JPH08225927A - 蒸発物るつぼ - Google Patents

蒸発物るつぼ

Info

Publication number
JPH08225927A
JPH08225927A JP7033290A JP3329095A JPH08225927A JP H08225927 A JPH08225927 A JP H08225927A JP 7033290 A JP7033290 A JP 7033290A JP 3329095 A JP3329095 A JP 3329095A JP H08225927 A JPH08225927 A JP H08225927A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crucible
evaporation
plasma
evaporated
recess
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7033290A
Other languages
English (en)
Inventor
Makiko Ooyamaguchi
まき子 大山口
Koichi Sasagawa
孝市 笹川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP7033290A priority Critical patent/JPH08225927A/ja
Publication of JPH08225927A publication Critical patent/JPH08225927A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の蒸発物るつぼを用いたイオンプレーテ
ィング装置で、薄膜を成膜した場合、スプラッシュが発
生し、成膜した膜に欠陥が生じてしまうという問題が起
こった。また、スプラッシュが発生することによって、
他の凹部に蒸発物が混入してしまうという問題があっ
た。よって、本発明では、スプラッシュの発生を抑える
蒸発物るつぼを得ることを目的とする。 【構成】 本発明は、平板に蒸発物質が載置できるよう
凹部を形成した蒸発物るつぼにおいて、その凹部の周縁
部に突起した堤部を有した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜形成に用いる真空
蒸着法、特にイオンプレーティング法に関して有用な蒸
発物るつぼに関する。
【0002】
【従来の技術】真空蒸着法については、いろいろな方法
がある。例えば、真空中に抵抗加熱によって蒸発物質を
加熱し、溶融・蒸発させる方法。蒸発物質の加熱方法
に、電子ビームを用いる方法。また、他にはイオン照射
により蒸発物質を溶融・蒸発させるイオンプレーティン
グ法などがある。
【0003】ところで、イオンプレーティング法は何種
類かあり、その一つとして、イオンの照射により蒸発物
質を溶融蒸発させ、更に、蒸発物質を基板へ付着させる
際に、そのイオンによるイオン作用を用いて薄膜を形成
する方法がある。イオンプレーティング法は、他の真空
蒸着法に比べて、耐食性、絶縁性、基板への付着性が向
上するほか、堆積密度の高密度化が可能となるなど、利
点を有している。
【0004】最近のイオンプレーティング装置では、陰
極と陽極の間に中間電極が設けられている。そして、陰
極が設置された領域の圧力を1Torr程度にし、陽極
が設置された空間の領域の圧力を10-3Torr程度に
設定してイオンプレーティングを行う圧力勾配型プラズ
マ生成装置が提案されている。この圧力勾配型プラズマ
生成装置は、次に挙げる利点を有している。(イ)イオ
ンが陽極側から陰極側に逆流して陰極を損傷する恐れが
少ない。(ロ)大電流で放電することができる。
【0005】また、更に陰極部を熱容量の小さい補助陰
極と六フッ化ランタン(LaB6 )からなる主陰極とで
陰極部を構成した複合陰極型プラズマ生成装置も提案さ
れている。この様にすることで大電流のイオンの放出が
可能となる。そして、この圧力勾配型プラズマ生成装置
と複合陰極型プラズマ生成装置を組み合わせたプラズマ
生成装置も現在開発されている。このプラズマ生成装置
を取り付けたイオンプレーティング装置の例として、
「URイオンプレーティング装置」がある(特開昭58
−73770号記載)。
【0006】ところで、上述の真空蒸着法では、蒸発物
を載置し、そして蒸発物を溶融・蒸発させるための蒸発
物るつぼが必要となる。この様なイオンプレーティング
装置は、イオンプレーティング装置に組み込まれている
プラズマ生成装置を陰極側として用い、そして、蒸発物
るつぼ側を陽極側として用いる。この様にすることで、
生成されたプラズマが陽極である蒸発物るつぼに照射さ
れ、そのプラズマのエネルギーによって蒸発物るつぼ内
にある蒸発物が溶融される。イオンプレーティング装置
に用いられる蒸発物るつぼは、プラズマ生成時における
陽極側の役割を果たすため、導電性材料で作られてい
る。その一例を図5に示す。この図5は、従来のイオン
プレーティング装置に用いられた蒸発物るつぼの一例で
ある。この蒸発物るつぼ62は、るつぼ支持部材63上
に設けられ、るつぼ支持部材63を介して、真空容器6
5に固定されている。この蒸発物るつぼ62は、円盤上
の形状をしており、無酸素銅でできている。この蒸発物
るつぼ62は、2つの凹部を有している。この2つの凹
部62a、62bは、それぞれ異なった物質である蒸発
物を載置するためにある。また、この蒸発物るつぼ62
の上部には、扇型に切り欠きがある蒸発源カバー61が
ある。また、蒸発源カバー61の切り欠きの下部にはプ
ラズマ収束用永久磁石66がある。また、蒸発物るつぼ
62は、るつぼ支持部材63によって支持され、蒸発物
るつぼ62の内部とるつぼ支持部材63の内部には、冷
却水導管64が設けられている。
【0007】また、この蒸発物るつぼを用いたイオンプ
レーティング装置では、蒸発物るつぼのいずれか一つの
凹部の真下にプラズマ収束用永久磁石が設けられ、ある
凹部だけにプラズマが照射されるので、その凹部にある
蒸発物のみを溶融・蒸発させることができる。この様に
従来では、平板に凹部を形成し、その凹部に蒸発物を載
置するという手段が取られていた。
【0008】
【発明が解決しようする課題】上述のような蒸発物るつ
ぼを用いたイオンプレーティング装置で、薄膜を成膜し
た場合、スプラッシュが発生し、成膜した膜に欠陥が生
じてしまうという問題が起こった。また、スプラッシュ
が発生することによって、他の凹部に蒸発物が混入して
しまうという問題があった。
【0009】よって、本発明では、スプラッシュの発生
を抑える蒸発物るつぼを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、平板に蒸発物質が載置できるよう凹部を
形成した蒸発物るつぼにおいて、その凹部の周縁部に突
起した堤部を有した(請求項1の発明)。また、前記凹
部の外周に溝を設けることで、堤部を形成することが好
ましい(請求項2記載の発明)。また、更に突起した堤
部の頂上は、前記凹部側からみて、外側に向かって下る
よう傾斜している形状とすることが好ましい(請求項3
記載の発明)。
【0011】また、本発明では、平板に蒸発物質を載置
できるよう凹部を形成した蒸発物るつぼにおいて、その
凹部内に設けられるインナーハースであって、インナー
ハースの側面が凹部から突出できる高さを有した(請求
項4記載の発明)。また、更にそのインナーハースは、
ホウ化チタンからなることが好ましい(請求項5記載の
発明)。また、更に、インナーハースの縁は、外側に向
かって下るよう傾斜している形状を有していることが好
ましい。
【0012】以上の構成により上述の問題点を解決する
ことを見いだし、本発明を成すに至った。
【0013】
【作用】本発明者らは、成膜時にスプラッシュが発生す
る原因を調べ、次のとおりに見いだした。成膜時には、
イオンプレーティング装置では、プラズマを発生させ、
そのプラズマを蒸発物るつぼに照射させて、そのプラズ
マのエネルギーで蒸発物を溶融・蒸発させて成膜させて
いる。また、この時には、蒸発物るつぼが過度に加熱さ
れないよう、蒸発物るつぼに冷却手段を有している。こ
の冷却手段によって、プラズマが照射されていない蒸発
物るつぼは、十分に冷却されている。
【0014】ところで、蒸発物を溶融・蒸発させると
き、溶融した蒸発物が完全に溶融しきれず、蒸発物が凹
部を飛び出し、蒸発物が載置されている凹部の周縁に付
着して再び固体となる。そして、完全に溶融せず凹部の
周縁に付着した蒸発物が、再び溶融した蒸発物内に飛び
込むことがある。この蒸発物が溶融した蒸発物が存在し
ている蒸発物るつぼの凹部に混入した時、スプラッシュ
が発生する。
【0015】よって、この様な凹部の周縁に付着した固
体物質が、少量づつ混入することで、凹部内で突沸に近
い状態が発生してしまう。スプラッシュが発生してしま
うと、溶融した蒸発物が完全に原子イオン、ラジカルま
たは分子の状態で蒸発せずに、ある程度まとまった蒸発
物が、あらゆる方向へ飛び散る。その中には基板の方向
へ飛散するものがある。スプラッシュによって基板の方
向へ飛散した蒸発物は、基板に付着してしまう。この様
に基板に付着した蒸発物は、薄膜としてはゴミと同様な
状態で付着してしまう。よって、スプラッシュが生じた
時に成膜した光学薄膜は、見た目にも欠陥が解るような
外観不良が発生してしまうという欠陥が生じてしまう。
【0016】以上のことから、本発明者らは、蒸発物の
溶融・蒸発時に、蒸発物が載置されている凹部から飛び
出した蒸発物が、再び凹部に入り込まないようにするた
め、蒸発物るつぼの凹部の周縁部に突堤を設けた。この
突堤は、周縁部に設けるほかに、突堤が設けられるよ
う、その周りに溝を設けることで構わない。蒸発物るつ
ぼの突堤を設けることによって、一旦、蒸発物るつぼの
凹部に付着した蒸発物が再び溶融した蒸発物に混入する
ことを阻止した。
【0017】また、蒸発物るつぼの凹部にインナーハー
スを設け、そのインナーハースの側面の寸法を蒸発物る
つぼの凹部よりも高くすることで、突堤としても構わな
い。また、更に突堤の最上部を凹部から外側に傾斜させ
ることによって、突堤の最上部に付着してしまった付着
物が再び蒸発物るつぼの凹部に混入することを阻止し
た。この様にすることで、更にスプラッシュの発生を抑
えることができる。また、先に述べた凹部の深さより側
面が高いインナーハースの突堤の上部を凹部から外側に
傾斜させることでも、更にスプラッシュの発生を抑える
ことができる。
【0018】以上に述べた作用は、蒸発物と反応ガスと
を反応させながら成膜するイオンプレーティング装置に
おいて、更なる効果を発揮することができる。蒸発物と
反応ガスと反応して生成される物質は、蒸発物と比べて
一般的に融点が高くなる傾向がある。反応ガスを導入し
て薄膜を成膜する様な場合、蒸発物が凹部の周辺に付着
すると、そのときに蒸発物は反応ガスと反応する。蒸発
物が反応ガスと反応した結果、更に融点の高い物質が生
成される。これが再び凹部に混入すると、融点の違いに
よって、更に大きなスプラッシュが発生してしまう。
【0019】特に、蒸発物が純な金属物質で、反応ガス
として窒素ガス(N2 ガス)や酸素ガス(O2 ガス)が
用いられることが多い。純な金属物質と、反応ガスと化
合した窒化物や酸化物の融点の違いは、かなり大きな違
いがある。よって、かなり大規模なスプラッシュが発生
する。そして、成膜した薄膜に、大規模にゴミが付着さ
れてしまい、目的に応じた薄膜が得られ難くなる。
【0020】この様な場合に、先に述べた構成の蒸発物
るつぼを用いれば、スプラッシュの発生を防ぐことがで
き、この蒸発物るつぼを用いたイオンプレーティング装
置で成膜した薄膜は、欠陥の少ない薄膜となる。また、
本発明の突堤の先端に、凹部から外側へ下がるように傾
斜をつけると、突堤の先端に付着物が付きにくくなる。
特に反応ガスを導入しながら成膜する場合、付着物が表
面に付くことにより、絶縁物が形成され、プラズマが飛
びにくくなる。しかし、突堤の先端を傾斜させること
で、絶縁物の形成があまり進行しないのでプラズマがこ
の突堤に届きやすくなる。よって、付着物によるプラズ
マが届きにくくなり、他の導電性の良い部分にプラズマ
が流れ込むようなプラズマの発散を抑制することができ
る。
【0021】次に本発明を実施例によって、更に詳しく
説明するが、本発明はここに挙げられた実施例に限られ
るものではない。
【0022】
【実施例】
(実施例1)図1は、本発明を一実施例である蒸着物る
つぼを用いたアーク放電型イオンプレーティング装置
(以下、イオンプレーティング装置)の概略断面図であ
る。このイオンプレーティング装置に用いた蒸発物るつ
ぼの概略図を、図2に示す。
【0023】ところで、このイオンプレーティング装置
は、蒸着して成膜するときに、所望の圧力に制御できる
真空容器6内に、次に挙げる部材が設けられている。蒸
発物が載置できる複数の凹部を有した本発明に係る蒸発
物るつぼ19、一部分に扇型の形状の切り欠きを有した
蒸発源カバー20、蒸発物るつぼ19を保持固定し、回
転可能なるつぼ保持部材7、蒸発物るつぼ19の真下
で、かつ蒸発源カバー20の切り欠きの真下に設置され
たプラズマ収束用永久磁石8、蒸発した物質が成膜され
る基板12を支持する回転可能な基板ホルダー18、基
板12上に成膜された薄膜の膜厚を測定するための膜厚
モニター17、蒸発物るつぼ19の蒸発物から蒸発した
物質が基板12に到達するのを防ぐシャッター15のこ
れらの部材が設けられている。
【0024】また、真空容器6の側壁には、蒸発物るつ
ぼ19内に載置された蒸発物を加熱するため、及び真空
容器6内にプラズマ雰囲気13を形成するプラズマを生
成するためのプラズマ生成装置(電子銃)50と、プラ
ズマ生成装置50により生成されたプラズマ雰囲気13
を制御する空芯コイル14とを有し、また、真空容器6
内の気体を排気する排気口9、真空容器6内に反応ガス
を供給するための反応ガス供給口10を設けている。更
に蒸発物るつぼ19内部には、図2(a)で示すように
蒸発物るつぼ19を冷却するための冷却水導管22が設
けられている。また、真空容器6の外部にはプラズマ生
成装置50と蒸発物るつぼ19との間で電圧を掛け、プ
ラズマを発生させるための主放電電源5、基板と蒸発物
るつぼ19の間でバイアス電圧を掛けるためのバイアス
電源11を設けている。
【0025】排気口9の排気先には、トラップを備えた
油拡散ポンプと油回転ポンプ、補助ポンプ、粗引きバル
ブ(図示せず)およびメインバルブ16等の排気装置を
備えている。実施例1での真空容器6は、ステンレス製
(SUS304)で出来ている。蒸発物るつぼ19は、
無酸素銅で出来ている。また、この蒸発物るつぼ19
は、プラズマ生成装置50に対してプラスの電位を有し
ており、プラズマ生成装置50の陽極を兼ねている。プ
ラズマ生成装置50で生成されたプラズマは、蒸発物る
つぼに照射され、蒸発物るつぼ19に設けられた蒸発物
を溶融・蒸発させる。また、蒸発物るつぼ19と基板1
2との間にはバイアス電源11によりバイアス電圧が印
加されている。蒸発物るつぼ19は、基板12に対して
プラスの電位を有している。ところで、このバイアス電
源11は、設けなくとも、基板12に成膜できるので、
必ずしも必要ではない。
【0026】るつぼ保持部材7は、絶縁物質で出来てお
り、蒸発物るつぼ19と機械的に一体になっている。る
つぼ保持部材7は、モーター等の図示していない回転駆
動部材により回転することができる。そして、るつぼ保
持部材7が回転することにより、同時に蒸発物るつぼ1
9も回転する。このるつぼ保持部材7には、蒸発物るつ
ぼ19と主放電電源5およびバイアス電源11とが導通
するよう導線が設けられている。また、るつぼ保持部材
7は冷却水導管22を有している。これによって、るつ
ぼ保持部材7および蒸発物るつぼ19を冷却している。
【0027】プラズマ生成装置50は、「真空第25号
第10巻」に記載されているような複合陰極を用いた圧
力勾配型プラズマ生成装置を使用した。このプラズマ生
成装置50は、主にガス導入口1と、ガス導入口1の周
りに配置された陰極部2と、環状の永久磁石を内蔵した
第1の中間電極3と、空芯コイルを内蔵した第2の中間
電極4で構成されている。この陰極部2と蒸発物るつぼ
19との間に中間電極3、4を配置することで、プラズ
マ生成装置50と真空容器6内とを、陰極側と陽極側と
に分けられる。このプラズマ生成装置50によるプラズ
マ生成の機構は、次の通りである。ガス導入口1からア
ルゴンガスをプラズマ生成装置50へ導入し、プラズマ
生成室51の圧力を1Torr程度にさせる。一方、蒸
発物るつぼ19とるつぼ保持部材7の近傍は、排気口9
にある排気装置により10-1〜10-4Torr程度の希
望の圧力に制御する。この様に陰極側の圧力を陽極側の
圧力より高い圧力にする。この状態で、主放電電源5に
よって直流電圧を印加する。そして、プラズマ生成装置
50と蒸発物るつぼ19との間に放電が発生する。この
放電によって電子を含むプラズマがプラズマ生成室51
で生成され、中間電極3や中間電極4及び空芯コイル1
4の磁場によって、真空容器6内にプラズマが引き出さ
れる。そして、引き出されたプラズマは、プラズマ収束
用永久磁石8によって、プラズマが90゜に曲げられ、
蒸発物るつぼ19に到達する。よって、真空容器6内で
は図1の点線のようにプラズマ雰囲気13が形成され
る。
【0028】この様に、成膜が行われる真空容器6内を
高真空(低圧力)に保ちながら、プラズマを生成する箇
所を低真空(高圧力)にできるため、プラズマ生成のた
めに安定した放電を行うことが出来る。また、真空容器
6とプラズマ生成室51との圧力差により、陰極部2に
対するイオンの逆流が発生せず、イオンの衝突による陰
極の損傷を防止できる。また、他に、このプラズマ生成
装置50の特徴として、陰極からの熱電子放出が低下し
にくく、陰極の寿命が長くなる。大電流の放電が可能と
なるなどの利点を有する。更に、真空容器6内に反応ガ
スを導入しても反応ガスがプラズマ生成室51に入り込
む恐れが無いという特徴がある。
【0029】次に、他の部材について説明する。膜厚モ
ニター17は、水晶振動子からなっており、常時、成膜
レートや膜厚を監視できる。反応ガス供給口10は、そ
の供給口に反応ガス供給手段(図示せず)が接続されて
いる。
【0030】次に、蒸発物るつぼ19について説明す
る。この蒸発物るつぼ19の概略断面図を図2(a)に
示した。また、蒸発物るつぼ19を上方から見た図を図
2(b)に示した。蒸発物るつぼ19は、蒸発物23
a、23bを載置する凹部19a、19bの2つの凹部
を有している。これら2つの凹部には、それぞれ異なっ
た物質を入れられるようになっている。これらの凹部の
周縁には突堤21を有しており、突堤21の頂上部は、
凹部から外側へ下がるよう傾斜させた。
【0031】また、蒸発物るつぼ19が回転し、プラズ
マ収束用永久磁石の真上に移動した時に、突堤21の高
さが、プラズマ生成装置50に近い方が低く、またプラ
ズマ生成装置50から遠い方が高くなるよう設けてい
る。また、蒸発物るつぼ19の上には、蒸発源カバー2
0が設けられており、この蒸発源カバー20は、図2
(b)の様に、扇型の切り欠きがある。この蒸発源カバ
ー20と突堤21との間隔は、大体1〜2mm程度とし
た。この間隔があまり大きく開いていると、蒸発物に対
してプラズマ照射時、その衝撃によって、他の凹部に混
入してしまう恐れがあるためである。
【0032】この様にした蒸発物るつぼ19に蒸発物を
載置する場合は、図2の様に蒸発物23a、23bを凹
部19a、19bから溢れない程度まで載置する。そし
て、蒸発物23aを蒸発させる時は、凹部19aを蒸発
源カバー20の切り欠きの真下まで蒸発物るつぼ19を
回転させる。そして、プラズマを発生させて凹部19a
にプラズマを照射し、蒸発物23aを溶融・蒸発させ
る。蒸発物23aが基板12に所望の膜厚まで成膜出来
たら、次に、蒸発物るつぼ19を回転させて、凹部19
bが蒸発源カバー20の切り欠きの真下まで移動させ
る。そして、同様にプラズマを凹部19bに照射して、
蒸発物23bを溶融・蒸発させる。この様な動作を繰り
返し行うことにより、所望の多層膜が得られる。
【0033】次に、酸化アルミニウム(Al23)と酸
化ケイ素(SiO2 )の多層膜を例とし、実施例1にお
けるイオンプレーティング装置による製造(成膜)方法
について説明する。まず、光学研磨した基板12を基板
ホルダ18に取り付ける。そして、蒸発物るつぼ19の
凹部19aに、アルミニウム(Al)である蒸発物23
aを、19bにはシリコン(Si)である蒸発物23b
を載置する。
【0034】その後、メインバルブ16の開度を調整し
ながら排気口9にある排気装置によって、真空容器6内
の圧力が1×10-6Torrになるように設定する。そ
して、るつぼ保持部材7の回転駆動部材であるモータを
駆動して、蒸発物23aが載置された蒸発るつぼ19の
凹部19aを蒸発源カバー20の切り欠きの下部に位置
するように所定量回転させる。
【0035】その後、プラズマ生成装置50において、
ガス導入口1からの放電ガスであるArガスを導入す
る。その結果、プラズマ生成室51の圧力(ガス圧)は
約1Torr程度に維持される。また、排気口9にある
排気装置により、真空容器6内の蒸発るつぼ19の近傍
領域の圧力が約2×10-3Torrとなるように設定す
る。その後に、主放電電源5によりプラズマ生成室51
と蒸発物るつぼ19との間に約600Vの直流電圧を印
加する。
【0036】生成されたプラズマは、第1の中間電極
3、第2の中間電極4及び空芯コイル14によりプラズ
マ生成室51から真空容器6内に引き出され、そして、
プラズマが円柱状に収束され、図1の点線で示したプラ
ズマ雰囲気13として、真空容器6内に導かれる。真空
容器6内に導かれたプラズマ雰囲気13は、るつぼ保持
部材7近傍に設置されたプラズマ収束用永久磁石8の磁
場によって進路を変えられ、蒸発源カバー20の切り欠
きを通り抜けて、蒸発物るつぼ19の一つの凹部19a
に達する。そして、この凹部19a内に載置された蒸発
物23aであるアルミニウムを溶融・蒸発させる。
【0037】蒸発物るつぼ19の蒸発物が蒸発した時
は、真空容器6内の圧力が5×10-4Torrとなるよ
うに排気口9の排気装置やメインバルブ16の開口度を
制御しておく。一方、反応ガス供給手段によって、反応
ガス供給口10から酸素ガス(O2 )を所望の流量(本
実施例では、85cc/min)で容器6内に導入す
る。
【0038】なお、この時、反応ガスの導入後も容器6
内の圧力が5×10-4Torrに維持されるようにメイ
ンバルブ16の開口度や排気装置を調整した。蒸発した
物質(アルミニウム)および反応ガス(酸素ガス)はプ
ラズマ雰囲気13中を通ることによりイオン化される。
イオン化された蒸発した蒸着物および反応ガスは、バイ
アス電源11により蒸発物るつぼ19に対し負の電位に
保たれた基板12上に到達する。その結果、この基板1
2表面には薄膜状の酸化アルミニウム(Al23)が形
成される。
【0039】なお、薄膜の形成中は、膜厚モニタ17に
よって薄膜の膜厚と成膜レート(蒸発速度)を測定しな
がら、シャッター15を開閉を行った。この様にして多
層膜の一層分が基板12上に形成される。この酸化アル
ミニウムからなる層が十分に形成できたら、次に、酸化
ケイ素(SiO2 )の層を形成する作業を行なった。こ
のときは、シャッタ15を閉じると共に、るつぼ保持部
材7の回転駆動装置であるモータを駆動して、蒸発物2
3bが載置された凹部19bを蒸発源カバー20の切り
欠きの下部に位置するように所定量回転させる。
【0040】その後の工程は、酸化アルミニウムを成膜
した時と同じ工程を行う。以上のようにして、蒸発物る
つぼ19に載置したアルミニウムとシリコンを交互に溶
融・蒸発させて、基板12上に酸化アルミニウムからな
る層と酸化珪素からなる層の多層膜を作製した。以上の
成膜条件を以下に示す。
【0041】 真空容器内の到達圧力(真空度) :1×10-6Torr 成膜時の真空容器内の圧力(真空度):5×10-4Torr 反応ガス(O2 )流量 :85cc/min 蒸着源 :アルミニウム(Al) 及びケイ素(Si) 成膜速度 :0.2〜0.3nm/sec 基板温度 :80℃以下 以上のような工程を行って、酸化アルミニウムと酸化ケ
イ素の薄膜を交互に6層づつ成膜した。各層の膜厚は、
使用する光の波長とλとしたとき、λ/4となるように
成膜した。
【0042】次に、比較例として、図5で示す従来の蒸
発物るつぼで実施例1と同様の酸化ケイ素と酸化アルミ
ニウムとの多層膜を製造し、それぞれを比較してみる。
比較例として製造した多層膜については、上述の工程で
製造した。従来の蒸発物るつぼ62を使用して成膜した
場合は、成膜中に凹部の周縁に付着物がつき、成膜が進
行して行くにつれ、その付着物が凹部内へ混入しスプラ
ッシュの発生が確認された。また、成膜された膜につい
ては多数のコンタミが確認された。
【0043】また、プラズマを発生させて蒸発物を溶融
・蒸発させる際、チタンでは80Aの電流が必要であ
り、ケイ素では60Aの電流が必要であった。ところ
で、実施例1で成膜した場合は、付着物が凹部に混入し
スプラッシュが発生する現象が起こらなかった。また、
成膜された膜については、コンタミがほとんど確認され
なかった。
【0044】また、実施例1では、チタンは50Aの電
流で溶融する事が出来、また、ケイ素では50Aの電流
で溶融することが出来た。この様に、実施例1における
蒸発物るつぼ19を用いると良好な薄膜が成膜する事が
でき、そして、印加するプラズマ電流が少なくてすむ。
スプラッシュが発生しない理由としては、凹部周辺に付
着した付着物が実施例1の蒸発物るつぼに設けられてい
る突堤によって、混入することが防げられたためであ
る。また、更に、突堤の上部を外側へ傾斜させたことに
よって、例え、突堤の上部に付着物が存在しても、決し
て凹部へは進入してゆけなくなるので、更に付着物の混
入を阻止することができる。
【0045】また、印加するプラズマ電流が少なくなる
という理由としては、突堤を設けることによって付着
物が凹部近傍に付着しにくくなり、プラズマが発散し憎
くなった。また、凹部上部に絶縁膜が形成されても、
突堤の側壁には絶縁膜はほとんど付着しない。このため
プラズマは、より電流が流れやすい側壁に照射される。
しかし、この絶縁膜が溶解及び昇華によって瞬時に無く
なるため、成膜時にはプラズマは所定の位置に照射され
ている。 (実施例2)次に実施例2について説明する。実施例2
は、蒸発物るつぼ30の凹部にインナーハースを設けた
ものである。蒸発物るつぼ30以外は、実施例1と同じ
ものである。ところで、この蒸発物るつぼ30の概略断
面図を図3(a)に、また、上方から見た図を図3
(b)に示した。この様に蒸発物るつぼ30は、2つの
凹部30a、30bを有している。そして、その凹部3
0a、30bの中にインナーハース31を設けた。この
インナーハース31の形状は、実施例1の突堤21と同
じ形状を有している。このインナーハース31は、導電
性の物質であるホウ化チタン(TiB2 )からなってお
り、蒸発物るつぼ30から着脱できるようになってい
る。
【0046】この様にすることで、実施例1で挙げられ
た、スプラッシュの発生の防止やプラズマ電流の低下の
実現の他に更に、蒸発物るつぼ30に付着物がついて
も、インナーハース31が蒸発物るつぼ30から取り外
しすることができるため、蒸発物るつぼ30の清掃が容
易になる。また、蒸発物るつぼ30の形状を変えなくと
も、蒸発物毎に最適な形状を有したインナーハースが用
意できるため、幅広い性膜条件で優れた膜質を得ること
が出来る。
【0047】また、インナーハースに用いる材料とし
て、ホウ化チタンを用いた理由としては、このホウ化チ
タンは、熱衝撃性に優れ、プラズマが照射されても、破
損しにくいという特徴を有している。インナーハースの
材質としては、ホウ化チタンの他に、カーボンや炭化ケ
イ素などが利用できる。 (実施例3)次に実施例3について説明する。実施例3
は、蒸発物るつぼ40の蒸発物を載置する凹部にインナ
ーハースを設けたものであり、また、その凹部の周縁に
溝を設けた構造となっている。蒸発物るつぼ40は、実
施例1と同じ無酸素銅で出来ており、インナーハース4
1は、実施例2と同じホウ化チタンで出来ている。実施
例3におけるイオンプレーティング装置は、蒸発物るつ
ぼ40以外、実施例1と同じものを用いた。ところで、
この蒸発物るつぼ40の概略断面図を図4に示した。こ
の様に蒸発物るつぼ40は、2つの蒸発物を載置する凹
部40a、40bを有した。また、この凹部40a、4
0bの内側には、インナーハース41を設けた。このイ
ンナーハースの材質は実施例2のインナーハース31と
同じものである。
【0048】ところで、本実施例の様に溝を設けること
によっても、蒸発物るつぼ40に付着した付着物が凹部
40a、40bに混入することを防ぐことができる。蒸
発物るつぼを図4の様な形状にしても、実施例1の蒸発
物るつぼと同様な効果が得られる。更に、実施例3の場
合、インナーハース41の上端を凹部から溝へと傾斜さ
せることによって、更に、スプラッシュの発生が抑える
ことが出来る。
【0049】ところで、実施例3は、蒸発物を載置する
凹部に、更にインナーハースが設けられているが、この
インナーハースを設けなくとも構わない。蒸発物を載置
する凹部40a及び凹部40bの周縁に溝が設けられて
いれば構わない。
【0050】
【発明の効果】以上の様に、本発明に依れば、蒸発物る
つぼの凹部の周縁に突堤を設けることにより、凹部から
飛び出し、その周辺に付着した付着物が再び凹部に混入
することが防げ、スプラッシュの発生が抑えられること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】:本発明にかかる蒸発物るつぼを用いたイオン
プレーティング装置の概略断面図である。
【図2】:本発明に係る実施例1の蒸発物るつぼの図面
であり、(a)は、その概略断面図である。また、
(b)は、上方から見たときの図である。
【図3】:本発明に係る実施例2の蒸発物るつぼの図面
であり、(a)は、その概略断面図である。また、
(b)は、上方から見たときの図である。
【図4】:本発明に係る実施例3の蒸発物るつぼの概略
断面図である。
【図5】:従来の蒸発物るつぼの図面であり。(a)は
その概略断面図である。また、(b)は、斜上方から見
たときの外観図である。
【符号の説明】
1 ガス導入口 2 陰極部 3 第1の中間電極 4 第2の中間電極 5 主放電電源 6 真空容器 7 るつぼ保持部材 8 プラズマ収束用永久磁石 9 排気口 10 反応ガス供給口 11 バイアス電源 12 基板 13 プラズマ雰囲気 14 空芯コイル 15 シャッタ 16 メインバルブ 17 膜厚モニタ 18 基板ホルダー 19 蒸発物るつぼ 20 蒸発源カバー 21 突堤 22 冷却水導管 23 蒸発物

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平板に蒸発物質が載置できるよう凹部を
    形成した蒸発物るつぼにおいて、 前記凹部の周縁部に突起した堤部を有したことを特徴と
    する蒸発物るつぼ。
  2. 【請求項2】 前記堤部は、前記凹部の外周に溝を設け
    ることにより、形成されることを特徴とする前記請求項
    1記載の蒸発物るつぼ。
  3. 【請求項3】 前記堤部の頂上は、前記凹部からみて、
    外側に向かって下るよう傾斜している形状を有している
    ことを特徴とする前記請求項1または2記載の蒸発物る
    つぼ。
  4. 【請求項4】 平板に蒸発物質を載置できるよう凹部を
    形成した蒸発物るつぼにおいて、 前記凹部内に設けられるインナーハースであって、前記
    インナーハースの側面が前記凹部から突出できる高さを
    有していることを特徴とする蒸発物るつぼ。
  5. 【請求項5】 前記インナーハースは、ホウ化チタンか
    らなることを特徴とする請求項4記載の蒸発物るつぼ。
  6. 【請求項6】 前記インナーハースの縁は、外側に向か
    って下るよう傾斜している形状を有していることを特徴
    とする請求項4記載の蒸発物るつぼ。
JP7033290A 1995-02-22 1995-02-22 蒸発物るつぼ Pending JPH08225927A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7033290A JPH08225927A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 蒸発物るつぼ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7033290A JPH08225927A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 蒸発物るつぼ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08225927A true JPH08225927A (ja) 1996-09-03

Family

ID=12382415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7033290A Pending JPH08225927A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 蒸発物るつぼ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08225927A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014006706A1 (ja) * 2012-07-04 2014-01-09 中外炉工業株式会社 蒸着装置
JP2014231630A (ja) * 2013-05-29 2014-12-11 住友重機械工業株式会社 還元装置及び還元方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014006706A1 (ja) * 2012-07-04 2014-01-09 中外炉工業株式会社 蒸着装置
JP5832650B2 (ja) * 2012-07-04 2015-12-16 中外炉工業株式会社 蒸着装置
TWI600781B (zh) * 2012-07-04 2017-10-01 中外爐工業股份有限公司 蒸鍍裝置
JP2014231630A (ja) * 2013-05-29 2014-12-11 住友重機械工業株式会社 還元装置及び還元方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5561326A (en) Large scale integrated circuit device
US4673477A (en) Controlled vacuum arc material deposition, method and apparatus
US4919968A (en) Method and apparatus for vacuum vapor deposition
US4868003A (en) System and method for vacuum deposition of thin films
JPS63213662A (ja) 薄膜の真空蒸着のための装置及び方法
US3494852A (en) Collimated duoplasmatron-powered deposition apparatus
JP3944317B2 (ja) Cu成膜方法
JPH0122729B2 (ja)
JPH08225927A (ja) 蒸発物るつぼ
JP2002047559A (ja) Ito膜及びその成膜方法
JPH0770741A (ja) 蒸発源
JP3546019B2 (ja) 成膜方法及び装置
JP2001262323A (ja) 成膜方法及び装置
JPH07166335A (ja) イオンプレーティング装置
JPH06264226A (ja) イオンプレーティング装置
JP3966723B2 (ja) レーザーアブレーション法による半導体FeSi2の成膜方法
JPH0885872A (ja) 成膜装置
JP3318595B2 (ja) レーザイオンプレーティング装置
JPH09256148A (ja) イオンプレーティング装置
JPH08199348A (ja) 蒸発物るつぼ
JPH06264227A (ja) イオンプレーティング装置
JPH06306588A (ja) 成膜装置及びそれを用いた複数の物質からなる 膜の製造方法
JPH0860360A (ja) 光学薄膜の製造方法およびその製造装置
KR100592238B1 (ko) 박막 증착 방법 및 그 장치
JP2812249B2 (ja) イオン蒸着薄膜形成装置