニングするローラクリーニング装置16が設けられている。
【0025】
図3は、プロセスユニット(1)の感光体11と、上記現像装置(100)のトナー静電搬送基板101とを示す拡大構成図である。なお、同図においても、符号の添字Y,M,C,Kを省略している。現像装置(100)内では、図示しない領域にて、トナー静電搬送基板101上に対して後述するトナー供給部からトナーが供給される。トナー静電搬送基板101は、ガラス等からなる絶縁性基板101dに対して、複数の短冊状の搬送電極が基板長手方向(図の左右方向)に所定のピッチで並ぶように配設されている。これら搬送電極は幅寸法(基板長手方向における寸法)が30[μm]になっており、互いに30[μm]の間隙を介して平行配設されている。このような配設により、絶縁性基板上では短冊状の搬送電極がストライプ状に並べられた構成になっている。
【0026】
各搬送電極について更に詳しく述べると、それらはA群、第B群、第C群の3種類に分類され、同じ群に属する電極同士は互いに電気的に接続された状態になっている。そして、絶縁性基板101d上では、図中左側、A群に属するA搬送電極101a、B群に属するB搬送電極101b、C群に属するC搬送電極101cという順序が繰り返されるように、各搬送電極が配設されている。各A搬送電極101a、各B搬送電極101b、各C搬送電極101cに対しては、駆動電源回路30からA相駆動バイアス、B相駆動バイアス、C相駆動バイアスがそれぞれ印加される。なお、同図において、トナーはマイナス極性に帯電しており、トナー静電搬送基板101上にて図中上側から下側に向けて搬送される。
【0027】
図4は、上述のA相駆動バイアス、B相駆動バイアス及びC相駆動バイアスの波形を示す波形図である。各相では、それぞれ電圧−100[V]、持続時間501[μsec]の直流パルス波が501[μsec]の間隔をおいて出力される。ここで、まず上記C搬送電極(101c)に印加されるC相駆動バイアスに着目してみると、時点t0においては0[V]になっている。このとき、上記C搬送電極(101c)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っている上記A搬送電極(101a)も0[V]になっている(C相駆動パルス参照)。また、トナー搬送方向下流側で隣り合っている上記B搬送電極(101a)には、−100[V]の電圧が印加されている(B相駆動バイアス参照)。このような状態において、時点t0における上記C搬送電極(101c)上のトナーは、殆ど動かずにそこに留まっている。
【0028】
その後、334[μsec]が経過して時点t1が到来すると、上記C搬送電極(101c)には、−100[V]の電圧が印加される。すると、上記C搬送電極(101c)上に存在しているマイナス極性のトナーに対して、C搬送電極(101c)と反発する静電気力が作用する。このとき、上記C搬送電極に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っている上記A搬送電極(101a)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っている上記B搬送電極(101b)は、0[V]になっている。このため、上記C搬送電極(101c)上に存在しているマイナス極性のトナーは、上記B搬送電極(101b)に向けて静電移動する。
【0029】
その後、更に約334[μsec]が経過して時点t2が到来すると、それまで0[V]であった上記B搬送電極(101b)に、−100[V]の電圧が印加される。そして、上記C搬送電極(101c)上からの静電移動によって上記B搬送電極(101b)上に存在するようになったトナーに対して、B搬送電極(101b)と反発する静電気力が作用する。このとき、B搬送電極(101b)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っているC搬送電極(101c)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っているA搬送電極(101a)は、0[V]になっている。このため、B搬送電極(101b)上のトナーは、A搬送電極(101a)に向けて静電移動する。
【0030】
その後、更に約334[μsec]が経過して時点t3が到来すると、それまで0[V]であったA搬送電極(101a)に、−100[V]の電圧が印加される。そして、B搬送電極(101b)からの静電移動によってA搬送電極(101a)上に存在するようになったトナーに対して、A搬送電極と反発する静電気力が作用する。このとき、A搬送電極(101a)に対してトナー搬送方向上流側で隣り合っているB搬送電極(101b)にも、−100[V]の電圧が印加されている。一方、トナー搬送方向下流側で隣り合っているC搬送電極(101c)は0[V]になっている。このため、A搬送電極(101a)上のトナーは、C搬送電極(101c)に向けて静電移動する。
【0031】
以上のような静電移動の繰り返しにより、先に示した図3において、トナー静電搬送基板101上のトナーは図中右側から左側に向けて、ホッピングしながら静電移動していく。そして、トナー静電搬送基板101と感光体11とが所定の間隙を介して対向している現像領域に進入する。この現像領域において、感光体11の画像部11aは0[V]になっているのに対し、非画像部11bは−100[V]になっている。すると、トナーは現像領域中を図中右側から左側に向けて静電移動する過程で、感光体11の画像部11aに付着して静電潜像を現像する。
【0032】
なお、感光体11の非画像部11bについては、トナー静電搬送基板101の各搬送電極に印加する駆動バイアスの電位平均値よりも、トナーの帯電極性側に大きな電位を帯びさせる必要がある。例えば、図4に示した各相の駆動バイアスは、それぞれ、持続時間501[μsec]の−100[V]の電位と、持続時間501[μsec]の0[V]の電位との繰り返しであるので、電位平均値は−50[V]になる。一方、図3における感光体11の非画像部11bの電位は、この−50[V]よりもマイナス極性側に大きな−100[V]になっている。このような電位の関係では、現像領域でトナー静電搬送基板101と感光体11の非画像部11bとの間に存在するトナーが、相対的にトナー静電搬送基板101に向けて静電移動するため、非画像部11bへの付着が阻止される。ところが、非画像部11bの電位を駆動バイアスの電位平均値よりもマイナス極性側に小さくしてしまうと、トナーを相対的に非画像部11bに向けて静電移動させ、付着させてしまうおそれがある。そこで、非画像部11bの電位を駆動バイアスの電位平均値よりもトナーの帯電極性側に大きくするのである。
【0033】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
先に示した図2において、プロセスユニット1の現像装置100は、感光体11の付近でトナーを循環搬送するトナー搬送部120、これに向けてトナーを供給するトナー供給部140、これにトナーを補給するトナー補給部160等を備えている。
【0034】
図5、図6、図7は、それぞれ、上記トナー供給部140を示す平断面図、縦断面図である。トナー供給部140は、図示しないトナーと摩擦促進物質との混合物を収容する混合物収容部たる収容室を有しており、この収容室は仕切壁141によって第1収容室142、第2収容室143の2つに仕切られている。第1収容室142内には、図示しない駆動手段によって回転駆動される第1搬送スクリュウ144が設けられている。また、第2収容室143内には、図示しない駆動手段によって回転駆動される第2搬送スクリュウ145が設けられている。これら第1搬送スクリュウ144,第2搬送スクリュウ145は、回転軸144a,145aの表面に螺旋突起144b,145bが突設せしめられた構造になっている。それぞれ、スクリューピッチ120[mm]、螺旋突起厚み1.5[mm]になっている。また、回転軸144a,145aは、螺旋突起144b,145bの先端を60[mm/sec]の周速で移動させるように回転せしめられる。また、各スクリュウは、アルミ等の導電性材料からなる基材の表面に、厚さ1[μm]程度のポリイミド樹脂層がコーティングされている。
【0035】
収容室の両端付近には、それぞれ長さL2(例えば25mm)に渡って仕切壁141の設けられていない連通スペースがあり、2つの収容室(142、143)がここで連通している。図5において、第1搬送スクリュウ144は、図示しないスクリュウ駆動系によって回転駆動されるのに伴って、第1収容室142に収容されている上記混合物を図中左側から右側に向けて攪拌搬送する。これによって第1収容室142の図中右側の連通スペースまで搬送された混合物は、第2収容室143内に進入する。そして、スクリュウ駆動系によって回転駆動される第2搬送スクリュウ143によって今度は図中右側から左側に向けて搬送され、第2収容室143の図中左側の連通スペースを経由して第1収容室142内に戻る。このようにして、収容室内では、混合物が攪拌搬送されながら図中反時計回りに循環する。
【0036】
第2収容室143には、トナー濃度検知手段(図2の147)が配設されており、第2収容室143内の混合物のトナー濃度を検知してそれに応じた値の電圧を出力する。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。制御部は、RMA等の記憶手段を備えており、この中にトナー濃度検知手段からの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像装置に搭載されたTセンサからの出力電圧の目標値であるM,C,K用Vtrefのデータを格納している。そして、Y用の現像装置100については、トナー濃度検知手段からの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、後述のトナー補給部(図2の160)を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。このようにトナー補給部の駆動が制御されることで、後述のトナー搬送部120へのトナー供給に伴ってトナー濃度を低下させたトナー供給部140内の混合物に適量のYトナーが補給され、そのYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色の現像装置100についても、同様のトナー補給制御が実施される。
【0037】
第2収容室143内に新たに補給されたトナーは、混合物に取り込まれた後、攪拌搬送に伴って摩擦促進物質に摺擦せしめられながら、第1収容室142に送られる。図6に示したように、第1収容室142の天井には、メッシュ146が設けられている。第1収容室142内では、混合物が第1搬送スクリュウ144によって攪拌搬送されながらメッシュ146の下を通過する。このメッシュ146は、厚さ0.08[mm]のステンレス等からなる金属製板状部材に、長径0.2[mm]且つ短径0.15[mm]の複数の孔が約50[%]の開口率になるように設けられたものである。各孔は、その短径方向をスクリュウ軸線方向に沿わせるような姿勢で設けられている。第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144b先端と、メッシュ146との間には、所定の間隙が保持されている。この間隙については、トナーの直径の1/5〜10倍程度の範囲に設定することが望ましい。望ましくはキャリア径の1/3〜2倍程度であると、混合物の入れ替え効率や混合攪拌効率が良くなる。本プリンタにおいては、0.7〜1.0[mm]程度に設定されている。第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144bの先端と、メッシュ146との間には、所定のギャップを設けることが望ましい。
【0038】
図7に示すように、第1搬送スクリュウ144の導電性基材には、スクリュウ電源回路190が接続されている。また、メッシュ146には、メッシュ電源回路191が接続されている。これら電源回路は、何れもスクリュウやメッシュにマイナス極性の電位を生じせしめるものであり、図示しない制御部によってそれぞれ出力電圧が制御される。トナー供給部140からトナー搬送部120のトナー静電搬送基板101にトナーが供給される際には、これら電源回路からの出力によって第1搬送スクリュウ144、メッシュ146がそれぞれトナーと同極性の電位を帯びる。詳しくは、第1搬送スクリュウ144は、メッシュ146よりもトナーと同極性側(マイナス極性側)に大きな電位を帯びる。また、メッシュ146は、図示しないトナー静電搬送基板(101)の各搬送電極に印加される駆動バイアスの平均電圧値よりも、トナーと同極性側に大きな電位を帯びる。更に詳しくは、例えば、上述のように駆動バイアスの平均電圧値が−50[V]である場合に、第1搬送スクリュウ144、メッシュ146がそれぞれ−1.45[kV]、−0.25[kV]の電位を帯びる。
【0039】
すると、第1収容室142から図示しないトナー静電搬送基板101にかけて、図8に示すような電界が形成される。即ち、第1搬送スクリュウ(144)とメッシュ146との間には、スクリュウの螺旋突起144b先端からメッシュ146の孔146a内に向けて延びる電気力線が形成される。また、メッシュ146と図示しないトナー静電搬送基板(101)との間には、孔146aの出口付近から基板に向けて延びる電気力線が形成される。第1搬送スクリュウ(144)によって攪拌搬送される混合物中のトナーは、まず、前者の電気力線の影響を受けて、摩擦帯電粒子の表面から離脱し、重力に逆らって孔146内に向けて飛翔する。次に、後者の電気力線の影響を受けて孔146を通過した後、トナー静電搬送基板(101)に向けて飛翔を続ける。このような静電気的な飛翔現象により、図7に示した第1収容室142内で攪拌搬送される混合物中のトナーが、摩擦帯電物質から分離されてトナー静電搬送基板101に供給される。なお、メッシュ146を通過した後のトナーは、メッシュ146の電位よりも平均電圧値の小さい基板上の各搬送電極に向けて相対的に静電移動しながら、基板上でトナー搬送方向にも相対的に静電移動していく。
【0040】
第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144b先端と、メッシュ146との電位差については、両者間の電界強度が絶対値で0.3〜3.5[kV/mm]の範囲におさまるように設定することが望ましい。3.5[kV/mm]よりも大きくなると、螺旋突起144bから延びる電気力線を孔146aのエッジに集中させてスクリュウからメッシュへの放電を引き起こし易くなるからである。また、0.3[kV/mm]よりも小さくなると、摩擦促進粒子の表面に付着しているトナーに対して、その付着力(鏡像力やファンデルワールス力)よりも大きい静電気力を付与することができなくなるからである。螺旋突起144b先端とメッシュ146との距離が1[mm]である場合には、両者の電位差を絶対値で0.3〜3.5[kV]にすれば、電界強度を上述の範囲に収めることができる。
なお、より望ましい電界強度の範囲は、絶対値で0.8〜3.0[kV]である。
【0041】
トナー搬送部120のトナー静電搬送基板101は、従来のような板状の形状ではなく、筒に板を固定したアルファベットの「P」のような形状をしている。
そして、この「P」における真っ直ぐに延びる棒線箇所(以下、平面部という)を、図示しない感光体に向けるような姿勢で配設されている。重力に逆らって飛翔してトナー供給部140のメッシュ146を通過したトナーは、まず、トナー静電搬送基板101における図中下側の曲面上に供給される。そして、EH現象によって図中反時計回りにホッピングしながら曲面に沿って搬送される。このとき、トナーはトナー静電搬送基板101上でも重力に逆らって搬送されることになるが、本発明者らの試験によれば、上述の駆動バイアスを印加している限りは、トナーを基板面から大きく引き離してしまうことはなかった。
【0042】
トナーは、トナー静電搬送基板101の曲面に沿って図中反時計回りに約280[°]搬送されると、図示しない感光体に対向する現像領域に到達し、ここで一部が静電潜像の現像に寄与する。現像に寄与したかった残りのトナーは、現像領域を通過した後に、トナー静電搬送基板101の「P」形状の平面部に送られる。そして、この平面部に沿ってホッピングしながら図中上側から下側へと搬送されて、トナー供給部140の第1収容室142内に戻される。これにより、現像に寄与しなかったトナーがリサイクルされる。
【0043】
トナー供給部140の第2収容室143には、トナー補給部160が着脱可能に連結している。このトナー補給部160は、補給用のトナーを収容するトナー収容部161、これの内部からトナー供給部の第2搬送スクリュウ145へとトナーを送出するための送出ローラ162、掻き取りブレード163等を有している。送出ローラ162は、その表面に図示しない複数の凹部を有しており、トナー収容部161の下方で、その周面の一部をケーシング164に設けられた開口から露出させるように配設されている。そして、上述の制御部に制御されて図中反時計回りに回転駆動される。
【0044】
上記掻き取りブレード163は、その一端側がケーシングに固定される一方で、もう一端側が固定されていない自由端になっている。そして、この自由端を送出ローラ162の周面に当接させるように配設されている。トナー収容部161内に収容されているトナーは、自重によって送出ローラ162に押さえ付けられて、その一部がローラ表面の複数の凹部内に充填される。このようにして凹部内にトナーが充填された送出ローラ162は、図中時計回りに回転する過程で、周面上(非凹部)に付着している余分なトナーがウレタンゴムからなる掻き取りブレード163によって掻き取られる。そして、ケーシング164の開口を通って外部に出て、その下方に位置する第2搬送スクリュウ145に向けて凹部内のトナーを送出する。この送出により、トナー補給部160からトナー供給部140へとトナーが補給される。
【0045】
トナー搬送部120と、トナー供給部140と、トナー補給部160との組合は、現像装置100におけるトナー搬送手段を構成している。このトナー搬送手段とは、トナー静電搬送部材たるトナー静電搬送基板101の表面上に存在するトナーを、静電気力によってその表面に対して相対移動させながら潜像担持体たる感光体11との対向位置に搬送する手段である。また、本プリンタの現像装置100においては、第1収容室142や第2収容室143が、トナーに対してこれの摩擦帯電を促進する摩擦帯電物質が混合された混合物を収容する混合物収容部として機能している。また、第1搬送スクリュウ144、第2搬送スクリュウ145、これらを回転駆動させる回転駆動系などからなる組合せが、混合物収容部内の混合物を攪拌する攪拌部材として機能している。また、メッシュ146、上記スクリュウ電源回路(190)、上記メッシュ電源(191)などからなる組合せが、攪拌手段によって攪拌される混合物をトナーと摩擦促進物質とに分離する分離手段として機能している。
【0046】
以上の構成の本プリンタにおいて、各プロセスユニット(1Y,M,C,K)の現像装置100のトナー供給部140は、第2収容室143や第1収容室142内でトナーを摩擦促進物質と混合した混合物の状態で攪拌することで、その摩擦帯電を促す。このようにして摩擦帯電を促しても、トナー補給部160からトナー供給部140に補給した直後のトナーについてはまだ十分に帯電させていない。しかし、かかるトナーに対しては、第1主要室142内において、重力に逆らってトナー静電搬送基板101に向けて飛翔させるほどの静電気力が作用しない。このため、かかるトナーのトナー静電搬送基板101への供給が回避される。よって、本プリンタにおいては、EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送基板101に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができる。
【0047】
金属材料からなるメッシュ146については、金属膜(板)のエッチングやエレクトロホーミング(電鋳)などによって容易に製造することができる。図9(a)、(b)、(c)に、エッチングによるメッシュ形成工程の一例を示す。この一例では、まず、図9(a)に示すように、SUS等の金属膜に対し、レーザー加工による微細加工を施したフォトマスクの開口パターンをフォトレジストによって形成する。次に、図9(b)に示すように、FeCl3等によってエッチングを行なって孔を形成する。更に、図9(c)に示すように、レジスト膜を剥離して、メッシュ146を完成させる。なお、エレクトロホーミングによるメッシュ形成については、図10(a)及び(b)に示すような工程で行えばよい。また、細線ワイヤーを編んでメッシュ146を形成することも可能である。
【0048】
メッシュ146の材料としては、可撓性や摩耗耐久性を発揮するものを用いることが望ましい。また、メッシュ146の孔の形状は、丸形、楕円形、四角形、長方形、星形、異形等のものを採用することができる。本プリンタでは、図9(c)に示したように、メッシュの孔を楕円形状とし、長手方向の開口の大きさを孔の長さLとし、短手方向の開口の大きさを孔の幅Wとしている。
【0049】
メッシュ146の構造については、金属材料の他、図11に示すように、トナー静電搬送基板101との対向面が金属材料層146bからなり、且つ混合物との接触面が有機樹脂146cからなる二重構造としてもよい。このような構造のメッシュ146では、摩擦促進粒子Pと接触する部分が有機材料であるので、摩擦促進粒子Pに対する摩擦によるダメージが金属材料に較べて小さく、その耐久性を向上させることができる。
【0050】
メッシュ146の孔146aについては、図12に示すように、トナーが入り込む入口側から出口側に向けて先細になる構造にしてもよい。かかる構造にすることで、出口側にて、孔146a内壁の金属材料部分(146b)から図示しないトナー静電搬送基板(101)に向けて電気力線を確実に延ばすことができる。そして、このことにより、孔146aからのトナーの抜け性を向上させることができる。
【0051】
また、メッシュ146については、図13に示すように、金属材料からなる基体146dの表面を、絶縁性の保護膜146eで被覆したものとしても良い。この場合、保護膜146eについては、電界強度劣化を起こさないよう0.5〜30[μm]の薄膜とし、SiO2、SiN、Ta2O5、ポリイミド等の材料を用いる。かかる構成のメッシュ146では、帯電したトナーと接触する表面が全て絶縁性の保護膜146eで覆われることで、基体146dからトナーへの電荷注入を阻止することができ、帯電量を適正に保つことができる。また、基体146dと混合物とが接触しないので、混合物、とりわけトナーの劣化も金属部と接触するものと較べて少なくすることができる。
【0052】
また、メッシュ146については、図14に示すように、有機樹脂材料からなる基体146fの外面に、金属材料からなる金属層146gを蒸着や電鋳によって被覆したものとしても良い。この場合、基体146fに用いる有機樹脂材料としては、トナー帯電能力の比較的高いものを用いることが望ましい。金属層146gは、0.5〜5[μm]の厚みの薄膜であり、孔146a内のトナーがこの薄膜からトナー静電搬送基板101に向けて延びる電気力線に沿って孔内を通過する。かかる構成のメッシュ146では、基体146fが有機樹脂材料であるため、良好なフレキシブル性と弾性とを発揮するとともに、良好は形状復元性を発揮する。そして、外から力が加わった場合でも、その形状を安定して保つことができる。また、孔146a内のトナーと接触することでトナーの摩擦帯電を促すこともできる。
【0053】
また、メッシュ146については、図15に示すように、金属材料からなる基材146hにおけるスクリュー対向面側に、有機樹脂剤量からなる保護層146iを貼り合わせたものとしてもよい。この場合、有機樹脂材料としては、トナー帯電能力の比較的高いものを用いることが望ましい。両材料の貼り合わせ法については、加熱接合によるものや、ホットプレスによるものを用いることができる。有機樹脂材料が用いられたメッシュ146は、良好なフレキシブル性、弾性、及び形状復元性を発揮することができる。
【0054】
また、メッシュ146については、図16に示すように、トナーが進入する入口側から出口側に向けて広がるテーパー状の形状にしてもよい。外面に向かって傾斜があり、孔径が広がる形状に形成してもよい。出口側に向けて広がる傾斜を孔内壁に形成することで、内壁へのトナー付着を抑えることができる。
【0055】
本発明者らは、図2に示したプロセスカートリッジ1と同様の構成の試作機を製造して、次のような実験を行った。即ち、トナー補給部160に市販のマイナス帯電性のトナーを充填し、送出ローラ162、第1搬送スクリュウ144、第2搬送スクリュウ145を連続的に5分間回転させた。この間、第1収容室142のトナーに対して、メッシュ146を通過させて外部に飛び出させるようなことはなかった。5分後における第1収容室142内の混合物中のトナー平均帯電量(q/m)を測定したところ、−24[μC/g]であった。静電潜像の現像には十分な値である。なお、2つのスクリューについては、それぞれ螺旋突起(144b、145b)先端の周速が60[mm/sec]になるように回転駆動した。また、第1搬送スクリュウ144の螺旋突起144bの先端と、メッシュ146との間には、1.0[mm]の間隙を設けた。また、メッシュ146と、トナー静電搬送基板101との間にも、1.0[mm]の間隙を設けた。
【0056】
上述のようにしてトナーを十分に帯電させた後、第1搬送スクリュウ144、メッシュ146ともにマイナスの電位差を帯びさせ、且つ、両者間に1.2[kV]の電位差(|スクリュウ電位|>|メッシュ電位|)をかけた。また、同時に、トナー静電搬送基板101の各搬送電極に対して3相駆動バイアス(デューティ60%、波高−100V、周波数3.0kHz)を印加して、駆動バイアスの平均電位値とメッシュ電位との電位差を0.25[kV]とした。すると、第1収容室142内の混合物中からトナーを飛翔させて、メッシュの孔を通してトナー静電搬送基板101に良好に供給することができた。そして、供給後のトナーをトナー静電搬送基板101上で搬送して、感光体11上の静電潜像を十分な濃度で現像することができた。
【0057】
更に、このようにして感光体11上でベタ画像を連続的に現像しながら、上述のトナー補給制御によってトナー補給部160からトナー供給部140内に適宜トナーを補給した。このような連続的なベタ画像の現像においても、トナー静電搬送基板101にトナーを安定して供給することができた。
【0058】
連続現像後に装置を止めて、第1収容室142内の混合物中のトナーと、トナー静電搬送基板101上のトナーとをサンプリングした。そして、それぞれについて帯電分布を測定した。図17は、かかる帯電分布を示すグラフである。同図より、第1収容室(142)内では帯電量がほぼゼロのトナー、即ち、未帯電トナーも少なからず含まれるが、トナー静電搬送基板101上では、未帯電トナーを含んでいないことがわかる。
【0059】
なお、先に示した図7において、第1搬送スクリュウ144や第2搬送スクリュウ145の攪拌能力によっては、多量のトナーが補給されるベタ画像連続現像にて、トナーの摩擦帯電が間に合わずに、トナー供給不足をきたすおそれがある。このような場合には、トナー補給部160からトナー供給部140へのトナー補給の際に、トナーをプレ帯電させる構成を採用すればよい。
【0060】
図18は、プレ帯電機能を搭載したトナー補給部160を、トナー供給部(140)の第2搬送スクリュウ145とともに示す拡大構成図である。同図において、トナー補給部160の送出ローラ162は、金属などの導電性の高い材料から構成されている。送出ローラ162の周面には、図19に示すように、螺旋状に掘り込まれた螺旋溝162aが形成されている。この螺旋溝162aは、幅1[mm]、深さ0.2[mm]のサイズに形成されており、送出ローラ162の下方にある第2搬送スクリュウ(145)の上記螺旋突起(145b)とピッチが等しくなっている。そして、送出ローラ162と第2搬送スクリュウ(145)とは、それぞれ互いの対向部にて、螺旋溝162aと螺旋突起(145b)とを常に対向させるように、等しい周速で回転駆動せしめられる。
【0061】
図20は、同トナー補給部160と、トナー供給部140との間に形成される補給領域の周囲構成を示す拡大図である。同図において、第2搬送スクリュウ145は、アルミ等の金属からなる基体の表面に、有機樹脂材料からなる保護層が被覆されている。そして、その金属製の基体は電気的に接地されている。一方、金属材料からなる送出ローラ162には、図示しない制御部によって出力が制御される送出電源回路192が接続されている。この送出電源回路192からの出力により、送出ローラ162はトナーの帯電極性と同極性であるマイナスの電位を帯びる。その電位値は、例えば−1.0[kV]である。
【0062】
送出ローラ162の回転に伴い、送出ローラ162の螺旋溝162a内に充填されているトナーは、補給領域に向けて搬送される。この補給領域では、−1.0[kV]の電位を帯びている送出ローラ162と、接地されている第2搬送スクリュウ145の螺旋突起145aとの間に強電界が形成されている。補給領域に至った螺旋溝162a内のトナーは、この強電界を受けて、送出ローラ162からマイナス極性の電荷が注入されて、螺旋溝162a内から飛翔する。そして、間隙Gを通過して第2搬送スクリュウ145の螺旋突起145bに付着する。
このようにして、トナー補給部160からトナー供給部140の第2収容室(143)内にトナーが補給される。補給されたトナーは、第2収容室内の混合物に混合されながら、第1収容室(142)に向けて攪拌搬送される。この過程で、トナーは更に摩擦帯電が促される。
【0063】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。
[実施例1]
実施形態においては、摩擦促進物質として、平均粒径0.3[mm]のガラスビーズからなるものを用いていた。また、図2に示したメッシュ146として、次に列記する条件を具備するものを用いていた。
・基体の材質:金属
・厚さ:0.08[mm]
・孔長径:0.2[mm]
・孔短径:0.15[mm]
・開口率:約50[%]
【0064】
メッシュ146の孔短径を摩擦促進粒子たるガラスビーズの平均粒径よりも小さくしていたことがわかる。ここで、第1収容室142内において、ガラスビーズを攪拌時の反動によって第1収容室142の開口から外に飛び出させるおそれがある。しかし、実施形態のように、孔短径がガラスビーズの平均粒径よりも小さいメッシュ146を用いれば、たとえガラスビーズを攪拌の反動によって跳ねさせたとしても、メッシュ146に引っ掛けて外部への飛び出しを回避することができる。
【0065】
一方、本実施例1のプリンタでは、メッシュ146の孔と、ガラスビーズ等の摩擦促進粒子との径関係を実施形態と逆にしている。具体的には、本プリンタでは、第1収容室142や第2収容室143にセットする摩擦促進物質として、所定の性状のものを用いるようにユーザーに指定している。この指定については、例えば、所定の性状の摩擦促進物質を収容室内にセットした状態でプリンタを出荷することによって行うことができる。また例えば、その所定の性状の摩擦促進物質をプリンタとともに梱包して出荷することによって行ってもよい。また例えば、その所定の性状の摩擦促進物質の製品番号や商品名などを、プリンタ本体やこれの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって上記性状、製品番号、商品名などを通知することによって行ってもよい。そして、メッシュ146として、その孔短径が指定した摩擦帯電粒子の平均粒径よりも大きいものを用いている。
【0066】
かかるメッシュ146を用いたとしても、混合物からのトナーの分離については、トナーを静電気力によって重力に逆らって飛翔させることで実現することができる。そうすると、メッシュ146の役割が不明であると思われがちであるが、メッシュ146は第1収容室142内でトナーを飛翔させる強電界を発生させるのに重要な役割を担っている。具体的には、少なくとも基体に導電性材料が用いられたメッシュ146を設けないと、第1収容室142内のトナーを、第1搬送スクリュウ144とトナー静電搬送基板101との電位差だけで重力に逆らって飛翔させる必要がある。そのためには、第1搬送スクリュウ144に相当に高い(マイナス極性側に)電圧を印加する必要が生じ、その電圧の影響によってトナー静電搬送基板101上の搬送用の電界を押し潰してしまうおそれがある。そこで、メッシュ146を設けるのである。そうすると、メッシュ146と第1搬送スクリュウ144との間に十分な強電界を形成しつつ、第1搬送スクリュウ144の高電位による電界をメッシュ146でシールドすることができる。
【0067】
このシールド機能については、メッシュの孔径をある程度大きくしても、十分に発揮させ得ると思われた。そこで、メッシュ146として、次に掲げる条件を具備するものを用いた。
・材質:金属
・孔径:0.5[mm]
・厚さ:25[μ]
・開口率:90[%]
【0068】
かかる構成のメッシュ146を上述した試作機に搭載して運転してみたところ、第1収容室142からトナー静電搬送基板101への単位時間あたりにおけるトナー供給量を80[%]も増加させることができた。メッシュ146の開口率を50[%]から80[%]に高めたことで、メッシュ146の非孔部に邪魔されて飛翔を阻まれるトナーの量が大幅に減少したためである。
【0069】
[実施例2]
本実施例2に係るプリンタにおいては、メッシュ146を設けていない。かかる構成では、メッシュ146を設けることによる構成の複雑化やコストアップを回避することができる。但し、上述のシールドとして機能するメッシュ146を設けないことで、第1搬送スクリュウ144に印加するスクリュウ電圧については、大幅に小さくしなければならない。実施形態と同様の値であると、トナー静電搬送基板101上の搬送電界を押し潰してトナーをホッピング搬送することができなくなるからである。
【0070】
上述した試作機において、メッシュ146をはずし、スクリュー電圧を−1.2[kV]から−0.6[kV]に引き下げてみた。すると、第1収容室142からトナー静電搬送基板101へのトナー供給量を、実施形態における実験の約1/10程度まで減少させた。しかし、文章原稿など、画像面積率の比較的小さなプリントアウトであれば、このようなトナー供給量でも何とか対応することができた。
【0071】
[実施例3]
本プリンタでは、第1収容室142からトナー静電搬送基板101へのトナー供給と供給停止とを、短い周期で交互に繰り返すようにに構成されている。具体的には、例えば、まず第1収容室142内の混合物中のトナーに対して10[msec]間だけ電界(以下、飛翔用電界という)を作用させてトナー静電搬送基板101に向けて飛翔させる。そして、次の10[msec]間については、かかる飛翔用電界を形成しないか、あるいはその強度を弱めるかして、第1収容室142内からトナーを飛翔させないで、トナー静電搬送基板101へのトナー供給を停止する。このように、トナー供給と、トナー供給停止とを交互に繰り返すのである。
【0072】
かかる構成の本プリンタでは、飛翔用電界によってトナー静電搬送基板101上の搬送用電界を押し潰してしまったとしても、トナー供給停止時には飛翔用電界による搬送用電界の押し潰しを抑える。そして、先に第1収容室内からトナー静電搬送基板101上に供給しておいたトナーを、トナー供給停止時に押し潰しが抑えられた搬送用電界によって現像領域に向けて良好に搬送する。よって、トナーを供給するために形成する飛翔用電界によるトナー搬送能力の低下を抑えることができる。
【0073】
本発明者らは、実施例2で用いた試作機について、スクリュウ電圧を−0.6[kV]から−1.2[kV]に引き上げた。但し、そのままでは、第1搬送スクリュウ144からトナー静電搬送基板101に向けて延びる飛翔用電界により、基板上の搬送用電界を押し潰してトナーを搬送することができなかった。そこで、−1.2[kV]のスクリュウ電圧を10[msec]印加して第1収容室142内からトナー静電搬送基板101に向けてトナーを飛翔させた後、その後の10[msec]についてはスクリュウ電圧を0[kV]にした。10[msec]間のトナー供給と、10[msec]間のトナー供給停止とを交互に繰り返すようにしたのである。すると、トナー供給停止時にトナー静電搬送基板101上でトナーを良好に搬送することができた。そして、トナー搬送量を実施例2のプリンタの約2倍にまで増加させることができた。なお、この実験では、メッシュ146を設けていない構成でトナー供給と供給停止とを交互に繰り返したが、メッシュ146を設けた構成であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0074】
これまで、実施形態や各実施例において、トナー静電搬送基板101として、アルファベットの「P」の形状に湾曲したものを用いたプリンタについて説明したが、従来と同様に平板状のものを用いてもよい。また、トナー供給部140をトナー静電搬送基板101の真下に配設したプリンタについて説明したが、重力に逆らってトナーを供給させることができれば、真下でなくて斜め下に配設してもよい。
【0075】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、混合物収容部たる第1収容室142内に導電性部材たる第1搬送スクリュウ144を配設している。また、第1収容室142内の混合物を介して第1搬送スクリュウ144に対向し、且つ、導電性材料からなる基体にトナーの通過可能な複数の孔が設けられたメッシュ146を第1収容室142に配設している。そして、第1搬送スクリュウ144とメッシュ146との電位差によって混合物中から重力に逆らって飛翔したトナーを、メッシュ146とトナー静電搬送基板101との電位差によってトナー静電搬送基板101に向けて飛翔させている。かかる構成では、図7に示したメッシュ電源回路191のような電位差発生手段により、攪拌部材たる第1搬送スクリュウと、メッシュ142との間に電位差を生じせしめて、両者間に強電界を形成することができる。そして、ある程度の付着力で混合物中の摩擦促進粒子に吸着しているトナーに対し、第1搬送スクリュウ144とトナー静電搬送基板101との電位差による電界だけを作用させる場合に比べ、より強い静電気力を付与して重力に逆らって確実に飛翔を開始させることができる。更に、両者間に形成される強電界をメッシュ142でシールドして、その強電界がトナー静電搬送基板101上の搬送用電界に及ぼす影響を抑えることができる。
【0076】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、混合物収容部たる第1収容室142や第2収容室143内にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定している。そして、メッシュ146として、その孔の径が、指定した摩擦促進物質の摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいものを用いている。かかる構成では、第1収容室142内で摩擦帯電粒子を攪拌の反動によって跳ねさせたとしても、それをメッシュ146によって捕捉してトナーだけをトナー静電搬送基板101に供給することができる。よって、第1収容室142内からトナー静電搬送基板101に摩擦促進粒子を供給してしまうといった事態を回避することができる。
【0077】
また、実施例1に係るプリンタにおいては、第1収容室142や第2収容室143にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定している。そして、メッシュ146として、その孔の径が、指定した摩擦促進物質の摩擦促進粒子の平均粒径よりも大きいものを用いている。かかる構成では、既に述べたように、孔の径が摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいものを用いる場合に比べて、メッシュ146の開口率を高めて、第1収容室142内からトナー静電搬送基板101へのトナー供給能力を高めることができる。
【0078】
また、実施例3に係るプリンタにおいては、第1収容室142内からトナー静電搬送基板101へのトナーの供給と供給停止とを、周期的に交互に繰り返すようにしている。かかる構成では、既に述べたように、トナーを供給するために第1収容室142内やその周囲に形成する飛翔用電界によって、トナー静電搬送基板101上に形成する搬送用電界を押し潰してしまうことによるトナー搬送能力の低下を抑えることができる。
【0079】
【発明の効果】
請求項1乃至8の発明によれば、EH現象によってトナーを搬送するトナー静電搬送基板に対し、帯電不良のトナーを供給してしまうといった事態を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのプロセスユニットを転写ベルトとともに示す拡大構成図。
【図3】同プロセスユニットにおける感光体とトナー静電搬送基板とを示す拡大構成図。
【図4】同トナー静電搬送基板の搬送電極に印加されるA相駆動バイアス、B相駆動バイアス及びC相駆動バイアスの波形を示す波形図。
【図5】同プロセスユニットの現像装置のトナー供給部を示す平断面図。
【図6】同トナー供給部を示す縦断面図。
【図7】同プロセスユニットと各種電源回路とを示す拡大構成図。
【図8】同トナー供給部内やその周囲に形成される電界を示す模式図。
【図9】(a)、(b)、(c)は、それぞれ同メッシュを形成するためのメッシュ形成工程の一例を示す模式図。
【図10】(a)、(b)は、それぞれエレクトロホーミングによるメッシュ形成工程の一例を示す模式図。
【図11】二重構造の同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図12】各開口が先細に形成された同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図13】金属材料からなる基体の表面を、絶縁性の保護膜で被覆して得た同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図14】有機樹脂材料からなる基体の外面に、金属材料からなる金属層を被覆して得た同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図15】金属材料からなる基材におけるスクリュー対向面側に、有機樹脂剤量からなる保護層を貼り合わせて得た同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図16】トナーが進入する入口側から出口側に向けて広がるテーパー状に形成された開口を有する同メッシュと、混合物とを示す断面図。
【図17】同トナー供給部の第1収容室内の混合物中のトナーにおける帯電量分布と、同トナー静電搬送基板上のトナーにおける帯電量分布とを示すグラフ。
【図18】同プリンタにおけるトナー補給部を、同トナー供給部の第2搬送スクリュウとともに示す拡大構成図。
【図19】同トナー補給部の送出ローラの一部を示す斜視図。
【図20】同トナー補給部と同トナー供給部との間に形成される補給領域の周囲構成を示す拡大構成図。
【符号の説明】
1Y,M,C,K プロセスユニット
11Y,M,C,K 感光体(潜像担持体)
100 現像装置
101 トナー静電搬送基板(トナー静電搬送部材)
140 トナー供給部
142 第1収容室(混合物収容部)
143 第2収容室(混合物収容部)
144 第1搬送スクリュウ(攪拌部材、導電性部材)
145 第2搬送スクリュウ(攪拌部材)
146 メッシュ
160 トナー補給部
161 トナー収容部
162 送出ローラ
Claims (8)
- 表面上のトナーを静電気力によって該表面に対して相対移動させて搬送先まで搬送するトナー静電搬送部材を備えるトナー搬送装置において、
混合物収容部内に収容されるトナーと摩擦促進物質との混合物を攪拌部材によって攪拌しながら、該混合物中のトナーを静電気力によって飛翔させて上記トナー静電搬送部材に供給するトナー供給部と、該トナー供給部に補給用のトナーを補給するトナー補給部とを設けたことを特徴とするトナー搬送装置。 - 請求項1のトナー搬送装置において、
上記混合物収容部内に導電性部材を配設し、該混合物収容部内の混合物中のトナーを、該導電性部材と上記トナー静電搬送部材との電位差によって飛翔させることを特徴とするトナー搬送装置。 - 請求項1のトナー搬送装置において、
上記混合物収容部内に導電性部材を配設するとともに、該混合物収容部内の混合物を介して該導電性部材に対向し、且つ、導電性材料からなる基体にトナーの通過可能な複数の孔が設けられたメッシュを該混合物収容部に配設し、該導電性部材と該メッシュとの電位差によって該混合物中から飛翔したトナーを、該メッシュと上記トナー静電搬送部材との電位差によって該トナー静電搬送部材に向けて飛翔させることを特徴とするトナー搬送装置。 - 請求項3のトナー搬送装置であって、
工場出荷時の初期状態にて上記混合物収容部内に摩擦促進物質を収容しており、上記メッシュの孔の径が、該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とするトナー搬送装置。 - 請求項3のトナー搬送装置において、
上記混合物収容部にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定し、且つ、上記メッシュとして、その孔の径が該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも小さいものを用いたことを特徴とするトナー搬送装置。 - 請求項3のトナー搬送装置において、
上記混合物収容部にセットする摩擦促進物質として所定のものをユーザーに指定し、且つ、上記メッシュとして、その孔の径が該摩擦促進物質の主成分である摩擦促進粒子の平均粒径よりも大きいものを用いたことを特徴とするトナー搬送装置。 - 請求項1乃至6の何れかのトナー搬送装置において、
上記混合物収容部内から上記トナー静電搬送部材へのトナーの供給と供給停止とを、周期的に交互に繰り返すようにしたことを特徴とするトナー搬送装置。 - 潜像を担持する潜像担持体と、トナー搬送手段に設けられたトナー静電搬送部材の表面上に存在するトナーを静電気力によって該表面に対して相対移動させながら該潜像担持体との対向位置に搬送して、該潜像担持体に担持される潜像をトナー像に現像する現像手段とを備える画像形成装置において、
上記現像手段のトナー搬送手段として、請求項1〜7の何れかのトナー搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003204967A JP2005049541A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | トナー搬送装置、現像装置及び画像形成装置 |
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JP2006251101A (ja) * | 2005-03-09 | 2006-09-21 | Ricoh Co Ltd | 現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
JP2007271830A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Canon Inc | 現像装置 |
-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003204967A patent/JP2005049541A/ja not_active Withdrawn
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