JP2005041368A - 重荷重用空気入りバイアスタイヤ - Google Patents

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Ryoji Yotsumoto
良治 四元
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Abstract

【課題】 産業車両用として好適な耐久性に優れた重荷重用空気入りバイアスタイヤを提供する。
【解決手段】 隣接するプライ間で互いにコード方向が交差する複数のカーカス層を有すると共に、左右一対のビード部に少なくとも一つのビードコアを埋設し、カーカス層の端部をビードコアの廻りに折り返して配置した重荷重用空気入りバイアスタイヤにおいて、最内側のビードコア3aに巻き上げた複数のカーカス層のうち、その巻き上げ側のコード方向が最内カーカス層1Pの本体側コード方向と同一となるカーカス層の巻き上げ端末2Pa、4Paを、リムフランジR高さと同等若しくはその下方に位置させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は重荷重用空気入りバイアスタイヤに関し、さらに詳しくは、産業車両用として好適な耐久性に優れた重荷重用空気入りバイアスタイヤに関する。
現在、重荷重用空気入りタイヤとしてはラジアルタイヤが主流であるが、例えば製鉄所のコイル運搬車等のように超重量物を運搬する車両に使用されるタイヤには、高度の耐久性が要求されることから、チューブを内蔵したバイアスタイヤが広く使用されている。これらの車両は、高内圧、高荷重下で使用されるうえに360°回転する据え切りでの使用頻度が多く、かかる車両に装着するタイヤとしては非常に厳しい条件下での耐久性が要求されている。
従来、かかるタイヤの故障は、図3に示すように、高荷重の撓みによる繰り返しの圧縮歪を受けるタイヤサイド部に集中し、最初にサイド部の図中Qで示す位置の最内層カーカス層のカーカスコードにコード切れが発生し、この傷に高内圧による変形を受けたチューブTが噛まれてパンク状態となり、終には使用不能になるというものであった。
しかしながら、近年、製鉄所等では更なる運搬効率の向上を目指して、積載量の増加等の措置が採られていることから、タイヤの負荷荷重はますます増加傾向にあり、タイヤの故障形態が変化してきた。すなわち、更なる高内圧、高荷重下でタイヤを酷使することにより、図4(a)に示すように、カーカスコードのコード切れがリムフランジ側の図中Q’の位置に多発するようになることが判明した。そして、かかるコード切れは、図4(b)に示すように、最初に最内側のビードコア3aに巻き上げられる最内カーカス層1Pの本体側に生じ、その位置は内側から2番目のカーカス層2Pの巻き上げ端末2Peの高さに相当する位置Q1であり、次いでコード切れが同じ高さにおける内側から3番目のカーカス層3Pの本体側の位置Q3に発生することを突き止めた。
そして、発明者等の更なる解析により、最内カーカス層1Pの本体側に発生するコード切れはコードの配列方向と密接な関係があることを知見した。すなわち、バイアスタイヤのカーカス層は隣接するプライ間でコード方向が互いに交差するように配置されているが、最内側のビードコア3aに巻き上げられる複数のカーカス層のうち、最内カーカス層1Pと本体側コード方向が交差する方向になっている、例えば2番目のカーカス層2Pの巻き上げ側のコード方向が最内カーカス層1Pの本体側と同一になっていて、その端末2Peの高さに相当する位置において、最内カーカス層1Pの本体側から最初にコード切れが発生することが判明した。
一方、 高内圧、高荷重を支えるために複数のカーカス層を備えたバイアスタイヤは、構造上最内カーカス層のコード張力が最外カーカス層のコード張力に比し高くなるため、これを緩和させる目的で、最内カーカス層と最外カーカス層とを構成するコード間で、コードの切断時強さ、被覆ゴムのモジュラス、コード径、等を変更する提案がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この提案では、最内カーカス層のリムフランジ側のコードのコード切れの防止対策には直接結び付かず、上述した近年の過酷な条件下で使用するタイヤのコード切れ対策としては必ずしも充分なものではなかった。さらには、最内カーカス層と最外カーカス層とを互いに異なる材料構成にすることから、生産性を阻害するという問題を孕んでいた。
特開平10−287104号公報
本発明の目的は、かかる問題点を解消し、産業車両用として好適な耐久性に優れた重荷重用空気入りバイアスタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、隣接するプライ間で互いにコード方向が交差する複数のカーカス層を有すると共に、左右一対のビード部に少なくとも一つのビードコアを埋設し、前記カーカス層の端部を前記ビードコアの廻りに折り返して配置した重荷重用空気入りバイアスタイヤにおいて、最内側のビードコアに巻き上げた複数のカーカス層のうち、その巻き上げ側のコード方向が最内カーカス層の本体側コード方向と同一となるカーカス層の巻き上げ端末を、リムフランジ高さと同等若しくはその下方に位置させたことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤは、最内側のビードコアに巻き上げた複数のカーカス層のうち、巻き上げ側のコード方向が最内カーカス層の本体側コード方向と同一となるカーカス層の巻き上げ端末を、リムフランジ高さと同等若しくはその下方に位置させたので、その巻き上げ端末が、ビード部のリムフランジに囲まれた剛性の高い部分で動きを制約されることから、前記巻き上げ端末と同じ高さに位置する最内カーカス層の本体側コードのコード切れの発生を抑制し、コード切れによる耐久性の低下を防止することができる。
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の重荷重用空気入りバイアスタイヤ(以下、バイアスタイヤという)の一例につき一部を省略して示す半断面図で、図2は図1のタイヤのビード部におけるカーカス層のコード配置を説明するための一部を省略して示す断面図である。
バイアスタイヤ1は、左右一対のビード部2,2に少なくとも一つ(図では二つ)のビードコア3a、3bを埋設している。内側のビードコア3aには、図2に示すように、プライ間でカーカスコードを互いに交差させた4枚のカーカス層1P、2P、3P、4Pがタイヤ内側から外側に向かって巻き上げられている。図では省略しているが、外側のビードコア3bの廻りにも同様に4枚のカーカス層の端部が巻き上げられ、その外側にタイヤ外側から内側に向かってビード部2の底部で終端する4枚のカーカス層が配置されている。また、図示していないが、リム組み時には最内側にゴム製のチューブが内挿される。
これら12枚のカーカス層のコードは、隣接するカーカス層間で互いにコード方向を異にし、タイヤ周方向に対して所定の角度を有して交差している。内側のビードコア3aに巻き上げられた4枚のカーカス層1P、2P、3P、4Pの巻き上げ端末のうち、最内カーカス層1Pの端末1Peの高さh1及び3番目のカーカス層3Pの端末3Peの高さh3がそれぞれリムフランジRのビードシート面からの高さHより高く設定され、2番目のカーカス層2Pの端末2Peの高さh2及び4番目のカーカス層4Pの端末4Peの高さh4がそれぞれリムフランジRの前記高さHより低く設定されている。
リムフランジRの近傍におけるカーカス層には、走行時にリムフランジRからの突き上げによって、コード張力が高くなる領域が生じ、折り返し側のコード方向が最内カーカス層1Pの本体側(タイヤ内側)と同方向になるカーカス層の端末位置でカーカス層1Pのコード張力が局部的に高くなるという現象が見られる。
本発明タイヤは、かかる知見に基づき、巻き上げ側のコード方向が最内カーカス層1Pの本体側(タイヤ内側)と同一となる内側から偶数番目に位置するカーカス層2P及び4Pの折り返し側(タイヤ外側)の端末2Pe及び4PeをそれぞれリムフランジRにより囲まれた剛性の高い部分に位置させたので、端末2Pe及び4Peの動きを制約し、最内カーカス層1Pの本体側コードの巻き上げ端末2Pe及び4Peの高さ位置におけるコード切れの発生を抑制することができる。
本発明において、上記する巻き上げ端末2Pe及び4Peの位置は、カーカス層2P及び4Pをビードコア3aの周囲に確実に係止させる観点から、ビードコア3aの内周のタイヤ軸方向延長線3axよりも上方に位置させることが好ましい。
なお、上述した実施形態では、ビード部に埋設したビードコアが二つである場合を例示したが、ビードコアの数はこれに限定されるものではなく、さらにカーカス層の数も上記実施形態に限られるものではない。
上述するように、本発明のバイアスタイヤ1は、最内側のビードコア3aの廻りに巻き上げた内側から偶数番目のカーカス層2P及び4Pの巻き上げ端末2Pe及び4Peの位置をリムフランジRの高さと同等若しくはそれより低い位置に配置することにより、最内カーカス層1Pの本体側におけるリムフランジR側のコードのコード切れを防止するものであり、特に使用条件の過酷な産業車両用のタイヤとして好適である。
タイヤサイズを8.25−15 18PR 1Dとして、最内側のビードコアに巻き上げた4層のカーカス層1P、2P、3P、4Pのビードシート面からの巻き上げ高さを表1のように異ならせた他は、全ての仕様を同一とした従来タイヤ(従来例)及び本発明タイヤ(実施例)をそれぞれ2本ずつ作製した。なお、各タイヤにおける4層のカーカス層1P、2P、3P、4Pのタイヤ赤道面における赤道線に対する角度を表1のように同一とした。
上記2種類のタイヤ各2本について、以下の試験条件によりコード切れが発生するまでの走行時間を測定し、その結果を表1に併記した。
〔試験条件〕
各タイヤをフランジ高さが38mmのリム(15×6,50T)に組み込み、500kPa(通常使用の50%)の空気圧を充填して、室内ドラム試験(負荷荷重40kN(通常使用の100%)、速度9km/h)により、カーカスコードにコード切れが発生するまで走行させて、その走行距離を測定した。これを各2本のタイヤについて行ない、その結果を平均して表示した。
Figure 2005041368
表1から、本発明タイヤは従来タイヤに比較して、耐久性に優れていることがわかる。
本発明の重荷重用空気入りバイアスタイヤの一例について一部を省略して示す半断面図である。 図1のタイヤのビード部におけるカーカス層のコード配置を説明するための一部を省略して示す断面図である。 従来の重量物運搬用車両に使用される空気入りバイアスタイヤの故障箇所を説明するための半断面図である。 従来の重量物運搬用車両に使用される空気入りバイアスタイヤの他の故障箇所を説明するための図で、(a)はタイヤの半断面図、(b)はビード部におけるカーカス層のコード配置の一部を省略して示す断面図である。
符号の説明
1 重荷重用空気入りバイアスタイヤ
2 ビード部
3a、3b ビードコア
1P、2P、3P、4P カーカス層
1Pe、2Pe、3Pe、4Pe 巻き上げ端末

Claims (4)

  1. 隣接するプライ間で互いにコード方向が交差する複数のカーカス層を有すると共に、左右一対のビード部に少なくとも一つのビードコアを埋設し、前記カーカス層の端部を前記ビードコアの廻りに折り返して配置した重荷重用空気入りバイアスタイヤにおいて、
    最内側のビードコアに巻き上げた複数のカーカス層のうち、その巻き上げ側のコード方向が最内カーカス層の本体側コード方向と同一となるカーカス層の巻き上げ端末を、リムフランジ高さと同等若しくはその下方に位置させた重荷重用空気入りバイアスタイヤ。
  2. 前記巻き上げ端末が、前記最内側のビードコアの内周面よりも上方に位置する請求項1に記載の重荷重用空気入りバイアスタイヤ。
  3. タイヤ内側にチューブが内挿されている請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りバイアスタイヤ。
  4. 前記重荷重用空気入りバイアスタイヤが、前記ビード部に複数のビードコアを備えた産業車両用である請求項1、2又は3に記載の重荷重用空気入りバイアスタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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