JP2005042407A - 鋼管杭トルク伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造を小型化及び簡略化し、回転方向の正逆により鋼管杭の連結と解放を効率的に行うことを可能とする鋼管杭トルク伝達装置を提供する。
【解決手段】出力シャフトと連結される継手部2と、該継手部付近に配置され、鋼管杭の上端開口縁に当接する当接部31と、該当接部下側に配置され、鋼管杭の上端開口から挿入し得る形状のハウジング3と、該ハウジングに内蔵され、ハウジングの外周囲から露出させた摩擦体41がハウジングの回転方向次第で鋼管杭の内周面と摩擦係合するクラッチ機構4から本装置を構成する。また、クラッチ機構は、ハウジングの外周囲の複数箇所に配置され、鋼管杭の内周面に対向してその略横断面上を揺動すると共に、両翼状に形成した接触面に高摩擦手段を配置した摩擦体と、該摩擦体の揺動を中立位置で保持させる戻しバネから成る付勢手段43から構成する。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、建築基礎杭として地中に回転埋設する円筒状の鋼管杭の埋設施工に用いるトルク伝達装置であって、特に、外部の回転駆動装置に連結して、鋼管杭の連結と解放及び回転力の伝達とを可能とする鋼管杭トルク伝達装置に関する。
従来、建築物の基礎構築において、地盤支持力を確保するため又は増強するため、図8に示すように、コンクリート基礎Bの下部に基礎杭として鋼管杭Pの埋設が行われている。
かかる鋼管杭Pの埋設工法には、ハンマーや流体圧シリンダによる打込工法、セメントミルク注入工法、回転埋設工法等の種々の方法がある。近年は施工時の振動や騒音又は施工コスト等を考慮して、回転埋設工法が主流となっている。
この回転埋設工法による施工は、例えば、油圧ショベル、クレーン又はアースオーガ用作業機等に油圧モータ等の回転装置や連結装置をアタッチメントし、これを介して保持した鋼管杭を回転駆動させることにより行われている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
特開平7−252831号公報(第3−5頁、第1−3図) 特開2000−64282号公報(第4−7頁、第2−4図)
しかしながら、前記の特許文献1の装置は、油圧シリンダによりチャック腕を回動させ、鋼管杭を抱き込むように作動させることにより鋼管杭の外周面側を連結するものであるため、過大な連結(把持)力が鋼管杭に加わり、潰れ等の変形を生じ易い問題があった。また、この装置は鋼管杭の外周面側を連結(把持)するため、鋼管杭に対し装置全体が大型化し、かつ構造が複雑化するという問題があった。
一方、特許文献2の装置は、鋼管杭の連結(保持)を内周面側から行うようにする工夫によりクランプ機構の小径化を図っているが、装置本体にクランプ機構の油圧駆動による拡開/縮径する支持爪や回転駆動機構を配置しているため、油圧の動力源や油圧路等を配置(又は形成)する必要があった。そのため、装置が上下方向に大型化し、部品点数が増えて構造が複雑化するため、その装置の価格や保守費用が高額となってしまうという問題は依然とあった。
そこで、本発明は、上記課題に着目し、その解決を図るべく、その構造を小型化及び簡略化すると共に、確実かつ効率的な鋼管杭の連結と解放、及び回転トルクの伝達を可能とした鋼管杭トルク伝達装置を提供するものである。
上記課題を解決するため、本願発明の鋼管杭トルク伝達装置(以下、「本装置」と称する。)は、以下のように構成している。
すなわち、外部のトルク駆動装置と連結される継手部(2)と、該継手部(2)の付近に配置され、鋼管杭の上端開口縁に当接する当接部(31)と、該当接部(31)の下側に配置され、鋼管杭の上端開口から挿入し得る形状のハウジング(3)と、該ハウジング(3)に内蔵され、ハウジング(3)の外周囲から露出させた摩擦体(41)がハウジング(3)の回転方向次第で鋼管杭の内周面と摩擦係合するクラッチ機構(4)と、から成ることを特徴としている。
また、クラッチ機構(4)を、ハウジング(3)の外周囲の複数箇所に配置され、鋼管杭の内周面に対向して鋼管杭の略横断面上を揺動する摩擦体(41)と、該摩擦体(41)を揺動の中立位置で保持させるための付勢手段(43)と、から構成したことを特徴としている。
さらに、摩擦体(41)を両翼状に形成し、該両翼の鋼管杭内周面との接触面に高摩擦手段(41a)を形成したことを特徴としている。
加えて、付勢手段(43)を、摩擦体(41)の両翼の反摩擦面側にそれぞれ配置した戻しバネとしたことを特徴としている。
なお、上記の特許請求の範囲及び課題を解決するための手段の欄で記載した括弧付き符号は、発明の構成の理解を容易にするため参考として図面符号を付記したもので、この図面上の形態に限定するものでないことはもちろんである。
[作用]
上記構成により、本装置は、以下のように作用する。
先ず、作業機(例えば、油圧ショベル、クレーン又はアースオーガ用作業機等)の先端部に取り付けた回転駆動装置に本装置を連結する。次いで、この本装置の先端側を鋼管杭に若干回転させながら挿入する。この挿入により、ハウジングに配置したクラッチ機構が鋼管杭の内周面に摩擦係合し、回転駆動装置の起動により継手部及びハウジングが回転して鋼管杭へトルクを伝達する。
また、本装置の第2、第3又は第4の構成を採ることにより、クラッチ機構を構成する1又は2以上の摩擦体が、ハウジングの回転によって周方向に揺動すると共に、どちらの方向に揺動した場合でも付勢力(内周面への押し付け力)を持って鋼管杭の内周面に摩擦係合することになる。
本願発明は、上記のように構成されているため、鋼管杭を何らの動力源を必要とせずに、回転方向にしたがって揺動する摩擦体が、所定の摩擦力をもって内周面に係合し、効率的なトルク伝達を可能としている。
また、この摩擦体は外力が作用しない場合は、中立位置で停止するように付勢されているため、鋼管杭への挿入を迅速かつスムーズに行うことができる。
さらに、鋼管杭と本装置との連結と回転力伝達を摩擦体のみで行っているため、簡易な構造でかつ小型化を図ることができ、導入コスト及び維持コスト共に低廉にすることができる。
さらにまた、本装置は既存の油圧ショベルのアタッチメントとしても利用できるため、作業性の向上が図れ、本願発明の産業への貢献度は大きなものである。
以下、本願発明に係る鋼管杭トルク伝達装置の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本実施例の鋼管杭トルク伝達装置の全体概観を示す一部切欠き斜視図であり、図2は本実施例の鋼管杭トルク伝達装置の組立斜視図であり、図3は本実施例のクラッチ機構のハウジングにおける配置状態を示す横断面図であり、図4は本実施例の鋼管杭トルク伝達装置を鋼管杭に挿入時の説明図(A)、(B)であり、図5及び図6は本実施例のクラッチ機構の鋼管杭への作用状態を示す断面図であり、図7は本実施例の鋼管杭トルク伝達装置を使用した鋼管杭の回転埋設作業状態を示す一部切欠き斜視図である。
本装置1は、主に、継手部2、当接部31、ハウジング3、及びクラッチ機構4から構成されている。以下に、これら構成要素について詳細に説明する。なお、以下の記載及び図面における上下方向は、本装置1の作業時の向きに合わせたものである。
先ず、継手部2は、図1、図2に示すように、円柱体状を成し、その上端面には回転駆動装置である油圧モータ等の出力シャフトS(以下、「出力シャフト」と略称する。)を嵌挿(嵌合挿入)して連結するための横断面六角形状で所定深さの連結口21を開設している。
その連結口21の側面には反対面に貫通したピン孔22を形成している。さらに、下端部にはフランジ23を形成すると共に、締結ボルト24の取付け用のボルト穴23aを円周等分割位置の複数箇所(本実施例では12箇所)において開設している。
なお、本実施例では、上記連結口21を、横断面六角形状の有底開孔としているが、これに限らず、回転力を伝達し得る限り、例えば、横断面形を四角形、半円形としても良く、さらには、キー、キー溝等の係合機素を使用して連結する構成としても良い。
次に、継手部2のフランジ23と当接して締結される当接部31は、図1、図2に示すように、後述するハウジング3の上端縁部にフランジ状を成して一体的に形成している。この当接部31は、少なくとも鋼管杭Pの開口径より拡径した寸法を有しており、ハウジング3の鋼管杭Pへの挿入時には、その下端面が鋼管杭Pの上端面に当接する形態を成している。
また、当接部31の上端面には、上記継手部2側のボルト穴23aに対応させた12箇所のタップ31aと8箇所の円周等分割位置にロッド孔33とを開設している。かかる構成により、継手部2と当接部31及びハウジング3とは、ボルト穴23aとタップ31aを貫通させた締結ボルト24により連結している。
なお、本実施例では、ハウジング3の上端縁部側にフランジ状の当接部31を一体形成しているが、別部材で形成して連結一体化構造としても良く、またはハウジング3からの適宜形態の張出部材(図示省略)としてもよい。
ハウジング3は、当接部31を除いた部位が鋼管杭Pの内側空間に挿入可能な外径をもった概ね円柱状を成し、その上下の中程には半円柱状の切欠き32aを円周8等分の位置に形成してなる縮径部32を形成している。
この切欠き32aは当接部31の上面から上下方向に貫通した8箇所のロッド孔33の位置に対応し、ロッド孔33とは連通するように形成している。それぞれの切欠き32aの間の上下2箇所には、後述するプランジャ用の配置孔32bを設けている。なお、この配置孔32bは、必須ではないが、円周方向に隣り合ったもの同士を上下方向に適宜違えて配設している。
また、ハウジング3の下部側には、下方に縮径の円錐台状の石突部34を形成している。この石突部34の上部面にはロッド孔33に対応する8箇所の位置にそれぞれロッド孔33よりは小径にした軸受孔34aを開設している。
最後に、クラッチ機構4は、ハウジング3の縮径部32に配置され、摩擦体41、揺動軸42、及び上下方向の2個のプランジャ43(戻しバネ)を1セットする総数8セットの要素から構成している。
上記摩擦体41は、図2、図3に示すように、上下に伸びる円柱体とその円柱体の外側に断面菱形で柱状の係合部を成し、菱形部の柱状体の下端側には鋼管杭Pの内側空間へ嵌挿を容易にするためにテーパー状の面取部41bを形成している。嵌挿時に鋼管杭Pの内周壁Paと対向する菱形部の2辺部には、高摩擦手段として柱体の上下方向に形成した複数条の係合爪41aを刻設して、中立位置に対して両翼状に形成している。ここで、この中立位置とは、両翼状をした菱形部の2辺部の角峰部41dが放射状の位置に向いた位置をいう。
摩擦体41の円柱体の軸心には、上下に貫通した揺動軸42を回動自在に貫挿させている。該揺動軸42は、その上端側を上記当接部31のロッド孔33に、下端側を石突部34の軸受孔34aに嵌装させて、摩擦体41が円周方向に揺動し得る構成にしている。
圧縮コイルバネから構成したプランジャ43は、上記したハウジング3の縮径部32に形成した上下2箇所の配置孔32bに挿入するようにして取り付けている。摩擦体41は、揺動した場合に菱形部の2辺部の1辺側が当接すると共に、当接しない場合の摩擦体41の菱形部は、該プランジャ43からの付勢力(放射方向へ押し出す力)によって定常状態で中立位置となるようにしている。
[実施例の作用]
以上のように構成した本装置1は、鋼管杭Pの埋設時には以下のように作用する。
なお、ここで用いる鋼管杭Pは、形状、サイズ、強度等、特に限定するものではないが、例えば、回転埋設時における推進速度、安定性が優れた特許第2893443号に開示されている刃付鋼管杭を使用しており、通常この鋼管杭Pの長さは約6m程であり、重さは約140〜150kgとなっている。また、この鋼管杭Pの埋設回転方向は上方視において時計回りである。
先ず、出力シャフトSを有する油圧モータMを適宜な作業機に接続する。この作業機は、油圧モータMの保持、上下動、及び鋼管杭Pに対する圧入能力があれば特に限定しない。なお、本実施形態においては、図7に示すように、作業性(運動性)が高い油圧ショベルEを使用している。
本装置1と出力シャフトSとの連結は、出力シャフトSを継手部2の連結口21に嵌挿(嵌合挿入)し、ピン孔22から連結ピンCを貫通させて行い、油圧ショベルEに垂下保持させている。
そして、本装置1は、油圧ショベルEの作業アームE1の操作により、鋼管杭Pの上方位置に移動させ、作業アームE1を下降させて本装置1のハウジング3を、当接部31の下端面が鋼管杭Pの上端面に当接するまで挿入させる。
なお、挿入前におけるクラッチ機構4の摩擦体41は、図4(A)に示すように、中立位置にあるため、通常は摩擦体41がハウジング3の外形寸法より突出した状態となり、鋼管杭Pの内径より大きいことになる。このため、挿入時においては、図4(B)に示すように、本装置1を所定方向(本実施例では反時計回り)に回転させ(矢印a)ながら押し込み(矢印b)、摩擦体41の面取部41bが鋼管杭Pの上端面に接触して回転方向と逆に摩擦体41をプランジャ43の付勢力に抗して振れさせ(矢印c)、鋼管杭内へ挿入を可能としている。
ハウジング3の鋼管杭Pへの挿入が完了したところで、油圧モータMを起動して、出力シャフトSから継手部2を介して本装置1へ回転力を伝達させる(図5、矢印d)。この回転により各摩擦体41は、揺動軸42に作用する慣性力(図5、矢印e)とプランジャ43の付勢力(図5、矢印f)が作用して反時計回りに振られ(図5、矢印g)、菱形部に形成された係合爪41aが鋼管内Pの内周壁Paに食い込んでより強力に摩擦係合することになる。この摩擦係合により鋼管杭Pに回転トルクが伝わり始めると、上記の食い込みはさらに深くなり鋼管杭Pに対するせん断力(遠心方向への力)が大きく作用して、より高いトルクを伝達することとなる。別言すると、本装置自身の回転が鋼管杭Pにより高トルクを伝達可能としていることになる。
上記の作用により、鋼管杭Pはその先端側の掘削刃の形状や作業アームE1の押し下げ圧力と相俟って地中に貫入して行くことになる。
また、鋼管杭Pを所定の深さまで貫入させた後は、油圧モータMの起動を切り、本装置1の回転を止め、摩擦体41の内周壁Paに対する摩擦係合状態を低下させた後に作業アームE1を上昇させて本装置1を鋼管杭Pから引き抜いて鋼管杭Pの埋設施工を終了させる。
なお、上述した内容は鋼管杭Pを埋設する場合であるが、埋設済みの鋼管杭Pの上端開口から本装置1を挿入し、上述した回転方向と逆回転を与えれば引き抜き作業にも使用することも可能である。この時の挿入時におけるクラッチ機構4の摩擦体41および鋼管杭Pへの摩擦係合状態は、図6に示すようになり、図5に示す埋設時とは逆方向に挿入し、逆方向に回転させ摩擦体41を係合させるようにすれば良い。
本実施例の鋼管杭トルク伝達装置の全体概観を示す一部切欠き斜視図である。 本実施例の鋼管杭トルク伝達装置の組立斜視図である。 本実施例のクラッチ機構のハウジングにおける配置状態を示す横断面図である。 本実施例の鋼管杭トルク伝達装置を鋼管杭に挿入時の説明図(A)、(B)である。 本実施例のクラッチ機構の鋼管杭への作用状態を示す断面図である。 本実施例のクラッチ機構の鋼管杭への作用状態を示す断面図である。 本実施例の鋼管杭トルク伝達装置を使用した鋼管杭の回転埋設作業状態を示す一部切欠き斜視図である。 地盤支持力増強のための建築基礎を示す一部切欠き斜視図である。
符号の説明
1 トルク伝達装置(本装置)
2 継手部
21 連結口
22 ピン孔
23 フランジ
23a ボルト穴
24 締結ボルト
3 ハウジング
31 当接部
31a タップ
32 縮径部
32a 切欠き
32b 配置孔
33 ロッド孔
34 石突部
34a 軸受孔
4 クラッチ機構
41 摩擦体
41a 係合爪(高摩擦手段)
41b 面取部
41c 軸孔
41d 角峰部
42 揺動軸
43 プランジャ
B コンクリート基礎
E 油圧ショベル
E1 作業アーム
M 油圧モータ
C 連結ピン
S 出力シャフト
P 鋼管杭
Pa 内周壁

Claims (4)

  1. 外部のトルク駆動装置と連結される継手部(2)と、
    該継手部(2)の付近に配置され、鋼管杭の上端開口縁に当接する当接部(31)と、
    該当接部(31)の下側に配置され、鋼管杭の上端開口から挿入し得る形状のハウジング(3)と、
    該ハウジング(3)に内蔵され、ハウジング(3)の外周囲から露出させた摩擦体(41)がハウジング(3)の回転方向次第で鋼管杭の内周面と摩擦係合するクラッチ機構(4)と、
    から成ることを特徴とする鋼管杭トルク伝達装置。
  2. クラッチ機構(4)を、
    ハウジング(3)の外周囲の複数箇所に配置され、鋼管杭の内周面に対向して鋼管杭の略横断面上を揺動する摩擦体(41)と、
    該摩擦体(41)を揺動の中立位置で保持させるための付勢手段(43)と、
    から構成したことを特徴とする請求項1記載の鋼管杭トルク伝達装置。
  3. 摩擦体(41)を両翼状に形成し、該両翼の鋼管杭内周面との接触面に高摩擦手段(41a)を形成したことを特徴とする請求項2記載の鋼管杭トルク伝達装置。
  4. 付勢手段(43)を、摩擦体(41)の両翼の反摩擦面側にそれぞれ配置した戻しバネとしたことを特徴とする請求項3記載の鋼管杭トルク伝達装置。
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