JP2005042584A - 液化ガスエンジンの燃料供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料分配管内の燃料の液相状態を好適に確保することのできる液化ガスエンジンの燃料供給装置を提供する。
【解決手段】この燃料供給装置3は、フューエルタンク32内に貯留されている液相状態の液化ガス燃料を電動式のフューエルポンプ31によりデリバリパイプ34へ圧送するとともに、インジェクタ35を通じてデリバリパイプ34内の燃料をエンジンへ噴射供給する。また、ECU5にフューエルポンプ31の駆動電圧を昇圧する昇圧回路51を備えている。そして、スタータモータの駆動中、昇圧回路51を通じてフューエルポンプ31の駆動電圧を昇圧する。
【選択図】図2
【解決手段】この燃料供給装置3は、フューエルタンク32内に貯留されている液相状態の液化ガス燃料を電動式のフューエルポンプ31によりデリバリパイプ34へ圧送するとともに、インジェクタ35を通じてデリバリパイプ34内の燃料をエンジンへ噴射供給する。また、ECU5にフューエルポンプ31の駆動電圧を昇圧する昇圧回路51を備えている。そして、スタータモータの駆動中、昇圧回路51を通じてフューエルポンプ31の駆動電圧を昇圧する。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化石油ガス等の液化ガス燃料をエンジンに供給する液化ガスエンジンの燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
こうした燃料供給装置においては、一般に次の態様をもって燃料の流通が行われる。
【0003】
燃料タンク内の液相燃料を電動式の燃料ポンプにより燃料分配管(デリバリパイプ)へ圧送した後、インジェクタの開弁時間の制御を通じて、運転状態に応じた量の燃料をエンジンに噴射供給する。
【0004】
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、以下に示す特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−36990号公報
【特許文献2】
特開2002−138919号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記燃料供給装置を搭載した車両においては、同装置から液化燃料が供給されることを前提にエンジンの制御が行われるため、燃料分配管内の燃料が気化した場合には、エンジンの始動性や運転状態の悪化をまねくようになる。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料分配管内の燃料の液相状態を好適に確保することのできる液化ガスエンジンの燃料供給装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、燃料タンク内に貯留されている液相状態の液化ガス燃料を電動式の燃料ポンプにより燃料分配管へ圧送するとともに、インジェクタを通じて前記燃料分配管内の燃料をエンジンへ噴射供給する液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記燃料ポンプの駆動電圧を昇圧する昇圧回路と、同昇圧回路の駆動態様を制御する制御手段とを備えたことを要旨としている。
【0009】
上記構成によれば、燃料ポンプに印可される電圧を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の駆動態様を制御する制御手段とが備えられる。こうした構成の燃料供給装置においては、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧を通じて燃料ポンプの燃料吐出量を増大することにより、燃料分配管内の燃料の圧力を増大させることが可能となる。これにより、燃料分配管内の燃料の液相状態を好適に確保することができるようになる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記昇圧回路による前記駆動電圧の昇圧の実行/停止を選択的に切り替えることを要旨としている。
【0011】
上記構成によれば、昇圧回路による駆動電圧の昇圧の実行/停止が選択的に切り替えられる。こうした構成の燃料供給装置においては、必要時のみ駆動電圧の昇圧を行うことが可能となるため、昇圧回路の大型化を回避することができるようになる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記エンジンのスタータモータが駆動していることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0013】
上記構成によれば、エンジンのスタータモータが駆動していることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。ちなみに、燃料供給装置においては、エンジンの停止中にエンジンからの受熱や燃料ポンプの停止による圧力の低下に起因して、燃料分配管内の燃料が気化することもある。一方で、エンジンの始動時には、スタータモータの駆動による燃料ポンプの吐出性能の低下に起因して、燃料分配管内へ圧送される液相燃料が減量するようになる。こうしたことから、エンジンの始動に際して、燃料分配管内に気化燃料が混入している場合には、エンジンの始動性の悪化をまねくことが懸念される。この点、上記構成を採用することにより、スタータモータの駆動中に駆動電圧の昇圧を通じて燃料ポンプの吐出性能の向上が図られるため、エンジンの始動性の悪化を抑制することができるようになる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記燃料ポンプの電源電圧が所定電圧未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0015】
上記構成によれば、燃料ポンプの電源電圧が所定電圧未満であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。ちなみに、燃料供給装置においては、燃料ポンプの電源電圧の低下により燃料ポンプの吐出性能が低下したとき、燃料分配管内へ圧送される液相燃料の不足により燃料分配管内の燃料の気化をまねくことが考えられる。この点、上記構成を採用することにより、燃料ポンプの電源電圧が低下しているとき、駆動電圧の昇圧を通じて燃料ポンプの吐出性能の向上が図られるため、電源電圧の低下に起因する燃料の気化を好適に抑制することができるようになる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記エンジンの回転速度が所定回転速度未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0017】
上記構成によれば、エンジンの回転速度が所定回転速度未満であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。ちなみに、エンジンの回転速度が低い場合には、オルタネータの発電量の不足に起因する燃料ポンプの電源電圧の低下により、燃料分配管内の燃料の気化をまねくことが考えられる。この点、上記構成を採用することにより、エンジンの回転速度が低いとき、駆動電圧の昇圧を通じて燃料ポンプの吐出性能の向上が図られるため、オルタネータの発電量が低いことに起因する燃料の気化を好適に抑制することができるようになる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記燃料ポンプの駆動期間が所定駆動期間未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0019】
上記構成によれば、燃料ポンプの駆動期間が所定駆動期間未満であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。なお、所定駆動期間は、所定量の気化燃料が混入した状態にある燃料分配管内の燃料を加圧により液化させるまでに必要となる期間として設定される。こうした構成を採用することにより、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記燃料分配管内の燃料の圧力が所定圧力未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0021】
上記構成によれば、燃料分配管内の燃料の圧力が所定圧力未満であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。なお、所定圧力は、燃料分配管内に気化燃料が生じているか否かを判定するための閾値として設定される。こうした構成を採用することにより、燃料の状態が直接的に監視されるため、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記燃料分配管内の燃料の温度が所定温度以上であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0023】
上記構成によれば、燃料分配管内の燃料の温度が所定温度以上であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。なお、所定温度は、燃料分配管内に気化燃料が生じているか否かを判定するための閾値として設定される。こうした構成を採用することにより、燃料の状態が直接的に監視されるため、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、以下の(a)〜(d)の処理を通じて前記昇圧回路の駆動態様を制御する
(a)「前記燃料タンク内の燃料の温度及び圧力に基づいて燃料の組成を推定する」
(b)「前記燃料の組成に基づいて燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する」
(c)「前記飽和蒸気圧曲線に前記燃料分配管内の燃料の温度を適用して燃料の飽和蒸気圧力を算出する」
(d)「前記燃料分配管内の燃料の圧力が前記飽和蒸気圧力未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する」ことを要旨としている。
【0025】
上記構成によれば、燃料の飽和蒸気圧力と燃料分配管内の燃料の圧力との対比結果に基づいて、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。こうした構成においては、燃料の状態が直接的に監視されるため、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、以下の(a)〜(d)の処理を通じて前記昇圧回路の駆動態様を制御する
(a)「前記燃料タンク内の燃料の温度及び圧力に基づいて燃料の組成を推定する」
(b)「前記燃料の組成に基づいて燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する」
(c)「前記飽和蒸気圧曲線に前記燃料分配管内の燃料の圧力を適用して燃料の飽和蒸気温度を算出する」
(d)「前記燃料分配管内の燃料の温度が前記飽和蒸気温度以上であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する」ことを要旨としている。
【0027】
上記構成によれば、燃料の飽和蒸気温度と燃料分配管内の燃料の温度との対比に基づいて、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。こうした構成においては、燃料の状態が直接的に監視されるため、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明を具体化した第1の実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0029】
本実施の形態では、液化石油ガス(LPG)をエンジンに供給するエンジンの燃料供給装置を想定している。
<装置の構成>
図1に燃料供給装置を搭載した車両の構成を示す。
【0030】
エンジン1は、燃料(LPG)の燃焼を通じてクランクシャフトを駆動する。
スタータモータ11は、バッテリBTからの電力を通じてエンジン1のクランクシャフトを駆動する。
【0031】
オルタネータ12は、エンジン1のクランクシャフトを通じて駆動するとともに、発電した電力をバッテリBTへ供給する。
燃料供給装置3は、エンジン1へ燃料を供給する。また、電動式のフューエルポンプ31を通じて装置内における燃料の循環を行う。
【0032】
電子制御装置(ECU)5は、以下の各制御を行う。
[a]エンジン1の制御。
[b]燃料供給装置3の制御。
[c]スタータモータ11の駆動/停止の切り替え。
[d]フューエルポンプ31の駆動/停止の切り替え。
【0033】
また、ECU5は昇圧回路51を備えており、同昇圧回路51の駆動態様を制御する。ECU5による昇圧回路51の制御を通じて、バッテリBTからフューエルポンプ31へ印加される電圧(フューエルポンプ31の駆動電圧)を昇圧することが可能となっている。なお、制御手段は、ECU5を備えて構成される。
【0034】
バッテリBTは、ECU5、スタータモータ11、及びフューエルポンプ31へ電力を供給する。なお、バッテリBTの電圧(バッテリ電圧Vb)は、フューエルポンプ31の電源電圧に相当する。
【0035】
エンジン1の停止中におけるバッテリ電圧Vbを停止電圧Vbb、エンジン1の運転中におけるバッテリ電圧Vbを運転電圧Vbdとする。なお、運転電圧Vbdは、エンジン1の運転状態に応じて変動する。エンジン1の運転中、オルタネータ12を通じて発電が行われるため、運転電圧Vbdは基本的には停止電圧Vbbよりも高い電圧となる。
【0036】
昇圧回路51は、フューエルポンプ31の駆動電圧(ポンプ駆動電圧Vp)を昇圧する。昇圧実行要求が有効とされているときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行する一方で、昇圧実行要求が無効とされているときはポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止する。また、昇圧回路51は、ポンプ駆動電圧Vpを運転電圧Vbdよりも高い電圧まで昇圧することが可能となっている。
【0037】
イグニッションスイッチIGは、複数の操作位置(「OFF」、「ACC」、「ON」、「START」)を有する。
ECU5は、イグニッションスイッチIGからの信号を通じて操作位置を監視するとともに、操作位置に応じてエンジン1の運転/停止を切り替える。また、イグニッションスイッチIGが「START」位置にあるとき、スタータモータ11を駆動する。
【0038】
図2に燃料供給装置3の詳細な構成を示す。
燃料供給装置3を構成する各要素について説明する。
フューエルポンプ31は、フューエルタンク32内の液相燃料を圧送する。
【0039】
フューエルタンク32は、燃料を密閉状態で貯留する。なお、フューエルタンク32には、燃料が飽和状態で貯留されている。
フィルタ33は、燃料内の異物を除去する。
【0040】
デリバリパイプ34(燃料分配管)は、フューエルポンプ31により供給された燃料を各インジェクタ35へ分配する。なお、エンジン1の運転中、基本的にはフューエルポンプ31に運転電圧Vbdが印加されることにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されるようになる。
【0041】
インジェクタ35は、燃料をエンジン1へ噴射供給する。なお、ECU5は、デリバリパイプ34内の燃料が液相状態であることを前提に各インジェクタ35の開弁時間を制御する。
【0042】
プレッシャレギュレータ36は、デリバリパイプ34内の圧力が規定圧力以上となったときに開弁して、デリバリパイプ34内の燃料をフューエルタンク32へ還流する。
【0043】
燃料の流通路について説明する。
第1燃料通路R1は、フューエルタンク32とフューエルポンプ31とを接続する。
【0044】
第2燃料通路R2は、フューエルポンプ31とフィルタ33とを接続する。
第3燃料通路R3は、フィルタ33とデリバリパイプ34とを接続する。
第4燃料通路R4は、デリバリパイプ34とプレッシャレギュレータ36とを接続する。
【0045】
第5燃料通路R5は、プレッシャレギュレータ36とフューエルタンク32とを接続する。
検出系を構成する各センサについて説明する。なお、以下の各センサを通じて検出されたデータは、ECU5へ入力される。
【0046】
タンク温度センサS1は、フューエルタンク32内の燃料の温度(タンク温度THtk)を検出する。
タンク圧力センサS2は、フューエルタンク32内の燃料の圧力(タンク圧力Ptk)を検出する。
【0047】
分配管温度センサS3は、デリバリパイプ34内の燃料の温度(分配管温度THdp)を検出する。
分配管圧力センサS4は、デリバリパイプ34内の燃料の圧力(分配管圧力Pdp)を検出する。
【0048】
エンジン回転速度センサS5は、エンジン1のクランクシャフトの回転速度(エンジン回転速度Ne)を検出する。
ECU5は、エンジン回転速度Neをはじめとしたエンジン1の運転状態を示す各パラメータに基づいて、インジェクタ35の燃料噴射量(開弁時間)を調整する。
【0049】
<燃料の流通態様>
燃料供給装置3における燃料の流通態様について説明する。
フューエルポンプ31により圧送された燃料は、フィルタ33を介してデリバリパイプ34内へ供給される。
【0050】
デリバリパイプ34内に供給された燃料は、インジェクタ35の開弁時間に応じてエンジン1へ噴射供給される。また、デリバリパイプ34内の圧力が規定圧力以上となったとき、デリバリパイプ34内の燃料はプレッシャレギュレータ36を介してフューエルタンク32へ還流される。
【0051】
ところで、燃料供給装置3においては、エンジン1の停止中にエンジン1からの受熱やフューエルポンプ31の停止による圧力の低下に起因して、デリバリパイプ34内の燃料が気化することもある。
【0052】
一方で、エンジン1の始動時には、スタータモータ11の駆動によるバッテリ電圧Vbの低下に起因して、デリバリパイプ34内へ圧送される液相燃料が減量するようになる。
【0053】
このため、エンジン1の始動に際して、デリバリパイプ34内に気化燃料が混入している場合には、エンジン1の始動性の悪化(エンジン1の要求に応じた燃料量を噴射することができない状態や燃料噴射が行えない状態など)をまねくことが懸念される。
【0054】
そこで、本実施の形態ではこうしたことを考慮して、ECU5に昇圧回路51を備えるとともに、以下に説明する「ポンプ駆動制御」を通じてフューエルポンプ31の駆動態様を制御するようにしている。なお、「ポンプ駆動制御」は、制御手段を通じて行われる処理に相当する。
【0055】
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図4)
図3及び図4を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0056】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
[ステップS100]フューエルポンプ31の駆動条件(以下の[イ]及び[ロ]のいずれか)が成立しているか否かを判定する。
[イ]「フューエルポンプ31の停止中にイグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられた」
[ロ]「フューエルポンプ31の駆動中にイグニッションスイッチIGが「OFF」あるいは「ACC」へ切り替えられていない」
即ち、イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたことに基づいてフューエルポンプ31の駆動が開始されるとともに、イグニッションスイッチIGが「OFF」あるいは「ACC」へ切り替えられるまでフューエルポンプ31の駆動が継続される。
【0057】
フューエルポンプ31の駆動条件が成立しているとき、ステップS200の処理へ移行する。
フューエルポンプ31の駆動条件が成立していないとき、ステップS600の処理へ移行する。
【0058】
[ステップS200]フューエルポンプ31の印加電圧を昇圧するか否かを判定するための「昇圧条件判定処理」(図4)を実行する。
[ステップT101]スタータモータ11が駆動しているか否かを判定する。
【0059】
スタータモータ11が駆動状態にあるとき、ステップT102の処理へ移行する。
スタータモータ11が停止状態にあるとき、ステップT103の処理へ移行する。
【0060】
[ステップT102]ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を許可する。即ち、昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT103]ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を禁止する。即ち、昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
【0061】
ステップT102あるいはステップT103の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
[ステップS300]昇圧実行要求が有効にされているか否かを判定する。
【0062】
昇圧実行要求が有効にされているとき、ステップS400の処理へ移行する。
昇圧実行要求が無効にされているとき、ステップS500の処理へ移行する。
[ステップS400]昇圧回路51によるポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行してフューエルポンプ31を駆動する。
【0063】
[ステップS500]昇圧回路51によるポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止してフューエルポンプ31を駆動する。
[ステップS600]フューエルポンプ31を停止する。
【0064】
ステップS400〜S600の処理のいずれかを行った後、「基幹駆動処理」を一旦終了する。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、スタータモータ11の駆動中、バッテリBTからフューエルポンプ31へ印加される電圧を昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0065】
<作用効果>
次に、図5を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0066】
図5(a)は「通常の制御(「ポンプ駆動制御」が適用されていないときの制御)によるフューエルポンプ31の駆動態様」を、図5(b)は「「ポンプ駆動制御」によるフューエルポンプ31の駆動態様」をそれぞれ示す。なお、図5において、時刻t51以前はエンジン1の停止状態を想定している。
【0067】
〔1〕「通常の制御によるポンプ駆動態様」
イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたとすると、これに応じてスタータモータ11及びフューエルポンプ31の駆動が開始される(時刻t51)。
【0068】
スタータモータ11の駆動中、スタータモータ11への電圧の印加によりバッテリ電圧Vbが停止電圧Vbbよりも低い始動電圧Vblとなるため、フューエルポンプ31はこの始動電圧Vblで駆動されるようになる(時刻t51〜t52)。
【0069】
エンジン1の始動完了にともなってスタータモータ11が停止されたとすると、バッテリ電圧Vbが始動電圧Vblから運転電圧Vbdまで上昇するため、フューエルポンプ31は運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t52以降)。
【0070】
フューエルポンプ31の燃料吐出量(ポンプ吐出量Qp)は、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t51から時刻t52の間、ポンプ吐出量Qpは始動電圧Vblに対応した始動吐出量Qplとなる。
【0071】
時刻t52以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。なお、運転吐出量Qpdは、始動吐出量Qplよりも多い吐出量となる。
【0072】
〔2〕「ポンプ駆動制御によるポンプ駆動態様」
イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたとすると、これに応じてスタータモータ11及びフューエルポンプ31の駆動が開始される(時刻t51)。
【0073】
スタータモータ11の駆動中、バッテリ電圧Vbは始動電圧Vblまで低下した状態となるが、ポンプ駆動電圧Vpが運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhまで昇圧されるため、フューエルポンプ31は昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t51〜t52)。
【0074】
エンジン1の始動完了にともなってスタータモータ11が停止されたとすると、バッテリ電圧Vbが始動電圧Vblから運転電圧Vbdまで上昇するとともにポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31は運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t52以降)。
【0075】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t51から時刻t52の間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。なお、昇圧吐出量Qphは、運転吐出量Qpdよりも多い吐出量となる。
【0076】
時刻t52以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
このように、スタータモータ11の駆動中、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhで駆動されるため、デリバリパイプ34内により多くの液相燃料が供給されるようになる。
【0077】
これにより、デリバリパイプ34内の燃料の圧力が速やかに高められるとともに、デリバリパイプ34内に滞留している気化燃料が速やかにデリバリパイプ34内から排出されるため、燃料の液相状態(気化燃料が混入していない状態)が早期に確保されるようになる。そして、こうした燃料の液相状態の確保を通じて、エンジン1の始動性の悪化が抑制されるようになる。
【0078】
<制御態様の一例>
次に、図6を参照して、「ポンプ駆動制御」(図3及び図4)による制御態様の一例を説明する。
【0079】
時刻t61において、イグニッションスイッチIGが「OFF」から「START」へ切り替えられたとする。このとき、以下の各処理が行われる。
〔b〕「スタータモータ11の駆動開始」
〔d〕「フューエルポンプ31の駆動開始」
また、昇圧回路51を通じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる。
【0080】
時刻t62において、エンジン1の始動が完了したとする。このとき、以下の各処理が行われる。
〔b〕「スタータモータ11の駆動停止」
〔e〕「昇圧回路51による昇圧の停止」
これにより、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(図6:〔f〕)。
【0081】
以上詳述したように、この第1の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、スタータモータ11の駆動中、昇圧回路51によりポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、エンジン1の始動に際して、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を早期に確保することができるようになる。
【0082】
(2)また、エンジン1の始動性の悪化を好適に抑制することができるようになる。
(3)本実施の形態では、ポンプ駆動電圧Vpを運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhまで昇圧するようにしている。これにより、燃料の液相状態をより早期に確保することができるようになる。
【0083】
(4)本実施の形態では、昇圧実行要求が無効にされているとき、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止するようにしている。これにより、フューエルポンプ31の吐出性能が過大となることに起因する燃費の悪化やポンプ寿命の低下を好適に抑制することができるようになる。
【0084】
(5)本実施の形態では、昇圧回路51として昇圧/非昇圧の選択的な切り替えが可能な回路(必要時のみ昇圧を行うことのできる昇圧回路)を採用するようにしている。これにより、昇圧回路51の回路構成の大型化を回避することができるようになる。
【0085】
なお、上記第1の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第1の実施の形態では、スタータモータ11の駆動中にポンプ駆動電圧Vpを昇圧する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、エンジン回転速度Neが判定値未満であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧することもできる。なお、上記判定値は、エンジン1の始動完了(エンジン1の自立運転が可能な状態)を判定するための閾値として設定される。
【0086】
(第2の実施の形態)
本発明を具体化した第2の実施の形態について、図7〜図9を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0087】
ところで、燃料供給装置3においては、バッテリ電圧Vbの低下によりポンプ吐出量Qpが減量したとき、デリバリパイプ34内へ圧送される液相燃料の不足により同デリバリパイプ34内の燃料の気化をまねくことが考えられる。
【0088】
そこで、本実施の形態ではこうしたことを考慮して、以下に説明する「ポンプ駆動制御」を通じて昇圧回路51の駆動態様を制御するようにしている。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図7)
図7を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0089】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200の処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0090】
[ステップT201]バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)が所定電圧Vbdx未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Vbd<Vbdx
が満たされているか否かを判定する。なお、バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)の変動は、ECU5を通じて監視される。
【0091】
所定電圧Vbdxは、所定吐出量Qpc(デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を維持することのできるポンプ吐出量Qpの最小値)を確保することのできるバッテリ電圧Vbの最小値として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0092】
本処理では、運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx未満のとき、ポンプ吐出量Qpが所定吐出量Qpc未満の状態にあると判定する。一方で、運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx以上のときは、ポンプ吐出量Qpが所定吐出量Qpc以上の状態にあると判定する。
【0093】
運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx未満のとき、ステップT202の処理へ移行する。
運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx以上のとき、ステップT203の処理へ移行する。
【0094】
[ステップT202]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT203]バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)が復帰電圧Vbdr以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Vbd≧Vbdr
が満たされているか否かを判定する。
【0095】
復帰電圧Vbdrは、所定電圧Vbdxよりも大きい値に設定される(運転電圧Vbdの変動による制御ハンチングを回避するための判定値として設定される)。また、予め設定された値として用いられる。
【0096】
運転電圧Vbdが復帰電圧Vbdr未満のときは、「基幹駆動処理」へ復帰する。
運転電圧Vbdが復帰電圧Vbdr以上のとき、ステップT204の処理へ移行する。
【0097】
[ステップT204]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT202あるいはステップT204の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0098】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx未満となってから復帰電圧Vbdr以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0099】
<作用効果>
次に、図8を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0100】
運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx未満の電圧まで低下したとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t81〜t82)。
【0101】
運転電圧Vbdが復帰電圧Vbdr以上の電圧まで上昇したとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t82以降)。
【0102】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t81から時刻t82までの間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0103】
時刻t82以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
このように、バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)が低下しているとき、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhで駆動されるため、デリバリパイプ34内により多くの液相燃料が供給されるようになる。
【0104】
これにより、バッテリ電圧Vbの低下にかかわらず、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が確保されるようになる。
<制御態様の一例>
次に、図9を参照して、「ポンプ駆動制御」(図3及び図7)による制御態様の一例を説明する。
【0105】
時刻t91において、エンジン1の始動動作が開始されたとすると、スタータモータ11の駆動によりバッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満の電圧まで低下するようになる。
【0106】
このとき、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる。
時刻t92において、エンジン1の始動が完了したとすると、スタータモータ11の停止によりバッテリ電圧Vbが復帰電圧Vbdr以上の電圧まで上昇するようになる。
【0107】
このとき、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる。
時刻t93において、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満の電圧まで低下したとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が実行される。
【0108】
時刻t94において、バッテリ電圧Vbが復帰電圧Vbdr以上の電圧まで上昇したとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止される。
以上詳述したように、この第2の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に列記するような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果が得られるようになる。
【0109】
(6)本実施の形態では、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満となってから復帰電圧Vbdr以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を好適に確保することができるようになる。
【0110】
(7)また、エンジン1の始動性の悪化を好適に抑制することができるようになる。
(8)本実施の形態では、ポンプ駆動電圧Vpを運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhまで昇圧するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0111】
(9)また、エンジン1の始動に際しては、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより早期に確保することができるようになる。
なお、上記第2の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0112】
・上記第2の実施の形態では、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満となってから復帰電圧Vbdr以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満のときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行する一方で、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx以上のときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止することもできる。
【0113】
・上記第2の実施の形態では、所定電圧Vbdxを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定電圧Vbdxを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することもできる。
【0114】
(第3の実施の形態)
本発明を具体化した第3の実施の形態について、図10〜図12を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0115】
ところで、バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)はオルタネータ12の発電量に応じて変動するため、エンジン回転速度Neが低い場合には、発電量の不足に起因するバッテリ電圧Vbの低下によりデリバリパイプ34内の燃料の気化をまねくことが考えられる。
【0116】
そこで、本実施の形態ではこうしたことを考慮して、以下に説明する「ポンプ駆動制御」を通じて昇圧回路51の駆動態様を制御するようにしている。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図10)
図10(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0117】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0118】
[ステップT301]エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nex
が満たされているか否かを判定する。
【0119】
所定回転速度Nexは、オルタネータ12の所定発電量(デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を維持することのできる発電量の最小値)を確保することのできるエンジン回転速度Neの最小値として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0120】
本処理では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満のとき、オルタネータ12の発電量が所定発電量未満の状態にあると判定する。一方で、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex以上のときは、オルタネータ12の発電量が所定発電量以上の状態にあると判定する。
【0121】
エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満のとき、ステップT302の処理へ移行する。
エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex以上のとき、ステップT303の処理へ移行する。
【0122】
[ステップT302]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT303]エンジン回転速度Neが復帰回転速度Ner以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne≧Ner
が満たされているか否かを判定する。
【0123】
復帰回転速度Nerは、所定回転速度Nexよりも大きい値に設定される(エンジン回転速度Neの変動による制御ハンチングを回避するための判定値として設定される)。また、予め設定された値として用いられる。
【0124】
エンジン回転速度Neが復帰回転速度Ner未満のとき、「基幹駆動処理」へ復帰する。
エンジン回転速度Neが復帰回転速度Ner以上のとき、ステップT304の処理へ移行する。
【0125】
[ステップT304]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT302あるいはステップT304の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0126】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満となってから復帰回転速度Ner以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0127】
<作用効果>
次に、図11を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0128】
エンジン回転速度Neが所定回転速度Nexを下回ったとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t111〜t112)。
【0129】
エンジン回転速度Neが復帰回転速度Nerを上回ったとすると、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるとともにフューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t112以降)。
【0130】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t111から時刻t112までの間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0131】
時刻t112以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
このように、エンジン回転速度Neが低いとき、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhで駆動されるため、デリバリパイプ34内により多くの液相燃料が供給されるようになる。
【0132】
これにより、オルタネータ12の発電量の低下にかかわらず、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が確保されるようになる。
<制御態様の一例>
次に、図12を参照して、「ポンプ駆動制御」(図3及び図10)による制御態様の一例を説明する。
【0133】
時刻t121において、エンジン1の始動動作が開始されたとする。
このとき、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満であるとすると、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を通じて、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる。
【0134】
時刻t122において、エンジン1の始動が完了したとする。
このとき、エンジン回転速度Neが復帰回転速度Ner以上であるとすると、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を通じて、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる。
【0135】
時刻t123において、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満になったとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が実行される。
時刻t124において、エンジン回転速度Neが復帰回転速度Nex以上になったとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止される。
【0136】
以上詳述したように、この第3の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0137】
(10)本実施の形態では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満となってから復帰回転速度Ner以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を好適に確保することができるようになる。
【0138】
なお、上記第3の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3の実施の形態では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満となってから復帰回転速度Ner以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満のときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行する一方で、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex以上のときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止することもできる。
【0139】
・上記第3の実施の形態では、エンジン回転速度Neと所定回転速度Nexとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替える構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。オルタネータ12の発電状態を直接監視するとともに、この監視結果に基づいてポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替えることもできる。
【0140】
・上記第3の実施の形態では、所定回転速度Nexを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定回転速度Nexを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することもできる。
【0141】
(第4の実施の形態)
本発明を具体化した第4の実施の形態について、図13及び図14を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0142】
ところで、前記第1の実施の形態の「ポンプ制御」(図3及び図4)によれば、エンジン1の始動に際して、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が確保されるようになるものの、次のようなことが懸念される。
【0143】
即ち、スタータモータ11の駆動中のみポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、デリバリパイプ34内に多量の気化燃料が滞留している場合には、燃料の液相状態を早期に確保することが困難となる。
【0144】
そこで、本実施の形態ではこうしたことを考慮して、以下に説明する「ポンプ駆動制御」を通じて昇圧回路51の駆動態様を制御するようにしている。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図13)
図13(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0145】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0146】
[ステップT401]フューエルポンプ31の駆動された期間(ポンプ駆動期間Tpd)が所定駆動期間Tpdx未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Tpd<Tpdx
が満たされているか否かを判定する。なお、ECU5は、フューエルポンプ31の駆動条件の成立にともなってポンプ駆動期間Tpdの計測を開始する一方で、エンジン1の停止にともなってポンプ駆動期間Tpdをクリアする。
【0147】
所定駆動期間Tpdxは、所定量(想定される平均的な量あるいは最も多い量)の気化燃料が混入した状態にあるデリバリパイプ34内の燃料を加圧により液化させるまでに必要となる期間として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0148】
本処理では、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、デリバリパイプ34内に気化燃料が混入している状態として判定する。一方で、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx以上のときは、デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していない状態として判定する。
【0149】
ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、ステップT402の処理へ移行する。
ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx以上のとき、ステップT403の処理へ移行する。
【0150】
[ステップT402]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT403]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT402あるいはステップT403の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0151】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0152】
<作用効果>
次に、図14を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0153】
エンジン1の始動動作の開始にともなってフューエルポンプ31の駆動が開始されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t141〜t142)。
【0154】
ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx以上になったとすると、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるとともにフューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t142以降)。
【0155】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t141から時刻t142の間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0156】
時刻t142以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
このように、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhで駆動されるため、デリバリパイプ34内により多くの液相燃料が供給されるようになる。
【0157】
これにより、エンジン1の停止中にデリバリパイプ34内に多量の気化燃料が発生した場合にあっても、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態がより早期に確保されるようになる。
【0158】
以上詳述したように、この第4の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0159】
(11)本実施の形態では、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、エンジン1の始動に際して、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより早期に確保することができるようになる。
【0160】
なお、上記第4の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第4の実施の形態では、所定駆動期間Tpdxを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定駆動期間Tpdxを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することも可能である。
【0161】
(第5の実施の形態)
本発明を具体化した第5の実施の形態について、図15及び図16を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0162】
ところで、先の各実施の形態においては、エンジン1の運転状態あるいは電源系統の状態(バッテリBTやオルタネータ12の状態)に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧/非昇圧を切り替える構成としたが、本実施の形態では、デリバリパイプ34内の燃料状態(燃料の液相状態が維持されているか否か)を直接監視するとともに、この監視結果に基づいて昇圧態様を制御するようにしている。
【0163】
以下、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」について説明する。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図15)
図15(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0164】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0165】
[ステップT501]デリバリパイプ34内の燃料の圧力(分配管圧力Pdp)が所定圧力Pdpx未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Pdp<Pdpx
が満たされているか否かを判定する。
【0166】
所定圧力Pdpxは、デリバリパイプ34内に気化燃料が生じているか否かを判定するための閾値として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0167】
本処理では、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満のとき、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていないと判定する(デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していると判定する)。一方で、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx以上のときは、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていると判定する(デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していないと判定する)。
【0168】
分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満のとき、ステップT502の処理へ移行する。
分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx以上のとき、ステップT503の処理へ移行する。
【0169】
[ステップT502]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT503]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT502あるいはステップT503の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0170】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0171】
<作用効果>
次に、図16を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0172】
分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満であることが検出されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t161〜t162)。
【0173】
分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx以上であることが検出されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t162以降)。
【0174】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t161から時刻t162までの間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0175】
時刻t162以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
以上詳述したように、この第5の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0176】
(12)本実施の形態では、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を的確に確保することができるようになる。
【0177】
(13)また、燃費の悪化やポンプ寿命の低下を的確に抑制することができるようになる。
なお、上記第5の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0178】
・上記第5の実施の形態では、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx以上であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、分配管圧力Pdpが所定の復帰圧力(所定圧力Pdpxよりも高く設定された所定値)未満であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止することもできる。
【0179】
・上記第5の実施の形態では、所定圧力Pdpxを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定圧力Pdpxを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することも可能である。
【0180】
(第6の実施の形態)
本発明を具体化した第6の実施の形態について、図17を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0181】
ところで、前記第5の実施の形態では、燃料の圧力に基づいて燃料状態の判定を行う構成としたが、本実施の形態では、燃料の温度に基づいて燃料状態の判定を行うようにしている。こうした構成を採用することによっても、同様の作用効果が得られるようになる。
【0182】
以下、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」について説明する。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図17)
図17(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0183】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0184】
[ステップT601]デリバリパイプ34内の燃料の温度(分配管温度THdp)が所定温度THdpx以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
THdp≧THdpx
が満たされているか否かを判定する。
【0185】
所定温度THdpxは、デリバリパイプ34内に気化燃料が生じているか否かを判定するための閾値として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0186】
本処理では、分配管温度THdpが所定温度THdpx以上のとき、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていないと判定する(デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していると判定する)。一方で、分配管温度THdpが所定温度THdpx未満のときは、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていると判定する(デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していないと判定する)。
【0187】
分配管温度THdpが所定温度THdpx以上のとき、ステップT602の処理へ移行する。
分配管温度THdpが所定温度THdpx未満のとき、ステップT603の処理へ移行する。
【0188】
[ステップT602]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT603]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT602あるいはステップT603の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0189】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、分配管温度THdpが所定温度THdpx以上のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0190】
以上詳述したように、この第6の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0191】
(14)本実施の形態では、分配管温度THdpが所定温度THdpx以上のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を的確に確保することができるようになる。
【0192】
(15)また、燃費の悪化やポンプ寿命の低下を的確に抑制することができるようになる。
なお、上記第6の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0193】
・上記第6の実施の形態では、分配管温度THdpが所定温度THdpx未満であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、分配管温度THdpが所定の復帰温度(所定温度THdpxよりも低く設定された所定値)未満であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止することもできる。
【0194】
・上記第6の実施の形態では、所定温度THdpxを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定温度THdpxを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することも可能である。
【0195】
(第7の実施の形態)
本発明を具体化した第7の実施の形態について、図18〜図20を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。また、プロパン及びブタンから組成される燃料(LPG)が用いられる場合を想定している。
【0196】
ところで、前記第5の実施の形態では、予め設定されている判定値(所定圧力Pdpx)を用いて燃料状態を判定する構成としたが、本実施の形態では、燃料の飽和蒸気圧力に応じて判定値を設定するとともに、この判定値を用いて燃料状態を判定するようにしている。これにより、昇圧態様の制御をより的確に行うことができるようになる。
【0197】
以下、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」について説明する。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図18)
図18(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0198】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0199】
[ステップT701]フューエルタンク32内の燃料の温度(タンク温度THtk)及びフューエルタンク32内の燃料の圧力(タンク圧力Ptk)に基づいて燃料の組成を推定する。即ち、タンク温度THtk及びタンク圧力Ptkを燃料組成算出マップに適用して、燃料のプロパン比率PPxを算出する。
【0200】
図18に燃料組成算出マップの一例を示す。例えば、タンク温度THtkが温度THtk2、タンク圧力Ptkが圧力Ptk2のときは、プロパン比率PPxとして比率PP22が算出される。
【0201】
[ステップT702]基本飽和蒸気圧曲線にプロパン比率PPxを適用して、燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する。即ち、下記の基本飽和蒸気圧計算式を通じて燃料の飽和蒸気圧計算式を算出する。
なお、上記計算式において、「R」は燃料のプロパン比率を、「T」は燃料の温度を、「P」は燃料の飽和蒸気圧力をそれぞれ示す。
【0202】
[ステップT703]算出された飽和蒸気圧曲線(飽和蒸気圧計算式)にデリバリパイプ34内の燃料の温度(分配管温度THdp)を適用して、デリバリパイプ34内の燃料の飽和蒸気圧力Psvを算出する。
【0203】
[ステップT704]飽和蒸気圧力Psvに補正圧力Paを加算した値を判定圧力Pdcとして設定する。即ち、下記処理
Pdc←Psv+Pa
を通じて判定圧力Pdcを設定する。
【0204】
[ステップT705]デリバリパイプ34内の燃料の圧力(分配管圧力Pdp)が判定圧力Pdc未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Pdp<Pdc
が満たされているか否かを判定する。
【0205】
ちなみに、デリバリパイプ34内の燃料状態の判定においては、基本的には、分配管圧力Pdpが飽和蒸気圧力Psv未満であることに基づいて、気化燃料が生じていると判定することができる。
【0206】
ただし、実際の飽和蒸気圧力と算出された飽和蒸気圧力Psvとの誤差等に起因して、実際には燃料の気化が生じているにもかかわらず燃料の液相状態が維持されているとの判定結果が得られることも考えられる。
【0207】
そこで、本処理では、こうした事態を回避するために、上記ステップT704の処理を通じて、飽和蒸気圧力Psvに所定の余裕分(補正圧力Pa)を加算した値を判定値として用いるようにしている。
【0208】
本処理では、分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満のとき、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていない(あるいは液相状態が維持されていないおそれがある)と判定する。一方で、分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc以上のときは、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていると判定する。
【0209】
分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満のとき、ステップT706の処理へ移行する。
分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc以上のとき、ステップT707の処理へ移行する。
【0210】
[ステップT706]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT707]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT706あるいはステップT707の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0211】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0212】
<作用効果>
次に、図20を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0213】
分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満であることが検出されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t201〜t202)。
【0214】
分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc以上であることが検出されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t202以降)。
【0215】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t201から時刻t202までの間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0216】
時刻t202以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
以上詳述したように、この第7の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0217】
(16)本実施の形態では、分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより的確に確保することができるようになる。
【0218】
(17)また、燃費の悪化やポンプ寿命の低下をより的確に抑制することができるようになる。
なお、上記第7の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0219】
・上記第7の実施の形態においては、分配管圧力Pdpと判定圧力Pdcとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替える構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、分配管圧力Pdpと飽和蒸気圧力Psvとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替えることもできる。
【0220】
・上記第7の実施の形態では、プロパン及びブタンから組成される液化石油ガスを想定したが、液化石油ガスであればいずれの燃料組成を有する燃料を用いた場合であっても、上記第7の実施の形態に準じた態様をもって昇圧態様を制御することができる。なお、燃料の組成の推定処理(ステップT701)、及び飽和蒸気圧曲線の算出処理(ステップT702)は、用いられる燃料に応じて適宜変更される。
【0221】
・上記第7の実施の形態では、ステップT702の処理にて例示した基本飽和蒸気圧計算式を用いる構成としたが、飽和蒸気圧曲線の算出に際して用いる計算式(基本飽和蒸気圧計算式)は、例示した計算式に限られず適宜の計算式を用いることができる。
【0222】
・上記第7の実施の形態では、補正圧力Paを予め設定した値として用いる構成としたが、飽和蒸気圧力Psvを所定のパラメータに基づいて可変設定することも可能である。例えば、飽和蒸気圧力Psvに含まれる誤差の大きさ(実際の飽和蒸気圧力に対するずれの大きさ)を推定するとともに、この推定された値に基づいて補正圧力Paを可変設定することもできる。
【0223】
(第8の実施の形態)
本発明を具体化した第8の実施の形態について、図21を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。また、プロパン及びブタンから組成される燃料(LPG)が用いられる場合を想定している。
【0224】
ところで、前記第6の実施の形態では、予め設定されている判定値(所定温度THdpx)を用いて燃料状態を判定する構成としたが、本実施の形態では、燃料の飽和蒸気温度に応じて判定値を設定するとともに、この判定値を用いて燃料状態を判定するようにしている。これにより、昇圧態様の制御をより的確に行うことができるようになる。
【0225】
以下、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」について説明する。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図21)
図21(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0226】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0227】
[ステップT801]タンク温度THtk及びタンク圧力Ptkに基づいて燃料の組成を推定する。即ち、タンク温度THtk及びタンク圧力Ptkを燃料組成算出マップに適用して、燃料のプロパン比率PPxを算出する。
【0228】
[ステップT802]基本飽和蒸気圧曲線にプロパン比率PPxを適用して、燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する。
[ステップT803]算出された飽和蒸気圧曲線(飽和蒸気圧計算式)に分配管圧力Pdpを適用して、デリバリパイプ34内の燃料の飽和蒸気温度THsvを算出する。
【0229】
[ステップT804]飽和蒸気温度THsvから補正温度THaを減算した値を判定温度THdcとして設定する。即ち、下記処理
THdc←THsv−THa
を通じて算出した値を判定温度THdcとして設定する。
【0230】
[ステップT805]分配管温度THdpが判定温度THdc以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
THdp≧THdc
が満たされているか否かを判定する。
【0231】
ちなみに、デリバリパイプ34内の燃料状態の判定においては、基本的には、分配管温度THdpが飽和蒸気温度THsv以上であることに基づいて、気化燃料が生じていると判定することができる。
【0232】
ただし、実際の飽和蒸気温度と算出された飽和蒸気温度THsvとの誤差等に起因して、実際には燃料の気化が生じているにもかかわらず燃料の液相状態が維持されているとの判定結果が得られることも考えられる。
【0233】
そこで、本処理では、こうした事態を回避するために、上記ステップT804の処理を通じて、飽和蒸気温度THsvから所定の余裕分(補正温度THa)を減算した値を判定値として用いるようにしている。
【0234】
本処理では、分配管温度THdpが判定温度THdc以上のとき、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていない(あるいは液相状態が維持されていないおそれがある)と判定する。一方で、分配管温度THdpが判定温度THdc未満のときは、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていると判定する。
【0235】
分配管温度THdpが判定温度THdc以上のとき、ステップT806の処理へ移行する。
分配管温度THdpが判定温度THdc未満のとき、ステップT807の処理へ移行する。
【0236】
[ステップT806]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT807]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT806あるいはステップT807の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0237】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、分配管温度THdpが判定温度THdc以上のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0238】
以上詳述したように、この第8の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0239】
(18)本実施の形態では、分配管温度THdpが判定温度THdc以上のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより的確に確保することができるようになる。
【0240】
(19)また、燃費の悪化やポンプ寿命の低下をより的確に抑制することができるようになる。
なお、上記第8の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0241】
・上記第8の実施の形態においては、分配管温度THdpと判定温度THdcとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替える構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、分配管温度THdpと飽和蒸気温度THsvとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替えることもできる。
【0242】
・上記第8の実施の形態では、補正温度THaを予め設定した値として用いる構成としたが、飽和蒸気温度THsvを所定のパラメータに基づいて可変設定することも可能である。例えば、飽和蒸気温度THsvに含まれる誤差の大きさ(実際の飽和蒸気温度に対するずれの大きさ)を推定するとともに、この推定された値に基づいて補正温度THaを可変設定することもできる。
【0243】
(その他の実施の形態)
その他、上記各実施の形態に共通して変更することが可能な要素を以下に列挙する。
【0244】
・上記各実施の形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。この場合、「ポンプ駆動制御」において各実施の形態の「昇圧条件判定処理」を独立して行うとともに、いずれかの「昇圧条件判定処理」を通じて昇圧実行要求が有効とされているときに、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行することができる。こうした構成によれば、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態がより確実に確保されるようになる。
【0245】
以下、各実施の形態の組み合わせ例を列挙する。なお、以下の組み合わせの説明においては、各実施の形態を次のように省略して示す。
[a]第1の実施の形態を〔1〕として示す。
[b]第2の実施の形態を〔2〕として示す。
[c]第3の実施の形態を〔3〕として示す。
[d]第4の実施の形態を〔4〕として示す。
[e]第5の実施の形態を〔5〕として示す。
[f]第6の実施の形態を〔6〕として示す。
[g]第7の実施の形態を〔7〕として示す。
[h]第8の実施の形態を〔8〕として示す。
【0246】
<各実施の形態の組み合わせ例>
[い]:〔1〕+〔2〕
[ろ]:〔1〕+〔3〕
[は]:〔1〕+〔4〕
[に]:〔2〕+〔3〕
[ほ]:〔2〕+〔4〕
[へ]:〔3〕+〔4〕
[と]:〔1〕+〔2〕+〔3〕
[ち]:〔1〕+〔2〕+〔4〕
[り]:〔1〕+〔3〕+〔4〕
[ぬ]:〔2〕+〔3〕+〔4〕
[る]:〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕
[を]:〔1〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[わ]:〔2〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[か]:〔3〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[よ]:〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[た]:〔1〕+〔2〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[れ]:〔1〕+〔3〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[そ]:〔1〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[つ]:〔2〕+〔3〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[ね]:〔2〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[な]:〔3〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[ら]:〔1〕+〔2〕+〔3〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[む]:〔1〕+〔2〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[う]:〔1〕+〔3〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[ゐ]:〔2〕+〔3〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[の]:〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
上記組み合わせ例において、「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」と示した箇所については、基本的には〔5〕〜〔8〕のいずれかの実施の形態を採用するものとする。なお、複数の実施の形態を採用することもできる。
【0247】
・上記各実施の形態では、イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたときにスタータモータ11及びフューエルポンプ31の駆動を開始する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、イグニッションスイッチIGが「ON」へ切り替えられたときにフューエルポンプ31の駆動を開始し、その後、イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたときにスタータモータ11の駆動を開始することもできる。
【0248】
・上記各実施の形態では、図3に例示した構成の「基幹駆動処理」を行う構成としたが、「基幹駆動処理」に適宜の変更を加えることもできる。要するに、「昇圧条件判定処理」を通じて昇圧の実行/停止を選択的に切り替える構成であれば、「基幹駆動処理」としては適宜の構成を採用することができる。
【0249】
・また、「昇圧条件判定処理」としては、上記各実施の形態にて例示した処理に限られず、適宜の処理を採用することができる。要するに、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼす適宜のパラメータに基づいてデリバリパイプ34内の燃料状態を推定するとともに、燃料の液相状態が維持されないと判定されたときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を許可する構成であれば、「昇圧条件判定処理」の構成は適宜変更可能である。
【0250】
・上記各実施の形態では、図2に例示した構成の燃料供給装置3を想定したが、燃料供給装置3の構成は上記各実施の形態にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。要するに、
[イ]液化ガス燃料を密閉状態で貯留する燃料タンク。
[ロ]燃料タンク内の液相状態の液化ガス燃料を圧送する電動式の燃料ポンプ。
[ハ]インジェクタを有する燃料分配管。
これら各構成要素を備えた燃料供給装置であれば、燃料供給装置の構成は適宜変更可能である。
【0251】
・上記各実施の形態では、液化石油ガス(LPG)をエンジンに供給する燃料供給装置3に対して本発明を適用したが、本発明の適用対象となる燃料供給装置は液化石油ガスを取り扱う燃料供給装置に限られるものではない。要するに、液化ガス燃料(例えば、液化天然ガス、液体水素、ジメチルエーテル等)をエンジンに供給する燃料供給装置であれば本発明の適用は可能であり、そうした燃料供給装置に本発明を適用した場合にあっても上記各実施の形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第1の実施の形態について、燃料供給装置を搭載した車両の構成を示す図。
【図2】同実施の形態の燃料供給装置の構成を示す図。
【図3】同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「基幹駆動処理」を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図6】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図7】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第2の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図8】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図9】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図10】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第3の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動処理」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図11】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図12】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図13】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第4の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図14】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図15】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第5の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図16】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すフローチャート。
【図17】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第6の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図18】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第7の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図19】プロパン比率算出マップを示す図。
【図20】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図21】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第8の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン、11…スタータモータ、12…オルタネータ、3…燃料供給装置、31…フューエルポンプ、32…フューエルタンク、33…フィルタ、34…デリバリパイプ、35…インジェクタ、36…プレッシャレギュレータ、R1…第1燃料通路、R2…第2燃料通路、R3…第3燃料通路、R4…第4燃料通路、R5…第5燃料通路、5…電子制御装置(ECU)、51…昇圧回路、BT…バッテリ、IG…イグニッションスイッチ、S1…タンク温度センサ、S2…タンク圧力センサ、S3…分配管温度センサ、S4…分配管圧力センサ、S5…エンジン回転速度センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化石油ガス等の液化ガス燃料をエンジンに供給する液化ガスエンジンの燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
こうした燃料供給装置においては、一般に次の態様をもって燃料の流通が行われる。
【0003】
燃料タンク内の液相燃料を電動式の燃料ポンプにより燃料分配管(デリバリパイプ)へ圧送した後、インジェクタの開弁時間の制御を通じて、運転状態に応じた量の燃料をエンジンに噴射供給する。
【0004】
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、以下に示す特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−36990号公報
【特許文献2】
特開2002−138919号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記燃料供給装置を搭載した車両においては、同装置から液化燃料が供給されることを前提にエンジンの制御が行われるため、燃料分配管内の燃料が気化した場合には、エンジンの始動性や運転状態の悪化をまねくようになる。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料分配管内の燃料の液相状態を好適に確保することのできる液化ガスエンジンの燃料供給装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、燃料タンク内に貯留されている液相状態の液化ガス燃料を電動式の燃料ポンプにより燃料分配管へ圧送するとともに、インジェクタを通じて前記燃料分配管内の燃料をエンジンへ噴射供給する液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記燃料ポンプの駆動電圧を昇圧する昇圧回路と、同昇圧回路の駆動態様を制御する制御手段とを備えたことを要旨としている。
【0009】
上記構成によれば、燃料ポンプに印可される電圧を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の駆動態様を制御する制御手段とが備えられる。こうした構成の燃料供給装置においては、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧を通じて燃料ポンプの燃料吐出量を増大することにより、燃料分配管内の燃料の圧力を増大させることが可能となる。これにより、燃料分配管内の燃料の液相状態を好適に確保することができるようになる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記昇圧回路による前記駆動電圧の昇圧の実行/停止を選択的に切り替えることを要旨としている。
【0011】
上記構成によれば、昇圧回路による駆動電圧の昇圧の実行/停止が選択的に切り替えられる。こうした構成の燃料供給装置においては、必要時のみ駆動電圧の昇圧を行うことが可能となるため、昇圧回路の大型化を回避することができるようになる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記エンジンのスタータモータが駆動していることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0013】
上記構成によれば、エンジンのスタータモータが駆動していることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。ちなみに、燃料供給装置においては、エンジンの停止中にエンジンからの受熱や燃料ポンプの停止による圧力の低下に起因して、燃料分配管内の燃料が気化することもある。一方で、エンジンの始動時には、スタータモータの駆動による燃料ポンプの吐出性能の低下に起因して、燃料分配管内へ圧送される液相燃料が減量するようになる。こうしたことから、エンジンの始動に際して、燃料分配管内に気化燃料が混入している場合には、エンジンの始動性の悪化をまねくことが懸念される。この点、上記構成を採用することにより、スタータモータの駆動中に駆動電圧の昇圧を通じて燃料ポンプの吐出性能の向上が図られるため、エンジンの始動性の悪化を抑制することができるようになる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記燃料ポンプの電源電圧が所定電圧未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0015】
上記構成によれば、燃料ポンプの電源電圧が所定電圧未満であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。ちなみに、燃料供給装置においては、燃料ポンプの電源電圧の低下により燃料ポンプの吐出性能が低下したとき、燃料分配管内へ圧送される液相燃料の不足により燃料分配管内の燃料の気化をまねくことが考えられる。この点、上記構成を採用することにより、燃料ポンプの電源電圧が低下しているとき、駆動電圧の昇圧を通じて燃料ポンプの吐出性能の向上が図られるため、電源電圧の低下に起因する燃料の気化を好適に抑制することができるようになる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記エンジンの回転速度が所定回転速度未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0017】
上記構成によれば、エンジンの回転速度が所定回転速度未満であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。ちなみに、エンジンの回転速度が低い場合には、オルタネータの発電量の不足に起因する燃料ポンプの電源電圧の低下により、燃料分配管内の燃料の気化をまねくことが考えられる。この点、上記構成を採用することにより、エンジンの回転速度が低いとき、駆動電圧の昇圧を通じて燃料ポンプの吐出性能の向上が図られるため、オルタネータの発電量が低いことに起因する燃料の気化を好適に抑制することができるようになる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記燃料ポンプの駆動期間が所定駆動期間未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0019】
上記構成によれば、燃料ポンプの駆動期間が所定駆動期間未満であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。なお、所定駆動期間は、所定量の気化燃料が混入した状態にある燃料分配管内の燃料を加圧により液化させるまでに必要となる期間として設定される。こうした構成を採用することにより、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記燃料分配管内の燃料の圧力が所定圧力未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0021】
上記構成によれば、燃料分配管内の燃料の圧力が所定圧力未満であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。なお、所定圧力は、燃料分配管内に気化燃料が生じているか否かを判定するための閾値として設定される。こうした構成を採用することにより、燃料の状態が直接的に監視されるため、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、前記燃料分配管内の燃料の温度が所定温度以上であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行することを要旨としている。
【0023】
上記構成によれば、燃料分配管内の燃料の温度が所定温度以上であることを条件に、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。なお、所定温度は、燃料分配管内に気化燃料が生じているか否かを判定するための閾値として設定される。こうした構成を採用することにより、燃料の状態が直接的に監視されるため、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、以下の(a)〜(d)の処理を通じて前記昇圧回路の駆動態様を制御する
(a)「前記燃料タンク内の燃料の温度及び圧力に基づいて燃料の組成を推定する」
(b)「前記燃料の組成に基づいて燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する」
(c)「前記飽和蒸気圧曲線に前記燃料分配管内の燃料の温度を適用して燃料の飽和蒸気圧力を算出する」
(d)「前記燃料分配管内の燃料の圧力が前記飽和蒸気圧力未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する」ことを要旨としている。
【0025】
上記構成によれば、燃料の飽和蒸気圧力と燃料分配管内の燃料の圧力との対比結果に基づいて、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。こうした構成においては、燃料の状態が直接的に監視されるため、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、前記制御手段は、以下の(a)〜(d)の処理を通じて前記昇圧回路の駆動態様を制御する
(a)「前記燃料タンク内の燃料の温度及び圧力に基づいて燃料の組成を推定する」
(b)「前記燃料の組成に基づいて燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する」
(c)「前記飽和蒸気圧曲線に前記燃料分配管内の燃料の圧力を適用して燃料の飽和蒸気温度を算出する」
(d)「前記燃料分配管内の燃料の温度が前記飽和蒸気温度以上であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する」ことを要旨としている。
【0027】
上記構成によれば、燃料の飽和蒸気温度と燃料分配管内の燃料の温度との対比に基づいて、燃料ポンプの駆動電圧の昇圧が行われる。こうした構成においては、燃料の状態が直接的に監視されるため、燃料分配管内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明を具体化した第1の実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0029】
本実施の形態では、液化石油ガス(LPG)をエンジンに供給するエンジンの燃料供給装置を想定している。
<装置の構成>
図1に燃料供給装置を搭載した車両の構成を示す。
【0030】
エンジン1は、燃料(LPG)の燃焼を通じてクランクシャフトを駆動する。
スタータモータ11は、バッテリBTからの電力を通じてエンジン1のクランクシャフトを駆動する。
【0031】
オルタネータ12は、エンジン1のクランクシャフトを通じて駆動するとともに、発電した電力をバッテリBTへ供給する。
燃料供給装置3は、エンジン1へ燃料を供給する。また、電動式のフューエルポンプ31を通じて装置内における燃料の循環を行う。
【0032】
電子制御装置(ECU)5は、以下の各制御を行う。
[a]エンジン1の制御。
[b]燃料供給装置3の制御。
[c]スタータモータ11の駆動/停止の切り替え。
[d]フューエルポンプ31の駆動/停止の切り替え。
【0033】
また、ECU5は昇圧回路51を備えており、同昇圧回路51の駆動態様を制御する。ECU5による昇圧回路51の制御を通じて、バッテリBTからフューエルポンプ31へ印加される電圧(フューエルポンプ31の駆動電圧)を昇圧することが可能となっている。なお、制御手段は、ECU5を備えて構成される。
【0034】
バッテリBTは、ECU5、スタータモータ11、及びフューエルポンプ31へ電力を供給する。なお、バッテリBTの電圧(バッテリ電圧Vb)は、フューエルポンプ31の電源電圧に相当する。
【0035】
エンジン1の停止中におけるバッテリ電圧Vbを停止電圧Vbb、エンジン1の運転中におけるバッテリ電圧Vbを運転電圧Vbdとする。なお、運転電圧Vbdは、エンジン1の運転状態に応じて変動する。エンジン1の運転中、オルタネータ12を通じて発電が行われるため、運転電圧Vbdは基本的には停止電圧Vbbよりも高い電圧となる。
【0036】
昇圧回路51は、フューエルポンプ31の駆動電圧(ポンプ駆動電圧Vp)を昇圧する。昇圧実行要求が有効とされているときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行する一方で、昇圧実行要求が無効とされているときはポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止する。また、昇圧回路51は、ポンプ駆動電圧Vpを運転電圧Vbdよりも高い電圧まで昇圧することが可能となっている。
【0037】
イグニッションスイッチIGは、複数の操作位置(「OFF」、「ACC」、「ON」、「START」)を有する。
ECU5は、イグニッションスイッチIGからの信号を通じて操作位置を監視するとともに、操作位置に応じてエンジン1の運転/停止を切り替える。また、イグニッションスイッチIGが「START」位置にあるとき、スタータモータ11を駆動する。
【0038】
図2に燃料供給装置3の詳細な構成を示す。
燃料供給装置3を構成する各要素について説明する。
フューエルポンプ31は、フューエルタンク32内の液相燃料を圧送する。
【0039】
フューエルタンク32は、燃料を密閉状態で貯留する。なお、フューエルタンク32には、燃料が飽和状態で貯留されている。
フィルタ33は、燃料内の異物を除去する。
【0040】
デリバリパイプ34(燃料分配管)は、フューエルポンプ31により供給された燃料を各インジェクタ35へ分配する。なお、エンジン1の運転中、基本的にはフューエルポンプ31に運転電圧Vbdが印加されることにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されるようになる。
【0041】
インジェクタ35は、燃料をエンジン1へ噴射供給する。なお、ECU5は、デリバリパイプ34内の燃料が液相状態であることを前提に各インジェクタ35の開弁時間を制御する。
【0042】
プレッシャレギュレータ36は、デリバリパイプ34内の圧力が規定圧力以上となったときに開弁して、デリバリパイプ34内の燃料をフューエルタンク32へ還流する。
【0043】
燃料の流通路について説明する。
第1燃料通路R1は、フューエルタンク32とフューエルポンプ31とを接続する。
【0044】
第2燃料通路R2は、フューエルポンプ31とフィルタ33とを接続する。
第3燃料通路R3は、フィルタ33とデリバリパイプ34とを接続する。
第4燃料通路R4は、デリバリパイプ34とプレッシャレギュレータ36とを接続する。
【0045】
第5燃料通路R5は、プレッシャレギュレータ36とフューエルタンク32とを接続する。
検出系を構成する各センサについて説明する。なお、以下の各センサを通じて検出されたデータは、ECU5へ入力される。
【0046】
タンク温度センサS1は、フューエルタンク32内の燃料の温度(タンク温度THtk)を検出する。
タンク圧力センサS2は、フューエルタンク32内の燃料の圧力(タンク圧力Ptk)を検出する。
【0047】
分配管温度センサS3は、デリバリパイプ34内の燃料の温度(分配管温度THdp)を検出する。
分配管圧力センサS4は、デリバリパイプ34内の燃料の圧力(分配管圧力Pdp)を検出する。
【0048】
エンジン回転速度センサS5は、エンジン1のクランクシャフトの回転速度(エンジン回転速度Ne)を検出する。
ECU5は、エンジン回転速度Neをはじめとしたエンジン1の運転状態を示す各パラメータに基づいて、インジェクタ35の燃料噴射量(開弁時間)を調整する。
【0049】
<燃料の流通態様>
燃料供給装置3における燃料の流通態様について説明する。
フューエルポンプ31により圧送された燃料は、フィルタ33を介してデリバリパイプ34内へ供給される。
【0050】
デリバリパイプ34内に供給された燃料は、インジェクタ35の開弁時間に応じてエンジン1へ噴射供給される。また、デリバリパイプ34内の圧力が規定圧力以上となったとき、デリバリパイプ34内の燃料はプレッシャレギュレータ36を介してフューエルタンク32へ還流される。
【0051】
ところで、燃料供給装置3においては、エンジン1の停止中にエンジン1からの受熱やフューエルポンプ31の停止による圧力の低下に起因して、デリバリパイプ34内の燃料が気化することもある。
【0052】
一方で、エンジン1の始動時には、スタータモータ11の駆動によるバッテリ電圧Vbの低下に起因して、デリバリパイプ34内へ圧送される液相燃料が減量するようになる。
【0053】
このため、エンジン1の始動に際して、デリバリパイプ34内に気化燃料が混入している場合には、エンジン1の始動性の悪化(エンジン1の要求に応じた燃料量を噴射することができない状態や燃料噴射が行えない状態など)をまねくことが懸念される。
【0054】
そこで、本実施の形態ではこうしたことを考慮して、ECU5に昇圧回路51を備えるとともに、以下に説明する「ポンプ駆動制御」を通じてフューエルポンプ31の駆動態様を制御するようにしている。なお、「ポンプ駆動制御」は、制御手段を通じて行われる処理に相当する。
【0055】
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図4)
図3及び図4を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0056】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
[ステップS100]フューエルポンプ31の駆動条件(以下の[イ]及び[ロ]のいずれか)が成立しているか否かを判定する。
[イ]「フューエルポンプ31の停止中にイグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられた」
[ロ]「フューエルポンプ31の駆動中にイグニッションスイッチIGが「OFF」あるいは「ACC」へ切り替えられていない」
即ち、イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたことに基づいてフューエルポンプ31の駆動が開始されるとともに、イグニッションスイッチIGが「OFF」あるいは「ACC」へ切り替えられるまでフューエルポンプ31の駆動が継続される。
【0057】
フューエルポンプ31の駆動条件が成立しているとき、ステップS200の処理へ移行する。
フューエルポンプ31の駆動条件が成立していないとき、ステップS600の処理へ移行する。
【0058】
[ステップS200]フューエルポンプ31の印加電圧を昇圧するか否かを判定するための「昇圧条件判定処理」(図4)を実行する。
[ステップT101]スタータモータ11が駆動しているか否かを判定する。
【0059】
スタータモータ11が駆動状態にあるとき、ステップT102の処理へ移行する。
スタータモータ11が停止状態にあるとき、ステップT103の処理へ移行する。
【0060】
[ステップT102]ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を許可する。即ち、昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT103]ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を禁止する。即ち、昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
【0061】
ステップT102あるいはステップT103の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
[ステップS300]昇圧実行要求が有効にされているか否かを判定する。
【0062】
昇圧実行要求が有効にされているとき、ステップS400の処理へ移行する。
昇圧実行要求が無効にされているとき、ステップS500の処理へ移行する。
[ステップS400]昇圧回路51によるポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行してフューエルポンプ31を駆動する。
【0063】
[ステップS500]昇圧回路51によるポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止してフューエルポンプ31を駆動する。
[ステップS600]フューエルポンプ31を停止する。
【0064】
ステップS400〜S600の処理のいずれかを行った後、「基幹駆動処理」を一旦終了する。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、スタータモータ11の駆動中、バッテリBTからフューエルポンプ31へ印加される電圧を昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0065】
<作用効果>
次に、図5を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0066】
図5(a)は「通常の制御(「ポンプ駆動制御」が適用されていないときの制御)によるフューエルポンプ31の駆動態様」を、図5(b)は「「ポンプ駆動制御」によるフューエルポンプ31の駆動態様」をそれぞれ示す。なお、図5において、時刻t51以前はエンジン1の停止状態を想定している。
【0067】
〔1〕「通常の制御によるポンプ駆動態様」
イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたとすると、これに応じてスタータモータ11及びフューエルポンプ31の駆動が開始される(時刻t51)。
【0068】
スタータモータ11の駆動中、スタータモータ11への電圧の印加によりバッテリ電圧Vbが停止電圧Vbbよりも低い始動電圧Vblとなるため、フューエルポンプ31はこの始動電圧Vblで駆動されるようになる(時刻t51〜t52)。
【0069】
エンジン1の始動完了にともなってスタータモータ11が停止されたとすると、バッテリ電圧Vbが始動電圧Vblから運転電圧Vbdまで上昇するため、フューエルポンプ31は運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t52以降)。
【0070】
フューエルポンプ31の燃料吐出量(ポンプ吐出量Qp)は、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t51から時刻t52の間、ポンプ吐出量Qpは始動電圧Vblに対応した始動吐出量Qplとなる。
【0071】
時刻t52以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。なお、運転吐出量Qpdは、始動吐出量Qplよりも多い吐出量となる。
【0072】
〔2〕「ポンプ駆動制御によるポンプ駆動態様」
イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたとすると、これに応じてスタータモータ11及びフューエルポンプ31の駆動が開始される(時刻t51)。
【0073】
スタータモータ11の駆動中、バッテリ電圧Vbは始動電圧Vblまで低下した状態となるが、ポンプ駆動電圧Vpが運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhまで昇圧されるため、フューエルポンプ31は昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t51〜t52)。
【0074】
エンジン1の始動完了にともなってスタータモータ11が停止されたとすると、バッテリ電圧Vbが始動電圧Vblから運転電圧Vbdまで上昇するとともにポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31は運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t52以降)。
【0075】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t51から時刻t52の間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。なお、昇圧吐出量Qphは、運転吐出量Qpdよりも多い吐出量となる。
【0076】
時刻t52以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
このように、スタータモータ11の駆動中、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhで駆動されるため、デリバリパイプ34内により多くの液相燃料が供給されるようになる。
【0077】
これにより、デリバリパイプ34内の燃料の圧力が速やかに高められるとともに、デリバリパイプ34内に滞留している気化燃料が速やかにデリバリパイプ34内から排出されるため、燃料の液相状態(気化燃料が混入していない状態)が早期に確保されるようになる。そして、こうした燃料の液相状態の確保を通じて、エンジン1の始動性の悪化が抑制されるようになる。
【0078】
<制御態様の一例>
次に、図6を参照して、「ポンプ駆動制御」(図3及び図4)による制御態様の一例を説明する。
【0079】
時刻t61において、イグニッションスイッチIGが「OFF」から「START」へ切り替えられたとする。このとき、以下の各処理が行われる。
〔b〕「スタータモータ11の駆動開始」
〔d〕「フューエルポンプ31の駆動開始」
また、昇圧回路51を通じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる。
【0080】
時刻t62において、エンジン1の始動が完了したとする。このとき、以下の各処理が行われる。
〔b〕「スタータモータ11の駆動停止」
〔e〕「昇圧回路51による昇圧の停止」
これにより、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(図6:〔f〕)。
【0081】
以上詳述したように、この第1の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、スタータモータ11の駆動中、昇圧回路51によりポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、エンジン1の始動に際して、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を早期に確保することができるようになる。
【0082】
(2)また、エンジン1の始動性の悪化を好適に抑制することができるようになる。
(3)本実施の形態では、ポンプ駆動電圧Vpを運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhまで昇圧するようにしている。これにより、燃料の液相状態をより早期に確保することができるようになる。
【0083】
(4)本実施の形態では、昇圧実行要求が無効にされているとき、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止するようにしている。これにより、フューエルポンプ31の吐出性能が過大となることに起因する燃費の悪化やポンプ寿命の低下を好適に抑制することができるようになる。
【0084】
(5)本実施の形態では、昇圧回路51として昇圧/非昇圧の選択的な切り替えが可能な回路(必要時のみ昇圧を行うことのできる昇圧回路)を採用するようにしている。これにより、昇圧回路51の回路構成の大型化を回避することができるようになる。
【0085】
なお、上記第1の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第1の実施の形態では、スタータモータ11の駆動中にポンプ駆動電圧Vpを昇圧する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、エンジン回転速度Neが判定値未満であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧することもできる。なお、上記判定値は、エンジン1の始動完了(エンジン1の自立運転が可能な状態)を判定するための閾値として設定される。
【0086】
(第2の実施の形態)
本発明を具体化した第2の実施の形態について、図7〜図9を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0087】
ところで、燃料供給装置3においては、バッテリ電圧Vbの低下によりポンプ吐出量Qpが減量したとき、デリバリパイプ34内へ圧送される液相燃料の不足により同デリバリパイプ34内の燃料の気化をまねくことが考えられる。
【0088】
そこで、本実施の形態ではこうしたことを考慮して、以下に説明する「ポンプ駆動制御」を通じて昇圧回路51の駆動態様を制御するようにしている。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図7)
図7を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0089】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200の処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0090】
[ステップT201]バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)が所定電圧Vbdx未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Vbd<Vbdx
が満たされているか否かを判定する。なお、バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)の変動は、ECU5を通じて監視される。
【0091】
所定電圧Vbdxは、所定吐出量Qpc(デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を維持することのできるポンプ吐出量Qpの最小値)を確保することのできるバッテリ電圧Vbの最小値として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0092】
本処理では、運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx未満のとき、ポンプ吐出量Qpが所定吐出量Qpc未満の状態にあると判定する。一方で、運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx以上のときは、ポンプ吐出量Qpが所定吐出量Qpc以上の状態にあると判定する。
【0093】
運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx未満のとき、ステップT202の処理へ移行する。
運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx以上のとき、ステップT203の処理へ移行する。
【0094】
[ステップT202]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT203]バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)が復帰電圧Vbdr以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Vbd≧Vbdr
が満たされているか否かを判定する。
【0095】
復帰電圧Vbdrは、所定電圧Vbdxよりも大きい値に設定される(運転電圧Vbdの変動による制御ハンチングを回避するための判定値として設定される)。また、予め設定された値として用いられる。
【0096】
運転電圧Vbdが復帰電圧Vbdr未満のときは、「基幹駆動処理」へ復帰する。
運転電圧Vbdが復帰電圧Vbdr以上のとき、ステップT204の処理へ移行する。
【0097】
[ステップT204]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT202あるいはステップT204の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0098】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx未満となってから復帰電圧Vbdr以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0099】
<作用効果>
次に、図8を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0100】
運転電圧Vbdが所定電圧Vbdx未満の電圧まで低下したとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t81〜t82)。
【0101】
運転電圧Vbdが復帰電圧Vbdr以上の電圧まで上昇したとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t82以降)。
【0102】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t81から時刻t82までの間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0103】
時刻t82以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
このように、バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)が低下しているとき、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhで駆動されるため、デリバリパイプ34内により多くの液相燃料が供給されるようになる。
【0104】
これにより、バッテリ電圧Vbの低下にかかわらず、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が確保されるようになる。
<制御態様の一例>
次に、図9を参照して、「ポンプ駆動制御」(図3及び図7)による制御態様の一例を説明する。
【0105】
時刻t91において、エンジン1の始動動作が開始されたとすると、スタータモータ11の駆動によりバッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満の電圧まで低下するようになる。
【0106】
このとき、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる。
時刻t92において、エンジン1の始動が完了したとすると、スタータモータ11の停止によりバッテリ電圧Vbが復帰電圧Vbdr以上の電圧まで上昇するようになる。
【0107】
このとき、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる。
時刻t93において、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満の電圧まで低下したとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が実行される。
【0108】
時刻t94において、バッテリ電圧Vbが復帰電圧Vbdr以上の電圧まで上昇したとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止される。
以上詳述したように、この第2の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に列記するような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果が得られるようになる。
【0109】
(6)本実施の形態では、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満となってから復帰電圧Vbdr以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を好適に確保することができるようになる。
【0110】
(7)また、エンジン1の始動性の悪化を好適に抑制することができるようになる。
(8)本実施の形態では、ポンプ駆動電圧Vpを運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhまで昇圧するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより好適に確保することができるようになる。
【0111】
(9)また、エンジン1の始動に際しては、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより早期に確保することができるようになる。
なお、上記第2の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0112】
・上記第2の実施の形態では、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満となってから復帰電圧Vbdr以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx未満のときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行する一方で、バッテリ電圧Vbが所定電圧Vbdx以上のときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止することもできる。
【0113】
・上記第2の実施の形態では、所定電圧Vbdxを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定電圧Vbdxを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することもできる。
【0114】
(第3の実施の形態)
本発明を具体化した第3の実施の形態について、図10〜図12を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0115】
ところで、バッテリ電圧Vb(運転電圧Vbd)はオルタネータ12の発電量に応じて変動するため、エンジン回転速度Neが低い場合には、発電量の不足に起因するバッテリ電圧Vbの低下によりデリバリパイプ34内の燃料の気化をまねくことが考えられる。
【0116】
そこで、本実施の形態ではこうしたことを考慮して、以下に説明する「ポンプ駆動制御」を通じて昇圧回路51の駆動態様を制御するようにしている。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図10)
図10(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0117】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0118】
[ステップT301]エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nex
が満たされているか否かを判定する。
【0119】
所定回転速度Nexは、オルタネータ12の所定発電量(デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を維持することのできる発電量の最小値)を確保することのできるエンジン回転速度Neの最小値として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0120】
本処理では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満のとき、オルタネータ12の発電量が所定発電量未満の状態にあると判定する。一方で、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex以上のときは、オルタネータ12の発電量が所定発電量以上の状態にあると判定する。
【0121】
エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満のとき、ステップT302の処理へ移行する。
エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex以上のとき、ステップT303の処理へ移行する。
【0122】
[ステップT302]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT303]エンジン回転速度Neが復帰回転速度Ner以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne≧Ner
が満たされているか否かを判定する。
【0123】
復帰回転速度Nerは、所定回転速度Nexよりも大きい値に設定される(エンジン回転速度Neの変動による制御ハンチングを回避するための判定値として設定される)。また、予め設定された値として用いられる。
【0124】
エンジン回転速度Neが復帰回転速度Ner未満のとき、「基幹駆動処理」へ復帰する。
エンジン回転速度Neが復帰回転速度Ner以上のとき、ステップT304の処理へ移行する。
【0125】
[ステップT304]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT302あるいはステップT304の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0126】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満となってから復帰回転速度Ner以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0127】
<作用効果>
次に、図11を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0128】
エンジン回転速度Neが所定回転速度Nexを下回ったとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t111〜t112)。
【0129】
エンジン回転速度Neが復帰回転速度Nerを上回ったとすると、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるとともにフューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t112以降)。
【0130】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t111から時刻t112までの間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0131】
時刻t112以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
このように、エンジン回転速度Neが低いとき、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhで駆動されるため、デリバリパイプ34内により多くの液相燃料が供給されるようになる。
【0132】
これにより、オルタネータ12の発電量の低下にかかわらず、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が確保されるようになる。
<制御態様の一例>
次に、図12を参照して、「ポンプ駆動制御」(図3及び図10)による制御態様の一例を説明する。
【0133】
時刻t121において、エンジン1の始動動作が開始されたとする。
このとき、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満であるとすると、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を通じて、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる。
【0134】
時刻t122において、エンジン1の始動が完了したとする。
このとき、エンジン回転速度Neが復帰回転速度Ner以上であるとすると、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を通じて、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる。
【0135】
時刻t123において、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満になったとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が実行される。
時刻t124において、エンジン回転速度Neが復帰回転速度Nex以上になったとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止される。
【0136】
以上詳述したように、この第3の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0137】
(10)本実施の形態では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満となってから復帰回転速度Ner以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を好適に確保することができるようになる。
【0138】
なお、上記第3の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3の実施の形態では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満となってから復帰回転速度Ner以上となるまでの間、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex未満のときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行する一方で、エンジン回転速度Neが所定回転速度Nex以上のときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止することもできる。
【0139】
・上記第3の実施の形態では、エンジン回転速度Neと所定回転速度Nexとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替える構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。オルタネータ12の発電状態を直接監視するとともに、この監視結果に基づいてポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替えることもできる。
【0140】
・上記第3の実施の形態では、所定回転速度Nexを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定回転速度Nexを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することもできる。
【0141】
(第4の実施の形態)
本発明を具体化した第4の実施の形態について、図13及び図14を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0142】
ところで、前記第1の実施の形態の「ポンプ制御」(図3及び図4)によれば、エンジン1の始動に際して、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が確保されるようになるものの、次のようなことが懸念される。
【0143】
即ち、スタータモータ11の駆動中のみポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、デリバリパイプ34内に多量の気化燃料が滞留している場合には、燃料の液相状態を早期に確保することが困難となる。
【0144】
そこで、本実施の形態ではこうしたことを考慮して、以下に説明する「ポンプ駆動制御」を通じて昇圧回路51の駆動態様を制御するようにしている。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図13)
図13(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0145】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0146】
[ステップT401]フューエルポンプ31の駆動された期間(ポンプ駆動期間Tpd)が所定駆動期間Tpdx未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Tpd<Tpdx
が満たされているか否かを判定する。なお、ECU5は、フューエルポンプ31の駆動条件の成立にともなってポンプ駆動期間Tpdの計測を開始する一方で、エンジン1の停止にともなってポンプ駆動期間Tpdをクリアする。
【0147】
所定駆動期間Tpdxは、所定量(想定される平均的な量あるいは最も多い量)の気化燃料が混入した状態にあるデリバリパイプ34内の燃料を加圧により液化させるまでに必要となる期間として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0148】
本処理では、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、デリバリパイプ34内に気化燃料が混入している状態として判定する。一方で、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx以上のときは、デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していない状態として判定する。
【0149】
ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、ステップT402の処理へ移行する。
ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx以上のとき、ステップT403の処理へ移行する。
【0150】
[ステップT402]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT403]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT402あるいはステップT403の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0151】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0152】
<作用効果>
次に、図14を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0153】
エンジン1の始動動作の開始にともなってフューエルポンプ31の駆動が開始されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t141〜t142)。
【0154】
ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx以上になったとすると、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるとともにフューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t142以降)。
【0155】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t141から時刻t142の間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0156】
時刻t142以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
このように、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdよりも高い昇圧電圧Vbhで駆動されるため、デリバリパイプ34内により多くの液相燃料が供給されるようになる。
【0157】
これにより、エンジン1の停止中にデリバリパイプ34内に多量の気化燃料が発生した場合にあっても、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態がより早期に確保されるようになる。
【0158】
以上詳述したように、この第4の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0159】
(11)本実施の形態では、ポンプ駆動期間Tpdが所定駆動期間Tpdx未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、エンジン1の始動に際して、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより早期に確保することができるようになる。
【0160】
なお、上記第4の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第4の実施の形態では、所定駆動期間Tpdxを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定駆動期間Tpdxを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することも可能である。
【0161】
(第5の実施の形態)
本発明を具体化した第5の実施の形態について、図15及び図16を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0162】
ところで、先の各実施の形態においては、エンジン1の運転状態あるいは電源系統の状態(バッテリBTやオルタネータ12の状態)に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧/非昇圧を切り替える構成としたが、本実施の形態では、デリバリパイプ34内の燃料状態(燃料の液相状態が維持されているか否か)を直接監視するとともに、この監視結果に基づいて昇圧態様を制御するようにしている。
【0163】
以下、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」について説明する。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図15)
図15(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0164】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0165】
[ステップT501]デリバリパイプ34内の燃料の圧力(分配管圧力Pdp)が所定圧力Pdpx未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Pdp<Pdpx
が満たされているか否かを判定する。
【0166】
所定圧力Pdpxは、デリバリパイプ34内に気化燃料が生じているか否かを判定するための閾値として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0167】
本処理では、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満のとき、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていないと判定する(デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していると判定する)。一方で、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx以上のときは、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていると判定する(デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していないと判定する)。
【0168】
分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満のとき、ステップT502の処理へ移行する。
分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx以上のとき、ステップT503の処理へ移行する。
【0169】
[ステップT502]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT503]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT502あるいはステップT503の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0170】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0171】
<作用効果>
次に、図16を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0172】
分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満であることが検出されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t161〜t162)。
【0173】
分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx以上であることが検出されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t162以降)。
【0174】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t161から時刻t162までの間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0175】
時刻t162以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
以上詳述したように、この第5の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0176】
(12)本実施の形態では、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を的確に確保することができるようになる。
【0177】
(13)また、燃費の悪化やポンプ寿命の低下を的確に抑制することができるようになる。
なお、上記第5の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0178】
・上記第5の実施の形態では、分配管圧力Pdpが所定圧力Pdpx以上であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、分配管圧力Pdpが所定の復帰圧力(所定圧力Pdpxよりも高く設定された所定値)未満であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止することもできる。
【0179】
・上記第5の実施の形態では、所定圧力Pdpxを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定圧力Pdpxを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することも可能である。
【0180】
(第6の実施の形態)
本発明を具体化した第6の実施の形態について、図17を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。
【0181】
ところで、前記第5の実施の形態では、燃料の圧力に基づいて燃料状態の判定を行う構成としたが、本実施の形態では、燃料の温度に基づいて燃料状態の判定を行うようにしている。こうした構成を採用することによっても、同様の作用効果が得られるようになる。
【0182】
以下、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」について説明する。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図17)
図17(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0183】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0184】
[ステップT601]デリバリパイプ34内の燃料の温度(分配管温度THdp)が所定温度THdpx以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
THdp≧THdpx
が満たされているか否かを判定する。
【0185】
所定温度THdpxは、デリバリパイプ34内に気化燃料が生じているか否かを判定するための閾値として設定される。また、予め設定された値として用いられる。
【0186】
本処理では、分配管温度THdpが所定温度THdpx以上のとき、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていないと判定する(デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していると判定する)。一方で、分配管温度THdpが所定温度THdpx未満のときは、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていると判定する(デリバリパイプ34内に気化燃料が混入していないと判定する)。
【0187】
分配管温度THdpが所定温度THdpx以上のとき、ステップT602の処理へ移行する。
分配管温度THdpが所定温度THdpx未満のとき、ステップT603の処理へ移行する。
【0188】
[ステップT602]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT603]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT602あるいはステップT603の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0189】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、分配管温度THdpが所定温度THdpx以上のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0190】
以上詳述したように、この第6の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0191】
(14)本実施の形態では、分配管温度THdpが所定温度THdpx以上のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態を的確に確保することができるようになる。
【0192】
(15)また、燃費の悪化やポンプ寿命の低下を的確に抑制することができるようになる。
なお、上記第6の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0193】
・上記第6の実施の形態では、分配管温度THdpが所定温度THdpx未満であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、分配管温度THdpが所定の復帰温度(所定温度THdpxよりも低く設定された所定値)未満であることに基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を停止することもできる。
【0194】
・上記第6の実施の形態では、所定温度THdpxを予め設定した値として用いる構成としたが、この所定温度THdpxを所定のパラメータ(例えば、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼすパラメータ)に基づいて可変設定することも可能である。
【0195】
(第7の実施の形態)
本発明を具体化した第7の実施の形態について、図18〜図20を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。また、プロパン及びブタンから組成される燃料(LPG)が用いられる場合を想定している。
【0196】
ところで、前記第5の実施の形態では、予め設定されている判定値(所定圧力Pdpx)を用いて燃料状態を判定する構成としたが、本実施の形態では、燃料の飽和蒸気圧力に応じて判定値を設定するとともに、この判定値を用いて燃料状態を判定するようにしている。これにより、昇圧態様の制御をより的確に行うことができるようになる。
【0197】
以下、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」について説明する。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図18)
図18(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0198】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0199】
[ステップT701]フューエルタンク32内の燃料の温度(タンク温度THtk)及びフューエルタンク32内の燃料の圧力(タンク圧力Ptk)に基づいて燃料の組成を推定する。即ち、タンク温度THtk及びタンク圧力Ptkを燃料組成算出マップに適用して、燃料のプロパン比率PPxを算出する。
【0200】
図18に燃料組成算出マップの一例を示す。例えば、タンク温度THtkが温度THtk2、タンク圧力Ptkが圧力Ptk2のときは、プロパン比率PPxとして比率PP22が算出される。
【0201】
[ステップT702]基本飽和蒸気圧曲線にプロパン比率PPxを適用して、燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する。即ち、下記の基本飽和蒸気圧計算式を通じて燃料の飽和蒸気圧計算式を算出する。
なお、上記計算式において、「R」は燃料のプロパン比率を、「T」は燃料の温度を、「P」は燃料の飽和蒸気圧力をそれぞれ示す。
【0202】
[ステップT703]算出された飽和蒸気圧曲線(飽和蒸気圧計算式)にデリバリパイプ34内の燃料の温度(分配管温度THdp)を適用して、デリバリパイプ34内の燃料の飽和蒸気圧力Psvを算出する。
【0203】
[ステップT704]飽和蒸気圧力Psvに補正圧力Paを加算した値を判定圧力Pdcとして設定する。即ち、下記処理
Pdc←Psv+Pa
を通じて判定圧力Pdcを設定する。
【0204】
[ステップT705]デリバリパイプ34内の燃料の圧力(分配管圧力Pdp)が判定圧力Pdc未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Pdp<Pdc
が満たされているか否かを判定する。
【0205】
ちなみに、デリバリパイプ34内の燃料状態の判定においては、基本的には、分配管圧力Pdpが飽和蒸気圧力Psv未満であることに基づいて、気化燃料が生じていると判定することができる。
【0206】
ただし、実際の飽和蒸気圧力と算出された飽和蒸気圧力Psvとの誤差等に起因して、実際には燃料の気化が生じているにもかかわらず燃料の液相状態が維持されているとの判定結果が得られることも考えられる。
【0207】
そこで、本処理では、こうした事態を回避するために、上記ステップT704の処理を通じて、飽和蒸気圧力Psvに所定の余裕分(補正圧力Pa)を加算した値を判定値として用いるようにしている。
【0208】
本処理では、分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満のとき、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていない(あるいは液相状態が維持されていないおそれがある)と判定する。一方で、分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc以上のときは、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていると判定する。
【0209】
分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満のとき、ステップT706の処理へ移行する。
分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc以上のとき、ステップT707の処理へ移行する。
【0210】
[ステップT706]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT707]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT706あるいはステップT707の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0211】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0212】
<作用効果>
次に、図20を参照して、「ポンプ駆動制御」を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0213】
分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満であることが検出されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が行われるため、フューエルポンプ31が昇圧電圧Vbhで駆動されるようになる(時刻t201〜t202)。
【0214】
分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc以上であることが検出されたとすると、これに応じてポンプ駆動電圧Vpの昇圧が停止されるため、フューエルポンプ31が運転電圧Vbdで駆動されるようになる(時刻t202以降)。
【0215】
ポンプ吐出量Qpは、ポンプ駆動電圧Vpに対応して次のように変化する。
時刻t201から時刻t202までの間、ポンプ吐出量Qpは昇圧電圧Vbhに対応した昇圧吐出量Qphとなる。
【0216】
時刻t202以降、ポンプ吐出量Qpは運転電圧Vbdに対応した運転吐出量Qpdとなる。
以上詳述したように、この第7の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0217】
(16)本実施の形態では、分配管圧力Pdpが判定圧力Pdc未満のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより的確に確保することができるようになる。
【0218】
(17)また、燃費の悪化やポンプ寿命の低下をより的確に抑制することができるようになる。
なお、上記第7の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0219】
・上記第7の実施の形態においては、分配管圧力Pdpと判定圧力Pdcとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替える構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、分配管圧力Pdpと飽和蒸気圧力Psvとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替えることもできる。
【0220】
・上記第7の実施の形態では、プロパン及びブタンから組成される液化石油ガスを想定したが、液化石油ガスであればいずれの燃料組成を有する燃料を用いた場合であっても、上記第7の実施の形態に準じた態様をもって昇圧態様を制御することができる。なお、燃料の組成の推定処理(ステップT701)、及び飽和蒸気圧曲線の算出処理(ステップT702)は、用いられる燃料に応じて適宜変更される。
【0221】
・上記第7の実施の形態では、ステップT702の処理にて例示した基本飽和蒸気圧計算式を用いる構成としたが、飽和蒸気圧曲線の算出に際して用いる計算式(基本飽和蒸気圧計算式)は、例示した計算式に限られず適宜の計算式を用いることができる。
【0222】
・上記第7の実施の形態では、補正圧力Paを予め設定した値として用いる構成としたが、飽和蒸気圧力Psvを所定のパラメータに基づいて可変設定することも可能である。例えば、飽和蒸気圧力Psvに含まれる誤差の大きさ(実際の飽和蒸気圧力に対するずれの大きさ)を推定するとともに、この推定された値に基づいて補正圧力Paを可変設定することもできる。
【0223】
(第8の実施の形態)
本発明を具体化した第8の実施の形態について、図21を参照して説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様の装置(図1)を想定しているため、装置の構成にかかる説明を省略する。また、プロパン及びブタンから組成される燃料(LPG)が用いられる場合を想定している。
【0224】
ところで、前記第6の実施の形態では、予め設定されている判定値(所定温度THdpx)を用いて燃料状態を判定する構成としたが、本実施の形態では、燃料の飽和蒸気温度に応じて判定値を設定するとともに、この判定値を用いて燃料状態を判定するようにしている。これにより、昇圧態様の制御をより的確に行うことができるようになる。
【0225】
以下、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」について説明する。
<ポンプ駆動制御>
本処理は、以下の[a]及び[b]の処理から構成され、ECU5を通じて行われる。
[a]「基幹駆動処理」(図3)
[b]「昇圧条件判定処理」(図21)
図21(及び図3)を参照して、「ポンプ駆動制御」について説明する。
【0226】
本制御は、ECU5が駆動している間、所定の周期毎に実行される。
ステップS100及びS200処理は、前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
【0227】
[ステップT801]タンク温度THtk及びタンク圧力Ptkに基づいて燃料の組成を推定する。即ち、タンク温度THtk及びタンク圧力Ptkを燃料組成算出マップに適用して、燃料のプロパン比率PPxを算出する。
【0228】
[ステップT802]基本飽和蒸気圧曲線にプロパン比率PPxを適用して、燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する。
[ステップT803]算出された飽和蒸気圧曲線(飽和蒸気圧計算式)に分配管圧力Pdpを適用して、デリバリパイプ34内の燃料の飽和蒸気温度THsvを算出する。
【0229】
[ステップT804]飽和蒸気温度THsvから補正温度THaを減算した値を判定温度THdcとして設定する。即ち、下記処理
THdc←THsv−THa
を通じて算出した値を判定温度THdcとして設定する。
【0230】
[ステップT805]分配管温度THdpが判定温度THdc以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
THdp≧THdc
が満たされているか否かを判定する。
【0231】
ちなみに、デリバリパイプ34内の燃料状態の判定においては、基本的には、分配管温度THdpが飽和蒸気温度THsv以上であることに基づいて、気化燃料が生じていると判定することができる。
【0232】
ただし、実際の飽和蒸気温度と算出された飽和蒸気温度THsvとの誤差等に起因して、実際には燃料の気化が生じているにもかかわらず燃料の液相状態が維持されているとの判定結果が得られることも考えられる。
【0233】
そこで、本処理では、こうした事態を回避するために、上記ステップT804の処理を通じて、飽和蒸気温度THsvから所定の余裕分(補正温度THa)を減算した値を判定値として用いるようにしている。
【0234】
本処理では、分配管温度THdpが判定温度THdc以上のとき、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていない(あるいは液相状態が維持されていないおそれがある)と判定する。一方で、分配管温度THdpが判定温度THdc未満のときは、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態が維持されていると判定する。
【0235】
分配管温度THdpが判定温度THdc以上のとき、ステップT806の処理へ移行する。
分配管温度THdpが判定温度THdc未満のとき、ステップT807の処理へ移行する。
【0236】
[ステップT806]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を有効にする。
[ステップT807]昇圧回路51に対する昇圧実行要求を無効にする。
ステップT806あるいはステップT807の処理を行った後、「基幹駆動処理」へ復帰する。
【0237】
ステップS300〜S600の処理は前記第1の実施の形態と同様の態様をもって行われる。
このように、本実施の形態の「ポンプ駆動制御」では、分配管温度THdpが判定温度THdc以上のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。
【0238】
以上詳述したように、この第8の実施の形態にかかるエンジンの燃料供給装置によれば、以下に示すような効果に加えて、先の記第1の実施の形態による前記(4)及び(5)の効果、及び先の第2の実施の形態による前記(7)〜(9)の効果が得られるようになる。
【0239】
(18)本実施の形態では、分配管温度THdpが判定温度THdc以上のとき、ポンプ駆動電圧Vpを昇圧してフューエルポンプ31を駆動するようにしている。これにより、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態をより的確に確保することができるようになる。
【0240】
(19)また、燃費の悪化やポンプ寿命の低下をより的確に抑制することができるようになる。
なお、上記第8の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0241】
・上記第8の実施の形態においては、分配管温度THdpと判定温度THdcとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替える構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、分配管温度THdpと飽和蒸気温度THsvとの比較結果に基づいて、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧の実行/停止を切り替えることもできる。
【0242】
・上記第8の実施の形態では、補正温度THaを予め設定した値として用いる構成としたが、飽和蒸気温度THsvを所定のパラメータに基づいて可変設定することも可能である。例えば、飽和蒸気温度THsvに含まれる誤差の大きさ(実際の飽和蒸気温度に対するずれの大きさ)を推定するとともに、この推定された値に基づいて補正温度THaを可変設定することもできる。
【0243】
(その他の実施の形態)
その他、上記各実施の形態に共通して変更することが可能な要素を以下に列挙する。
【0244】
・上記各実施の形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。この場合、「ポンプ駆動制御」において各実施の形態の「昇圧条件判定処理」を独立して行うとともに、いずれかの「昇圧条件判定処理」を通じて昇圧実行要求が有効とされているときに、ポンプ駆動電圧Vpの昇圧を実行することができる。こうした構成によれば、デリバリパイプ34内の燃料の液相状態がより確実に確保されるようになる。
【0245】
以下、各実施の形態の組み合わせ例を列挙する。なお、以下の組み合わせの説明においては、各実施の形態を次のように省略して示す。
[a]第1の実施の形態を〔1〕として示す。
[b]第2の実施の形態を〔2〕として示す。
[c]第3の実施の形態を〔3〕として示す。
[d]第4の実施の形態を〔4〕として示す。
[e]第5の実施の形態を〔5〕として示す。
[f]第6の実施の形態を〔6〕として示す。
[g]第7の実施の形態を〔7〕として示す。
[h]第8の実施の形態を〔8〕として示す。
【0246】
<各実施の形態の組み合わせ例>
[い]:〔1〕+〔2〕
[ろ]:〔1〕+〔3〕
[は]:〔1〕+〔4〕
[に]:〔2〕+〔3〕
[ほ]:〔2〕+〔4〕
[へ]:〔3〕+〔4〕
[と]:〔1〕+〔2〕+〔3〕
[ち]:〔1〕+〔2〕+〔4〕
[り]:〔1〕+〔3〕+〔4〕
[ぬ]:〔2〕+〔3〕+〔4〕
[る]:〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕
[を]:〔1〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[わ]:〔2〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[か]:〔3〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[よ]:〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[た]:〔1〕+〔2〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[れ]:〔1〕+〔3〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[そ]:〔1〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[つ]:〔2〕+〔3〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[ね]:〔2〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[な]:〔3〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[ら]:〔1〕+〔2〕+〔3〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[む]:〔1〕+〔2〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[う]:〔1〕+〔3〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[ゐ]:〔2〕+〔3〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
[の]:〔1〕+〔2〕+〔3〕+〔4〕+「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」
上記組み合わせ例において、「〔5〕〔6〕〔7〕〔8〕」と示した箇所については、基本的には〔5〕〜〔8〕のいずれかの実施の形態を採用するものとする。なお、複数の実施の形態を採用することもできる。
【0247】
・上記各実施の形態では、イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたときにスタータモータ11及びフューエルポンプ31の駆動を開始する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、イグニッションスイッチIGが「ON」へ切り替えられたときにフューエルポンプ31の駆動を開始し、その後、イグニッションスイッチIGが「START」へ切り替えられたときにスタータモータ11の駆動を開始することもできる。
【0248】
・上記各実施の形態では、図3に例示した構成の「基幹駆動処理」を行う構成としたが、「基幹駆動処理」に適宜の変更を加えることもできる。要するに、「昇圧条件判定処理」を通じて昇圧の実行/停止を選択的に切り替える構成であれば、「基幹駆動処理」としては適宜の構成を採用することができる。
【0249】
・また、「昇圧条件判定処理」としては、上記各実施の形態にて例示した処理に限られず、適宜の処理を採用することができる。要するに、デリバリパイプ34内の燃料状態に影響を及ぼす適宜のパラメータに基づいてデリバリパイプ34内の燃料状態を推定するとともに、燃料の液相状態が維持されないと判定されたときにポンプ駆動電圧Vpの昇圧を許可する構成であれば、「昇圧条件判定処理」の構成は適宜変更可能である。
【0250】
・上記各実施の形態では、図2に例示した構成の燃料供給装置3を想定したが、燃料供給装置3の構成は上記各実施の形態にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。要するに、
[イ]液化ガス燃料を密閉状態で貯留する燃料タンク。
[ロ]燃料タンク内の液相状態の液化ガス燃料を圧送する電動式の燃料ポンプ。
[ハ]インジェクタを有する燃料分配管。
これら各構成要素を備えた燃料供給装置であれば、燃料供給装置の構成は適宜変更可能である。
【0251】
・上記各実施の形態では、液化石油ガス(LPG)をエンジンに供給する燃料供給装置3に対して本発明を適用したが、本発明の適用対象となる燃料供給装置は液化石油ガスを取り扱う燃料供給装置に限られるものではない。要するに、液化ガス燃料(例えば、液化天然ガス、液体水素、ジメチルエーテル等)をエンジンに供給する燃料供給装置であれば本発明の適用は可能であり、そうした燃料供給装置に本発明を適用した場合にあっても上記各実施の形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第1の実施の形態について、燃料供給装置を搭載した車両の構成を示す図。
【図2】同実施の形態の燃料供給装置の構成を示す図。
【図3】同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「基幹駆動処理」を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図6】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図7】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第2の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図8】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図9】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図10】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第3の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動処理」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図11】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図12】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図13】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第4の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図14】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図15】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第5の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図16】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すフローチャート。
【図17】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第6の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図18】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第7の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【図19】プロパン比率算出マップを示す図。
【図20】同実施の形態の「ポンプ駆動制御」による昇圧態様の一例を示すタイミングチャート。
【図21】本発明にかかる液化ガスエンジンの燃料供給装置を具体化した第8の実施の形態について、同実施の形態において「ポンプ駆動制御」の一環として行われる「昇圧条件判定処理」を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン、11…スタータモータ、12…オルタネータ、3…燃料供給装置、31…フューエルポンプ、32…フューエルタンク、33…フィルタ、34…デリバリパイプ、35…インジェクタ、36…プレッシャレギュレータ、R1…第1燃料通路、R2…第2燃料通路、R3…第3燃料通路、R4…第4燃料通路、R5…第5燃料通路、5…電子制御装置(ECU)、51…昇圧回路、BT…バッテリ、IG…イグニッションスイッチ、S1…タンク温度センサ、S2…タンク圧力センサ、S3…分配管温度センサ、S4…分配管圧力センサ、S5…エンジン回転速度センサ。
Claims (10)
- 燃料タンク内に貯留されている液相状態の液化ガス燃料を電動式の燃料ポンプにより燃料分配管へ圧送するとともに、インジェクタを通じて前記燃料分配管内の燃料をエンジンへ噴射供給する液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記燃料ポンプの駆動電圧を昇圧する昇圧回路と、同昇圧回路の駆動態様を制御する制御手段とを備えた
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記昇圧回路による前記駆動電圧の昇圧の実行/停止を選択的に切り替える
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1または2記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記エンジンのスタータモータが駆動していることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記燃料ポンプの電源電圧が所定電圧未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の液化ガス燃料の燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記エンジンの回転速度が所定回転速度未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記燃料ポンプの駆動期間が所定駆動期間未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記燃料分配管内の燃料の圧力が所定圧力未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記燃料分配管内の燃料の温度が所定温度以上であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記制御手段は、以下の(a)〜(d)の処理を通じて前記昇圧回路の駆動態様を制御する
(a)「前記燃料タンク内の燃料の温度及び圧力に基づいて燃料の組成を推定する」
(b)「前記燃料の組成に基づいて燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する」
(c)「前記飽和蒸気圧曲線に前記燃料分配管内の燃料の温度を適用して燃料の飽和蒸気圧力を算出する」
(d)「前記燃料分配管内の燃料の圧力が前記飽和蒸気圧力未満であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する」
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の液化ガスエンジンの燃料供給装置において、
前記制御手段は、以下の(a)〜(d)の処理を通じて前記昇圧回路の駆動態様を制御する
(a)「前記燃料タンク内の燃料の温度及び圧力に基づいて燃料の組成を推定する」
(b)「前記燃料の組成に基づいて燃料の飽和蒸気圧曲線を算出する」
(c)「前記飽和蒸気圧曲線に前記燃料分配管内の燃料の圧力を適用して燃料の飽和蒸気温度を算出する」
(d)「前記燃料分配管内の燃料の温度が前記飽和蒸気温度以上であることを条件に、前記昇圧回路による昇圧を実行する」
ことを特徴とする液化ガスエンジンの燃料供給装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7934490B2 (en) | 2006-04-12 | 2011-05-03 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Start-up control device and start-up control method for internal combustion engine |
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2003
- 2003-07-25 JP JP2003201688A patent/JP2005042584A/ja active Pending
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