JPH0770741A - 蒸発源 - Google Patents

蒸発源

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JPH0770741A
JPH0770741A JP2951494A JP2951494A JPH0770741A JP H0770741 A JPH0770741 A JP H0770741A JP 2951494 A JP2951494 A JP 2951494A JP 2951494 A JP2951494 A JP 2951494A JP H0770741 A JPH0770741 A JP H0770741A
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JP
Japan
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crucible
filament
evaporation source
electron beam
vapor deposition
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JP2951494A
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English (en)
Inventor
Hiromoto Ito
弘基 伊藤
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜中に不純物が混入しない高純度の成膜がで
きる蒸発源を得る。 【構成】 ルツボ110を2重構造とし、内ルツボ11
2の材料を蒸着材料130と同じ金属とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、基板に薄膜を形成す
る薄膜形成装置に適用され、特に真空中で高純度の薄膜
を形成するための蒸発源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図34は例えば「薄膜ハンドブック」
(昭和58年12月10日オーム社発行)に示された従
来の電子ビーム加熱型蒸発源の構成を模式的に示す断面
図である。図において、1は蒸着材料2が充填されるル
ツボ、3は電子ビーム3aを放出する加熱用フィラメン
ト、4はルツボ1の上方に配設される基板である。
【0003】次に、動作について説明する。まず真空槽
(図示せず)内を排気系(図示せず)により排気した
後、加熱用フィラメント3に通電して加熱するととも
に、加熱用フィラメント3とルツボ1との間に直流電圧
を印加すると、加熱用フィラメント3から電子ビーム3
aが放出される。そして、この電子ビーム3aは一対の
対向する永久磁石(図示せず)の磁場により円弧状に曲
げられて蒸着材料2に照射され、この照射により蒸着材
料2は加熱されて蒸発し基板4に到達して薄膜が形成さ
れる。
【0004】又、図35は例えば「薄膜ハンドブック」
(昭和58年12月10日オーム社発行)に示された従
来のルツボ型蒸発源の構成を模式的に示す断面図であ
る。図において、5は蒸着材料6が充填されるルツボ、
7はこのルツボ5の周囲に配設される加熱用フィラメン
ト、8はこれらルツボ5および加熱用フィラメント7を
覆うように配設された熱シールド板、9はルツボ5の上
方に配設される基板である。
【0005】次に、動作について説明する。上記従来例
と同様に、まず真空槽(図示せず)内を排気系(図示せ
ず)により排気した後、加熱用フィラメント7に通電し
てルツボ5を加熱する。この加熱によりルツボ5内に充
填された蒸着材料6は蒸発し基板4に到達して薄膜が形
成される。そして、ルツボ5および加熱用フィラメント
7からの輻射熱は熱シールド板8により外部への放出が
抑えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のルツボ型蒸発源
は以上のように構成されているので、蒸着材料6として
例えばチタンやシリコン等の反応性の高い材料を用いた
場合、溶融した材料がルツボ5の材料であるカーボンや
タングステンと反応してルツボの寿命が短くなったり、
反応して生成した不純物が膜中に混入するという問題点
があった。
【0007】又、従来の電子ビーム加熱型蒸発源は以上
のように構成されており、電子ビーム3aを蒸着材料2
に照射するためには1〜10KV程度の大きな電圧(電
源)が必要となる。そして、このような大きな電圧で引
き出された電子ビーム3aを収束させることは難しく、
蒸着材料2はルツボ1内全体で溶融してしまうため、溶
融した蒸着材料2が接触しているルツボ1の材料と化学
反応して生成された不純物が蒸着材料2の中に混入し、
この不純物が成膜中に混入して高純度の成膜ができない
という問題点があった。
【0008】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、小型の電源でも稼働が可能で、
膜中に不純物が混入しない高純度の成膜が可能な蒸発源
を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る蒸発源はルツボを多重構造とし、内側のルツボ材料を
蒸着材料と同じ金属としたものである。
【0010】また、この発明の請求項2の蒸発源は、ル
ツボを多重構造とし、外側のルツボに輻射放熱用の冷却
フィンを設けたものである。
【0011】また、この発明の請求項3に係る蒸発源
は、ルツボを多重構造として、外側のルツボに導体部を
設けると共に、導体部を真空槽の外部に延長し、導体部
に正のバイアス電圧を印加するようにしたものである。
【0012】また、この発明の請求項4に係る蒸発源
は、電子ビームを照射するフィラメントをルツボの中央
部上方に設けて電子ビームを蒸着材料に直接照射して加
熱するようにしたものである。
【0013】また、この発明の請求項5に係る蒸発源
は、電子ビームを照射するフィラメントをルツボの中央
部上方に設け、ルツボとフィラメント間に一対の電極を
設けて電子ビームを収束させて蒸着材料に直接照射する
ようにしたものである。
【0014】また、この発明の請求項6に係る蒸発源
は、電子ビームを照射するフィラメントをルツボの周辺
部上方に設けるとともに、フィラメントから照射された
電子ビームを収束させて蒸着材料に直接照射する電子収
束手段を設けたものである。
【0015】また、この発明の請求項7に係る蒸発源
は、請求項6における電子収束手段をルツボとフィラメ
ント間に設けられた一対の電極としたものである。
【0016】また、この発明の請求項8に係る蒸発源
は、請求項6における電子収束手段を上記ルツボの周囲
に設けられた磁界印加手段としたものである。
【0017】また、この発明の請求項9に係る蒸発源
は、請求項8の磁界印加手段をフィラメントの位置近傍
からルツボの中心部に磁束を集中させるよう配置された
コイルとしたものである。
【0018】また、この発明の請求項10に係る蒸発源
は、請求項8の磁界印加手段をフィラメントの位置近傍
からルツボの中心部に磁束を集中させるよう配置された
永久磁石としたものである。
【0019】また、この発明の請求項11に係る蒸発源
は、請求項8の磁界印加手段をルツボの中央部下方から
ルツボの側部を迂回してフィラメント近傍まで設けられ
てフィラメントの位置近傍からルツボの中心部に磁束を
集中させる磁気回路としたものである。
【0020】また、この発明の請求項12に係る蒸発源
は、請求項1乃至請求項11において蒸気が噴出される
ルツボ上方に蒸気を電離させるイオン化フィラメントを
備え、イオン化フィラメントから放出される電子ビーム
を螺旋運動させて蒸気中でプラズマを形成させる磁界発
生手段を備えたものである。
【0021】また、この発明の請求項13に係る蒸発源
は、ルツボを加熱するフィラメントをルツボの側部で上
下に分割し、分割されたフィラメントの間隔をあけてル
ツボ中央部への加熱入力を減らしたものである。
【0022】また、この発明の請求項14に係る蒸発源
は、ルツボを多重構造とし、蒸着材料として金属蒸着材
料を用いる場合は、内側のルツボ材料をパイロレイテッ
ク窒化ホウ素とし、外側のルツボ材料を導体としたもの
である。
【0023】また、この発明の請求項15に係る蒸発源
は、電子ビームを照射するフィラメントとルツボとの間
にグリッド電極を設け、グリッド電極にフィラメントに
対して正電位にバイアスするよう電圧を印加したもので
ある。
【0024】また、この発明の請求項16に係る蒸発源
は、ルツボの外周部上方の内側にグリッド電極ならびに
その外側に電子ビームを照射するフィラメントをそれぞ
れ設け、このグリッド電極にフィラメントに対して正電
位にバイアスするよう電圧を印加したものである。
【0025】また、この発明の請求項17に係る蒸発源
は、ルツボの外周部同一平面内にグリッド電極を設ける
とともにこのグリッド電極の下方に電子ビームを照射す
るフィラメントをそれぞれ設け、このグリッド電極にフ
ィラメントに対して正電位にバイアスするよう電圧を印
加したものである。
【0026】また、この発明の請求項18に係る蒸発源
は、請求項15ないし請求項17のいずれかにおいて、
ルツボの電子ビームが入射される部分に中央部に穴が形
成されたアパーチャ電極を設け、このアパーチャ電極に
フィラメントに対して同電位または負の電位にバイアス
するよう電圧を印加したものである。
【0027】また、この発明の請求項19に係る蒸発源
は、請求項15ないし請求項18のいずれかにおいて、
グリッド電極およびフィラメントが設けられる雰囲気中
に不活性ガスを導入するようにしたものである。
【0028】また、この発明の請求項20に係る蒸発源
は、ルツボの上部にグリッド電極を設けるとともにグリ
ッド電極の上方に電子ビームを照射するフィラメントを
それぞれ設け、このグリッド電極にフィラメントに対し
て正電位にバイアスするよう電圧を印加したものであ
る。
【0029】また、この発明の請求項21に係る蒸発源
は、請求項15ないし請求項20のいずれかにおいて、
磁界を垂直方向に印加して発生する磁束をルツボの中心
部に集中させるようにしたものである。
【0030】また、この発明の請求項22に係る蒸発源
は、請求項21において、ルツボの被蒸着部材を装着す
る基板に対して正電位にバイアスするよう電圧を印加し
たものである。
【0031】また、この発明の請求項23に係る蒸発源
は、請求項15ないし請求項22のいずれかにおいて、
グリッド電極およびフィラメントのうち少なくともグリ
ッド電極を蒸着材料と同じ高純度金属材料としたもので
ある。
【0032】
【作用】この発明の請求項1に係る蒸発源によれば、内
側のルツボ材料を蒸着材料と同じ高純度材料としたので
蒸着材料の溶融時でも不純物が溶け込むことがない。従
って高純度の成膜が可能となる。
【0033】また、この発明の請求項2に係る蒸発源に
よれば、冷却フィンにより外側のルツボが冷却される。
従って真空槽内に水冷配管を導入する必要がなく、装置
をコンパクト化することができる。
【0034】また、この発明の請求項3に係る蒸発源に
よれば、導体部を絶縁セラミックを通して真空槽外部に
まで延長し大気中で強制対流冷却することができ、請求
項2の場合と同様、真空槽内に水冷配管を導入する必要
がなくなって装置がコンパクトになる。更にこの導体部
に正のバイアス電圧を印加することによりルツボに任意
の電圧を印加することができる。
【0035】また、この発明の請求項4に係る蒸発源に
よれば、ルツボ上方の中央部に配設されたフィラメント
により、電子ビームを蒸着材料に直接照射するようにし
たので蒸気の一部を電離してイオン化することができ
る。
【0036】また、この発明の請求項5に係る蒸発源に
よれば、ルツボ上方の中央部に配設したフィラメントに
より電子ビームを収束させて蒸着材料を直接照射するこ
とで、蒸着材料だけを局所的に加熱して蒸発させること
ができ、従って高純度の成膜が可能となる。
【0037】また、この発明の請求項6、請求項7に係
る蒸発源によれば、フィラメントをルツボの周辺部上方
に配設したので、フィラメントが蒸気に直接さらされる
ことがない。また、蒸発する蒸気にも電子ビームが照射
されるので蒸気の一部を電離させてイオン化することが
できる。
【0038】また、この発明の請求項8〜11の蒸発源
によれば、磁界印加手段によりルツボ中心部に磁束密度
を集中させることができるので、フィラメントから放出
される電子は螺旋運動しながら磁力線に沿って進み、電
子ビームを小さなスポットに収束させて蒸着材料に照射
できるので蒸着材料だけを局所的に加熱して蒸発させる
ことができ高純度の成膜が可能となる。また、フィラメ
ントをルツボの周辺部上方に配設したので、フィラメン
トが蒸気に直接さらされることがない。
【0039】また、この発明の請求項12に係る蒸発源
によれば、蒸発粒子に運動エネルギーを与えて成膜で
き、基板に到達するときの運動エネルギーを制御するこ
とで膜特性を変えることができる。
【0040】また、この発明の請求項13に係る蒸発源
によれば、上下に分割したフィラメントの間隔をあけて
ルツボ中央部への加熱入力を減らしたので、ルツボ温度
をより均一にすることができ、すなわち局所的に高温に
なる部分(特に中央部)がなくなるので装置からの脱ガ
スが低減でき膜中の不純物を減少させることができる。
【0041】また、この発明の請求項14に係る蒸発源
によれば、化学的に活性なアルミニウム、シリコン、チ
タン等で代表される溶融金属は、化学的に安定なパイロ
レイテック窒化ホウ素(以下PBNという)と接触して
も化学反応が生じないので高純度の成膜が可能となる。
【0042】また、この発明の請求項15における蒸発
源のグリッド電極は、フィラメントとルツボとの間に介
在し、フィラメントに対して正電位にバイアスされる。
【0043】また、この発明の請求項16における蒸発
源のグリッド電極は、ルツボの外周部上方のフィラメン
トの内側に介在し、フィラメントに対して正電位にバイ
アスされる。
【0044】また、この発明の請求項17における蒸発
源のグリッド電極は、ルツボの外周部同一平面内で且つ
フィラメントの上方に介在し、フィラメントに対して正
電位にバイアスされる。
【0045】また、この発明の請求項18における蒸発
源のアパーチャ電極は、ルツボの電子ビームが入射され
る部分に介在し、フィラメントに対して同電位または負
の電位にバイアスされる。
【0046】また、この発明の請求項19における蒸発
源の導入される不活性ガスは、グリッド電極およびフィ
ラメントが収納される雰囲気中のインピーダンスを低下
させる。
【0047】また、この発明の請求項20における蒸発
源のグリッド電極は、ルツボの上部で且つフィラメント
の下方に介在し、フィラメントに対して正電位にバイア
スされる。
【0048】また、この発明の請求項21における蒸発
源の垂直方向に印加された磁界によって発生する磁束
は、ルツボの中心部に集中して分布される。
【0049】また、この発明の請求項22における蒸発
源のルツボは基板に対して正電位にバイアスされる。
【0050】また、この発明の請求項23における蒸発
源のグリッド電極は、蒸着材料と同じ高純度金属材料で
形成される。
【0051】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。尚、各図において同一物には同一符号を付してい
る。図1はこの発明の実施例1を示す電子ビーム加熱型
蒸発源の断面側面図である。図1において、電子ビーム
加熱型蒸発源100は、多重構造として外ルツボ111
と内ルツボ112からなる2重構造のルツボ110と、
ルツボ110の下方に設けられたフィラメント120
と、外ルツボ111の外側面に設けられた冷却手段15
0と、磁界印加手段(図示せず)および電圧印加手段
(図示せず)により構成され、ルツボ110の内ルツボ
112には蒸着材料130が充填されている。
【0052】次に動作について説明する。まず真空槽
(図示せず)内を排気系(図示せず)により、排気した
後、フィラメント120を通電加熱すると共に、フィラ
メント120と外ルツボ111間に直流電圧を印加する
と、フィラメント120から電子ビームが放出される。
このとき図示されてない一対の対向する永久磁石の磁場
により、電子ビームは円弧状に曲げられて内ルツボ11
2内の蒸着材料130に照射され、蒸着材料130が加
熱され蒸発する。このとき外ルツボ111は、冷却手段
150により冷却され加熱を抑えられている。この2重
構造のルツボ110において、特にシリコン、チタン、
アルミニウム、タングステン等金属蒸着材料を用いる場
合は内側のルツボ材料112を蒸着材料と同じ高純度シ
リコン、チタン、アルミニウム、タングステン等金属と
し、外側のルツボ材料110をタングステン、銅、タン
タル、カーボン等の導体材料とすれば、蒸着材料130
の溶融時でも不純物が溶け込むことがないので高純度の
成膜が可能となる。また外ルツボ111を水冷するよう
にしたので、内ルツボ112と外ルツボ111に温度差
を設けることができ、外ルツボ111をより低温に保つ
ことができ、したがって装置からの脱ガスが低減できる
ので膜中の不純物を減少させることができる。
【0053】実施例2.図2は実施例2を示す電子ビー
ム加熱型蒸発源の断面側面図である。図2において電子
ビーム加熱型蒸発源100は、2重構造のルツボ110
における外ルツボ111の底部に熱伝導促進部材として
の導体部151を設けて構成されている。
【0054】次に実施例2の動作について説明する。ま
ず図示しない真空槽内を排気系により、排気した後フィ
ラメント120から電子ビームが内ルツボ112内の蒸
着材料130に照射されると、蒸着材料130が加熱さ
れ蒸発する。このときルツボ110の熱は熱伝導により
外ルツボ111の底部から導体部151に伝達されると
共に、導体部151の表面から熱輻射により放射され、
ルツボ110の冷却効率は向上する。
【0055】実施例3.図3は実施例3を示す電子ビー
ム加熱型蒸発源の断面側面図である。図3において電子
ビーム加熱型蒸発源100は、2重構造のルツボ110
における外ルツボ111の底部に導体部151を設け、
この導体部151の下側に導体からなる延長部152を
設けると共に、この延長部152を絶縁セラミック15
3とフランジ154を通して真空槽200の外部にまで
延長し、この延長部152に正のバイアス電圧を印加で
きるように構成したものである。
【0056】実施例3によれば、延長部152により、
絶縁セラミック153とフランジ154を通して真空槽
外部にまで熱伝導により熱が伝達される結果、冷却効率
が高められる。更に、延長部152を大気中で強制対流
冷却するようにすれば、より冷却効率を高めることがで
きる。また真空槽内に水冷配管を導入する必要がなくな
るので装置がコンパクトになる。またこの導体部151
に延長部152を介して正のバイアス電圧を印加するよ
うにすればルツボ110に任意の電圧を印加することが
できる。
【0057】実施例4.図4は実施例4を示す電子ビー
ム加熱型蒸発源の断面側面図である。図4において、電
子ビーム加熱型蒸発源100は、2重構造のルツボ11
0と、ルツボ110中央部上方に置かれたフィラメント
121と、外ルツボ111を冷却する冷却手段155に
より構成されている。
【0058】次に実施例4の動作について説明する。ま
ず真空槽内を排気系により、排気した後フィラメント1
21とルツボ110の間にルツボが正にバイアスされる
ように直流電圧を印加すると、フィラメント121から
電子ビームが内ルツボ112内の蒸着材料130に照射
され、蒸着材料130が蒸発する。このとき蒸発する蒸
気にもフィラメント121からの電子ビームが照射され
るので蒸気の一部を電離してイオン化することができ
る。
【0059】実施例5.図5は実施例5を示す電子ビー
ム加熱型蒸発源の断面側面図である。実施例5は図4で
示した構成において更に電子ビーム収束手段を設けたも
のである。この電子ビーム収束手段は、フィラメント1
21とルツボ110の間に中央部に穴が明けられた一対
のアパーチャ電極160、161を上下に設け、上部の
アパーチャ電極160に対して、下部のアパーチャ電極
161を正にバイアスするよう電圧を印加するよう構成
されている。
【0060】実施例5によれば、上部のアパーチャ電極
160に対して、下部のアパーチャ電極161を正にバ
イアスするように電圧を印加したので、ここに形成され
る電界レンズにより、電子ビームを収束させて蒸着材料
に直接照射することができ、蒸着材料130だけを局所
的に加熱して蒸発させることができるので低温で高純度
の成膜が可能となる。このとき上部のアパーチャ電極1
60の穴径に対して、下部のアパーチャ電極161の穴
径を小さくすればさらに電子を収束させることができ
る。
【0061】実施例6.図6は実施例6を示す電子ビー
ム加熱型蒸発源の断面側面図である。実施例6は図6に
示すように電子ビーム収束手段として、ルツボ110の
周囲にコイルにより構成される磁界印加手段170を設
けたものである。
【0062】実施例6によれば、ルツボ110の周囲に
磁界印加手段170を配したので、図6に点線で示すよ
うに、磁力線はコイルの中心に近づくほど集中する形状
となり、また磁力が200ガウス以上となると、電子ビ
ームは螺旋運動をしながら磁力線に沿って移動するの
で、中央に移動することになる。したがってこの位置に
ルツボ110を設けると、ここに形成される磁力線によ
り、電子ビームを収束させて蒸着材料130に直接照射
できるので蒸着材料130だけを局所的に加熱して蒸発
させることができ、従って低温で高純度高純度の成膜が
可能となる。
【0063】実施例7.図7は実施例7を示す電子ビー
ム加熱型蒸発源の断面側面図である。実施例6ではフィ
ラメント121をルツボ110の中央部上方に配設した
が、実施例7として図7に示すように、フィラメント1
22をルツボ110の周辺部上方に配設するようにすれ
ば、フィラメント122は、蒸気に直接さらされないの
で寿命が長くなる。尚、フィラメントはルツボ110の
周辺部上方の一部のみに設けても良い。
【0064】実施例8.図8は実施例8を示す電子ビー
ム加熱型蒸発源の断面側面図である。図8において、電
子ビーム加熱型蒸発源100は、2重構造のルツボ11
0の周辺部上方にフィラメント122を配設すると共
に、外側のルツボ111を冷却する冷却手段155を配
設し、更に図5に示したと同様、電子収束手段として中
央部に穴が明けられた上下一対のアパーチャ電極16
0、161を設け、上部のアパーチャ電極160に対し
て、下部のアパーチャ電極161を正にバイアスすべく
電圧を印加するよう構成したものである。
【0065】次に動作について説明する。まず真空槽内
を排気系により、排気した後フィラメント122とルツ
ボ110の間にルツボが正にバイアスされるように直流
電圧を印加すると、フィラメント122から電子ビーム
が内側のルツボ112内の蒸着材料130に照射され、
蒸着材料130が蒸発する。このとき蒸発する蒸気にも
電子ビームが照射されるので蒸気の一部を電離してイオ
ン化することができる。この場合フィラメント122
は、蒸気に直接さらされない周辺部に置かれているので
フィラメント122の寿命が長くなる。また、上部のア
パーチャ電極160に対して、下部のアパーチャ電極1
61を正にバイアスするように電圧を印加したので、こ
こに形成される電界レンズにより、電子ビームを収束さ
せて蒸着材料に直接照射するようにしたので蒸着材料だ
けを局所的に加熱して蒸発させることができ低温で高純
度の成膜が可能となる。
【0066】実施例9.図9は実施例9を示す電子ビー
ム加熱型蒸発源の断面側面図である。実施例9では図9
に示すように、ルツボ110の周囲に磁界印加手段とし
てのコイル171、172を配設し、磁力線をさらに集
中させて電子ビームを収束させるようにしたものであ
る。具体的にはフィラメント122の上方周辺部に上部
コイル171を配設するとともに、ルツボ110の周囲
に3つの下部コイル172を配設し、それぞれ対抗する
磁力線を発生するように電流を流すようにしたものであ
る。
【0067】実施例9において、各コイル171、17
2に電流を流すと、図9に点線で示すように、発生した
磁力線はフィラメント122からちょうどルツボ110
付近に収束する形となり、電子ビームは螺旋運動をしな
がら磁力線に沿って移動してルツボ110に集まり、蒸
着材料130に直接照射するようにできるので蒸着材料
130だけを局所的に加熱して蒸発させることができ低
温で高純度の成膜が可能となる。
【0068】実施例10.図10は実施例10を示す電
子ビーム加熱型蒸発源の断面側面図である。実施例10
では、ルツボ110の周囲に設けられた磁界印加手段を
ルツボ110に沿って立設された永久磁石181で構成
するとともに、ルツボ110の中央部下方には、永久磁
石181のN極から出た磁力線が点線で示すような形状
を描いてS極に入るように、永久磁石181と異なる別
の永久磁石182が設けられている。尚、下部コイル1
72は3つ設けたが、その数は任意で良い。
【0069】このような実施例10によっても実施例9
と同様、永久磁石181から発生した磁力線は図10に
点線で示されるようにフィラメント122からちょうど
ルツボ110付近に収束する形となる。従って、電子ビ
ームは螺旋運動をしながら磁力線に沿って移動してルツ
ボ110に集まり、蒸着材料130に直接照射すること
となるので蒸着材料130だけを局所的に加熱して蒸発
させることができ低温で高純度の成膜が可能となる。
【0070】実施例11.図11は実施例11を示す電
子ビーム加熱型蒸発源の断面側面図である。実施例11
は、実施例10でルツボ110に対して2つの永久磁石
181を立設したのに対して、2つの永久磁石181の
N極をフィラメント122を挟んで対向させ、これら永
久磁石181のN極から発生される磁力線をルツボ11
0の中央部下方に設けた永久磁石182のS極に向かわ
せたもので、このような構成によっても実施例10と同
様な効果を得ることができる。
【0071】実施例12.図12は実施例12を示す電
子ビーム加熱型蒸発源の断面側面図である。実施例12
はルツボ110の中央部の下方から、ルツボ110の周
辺部上方に設けられたフィラメント122近傍にかけ
て、ルツボ110を囲むように比透磁率の高い材料から
なる磁性体183を配し、ルツボ中央部下方に設けられ
た磁性体にコイル184を備え、フィラメント122か
ら、ルツボ110にかけて磁力線が集中するように磁気
回路を構成したものである。
【0072】このような実施例12によっても実施例9
乃至実施例11と同様な効果を生じる。
【0073】実施例13.図13は実施例13を示す電
子ビーム加熱型蒸発源の断面側面図である。実施例13
は電子ビーム加熱型蒸発源100の上部に、イオン化フ
ィラメント(カソード)126とアノード125を設け
ると共に、これら側部に磁界印加手段としてのコイル1
27を設け、更に基板140とルツボ110に直流電圧
を印加する手段を設けて構成しれたものである。
【0074】次に動作について説明する。電子ビーム加
熱型蒸発源100から噴出した蒸気は、イオン化フィラ
メント(カソード)126を加熱して熱電子を放出させ
ると共に、イオン化フィラメント(カソード)126に
対してアノード125に正のバイアス電圧を印加する
と、熱電子はアノード125に向かって移動するが、こ
のときコイル127を励磁して磁界を電界に対して垂直
に印加すると、電子ビームは螺旋運動を行い回転するの
で、蒸気中でプラズマを形成して蒸気は効率良く電離さ
れる。このときルツボ110と基板140間に直流電圧
を印加すると電離した蒸気Aは基板140に加速して運
ばれる。また、図14はルツボ110の下部に冷却用の
導体部151、延長部152を設けたもので、このよう
な構成によって図13の場合と同様な効果を生じる。
尚、図14において115は熱シールドである。
【0075】実施例14.図15は実施例14を示すル
ツボ型蒸発源の断面側面図である。実施例14では、真
空中に置かれたルツボ型蒸発源300は、ルツボ310
と、このルツボ310の側部に設けられルツボ310を
加熱する上下に分割されたフィラメント321、322
と、これらルツボ310及びフィラメント321、32
2を囲むように設けられた熱シールド板351とにより
構成され、基板140がルツボ310の上方、熱シール
ド板351の外側に設けられている。ここで上側のフィ
ラメント322はその上端部がルツボ310の上端部と
ほぼ一致している。
【0076】次に動作について説明する。蒸着材料を充
填されたルツボ310は、上下に分割されたフィラメン
ト321、322により加熱され、蒸着物質を蒸発させ
基板140に向かって噴出する。このとき熱シールド板
351によりフィラメント321、322からの熱がシ
ールドされる。このようにフィラメント321、322
を上下に分割して設けると、ルツボ310上部とルツボ
310下部の入力を独立に制御できるため、ルツボ上部
の温度とルツボ下部の温度を独立して制御できる。ま
た、図16はフィラメント321、322の間隔を図1
5の場合より大きくした場合を示したもので、このよう
な構成によれば、ルツボ中央部の加熱量が軽減され、従
来のような局所的に高温になる部分(特に中央部)がな
くなるので更にルツボ温度をより均一にすることができ
る。
【0077】実施例15.図17は実施例15を示すル
ツボ型蒸発源の断面側面図である。実施例15は、ルツ
ボ310と、このルツボ310の側部に設けられルツボ
310を加熱する上下に分割されたフィラメント32
1、322と、これらルツボ310、フィラメント32
1、322を囲むように設けられた熱シールド板351
とから構成され、基板140がルツボ310の上方の熱
シールド板351の外側に設けられている。尚、ルツボ
310の上端部は上側のフィラメント322のほぼ中央
部当たりに位置し、ルツボ310の下端部が下側のフィ
ラメント321のほぼ下端部に位置している。
【0078】次に動作について説明する。蒸着材料13
0を充填されたルツボ310は、上下に分割されたフィ
ラメント321、322により加熱され、蒸着材料13
0を蒸発させ基板140に向かって噴出する。このよう
に上側のフィラメント322をルツボ310上端部より
上方に延長すると、特にルツボ310の上部温度が高温
に保たれるので、蒸着材料として溶融したときにぬれ性
の良い(表面張力が小さい)材料を使用したときは、ル
ツボ内壁を這い上ろうとする溶融した蒸着材料を効率良
く蒸発させることができる。
【0079】実施例16.図18は実施例16を示すル
ツボ型蒸発源の断面側面図である。実施例16は、実施
例15の構成において、ルツボ310の上端部が上側の
フィラメント322のほぼ上端部当たりに位置し、ルツ
ボ310の下端部が下側のフィラメント321のほぼ中
央部に位置するように構成したものである。
【0080】実施例16によれば、下側のフィラメント
321をルツボ310下端部より下方に延長したもの
で、特にルツボ310下部の温度が高温に保たれるの
で、蒸着材料として溶融したときにぬれ性の悪い(表面
張力が大きい)材料を使用したときは、ルツボ底部で溶
融した蒸着材料を効率良く蒸発させることができる。
【0081】図19は実施例13〜16に示したルツボ
310を詳細に示した断面側面図であり、ルツボ310
は、実施例1で示したルツボ110と同様、外ルツボ3
11と、蒸着材料130を充填する内ルツボ312から
なる2重構造とされていて、このようなルツボ310に
よれば、実施例1と同様な効果を奏する。尚、この発明
に係るルツボは2重構造に限定されず3重構造以上でも
良いことは明かである。
【0082】また図20、21に示すルツボ310A、
310Bは図19に示したルツボ310の変形例であ
り、ルツボ310Aは内ルツボ312および外ルツボ3
11それぞれ中央部に穴が設けられたフタ316、31
7を備えたもので、またルツボ310Bは外ルツボ31
1のみに中央部に穴が設けられたフタ317を備えたも
のであり、これらルツボ310A、310Bによればビ
ームの直進性を向上させることができる。また特に内ル
ツボ312に設けられたフタ316をPBNとすれば、
フタ316に蒸気が噴出してきても化学反応が生じない
ので高純度の成膜が可能となる。
【0083】実施例17.図22は実施例17を示すル
ツボ型蒸発源の断面側面図である。実施例17はルツボ
310の側部にフィラメント320を設けると共に、ル
ツボ310の周辺部上部にイオン化フィラメント(カソ
ード)330を設け、これらルツボ310、フィラメン
ト320、イオン化フィラメント330を囲むようにア
ノード315を設け、更にこのアノード315を囲むよ
うに冷却手段350を設けたものであり、冷却手段35
0の上部周辺に磁界印加手段327が設けられている。
そしてルツボ310の上方に設けられた基板140とル
ツボ310には直流電圧を印加する手段(図示せず)が
設けられている。
【0084】次に動作について説明する。ルツボ型蒸発
源300から噴出した蒸気は、イオン化フィラメント
(カソード)330を加熱して熱電子を放出させると共
に、イオン化フィラメント(カソード)330に対して
アノード315に正のバイアス電圧を印加すると、熱電
子はアノード315に向かって移動するが、このときコ
イルからなる磁界印加手段327を電界に対して垂直に
印加すると、電子ビームは螺旋運動を行い回転するの
で、蒸気中でプラズマが形成され蒸気Aは効率良く電離
される。このときルツボ310と基板140間に直流電
圧を印加すると電離した蒸気は基板140に加速して運
ばれる。
【0085】尚、イオン化フィラメント(カソード)3
30は図23に示すようにルツボ310の中央部上方に
設けるようにしても良い。
【0086】実施例18.図24乃至図27は以上に説
明した蒸発源を使用した成膜装置を説明する図である。
図24(A)(B)はそれぞれ成膜装置を説明する断面
側面図、および同平面図である。図24において、この
成膜装置は真空槽160を排気する排気系190と、真
空槽内に置かれた基板140を回転させる基板回転機構
191と、この基板140の端部直下もしくは直下より
外側に2個(少なくとも1個以上)の上述した電子ビー
ム加熱型蒸発源100より構成されている。
【0087】次に動作について説明する。排気系190
で真空槽160を真空に排気した後、基板140を基板
回転機構191により回転させながら、基板の端部直下
もしくは直下より外側に設けられた少なくとも1個以上
の電子ビーム加熱型蒸発源100により、上述したよう
に成膜を行うと高純度の薄膜が基板上に形成される。こ
のとき基板140がコンタクトホールを有する超LSI
の微細配線膜形成用基板の場合、次に説明するように、
穴埋めおよび被覆性が良好な成膜が、高真空中を散乱さ
れることなく移動する高純度の蒸着材料の蒸気やイオン
の蒸発粒子によって達成される。以下に図25、図26
を用いてこれを説明する。
【0088】図25は従来から用いられている成膜装置
であり、図25において、190は配線膜が形成される
基板140近傍に窒素ガスを導入する手段、191は基
板140の回転機構、100は基板140の中心軸であ
る回転軸の真下に蒸着材料が充填され、上向きに配置さ
れた電子ビーム加熱型蒸発源である。
【0089】上述したように構成された装置において、
電子ビーム型蒸発源100を稼働させると、ルツボ内に
充填された蒸着材料は加熱されて蒸発し高真空中に噴出
する。このときコンタクトホール600の中心軸側の側
壁および底部をB、コンタクトホール600の端部側の
側壁および底部をAとすると、中心軸(回転軸)の真下
にクラスターイオンビーム型等の電子ビーム加熱型蒸発
源を配置した場合は、端部側の側壁および底部をAには
よくビームが到達して穴埋めおよび被覆性が良好である
が、中心軸側の側壁および底部をBはセルフシャドーリ
ンング効果によって穴埋めおよび被覆性が悪くなる。そ
こで基板140の中心軸(回転軸)の真下の他に、図2
6に示すように基板140の端部の真下に蒸着材料を充
填した電子ビーム加熱型蒸発源100を配置して蒸着す
ると、基板140の中心軸(回転軸)の真下におかれた
電子ビーム加熱型蒸発源100だけを使用するとセルフ
シャドーリンング効果によって穴埋めおよび被覆性が悪
くなる中心軸側の側壁および底部Bにも基板140の端
部の真下に置かれた電子ビーム加熱型蒸発源100から
到達するビームにより穴埋めおよび被覆性が良好にな
る。
【0090】尚、図24は蒸発源として電子ビーム型蒸
発源100による場合を示したが、図27に示すように
ルツボ型蒸発源300によっても同様の効果を得ること
ができる。
【0091】そして、上述した電子ビーム加熱型蒸発源
100、もしくはルツボ型蒸発源300からチタンを蒸
着させてチタンを成膜したり、窒素ガス雰囲気でチタン
を蒸着すれば、高純度な微細配線バリア膜をコンタクト
ホールおよびスルーホールに埋め込むことができる。ま
た上記各請求項の電子ビーム加熱型蒸発源100もしく
はルツボ型蒸発源300からアルミニウム、シリコン、
銅、タングステンを蒸着してアルミニウム合金もしくは
タングステンを成膜すれば、高純度な微細配線膜をコン
タクトホールおよびスルーホールに埋め込むことができ
る。
【0092】実施例19.図28はこの発明の実施例1
9における電子ビーム加熱型蒸発源の構成を模式的に示
す断面図である。図において、192はルツボ110の
外周部上方に配設されたグリッド電極、193はこのグ
リッド電極192の外側に配設されたフィラメント、1
94はこのフィラメント193を通電加熱する交流また
は直流電源、195はグリッド電極192とフィラメン
ト193との間にバイアス電圧を印加する直流電源、1
96はフィラメント193と後述のアパーチャ電極との
間にバイアス電圧を印加する直流電源、197はルツボ
110とフィラメント193との間にバイアス電圧を印
加する直流電源、198はフィラメント193の周囲を
覆うように配設される電界シールド板、199はルツボ
110の電子ビームe-が入射される位置に配設され、
中央部に穴199aが形成されたアパーチャ電極であ
る。
【0093】次に動作について説明する。まず真空槽
(図示せず)内を排気系(図示せず)により排気した
後、電源194によりフィラメント193に通電して加
熱するとともに、フィラメント193に対してルツボ1
10に直流電源197により正の電位のバイアス電圧を
印加すると、フィラメント193から電子ビームe-
放出される。この時、蒸気が発生していない状態では、
直流電源197から1KVの直流電圧が印加されても、
蒸着材料130に入射する電子ビーム電流は〜0.1A
程度であり、この程度の加熱では蒸着材料130は蒸発
しない。
【0094】そこで、直流電源195によりグリッド電
極192にフィラメント193に対して正の電位の電圧
を印加すると、フィラメント193近傍の電界が強くな
るので蒸着材料130に入射する電子ビーム電流が増加
し、直流電源197の印加電圧は低下する。もちろん最
初から直流電源195によりフィラメント193に対し
てグリッド電極192に正の電位のバイアス電圧を印加
してから、直流電源197によりフィラメント193に
対してルツボ110に正の電位の電圧を印加しても良
く、0.5KV程度の低電圧でフィラメント193から
蒸着材料130に入射される電子ビーム電流を〜5A程
度に大きくすることができ、この程度の大きさの電流が
流れれば蒸着材料130は上部が局所的に加熱されて溶
融し蒸気を発生する。
【0095】又、この時、直流電源196によりフィラ
メント193に対してアパーチャ電極199に負の電位
のバイアス電圧を印加すると、電界レンズ効果によりフ
ィラメント193から放出される電子ビームe-は更に
収束されて、蒸着材料130に局所的に入射され加熱す
る。さらに又、電界シールド板198はフィラメント1
93と同電位もしくはフィラメント193に対して負の
電位にバイアスされることで、フィラメント193から
の電子ビームe-の全てをグリッド電極192側に引き
出すように作用するとともに、フィラメント193から
の輻射熱の外部への放出を遮断する役目を果たすことが
できる。
【0096】このように上記実施例19によれば、ルツ
ボ110の外周部上方の内側にグリッド電極192を、
外側にフィラメント193をそれぞれ配設し、直流電源
195によりグリッド電極192にフィラメント193
に対して正の電位にバイアスするよう電圧を印加したの
で、直流電源197からの印加電圧を低下させても、蒸
着材料130に入射される電子ビーム電流を大きくする
ことができるため、電子ビームe-の収束が容易となり
蒸着材料130の上部を局所的に加熱溶融させて蒸発さ
せることができるので、蒸着材料130の溶融部とルツ
ボ110とが接触して化学反応を起こし、不純物を生成
することも無くなり高純度の成膜が可能となる。
【0097】又、ルツボ110の電子ビームe-が入射
される部分に、アパーチャ電極199を設けるととも
に、このアパーチャ電極199にフィラメント193に
対して同電位または負の電位にバイアスするよう電圧を
印加しているので、電界レンズ効果により電子ビームe
-を更に効果的に収束して蒸着材料130中に入射させ
ることも可能になる。
【0098】実施例20.図29はこの発明の実施例2
0における電子ビーム加熱型蒸発源の構成を模式的に示
す断面図である。図において、上記実施例19と同様な
部分は同一符号を付して説明を省略する。201はルツ
ボ110の外周部同一平面内に配設されるグリッド電
極、202はこのグリッド電極201の下方に配設され
るフィラメント、203はこれらグリッド電極201、
フィラメント202およびルツボ110の側面を覆うよ
うに配設される電界シールド板である。
【0099】次に動作について説明する。上記実施例1
9の場合と同様に、まず真空槽(図示せず)内を排気系
(図示せず)により排気した後、電源194によりフィ
ラメント202に通電して加熱するとともに、直流電源
195によりフィラメント202に対してグリッド電極
201に正の電位のバイアス電圧を印加すると、フィラ
メント202近傍の電界が強くなるので、フィラメント
202から放出される電子ビームe-は上方に放出され
る。そして、この電子ビームe-は、直流電源197に
よりフィラメント202に対してルツボ110に正の電
位のバイアス電圧が印加されることにより、弧状に曲げ
られて蒸着材料130に収束して入射され、蒸着材料1
30は局所的に加熱溶融されて蒸気を発生する。
【0100】このように上記実施例20によれば、ルツ
ボ110の外周部同一平面内にグリッド電極201を、
その下方にフィラメント202をそれぞれ配設し、直流
電源195によりグリッド電極201にフィラメント2
02に対して正の電位にバイアスするよう電圧を印加し
たので、上記実施例19の場合と同様に、電子ビームe
-の収束が容易となり蒸着材料130の上部を局所的に
加熱溶融させて蒸発させることができるので、蒸着材料
130の溶融部とルツボ110とが接触して化学反応を
起こし、不純物を生成することも無くなり高純度の成膜
が可能になることは勿論のこと、蒸着材料130からの
蒸気の発生方向に蒸気ビームを遮るものが全く存在しな
いので、蒸着材料130が例えばシールド部品等に付着
し、そのシールド部品から成膜中にダストが発生すると
いった事も無くなり成膜の純度は更に向上する。
【0101】実施例21.尚、上記実施例20ではアパ
ーチャ電極については何も説明しなかったが、上記実施
例19で説明したアパーチャ電極199と同様なもの
を、ルツボ110の電子ビームe-が入射される部分に
設けても良く、上記実施例19におけると同様の効果を
発揮することができる。
【0102】実施例22.図30はこの発明の実施例2
2における電子ビーム加熱型蒸発源の構成を模式的に示
す断面図である。図において、上記各実施例19、20
と同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。20
4はルツボ110の上部に配設されるグリッド電極、2
05はこのグリッド電極204の上方に配設されるフィ
ラメント、206はルツボ110の側面を覆うように配
設される電界シールド板である。
【0103】次に動作について説明する。上記各実施例
の場合と同様に、まず真空槽(図示せず)内を排気系
(図示せず)により排気した後、電源194によりフィ
ラメント205に通電して加熱するとともに、直流電源
195によりフィラメント202に対してグリッド電極
204に正の電位のバイアス電圧を印加すると、フィラ
メント205近傍の電界が強くなるので、フィラメント
205から電子ビームe-が放出される。そして、この
電子ビームe-は、直流電源197によりフィラメント
205に対してルツボ110に正の電位のバイアス電圧
が印加されることにより、蒸着材料130に収束して入
射され、蒸着材料130は局所的に加熱溶融されて蒸気
を発生する。
【0104】このように上記実施例22によれば、上記
実施例19の場合と同様に、電子ビームe-の収束が容
易となり蒸着材料130の上部を局所的に加熱溶融させ
て蒸発させることができるので、蒸着材料130の溶融
部とルツボ110とが接触して化学反応を起こし、不純
物を生成することも無くなり高純度の成膜が可能になる
ことは勿論のこと、蒸着材料130とフィラメント20
5との間の距離を比較的短くできるので、直流電源19
7の印加電圧を非常に低く設定しても蒸着材料130の
加熱溶融が可能となり、又、電界シールド板206はフ
ィラメント205に対して同電位もしくは負の電位にバ
イアスされることで、フィラメント205からの電子ビ
ームe-の一部がルツボに照射されるのを防ぐ効果があ
り、さらに又、蒸着材料130の蒸気が通過する所にフ
ィラメント205が配設されているので、イオン化が効
率良く行えるという利点がある。
【0105】実施例23.図31はこの発明の実施例2
3における電子ビーム加熱型蒸発源の構成を模式的に示
す断面図である。図において、上記各実施例19、2
0、22と同様な部分は同一符号を付して説明を省略す
る。207はルツボ110の外周部上方に配設されたグ
リッド電極、208はこのグリッド電極207の外側に
配設されたフィラメント、209はこれらグリッド電極
207およびフィラメント208を取り囲むように配設
される電界シールド板、210はこの電界シールド板2
09で取り囲まれた雰囲気中に、例えばアルゴン、ヘリ
ウム等の不活性ガスを導入するガス導入手段である。
【0106】次に動作について説明する。上記各実施例
の場合と同様に、まず真空槽(図示せず)内を排気系
(図示せず)により排気した後、電源194によりフィ
ラメント208に通電して加熱するとともに、直流電源
195によりフィラメント208に対してグリッド電極
207に正の電位のバイアス電圧を印加すると、フィラ
メント208近傍の電界が強くなるので、フィラメント
208から電子ビームe-が放出される。そして、この
電子ビームe-は、直流電源197によりフィラメント
208に対してルツボ110に正の電位のバイアス電圧
が印加されることにより、蒸着材料130に収束して入
射され、蒸着材料130は局所的に加熱溶融されて蒸気
を発生する。なお、この間、シールド板209で取り囲
まれ、グリッド電極207およびフィラメント208が
配置された雰囲気内には、ガス導入手段210により不
活性ガスが導入されている。
【0107】このように上記実施例23によれば、上記
各実施例の場合と同様に高純度の成膜が可能になること
は勿論のこと、グリッド電極207およびフィラメント
208が配置された雰囲気内に不活性ガスを導入し、こ
の雰囲気内のインピーダンスを低下させているため、〜
50V程度の更に低い電圧で電子ビーム電流を増大させ
ることができる。又、電界シールド板209はフィラメ
ント208に対して同電位もしくは負の電位にバイアス
されることで、フィラメント208からの電子の全てを
グリッド電極207側に引き出し、フィラメント208
からの輻射熱の外部への放出を遮断する役目を果たすこ
とができる。
【0108】実施例24.図32はこの発明の実施例2
4における電子ビーム加熱型蒸発源の構成を模式的に示
す断面図である。図から明らかなように、この実施例2
4における電子ビーム加熱型蒸発源は、ルツボ110の
上方に磁界を垂直方向に印加する磁界印加手段211を
設けた点以外は、図29に示した実施例20における電
子ビーム加熱型蒸発源と全く同様である。
【0109】このように上記実施例24によれば、磁界
印加手段211により磁界を垂直方向に印加するように
しているので、フィラメント202から放出された電子
ビームe-は螺旋回転運動をしながら磁力線に沿って移
動し、更に収束されて蒸着材料130に入射されるた
め、低い電力で局所的に加熱溶融させることができる。
【0110】実施例25.図33はこの発明の実施例2
5における電子ビーム加熱型蒸発源の構成を模式的に示
す断面図である。図から明らかなように、この実施例2
5における電子ビーム加熱型蒸発源は、薄膜が形成され
る基板212に対してルツボ110を正の電位にバイア
スするようにした点以外は、図32に示した実施例24
における電子ビーム加熱型蒸発源と全く同様である。
【0111】このように上記実施例25によれば、ルツ
ボ110を基板212に対して正の電位にバイアスする
ようにしているので、螺旋回転運動する電子ビームe-
が蒸着材料130に入射して発生する高密度の金属プラ
ズマ中のイオンを、加速して成膜することができるため
基板212への付着力の高い高品質の成膜が可能にな
る。
【0112】実施例26.又、蒸着材料にチタンを用い
るときは、グリッド電極を蒸着材料と同じ高純度チタン
材料としたり、グリッド電極とともにフィラメントも蒸
着材料と同じ高純度チタン材料とすれば、さらに不純物
を低減することができ高純度の成膜が可能になる。
【0113】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項1によ
れば、ルツボを多重構造とし、内側のルツボ材料を蒸着
材料と同じ金属としたため、蒸着材料の溶融時でも不純
物が溶け込むことがなく高純度の成膜が可能な蒸発源を
提供することができる。
【0114】また、この発明の請求項2によれば、ルツ
ボを多重構造とし、外側のルツボに輻射放熱用の冷却フ
ィンを設けたため、真空槽内に水冷配管を導入する必要
がなく、装置をコンパクト化することが可能な蒸発源を
提供することができる。
【0115】また、この発明の請求項3によれば、ルツ
ボを多重構造として、外側のルツボに導体部を設けると
共に、上記導体部を上記真空槽の外部に延長し、上記導
体部に正のバイアス電圧を印加するようにしたため、導
体部を絶縁セラミックを通して真空槽外部にまで延長し
大気中で強制対流冷却をすることができ、真空槽内に水
冷配管を導入する必要がなくなって装置のコンパクト化
が可能になるとともに、更にこの導体部に正のバイアス
電圧を印加することによりルツボに任意の電圧を印加す
ることが可能な蒸発源を提供することができる。
【0116】また、この発明の請求項4によれば、電子
ビームを照射するフィラメントをルツボの中央部上方の
中央部に設けて電子ビームを蒸着材料に直接照射して加
熱するようにしたため、蒸気の一部を電離してイオン化
することが可能な蒸発源を提供することができる。
【0117】また、この発明の請求項5によれば、電子
ビームを照射するフィラメントをルツボの中央部上方に
設け、上記ルツボと上記フィラメント間に一対の電極を
設けて上記電子ビームを収束させて蒸着材料に直接照射
するようにしたため、蒸着材料だけを局所的に加熱して
蒸発させることができ高純度の成膜が可能な蒸発源を提
供することができる。
【0118】また、この発明の請求項6及び請求項7に
よれば、電子ビームを照射するフィラメントをルツボの
周辺部上方に設けるとともに、フィラメントから照射さ
れた電子ビームを収束させて蒸着材料に直接照射する電
子収束手段を設けたため、フィラメントが蒸気に直接さ
らされることがなくフィラメントの寿命を長くすること
が可能で、また、蒸発する蒸気にも電子ビームが照射さ
れるので蒸気の一部を電離させてイオン化することがで
き蒸着効率を高めることが可能な蒸発源を提供すること
ができる。
【0119】また、この発明の請求項8乃至請求項11
によれば、磁界印加手段により磁束密度をルツボ中心部
に集中させることができるので、フィラメントから放出
される電子は螺旋運動しながら磁力線に沿って進み、電
子ビームを小さなスポットに収束させて蒸着材料に照射
できるので蒸着材料だけを局所的に加熱して蒸発させる
ことができ高純度の成膜が可能な蒸発源を提供すること
ができる。
【0120】また、この発明の請求項12によれば、請
求項1乃至請求項11において蒸気が噴出されるルツボ
上方に蒸気を電離させるイオン化フィラメントを備え、
イオン化フィラメントから放出される電子ビームを螺旋
運動させて蒸気中でプラズマを形成させる磁界発生手段
を備えたため、蒸発粒子に運動エネルギーを与えて成膜
でき、基板に到達するときの運動エネルギーを制御する
ことで膜特性を変えることが可能な蒸発源を提供するこ
とができる。
【0121】また、この発明の請求項13によれば、ル
ツボを加熱するフィラメントをルツボの側部で上下に分
割し、分割されたフィラメントの間隔をあけてルツボ中
央部への加熱入力を減らしたため、ルツボ温度をより均
一にすることができ、すなわち局所的に高温になる部分
(特に中央部)がなくなるので装置からの脱ガスが低減
でき膜中の不純物を減少させることが可能な蒸発源を提
供することができる。
【0122】また、この発明の請求項14によれば、ル
ツボを多重構造にし、蒸着材料として金属蒸着材料を用
いる場合は、内側のルツボ材料をパイロレイテック窒化
ホウ素とし、外側のルツボ材料を導体としたため、化学
的に活性な例えばアルミニウム、シリコン、チタン等の
溶融金属は、化学的に安定なパイロレイテック窒化ホウ
素(以下PBNという)と接触しても化学反応が生じず
高純度の成膜が可能な蒸発源を提供することができる。
【0123】また、この発明の請求項15によれば、電
子ビームを照射するフィラメントとルツボとの間にグリ
ッド電極を設け、グリッド電極にフィラメントに対して
正電位にバイアスするよう電圧を印加したので、低電圧
で大きな電流を蒸着材料に入射できるため小型の電源装
置での稼働が可能となり、又、電子エネルギーを小さく
できるためビームの収束が容易となり蒸着材料の一部を
局所的に加熱溶融させることができ高純度の成膜が可能
な蒸発源を提供することができる。
【0124】また、この発明の請求項16によれば、ル
ツボの外周部上方の内側にグリッド電極ならびにその外
側に電子ビームを照射するフィラメントをそれぞれ設
け、このグリッド電極にフィラメントに対して正電位に
バイアスするよう電圧を印加したので、低電圧で大きな
電流を蒸着材料に入射できるため小型の電源装置での稼
働が可能となり、又、電子エネルギーを小さくできるた
めビームの収束が容易となり蒸着材料の一部を局所的に
加熱溶融させることができ高純度の成膜が可能な蒸発源
を提供することができる。
【0125】また、この発明の請求項17によれば、ル
ツボの外周部同一平面内にグリッド電極を設けるととも
にこのグリッド電極の下方に電子ビームを照射するフィ
ラメントをそれぞれ設け、このグリッド電極にフィラメ
ントに対して正電位にバイアスするよう電圧を印加した
ので、低電圧で大きな電流を蒸着材料に入射できるため
小型の電源装置での稼働が可能となり、又、電子エネル
ギーを小さくできるためビームの収束が容易となり蒸着
材料の一部を局所的に加熱溶融させることができるのは
勿論のこと、蒸気の発生方向に蒸気ビームを遮るものを
皆無にできるため、蒸着材料が他の部品に付着しその部
品から成膜中にダストが発生するといったことも無くな
り、さらに高純度の成膜が可能な蒸発源を提供すること
ができる。
【0126】また、この発明の請求項18によれば、請
求項15ないし請求項17のいずれかにおいて、ルツボ
の電子ビームが入射される部分に中央部に穴が形成され
たアパーチャ電極を設け、このアパーチャ電極にフィラ
メントに対して同電位または負の電位にバイアスするよ
う電圧を印加したので、低電圧で大きな電流を蒸着材料
に入射できるため小型の電源装置での稼働が可能とな
り、又、電子エネルギーを小さくできることは勿論のこ
と電界レンズ効果のためビームの収束が容易且つ効果的
となり蒸着材料の一部を局所的に加熱溶融させることが
でき高純度の成膜が可能な蒸発源を提供することができ
る。
【0127】また、この発明の請求項19によれば、請
求項15ないし請求項18のいずれかにおいて、グリッ
ド電極およびフィラメントが設けられる雰囲気中に不活
性ガスを導入するようにしたので、雰囲気内のインピー
ダンスを低下させることができ、さらに低電圧で大きな
電流を蒸着材料に入射できるため小型の電源装置での稼
働が可能となり、又、電子エネルギーを小さくできるた
めビームの収束が容易となり蒸着材料の一部を局所的に
加熱溶融させることができ高純度の成膜が可能な蒸発源
を提供することができる。
【0128】また、この発明の請求項20によれば、ル
ツボの上部にグリッド電極を設けるとともにグリッド電
極の上方に電子ビームを照射するフィラメントをそれぞ
れ設け、このグリッド電極にフィラメントに対して正電
位にバイアスするよう電圧を印加したので、蒸着材料と
フィラメントとの間の距離を比較的短くでき、さらに低
電圧で大きな電流を蒸着材料に入射できるため小型の電
源装置での稼働が可能となり、又、電子エネルギーを小
さくできるためビームの収束が容易となり蒸着材料の一
部を局所的に加熱溶融させることができ高純度の成膜が
可能な蒸発源を提供することができる。
【0129】また、この発明の請求項21によれば、請
求項15ないし請求項20のいずれかにおいて、磁界を
垂直方向に印加して発生する磁束をルツボの中心部に集
中させるようにしたので、低電圧で大きな電流を蒸着材
料に入射できるため小型の電源装置での稼働が可能とな
り、又、電子エネルギーを小さくできるとともに磁束を
ルツボの中心部に集中させるようにしたためビームの収
束がさらに容易となり蒸着材料の一部を局所的に加熱溶
融させることができ高純度の成膜が可能な蒸発源を提供
することができる。
【0130】また、この発明の請求項22によれば、請
求項21において、ルツボの被蒸着部材を装着する基板
に対して正電位にバイアスするよう電圧を印加したの
で、低電圧で大きな電流を蒸着材料に入射できるため小
型の電源装置での稼働が可能となり、又、電子エネルギ
ーを小さくできるためビームの収束が容易となり蒸着材
料の一部を局所的に加熱溶融させることができ高純度の
成膜が可能であることは勿論のこと、電子ビームが蒸着
材料に入射して発生する高密度の金属プラズマ中のイオ
ンを加速して成膜することができるため、基板への付着
力が大きい高品質の成膜が可能な蒸発源を提供すること
ができる。
【0131】また、この発明の請求項23によれば、請
求項15ないし請求項22のいずれかにおいて、グリッ
ド電極およびフィラメントのうち少なくともグリッド電
極を蒸着材料と同じ高純度金属材料としたので、低電圧
で大きな電流を蒸着材料に入射できるため小型の電源装
置での稼働が可能となり、又、電子エネルギーを小さく
できるためビームの収束が容易となり蒸着材料の一部を
局所的に加熱溶融させることができるとともに、不純物
の発生を低減することができ更に高純度の成膜が可能な
蒸発源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す断面側面図である。
【図2】本発明の実施例2を示す断面側面図である。
【図3】本発明の実施例3を示す断面側面図である。
【図4】本発明の実施例4を示す断面側面図である。
【図5】本発明の実施例5を示す断面側面図である。
【図6】本発明の実施例6を示す断面側面図である。
【図7】本発明の実施例7を示す断面側面図である。
【図8】本発明の実施例8を示す断面側面図である。
【図9】本発明の実施例9を示す断面側面図である。
【図10】本発明の実施例10を示す断面側面図であ
る。
【図11】本発明の実施例11を示す断面側面図であ
る。
【図12】本発明の実施例12を示す断面側面図であ
る。
【図13】本発明の実施例13を示す断面側面図であ
る。
【図14】実施例13の変形例を示す断面側面図であ
る。
【図15】本発明の実施例14を示す断面側面図であ
る。
【図16】実施例14の変形例を示す断面側面図であ
る。
【図17】本発明の実施例15を示す断面側面図であ
る。
【図18】本発明の実施例16を示す断面側面図であ
る。
【図19】ルツボの一実施例を示す断面側面図である。
【図20】ルツボの他の実施例を示す断面側面図であ
る。
【図21】ルツボの他の実施例を示す断面側面図であ
る。
【図22】本発明の実施例17を示す断面側面図であ
る。
【図23】実施例17の変形例を示す断面側面図であ
る。
【図24】本発明の実施例18として成膜装置を示す断
面側面図である。
【図25】従来の成膜装置を示す断面側面図である。
【図26】従来の成膜装置を示す断面側面図である。
【図27】実施例18の変形例を示す断面側面図であ
る。
【図28】本発明の実施例19を示す断面図である。
【図29】本発明の実施例20を示す断面図である。
【図30】本発明の実施例22を示す断面図である。
【図31】本発明の実施例23を示す断面図である。
【図32】本発明の実施例24を示す断面図である。
【図33】本発明の実施例25を示す断面図である。
【図34】従来の電子ビーム加熱型蒸発源を示す断面図
である。
【図35】従来のルツボ型蒸発源を示す断面図である。
【符号の説明】
100 電子ビーム加熱型蒸発源 110 ルツボ 111 外ルツボ 112 内ルツボ 120、121、122、126、193、202、205、208 フィラメント 125 アノード 127、211 磁界印加手段 130 蒸着材料 140、212 基板 150 冷却手段 151 導体部 152 延長部 153 絶縁セラミック 154 フランジ 160、161 電極 170、171、172 磁界印加手段(コイル) 181、182 磁界印加手段(磁石) 183 磁性体 192、201、204、207 グリッド電極 194 電源 195〜197 直流電源 198、203、206、209 電界シールド板 199 アパーチャ電極 210 ガス導入手段 300 ルツボ型蒸発源 310 ルツボ 311 外ルツボ 312 内ルツボ 321、322 フィラメント 330 イオン化フィラメント

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空中でルツボに充填された蒸着材料に
    電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源にお
    いて、上記ルツボを多重構造とし、内側のルツボ材料を
    上記蒸着材料と同じ金属としたことを特徴とする蒸発
    源。
  2. 【請求項2】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材料
    の電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源に
    おいて、上記ルツボを多重構造とし、外側のルツボに熱
    伝導促進部材を設けたことを特徴とする蒸発源。
  3. 【請求項3】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材料
    に電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源に
    おいて、上記ルツボを多重構造として、外側のルツボに
    導体部を設けると共に、上記導体部を上記真空槽の外部
    に延長し、上記導体部に正のバイアス電圧を印加するこ
    とを特徴とする蒸発源。
  4. 【請求項4】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材料
    に電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源に
    おいて、上記電子ビームを照射するフィラメントを上記
    ルツボの中央部上方に設けて電子ビームを上記蒸着材料
    に直接照射することを特徴とする蒸発源。
  5. 【請求項5】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材料
    に電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源に
    おいて、上記電子ビームを照射するフィラメントを上記
    ルツボの中央部上方に設け、上記ルツボと上記フィラメ
    ント間に一対の電極を設けて上記電子ビームを収束させ
    て上記蒸着材料に直接照射することを特徴とする蒸発
    源。
  6. 【請求項6】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材料
    に電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源に
    おいて、上記電子ビームを照射するフィラメントを上記
    ルツボの周辺部上方に設けるとともに、上記フィラメン
    トから照射された電子ビームを収束させて上記蒸着材料
    に直接照射する電子収束手段を設けたことを特徴とする
    蒸発源。
  7. 【請求項7】 上記電子収束手段は上記ルツボと上記フ
    ィラメント間に設けられた一対の電極であることを特徴
    とする請求項6の蒸発源。
  8. 【請求項8】 上記電子収束手段は上記ルツボの周囲に
    設けられた磁界印加手段であることを特徴とする請求項
    6の蒸発源。
  9. 【請求項9】 上記磁界印加手段は上記フィラメントの
    位置近傍から上記ルツボの中心部に磁束を集中させるよ
    う配置されたコイルであることを特徴とする請求項8の
    蒸発源。
  10. 【請求項10】 上記磁界印加手段は上記フィラメント
    の位置近傍から上記ルツボの中心部に磁束を集中させる
    よう配置された永久磁石であることを特徴とする請求項
    8の蒸発源。
  11. 【請求項11】 上記磁界印加手段は上記ルツボの中央
    部下方から上記ルツボの側部を迂回して上記フィラメン
    ト近傍まで設けられ、上記フィラメントの位置近傍から
    上記ルツボの中心部に磁束を集中させる磁気回路である
    ことを特徴とする請求項8の蒸発源。
  12. 【請求項12】 蒸気が噴出される上記ルツボ上方に上
    記蒸気を電離させるイオン化フィラメントを備え、上記
    イオン化フィラメントから放出される電子ビームを螺旋
    運動させて蒸気中でプラズマを形成させる磁界発生手段
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項11のい
    ずれかの蒸発源。
  13. 【請求項13】 真空中で蒸着材料が充填されたルツボ
    の側部に設けられ、上記ルツボを加熱するフィラメント
    を備えた蒸発源において、上記フィラメントを上記ルツ
    ボの側部で上下に分割し、分割された上記フィラメント
    の間隔をあけて上記ルツボ中央部への加熱入力を減らし
    たことを特徴とする蒸発源。
  14. 【請求項14】 真空中で蒸着材料が充填されたルツボ
    を加熱するフィラメントを備えた蒸発源において、上記
    ルツボを多重構造とし、上記蒸着材料として金属蒸着材
    料を用いる場合は、内側のルツボ材料をパイロレイテッ
    ク窒化ホウ素とし、外側のルツボ材料を導体としたこと
    を特徴とする蒸発源。
  15. 【請求項15】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材
    料に電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源
    において、上記電子ビームを照射するフィラメントと上
    記ルツボとの間にグリッド電極を設け、上記グリッド電
    極に上記フィラメントに対して正電位にバイアスするよ
    う電圧を印加したことを特徴とする蒸発源。
  16. 【請求項16】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材
    料に電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源
    において、上記ルツボの外周部上方の内側にグリッド電
    極ならびにその外側に上記電子ビームを照射するフィラ
    メントをそれぞれ設け、上記グリッド電極に上記フィラ
    メントに対して正電位にバイアスするよう電圧を印加し
    たことを特徴とする蒸発源。
  17. 【請求項17】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材
    料に電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源
    において、上記ルツボの外周部同一平面内にグリッド電
    極を設けるとともに上記グリッド電極の下方に上記電子
    ビームを照射するフィラメントをそれぞれ設け、上記グ
    リッド電極に上記フィラメントに対して正電位にバイア
    スするよう電圧を印加したことを特徴とする蒸発源。
  18. 【請求項18】 ルツボの電子ビームが入射される部分
    に中央部に穴が形成されたアパーチャ電極を設け、上記
    アパーチャ電極にフィラメントに対して同電位または負
    の電位にバイアスするよう電圧を印加したことを特徴と
    する請求項15ないし請求項17のいずれかに記載の蒸
    発源。
  19. 【請求項19】 グリッド電極およびフィラメントが設
    けられる雰囲気中に不活性ガスを導入するようにしたこ
    とを特徴とする請求項15ないし請求項18のいずれか
    に記載の蒸発源。
  20. 【請求項20】 真空槽内でルツボに充填された蒸着材
    料に電子ビームを照射して加熱する手段を備えた蒸発源
    において、上記ルツボの上部にグリッド電極を設けると
    ともに上記グリッド電極の上方に上記電子ビームを照射
    するフィラメントをそれぞれ設け、上記グリッド電極に
    上記フィラメントに対して正電位にバイアスするよう電
    圧を印加したことを特徴とする蒸発源。
  21. 【請求項21】 磁界を垂直方向に印加して発生する磁
    束をルツボの中心部に集中させるようにしたことを特徴
    とする請求項15ないし請求項20のいずれかに記載の
    蒸発源。
  22. 【請求項22】 ルツボの被蒸着部材を装着する基板に
    対して正電位にバイアスするよう電圧を印加したことを
    特徴とする請求項21記載の蒸発源。
  23. 【請求項23】 グリッド電極およびフィラメントのう
    ち少なくともグリッド電極を蒸着材料と同じ高純度金属
    材料としたことを特徴とする請求項15ないし請求項2
    2記載の蒸発源。
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