JP2005047049A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出電極に高電圧を印加することなく、インクメニスカスを形成しやすくすることにより、ヘッドにおける放電等の危険を防止することができ、吐出応答性を向上させ、目詰まりを防止することのできるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に対向した位置に配置され、インク滴を吐出させるための電圧を印加する吐出電極を備えるインクジェットヘッドと、吐出電極に描画信号に応じて所定の駆動電圧を印加する信号電圧源と、記録媒体の裏面側に配置される背面電極と、背面電極に交流バイアス電圧を印加する交流電源とを有し、背面電極に交流バイアス電圧を印加することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
荷電粒子を含むインクに静電力を作用させて、インク滴を吐出することにより、記録媒体上に記録するインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
静電式インクジェット記録方式は、荷電粒子を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドのインクノズル(貫通孔)周辺に設置された吐出電極に所定の駆動電圧を印加することにより、静電力を利用してインク滴の吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する方式である。このような静電式インクジェット記録方式を採用する記録装置では、記録時に吐出電極および記録媒体間にインクを吐出させるための所定の電位差を設ける必要がある。従来、電位差を設ける手段としては、以下の手段がある。
【0003】
記録媒体の背面に接地電極を配置し、例えば、インク内の荷電粒子が正または負に帯電している場合、吐出電極にそれぞれ正または負の同極性の高電圧を印加する手段を用い、所定の電位差を設けて、荷電粒子(帯電微粒子)を含むインク滴を吐出する記録方法がある。しかし、この記録方法では、吐出電極に高電圧を印加しなければならないため、放電の危険性がある。また、吐出電極に印加される電圧は描画信号に応じた駆動電圧であるため、高電圧を印加していては、各吐出部毎に駆動電圧を制御する駆動制御回路に多大な負荷が掛かり、消費する電力も大きくなり、駆動制御回路が大型化し、高価となるという問題点がある。
【0004】
このため、特許文献1に開示の従来の静電式インクジェット記録装置では、記録媒体の背面に接地電極を配置するとともに、吐出電極にインク滴が吐出することのない所定のDCバイアス電圧(高電圧)を印加しておき、吐出電極に所定の駆動電圧を印加して、高電圧のDCバイアス電圧に駆動電圧を重畳して、インク滴の吐出が可能となる所定の電位差を得ている。しかしながら、吐出電極に印加される駆動電圧は、DCバイアス電圧の分だけ低くなり、その分改善されるものの、吐出電極に印加されるピーク電圧はやはり高電圧となり、ヘッドの駆動制御回路の負荷や電源が大きくかつ高価となり、消費電力も大きくなるという問題がある。
一方、特許文献1には、吐出電極に所定のDCバイアス電圧を印加する代りに、固体チャージャ、コロナ帯電器、導電性帯電ローラやブラシ等の帯電手段を使用し、記録媒体にインク中の帯電粒子と逆極性の電荷を与えることで、上述したDCバイアス電圧に相当する表面電位を記録媒体に与え、描画信号に応じて吐出電極に上述の駆動電圧を印加し、インク滴を記録媒体上に吐出させ、画像を形成する方法を適用するインクジェット記録装置が開示されている。この装置では、記録媒体を荷電粒子と逆極性の所定のバイアス電圧に帯電させる帯電手段を用いることによって、吐出電極には高電圧のDCバイアス電圧の印加を必要としないため、駆動制御回路の耐圧を低くすることができ、ヘッドでの放電による破損を防止することができ、駆動制御回路ひいてはヘッド自体の小型化、低価格化を図ることができる。
【0005】
しかし、特許文献1に開示の記録媒体を帯電することによって高電圧のDCバイアス電圧を付与するインクジェット記録装置であっても、吐出応答速度を早くするためには高電圧のパルス電圧が必要であった。
具体的には、バイアス電圧によって、インク液滴が吐出しない程度のインクメニスカスが形成されるが、吐出時にはよりインクメニスカスが成長する必要がある。このため、吐出時にインクに作用する力が小さいと、吐出時のインクメニスカスへ成長するまでの時間がかかり、その結果、吐出応答性を早くするためには高電圧パルスが必要となる。
また、上記いずれの形態のインクジェットヘッドも、非吐出時には吐出部のインクノズルにインクが停滞するため、長時間インクが吐出されない場合には、吐出しないインクノズル中のインクの溶媒が蒸発することによりインクが過濃縮し、目詰まりが発生するという問題もあった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−138494号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、吐出電極への印加電圧を低電圧化でき、インクメニスカスを形成しやすくすることにより、ヘッドにおける放電等の危険を防止することができ、吐出応答性を向上させ、目詰まりを防止することのできるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、荷電粒子を含むインクに静電力を作用させて、インク滴を吐出させることにより、記録媒体上に記録するインクジェット記録装置であって、前記記録媒体に対向した位置に配置され、前記インク滴を吐出させるための電圧を印加する吐出電極を備えるインクジェットヘッドと、前記吐出電極に描画信号に応じて所定の駆動電圧を印加する信号電圧源と、前記記録媒体の裏面側に配置される背面電極と、前記背面電極に交流バイアス電圧を印加する交流電源とを有することを特徴とするインクジェット記録装置を提供するものである。
【0009】
ここで、前記記録媒体の表面電位を所定の電圧に帯電させる帯電手段を有することが好ましい。
また、前記背面電極に印加される交流バイアス電圧の周波数は、前記描画信号の周波数と同一または逓倍もしくは分周したものであることが好ましい。
また、前記交流バイアス電圧の周波数は、前記描画信号の周波数と同一でかつ、位相差があることがより好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るインクジェット記録装置を添付の図面に示す好適実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施例の概略構成図を示す模式的断面図である。
同図に示すインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド10と、記録媒体Pの保持手段50と、記録媒体Pの搬送手段(図示しない)とを有する。インクジェットヘッド10は、荷電粒子を含むインクを静電力によりインク滴Rとして吐出し、記録媒体Pを図1の搬送方向へ搬送しながら記録媒体Pに向かって飛翔させて、画像データに応じて画像を記録媒体P上に記録するものである。インクジェットヘッド10は、ヘッド基板12、インクガイド14、絶縁性基板16、貫通孔18、吐出電極20、インク流路22、浮遊導電板24、ガード電極26、絶縁層28aおよび28bを有する。また、記録媒体Pの保持手段50は、記録時にインクジェットヘッド10の対向する位置に所定間隔離間して記録媒体Pを保持するためのもので、記録媒体Pの保持手段50として背面電極32、交流電源34、接地電極36、搬送ベルト38および帯電ユニット40を有する。なお、図1に示すインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド10を構成する1つの吐出手段となる1つの吐出部のみを概念的に表したものである。吐出部の個数は1個以上何個備えられていてもよいし、吐出部の物理的な配置等も何ら限定されない。例えば、複数の吐出部を1次元的または2次元的に配置してラインヘッドを構成することも可能である。また、本発明を適用するインクジェットヘッドは、モノクロおよびカラーのどちらにも対応可能である。
【0011】
図示例のインクジェットヘッド10においては、インクガイド14は、突状先端部分14aを持つ所定厚みの絶縁性セラミクス製平板からなり、吐出部毎にヘッド基板12の上に配置されている。また、絶縁性基板16には、インクガイド14の配置に対応する位置に貫通孔18が開孔されている。インクガイド14は、絶縁性基板16に開孔された貫通孔18を通過し、その先端部分14aが絶縁性基板16の図中上側の表面、すなわち記録媒体P側の表面よりも上部に突出している。なお、インクガイド14の中央部分には、図中上下方向に毛細管現象によってインクQを先端部分14aに集めるインク案内溝となる切り欠きを形成しても良い。
【0012】
なお、インクガイド14の先端部分14aの側は、記録媒体P側へ向かうに従って次第に細く略三角形(ないしは台形)に成形されている。インクガイド14の、インクQが吐出される先端部分(最先端部)14aには、金属が蒸着されているのが好ましい。インクガイド14の先端部分14aの金属蒸着はされていなくても良いが、この金属蒸着により、インクガイド14の先端部分14aの誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせやすくできるという効果がある。まだ、インクガイド14の形状は、インクQ、特に、インクQ内の荷電粒子成分を絶縁性基板16の貫通孔18を通って先端部分14aに濃縮させることができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分14aは、突状でなくても良いなど適宜変更してもよいし、従来公知の形状とすることができる。
【0013】
ヘッド基板12と絶縁性基板16とは、所定間隔離間して配置されており、両者の間には、インクガイド14にインクQを供給するためのインクリザーバ(インク室)として機能するインク流路22が形成されている。なお、インク流路22内のインクQは、吐出電極20に印加される電圧と同極性に帯電した微粒子(荷電粒子)成分を含み、記録時には、図示されていないインク循環機構によって、所定方向、図示例ではインク流路22内を右側から左側へ向かって所定の速度(例えば、200mm/sのインク流)で循環される。以下、インク中の荷電粒子が正帯電している場合を例にとって説明を行う。
【0014】
また、吐出電極20は、絶縁性基板16に開孔された貫通孔18の周囲を囲むように、絶縁性基板16の図中上側、すなわち記録媒体P側の表面に、吐出部毎にリング状に配置されている。吐出電極20は、画像デ−タや印字データ等の吐出データ(描画信号)に応じた駆動電圧(所定のパルス電圧、例えば低電圧レベルの0V、高電圧レベルの400〜600V)を発生する信号電圧源30に接続されている。吐出電極20は信号電圧源30より、駆動電圧が印加されることにより、インク滴を吐出させる。また、描画信号に使用する波形は特に限定されず、どのような波形でもよく、例えば、矩形波、三角波、台形波などでもよい。なお、吐出電極20は、リング状の円形電極に限定されず、インクガイド14の外周を囲うように離間して配置される電極、インクガイド14の両側に離間し、対向して配置される電極などの従来公知のどのようなものでも良い。
【0015】
次に、浮遊導電板24はインク流路22の下方のヘッド基板12内部に配置され、電気的に絶縁状態(フローティング状態)となっている。本発明において浮遊導電板24は、インク流路22の下方であれば、どの位置に配置してもよく、例えば、ヘッド基板12の下方であっても良いし、吐出電極20の位置よりもインク流路22の上流側で、かつヘッド基板12の内部に配置するようにしてもよい。
浮遊導電板24は、画像の記録時に、吐出電極20に印加された電圧値に応じて、誘起された誘導電圧が発生し、インク流路22内のインクQにおいて、その荷電粒子成分を絶縁性基板16側へ泳動させるためのものである。従って、浮遊導電板24は、インク流路22よりもヘッド基板12側に配置される必要がある。また、浮遊導電板24は、吐出電極20の位置よりもインク流路22の上流側に配置されることが好ましい。この浮遊導電板24により、絶縁性基板16の貫通孔18を通過するインク内の荷電粒子成分の濃度を所定濃度に高めることができ、結果として、インク滴Rとして吐出させるインク内の荷電粒子成分の濃度を所定濃度に安定させることができる。なお、浮遊導電板24に電源を接続し、所定電圧を印加するようにしてもよい。
【0016】
さらに、絶縁性基板16上および吐出電極20上には絶縁層28a、絶縁層28bが配置されている。また、絶縁層28aと絶縁層28bの間にはガード電極26が配置されている。ガード電極26は、隣接する吐出部の吐出電極20の間に配置され、隣接する吐出部のインクガイド14の間に生じる電界干渉を抑制するためのものである。ガード電極26は、各吐出部に必要な電界以外を遮蔽するように、隣接する吐出電極20の間の所定領域において、吐出電極20の記録媒体P側に配置されている。
【0017】
記録媒体Pの保持手段50は、記録時搬送ベルト38に保持されて搬送される、記録媒体PにACバイアス電圧を印加する。
記録媒体Pの保持手段50において、背面電極32は、インクジェットヘッド10の対向する位置に配置され、記録媒体PにACバイアス電圧を印加するために、交流電源34に接続されている。また、背面電極32に隣接して、記録媒体Pを負の高電圧に帯電させる際の接地電極36が搬送方向の上流に配置され、接地されている。さらに、背面電極32および接地電極36のインクジェットヘッド10側には搬送ベルト38が配置され、搬送ベルト38のインクジェットヘッド10側には記録媒体Pが保持されている。ここで、搬送ベルト38は、絶縁性材料が使用されており、接地電極36および背面電極32上を摺動しながら、記録媒体Pを搬送方向に移動させ、副走査搬送する。また、搬送ベルト38は記録媒体Pのプラテンとして機能する。
【0018】
さらに、接地電極36に対向したインクジェットヘッド10側には、記録媒体Pを所定の負の高電圧に帯電させ搬送ベルト38に静電吸着させるための帯電ユニット40が配置されている。帯電ユニット40は、記録媒体Pを所定の負の高電圧に帯電させるためのコロナチャージャ40aと、コロナチャージャ40aに負の高電圧を供給する高電圧源40bで構成されている。なお、本発明に用いられる帯電ユニット40の帯電手段としては、スコロトロン帯電器、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針などの各種の帯電手段を用いることができる。ここで、少なくとも記録時には、帯電ユニット40によって、接地電極20に摺接している搬送ベルト38の表面、すなわち記録媒体Pは、吐出電極20に印加される駆動電圧(パルス電圧)と逆極性の所定の負の高電圧、例えば、−1.5kVに帯電された状態に維持される。その結果、記録媒体Pは、帯電ユニット40により帯電されて、吐出電極20に対して負の高電圧に常時バイアスされるとともに、搬送ベルト38に静電吸着される。
また、搬送ベルト38は、接地電極36上で帯電した記録媒体Pを背面電極32上、すなわちインクジェットヘッド10の対向する位置に移動させる。この時、記録媒体Pの帯電状態は変化しないようにするのが好ましい。記録媒体Pは、背面電極32上に移動することにより、インクジェットヘッド10(の吐出電極20)と記録媒体Pの間で電界を形成する。電界の形成により、インクガイド14の先端部分14aにインクメニスカスが形成され、正帯電した荷電粒子は負に帯電した記録媒体Pによって引き寄せられ、インクガイド14周りに濃縮される。
【0019】
ここで、本発明では、交流電源34によって背面電極32に交流バイアス電圧が印加されている。この時記録媒体Pの表面電位は、あらかじめ帯電されていた電圧と交流バイアス電圧とが重畳された電位となる。そのため、インクジェットヘッド10(の吐出電極20)と記録媒体Pの間で形成された電界は、交流バイアス電圧によって常に変化する。また、インクに作用する力が常に変化することで、インクガイド14周りの荷電粒子が揺動している状態になる。さらに、荷電粒子が揺動していることにより、従来の一定の電界の中でインクメニスカスの形成を行うより、吐出応答性を向上させることが可能なインクメニスカスの形成の促進およびインクの濃縮の促進を図ることができる。そのため、駆動電圧(パルス電圧)を印加してから吐出するまでの時間が短縮され描画周波数を向上させることができる。ここで、交流バイアス電圧の波形は、限定されず、どのような波形でもよく、例えば、正弦波、矩形波、三角波、台形波などでもよい。また、交流バイアス電圧の周波数は特に限定されない。さらに、交流バイアス電圧は、インクを吐出しない程度の電圧であり、交流バイアス電圧の実効電圧は吐出電極20に印加される電圧の10%〜60%であることが好ましい。また、背面電極32に交流バイアス電圧に印加することにより、長時間インクが吐出されない場合でも、貫通孔18内のインク中の荷電粒子は常に揺動しているため、インクの過濃縮による目詰まりを防止をすることができる。
【0020】
なお、本発明においては、背面電極32に印加される交流バイアス電圧は、上述したように、インクを吐出させない振幅をもつものであれば、特に制限的ではなく、どのような周波数をもつものでも、どのような位相をもつものでもよいが、インクジェットヘッド10の吐出電極20を駆動する駆動電圧(パルス電圧)信号、もしくはこの駆動電圧(パルス電圧)信号を生成する描画信号の周波数と、同一または逓倍もしくは分周した周波数を持つ電圧信号であるのが好ましい。例えば、図2(a)に示すように、描画信号と交流バイアス電圧とを同一周波数および同位相にして同期させるのが好ましい。こうすることにより、応答性を向上できるので、描画周波数を高くさせることができる。
【0021】
さらに、図2(b)に示すように、描画信号に対して、同一周波数の交流バイアス電圧の信号位相を早く、例えば90度早くしてもよい。このように、交流バイアス電圧信号の位相を描画信号に対して早くすることにより、図2(a)に示す場合よりも、より応答性を向上できるので、描画周波数をより高くさせることが出来る。
従って、本発明においては、前記交流バイアス電圧は前記描画信号よりも位相が進行しており、交流バイアス電圧の位相差を描画信号に対して、0度〜90度とするのが好ましいが、特に、描画周波数の向上のためには、60度〜90度とするのがより好ましい。
また、図2(c)に示すように、描画信号に対して、同一周波数の交流バイアス電圧の信号の位相を遅く、例えば90度遅くしてもよい。
【0022】
さらに、本発明においては、交流バイアス電圧の信号周波数を描画信号の周波数の逓倍、もしくは分周あるいは、描画信号に同期していない周波数にしてもよい。いずれの場合も、インクメニスカスの形成及び荷電粒子の振動が頻繁に行われるため、停止している吐出部の目詰まりがより防止することができる。特に、図2(d)の如く逓倍にした場合には、吐出部の目詰まりの抑制に効果がある。
【0023】
図1に示す例では、背面電極32は、インクジェットヘッド10のすべての吐出部すなわちすべての吐出電極20に対して共通に設けられているが、本発明はこれに限定されず、個々の吐出電極20毎に背面電極を設け、各吐出部の停止時間、すなわち、各吐出電極20に駆動電圧が印加されていない停止時間に応じて、各吐出電極20に対応する各背面電極に印加される交流バイアスの平均電圧値を調整してもよい。例えば図3に示すように、長時間吐出されない吐出部の吐出電極20に対応する背面電極に印加されるACバイアス電圧は、平均電圧値を下げ、吐出部への荷電粒子の濃度を低下させた状態でインクメニスカスを揺動させることにより、インクの目詰まりをより確実に防止することができる。
【0024】
なお、図1に示す例においては、記録媒体Pの保持手段50として、搬送ベルト38を用い、接地電極36上で帯電ユニット40により記録媒体Pを負の高電圧に帯電させ、搬送ベルト38の表面に静電吸着させ、搬送ベルト38を移動させることにより、交流電源34により交流(AC)バイアス電圧が印加された背面電極32上に移動させているが、本発明はこれに限定されず、予め背面電極32への交流電源34によるACバイアス電圧の印加をオフ(OFF)し、背面電極32を接地して、接地電極として機能させ、あらかじめ記録媒体Pを負の高電圧に帯電させた後に、改めて背面電極32に交流電源34によりACバイアス電圧を印加するようにしても良い。
また、記録媒体Pの搬送ベルト38への静電吸着、記録媒体Pへの負の高電圧への帯電を別々の負の高電圧源によって行っても良いし、搬送ベルト38への記録媒体Pの保持は、記録媒体Pの静電吸着に限られず、他の保持方法や保持手段を用いても良い。
【0025】
なお、インクジェットヘッド10を備えた本発明のインクジェット記録装置は、さらに、インクジェットヘッド10に接続される図示しないインク循環系を有しており、このインク循環系によって、インクQを所定速度でインク流路22に循環する。インク循環系は、インクタンクと、インクタンクとインク流路22の供給口とを結ぶ供給管及び回収管と、ポンプや各種の計器等を有する。
インクジェットヘッド10およびそのインク循環系等は、これらが実装されるインクジェット記録装置の使用形態に応じて、必要なインク色数分だけ用意されている。
【0026】
上記のインクジェット記録装置の記録方法について説明する。インクQは、吐出電極20に印加される電圧と同極性(例えば正極)に帯電した荷電粒子を含み、記録時には、図示されていないインク循環機構によって、所定方向に向かって所定の速度で循環される。
また、接地電極36上において、高電圧源40bより負の高電圧が供給されているコロナチャージャ40aによって、記録媒体Pの表面にはDCバイアス電圧として負の所定の電位、例えば−1.5kVに帯電され、搬送ベルト38に静電吸着される。また、帯電した記録媒体Pは、搬送ベルト38により背面電極32上、すなわちインクジェットヘッド10に対向する位置に移動(副走査搬送)される。
【0027】
非吐出時には、吐出電極20の電圧は、低電圧レベル、例えば0Vなっている。この時、記録媒体Pは、−1.5kVの負に帯電しており、背面電極32には−200Vの交流バイアス電圧が印加されている。これにより、インクジェットヘッド10と記録媒体P間に電位差1.5〜1.7kVが印加され、インクQは、泳動現象および毛細管現象などによって絶縁性基板16の貫通孔18を通って、インクガイド14の先端部分14aに供給され、インクメニスカスを形成する。ここで、インクQ中の正帯電した荷電粒子は負に帯電した記録媒体Pから作用する力により、先端部分14aに濃縮される。さらに、交流バイアス電圧を印加していることにより、インクメニスカスを形成しているインクQ中の荷電粒子は揺動し、インクメニスカス形成およびインクの濃縮が促進される。なお、交流バイアス電圧が印加されていても、先端部分14a近辺の電界強度は吐出に必要な電界強度よりも高くなることはなく、インクは吐出しない。
【0028】
次に、吐出時には、吐出電極20に信号電圧源30から、例えば描画信号に応じた400Vの駆動電圧(パルス電圧)が印加されることにより、記録媒体Pとインクジェットヘッド10の間の電位差が交流バイアスが印加されていない場合でも1.9kVになり、先端部分14a近辺の電界強度が高くなり、吐出に必要な電界強度を超え、先端部分14aに濃縮された荷電粒子はインク滴Rとして先端部分14aから吐出され、負に帯電している記録媒体Pに引き寄せられ、記録媒体P上に付着する。
【0029】
上記のように画像データに応じたインクの吐出を行いながら、搬送ベルト38により記録媒体Pを搬送することによって、記録媒体Pに像様にドットを形成して記録を行うことにより、記録媒体Pに画像データに応じた画像を記録することができる。また、背面電極32に交流バイアス電圧を印加することにより、例えば従来5kHz程度であった描画周波数を15kHz以上に向上させることができる。
なお、本実施例では、記録媒体Pとインクジェットヘッド10を相対的に移動させる方法として、搬送ベルト38によって記録媒体Pを移動させたが、この方法に限定されず、例えば記録媒体Pを固定し、インクジェットヘッド10を移動さてもよい。また、この時、記録媒体Pを固定し、帯電ユニットを移動させて帯電を行うのがよい。
【0030】
なお、上述した静電式インクジェットヘッド10は、絶縁性基板16の図中上面に、円形電極などの1層電極構造の吐出電極20を配置するものであるが、本発明はこれに限定されず、吐出電極20の代りに絶縁性基板16の上下面に配置する2層電極構造の吐出電極で構成しても良い。
図4(a)および(b)に、本発明の別の実施形態の2層電極構造の吐出電極62を持つ静電式インクジェットヘッド60の概略構成を概念的に示す。なお、同図に示すインクジェットヘッド60は、絶縁性基板16の図中下面の第2吐出電極62bと、第2吐出電極62bの下方の絶縁層66と、絶縁性基板16の図中上面の第1吐出電極62aとを備えている点を除いて、図1に示すインクジェットヘッド10と同様な構成を有するものであるので、同一の構成要素には、同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略し、主として、相違点について説明する。
【0031】
図4(a)に示すインクジェットヘッド60においては、吐出電極62を、絶縁性基板16を挟むように、図中上面に配置される第1吐出電極62aと、 図中下面に配置される第2吐出電極62bとの2層電極構造としている。ここで、第1吐出電極62aおよび第2吐出電極62bは、それぞれ、絶縁性基板16を挟んで図中上面および下面に、絶縁性基板16に開孔された貫通孔18の周囲を囲むように、吐出部毎にリング状に設けられた円形電極である。また、インクジェットヘッド60は、さらに、 第2吐出電極62bの下方(下面)を覆う絶縁層66と、第1吐出電極62aの上方に絶縁層28aを介して配置されるシート状のガード電極26と、ガード電極26の上面を覆う絶縁層28bとを備えている。そして、図4(b)に示すように、行方向(副走査方向)に配置された複数の第1吐出電極62aは相互に接続され、列方向(主走査方向)に配置された複数の第2吐出電極62bは相互に接続される。
【0032】
また、貫通孔18は、絶縁性基板16の下方の絶縁層66ならびに上方の絶縁層28aおよび28bをも貫通して穿孔されている。すなわち、貫通孔18は、絶縁層66、絶縁性基板16ならびに絶縁層28aおよび28bの積層体を貫通する。この貫通孔18には、 絶縁層66側からインクガイド14が挿入され、 インクガイド14の先端部分14aは、絶縁層28bから突出している。なお、図示例においては、 インクガイド14の先端部分14aは、インク案内溝が形成されていないが、 インクQおよびインク内の荷電粒子成分の先端部分14aへのインク供給を促進するために、形成しても良いのは前述した通りである。
【0033】
ガード電極26は、隣接する吐出部の第1吐出電極62aの間に配置され、隣接する吐出部のインクガイド14の間に生じる電界干渉を抑制するためのものである。ガード電極26は、各吐出部に必要な電界以外を遮蔽するように、隣接する吐出電極62の間の所定領域において、吐出電極62の記録媒体P側に配置されている。
【0034】
記録時には、本実施形態の場合、第1吐出電極62aが1行ずつ順番に高電圧レベルまたはフローティング状態(オン状態)とされ、残りの全ての第1吐出電極62aは接地レベル(接地状態:オフ状態)に駆動される。また、第2吐出電極62bが、画像データに応じて列単位で高電圧レベルまたは接地レベルに駆動される。なお、別の実施形態として、第1および第2吐出電極62aおよび62bを逆の状態に駆動してもよい。
【0035】
図4(a)および(b)に示すように、吐出電極62の第1および第2吐出電極62aおよび62bは、2層電極構造に構成され、マトリックス状に配置される。これらの第1および第2吐出電極62aおよび62bによって、各々の吐出部におけるインクの吐出/非吐出が制御される。すなわち、第1吐出電極62aが高電圧レベルまたはフローティング状態で、かつ第2吐出電極62bが高電圧レベルの場合にはインクが吐出し、第1吐出電極62aまたは第2吐出電極62bの一方が接地レベルの場合にはインクは吐出しない。なお、本発明においては、図4(a)には図示されていないが、第1および第2吐出電極62aおよび62bからなる2層電極構造の吐出電極62に駆動電圧(パルス電圧)を印加して、吐出部のインクガイド14の先端部分14aから、記録媒体Pに向けてインク滴を吐出させる際に、記録媒体Pの背面電極32に交流電圧が印加されているのは前述した通りである。
【0036】
図4(b)は、吐出電極62の第1および第2の吐出電極62aおよび62bの配置を表す一実施例の概念図である。同図に示すように、例えば、インクジェットヘッド60が15ヶ所の吐出部を備える場合、副走査方向の1行当り5個(1,2,3,4,5)ずつ並べられ、かつ主走査方向に3列(A,B,C)に配置される。記録時には、同一行に配置された5個の第1吐出電極62aは同時かつ同一電圧レベルに駆動される。同様に、同一列に配置された3個の第2吐出電極62bは同時かつ同一電圧レベルに駆動される。
【0037】
従って、本実施形態の静電式インクジェットヘッド60においては、複数の吐出電極を行方向および列方向に対して2次元的に配置することができる。
例えば、図4(b)に示すインクジェットヘッドの場合、第1吐出電極62aのA行の5個の吐出電極は、行方向に対して所定の間隔を離して配置される。B行およびC行についても同様である。また、B行の5個の吐出電極は、A行に対して、列方向に所定の間隔を離して、かつ、行方向に対して、それぞれA行の5個の吐出電極とC行の5個の吐出電極との間に配置される。同様に、C行の5個の吐出電極は、B行に対して、列方向に所定の間隔を離して、かつ、行方向に対して、それぞれB行の5個の吐出電極とA行の5個の吐出電極との間に配置される。
【0038】
このように、第1吐出電極62aの各行に含まれる吐出電極をそれぞれ行方向にずらして配置することにより、記録媒体Pに記録される1行を、行方向に3分割している。
すなわち、記録媒体Pに記録される1行は、行方向に対して、第1吐出電極62aの行数に相当する複数のグループに分割され、時分割で順次記録される。例えば、図4(b)に示す例の場合、第1吐出電極62aのA,B,C行を順次記録することにより、記録媒体P上に1行分の画像が記録される。この場合、上記のように、記録媒体Pに記録される1行は行方向に3分割され、時分割により順次記録が行われる。
【0039】
また、本実施形態において、各吐出部の吐出電極62、例えば第1および第2吐出電極62aおよび62bからのインク流路22方向への反発電界を遮蔽するために、第1および第2吐出電極62aおよび62bの流路側にシールド電極を設置しても良い。
【0040】
なお、本実施形態では、描画信号に応じて、第1および第2吐出電極62aおよび62bに駆動電圧(パルス電圧)を印加し、両電極ともに高電圧レベルとなった時に、インク吐出を行うようにしても良い。
【0041】
本発明のインクジェットヘッド60においては、背面電極に交流バイアス電圧を印加することにより、背面電極に交流バイアス電圧を印加しない場合に比べ、吐出応答性を向上させることができ、インクの吐出の追従が可能な描画周波数を向上させることができる。
【0042】
なお、本実施形態のインクジェットヘッド60においては、第1吐出電極62aまたは第2吐出電極62bのどちら一方で、または両方で、インク吐出/非吐出の制御を行うかは特に制限的ではないが、第1吐出電極62aまたは第2吐出電極62bの一方が接地レベルの場合にはインクが吐出せず、第1吐出電極62aがフローティング状態または高電圧レベルで、かつ第2吐出電極62bが高電圧レベルの場合にだけインクが吐出するようにするのが良い。
【0043】
ところで、本実施形態のインクジェットヘッド60においては、図示例のように、ガード電極26を隣接する第1吐出電極62aの間に設けているが、本発明はこれに限定されず、第1および第2吐出電極62aおよび62bをマトリックス駆動する場合には、例えば、下層の第2吐出電極62bを1列毎に順次駆動し、画像データに応じて、上層の第1吐出電極62aを駆動するようにする場合には、第1吐出電極62aの各行の間にのみガード電極を設けるようにしても良い。このような場合にも、記録時にガード電極26を所定のガード電位、例えば接地レベル等にバイアスすることにより、隣接する吐出部の電界の影響を排除することができる。
【0044】
また、吐出電極62を駆動する時、上層の第1吐出電極62aの行を順次オンし、画像データに応じて、下層の第2吐出電極62bをオン/オフした場合、すなわち、行列の並びを逆にした場合、第2吐出電極62bが画像データに応じて駆動されるため、列方向のそれぞれの吐出電極62を中心として、その両側の吐出電極62は、高電圧レベルまたは接地レベルに頻繁に変化する。
しかし、行方向は、第1吐出電極62aの1行毎に駆動され、行方向のそれぞれの吐出電極を中心として、その両側の吐出電極の第1吐出電極62aは常に接地レベルになるため、この両側の吐出電極の行がガード電極の役割を果す。このように、上層の第1吐出電極62aで各行を順次オンし、画像データに応じて下層の第2吐出電極62bを駆動する場合には、ガード電極を設けなくとも、隣接する吐出電極の影響を排除し、記録品質を向上させることができる。
【0045】
さらに、本実施形態のインクジェットヘッド60においては、インク流路22の底面を構成すると共に、第1吐出電極62aおよび第2吐出電極62bに印加された駆動電圧(パルス電圧)によって定常的に生じる誘導電圧により、インク流路22内の正に帯電したインク粒子(荷電粒子、すなわち帯電微粒子成分)を上方へ向けて(すなわち記録媒体P側に向けて)泳動させる浮遊導電板24が設けられている。また、浮遊導電板24の表面には、電気絶縁性である被覆膜(図示せず)が形成されており、インクへの電荷注入等によりインクの物性や成分が不安定化することを防止する。絶縁性被覆膜の電気抵抗は、1012Ω・cm以上が望ましく、より望ましくは1013Ω・cm以上である。また、絶縁性被覆膜は、インクに対して耐腐食性であることが望ましく、これにより浮遊導電板24がインクに腐食されることが防止される。また、浮遊導電板24は、下方から絶縁部材で覆われており、このような構成により、浮遊導電板24は、完全に電気的絶縁浮遊にされている。
浮遊導電板24は、ヘッドの1ユニットにつき1個以上である(例えば、C、M、Y、Kの4つのヘッドがあった場合、浮遊導電板数は最低各1個づつ有し、CとMのヘッドユニット間で共通の浮遊導電板とすることはない)。
【0046】
なお、上記の各実施例において、吐出電極62(第1吐出電極62a、第2吐出電極62b)の電極形状は、円形電極に限定されず、略円形であっても、分割円形電極であっても、平行電極または略平行電極であっても良い。
【0047】
なお、本発明の一態様である静電式インクジェットヘッドにおいて、インク流路22に循環されるインクQは、上述したもの以外にも、次のようなものが使用可能である。すなわち、インクQとしては、粒径0.1〜5μm程度の着色荷電粒子をキャリア液中に分散したものを用いる。キャリア液は、高い電気抵抗率(10Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上、また、好ましくは1016Ω・cm以下)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であることが好ましい。電気抵抗率の高いキャリア液を使用すると、吐出電極によって印加される電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けることを少なくでき、荷電粒子(帯電微粒子成分)の濃度を高めることができ、荷電粒子を濃縮することができる。また、電気抵抗率の高いキャリア液は、隣接する記録電極間での電気的導通の防止にも寄与しうる。また、このような程度の電気抵抗率の液体からなるインクを用いると、低電界下でも、インクの吐出を良好に行うことができる。
【0048】
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。このような比誘電率の範囲とすることによって、誘電性液体中の荷電粒子に有効に電界が作用され、泳動が起こりやすくなる。それにより、溶媒の分極を抑え、電界が緩和されることを抑えることができ、滲みの少ない良好な画像濃度のドットを形成することができる。
【0049】
本発明の一態様である静電式インクジェットヘッドに用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0050】
上記の誘電性液体(非水溶媒)中に、分散される着色荷電粒子は、色材自身を分散粒子として誘電性液体中に分散させてもよいし、定着性を向上させるための分散樹脂粒子中に含有させてもよい。含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色荷電粒子とする方法などが一般的である。色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
【0051】
インク中に分散されたインク粒子、すなわち、着色荷電粒子は、樹脂と色材とを含むものであるのが好ましい。
ここで、インク中に分散された着色荷電粒子の含有量は、印刷画像濃度、均一な分散液の形成、吐出ヘッドでのインクの目詰まりの抑制という観点から、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。
【0052】
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0053】
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましい。
【0054】
また、誘電性溶媒中に分散された着色荷電粒子の平均粒径は、0.1μm〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2μm〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4μm〜1.0μmの範囲である。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
【0055】
なお、インクQ中の着色荷電粒子は、好ましくは正荷電または負荷電の検電性粒子である。
これらの着色荷電粒子に検電性を付与するには、湿式静電写真用現像剤の技術を適宜利用することで達成可能である。具体的には、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の検電材料および他の添加剤を用いることで行われる。
【0056】
また、インク組成物として、粘度は0.5〜5mPa・secの範囲が好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secの範囲である。着色荷電粒子は荷電を有し、必要に応じて電子写真用液体現像剤に用いられている種々の荷電制御剤が使用でき、その荷電量は5〜200μC/gの範囲が望ましく、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化する事もあり、下記に定義する分配率Pが、50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インク組成物の電気伝導度、σ2は、インク組成物を遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインク組成物とすることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
【0057】
一方、インク組成物の電気伝導度σ1は、100〜3000pS/cmの範囲が好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmの範囲である。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。また、インク組成物の表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/mさらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
【0058】
なお、本発明の一態様である静電式インクジェットヘッドにおいては、従来のインクジェット方式のように、インク全体に力を作用させて、インクを記録媒体に向けて飛翔させるのではなく、主に、キャリア液体に分散させた固形成分である荷電粒子に力を作用させて、飛翔させるものである。その結果、普通紙を初めとして、非吸収性のフィルム、例えばPETフィルムなどの種々の記録媒体に画像を記録することができ、また、記録媒体上で、滲みや流動を生じることなく、種々の記録媒体に対して、高画質な画像を得ることができる。
【0059】
また、上記の例では、インク中の着色荷電粒子を正帯電させ、記録媒体を負の高電圧にし、吐出電極に電圧を印加することによってインクを吐出するインクジェットによって画像記録を行うインクジェット式記録装置について説明したが、本発明はこれには限定されず、逆に、インク中の着色荷電粒子を負に帯電させ、記録媒体を正の高電圧にして、インクジェットによる画像記録を行っても良い。このように、着色荷電粒子の極性を上記の例と逆にする場合には、記録媒体への帯電、静電吸着手段、背面電極、静電式インクジェットヘッドの吐出電極への印加電圧極性等を上記の例と逆にすれば良い。
【0060】
また、上記実施例ではいずれも吐出に必要な電位差を得るため予めインクジェットヘッドと記録媒体の間に所定のバイアス電圧をかけておく方法として記録媒体を所定の電圧に帯電させる方法を用いたが、これに限定されず、例えば、交流電源にDCバイアス電圧源を接続し、背面電極に負の高電圧のDCバイアスに交流バイアス電圧を重畳することにより、所定のバイアス電圧を得る方法でもよい。また、搬送ベルトを用いずに記録媒体を直接背面電極に保持させ、記録媒体に対して、帯電ユニットおよびインクジェットヘッドを移動させることにより、記録媒体に画像データに対応する画像を記録することも可能である。
【0061】
また、本発明の一態様である静電式インクジェットヘッドおよび記録装置は、帯電した色材成分を含むインクを吐出するものに限定されるものではなく、荷電粒子を含む液体を吐出させる液体吐出ヘッドであれば特に制限されず、例えば、上記静電式インクジェット記録装置の他に、荷電粒子を利用して液滴を吐出して対象物を塗布する塗布装置に適用することができる。
【0062】
以上、本発明に係るインクジェットヘッド記録装置について、種々の実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記種々の実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、背面電極に交流バイアス電圧を印加することにより、インクメニスカスの形成および荷電粒子の濃縮を促進させることができ、放電の危険性もなく、インクの吐出が追従する描画周波数を向上させることができが可能となり、吐出応答性を向上させることができる。また、本発明によれば、インクメニスカスとなる液面を揺動させておくことができ、このため、インクの目詰まりを防止することができ、改善されたインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるインクジェット記録装置の一実施例の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明における信号電圧源の描画信号および交流電源の交流バイアス電圧の関係を示す波形図の例であり、(a)は、描画信号と交流バイアス電圧とが同一周波数、同位相で同期している場合、(b)は、描画信号と交流バイアス電圧とが同一周波数で、交流バイアス電圧の位相が進んでいる場合、(c)は、描画信号と交流バイアス電圧とが同一周波数で、交流バイアス電圧の位相が遅れている場合、(d)は、描画信号に対して交流バイアス電圧の周波数が逓倍の場合である。
【図3】本発明における描画信号と交流バイアス電圧の関係を示す波形図の他の例である。
【図4】(a)は、本発明に係る静電式インクジェットヘッドの吐出電極の他の実施例の概略構成を示す模式的斜視図であり、(b)は、(a)に示す吐出電極に用いられる第1および第2吐出電極の配置を表す一実施例の模式的斜視図である。
【符号の説明】
10、60 インクジェットヘッド
12 ヘッド基板
14 インクガイド
14a 先端部分
16 絶縁性基板
18 貫通孔
20、62 吐出電極
22 インク流路
24 浮遊導電板
26 ガード電極
28a、28b、66 絶縁層
30 信号電圧源
32 背面電極
34 交流電源
36 接地電極
38 搬送ベルト
40 帯電ユニット
50 記録媒体の保持手段
62a 第1吐出電極
62b 第2吐出電極

Claims (4)

  1. 荷電粒子を含むインクに静電力を作用させて、インク滴を吐出させることにより、記録媒体上に記録するインクジェット記録装置であって、
    前記記録媒体に対向した位置に配置され、前記インク滴を吐出させるための電圧を印加する吐出電極を備えるインクジェットヘッドと、
    前記吐出電極に描画信号に応じて所定の駆動電圧を印加する信号電圧源と、
    前記記録媒体の裏面側に配置される背面電極と、
    前記背面電極に交流バイアス電圧を印加する交流電源とを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記記録媒体の表面電位を所定の電圧に帯電させる帯電手段を有する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記背面電極に印加される交流バイアス電圧の周波数は、前記描画信号の周波数と同一または逓倍もしくは分周したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記交流バイアス電圧の周波数は、前記描画信号の周波数と同一でかつ、位相差があることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
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