JP2005044720A - 電子銃用高周波信号伝送装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 高周波電源からのカソード高周波電圧と、直流電源からのグリッドバイアス電圧と、カソードヒータ電流とを、3重同軸部を有する同軸伝送路を介して電子銃に供給する電子銃用高周波信号伝送装置において、前記グリッドバイアス電圧および前記カソードヒータ電流の前記同軸伝送路内への供給路を、前記同軸伝送路の3重同軸部に形成された直流入力部、および、この直流入力部に直接接続された空芯コイルとこの空芯コイルに直接接続されたフェライトコア付きコイルとからなるインダクタンスを含む伝送路とする。
【選択図】 図1
Description
直流供給用の伝送路を介しての、高周波電圧信号の漏洩低減には次のような方法が提案されている。第一の方法は、電子銃近傍の直流供給用伝送路にインダクタンスを導入する方法である。このインダクタンスとしてフェライトコア付コイルを使用した例が特許文献1の図13に示されている。フェライトコア付コイルとは円環状のフェライトをコアとして、これに被覆されたコイルを巻きつけたものをいう。「円」は楕円状や矩形状であってもよい。なお、この例では同軸伝送路は採用されていない。
第二の方法は直流供給用の伝送路も同軸伝送路とする方法である。この例が特許文献1の図1に示されている。この例の場合は、グリッドバイアス電圧とカソードヒータ電流の電子銃までの伝送路を同軸伝送路にするために、高周波電圧信号用の同軸伝送路の途中に逆T字型の3重同軸伝送路(T字型3重同軸伝送路と呼ぶ)を接続し、このT字型3重同軸伝送路の中心導体にカソードヒータ電流を、また同内導体にグリッドバイアス電圧を入力する構造とし、更に、この内導体外周を軸方向に積層したフェライトコアで囲み、その外側を同外導体で囲む構造としている。このように構成することで、T字型3重同軸伝送路にグリッドバイアス電圧およびカソードヒータ電流を入力するために接続される線ケーブルを介しての高周波電圧信号の漏洩を低減している。
図1は本発明の実施の形態1による電子銃用高周波信号伝送装置の概略図を示す。 電子源1は、いわゆる電子銃のうち、カソードとグリッドとカソードヒータとで構成される部分であり、カソードアセンブリとも呼ばれる。同軸伝送路2は、高周波電源(図示せず)から出力される高周波電圧信号と、直流電源(図示せず)から出力されるグリッドバイアス電圧、およびカソードヒータ電流とを電子源1に供給するための伝送路で、途中にグリッドバイアス電圧とカソードヒータ電流とを同軸伝送路2に入力するための直流入力部3を有している。高周波電圧信号は、高周波信号入力端子4を介して同軸伝送路2に入力され、同軸伝送路2を経由して電子銃に供給される。また、グリッドバイアス電圧は、バイアス入力端子5とインダクタンス要素を経由して直流入力部3に入力され、また、カソードヒータ電流は、ヒータ電流入力端子6とインダクタンス要素を経由して直流入力部3に入力された後、高周波電圧信号と共に同軸伝送路を経由して電子銃に供給される。ここでインダクタンス要素とは、直列接続されたフェライトコア付コイルと空芯コイルのことを言うものとする。
高周波信号入力端子4とバイアス入力端子5とヒータ電流入力端子6とはフランジ蓋部7に固定設置されている。 金属シールド8には電子放出面であるカソード、グリッド面が露出するように電子源1が取り付けられ、フランジ蓋部7と併せて、電子源1に高周波電圧信号、グリッドバイアス電圧、カソードヒータ電流を入力する電子源1の入力部と、直流入力部3を含む同軸伝送路2と、前記インダクタンス要素とを内蔵する。電子源1の電子放出面に対向する位置にはアノード9が設置されている。両端に真空フランジ10、11を取り付けた高電圧絶縁ダクト12の所定の位置には、アノード9、フランジ蓋部7、金属シールド8が取り付けられ固定されている。
高周波信号入力端子4近傍では、高周波信号入力端子4と接続される同軸伝送路2は2重同軸構造となっており、外導体21と内導体22aとで構成される。一方、電子源1との接続部近傍では3重同軸構造となっており、外導体21と内導体22bと中心導体23とで構成される。この3重同軸構造の外導体21と内導体22bと中心導体23とは、同軸伝送路2に直交して同軸伝送路2の外に引き出され、直流入力部3を形成する。このときの直流入力部3は3重同軸構造を有しており、これを構成する外導体引出部31、内導体引出部32、中心導体引出部33は、それぞれ外導体21と内導体22bと中心導体23と接続されている。そして、この直流入力部3の位置を境にして、同軸伝送路2の高周波電圧信号入力端子4の側は2重同軸構造、電子源1の側は3重同軸構造となっている。この直流入力部3は同軸伝送路2の外径近傍まで引き出すのがよい。引き出し長を大きくすると金属シールド8を大きくしなければならなくなるので、得策ではないからである。なお、この実施の形態では同軸伝送路2の両端は、テーパ形状となっているテーパ同軸部を有する構造になっている。
なお、直流入力部3の内導体引出部32を経由して内導体22aに入力されているグリッドバイアス電圧から、これに接続されている高周波電源を保護するために、内導体22aはバイアス絶縁用コンデンサ16を介して分割されている。
すでに説明した接続関係により、高周波信号入力端子4に入力された高周波電圧信号は、同軸伝送路2の内導体22a、バイアス絶縁用コンデンサ16、内導体22bを介して電子銃に供給され、バイアス入力端子5に入力されたグリッドバイアス電圧は、空芯コイル13a、フェライトコア付きコイル14a、空芯コイル15aを経由して同軸伝送路2の直流入力部3を構成する内導体引出部32に入力され、内導体引出部32から同軸伝送路2の内導体22bを介して電子銃に入力される。また、ヒータ電流入力端子6に入力されたカソードヒータ電流は空芯コイル13b、フェライトコア付コイル14b、空芯コイル15bを経由して同軸伝送路2の直流入力部3を構成する中心導体引出部33に入力され、中心導体引出部33から同軸伝送路2の中心導体23を介して電子銃に入力される。
同軸伝送路の端部を、テーパ形状を有するテーパ同軸部にするのは、このような場合に対応させるためである。このようなケースは、後述するように同軸伝送路2を何らかの理由により大きくしなければならないときに生じる。電子源1の入力部近傍端部での同軸伝送路2を例に取り、このときの留意事項について説明する(図3参照)。インピーダンス整合の観点からは、例えば、同軸伝送路2の外導体21の内径D1と内導体22bの外径D2との比が、これらと接続される電子源1の入力部の対応する径d1,d2の比と等しいことが理想であり、この場合は、テーパ同軸部はその任意の断面における外導体21の内径D1'と内導体22bの外径D2'との比も同一の値になるように直線状のテーパ構造とするのが良い。しかし、D1,D2の比がd1,d2の比と異なる場合でも、テーパ同軸部の前後での、接続対象の径の違いをなめらかに接続すればインピーダンスの不整合の影響は低減される。従ってテーパ同軸部は上述のいずれの場合においても有意義となる。このことは高周波信号入力端子4と同軸伝送路2との接続部においても同様である。
図4は本発明の実施の形態2を示す図である。ここでは同軸伝送路2の端部をテーパ同軸部にするのではなく、これに替えてインピーダンス変換器19を採用することとした。この方法によっても、テーパ同軸部の場合と同様に、同軸伝送路2の両端部での接続の際のサイズの違いに起因するインピーダンス不整合を解消できる。これにより、両端の接続径を考慮することなく、同軸伝送路2の各導体の径を自由に設計することができるようになる。このことは、実施の形態3で説明するバイアス絶縁用コンデンサを設置する場合に重要となる。以上、本発明により、伝送路での信号の反射を防止することができ、前記高周波電圧信号の漏洩低減効果と併せて簡便でコンパクトな電子銃用高周波信号伝送装置を提供できる。
図5は、本発明の実施の形態3を示す図である。バイアス絶縁用コンデンサ16の設置近傍の内導体22aの軸方向に沿った断面を示している。 バイアス絶縁用コンデンサ16の設置状態の一例を示すものである。通常、同軸伝送路2の内導体22aにコンデンサを接続する場合、内導体22aの同軸性はコンデンサの部分で崩れてしまい、インピーダンス整合の観点からは好ましくない状況となる。図5では、内導体22aの外径にほぼ等しい径の円周上に複数のバイアス絶縁用コンデンサ16を配置し、これらを、図示するようにコンデンサ毎に2個の導電板17を介して分割された内導体22aに並列接続した。このようにバイアス絶縁用コンデンサ16を複数個、円周上に配置することにより、バイアス絶縁用コンデンサ16の設置部においても同軸性が保持でき、高周波電圧信号の反射を防止できる。
図6は本発明の実施の形態4を示す図である。フェライトコア付きコイル14a、14bのフェライトコアは漏洩高周波電圧信号がコイルに流れると発熱する。これらは、フランジ蓋部7を含む金属シールド8と電子源1の入力部とで囲まれる密閉空間内に収納されているので温度が上昇し、コイル被覆の損傷が生じるという問題が発生することがある。そのため、フェライトコアを冷却する手段を講じておくことは重要である。本実施の形態はその冷却手段をサポートするためのものである。具体的にはフランジ蓋部7に複数の空気の流通できる冷却用穴を設置し、その内の少なくとも1つはフェライトコア付きコイル14a、14bの近傍に配置することとしたものである。
Claims (7)
- 高周波電源からのカソード高周波電圧と、直流電源からのグリッドバイアス電圧と、カソードヒータ電流とを、3重同軸部を有する同軸伝送路を介して電子銃に供給する電子銃用高周波信号伝送装置において、前記グリッドバイアス電圧および前記カソードヒータ電流の前記同軸伝送路内への供給路を、前記同軸伝送路の3重同軸部に形成された直流入力部、および、この直流入力部に直接接続された空芯コイルとこの空芯コイルに直接接続されたフェライトコア付きコイルとからなるインダクタンスを含む伝送路であることを特徴とする電子銃用高周波信号伝送装置。
- 前記直流入力部は、前記同軸伝送路の3重同軸部を構成する中心導体と、内導体と、外導体とを、前記同軸伝送路の外導体近傍にまで引き出して構成された3重同軸入力部であることを特徴とする請求項1に記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
- 前記電子銃に接続される前記同軸伝送路の端部を、テーパ形状を有する同軸構造としたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
- 前記同軸伝送路と前記電子銃とを、インピーダンス変換器を介して接続したことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
- 前記同軸伝送路の2重同軸部を構成する内導体の外径に略等しい径の円周上に配置された複数のバイアス絶縁用コンデンサを、前記同軸伝送路の2重同軸部の構成要素である内導体を2分割して形成される分割内導体間に配置し、この2個の分割内導体と並列接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
- 前記高周波電圧と前記グリッドバイアス電圧と、前記カソードヒータ電流とを入力する3個の入力端子と複数の穴とを設けた金属製のフランジ蓋部と併せて、前記電子銃の前記同軸伝送路接続部と、前記直流入力部を含む前記同軸伝送路と、前記インダクタンスとを金属材料で囲むことにより形成される金属シールドを備えた請求項1乃至5のいずれかに記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
- 前記フランジ蓋部に設けられた前記複数の穴は冷却用気体の入排気用とし、且つ、そのうち、少なくとも一つは前記フェライトコア付きコイルの近傍にあることを特徴とする請求項6に記載の電子銃用高周波信号伝送装置。
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