JP2005048015A - クロロスルホン化ポリオレフィンの製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶剤に溶解又は懸濁させたポリオレフィンをラジカル発生剤の存在下に、塩素と亜硫酸ガス、塩素と塩化スルフリル、塩化スルフリル単独、塩素と亜硫酸ガスと塩化スルフリル、又は塩化スルフリルと亜硫酸ガスを用いて塩素化及びクロロスルホン化反応してクロロスルホン化ポリオレフィンを製造する方法において、反応終了後から分離工程終了までのクロロスルホン化ポリオレフィン反応溶液にヒンダードフェノール化合物を添加するクロロスルホン化ポリオレフィンの製造法。
【選択図】 選択図なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、クロロスルホン化ポリオレフィンの製造法に関するものである。さらに詳しくは、焼け防止性に優れたクロロスルホン化ポリオレフィンの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クロロスルホン化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを溶剤に溶解又は懸濁させて塩素化及びクロロスルホン化する反応工程、反応工程で副生される塩化水素ガスと亜硫酸ガスを除去する脱酸工程、溶剤とクロロスルホン化ポリオレフィンを分離してクロロスルホン化ポリオレフィンを取出す分離工程により製造される。
【0003】
これらのうち分離工程では120℃から200℃の高温条件下でドラムドライヤー、ベント付き押出機等でクロロスルホン化ポリオレフィンと溶剤に分離されるが、高温で行われるため装置等に付着したクロロスルホン化ポリオレフィンの変色及びゲル化等の焼けが発生することがあり、これらが製品に混入して表面の色むら、肌荒れ、引張強度及び引裂き強度の低下等の諸物性に悪影響を与えることがあり問題になっていた。
【0004】
分離工程で発生するこれらの問題を解決する方法として、1)装置の温度を使用する溶剤の沸点付近まで下げて、低温で分離する、2)製品に混入した焼けゴムを製品より選別し取り除く、ことが考えられる。
【0005】
しかし、1)の方法では、クロロスルホン化ポリオレフィン中に残存する溶剤が多くなる又は溶剤の分離速度が遅くなり製品の生産性が低下する等の問題点がある。また、2)の方法では、その選別には多大な時間と経費がかかるとの問題点がある。
【0006】
なお、所定のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体にヒンダードフェノール等を添加する公知文献がある(特許文献1)。
【0007】
しかし、これは、分離工程が終了した後にヒンダードフェノールを添加するものであり、焼け防止の効果を有しないものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−235434号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、分離工程での120℃から200℃の高温でのクロロスルホン化ポリオレフィンの変色及びゲル化を抑制することが重要であり、分離工程でのクロロスルホン化ポリオレフィンの焼け防止の確立が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、ヒンダードフェノール化合物を反応終了後から分離工程終了までのクロロスルホン化ポリオレフィン反応溶液に添加することで、120℃から200℃における高温でのクロロスルホン化ポリオレフィンの変色及びゲル化が抑制され、分離工程でのクロロスルホン化ポリオレフィンの焼け防止に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、溶剤に溶解又は懸濁させたポリオレフィンをラジカル発生剤の存在下に、塩素と亜硫酸ガス、塩素と塩化スルフリル、塩化スルフリル単独、塩素と亜硫酸ガスと塩化スルフリル、又は塩化スルフリルと亜硫酸ガスを用いて塩素化及びクロロスルホン化反応してクロロスルホン化ポリオレフィンを製造する方法において、反応終了後から分離工程終了までのクロロスルホン化ポリオレフィン反応溶液にヒンダードフェノール化合物を添加することを特徴とするクロロスルホン化ポリオレフィンの製造法である。
【0012】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0013】
本発明における溶剤は塩素等により塩素化されない溶剤であれば特に限定するものではなく、例えば、1,1,2−トリクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらのうち、不燃性で取扱い易く適度な沸点を有するため、特に好ましくは1,1,2−トリクロロエタンである。
【0014】
塩素化及びクロロスルホン化を行なう反応工程はラジカル発生剤を触媒として、塩素と亜硫酸ガス、塩素と塩化スルフリル、塩化スルフリル単独、塩素と亜硫酸ガスと塩化スルフリル、又は塩化スルフリルと亜硫酸ガスを、溶剤に溶解又は懸濁したポリオレフィンと反応させる。塩化スルフリルを添加する場合には必要に応じて助触媒としてのピリジン、キノリン等のアミン化合物が添加される。
【0015】
反応温度は塩素化反応が進行するものであれば特に限定するものではなく、例えば、40〜150℃であり、適度な塩素化反応が進行するために好ましくは60〜130℃である。
【0016】
反応圧力は塩素化反応が進行すれば特に限定するものではなく、例えば、0〜1.0メガパスカルであり、適度な塩素化反応が進行するために好ましくは0〜0.7メガパスカルである。
【0017】
本発明におけるラジカル発生剤は塩素化反応が進行するものであれば特に限定するものではなく、例えば、アゾ系化合物又は有機過酸化物等が挙げられる。アゾ系化合物としてはα,α’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、有機過酸化物としては過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化t−ブチル、過安息香酸t−ブチル等が挙げられる。取り扱い上安定性が高いため、好ましくはアゾ化合物であり、適度な塩素化反応が進行するため、特に好ましくはα,α’−アゾビスイソブチロニトリルである。
【0018】
原料であるポリオレフィンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・プロピレン共重合体(EPM)等のエチレンホモポリマー、コポリマーが挙げられる。
【0019】
脱酸工程は反応工程中に副生する塩化水素ガスと亜硫酸ガスを、窒素を導入することによって除去する。また、減圧下において塩化水素ガスと亜硫酸ガスの除去を行っても何等問題はない。
【0020】
分離工程は通常120℃から200℃の高温条件下でドラムドライヤー、ベント付き押出機等でクロロスルホン化ポリオレフィンと溶剤に分離される。
【0021】
本発明は、塩素化及びクロロスルホン化反応終了後から分離工程終了までのいずれかにおいてヒンダードフェノール化合物を反応溶液に添加することが特徴である。ここに、反応終了後から分離工程終了までとは、例えば、反応終了直後、脱酸中、脱酸後、分離工程中等が挙げられる。また、ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス・オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等が挙げられる。これらヒンダードフェノール化合物の添加量は、用いられるヒンダードフェノール化合物の種類によって最適量が異なるが、焼け防止効果の向上と経済性の向上のために0.01〜8.0重量部が好ましい。またこれらのヒンダードフェノール化合物は、単独又は2種類以上の混合物として使用することも可能である。このときエポキシ化合物安定剤等の他の安定剤と併用してもかまわない。
【0022】
本発明で製造されるクロロスルホン化ポリオレフィンは、クロロスルホン化ポリエチレン、クロロスルホン化エチレン・プロピレン共重合体、クロロスルホン化エチレン・ブテン共重合体、クロロスルホン化エチレン・ヘキセン共重合体、クロロスルホン化エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0023】
得られたポリマーは従来のゴム又は樹脂と同様に配合と混練を行ない、加硫物又は未加硫物で使用される。
【0024】
最終用途には既存のクロロスルホン化ポリオレフィンと同様、自動車用ホース、ガスホース、産業用ホース、エスカレーター手摺、電線、レジャーボート、ルーフィング、ポンドライナー、ロール、ベルト、ブーツ、パッキン、シート、引き布、接着剤、塗料及びシーラント等が挙げられる。
【0025】
【実施例】
次に実施例にもとづき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を助けるための例であって本発明はこれらの実施例より何等の制限を受けるものではない。
【0026】
なお、これらの実施例で用いた値は以下の測定方法に準拠して得られたものである。
【0027】
<密度の測定>
ポリオレフィンの密度は、JIS−K−6992−1に準拠し測定した。
【0028】
<メルトインデックスの測定>
ポリオレフィンのメルトインデックスは、JIS−K−6992−1に準拠し測定した。
【0029】
<塩素、硫黄量の測定>
クロロスルホン化ポリオレフィンの塩素及び硫黄量は、燃焼フラスコ法にて測定した。塩素量の測定は、クロロスルホン化ポリオレフィン約30mgを1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15mlを吸収液として用い、酸素フラスコ燃焼法に従い燃焼させ後約30分静置した。この操作後の吸収液を、純水約100mlで洗い出した後、濃度0.05Nの硝酸銀水溶液で電位差滴定法により塩素イオンを定量し、塩素量を測定した。
【0030】
クロロスルホン化ポリオレフィンの硫黄量の測定は、1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15mlの変わりに、3重量%の過酸化水素水10mlを吸収液として用い、純水約40mlで洗い出した後、酢酸約1ml、2ープロパノール約100ml、アルセナゾIII約0.47mlを加えた。これを濃度0.01Nの酢酸バリウム溶液で光度滴定法により硫酸イオンを定した。
【0031】
<ムーニー粘度の測定>
JIS−K−6300に準拠し、L形ローターで、予熱1分、ローター回転時間4分、100℃で測定した。
【0032】
<促進劣化による生成物の熱安定性試験>
(色相の変化測定)
クロロスルホン化ポリオレフィン生成物120gを溶剤1,1,2−トリクロロエタン800gに溶解したサンプルを、厚み:1mm、幅:2.5cm、長さ:18cmのテフロン(登録商標)板に塗布したものを165℃ギヤーオーブン中に吊り下げ2時間、24時間経過した後、ギヤーオーブンより取出したときの色相を目視により判断した。またサンプル1gをマイラーフィルムに挟み、100℃圧力10メガパスカルで5分間プレスしたものを日本電色工業株式会社製の色差計SE2000により測定しL、a、b法の黄色の指標となるb値により判断した。色差計のb値と目視による色相判断の関係はb値が3以下の時の目視判断は乳白色、b値が3から16の時の目視判断は若干黄色、b値が16以上での目視判断は黄色または茶色あるいは茶褐色となる。
(ゲル化状態の判断測定)
色相の変化測定と同じ方法で得られたサンプル約1gをマイラーフィルムに挟み、100℃圧力10メガパスカルで5分間プレスしたときのサンプルの流動性により目視にて判断した(〇:サンプルの流れ状態良好、ゲル化なし。△:サンプルの流れ状態不良、ゲル化気味。×:サンプルが収縮してフィルムにならない、ゲル化。)。
【0033】
【実施例1】
30リッターのグラスライニング製オートクレーブに1,1,2−トリクロロエタンを28kgと、メルトインデックス6.5g/10分、密度0.953g/ccの高密度ポリエチレンを3.1kg仕込んだ。
【0034】
クロロスルホン化反応の助触媒としてピリジンを0.5g添加した後、反応器のジャケットに蒸気を通し、120℃で2時間保持することによってポリエチレンを均一に溶解した。またこの間、反応器に15リッター/分の流速で窒素ガスを導入し、反応器に混入した空気を排除した。
【0035】
ラジカル発生剤として12gのα,α’−アゾビスイソブチロニトリルを1,1,2−トリクロロエタン1.5kgに溶解した。この溶液を連続的に反応器へと添加しつつ、6.5kgの塩化スルフリルを別の投入口より反応器へ添加することにより反応を行なった。この間3時間を要したが、反応器の圧力を0.2メガパスカルに保った。
【0036】
反応の終了後、圧力を常圧に戻し反応器の温度を70℃まで低下させて、70℃に保ちながら窒素を導入して反応液に残存する亜硫酸ガスと塩化水素ガスを除く脱酸を行なった。
【0037】
脱酸工程が終了した反応溶液にヒンダードフェノール化合物としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:イルガノックス1010,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、以下同じ)を8g添加した後、さらに40gの2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンを添加した。この溶液を165℃に加熱したドラムドライヤーにフィードして、生成物としてのクロロスルホン化ポリオレフィンを溶剤から分離した。
【0038】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.2%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は53であった。
【0039】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表1に示す。
【0040】
【表1】
【実施例2】
原料のポリオレフィンをメルトインデックス1.0g/10分、密度0.952g/ccの高密度ポリエチレンに変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0041】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.8%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は102であった。
【0042】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表1に示す。
【0043】
【実施例3】
原料のポリオレフィンをメルトインデックス2.5g/10分、密度0.923g/ccの線状低密度ポリエチレン(エチレン・ブテン共重合体)に変え、塩化スルフリルの添加量を4.0kgと変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0044】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは30.1%の塩素と0.9%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は40であった。
【0045】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表1に示す。
【0046】
【実施例4】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]の替りにn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(商品名:イルガノックス1076,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、以下同じ)を12g添加した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0047】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.3%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は50であった。
【0048】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表1に示す。
【0049】
【実施例5】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]の替りにn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを12g添加した以外は実施例2と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0050】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.8%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は105であった。
【0051】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表1に示す。
【0052】
【実施例6】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]の替りにn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを12g添加した以外は実施例3と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0053】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは29.5%の塩素と0.9%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は38であった。
【0054】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表1に示す。
【0055】
【実施例7】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を6g、及びn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを6g添加した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0056】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.0%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は52であった。
【0057】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表1に示す。
【0058】
【実施例8】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を50g、及びn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを50g添加した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0059】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.2%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は51であった。
【0060】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表1に示す。
【0061】
【実施例9】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を100g添加した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0062】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.0%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は48であった。
【0063】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過しても色相に変化は見られずゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表2に示す。
【0064】
【表2】
【実施例10】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を3g添加した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0065】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.5%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は54であった。
【0066】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過すると若干黄色に変色するがゲル化はなく、165℃の24時間経過すると黄色に変色しゲル化気味となったが、ゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表2に示す。
【0067】
【実施例11】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を100gとし添加時期を反応終了直後にした以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0068】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.0%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は48であった。
【0069】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過しても色相に変化は見られずゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表2に示す。
【0070】
【実施例12】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を100gとし添加時期を脱酸中にした以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0071】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは34.8%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は46であった。
【0072】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過しても色相に変化は見られずゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表2に示す。
【0073】
【実施例13】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]50gを1,1,2−トリクロロエタン1.5kgに溶解し、添加時期を分離工程中に定量ポンプで連続滴下した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0074】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.2%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は53であった。
【0075】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過しても色相に変化は見られずゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表2に示す。
【0076】
【実施例14】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]をn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート100gとし添加時期を反応終了直後にした以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0077】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.8%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は55であった。
【0078】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過しても色相に変化は見られずゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表2に示す。
【0079】
【実施例15】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]をn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート100gとし添加時期を脱酸中にした以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0080】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.5%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は52であった。
【0081】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過しても色相に変化は見られずゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表2に示す。
【0082】
【実施例16】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]をn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート50gとし、1,1,2−トリクロロエタン1.5kgに溶解して添加時期を分離工程中に定量ポンプで連続滴下した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離した。
【0083】
生成物は乳白色の色相を有しており、分析の結果このクロロスルホン化ポリオレフィンは35.0%の塩素と1.0%のイオウを含むことが判った。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は50であった。
【0084】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過しても色相に変化は見られずゲル化もなく、165℃の24時間経過しても色相に変化は見られずゲル化はなかった。得られた値はこれをまとめて表2に示す。
【0085】
【比較例1】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加しなかった以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離し、35.7%の塩素と1.0%のイオウを含むクロロスルホン化ポリオレフィンを得た。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は57であった。
【0086】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過した色相は茶色に変色しゲル化気味であり、165℃の24時間経過すると茶褐色に変色しゲル化した。得られた値はこれをまとめて表3に示す。焼け防止性に劣ることを示している。
【0087】
【表3】
【比較例2】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加しなかった以外は実施例2と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離し、35.9%の塩素と1.0%のイオウを含むクロロスルホン化ポリオレフィンを得た。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は104であった。
【0088】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過した色相は茶色に変色しゲル化気味であり、165℃の24時間経過すると茶褐色に変色しゲル化した。得られた値はこれをまとめて表3に示す。焼け防止性に劣ることを示している。
【0089】
【比較例3】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加しなかった以外は実施例3と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離し、29.8%の塩素と0.9%のイオウを含むクロロスルホン化ポリオレフィンを得た。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は39であった。
【0090】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過した色相は茶色に変色しゲル化気味であり、165℃の24時間経過すると茶褐色に変色しゲル化した。得られた値はこれをまとめて表3に示す。焼け防止性に劣ることを示している。
【0091】
【比較例4】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]の添加位置を、高密度ポリエチレンを仕込んだ直後に3g添加した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ない、続いて生成物を分離し、35.2%の塩素と1.0%のイオウを含むクロロスルホン化ポリオレフィンを得た。生ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は55であった。
【0092】
促進劣化による生成物の熱安定性試験を実施した結果、165℃の2時間を経過した色相は茶色に変色しゲル化気味であり、165℃の24時間経過すると茶褐色に変色しゲル化した。得られた値はこれをまとめて表3に示す。焼け防止性に劣ることを示している。
【0093】
【比較例5】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、高密度ポリエチレンを仕込んだ直後に100g添加した以外は実施例1と同一の方法で反応を行ったが反応が進行せず、クロロスルホン化ポリオレフィンを得ることができなかった。反応を阻害してしまうことを示している。これをまとめて表3に示す。
【0094】
【比較例6】
分離工程終了後にペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加しようとしたが、分離工程終了後には反応溶液がないため、ヒンダードフェノール化合物を添加することができなかった。
【0095】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、分離工程での120℃から200℃の高温において、クロロスルホン化ポリオレフィンの変色及びゲル化を抑制することができ、クロロスルホン化ポリオレフィンの焼け防止に効果を有するものである。
Claims (3)
- 溶剤に溶解又は懸濁させたポリオレフィンをラジカル発生剤の存在下に、塩素と亜硫酸ガス、塩素と塩化スルフリル、塩化スルフリル単独、塩素と亜硫酸ガスと塩化スルフリル、又は塩化スルフリルと亜硫酸ガスを用いて塩素化及びクロロスルホン化反応してクロロスルホン化ポリオレフィンを製造する方法において、反応終了後から分離工程終了までのクロロスルホン化ポリオレフィン反応溶液にヒンダードフェノール化合物を添加することを特徴とするクロロスルホン化ポリオレフィンの製造法。
- ヒンダードフェノール化合物が、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス・オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のクロロスルホン化ポリオレフィンの製造法。
- 請求項1又は請求項2記載のヒンダードフェノール化合物の添加量がクロロスルホン化ポリオレフィン100重量部に対し、0.01〜8.0重量部であることを特徴とするクロロスルホン化ポリオレフィンの製造法。
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