JP2005048220A - 電子源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子源から放出されて加速された電子ビームを磁界によって180度以上回転させて被照射材料にほぼ垂直方向から照射させる磁石と、電子ビームのスポットが被照射材料のほぼ垂直方向から照射する位置を、所定領域内で走査する走査磁界を発生させる偏向コイルと、偏向コイルの少なくとも電子ビームに向いた側を抵抗値の可及的に大きくてチャージしなくかつ渦電流損の小さい材料で囲んたスキャンコイルカバーとを備えた電子源装置である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームを被照射材料に照射する際に、スキャンコイルによってルツボ内の照射領域を拡大する電子源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加熱されたフィラメントから放出された電子を加速して引き出し、磁界によって約180度〜回転させると共にレンズ作用によって電子ビームスポットにしてルツボ内の被溶解材料を照射しつつ、電子ビームの経路の途中に配置したXスキャンコイルおよびYスキャンコイルにより当該電子ビームスポットを所定領域内を平面走査(X方向およびY方向に走査)し、当該電子ビームのエネルギーで被溶解材料の所定領域内をほぼ均一に加熱し溶解して蒸発させ、対向面に配置した基板に蒸着などする電子源装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電子源装置のスキャンコイル(X,Y)は、フィラメントから放出されて加速された電子ビームの経路途中に配置する必要があると共に電子ビームスポットでルツボ内の被照射材料をほぼ垂直に所定範囲内を走査して加熱(例えば8KV×400mA=3.2KWもの電力で電子ビーム加熱)して溶解することによる輻射熱により加熱されたり、更に、電子ビームの近傍であるためにチャージして不安定にならないように導電性である必要があり、通常は銅の板で当該スキャンコイル(X,Y)を囲んでいた。このため、スキャンコイルに走査電流(例えばX方向(電子銃からルツボに向かう方向))に約50Hz、Y方向(Xと垂直方向)に約500Hzで走査していいたため、特に、Y方向の約500Hzの周波数の電流(例えば2.50A)によって当該スキャンコイルを囲んだ銅板で渦電流が発生し、走査磁界をキャンセルするように作用し、結果としてルツボ内の被照射材料の中央を中心に走査する範囲が狭くなってしまい、通常でも約100℃もの高温にスキャンコイルがなっており、更に電流を増したのでは更に高温となってコイルなどの許容温度を超えてしまい、結果としてルツボ内の被照射材料の中央を中心に走査する走査範囲が例えば約35mmΦ位に制限されてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、これらの問題を解決するため、電子ビームを磁界により180度以上回転させてルツボ内の被照射材料面をほぼ垂直方向から照射しつつスキャンコイルで所定領域内を平面走査する際に、スキャンコイルの周囲を抵抗値の可及的に大きい材料で作成したスキャンコイルカバーで覆って渦電流損失を小さくして許される温度上昇範囲内の走査電流で電子ビームスポットを平面走査し、電子ビームスポットで大きな面積の被照射試料を均一加熱することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
図1を参照して課題を解決するための手段を説明する。
図1において、フィラメント1は、通電して加熱し、電子ビーム12を放射するものである。
【0006】
スキャンコイルカバー2は、スキャンコイル3を覆ってチャージしないようにしたり、ルツボ7やフィラメント1からの輻射熱を遮ったり、スキャンコイル3に通電したときに発生する熱を外部に取り出して冷却したりなどするものである。
【0007】
スキャンコイル(X,Y)3は、ルツボ7内の被照射材料を電子ビームスポットで所定領域内を均一に平面走査させる走査磁界を発生させるものである。
ルツボ7は、被照射材料を入れて電子ビームスポットで平面走査して加熱し溶解して蒸発させるためのものである。
【0008】
次に、構成および動作を説明する。
フィラメント1から放出されて加速された電子ビーム11は図示外の永久磁石からの磁界によって180度以上回転されてルツボ7内の被照射材料面をほぼ垂直で中心を照射した状態で、スキャンコイル(X、Y)3の少なくとも電子ビームに向いた側を抵抗値の可及的に大きくてチャージしなくかつ渦電流損の小さい材料で作成したスキャンコイルカバー2で囲み、温度上昇が許される最大の走査電流をスキャンコイル(X、Y)3に供給し、ルツボ7内の被照射材料の大きな所定範囲を電子ビームスポットで平面走査して均一に加熱するようにしている。
【0009】
ここで、抵抗値の可及的に大きい渦電流損の小さい導電性の材料として、抵抗値の大きいステンレスを用いてスキャンコイルカバー2を作成するようにしている。
【0010】
従って、電子ビーム11を磁界により180度以上回転させてルツボ7内の被照射材料面をほぼ垂直方向から照射しつつスキャンコイル3で所定領域内を平面走査する際に、スキャンコイル3の周囲を抵抗値の可及的に大きい材料(例えばステンレス)で作成したスキャンコイルカバー2で覆って渦電流損を小さくして許される温度上昇範囲内の走査電流で電子ビームスポットを平面走査することにより、電子ビームスポットで大きな面積の被照射試料を均一加熱することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、図1から図3を用いて本発明の実施の形態および動作を順次詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の説明図を示す。
図1の(a)は上面図を示し、図1の(b)は正面図を示す。ここで、フィラメント1、電子ビーム11などの配置位置およびその経路は全て真空に排気される容器(チャンバー)に収納し、フィラメント1が酸化して消耗したり、電子ビーム11が容易に(大部分が)ルツボ7内の被照射材料面に到達できるようにされるものである。
【0013】
図1において、 フィラメント1は、電子ビーム11を放出するものであって、例えばタングステン線をヘアピン型に成型したものであり、電流を流して加熱して電子ビームを放出するものである。
【0014】
スキャンコイルカバー2は、スキャンコイル3を覆ってチャージしないようにしたり、ルツボ7やフィラメント1からの輻射熱を遮ったり、スキャンコイル3に通電したときに発生する熱を外部に取り出して冷却したりなどするものである。ここでは、スキャンコイルカバー2は、スキャンコイル(X、Y)3の少なくとも電子ビームに向いた側を抵抗値の可及的に大きくてチャージしなくかつ渦電流損の小さい材料(例えば抵抗値の高いステンレス)で作成して囲んだものである。
【0015】
スキャンコイル(X,Y)3は、ルツボ7内の被照射材料を電子ビームスポットで所定領域内を均一に平面走査させる走査磁界を発生させるものである。ここでは、温度上昇が許される最大の走査電流をスキャンコイル(X、Y)3に供給し、ルツボ7内の被照射材料の大きな所定範囲を電子ビームスポットで平面走査して均一に加熱するためのものである。
【0016】
鉄心4は、スキャンコイル(X)3によって発生された磁界を導く磁路(ヨーク)である。
鉄心5は、スキャンコイル(Y)3によって発生された磁界を導く磁路(ヨーク)である。
【0017】
ポールピース6は、図示外の永久磁石によって電子ビーム11を図示のように約270度回転させて、ルツボ7内の被照射材料にほぼ垂直で中央を照射させるための磁界を発生するものであって、ここでは、回転させるための磁界の中心Oを上方向に持ち上げるためのポールピースである。当該ポールピース6を設けたことにより、図1の(b)に示すように、ルツボ7の上面を、左側の電子銃部の上面と同一あるいは上側に移動させ、当該ルツボ7から左側の電子銃部に直接の輻射熱による加熱を軽減できると共に、ルツボ7内の溶解した材料が蒸発して左側の電子銃部の上面などに付着して汚れてチャージして電子ビーム11を不安にすることを無くすことができる。
【0018】
ルツボ7は、被照射材料を入れて電子ビームスポットで平面走査して加熱し溶解して蒸発させるためのものである。
電子ビーム11は、、加熱されたフィラメント1から放出された電子を、対向して設けたグリッド電極、および更に、対向して設けたアノード電極にバイアス電圧、加速電圧(例えば10KV)をそれぞれ印加して所定電流、所定電圧の当該電子ビームである。
【0019】
以上の構成もとで、スキャンコイルカバー2の少なくとも電子ビーム11に面した側について、抵抗値の可及的に大きい材料(例えばステンレス)で作成してスキャンコイル(X,Y)3を覆って渦電流損失を小さくして許される温度上昇範囲内の走査電流で電子ビームスポットを平面走査することにより、電子ビームスポットで大きな面積の被照射試料を均一加熱することが可能となる。
【0020】
図2は、本発明の斜視図を示す。これは、図1の電子源装置の要部の斜視図であって、抵抗値の高いステンレスでコの字型に作成したスキャンコイルカバー2をスキャンコイル(X、Y)3の電子ビーム11の通路側に面する部分に配置した様子を模式的に示す。これにより、スキャンコイル(X、Y)3は、抵抗値の高いステンレスのスキャンコイルカバー2で覆われ、中央の電子ビーム11に面した当該スキャンコイルカバー2が導電性でチャージすることなく、かつスキャンコイル(X、Y)3に走査電流(例えばXに50Hz,Yに500Hzの走査電流)を流してもそのときに生じる渦電流損を後述する図3のステンレスの場合のように小さくし、当該スキャンコイル(X、Y)3に許される最大の走査電流を流したときにルツボ7内の被照射材料の中心から走査できる矩形範囲を大幅に広げる(例えば従来の銅製のスキャンコイルカバーのときの35mmφから40mmφに広げる)ことが可能となった。
【0021】
図3は、本発明の実験例を示す。これは、図1、図2のスキャンコイルカバー2がなし、材質を石英、ガラスエポキシ樹脂、ステンレス(SUS310,316等)、銅に変えたときに、ルツボ7内の被照射材料面で電子ビームスポットを同一幅で走査されるときにスキャンコイル(X、Y)3に流した電流を測定したものである。ここで、スキャンコイルカバー2のなし、材質が石英、ガラスエポキシ樹脂の場合には、渦電流損がなく、すべてほぼ同じ電流値である。従来の銅の場合には、周波数の高い500Hzの走査電流を供給したスキャンコイル(Y)3の電流値が6.91となり、なしの場合の4.12Appから大幅に増加し、渦電流損がその差分(6.91ー4.12=2.79App)だけ生じていることが判明する。一方、本発明のステンレスの場合には、4.25Appであり、その差分(4.25ー4.12=0.13App)となり、渦電流損での損失はわずかであり、その結果、図示の4.25Appで当該スキャンコイル(Y)3の加熱される許容温度に到達してしまうが、ここでは、ルツボ7内の被照射材料面で40mm×40mmの範囲を均一面走査することが可能である。尚、従来の銅のスキャンコイルカバー2を用いたのでは、スキャンコイル(Y)3の許容温度から35mm×35mmが限界であり、結果として、これを40mm×40mmに電子ビームによるルツボ7内の被照射材料面におけるビームスポットの領域を拡大することができた。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電子ビーム11を磁界により180度以上回転させてルツボ7内の被照射材料面をほぼ垂直方向から照射しつつスキャンコイル3で所定領域内を平面走査する際に、スキャンコイル3の周囲を抵抗値の可及的に大きい材料(例えばステンレス)で作成したスキャンコイルカバー2で覆って渦電流損失を小さくして許される温度上昇範囲内の走査電流で電子ビームスポットを平面走査する構成を採用しているため、電子ビームスポットでルツボ7内の大きな面積の被照射試料を均一加熱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の説明図である。
【図2】本発明の斜視図である。
【図3】本発明の実験例である。
【符号の説明】
1:フィラメント
2:スキャンコイルカバー
3:スキャンコイル(X,Y)
4,5:鉄心
6:ポールピース
7:ルツボ
11:電子ビーム
Claims (3)
- 電子源から放出されて加速された電子ビームを磁界によって180度以上回転させて被照射材料にほぼ垂直方向から照射させる磁石と、
前記電子ビームのスポットが被照射材料のほぼ垂直方向から照射する位置を、所定領域内で走査する走査磁界を発生させる偏向コイルと、
前記偏向コイルの少なくとも電子ビームに向いた側を抵抗値の可及的に大きくてチャージしなくかつ渦電流損の小さい材料で囲んたスキャンコイルカバーとを備えたことを特徴とする電子源装置。 - 電子源から放出されて加速された電子ビームを磁界によって180度以上回転させて被照射材料にほぼ垂直方向から照射させる磁石と、
前記電子ビームのスポットが被照射材料のほぼ垂直方向から照射する位置を、所定領域内で走査する走査磁界を発生させるための、温度上昇が許される最大の走査電流を供給する偏向コイルと、
前記偏向コイルの少なくとも電子ビームに向いた側を抵抗値の可及的に大きくてチャージしなくかつ渦電流損の小さい材料で囲んたスキャンコイルカバーとを備えたことを特徴とする電子源装置。 - 前記抵抗値の可及的に大きい渦電流損の小さい材料として、抵抗値の大きいステンレスとしたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の電子源装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003204581A JP2005048220A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 電子源装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003204581A JP2005048220A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 電子源装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005048220A true JP2005048220A (ja) | 2005-02-24 |
Family
ID=34263553
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003204581A Pending JP2005048220A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 電子源装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005048220A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020176278A (ja) * | 2019-04-15 | 2020-10-29 | 日本電子株式会社 | 間接加熱蒸着源 |
CN113990722A (zh) * | 2021-10-09 | 2022-01-28 | 杭州大和热磁电子有限公司 | 一种电子束发射装置 |
-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003204581A patent/JP2005048220A/ja active Pending
Cited By (3)
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CN113990722A (zh) * | 2021-10-09 | 2022-01-28 | 杭州大和热磁电子有限公司 | 一种电子束发射装置 |
CN113990722B (zh) * | 2021-10-09 | 2024-05-10 | 杭州大和热磁电子有限公司 | 一种电子束发射装置 |
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