JP2005044720A - 電子銃用高周波信号伝送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高周波信号の漏洩低減を図ることができる、簡便でコンパクトな電子銃用高周波信号伝送装置を実現する。
【解決手段】 高周波電源からのカソード高周波電圧と、直流電源からのグリッドバイアス電圧と、カソードヒータ電流とを、3重同軸部を有する同軸伝送路を介して電子銃に供給する電子銃用高周波信号伝送装置において、前記グリッドバイアス電圧および前記カソードヒータ電流の前記同軸伝送路内への供給路を、前記同軸伝送路の3重同軸部に形成された直流入力部、および、この直流入力部に直接接続された空芯コイルとこの空芯コイルに直接接続されたフェライトコア付きコイルとからなるインダクタンスを含む伝送路とする。
【選択図】 図1


Description

本発明は、電子線加速器、電子線またはX線照射装置などに電子を供給する電子線発生装置の基本構成要素の一つである電子銃用高周波信号伝送装置に関するものである。 なお、電子銃用高周波信号伝送装置とは、高周波電源からの高周波電圧信号と、直流電源からのグリッドバイアス電圧及びカソードヒータ電流とを電子銃に供給するための装置のことを言う。また、電子銃とはカソードと、カソードヒータと、グリッドと、アノードとを構成要素として含み、電子発生とその取り出しを行う部分を言う。
電子線加速器等では、加速用の電子を供給するための電子線発生装置が必要である。電子の加速には、通常高周波加速空洞を使用するため、電子線発生装置では、この高周波加速空洞の加速周波数と同期して、パルス的に電子の発生・取り出しを行い、電子線加速器等へ供給する必要がある。この電子線発生装置での電子の発生・取出しには、通常、所謂電子銃を使用している。即ち、電子銃のカソード近傍に設置したヒータに直流のカソードヒータ電流を供給することによりヒータを加熱し、このヒータの熱でカソードを間接的に加熱することによりカソード面で熱電子を発生させうる状態にする。さらに、カソードに高周波電圧信号を印加すると共に、カソード前面に設置されたグリッドとカソード間に、前記高周波電圧信号とは逆極性の直流のグリッドバイアス電圧を印加することにより、高周波電圧値がこのグリッドバイアス電圧値を超える部分に相当する時間幅に対応して熱電子を発生させ取り出す。これにより、取り出した電子の前記高周波周期との同期性とパルス性とを担保している。このように、電子銃には、高周波電圧信号と共に、グリッドバイアス電圧及びカソードヒータ電流が伝送路を介して供給されるが、これを適切に行うための伝送路で構成される装置が電子銃用高周波信号伝送装置である。
電子銃への上記高周波電圧信号、および、直流であるグリッドバイアス電圧とカソードヒータ電流の供給に際して重要なことは、伝送路からの高周波電圧信号の漏洩を低減し、高周波電圧信号の減衰を抑えることと、インピーダンス不整合をなくし、不整合に起因する伝送路内での高周波電圧信号の反射による信号波形の歪、低減を防止することである。これは、高周波電圧信号の減衰、低減があると、電子の発生量が減少してしまうためである。このうち高周波電圧信号の漏洩低減が大きな問題となっている。
電子銃の場合は、上述した様に、2種類の直流と高周波電圧信号を供給する必要があることから、高周波供給用の伝送路を介しての高周波電圧信号の漏洩と、回路構成や伝送路の構成上、直流を供給する伝送路を介しての高周波電圧信号の漏洩とがあるが、高周波供給用の伝送路を介しての漏洩はこの伝送路を同軸構造にすることにより解決できるため、直流を供給する伝送路を介しての漏洩が問題となる。
直流供給用の伝送路を介しての、高周波電圧信号の漏洩低減には次のような方法が提案されている。第一の方法は、電子銃近傍の直流供給用伝送路にインダクタンスを導入する方法である。このインダクタンスとしてフェライトコア付コイルを使用した例が特許文献1の図13に示されている。フェライトコア付コイルとは円環状のフェライトをコアとして、これに被覆されたコイルを巻きつけたものをいう。「円」は楕円状や矩形状であってもよい。なお、この例では同軸伝送路は採用されていない。
第二の方法は直流供給用の伝送路も同軸伝送路とする方法である。この例が特許文献1の図1に示されている。この例の場合は、グリッドバイアス電圧とカソードヒータ電流の電子銃までの伝送路を同軸伝送路にするために、高周波電圧信号用の同軸伝送路の途中に逆T字型の3重同軸伝送路(T字型3重同軸伝送路と呼ぶ)を接続し、このT字型3重同軸伝送路の中心導体にカソードヒータ電流を、また同内導体にグリッドバイアス電圧を入力する構造とし、更に、この内導体外周を軸方向に積層したフェライトコアで囲み、その外側を同外導体で囲む構造としている。このように構成することで、T字型3重同軸伝送路にグリッドバイアス電圧およびカソードヒータ電流を入力するために接続される線ケーブルを介しての高周波電圧信号の漏洩を低減している。
特開平7−161330号公報(図1、図13)
しかし、特許文献1の図13に記載された例の場合、フェライトコア付きコイルは、グリッドバイアス電圧とカソードヒータ電流とを電子銃に供給する伝送路のそれぞれに必要となることから、設置するに当たり、互いに物理的に干渉してしまうこと、さらに高周波電圧信号供給用の伝送路を同軸伝送路とする場合には、これとも物理的に干渉することとなる。そのため、電子銃の近傍にフェライトコア付きコイルを設置することが難しく、この電子銃とフェライトコア付きコイルとの間の伝送路からの高周波信号の漏洩が問題となる。
特許文献1の図1に記載された例は、特許文献1の図13の例についての上記問題点を改善することを目的としたものあるが、T字型3重同軸伝送路の内部に積層フェライトコアを設置する構造としたために、構造が複雑となり、コストアップの要因になると共に、必要な積層フェライトコアの長さが数十cmと大きなものとなることから、T字型3重同軸伝送路が大きくなってしまうという問題があった。電子銃からみて、このT字型3重同軸伝送路とその下流側は高電圧部の電界緩和を図り放電を防止するため、通常金属シールドで覆うが、その金属シールドも大きな容積のものが必要となるため、簡便、コンパクトな構造で高周波信号の漏洩を低減できる電子銃用高周波信号伝送装置が求められていた。
本発明では、高周波電源からのカソード高周波電圧と、直流電源からのグリッドバイアス電圧と、カソードヒータ電流とを、3重同軸部を有する同軸伝送路を介して電子銃に供給する電子銃用高周波信号伝送装置において、前記グリッドバイアス電圧および前記カソードヒータ電流の前記同軸伝送路内への供給路を、前記同軸伝送路の3重同軸部に形成された直流入力部、および、この直流入力部に直接接続された空芯コイルとこの空芯コイルに直接接続されたフェライトコア付きコイルとからなるインダクタンスを含む伝送路とした。
本発明では、高周波電源からのカソード高周波電圧と、直流電源からのグリッドバイアス電圧と、カソードヒータ電流とを、3重同軸部を有する同軸伝送路を介して電子銃に供給する電子銃用高周波信号伝送装置において、前記グリッドバイアス電圧および前記カソードヒータ電流の前記同軸伝送路内への供給路を、前記同軸伝送路の3重同軸部に形成された直流入力部、および、この直流入力部に直接接続された空芯コイルとこの空芯コイルに直接接続されたフェライトコア付きコイルとからなるインダクタンスを含む伝送路としたため、簡便でコンパクトな電子銃用高周波信号伝送装置により漏洩高周波信号の低減を図ることができるようになった。
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1による電子銃用高周波信号伝送装置の概略図を示す。 電子源1は、いわゆる電子銃のうち、カソードとグリッドとカソードヒータとで構成される部分であり、カソードアセンブリとも呼ばれる。同軸伝送路2は、高周波電源(図示せず)から出力される高周波電圧信号と、直流電源(図示せず)から出力されるグリッドバイアス電圧、およびカソードヒータ電流とを電子源1に供給するための伝送路で、途中にグリッドバイアス電圧とカソードヒータ電流とを同軸伝送路2に入力するための直流入力部3を有している。高周波電圧信号は、高周波信号入力端子4を介して同軸伝送路2に入力され、同軸伝送路2を経由して電子銃に供給される。また、グリッドバイアス電圧は、バイアス入力端子5とインダクタンス要素を経由して直流入力部3に入力され、また、カソードヒータ電流は、ヒータ電流入力端子6とインダクタンス要素を経由して直流入力部3に入力された後、高周波電圧信号と共に同軸伝送路を経由して電子銃に供給される。ここでインダクタンス要素とは、直列接続されたフェライトコア付コイルと空芯コイルのことを言うものとする。
高周波信号入力端子4とバイアス入力端子5とヒータ電流入力端子6とはフランジ蓋部7に固定設置されている。 金属シールド8には電子放出面であるカソード、グリッド面が露出するように電子源1が取り付けられ、フランジ蓋部7と併せて、電子源1に高周波電圧信号、グリッドバイアス電圧、カソードヒータ電流を入力する電子源1の入力部と、直流入力部3を含む同軸伝送路2と、前記インダクタンス要素とを内蔵する。電子源1の電子放出面に対向する位置にはアノード9が設置されている。両端に真空フランジ10、11を取り付けた高電圧絶縁ダクト12の所定の位置には、アノード9、フランジ蓋部7、金属シールド8が取り付けられ固定されている。
同軸伝送路2について説明する。
高周波信号入力端子4近傍では、高周波信号入力端子4と接続される同軸伝送路2は2重同軸構造となっており、外導体21と内導体22aとで構成される。一方、電子源1との接続部近傍では3重同軸構造となっており、外導体21と内導体22bと中心導体23とで構成される。この3重同軸構造の外導体21と内導体22bと中心導体23とは、同軸伝送路2に直交して同軸伝送路2の外に引き出され、直流入力部3を形成する。このときの直流入力部3は3重同軸構造を有しており、これを構成する外導体引出部31、内導体引出部32、中心導体引出部33は、それぞれ外導体21と内導体22bと中心導体23と接続されている。そして、この直流入力部3の位置を境にして、同軸伝送路2の高周波電圧信号入力端子4の側は2重同軸構造、電子源1の側は3重同軸構造となっている。この直流入力部3は同軸伝送路2の外径近傍まで引き出すのがよい。引き出し長を大きくすると金属シールド8を大きくしなければならなくなるので、得策ではないからである。なお、この実施の形態では同軸伝送路2の両端は、テーパ形状となっているテーパ同軸部を有する構造になっている。
インダクタンス要素を介してのバイアス入力端子5、ヒータ電流入力端子6と直流入力部3との接続について説明する。グリッドバイアス電圧の伝送路は、バイアス入力端子5と、これに接続される空芯コイル13aと、これに直接接続されるフェライトコア付きコイル14aと、これに直接接続され、かつ、内導体引出部32に直接接続される空芯コイル15aとで構成される。カソードヒータ電流の伝送路は、ヒータ電流入力端子6と、これに接続される空芯コイル13bと、これに直接接続されるフェライトコア付きコイル14bと、これに直接接続され、かつ、中心導体引出部33に直接接続される空芯コイル15bとで構成される。
なお、直流入力部3の内導体引出部32を経由して内導体22aに入力されているグリッドバイアス電圧から、これに接続されている高周波電源を保護するために、内導体22aはバイアス絶縁用コンデンサ16を介して分割されている。
次に、この実施の形態にかかる電子銃用高周波信号伝送装置の機能について説明する。
すでに説明した接続関係により、高周波信号入力端子4に入力された高周波電圧信号は、同軸伝送路2の内導体22a、バイアス絶縁用コンデンサ16、内導体22bを介して電子銃に供給され、バイアス入力端子5に入力されたグリッドバイアス電圧は、空芯コイル13a、フェライトコア付きコイル14a、空芯コイル15aを経由して同軸伝送路2の直流入力部3を構成する内導体引出部32に入力され、内導体引出部32から同軸伝送路2の内導体22bを介して電子銃に入力される。また、ヒータ電流入力端子6に入力されたカソードヒータ電流は空芯コイル13b、フェライトコア付コイル14b、空芯コイル15bを経由して同軸伝送路2の直流入力部3を構成する中心導体引出部33に入力され、中心導体引出部33から同軸伝送路2の中心導体23を介して電子銃に入力される。
このように、まず高周波電圧信号の伝送路を同軸構造にしたことにより、高周波電圧信号の漏洩を低減することができる。また、同軸伝送路2の直流入力部3は同軸構造となっており、その出口には空芯コイルが直接接続され、それに続きフェライトコア付きコイルも直接接続されているので、この直流入力部を経由して漏洩してくる高周波電圧信号を効果的に低減することができる。この直流入力部3にはフェライトコア付きコイル14aと14bの2台を設置する必要があるため、フェライトコア付きコイル同士が互いに邪魔になり直流入力部3にフェライトコア付きコイル14aと14bを直接接続することができず、従来は、特許文献1の図13に示されているようにこの間を通常の線ケーブルでつないでいた。このような方法では高周波電圧信号の漏洩を防止する機能を有するフェライトコア付きコイルまでの通常の線ケーブルからの放射による漏洩が避けられない。本発明のポイントは、小さなスペースにも設置できる空芯コイルで、フェライトコア付きコイルと直流入力部3の対応する導体引出部との間を接続することによりインダクタンスを導入し、このような漏洩を低減したことにある。
フェライトコア付きコイルには直流入力部3に直結させる空芯コイルのほか、他端にも同じく空芯コイルを取り付けてもよい。これは、先の空芯コイル+フェライトコア付きコイルで十分に漏洩を抑えられなかった場合に採用する手段であり必須のものではない。この場合も、先の議論と同様、2台のフェライトコア付きコイルが互いに邪魔になり、これ以上インダクタンスを強化することが困難で、かつ、バイアス入力端子5やヒータ入力端子6に直結させることも困難、かつ、これまでに導入したインダクタンスでは高周波電圧信号の漏洩を十分には低減することができない場合に、サイズの小さな空芯コイルを設置するものである。このようにフェライトコア付きコイルの両端に空芯コイルを直列接続したインダクタンスを採用することは空間的な制約が大きい場合には特に、高周波電圧信号の漏洩低減に効果的である。
尚、直流入力部3は、図1では3重同軸構造のものを示したが、同軸構造でなくとも、図2に示すように同軸伝送路2の一部に空芯コイル導入用の穴をあけ、空芯コイル15aを、直接、同軸伝送路2の内導体22aもしくは22bに、また、空芯コイル15bを、直接、同軸伝送路2の中心導体23に接続してもよい。この方法では、同軸構造の直流入力部3の場合に比べると、高周波電圧信号の漏洩低減効果は低下し、インピーダンスマッチングの点からも問題は残るが、直流入力部3の構造が簡単になるため、より簡便でコンパクトな電子銃用高周波信号伝送装置を提供することができるようになる。個々の適用条件に応じて選択すれば良いであろう。
更に、高周波電圧信号の漏洩は電子源1の入力部と同軸伝送路2との接続部、及び高周波信号入力端子4と同軸伝送路2との接続部においても生じうる。したがって通常、同軸構造を維持しつつ両者の接続が行われるが、それぞれの接続部のサイズに相違があり同軸伝送路の各導体をそのまま直接接続することができず、同軸性も保持できない場合は、漏洩とともにインピーダンス不整合の問題も生じることになる。
同軸伝送路の端部を、テーパ形状を有するテーパ同軸部にするのは、このような場合に対応させるためである。このようなケースは、後述するように同軸伝送路2を何らかの理由により大きくしなければならないときに生じる。電子源1の入力部近傍端部での同軸伝送路2を例に取り、このときの留意事項について説明する(図3参照)。インピーダンス整合の観点からは、例えば、同軸伝送路2の外導体21の内径D1と内導体22bの外径D2との比が、これらと接続される電子源1の入力部の対応する径d1,d2の比と等しいことが理想であり、この場合は、テーパ同軸部はその任意の断面における外導体21の内径D1'と内導体22bの外径D2'との比も同一の値になるように直線状のテーパ構造とするのが良い。しかし、D1,D2の比がd1,d2の比と異なる場合でも、テーパ同軸部の前後での、接続対象の径の違いをなめらかに接続すればインピーダンスの不整合の影響は低減される。従ってテーパ同軸部は上述のいずれの場合においても有意義となる。このことは高周波信号入力端子4と同軸伝送路2との接続部においても同様である。
金属シールド8は金属製のフランジ蓋部7と併せて、電子源1の入力部、直流入力部3を含む同軸伝送路2、空芯コイル13a、13b、15a、15b、フェライトコア付きコイル14a、14bを収納し、電界を緩和する機能を有すると共に、フランジ蓋部7には高周波信号入力端子4、バイアス入力端子5、ヒータ電流入力端子6を取り付け、固定する機能も有する。真空フランジ10,11は高電圧絶縁ダクト12の両端に取り付けられ、金属シールド8と高電圧絶縁ダクト12とで囲まれる部分、即ち、図1に示すように、電子源1のカソード面からグリッドを通過して出てくる電子(図1では矢印と「e」の表示で示した)の通路の真空を保持する機能を有する。
以上の様に伝送路を構成したので、各伝送路は基本的には同軸伝送路となっており、インピーダンス不整合を防止できる。また、直流入力部3を経由して漏洩してくる高周波電圧信号についてはフェライトコア付きコイルと空芯コイルを直列接続して形成したインダクタンスを介して効果的に低減することができる。特許文献1の図1に示す装置のように同軸伝送路内導体外周にフェライトコアを積層する必要がなく、同軸伝送路の直流入力部も小さなものでよいため、簡便で、コンパクトな高周波信号伝送装置で高周波電圧信号の漏洩低減を図ることができる。
実施の形態2
図4は本発明の実施の形態2を示す図である。ここでは同軸伝送路2の端部をテーパ同軸部にするのではなく、これに替えてインピーダンス変換器19を採用することとした。この方法によっても、テーパ同軸部の場合と同様に、同軸伝送路2の両端部での接続の際のサイズの違いに起因するインピーダンス不整合を解消できる。これにより、両端の接続径を考慮することなく、同軸伝送路2の各導体の径を自由に設計することができるようになる。このことは、実施の形態3で説明するバイアス絶縁用コンデンサを設置する場合に重要となる。以上、本発明により、伝送路での信号の反射を防止することができ、前記高周波電圧信号の漏洩低減効果と併せて簡便でコンパクトな電子銃用高周波信号伝送装置を提供できる。
実施の形態3
図5は、本発明の実施の形態3を示す図である。バイアス絶縁用コンデンサ16の設置近傍の内導体22aの軸方向に沿った断面を示している。 バイアス絶縁用コンデンサ16の設置状態の一例を示すものである。通常、同軸伝送路2の内導体22aにコンデンサを接続する場合、内導体22aの同軸性はコンデンサの部分で崩れてしまい、インピーダンス整合の観点からは好ましくない状況となる。図5では、内導体22aの外径にほぼ等しい径の円周上に複数のバイアス絶縁用コンデンサ16を配置し、これらを、図示するようにコンデンサ毎に2個の導電板17を介して分割された内導体22aに並列接続した。このようにバイアス絶縁用コンデンサ16を複数個、円周上に配置することにより、バイアス絶縁用コンデンサ16の設置部においても同軸性が保持でき、高周波電圧信号の反射を防止できる。
なお、バイアス絶縁用コンデンサ16の容量は、高周波信号に対するコンデンサ部のインピーダンスを小さくするために、大きい方が良いが、複数のコンデンサを並列接続するという本発明により、合成容量を容易に増大させることができるという効果もある。ちなみに、コンデンサの合成容量を2nFとすれば、高周波信号が500MHzの時に、当該高周波信号に対するこのコンデンサによる抵抗は1Ω以下となり、無視できる値となる。なお、上記の例では複数のコンデンサを並列接続する手段として導電板28を使用したが、導電板17に替えて2個のリング状の導電環を使い、この内円周若しくは外円周上にコンデンサを複数個取り付け、それを分割された内導体22aに並列接続しても同等の効果を得ることが出来る。なお、この様に複数のコンデンサを円周上に配置するにはその個数によっては、円周は長いほうが良く、従って内導体22aの外径D2は大きい方がよいことがある。実施の形態1ではテーパ同軸部について、実施の形態2ではインピーダンス変換器について言及したが、これは上記のようなコンデンサの配置を採用した場合には、同軸伝送路2の径が大きくなることがあるからである。なお、分割された各内導体22aを相互に固定するためには、例えば絶縁材料で作られたボルトなどの絶縁止め具18を使用すれば良い。
実施の形態4
図6は本発明の実施の形態4を示す図である。フェライトコア付きコイル14a、14bのフェライトコアは漏洩高周波電圧信号がコイルに流れると発熱する。これらは、フランジ蓋部7を含む金属シールド8と電子源1の入力部とで囲まれる密閉空間内に収納されているので温度が上昇し、コイル被覆の損傷が生じるという問題が発生することがある。そのため、フェライトコアを冷却する手段を講じておくことは重要である。本実施の形態はその冷却手段をサポートするためのものである。具体的にはフランジ蓋部7に複数の空気の流通できる冷却用穴を設置し、その内の少なくとも1つはフェライトコア付きコイル14a、14bの近傍に配置することとしたものである。
図6はこの冷却用穴が2個の場合を例示したもので、外部から冷却用気体として空気を強制的に供給する場合を示している。空気は冷却用穴40を通り金属シールド内の空間に供給される。供給された空気はフェライトコア付きコイル14a、14bを冷却しながら、冷却用穴41を通り排気される。このとき冷却用穴41には冷却用延長管42を設置するのが望ましい。これがないと冷却用穴40から入った空気がフェライトコア付きコイルを冷却する前に、すぐに冷却用穴41から排気されてしまうことが心配されるためである。尚、図6の冷却用穴40、41の吸気/排気は逆にしても良い。この冷却効果により、金属シールドの大きさを熱の心配をすることなく縮小することが出来るのでよりコンパクトな電子銃用高周波信号伝送装置を提供することが出来る。
本発明の実施の形態1による電子銃用高周波信号伝送装置。 本発明の実施の形態1の他の例による直流入力部の拡大図。 本発明の実施の形態1による同軸伝送路のテーパ同軸部近傍の拡大図。 本発明の実施の形態2によるインピーダンス変換器部近傍の拡大図。 本発明の実施の形態3によるバイアス絶縁用コンデンサ取り付け部近傍の拡大図。 本発明の実施の形態4による電子銃用高周波信号伝送装置。
符号の説明
1 電子源、 2 同軸伝送路、 3 直流入力部、 4 高周波信号入力端子、 5 バイアス入力端子、 6 ヒータ電流入力端子、 7 フランジ蓋部、 8 金属シールド、 9 アノード、 10 真空フランジ、 11 真空フランジ、 12 高電圧絶縁ダクト、 13a 空芯コイル、 13b 空芯コイル、 14a フェライトコア付きコイル、 14b フェライトコア付きコイル、 15a 空芯コイル、 15b 空芯コイル、 16 バイアス絶縁用コンデンサ、 17 導電板、 18 絶縁止め具 、 19 インピーダンス変換器、 21 外導体、 22 内導体、 23 中心導体、 31 外導体引出部、 32 内導体引出部、 33 中心導体引出部、 40 冷却用穴、 41 冷却用穴、 42 冷却用延長管

Claims (7)

  1. 高周波電源からのカソード高周波電圧と、直流電源からのグリッドバイアス電圧と、カソードヒータ電流とを、3重同軸部を有する同軸伝送路を介して電子銃に供給する電子銃用高周波信号伝送装置において、前記グリッドバイアス電圧および前記カソードヒータ電流の前記同軸伝送路内への供給路を、前記同軸伝送路の3重同軸部に形成された直流入力部、および、この直流入力部に直接接続された空芯コイルとこの空芯コイルに直接接続されたフェライトコア付きコイルとからなるインダクタンスを含む伝送路であることを特徴とする電子銃用高周波信号伝送装置。
  2. 前記直流入力部は、前記同軸伝送路の3重同軸部を構成する中心導体と、内導体と、外導体とを、前記同軸伝送路の外導体近傍にまで引き出して構成された3重同軸入力部であることを特徴とする請求項1に記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
  3. 前記電子銃に接続される前記同軸伝送路の端部を、テーパ形状を有する同軸構造としたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
  4. 前記同軸伝送路と前記電子銃とを、インピーダンス変換器を介して接続したことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
  5. 前記同軸伝送路の2重同軸部を構成する内導体の外径に略等しい径の円周上に配置された複数のバイアス絶縁用コンデンサを、前記同軸伝送路の2重同軸部の構成要素である内導体を2分割して形成される分割内導体間に配置し、この2個の分割内導体と並列接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
  6. 前記高周波電圧と前記グリッドバイアス電圧と、前記カソードヒータ電流とを入力する3個の入力端子と複数の穴とを設けた金属製のフランジ蓋部と併せて、前記電子銃の前記同軸伝送路接続部と、前記直流入力部を含む前記同軸伝送路と、前記インダクタンスとを金属材料で囲むことにより形成される金属シールドを備えた請求項1乃至5のいずれかに記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
  7. 前記フランジ蓋部に設けられた前記複数の穴は冷却用気体の入排気用とし、且つ、そのうち、少なくとも一つは前記フェライトコア付きコイルの近傍にあることを特徴とする請求項6に記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
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