JP2005048196A - カチオン化ヒドロキシアルキルセルロース及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 界面活性剤との相溶性がよいカチオン化ヒドロキシエチルセルロース。
【解決手段】 下記一般式(I):
【化7】
Figure 2005048196

[式中、R1、R2及びR3は水素原子又はCH2CH2OCH2CH(OH)CH2N+(CH3)Cl-等で表される基を示し、nは50〜2000の数を示す]で表され、電気泳動法により求められる移動度分布(△U)が0.1×10-5〜2.0×10-5cm2/sec・Vの範囲であるカチオン化ヒドロキシエチルセルロース。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シャンプー、リンス、トリートメント等の配合成分として有用なカチオン化ヒドロキシアルキルセルロース及びその製造方法に関する。
カチオン化ヒドロキシアルキルセルロースは、置換基として4級アンモニウム基を有しているため、シャンプー、リンス、トリートメント等の配合成分として知られている。このカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースをシャンプー、リンス、トリートメントの配合成分として用いる場合、主剤となる界面活性剤との相溶性が高いことが要求される。
カチオン化ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法としては、特許文献1に、セルロースを反応出発物として、エーテル化剤とカチオン化剤を順次又は同時に添加して、連続的に反応させる方法が開示されている。しかし、エーテル化剤とカチオン化剤の利用率が低いので経済的でないばかりか、未反応物や副生した不純物等の残留物が多いため、それらを除去するために多大な労力を要するという問題がある。
また、特許文献2には、セルロースのエチレンオキシド誘導体又はプロピレンオキシド誘導体を反応出発物質とする方法が開示されている。この方法ではカチオン化剤の有効利用率は高いが、反応、洗浄したセルロースエーテルを再度反応、洗浄する必要があり、二度手間を要するという問題がある。さらに、反応溶媒としては殆どイソプロパノールと水との混合系が用いられているが、ヒドロキシアルキル基の置換度が高いと生成物が前記反応溶媒に溶解するため、粘度の増加により攪拌操作が困難となり、反応率が低下するという問題がある。
さらに、従来技術では、上記問題を解決できるほか、界面活性剤との相溶性が高いものを安定して供給できる製造方法は、未だ開発されるに至っていない。
特公昭45−20318号公報 特公昭59−42681号公報
そこで本発明は、界面活性剤との相溶性が高い、シャンプー等の毛髪化粧料の配合成分として有用なカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースを提供することを目的とするものである。
また、本発明は、前記カチオン化ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法を提供することを他の目的とするものである。
本発明は、下記一般式(I):
Figure 2005048196
[式中、R1、R2及びR3は水素原子、次の一般式(II):
Figure 2005048196
(ここで、R4は水素原子又はメチル基を示し、aは平均で1〜6の数を示す。
)で表される基又は次の一般式(III):
Figure 2005048196
(式中、R4は水素原子又はメチル基を示し、aは平均で1〜6の数を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一又は異なる炭素数1〜16のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは50〜2000の数を示す。]
で表され、電気泳動法により求められる移動度分布(△U)が0.1×10-5〜2.0×10-5cm2/sec・Vの範囲であることを特徴とするカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースを提供する。
また、本発明は、ヒドロキシアルキルセルロースとイソプロピルアルコール水溶液又はt−ブチルアルコール水溶液を混合する工程、アルカリを添加する工程、カチオン化処理する工程及び中和工程を具備することを特徴とするカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法を提供する。
本発明のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースは、界面活性剤との相溶性がよい。
本発明のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースは一般式(I)で表されるものであり、一般式(I)中、R1、R2及びR3は、水素原子、一般式(II)又は一般式(III)で表される基を示す。
一般式(II)で表される置換基のグルコース単位当たりの平均置換度は、0.4〜2.9で、平均置換モル数が1.0〜7.0の範囲であることが好ましく、一般式(II)で表される置換基のグルコース単位当たりの平均置換度が0.7〜2.1で、平均置換モル数が1.6〜3.6の範囲であることが特に好ましい。
一般式(II)で表される置換基において、aは理論上は上限はないが平均で1〜6の範囲の数が好ましい。
一般式(III)で表される置換基のグルコース単位当たりの平均置換度は0.1〜3.0の範囲であるが、0.1〜1.5の範囲であることが好ましく、0.1〜0.9の範囲であることが特に好ましい。
一般式(III)で表される置換基において、aは理論上は上限はないが平均で1〜6の範囲の数が好ましい。
一般式(III)で表される置換基におけるR5、R6及びR7は、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜16のアルキル基を示すが、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
一般式(I)において、nは50〜2000の数を示すが、50〜1500の数が好ましい。一般式(I)において、Xのハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
一般式(I)で表されるカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースは、電気泳動法により求められる移動度分布(△U)が、0.1×10-5〜2.0×10-5cm2/sec・Vの範囲であり、好ましくは0.1×10-5〜1.5×10-5cm2/sec・Vの範囲である。△Uを前記範囲に設定することにより、界面活性剤との相溶性を高めることができる。
また、一般式(I)で表されるカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースは、窒素原子含有率(%)が0.1〜10.0であることが好ましく、0.5〜4.0であることが特に好ましい。
また、一般式(I)で表されるカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースは、第4級窒素含有基の置換度が0.1〜1.5であることが好ましく、0.1〜0.9であることが特に好ましい。
さらに、一般式(I)で表されるカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースは、25℃における粘度が、2重量%水溶液(30rpm)で30mPa・s〜1重量%水溶液(30rpm)で5000mPa・sであることが好ましく、2重量%水溶液(30rpm)で70mPa・s〜1重量%水溶液(30rpm)で2500mPa・sであることが特に好ましい。
次に、本発明のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法について説明する。本発明の製造方法は、反応に用いる有機溶媒水溶液の種類及び濃度に特徴を有するものであるため、その他の処理方法及び条件については特に限定されるものではなく、カチオン化ヒドロキシアルキルセルロースの製造において当業者によりなされる通常の改変も含まれるものである。
まず、第1工程において、ヒドロキシアルキルセルロースとイソプロピルアルコール水溶液又はt−ブチルアルコール水溶液を混合する。
この工程におけるヒドロキシアルキルセルロースは、例えば、セルロースをアルカリ処理したのち、アルキレンオキシドを付加する常法を適用して得ることができる。原料となるセルロースとしては、コットンリンター、木材パルプ等を用いることができる。
イソプロピルアルコール水溶液としては、イソプロピルアルコール濃度が75〜90重量%のものが好ましく、80〜90重量%のものが特に好ましい。また、t−ブチルアルコール水溶液としては、t−ブチルアルコール濃度が70〜85重量%のものが好ましく、75〜85重量%のものが特に好ましい。
イソプロピルアルコール水溶液又はt−ブチルアルコール水溶液の使用量は、ヒドロキシエチルセルロース100重量部に対して300〜900重量部が好ましい。
次に、第2工程において、触媒として作用するアルカリ水溶液を添加する。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等を挙げることができる。
アルカリの使用量は、ヒドロキシアルキルセルロースのグルコース単位当たり0.05〜0.4倍モルであることが好ましい。
次に、第3工程において、カチオン化剤を添加して、カチオン化処理する。この工程で用いるカチオン化剤としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムブロミド等のグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド等を挙げることができる。
カチオン化剤の使用量は、ヒドロキシアルキルセルロースのグルコース単位当たり0.2〜2.0倍モル量であることが好ましい。
次に、第4工程において、塩酸、硫酸等を添加し、第3工程において添加したアルカリを中和する。
その後、必要に応じて、イソプロピルアルコール、アセトン等の有機溶媒による洗浄処理等の適当な精製処理をし、さらに乾燥して、本発明のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースを得る。
本発明のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースは、シャンプー、リンス、トリートメント等の配合成分として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例1
ヒドロキシエチルセルロース(無水グルコース単位当たりに付加したエチレンオキシドのモル数は2.2、25℃における2重量%水溶液の粘度は920mPa・s)を含むヒドロキシエチルセルロース粉末145gを、冷却管付き4つ口フラスコに入れ、さらに89重量%イソプロピルアルコール(IPA)水溶液1110gを添加し、ヒドロキシエチルセルロースを攪拌し分散させてスラリーを得た。
次に、このスラリーを攪拌しながら、20重量%水酸化ナトリウム水溶液60gを加え、25℃で120分間攪拌して、アルカリ処理を行った。
その後、スラリーに、カチオン化剤として75重量%グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液を100g添加し、60分間攪拌混合したのち、40℃に昇温し、同温度でさらに3時間攪拌した。
室温まで冷却後、20重量%塩酸水溶液55gを添加して中和し、攪拌したのち、スラリーを濾過した。この濾過残渣を、76重量%アセトン水溶液2200mlに添加し、攪拌洗浄後、濾過した。次に、76重量%のアセトン水溶液で3回洗浄した残渣を、98重量%のアセトン水溶液2200mlに添加して攪拌混合後、再度、濾過した。残渣を70℃の温度下で2時間乾燥して、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース175gを得た。
得られたカチオン化ヒドロキシエチルセルロースについて、下記の各測定を行った。結果を表2に示す。
(1)窒素含有率
化粧品種別配合成分規格(1997年4月18日第1刷発行、株式会社薬事日報社、210頁)に記載の定量法に基づいて求めた。詳細は下記のとおりである。
試料を110℃で2時間乾燥した後、1.0gを精密に量り、水を加えて溶かして1000mlの水溶液にした。この水溶液5mlを正確にとり、水を加えて50mlとし、トルジンブルー溶液(1→1000)4滴を加え、0.0025Nポリビニル硫酸カリウム液で滴定した。別に同様の方法で空試験を行い、補正をした。窒素含有率は、下記式から求めた。
Figure 2005048196
A:本試験に要した0.0025Nポリビニル硫酸カリウム液の滴定数(ml) B:空試験に要した0.0025Nポリビニル硫酸カリウム液の滴定数(ml) C:[強熱残分(%)/ 乾燥残分(%)]×100×0.8229
(0.8229:強熱残分(硫酸ナトリウム)を塩化ナトリウムに換算する)。
(2)第4級窒素含有基の置換度
原料のヒドロキシエチルセルロースのグルコース単位の分子量は、平均置換モル数をyとすると、162+44yである。カチオン化剤であるグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの分子量は151.5である。従って、窒素分N(%)とカチオン化度(x)の関係は次の式で表すことができる。
窒素分N(%)
=[14x/(カチオン化ヒドロキシエチルセルロースのグルコース単位の分子量)]×100
=[14x/(原料ヒドロキシエチルセルロース単位の分子量)+151.5x]×100
=[14x/(162+44y+151.5x)]×100
よって、カチオン化度(第4級窒素含有基の置換度)は、下記式から求められる。
カチオン化度(x)=[N×(162+44y)]/[1400−151.5N]。
(3)移動度分布(△U)
ツカサ工業(有)製の電気泳動装置(ツカサチゼリウスHBT−2A)を用い、シュリーレン光学系を利用して、下記条件で電気泳動させ、下記式から移動度Uを算出した。
(電気泳動条件)
温度:25±0.1℃
試料濃度:0.2g/100ml
溶媒:0.1N−NaCl水溶液
泳動電流:2mA
(移動度U)
U=[(K・A)/i]×[h/t]
K:溶媒の比電導度 1.067×10-2Ω-1/cm-1
A:セル断面積 0.308cm2
i:泳動電流 0.002A
h:泳動距離(cm)
t:泳動時間(sec)
電気泳動における界面の状況[即ち、ある泳動時間t1における屈折率の変化度(△n)と移動度(U)]の代表的な例をモデルとして図1に示す。図1に示されるように、屈折率の変化度(△n)をモニターすることにより、最高移動度Aと最低移動度Bと中心移動度Cが各泳動時間に対応して得られる。即ち、上昇界面の動きにより各ポイントA、B、Cは時間の経過とともに泳動して進行する。そのため、適当な時間t(泳動開始から測定時までの時間)で各ポイントA、B、Cの泳動距離h[泳動時間tの間に原点(泳動開始点)からポイントA、B、Cが泳動した距離]を測定し、前記式により移動度Uを求める。泳動時間の逆数1/tを横軸として移動度(即ち、A、B、Cの点の値)をプロットすると図2に示されるように、移動度(U)と時間(1/t)との関係が得られる。そして、図2において、時間無限大に外挿することにより、各々の移動度U’A、U’B及びU’Cを求め、下記式から移動度分布(△U)を求めた。
移動度分布(△U)=U’A−U’B
(4)濁度
下記の表1に示す組成のPHASEIとPHASEIIの溶液を調製し、これらを混合して完全に均一にしたものについて、濁度を測定した。
Figure 2005048196
カチオン化HEC:カチオン化ヒドロキシアルキルセルロース
ES:ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(商品名EMAL−E27C、純度26.4%)
AG:ポリオキシエチレングリコールエーテルメチルグリコシド(商品名GLUCAM E−20)
濁度の測定は、積分球方式の濁度計を用いて測定し、下記式から求めた。
濁度(%)=(散乱光/全透過光)×100。
実施例2〜4、比較例1〜3
表2に示す条件で、実施例1と同様にして、カチオン化ヒドロキシエチルセルロースを得た。これらのカチオン化ヒドロキシエチルセルロースについて、実施例1と同様にして、各測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2005048196
図1は、屈折率の変化度(△n)と移動度(U)の関係を示す図である。 図2は、移動度(U)と時間(1/t)との関係を示す図である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(I):
    Figure 2005048196
    [式中、R1、R2及びR3は水素原子、次の一般式(II):
    Figure 2005048196
    (ここで、R4は水素原子又はメチル基を示し、aは平均で1〜6の数を示す。)で表される基又は次の一般式(III):
    Figure 2005048196
    (式中、R4は水素原子又はメチル基を示し、aは平均で1〜6の数を示し、R5、R6及びR7はそれぞれ同一又は異なる炭素数1〜16のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは50〜2000の数を示す。]
    で表され、電気泳動法により求められる移動度分布(△U)が0.1×10-5〜2.0×10-5cm2/sec・Vの範囲であることを特徴とするカチオン化ヒドロキシアルキルセルロース。
  2. 一般式(II)で表される置換基のグルコース単位当たりの平均置換度が0.4〜2.9で、平均置換モル数が1.0〜7.0の範囲である請求項1記載のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロース。
  3. 一般式(II)で表される置換基のグルコース単位当たりの平均置換度が0.7〜2.1で、平均置換モル数が1.6〜3.6の範囲である請求項1記載のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロース。
  4. 一般式(III)で表される置換基のグルコース単位当たりの平均置換度が0.1〜3.0の範囲である請求項1、2又は3記載のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロース。
  5. 一般式(III)で表される置換基のグルコース単位当たりの平均置換度が0.1〜1.5の範囲である請求項1、2又は3記載のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロース。
  6. 一般式(III)で表される置換基のグルコース単位当たりの平均置換度が0.1〜0.9の範囲である請求項1、2又は3記載のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロース。
  7. ヒドロキシアルキルセルロースとイソプロピルアルコール水溶液又はt−ブチルアルコール水溶液を混合する工程、アルカリを添加する工程、カチオン化処理する工程及び中和工程を具備することを特徴とするカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法。
  8. イソプロピルアルコール水溶液におけるイソプロピルアルコール濃度が80〜90重量%である請求項7記載のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法。
  9. t−ブチルアルコール水溶液におけるt−ブチルアルコール濃度が75〜85重量%である請求項7記載のカチオン化ヒドロキシアルキルセルロースの製造方法。
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