JP2005045286A - 変圧器の解体方法 - Google Patents

変圧器の解体方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005045286A
JP2005045286A JP2004312591A JP2004312591A JP2005045286A JP 2005045286 A JP2005045286 A JP 2005045286A JP 2004312591 A JP2004312591 A JP 2004312591A JP 2004312591 A JP2004312591 A JP 2004312591A JP 2005045286 A JP2005045286 A JP 2005045286A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
case
pcb
lid
transformer
cutting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004312591A
Other languages
English (en)
Inventor
Isao Onodera
功 小野寺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HOKURIKU ELECTRIC Manufacturing
Hokuriku Electric Co Ltd
Sato Tekko Co Ltd
Original Assignee
HOKURIKU ELECTRIC Manufacturing
Hokuriku Electric Co Ltd
Sato Tekko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HOKURIKU ELECTRIC Manufacturing, Hokuriku Electric Co Ltd, Sato Tekko Co Ltd filed Critical HOKURIKU ELECTRIC Manufacturing
Priority to JP2004312591A priority Critical patent/JP2005045286A/ja
Publication of JP2005045286A publication Critical patent/JP2005045286A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

【課題】ケースのフランジに溶接した蓋を切削して取り外す際に、PCBが酸化せずにすみ、ケースの内面に切り粉が付着せず、また、蓋とフランジの間に挟んだガスケットを容易に取り出せるようにすることである。
【解決手段】ベッドの上に有底筒状のケースを固定し、ケース内に有する絶縁油のPCBに変圧器本体を浸漬し、ケースの上端開放口を塞ぐ蓋を、ケースのフランジ全周に亘ってスミ肉溶接部で固定し、フランジと蓋の間にはリング状のガスケットを有すると共に、ガスケットの内周側と外周側に位置ズレ防止用のストッパを有する変圧器の解体方法において、PCBをケースから抜き取った後に、残存するPCBを非酸化状態に保持しつつスミ肉溶接部を切削して蓋とケースを分離することを特徴とする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、使用済不燃性変圧器から絶縁油であるPCBを抜き取って解体する方法に関する。
変圧器の概略構造は、有底筒状のケース内の変圧器本体をPCBに浸漬し、ケースに蓋を被せ、PCBを冷却するクーラをケースに取り付けたものである。そして、従来の変圧器の処理方法は、PCBを抜き取った後にPCBの濃度を下げてから解体をしていた。
変圧器は、蓋とケースのフランジをスミ肉溶接部で固定する構造がある。この場合に、変圧器の解体方法における蓋とケースの分離方法は、色々な方法がある。例えば、ケースの筒部の上部を全周に亘って切断する方法や、蓋の内周側を切断して、フランジに蓋の外周縁部を残した状態にする方法がある。ところが、いずれも、切り粉がケース内に飛散するおそれがあり、しかも、フランジと蓋の外周縁部の間のガスケットや、ストッパに付着したPCBを除去し難いものである。また、ケースの筒部の上部を切断する方法は、ケースの外側のクーラなどが邪魔になって切断しにくい。なお、蓋をガスで切断すると、PCBがガスの熱で酸化してダイオキシンになることから、好ましくない。
本発明の解決課題は、ケースのフランジに溶接した蓋を切削して取り外す際に、PCBが酸化せずにすみ、ケースの内面に切り粉が付着せず、また、蓋とフランジの間に挟んだガスケットを容易に取り出せるようにすることである。
また、PCBは粘度が高い上に、変圧器本体及びクーラは構造が複雑であるので、単にPCBを排油口から抜くだけでは、高濃度のPCBが多量に付着して危険であるため、それ以降の解体処理が通常できなかった。
さらに、PCBの濃度を下げる仕方としては、PCBを抜いた変圧器をそのまま真空加熱炉に投入して、残ったPCBを真空加熱炉に接続した吸引装置にできるだけ吸い取る方法や、ケースを覆う蓋をガスで切断し、中から高濃度のPCBが付着した変圧器本体を取り出して、ケース内や変圧器本体のPCBが触れている部分を希釈洗浄する方法や、蓋の切断後に取り出した変圧器本体とケースを別々に真空加熱炉や洗浄装置に投入する方法がある。
ところが上述した濃度を下げる方法は以下の不都合がある。蓋を外してから洗浄したり、高濃度のPCBが付着した変圧器本体をケース内から取り出すことは、機械で遠隔操作で作業したとしても、その作業時にPCBが飛散したり、高濃度のPCBが付いた機械に触れる危険性があるので、安全とは言えない。
請求項2以下の発明は上記実情を考慮して開発されたもので、その解決課題は、請求項1の発明の解決課題に加えて、PCBを効率良く抜き取ることができることや、ケースから蓋を取り外す前にケース内部を洗浄し且つその洗浄でPCBの濃度を充分に下げてから変圧器本体をケースから取り出して以後の解体処理ができることである。
また、ケースからクーラを取り外す際には、ケースの外側からケースとクーラを繋ぐパイプを切断する方法もあるが、この方法の場合は、クーラ自体が邪魔になって切断し難いだけでなく、ケースの外側にパイプの切り残し部分が突出する形態となりやすい。
請求項5の発明の固有の解決課題は、クーラをケースから分離する際にケースの外周面にパイプの切り残し部分が突出した状態とならないようにすることである。
さらに、請求項6の発明の固有の解決課題は、解体の際にPCBが漏れ出た場合や、解体の際に切り粉が発生した場合に、周囲に飛散しないようにすることである。
請求項1の発明は、ベッドの上に有底筒状のケースを固定し、ケース内に有する絶縁油のPCBに変圧器本体を浸漬し、PCBを冷却するクーラをケース外に有し、蓋の上には、碍子に支持された一次端子及び二次端子を突出し、ケースの上端開放口を塞ぐ蓋を、ケースのフランジ全周に亘ってスミ肉溶接部で固定し、フランジと蓋の間にリング状のガスケットを有すると共に、ガスケットの内周側と外周側に位置ズレ防止用のストッパを有する変圧器の解体方法において、PCBをケースから抜き取った後に、残存するPCBを非酸化状態に保持しつつスミ肉溶接部を切削して蓋とケースを分離することを特徴とする。
残存するPCBを非酸化状態に保持するとは、切断手段で変圧器を分離する際に、各材料に付着した低濃度のPCBが酸化しないようにすることを意味し、切断する場合に加工熱がPCBの酸化温度以上となるときは、PCBが酸化しない程度にまでその切断の速度を落としたり、不活性ガスの雰囲気下で切断するか、不活性ガスを吹き付けて切断するか、冷却ガスを吹き付けて被切削部分を冷却して切断すること意味する。このようにすれば、蓋とフランジの間に置いたガスケットがそのまま取り出せる。
不活性ガスの雰囲気下とは、切断箇所に不活性ガスを吹き付けている状況や、切断箇所及びその周囲が不活性ガスで充満している状況を意味する。不活性ガスの一例としては、窒素ガスがある。窒素ガスは空気から生成できるので、切削する周囲の酸欠対策が不要となる。被切削部分を冷却するとは、被切削部分に冷却液を吹き付けて温度を強制的に下げることを意味し、例えば液状化した窒素ガスが一例として挙げられる。このような条件下であれば、空気が存在し常温ではPCBがダイオキシンになる速度で加工しても、ダイオキシンが発生しないことになり、切削速度を速くできる。
PCBは粘度が高い上に、変圧器本体及びクーラは構造が複雑であるので、単にPCBを排油口から抜くだけでは、高濃度のPCBが多量に付着して危険であるため、以後の解体処理が行い難い。そこで、請求項2の発明のように、PCBをケースから抜き取る工程と、残存するPCBを非酸化状態に保持しつつスミ肉溶接部を切削して蓋とケースを分離する工程の間に、ケース内を洗浄して洗浄液を抜き取る工程を設けることが望ましい。
上述したように単にPCBを排油口から抜くだけでは、高濃度のPCBが多量に付着して危険であるため、抜き取り時のPCBの回収効率を上げるには請求項3の発明のように、PCBをケースから抜き取る前に、一次端子又は二次端子の何れか一方を導体で短絡すると共に、他方の端子へ電流を供給してPCBを加熱する工程を設けて、PCBの粘度を下げることが望ましい。
ケース内を洗浄して洗浄液を抜き取る工程の仕方は色々あるが、PCBの濃度を迅速且つ充分に下げるには、請求項4の発明のように、PCBを抜き取ったケース内に洗浄液を充満させ、一次端子又は二次端子のいずれか一方を導体で短絡すると共に、他方の端子へ電流を供給して洗浄液を加熱し、その後に洗浄液を抜き取る工程であることが望ましい。
残存するPCBを非酸化状態に保持しつつケースからクーラを切断手段で切断して分離する工程は、蓋とケースを分離する工程の前、或いは後の何れに行っても良い。また、ケースからクーラを切断手段で切断して分離する際には、ケースの外側からケースとクーラを繋ぐパイプを切断する方法もあるが、この方法の場合は、クーラ自体が邪魔になって切断し難いだけでなく、ケースの外側にパイプの切り残し部分が突出する形態となりやすい。従って、請求項5の発明のように、ケースの内側から切断手段を用いて、ケースとクーラを繋ぐパイプの根元部分の外周に沿って切断して、クーラをケースから分離することが望ましい。なお、パイプの根元部分の外周を冷却する場合は、冷却液をケースの外側から吹き付けて行っても良いがクーラが邪魔になるので、ケースの内側から吹き付ければ作業が容易である。
上述した各工程は、床の上で行ってもよいが、解体の際にPCBが漏れ出た場合や、解体の際に発生する切り粉等が周囲に飛散しないようにするには、請求項6の発明のように、各工程を皿状容器の上で行うことが望ましい。
請求項1の発明は、スミ肉溶接部を切削するので、ケースの内面に切り粉が付着しない。従って、ケースから切り粉を除去する必要がない。また、スミ肉溶接部を切削すれば、ケースのフランジと蓋の間に介在するガスケットを、そのまま取り出すことができ、ガスケットの洗浄も容易にできる。さらに、PCBを非酸化状態に保持しつつ行うので、ダイオキシンが発生せず安全である。
請求項2の発明は、ケースから蓋を取り外す前にケース内部を洗浄し、しかも、その洗浄でPCBの濃度を充分に下げるので、変圧器本体をケースから取り出すなどの以後の解体処理が安全にできる。
請求項3の発明は、PCBを加熱してケース内及びクーラ内を循環させて粘性を下げてから抜き取るので、PCBが効率良く排出される。
請求項4の発明は、PCB排出後に、洗浄液を投入して同様に加熱・循環させてから洗浄液を抜き取るので、PCBの濃度を効率良く下げることができる。
請求項5の発明は、ケースの内側からクーラとの連結部分の外周を切削するので、ケースの外周面から、クーラに連結するパイプが完全に外れる。従って、ケース自体の洗浄が容易になる。
請求項6の発明は、トレイに載せて解体を行うので、万一PCBが漏れた場合でも床への飛散を防止でき、また、解体に切削を用いた場合でも、切り粉が飛散しない。
変圧器1は図1から図3に示すように、枠組したベッド2の上に有底筒状のケース3の底部外周を溶接し、ケース3内に溜めた絶縁油のPCB4に変圧器本体5を浸漬し、ケース3の上端開放口を塞ぐ蓋6を、ケース3のフランジ7に溶接で固定し、PCB4を冷却するクーラ8をケース3外に有し、蓋6の上には、碍子9に支持された一次端子10及び二次端子11を突出してある。
変圧器本体5は、鉄心12と、鉄心12を囲むコイル13を上下のフレーム14,14間にボルト・ナットで締め付け固定し、上側のフレーム14から吊りボルト15を蓋6に向かって突出したもので、蓋6に付けたアングルに吊りボルト15をナットで締め付けて位置決めしたものである。
クーラ8は図3及び図4に示すように、上下のヘッダー16,16間に多数本の放熱パイプ17を連結し、両ヘッダー16,16からケース3に向かってL字状にジョイントパイプ18を延長し、ジョイントパイプ18の先端に付いたフランジをケース3の筒部19から突出するパイプ20のフランジに固定したものである。
蓋6とケース3のフランジ7との連結構造は図5に示すように、蓋6とフランジ7の間に内周側から外周側に向かって、ストッパ21、ガスケット22、ストッパ23を順次介在し、両ストッパ21,23の一方を蓋6に、他方をフランジ7に溶接してあり、両ストッパ21,23の間にガスケット22を配置して位置が大幅にズレるのを防止し、さらに、フランジ7の外周縁部と蓋の外周縁部を全周に亘って溶接してスミ肉溶接部24を形成してある。フランジ7は蓋6よりも外径が大きく形成してあり、スミ肉溶接部24はフランジ7の表面に載った状態となっている。
上述した変圧器の解体方法を図9、図10を主に参照しながら説明する。先ず準備工程として、台車25上のトレイ26に変圧器1を人手又はクレーンで吊り上げて載せる。トレイ26を用いるのは、切削した場合の切り粉の飛散を防ぎ、万一、PCBが漏れた場合に床に飛散するのを防ぐためである。また、台車25を用いるのは、以下の各工程場所への移動を容易にするためである。次に、第一工程としてPCBを抜き取り、第二工程としてケース3内を洗浄し、ケース3内のPCB濃度を低下させる。なお、第一、第二工程は後で詳述する。第三工程として、ケース3から蓋6を分離手段27で分離する。フランジ7と蓋6の固定に溶接を用いた場合は図5に示すように、リーマを下降させながらスミ肉溶接部24を切削する。なお、スミ肉溶接部24は、蓋6の外周縁の裏面側に僅かに回り込んでいるので、スミ肉溶接部24の切削の際には、蓋6の外周縁も僅かに切削することになるが、フランジ7を切削する必要はない。フランジ7と蓋6の固定にボルト・ナットを用いた場合は、ボルト・ナットを外す。第四工程では、クレーン28のフックに掛ける吊りワイヤの端部を蓋6の縁部に固定してから、ケース3から分離した蓋6をクレーン28で引き上げて、蓋付きの変圧器本体5を、クーラ付きのケース3から抜き出す。抜き出した変圧器本体5は、別の台車25上のトレイ26に載せる。
上述した分離手段とは、金属板の切断や、ボルト・ナットの取り外し、金属板の溶接箇所の切削等を行う工作機械を意味する。切断手段とは、分離手段の一態様であって、加工熱がPCBの酸化温度(150℃)未満である切断や、加工速度を落とせば加工熱がPCBの酸化温度未満となる切断をする工作機械を意味し、PCBが酸化するもの例えばガスによる切断を除く。具体的な例としては、カッターを回転又は直線往復運動して切断するもの、ウォータージェットやレーザー加工が挙げられる。
第五工程では、切断手段29の切断部をケース3の内側に入れ、クーラ8に向かって突出するパイプ20の根元部分の外周に沿って切断して、ケース3からクーラ8を分離する。第六工程では、図7に示すように切断手段29でケース3の下部を全周に亘って切断し、ケース3の筒部19と、ケース3の底部付きのベッド2に分ける。その後、筒部19を減容化手段30のプレスにより圧縮し、枠組したベッド2を分離手段27でさらに分離する。また、第七工程では、蓋付きの変圧器本体5を分離手段27で吊りボルト15を外したり、切断したりして、一次端子及び二次端子付きの蓋6と、変圧器本体5に分離する。第八工程では、一次端子及び二次端子付きの蓋6と、変圧器本体5をさらに分離手段27で分離して、蓋6、一次端子10、二次端子11、吊りボルト15、フレーム14、鉄心12、コイル13に分け、分けた各材料を減容化手段(図示省略)で潰したり切断した後に、各材料を無害化手段(図示省略)に投入し、各材料に付着した低濃度のPCBを洗浄して希釈したり、真空加熱して吸引したりして、PCBの濃度をさらに下げる。尚、上述した工程で分離手段、切断手段、減容化手段を用いた場合に、加工熱でダイオキシンが発生することが想定されるときは、各材料に残存するPCBを非酸化状態に保持しつつ作業する。
このようにして、各材料に付着したPCBの濃度を低くすれば、資源として再利用することもできる。
減容化とは、プレス等によって圧縮して容積を小さくすることと、切断して体積を小さくすることを含めた概念である。また、減容化手段とは、減容化するための工作機械を意味する。無害化とは、各材料に残存した低濃度のPCBを除去することを意味し、除去の仕方には、洗浄装置内の洗浄液に材料を漬けて攪拌して材料の表面を希釈洗浄したり、材料を真空加熱炉に投入し真空加熱して、真空加熱炉に接続した吸引装置にPCBを吸引する仕方が一例として挙げられる。無害化手段とは、洗浄装置や、真空加熱炉が一例として挙げられる。
上述した第一工程を詳細に説明する。図7の如く変圧器本体の二次端子11,11を当該二次端子11,11に流れる二次電流I2に十分耐え得る太さを持った導体で短絡し、CT31及び電流計で一次側を計測しながら電源32から一次端子10,10へ定格値の一次電流I1を供給するものである。場合によっては、変圧器本体5の一次端子10を当該一次端子に流れる一次電流I1に十分耐え得る太さを持った導体で短絡し、CT及び電流計で二次側を計測しながら電源から二次端子11,11へ定格値の二次電流I2を供給することもある(図示省略)。尚、電源としては変圧器の定格周波数を満足する交流電源を用い、その調整には、インバータ、IVR或いは発電機など既存の手法を用いれば良い。
この様に一次端子10へ定格値の一次電流I1を流すことによって、一次コイルには定格値の一次電流I1が流れ、二次コイルには定格値の二次電流I2が流れる。その結果、当該定格値の一次電流I1及び定格値の二次電流I2が流れる一次コイル及び二次コイルのインピーダンスが負荷となって発熱し(巻線の銅損等による発熱)、当該一次コイル及び二次コイルがPCBを加熱する為の熱源として機能することとなる。
上記条件下で一定時間放置すると、PCBが加熱されケースを通じてその熱が発散する結果、変圧器全体の蓄熱量が飽和し、変圧器個々の設計に基づく一定の温度を以て温度上昇が停止する。この様な特性により、当該加熱手法によれば、特別な電源を用いることなく変圧器全体を極めて容易に加熱することができる。
即ち、加熱時における温度制御は、一次コイル及び二次コイルに定格値の一次電流I1及び定格値の二次電流I2を流した際に交流電力計等で計測し得る各変圧器固有の損失(銅損)に基づき容易に行うことができ、当該加熱時に用いられる電力量は、加熱に要した通電時間から算出することができる。また、粘度を低下させるのに適した温度を得るべくPCB自体の温度を計測する為の温度計についても、変圧器に付属した温度計を流用することができる。
上記手法は、定格値以上の電流を長時間流さない限り変圧器を過度に加熱する虞が無く、安全性の高い作業が可能となるが、加熱時間を短縮する為に一次コイル及び二次コイルへ定格値以上の一次電流I1及び二次電流I2を流して加熱することも可能である。また、PCBの昇温速度を速めるための方法として、予め加温したPCBをケースに注入してから各端子に電流を供給して加熱する方法もある。定格値以上の一次電流I1及び二次電流I2を流した場合には、定格電流比の二乗に比例したエネルギーを供給出来ることとなり、加熱時間短縮に顕著な効果が得られる。
逆に、定格値以下の一次電流I1及び二次電流I2を流して加熱する場合としては、準備した電源と変圧器本体のインピーダンス電圧のマッチングが悪い場合が挙げられるが、上記場合と比較して加熱時間が長くなるものの機能的には支障がない。また、変圧器の定格周波数と電源の定格周波数が異なる場合も想定され、それによって変圧器のインピーダンスが変化して温度上昇特性が変わることもあるが、上記の如く供給電力量及び温度の管理を行っておけば機能的には問題がない。交流電源の波形にあっても、電源から一次側へ流された一次電流I1によって二次側に電圧が誘起し二次電流I2が流れ得る電源波形であれば、たとえパルス状に発生する電源であっても同様の効果を得ることが可能である。
尚、先に示した例は単相変圧器の例であるが、三相変圧器においても電源を三相とすることによって同様の効果を得ることができ、更に三巻線変圧器等の多巻線変圧器においても電源供給巻線以外の巻線を短絡することにより同様の効果を得ることができる。また、加熱対象たる変圧器全体をシートや容器等の保温カバーで覆うことにより加熱効率が高まり作業時間を短縮することができる。当該保護カバーについては、耐熱性や絶縁性を兼ね備えた素材であることを要求されることは言うまでもない。
上記方法によって粘度が下げられたPCBは図1に示すように、蓋6の上に付いた注油口33とケース3の下部の排油口34を開けることによって当該排油口34から滞り無く排出されるが、排出速度を上げる場合には別途ポンプ等を接続することも可能である。
続いて行われる第二工程は、洗浄するケース3の内部に炭化水素系溶剤から成る洗浄液を封入し加熱しながら洗浄液を熱対流により撹拌させるという手法を用いて行われる。具体的には、前記注油口33、ケース3内部及び排油口34を経る環状の管路(図示省略)と、前記ケースの内部のPCBを含有した使用済洗浄液にPCBの分離・除去処理を施す洗浄液回収手段(図示省略)と、当該洗浄液回収手段によって回収された処理済洗浄液を洗浄液として再びプールし前記管路へ適宜再供給する洗浄液貯留タンク(図示省略)を具備した洗浄液循環経路を用いて行われる。
当該ケース内洗浄方法は、前記PCB抜き取り工程で採用した変圧器本体の一次端子又は二次端子のいずれか一方を当該端子に流れる電流に十分耐え得る太さを持った導体35で短絡し、他方の端子へ電流を供給する変圧器解体処理工程におけるPCB加熱手法を、洗浄液加熱手法として採用し、ケースの内部に洗浄液を充満させると共に、当該ケース3に充満された洗浄液、並びに、当該ケースの内面及び変圧器本体等に付着したPCBを上記PCB加熱手法と同様の手続きを以て加熱した状態で実施する。そして、前記ケース内の洗浄液の入れ替えとその都度一定時間の加熱・洗浄処理を複数回繰り返し、加熱・洗浄処理後の使用済洗浄液のPCB濃度が人的解体処理に適した安全基準を十分に下回った時点で当該洗浄工程は一応終了とする。場合によっては、万全を期してその後何度かの洗浄液の入れ替えと加熱・洗浄処理を繰り返す場合もある。
上記洗浄液加熱手法の実施により、前記PCB加熱手法と同様に、ケースの内壁に付着したPCBの粘度を低下させ、更に、ケース内に充満された洗浄液を加熱し、その結果、当該洗浄液のケースの隅々に亘る対流が生じ、PCBの含有量の少ない新鮮な洗浄液がケース内部の隅々にまで行き渡ることとなる他、加熱効率や制御特性等についても前記PCB加熱手法と同様に極めて良好なものとなる。また、加熱対象たる変圧器全体をシートや容器等の保温カバーで覆うことにより加熱効率が高まり作業時間を短縮することができる点も前記PCB加熱手法と同様である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば第五工程と第六工程の間に図8に示すように、クーラを外したケース3の抜穴36に栓37をし、上から板38を被せ、洗浄液を噴霧するパイプ39を板38の孔から内部に挿入して、ケース3の内面を洗浄する工程を入れても良い。このようにすれば、クーラを外したケース3の内面に付着したPCBの濃度をさらに下げることができる。
本発明に使用する変圧器の構造を示す正面側の縦断面図である。 変圧器の構造を示す側面側の縦断面図である。 変圧器の構造を示す平面図である。 (イ)(ロ)(ハ)(ニ) クーラを示す平面図、正面図、側面図、A−A線断面図である。 スミ肉溶接部の切削状態を示す拡大断面図である。 ケースの下部を切削する状態を示す拡大断面図である。 PCBの抜き取り、及びケース内部の洗浄方法を示す説明図である。 ケース内部を洗浄する方法を示す縦断面図である。 変圧器の解体方法を示す前半部分の説明図である。 変圧器の解体方法を示す後半部分の説明図である。
符号の説明
1 変圧器
2 ベッド
3 ケース
4 PCB
5 変圧器本体
6 蓋
7 フランジ
8 クーラ
9 碍子
10 一次端子
11 二次端子
12 鉄心
13 コイル
14 フレーム
15 吊りボルト
19 筒部
20 パイプ
21,23 ストッパ
22 ガスケット
24 スミ肉溶接部
26 トレイ
27 分離手段
29 切断手段
30 減容化手段
35 導体

Claims (6)

  1. ベッド(2)の上に有底筒状のケース(3)を固定し、ケース(3)内に有する絶縁油のPCB(4)に変圧器本体(5)を浸漬し、PCBを冷却するクーラ(8)をケース(3)外に有し、蓋(6)の上には、碍子(9)に支持された一次端子(10)及び二次端子(11)を突出し、ケース(3)の上端開放口を塞ぐ蓋(6)を、ケース(3)のフランジ(7)全周に亘ってスミ肉溶接部(24)で固定し、フランジ(7)と蓋(6)の間にリング状のガスケット(22)を有すると共に、ガスケット(22)の内周側と外周側に位置ズレ防止用のストッパ(21,23)を有する変圧器の解体方法において、
    PCB(4)をケース(3)から抜き取った後に、残存するPCB(4)を非酸化状態に保持しつつスミ肉溶接部(24)を切削して蓋(6)とケース(3)を分離することを特徴とする変圧器の解体方法。
  2. PCB(4)をケース(3)から抜き取る工程と、残存するPCB(4)を非酸化状態に保持しつつスミ肉溶接部(24)を切削して蓋(6)とケース(3)を分離する工程の間に、ケース内を洗浄して洗浄液を抜き取る工程を設けることを特徴とする請求項1記載の変圧器の解体方法。
  3. PCB(4)をケース(3)から抜き取る前に、
    一次端子(10)又は二次端子(11)の何れか一方を導体(35)で短絡すると共に、他方の端子へ電流を供給してPCB(4)を加熱する工程を設けることを特徴とする請求項1又は2記載の変圧器の解体方法。
  4. ケース内を洗浄して洗浄液を抜き取る工程とは、
    PCB(4)を抜き取ったケース(3)内に洗浄液を充満させ、一次端子(10)又は二次端子(11)のいずれか一方を導体(35)で短絡すると共に、他方の端子へ電流を供給して洗浄液を加熱し、その後に洗浄液を抜き取る工程であることを特徴とする請求項2記載の変圧器の解体方法。
  5. 残存するPCBを非酸化状態に保持しつつスミ肉溶接部(24)を切削して蓋(6)とケース(3)を分離する工程の後に、ケースの上端開放口から変圧器本体(5)を抜き取る工程を行い、その後にケース(3)の内側から切断手段(29)を用いて、ケース(3)とクーラ(8)を繋ぐパイプ(20)の根元部分の外周に沿って切断して、クーラ(8)をケース(3)から分離する工程を行なうことを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の変圧器の解体方法。
  6. 各工程をトレイ(26)の上で行なうことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の変圧器の解体方法。
JP2004312591A 2004-10-27 2004-10-27 変圧器の解体方法 Pending JP2005045286A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004312591A JP2005045286A (ja) 2004-10-27 2004-10-27 変圧器の解体方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004312591A JP2005045286A (ja) 2004-10-27 2004-10-27 変圧器の解体方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001302318A Division JP2003109834A (ja) 2001-09-28 2001-09-28 変圧器の解体方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005045286A true JP2005045286A (ja) 2005-02-17

Family

ID=34270386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004312591A Pending JP2005045286A (ja) 2004-10-27 2004-10-27 変圧器の解体方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005045286A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6080209A (ja) * 1983-10-07 1985-05-08 Toshiba Corp 電磁機器の乾燥処理方法
JPH0829597A (ja) * 1994-07-15 1996-02-02 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 放射能汚染物の収納方法及びその収納体
JPH08205375A (ja) * 1995-01-25 1996-08-09 Fujitsu Ltd 海底中継装置
JPH0979531A (ja) * 1995-09-12 1997-03-28 Nippon Steel Corp Pcb付着トランスの無害化処理方法
JP2000140817A (ja) * 1998-11-04 2000-05-23 Tohoku Electric Power Co Inc Pcb付着電気機器のリサイクルシステムおよび有価物のリサイクル製造方法
JP2000299228A (ja) * 1999-04-12 2000-10-24 Mitsubishi Heavy Ind Ltd Pcb付着機器のpcb除去方法及びその装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6080209A (ja) * 1983-10-07 1985-05-08 Toshiba Corp 電磁機器の乾燥処理方法
JPH0829597A (ja) * 1994-07-15 1996-02-02 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 放射能汚染物の収納方法及びその収納体
JPH08205375A (ja) * 1995-01-25 1996-08-09 Fujitsu Ltd 海底中継装置
JPH0979531A (ja) * 1995-09-12 1997-03-28 Nippon Steel Corp Pcb付着トランスの無害化処理方法
JP2000140817A (ja) * 1998-11-04 2000-05-23 Tohoku Electric Power Co Inc Pcb付着電気機器のリサイクルシステムおよび有価物のリサイクル製造方法
JP2000299228A (ja) * 1999-04-12 2000-10-24 Mitsubishi Heavy Ind Ltd Pcb付着機器のpcb除去方法及びその装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111761267A (zh) 一种回弹式方管焊接内侧气体保护装置
JP2005045286A (ja) 変圧器の解体方法
JP2002260932A (ja) 変圧器解体処理工程における絶縁油抜き取り方法及び絶縁ケース内洗浄方法
JP2003109834A (ja) 変圧器の解体方法
CN109262129B (zh) 一种密炼机转子表面堆焊预热的电磁感应加热装置
JP3693576B2 (ja) 変圧器
CN108145306A (zh) 一种多工位板极电渣焊装置
CN209318958U (zh) 一种d-sub高频焊连接器自动加锡的加锡平台
JP6213186B2 (ja) 汚染機器の洗浄方法
CN108067753A (zh) 一种钢管激光切割机
JP2005205479A (ja) はんだ付け装置
CN212019774U (zh) 一种用于激光切割机的切割防护装置
CN212759365U (zh) 一种中频炉生产用喷漆装置
CN110497049B (zh) 一种镍基超合金材料叶片的加工方法
CN112630668A (zh) 电池包热失控自动安全撤离的防护装置及方法
CN202591602U (zh) 一种防倒喷钢包水口装置
CN206084127U (zh) 一种板极电渣焊设备
CN211328698U (zh) 一种新型热浸镀锌组合式锌烟收集处理设备
CN211476684U (zh) 一种带下开口的密封式中频感应熔炼炉
CN215432022U (zh) 一种具有快速去毛刺的高效激光加工设备
CN211966825U (zh) 一种特种不锈钢的数控设备
JP3807886B2 (ja) Pcb汚染機器の浄化方法
CN215844797U (zh) 一种烟尘抽取装置
CN212136168U (zh) 一种干式电力变压器
CN218384698U (zh) 一种绝缘干式整流变压器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080901

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101124

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110322