JP2005049503A - ポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いたレリーフパターンの製造方法、電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体、(B)活性化学線照射により酸を発生する化合物、(C)酸触媒反応によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増加される酸分解性基を有する化合物、(D)トリアジン系化合物及び(E)溶剤を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物及びパターンの製造方法、電子部品。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは加熱処理により半導体素子等の電子部品の表面保護膜、層間絶縁膜等として適用可能なポリベンゾオキサゾール系耐熱性高分子となるポジ型感光性樹脂組成物及びこの組成物を用いたレリーフパターンの製造方法並びに電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリベンゾオキサゾール樹脂はポリイミド樹脂と並び耐熱性と電気特性、機械特性に優れ、また、膜形成が容易、表面を平坦化できる等の利点から、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜として広く使用されている。
ポリベンゾオキサゾール樹脂またはポリイミド樹脂を表面保護膜、層間絶縁膜として使用する場合、その前駆体となる樹脂を溶液の形で基板上に塗布し熱乾燥させて成膜する方法が一般的である(特許第1891307号公報)。近年、半導体素子の高速化、高集積化に対応するために配線金属に銅が使用されるようになってきている。また、パッケージの形態がCSP構造に移行することに伴い、チップ最表面で銅による再配線が形成されるようになってきている。これらの動向に伴い、表面保護膜としてのポリベンゾオキサゾール樹脂またはポリイミド樹脂は銅配線と接触するようになり、樹脂と銅配線との接着性が要求されるようになっている。しかしながら、従来のポリベンゾオキサゾール樹脂またはポリイミド樹脂は銅との接着性が弱い問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特許第1891307号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を克服し、銅配線との十分な接着性が得られるポジ型感光性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記発明の課題に加えて、耐熱性に優れるポジ型感光性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、解像度が高く、良好な形状のパターンが得られるレリーフパターンの製造方法を提供するものである。
また本発明は、良好な形状のレリーフパターンを有することにより、信頼性の高い電子部品を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体、(B)活性化学線照射により酸を発生する化合物、(C)酸触媒反応によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増加される酸分解性基を有する化合物、(D)一般式(2)で表わされるトリアジン系化合物、及び(E)溶剤を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物である。
【0006】
【化3】
(式中、R1は1個の芳香環を含む基又は2〜3個の芳香環が単結合、エーテル結合、2,2−ヘキサフルオロプロピレン結合、2,2−プロピレン結合、スルホン結合、メチレン結合及びカルボニル結合の中から選ばれた少なくとも一種の結合を介して結合した化学構造を持つ2価の有機基を示し、R2は1個の芳香環を含む基又は2〜3個の芳香環が単結合、エーテル結合、2,2−ヘキサフルオロプロピレン結合、2,2−プロピレン結合、メチレン結合及びスルホン結合の中から選ばれた少なくとも一種の結合を介して結合した化学構造を有する4価の有機基を示す)
【0007】
【化4】
(式中、Rは一価の有機基を表わす)
【0008】
また、本発明は、前記のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し、乾燥する工程、露光する工程、加熱する工程、現像する工程及び加熱処理する工程を含むレリーフパターンの製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記製造方法により得られるレリーフパターンの層を有してなる電子部品に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)成分は、一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体である。活性化学線照射及び活性化学線照射後の加熱処理後、露光部は、(C)成分の変化により、アルカリ水溶液に対する溶解性が上がり、未露光部との溶解速度が異なるので、レリーフパターンが形成できる。なお、アルカリ水溶液とはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、金属水酸化物、アミン等が水に溶解された、アルカリ性を呈する水溶液である。ポリベンゾオキサゾール前駆体は、レリーフパターンの形成後に、硬化反応させることにより優れた耐熱性を有する樹脂膜となる。
【0010】
(A)成分の一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体としては、一般にジカルボン酸とジヒドロキシジアミンを原料として得られるポリヒドロキシアミドが挙げられる。前記ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)へキサフルオロプロパン、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族系ジカルボン酸などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中で耐熱性の点で芳香族系ジカルボン酸が好ましい。
【0011】
前記ジヒドロキシジアミンとしては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,5−ジアミノレゾルシノール、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン等の芳香族系ジアミンが好ましいものとして挙げられる。芳香族系ジアミンを使用することにより、耐熱性の良好な、ポリベンゾオキサゾール前駆体となる。
【0012】
本発明において、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体は、例えば、Polymer Letter.,Vol.2,pp655−659 (1964)に示されているように、ジカルボン酸ジハライド(クロライド、ブロマイド)と、ジヒドロキシジアミンとを反応させて得ることができる、この場合、反応は脱ハロゲン酸触媒の存在化に、有機溶媒中で行うことが好ましい。ジカルボン酸ジクロリドは、ジカルボン酸と塩化チオニルを反応させて得ることができる。
【0013】
前記ポリヒドロキシアミドは、例えば、前記ジヒドロキシジアミン化合物とピリジンなどの脱塩酸触媒を有機溶剤に溶解し、有機溶剤に溶解したジカルボン酸ジクロリドを滴下して反応させた後、水などの貧溶剤に投入し、析出物をろ別、乾燥することにより得られる。
反応に使用される有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶剤が単独で又は2種以上併用して用いられる。
【0014】
また、本発明において、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体は、例えば、特開平9−183846号公報に示されているように、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとジカルボン酸とを反応させたジカルボン酸誘導体を経由して、これとジヒドロキシジアミンとを反応させて得ることができる。
【0015】
前記ジヒドロキシジアミン化合物とジカルボン酸の好ましい割合(モル比)は、前者/後者で0.6/1〜1/0.6の範囲である。また、好ましい反応温度は−30〜40℃、好ましい反応時間は5分間〜10時間である。
(A)成分に用いられるポリヒドロキシアミドは、分子構造末端にアルケニル基またはアルキニル基等を導入することができる。二重結合を有するこのような化合物を樹脂末端に導入することにより、アルカリ水溶液に対する溶解速度のコントロール、加熱硬化処理により樹脂末端導入基が架橋することによる膜の伸びや引っ張り強度等の硬化膜特性向上、樹脂末端基が副反応を抑制することによるシェルフライフ向上を図ることができる。樹脂末端へのアルケニル基またはアルキニル基等の導入は、モノマへ予め末端基を反応させる、あるいは、樹脂合成後に末端基を反応させることにより容易に行うことができる。
(A)成分の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定され、標準ポリスチレン検量線により換算することができる。(A)成分の分子量としては、重量平均分子量で3000〜200000が好ましく、さらに5000〜100000がより好ましい。また、重量平均分子量を数平均分子量で除した分散度は1〜4が好ましく、さらに1〜3がより好ましい。
【0016】
本発明に使用される(B)成分である活性化学線照射により酸を発生する化合物は、露光により酸を発生させ、(C)成分の分解反応を誘起することにより、露光部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。(B)成分としては、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、キノンジアジド化合物、スルホン酸エステル化合物等が用いられる。
オニウム塩としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられ、好ましくは、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩(アルキル基の炭素数は1〜8)がある。該オニウム塩の対アニオンとしては、例えば、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等が好ましい。
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物等が挙げられ、好ましくは、トリクロロメチルトリアジン、ブロモアセチルベンゼン等が好ましい。
キノンジアジド化合物としては、例えば、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができる。
スルホン酸エステル化合物としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とアルキルスルホン酸あるいは芳香族スルホン酸とのエステルが挙げられる。例えば、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物としては、フェノール、レゾルシノール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン等がある。アルキルスルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブチルスルホン酸、カンファースルホン酸等がある。芳香族スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、ナフチルスルホン酸等がある。
【0017】
(B)成分は現像後の膜厚及び感度の点から(A)成分100重量部に対して、0.5〜100重量部、好ましくは1〜20重量部用いられる。
【0018】
本発明に使用される(C)成分である酸触媒反応によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増加される酸分解性基を有する化合物は、活性化学線照射により(B)成分より発生した酸を触媒とし分解反応を起こし、露光部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。上記(C)成分としては、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物においてフェノール性水酸基またはカルボキシル基の水素原子の一部または全てを酸分解性基で置換された化合物が好ましい。
フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物としては、1〜15個のベンゼン環を有し、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を分子内に1〜20個有する化合物が好ましい。また、これらの化合物は、フェノールノボラック樹脂やポリビニルフェノールのような樹脂状化合物を用いても良い。また、(A)成分であるポリベンゾオキサゾール前駆体を用いても良い。すなわち、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有するポリヒドロキシアミドを用いても良い。これらの化合物のフェノール性水酸基またはカルボキシル基の水素原子の一部または全てが酸分解性基により置換されて用いられる。
【0019】
(c)成分のフェノール性水酸基またはカルボキシル基の水素原子に置換される酸分解性基としては、アセタール、ケタール、シリル基、シリルエーテル基等の酸により分解される置換基が用いられる。
酸分解性基としては、例えば、t−ブトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、トリメチルシリル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、エチルビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、トリメチルシリルエーテル基等が挙げられる。
これらの置換基は、例えば、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物に酸触媒下でビニルエーテル化合物を反応させることにより容易に導入することができる。また、導入したい置換基の塩化物をアミン等のアルカリ触媒下で反応させることによっても容易に導入することができる。
(C)成分は現像後の膜厚及び感度の点から、(A)成分100重量部に対して、2〜500重量部、好ましくは10〜300重量部用いられる。
【0020】
本発明に使用される(D)成分である一般式(2)で表わされるトリアジン系化合物としては、例えば2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、この範囲に限らない。(D)成分の量は、基板との接着性向上の観点から(A)成分100重量部に対して0.5〜20重量部が望ましいが、硬化後の膜特性の観点から0.5〜10重量部が好ましい。
【0021】
(E)成分の溶剤としては、(A)〜(D)成分を良く相溶させ均一に溶解させることのできる溶剤であれば、特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等の非プロトン性極性溶剤が単独で又は2種以上併用して用いられる。
(E)成分は、塗布膜厚の観点から(A)成分100重量部に対して50〜700重量部、好ましくは80〜500重量部用いられる。
【0022】
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ現像液に対する溶解性を調製するために適当なフェノール化合物等を含むことができる。
このようなフェノール化合物としては、フェノール性水酸基を分子内に2〜8個含有する化合物を用いることができる。例えば、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシフェニル(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンメタノール、2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチル−ビフェニル等が挙げられる。
【0023】
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、シリコン基板などの基板との接着性向上のためにカップリング剤を含むことができる。カップリング剤は、シラン系、アルミニウム系、チタネート系などが挙げられ、例えば、シランカップリング剤としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルジフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチル−n−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。これらのカップリング剤は、アルコール等の有機溶媒による溶液の形で提供されることもある。カップリング剤の量は、シリコン基板との接着性向上の観点から(A)成分100重量部に対して0.5〜20重量部が望ましいが、硬化後の膜特性の観点から0.5〜10重量部が好ましい。
【0024】
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだり、現像性を向上させるために、適当な界面活性剤あるいはレベリング剤を添加することができる。このような界面活性剤あるいはレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等があり、市販品としては、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403、KBM803(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。
さらに、本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、必要に応じて、保存安定剤、溶解抑止剤等も配合することができる。
【0025】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素などの支持基板や、その上に形成された金属配線上に塗布し、乾燥することによりポジ型感光性樹脂組成物の膜とすることができる。その後、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線などの活性光線照射(活性化学線照射、露光)を行い、次いで必要に応じて加熱処理を行い、次いで露光部を現像液で除去することによりポジ型のレリーフパターンが得られる。好ましくは、支持基板や、その上に形成された金属配線上に本発明のポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥することによりポジ型感光性樹脂組成物の膜とし(塗布し、乾燥する工程)、その後、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線などの活性光線照射(活性化学線照射、露光する工程)を行い、次いで加熱処理を行い(加熱する工程)、露光部を現像液で除去する(現像する工程)、さらに加熱処理する工程によりポジ型のレリーフパターンを製造することができる。
乾燥は通常オーブン又はホットプレートを用いて行われる。乾燥条件は、ポジ型感光性樹脂組成物の成分により適宜決定されるが、ホットプレートを用いた場合、60〜140℃で30秒間〜10分間が好ましい。乾燥温度が低いと現像時に微細パターンの剥離が起こりやすい傾向にある。また、乾燥温度が高いと露光部の現像液に対する溶解速度が減少し感度が低下する傾向にある。
次いで、必要に応じて、光の照射部の(C)成分の分解反応を促進するために露光後、現像前に加熱処理(加熱する工程)が行われる。加熱条件はポジ型感光性樹脂組成物の成分により適宜決定されるが、ホットプレートを用いた場合、60〜140℃で30秒間〜10分間が好ましい。加熱温度が低いと酸触媒反応によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増加される酸分解性基を有する化合物の分解が効率よく起こらず、感度が低下する傾向にある。加熱温度が高いと露光部の現像液に対する溶解速度が低下し、現像時間が長くなる傾向にある。
次いで、現像する工程の現像処理に用いる現像液としては、アルカリ現像液を用いることが好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等の5重量%以下の水溶液、好ましくは1.5〜3.0重量%の水溶液などが用いられるが、より好ましい現像液は水酸化テトラメチルアンモニウムの1.5〜3.0重量%の水溶液である。
さらに上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で配合することができる。
次いで、得られたレリーフパターンに150〜450℃の加熱処理をすることによりオキサゾール環や他に環状基を持つ耐熱性重合体のレリーフパターンになる。本発明のポジ型感光性樹脂組成物は4μm以上の耐熱性重合体の膜厚を形成するための樹脂組成物として好適である。
このパターンは、半導体装置や多層配線板等の電子部品の層間絶縁膜又は表面保護膜として用いることができる。
本発明の電子部品は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(合成例1)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸21.69g、N−メチルピロリドン123gを仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニル9.99gを滴下し、1時間反応させて、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液(a)を得た。次いで、攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン103gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン25.83gを添加し、攪拌溶解した後、ピリジン26.58gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液(a)を1時間で滴下した後、1時間攪拌を続けた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミドを得た(以下、ポリマAとする)。ポリマAの標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は20000、分散度は1.5であった。
【0027】
(合成例2)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、マルカリンカーM(丸善化学工業株式会社製商品名、ポリビニルフェノール、ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は5000、分散度は2.5であった)20g、酢酸エチル200gを仕込み、攪拌溶解した後、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン50gを添加し、次いで12N塩酸0.3gを添加し、室温(25℃)下で70時間攪拌を継続した。その後、反応溶液を分液ロートに移した後、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液150gで中和し、さらに純水150gで数回有機層を洗浄した。有機層を取り出しエバポレータにより有機層を濃縮した後、濃縮した有機層をnーヘキサンに投入し、析出した樹脂状物を回収した後、減圧乾燥して、フェノール性水酸基をテトラヒドロピラニル基で保護したポリビニルフェノールを得た(以下、溶解阻害剤Iとする)。溶解阻害剤Iのフェノール性水酸基に対するテトラヒドロピラニル基の保護化率を1H−NMRにより測定したところ95%であった。
【0028】
(実施例1、2)
(A)成分としてポリマA、(B)成分としてNAI−105(みどり化学株式会社製商品名、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド)、NAI−106(みどり化学株式会社製商品名、N−(カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミド)、(C)成分として溶解阻害剤I、(D)成分として2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、(E)成分としてγ−ブチロラクトンを用いて、これらを組み合わせてフラスコに配合、室温(25℃)下にて攪拌溶解させて均一な溶液状態とした。その後、この溶液を1μm孔のポリテトラフルオロエチレンフィルタを用いて加圧濾過してポジ型感光性樹脂組成物を得た。(A)〜(E)成分について、3例の組み合わせを配合しポジ型感光性樹脂組成物を調製した。それらの組成表を表1に示した。
【0029】
(比較例1)
表1に比較例の組成を示した。
【0030】
【表1】
【0031】
接着性評価のため、シリコン基板上にTiNをスパッタ形成後、銅をスパッタ形成した基板を用いた。得られたポジ型感光性組成物をスピンナーで基板上に回転塗布し、ホットプレート上90℃で2分間加熱乾燥を行い、12μmのポジ型感光性樹脂組成物の膜を得た。次いで、ホットプレート上で120℃で2分間加熱乾燥を行った後、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を現像液とし、100秒間パドル現像を行い、純水で洗浄してシリコンウエハ上にポリベンゾオキサゾール前駆体のフィルムを得た。次いで、このフィルムを窒素雰囲気下300℃で1時間加熱処理し、基板上全面に膜厚7μmのポリベンゾオキサゾールの硬化フィルムを得た。得られたウエハ上の硬化膜を用いて、セバスチャン試験を行った。表2にその試験結果を示した。
【0032】
【表2】
【0033】
実施例2の組成を用いてスピンナーを使用してシリコンウエハ上に回転塗布し、ホットプレート上90℃で2分間加熱乾燥を行い、12μmのポジ型感光性樹脂組成物の膜を得た。感光特性の評価を行うために、この塗膜にi線縮小投影露光装置(キャノン製FPA3000iw)を用い、レティクルを介し、7000J/m2の露光をした。次いで、ホットプレート上で120℃で2分間加熱乾燥を行った後、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を現像液とし、100秒間パドル現像を行い、純水で洗浄してレリーフパターンを得た。このパターンを窒素雰囲気下300℃で1時間加熱処理し硬化したレリーフパターンを得た。硬化後金属顕微鏡によるパターン観察を行った。
【0034】
実施例1、2で確認したように、トリアジン系化合物を添加したものは銅基板上で良好な接着性を示した。一方、比較例1のようにトリアジン系化合物未添加のものは添加品に比べて銅基板との接着性が劣った。また、硬化後のレリーフパターン観察の結果、最小加工寸法10μmの良好な形状のレリーフパターンを得た。
【0035】
【発明の効果】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、銅基板との接着性が優れるものである。また、本発明のレリーフパターンの製造方法によれば、銅基板との接着性に優れるので、容易に良好な特性を示す半導体素子等の表面保護膜、層間絶縁膜等を作製することができる。
また、本発明の電子部品は、銅基板との接着性が良好な層間絶縁膜又は表面保護膜を有する信頼性に優れる半導体装置となる。
Claims (3)
- (A)一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体、(B)活性化学線照射により酸を発生する化合物、(C)酸触媒反応によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増加される酸分解性基を有する化合物、(D)一般式(2)で表わされるトリアジン系化合物、及び(E)溶剤を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し、乾燥する工程、露光する工程、加熱する工程、現像する工程及び加熱処理する工程を含むレリーフパターンの製造方法。
- 請求項2に記載の製造方法により得られるレリーフパターンの層を有してなる電子部品。
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