JP2005041301A - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵アシスト後の保舵時等において、オイルポンプ内部のフリクションや脈動等に起因する電動機の停止を防止するパワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】操舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助する油圧パワーシリンダ2の第1,第2圧力室2a,2bに対し、第1,第2配管8a,8bを介して油圧を供給する一対の吐出ポートを備えたオイルポンプ5と、このオイルポンプ5を正逆回転させる電動モータ6と、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ10と、検出された操舵トルクに基づいて、電動モータ6に対し駆動電流を出力するコントロールユニット4とを備えたパワーステアリング装置においてコントロールユニット4は、予め設定された不感帯領域を除く全域にわたって、電動モータに対し所定電流値よりも高い駆動電流を出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】操舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助する油圧パワーシリンダ2の第1,第2圧力室2a,2bに対し、第1,第2配管8a,8bを介して油圧を供給する一対の吐出ポートを備えたオイルポンプ5と、このオイルポンプ5を正逆回転させる電動モータ6と、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ10と、検出された操舵トルクに基づいて、電動モータ6に対し駆動電流を出力するコントロールユニット4とを備えたパワーステアリング装置においてコントロールユニット4は、予め設定された不感帯領域を除く全域にわたって、電動モータに対し所定電流値よりも高い駆動電流を出力する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーステアリング装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
通常、操舵アシスト後の保舵状態においては、油圧パワーシリンダの加圧側圧力室の油圧が必要以上に上昇しないよう、電動機の回転速度を低下させる制御が実施される。このとき、可逆式オイルポンプと加圧側圧力室とを結ぶ閉回路が高圧のまま保持されるため、可逆式オイルポンプの脈動が大きくなる。この脈動に加えて、電動機および可逆式オイルポンプの動フリクションにより、電動機が回転速度を維持できずに一時停止を繰り返し、運転者に違和感を与えることがある。
【0003】
この問題に対応して、従来のパワーステアリング装置では、可逆式オイルポンプの吐出油の一部を、両圧力室外に分岐させる分岐流路を設けたものが知られている。すなわち、分岐流路により可逆式オイルポンプから吐出される吐出油を、油圧パワーシリンダの外に分岐させることで、操舵アシスト後の保舵状態における可逆式オイルポンプの脈動を低減させ、ポンプ停止を抑制している(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−145088号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にあっては、操舵トルクが小さく、電動機に与えられる電流値が小さいときには、可逆式オイルポンプの内部フリクションや、脈動等により、電動機が一時的に停止するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、オイルポンプ内部のフリクションや脈動等に起因する電動機停止を防止するパワーステアリング装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明では、パワーステアリング装置において、電動機制御手段は、操舵アシスト領域の全域にわたって、所定電流値よりも高い駆動電流を供給する。
ここで、「操舵アシスト領域」とは、操舵アシストを実施するように予め設定した操舵トルク領域、すなわち、操舵トルクがゼロまたはゼロ付近となるアシストを実施しない不感帯領域以外の領域をいう。また、「所定電流値」とは、可逆式オイルポンプに発生するフリクションが静フリクション領域を超えて動フリクション領域に達し、かつ、可逆式オイルポンプに定回転を与え得る駆動電流値をいう。
すなわち、本発明にあっては、操舵トルクが操舵アシスト領域にあるとき、電動機が常に動フリクション領域にあり、かつ、可逆式オイルポンプが一定速度で回転している。よって、操舵アシスト後の保舵時等、油圧パワーシリンダの必要アシスト力が小さいとき、オイルポンプ内部のフリクションや脈動等による電動機停止を防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパワーステアリング装置を実現する実施の形態を、第1実施例に基づいて説明する。
【0009】
(第1実施例)
図1は、第1実施例のパワーステアリング装置を示す概略構成図である。
第1実施例のパワーステアリング装置は、図外のステアリングシャフトと連結されたラックアンドピニオンギア1と、運転者のステアリング操舵力をアシストする油圧パワーシリンダ2と、ポンプユニット3と、コントロールユニット(電動機制御手段)4を主要な構成としている。
【0010】
前記油圧パワーシリンダ2は、両端が図外の操舵輪と接続されたラック軸2aと、このラック2aと一体に移動するピストン2bと、ピストン2bにより仕切られた2つの圧力室(第1圧力室2c,第2圧力室2d)を有している。
【0011】
前記ポンプユニット3は、可逆式のオイルポンプ5と、このオイルポンプ5を正逆回転させる電動モータ(電動機)6と、フェールセーフ弁7とから構成される。
【0012】
前記オイルポンプ5は、電動モータ6の回転方向により吐出方向を切り換える一対の第1,第2吐出ポート5a,5b(図2参照)を有している。第1吐出ポート5aと油圧パワーシリンダ2の第1圧力室2cは、第1配管8aにより連通している。一方、第2吐出ポート5bと油圧パワーシリンダ2の第2圧力室2dは、第2配管8bにより連通している。
【0013】
前記フェールセーフ弁7は、第1配管8aと第2配管8bとを、オイルポンプ5を介すことなく連通する配管9上に設けられている。このフェールセーフ弁7は、コントロールユニット4からの指令信号により電圧が供給されると閉じた状態となり、電圧の供給がない状態では開いた状態となるノーマルオープン弁を用いている。これにより、ステアリング系に何らかの異常が発生し、電源の供給をシャットダウンした場合であっても、第1圧力室2cと第2圧力室2dを連通状態とすることが可能となり、アシストトルク無しの通常の操舵を確保できる。
【0014】
前記ラックアンドピニオンギア1には、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ(操舵トルク検出手段)10が設けられている。このトルクセンサ10により検出された運転者の操舵トルクは、操舵トルク信号としてコントロールユニット4へ出力される。
【0015】
運転者がステアリングを操作すると、操舵トルクと操作方向に応じて電動モータ5の回転方向が切り換えられ、油圧パワーシリンダ2の第1圧力室2cと第2圧力室2dとの間の油を給排することで、運転者の操舵力をアシストする。なお、ステアリングの操作方向は、操舵トルクの増減から判断可能であるが、別途操作方向を検出する手段を設けてもよい。
【0016】
次に、ポンプユニット3の構造について説明する。
図2はオイルポンプ5のポンプハウジングの正面図、図3はポンプユニット3の断面図であり、オイルポンプ5は、ポンプハウジング11と、カムリング12と、ポンプカバー13とからなる3つのハウジングを備え、これらは図示しないボルト等によって締結固定されている。
【0017】
前記ポンプハウジング11には、貫通孔11aが形成されるとともに、この貫通孔11a内には軸支持部11bを介して回動自在に軸支された駆動軸14が設けられている。この駆動軸14の第1端部14aは、電動モータ6の出力軸6aと連結され、第2端部14bは、カムリング12を貫通し、ポンプカバー13にブッシュ13aを介して遊嵌されている。
【0018】
前記カムリング12内には、リング状の外歯車15および内歯車16が設けられている。外歯車15は、カムリング12と内歯車16との間に位置し、内歯車16は、その内周が駆動軸14にスプライン結合されている。これら外歯車15と内歯車16は回転中心が所定の径方向に所定寸法だけ偏心した状態で密に噛み合い、間に複数のポンプ室17が形成されている。
【0019】
このポンプ室17の容積は、外歯車15と内歯車16の回転に伴って変化する。すなわち、ポンプ室17の容積は外歯車15と内歯車16が完全に噛み合う位置では略ゼロとなり、噛み合いが解ける位置で最大となり、噛み合いが始まる区間では縮小していく。
【0020】
前記ポンプハウジング11におけるカムリング12との当接面には、ポンプ室17の容積が拡張する区間に連通して、所定の深さで三日月状に形成された前記第1吐出ポート5aが設けられている。また、この第1吐出ポート5aと対照位置には、ポンプ室17の容積が縮小する区間に連通して、所定の深さで三日月状に形成された前記第2吐出ポート5bが設けられている。
【0021】
図2,3において、ポンプハウジング11とカムリング12の間(ポンプハウジング11と外歯車15,内歯車16の間を含む)、カムリング12とポンプカバー13の間(外歯車15,内歯車16とポンプカバー13の間を含む)、カムリング12内周と外歯車15外周の間、外歯車15と内歯車16の間には、クリアランスt1〜t4が設定されている。
【0022】
これらのクリアランスt1〜t4は、オイルポンプ5から吐出される吐出油を、油圧パワーシリンダ2の外に分岐させる分岐流路として機能する。すなわち、これら分岐流路により、操舵アシスト後の保舵状態において、オイルポンプ5の脈動が低減され、オイルポンプ5の一時停止を防止している。
【0023】
次に、作用を説明する。
[操舵アシスト制御処理]
図4は、コントロールユニット4で所定時間毎(例えば、10ms)に実施される操舵アシスト制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
【0024】
ステップ101では、トルクセンサ10の操舵トルク検出値を読み込み、ステップ102へ移行する。
【0025】
ステップ102では、操舵トルク検出値の位相遅れを補償し、ステップ103へ移行する。
【0026】
ステップ103では、基本アシストONフラグがクリアされているかどうかを判断する。YESの場合にはステップ104へ移行し、NOの場合にはステップ108へ移行する。
【0027】
ステップ104では、操舵トルクが予め設定されたアシスト開始閾値Tsを超えたかどうかを判断する。YESの場合にはステップ105へ移行し、NOの場合にはステップ110へ移行する。
【0028】
ステップ105では、基本アシストONフラグをセットし、ステップ106へ移行する。
【0029】
ステップ106では、車速毎に予め設定された基本アシストトルクマップから、図5に示すような現在の車速に応じたマップを参照して基本アシストトルク(アシスト制御量)を設定し、ステップ107へ移行する。
【0030】
ステップ107では、図6に示すように、基本アシストトルクに所定量を加算してかさ上げし、ステップ111へ移行する。
【0031】
ここで、このかさ上げ量は、オイルポンプ5に発生するフリクションが静フリクション領域を超えて動フリクション領域に達し、かつ、オイルポンプ5に定回転を与え得る値に設定されている。
【0032】
また、このかさ上げによるオイルポンプ5の吐出油の増加量は、上述したオイルポンプ5の分岐流路(クリアランスt1〜t4)によって、油圧パワーシリンダ2の外へ分岐される油量と略一致している。
【0033】
ステップ108では、操舵トルクが予め設定されたアシスト停止閾値Te(<Ts)を下回ったかどうかを判断する。YESの場合にはステップ109へ移行し、NOの場合にはステップ110へ移行する。
【0034】
ステップ109では、基本アシストONフラグをクリアし、ステップ110へ移行する。
【0035】
ステップ110では、基本アシストトルクをゼロに設定し、ステップ111へ移行する。
【0036】
ステップ111では、設定された基本アシストトルクとなるように電動モータ6の駆動電流を設定して電動モータ6を駆動し、ステップ101へ移行する。
【0037】
[操舵アシスト制御作用]
上述した図4のフローチャートに基づいて、操舵アシスト開始から終了までの流れを説明する。
【0038】
(操舵開始直後)
ステアリング操舵開始直後で操舵トルクが小さいときは、図4のフローチャートにおいて、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ110→ステップ111へと進む流れとなる。
【0039】
すなわち、ステップ104において、操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えていないと判断され、ステップ110において、基本アシストトルクがゼロに設定されるため、電動機6は停止したままであり、操舵アシストは開始しない。
【0040】
(操舵アシスト開始)
次に、操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えた場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106→ステップ107→ステップ111へと進む流れとなる。
【0041】
すなわち、ステップ104において、操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えたと判断され、ステップ106において、車速と操舵トルクに応じた基本アシストトルクが設定され、ステップ107において、基本アシストトルクに予め設定された所定量がかさ上げされ、ステップ111において、かさ上げされた基本アシストトルクとなるように、電動モータ6に対し駆動電流が出力され、操舵アシストが開始する。
【0042】
(保舵時)
続いて、ステアリングが保持状態にある場合には、操舵トルクがアシスト停止閾値Teを下回るまでは、図4のフローチャートにおいて、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ108→ステップ106→ステップ107→ステップ111へと進む流れとなる。
【0043】
すなわち、ステップ108において、操舵トルクがアシスト停止閾値Teを下回っていないと判断されるため、ステップ106において、車速と操舵トルクに応じた基本アシストトルクが設定され、操舵アシストが継続する。
【0044】
(操舵アシスト終了)
その後、操舵トルクがアシスト停止閾値Teを下回った場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ108→ステップ109→ステップ110→ステップ111へと進む流れとなる。
【0045】
すなわち、ステップ108において、操舵トルクがアシスト停止閾値Teを下回ったと判断され、ステップ109において、基本アシストフラグがクリアされ、ステップ110において、基本アシストトルクがゼロに設定されるため、ステップ11において、電動機6が停止し、操舵アシストが終了する。
【0046】
[基本アシストトルクのかさ上げ]
ステアリングが所定角度で維持される保舵時には、必要アシストトルクが小さいため、オイルポンプ5の必要吐出圧、すなわち電動モータ6の必要回転速度は小さくなる。このとき、従来技術では、電動モータに与えられる電流値が小さいため、オイルポンプ5の内部フリクションや脈動等により、電動モータが一時的に停止するおそれがあった。
【0047】
これに対し、第1実施例では、操舵トルクが操舵アシスト領域にあるとき、すなわち、操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えてから、アシスト停止閾値Teを下回るまでの間、電動モータ6を動フリクション領域で使用し、かつ、オイルポンプ5に定回転を与えるため、オイルポンプ5および電動モータ6の一時停止を防止できる。
【0048】
[アシスト開始判定と終了判定のヒステリシス]
図7は、かさ上げ前の基本アシストトルクマップにおいて、ヒステリシスを設けないときの基本アシスト曲線を示す図である。この場合、行き(開始)と帰り(終了)の閾値が同一(Ts=Te)である。よって、操舵トルクが閾値付近を行き来するような状況となった場合には、電動モータ6が停止と駆動を繰り返して制御ハンチングが発生し、運転者に違和感を与えてしまう。
【0049】
これに対し、第1実施例では、図8に示すように、アシスト開始閾値Tsをアシスト停止閾値Teよりも大きな値に設定し、基本アシスト曲線の行きと帰りにヒステリシスを設けることで、制御ハンチングの発生を防止している。
【0050】
次に、効果を説明する。
第1実施例のパワーステアリング装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
【0051】
(1) コントロールユニット4は、操舵トルクが操舵アシスト領域にあるとき、電動モータ6を常に動フリクション領域で使用するとともに、オイルポンプ5を回転させた状態とするため、必要アシストトルクの小さな保舵時等において、オイルポンプ5の内部フリクションや脈動等による電動モータ6の停止を防止できる(請求項1に対応)。
【0052】
(2) オイルポンプ2の吐出油を油圧パワーシリンダ2の外へ分岐させる分岐流路(クリアランスt1〜t4)を設け、これら分岐流路により、基本アシストトルクのかさ上げ分を、油圧パワーシリンダ2の第1,第2圧力室2c,2d外へ排出することとしたため、必要操舵アシストトルクを超えた過度なアシストトルクの発生を防止できる。
【0053】
(3) 操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えない不感帯領域では、基本アシストトルクをゼロとし、電動モータ6を停止させるため、不感帯領域において無駄な電動モータ6の制御が実施されず、操舵アシスト時の応答性が向上する。
【0054】
(4) 電動モータ6の駆動電流値を、基本アシスト曲線に所定量をかさ上げして設定するため、従来の操舵トルク−アシスト制御量特性(基本アシストトルクマップ)をそのまま流用できる。
【0055】
(他の実施例)
以上、本発明の実施の形態を第1実施例に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は、第1実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0056】
例えば、第1実施例では、オイルポンプ5の各所に設定したクリアランスt1〜t4により分岐流路を構成したが、分岐流路として、図9に示すように、第1配管8aと第2配管8bとの間を連通する配管8cや、油圧パワーシリンダ2のピストン2bを貫通する貫通孔2e等を設けた構成としてもよい。
【0057】
さらに、上記第1実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに説明する。
【0058】
(イ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記可逆式オイルポンプの一対の吐出ポートから吐出される吐出油の一部を、油圧パワーシリンダの両圧力室外に分岐させる分岐流路を設けたことを特徴とするパワーステアリング装置。
これにより、電動機に所定値以上の駆動電流が与えられたとき、その発生油圧を加圧側圧力室から排出できるため、必要操舵アシストトルクを超えた過度なアシストトルクの発生を防止できる。
【0059】
(ロ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動機制御手段は、アシストを実施しない不感帯領域では、駆動電流をゼロとすることを特徴とするパワーステアリング装置。
これにより、不感帯領域において無駄な電動機制御が実施されないため、操舵アシスト時の応答性が向上する。
【0060】
(ハ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動機制御手段は、操舵アシストを開始する操舵トルクよりも操舵アシストを終了する操舵トルクを小さく設定したことを特徴とするパワーステアリング装置。
これにより、操舵アシスト開始または終了時の制御ハンチングを防止できる。
【0061】
(ニ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記所定電流値を、可逆式オイルポンプに発生するフリクションが動フリクション領域に達し、かつ、可逆式オイルポンプに定回転を与え得る駆動電流値としたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
これにより、オイルポンプ内部のフリクションや脈動等による電動機停止を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のパワーステアリング装置を示す概略構成図である。
【図2】オイルポンプのポンプハウジングの正面図である。
【図3】ポンプユニットの断面図である。
【図4】コントロールユニットで実施される操舵アシスト制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ある車速域における基本アシストトルクマップである。
【図6】かさ上げ後の基本アシストトルクマップである。
【図7】基本アシスト曲線にヒステリシスを設けない基本アシストトルクマップである。
【図8】基本アシスト曲線にヒステリシスを設けた基本アシストトルクマップである。
【図9】他の実施例のパワーステアリング装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 ラックアンドピニオンギア
2 油圧パワーシリンダ
2a ラック軸
2b ピストン
2c 第1圧力室
2d 第2圧力室
3 ポンプユニット
4 コントロールユニット
5 オイルポンプ
5a 第1吐出ポート
5b 第2吐出ポート
6 電動モータ
6a 出力軸
7 フェールセーフ弁
8a 第1配管
8b 第2配管
9 配管
10 トルクセンサ
11 ポンプハウジング
11a 貫通孔
11b 軸支時部
12 カムリング
13 ポンプカバー
13a ブッシュ
14 駆動軸
14a 第1端部
14b 第2端部
15 外歯車
16 内歯車
17 ポンプ室
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーステアリング装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
通常、操舵アシスト後の保舵状態においては、油圧パワーシリンダの加圧側圧力室の油圧が必要以上に上昇しないよう、電動機の回転速度を低下させる制御が実施される。このとき、可逆式オイルポンプと加圧側圧力室とを結ぶ閉回路が高圧のまま保持されるため、可逆式オイルポンプの脈動が大きくなる。この脈動に加えて、電動機および可逆式オイルポンプの動フリクションにより、電動機が回転速度を維持できずに一時停止を繰り返し、運転者に違和感を与えることがある。
【0003】
この問題に対応して、従来のパワーステアリング装置では、可逆式オイルポンプの吐出油の一部を、両圧力室外に分岐させる分岐流路を設けたものが知られている。すなわち、分岐流路により可逆式オイルポンプから吐出される吐出油を、油圧パワーシリンダの外に分岐させることで、操舵アシスト後の保舵状態における可逆式オイルポンプの脈動を低減させ、ポンプ停止を抑制している(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−145088号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にあっては、操舵トルクが小さく、電動機に与えられる電流値が小さいときには、可逆式オイルポンプの内部フリクションや、脈動等により、電動機が一時的に停止するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、オイルポンプ内部のフリクションや脈動等に起因する電動機停止を防止するパワーステアリング装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明では、パワーステアリング装置において、電動機制御手段は、操舵アシスト領域の全域にわたって、所定電流値よりも高い駆動電流を供給する。
ここで、「操舵アシスト領域」とは、操舵アシストを実施するように予め設定した操舵トルク領域、すなわち、操舵トルクがゼロまたはゼロ付近となるアシストを実施しない不感帯領域以外の領域をいう。また、「所定電流値」とは、可逆式オイルポンプに発生するフリクションが静フリクション領域を超えて動フリクション領域に達し、かつ、可逆式オイルポンプに定回転を与え得る駆動電流値をいう。
すなわち、本発明にあっては、操舵トルクが操舵アシスト領域にあるとき、電動機が常に動フリクション領域にあり、かつ、可逆式オイルポンプが一定速度で回転している。よって、操舵アシスト後の保舵時等、油圧パワーシリンダの必要アシスト力が小さいとき、オイルポンプ内部のフリクションや脈動等による電動機停止を防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパワーステアリング装置を実現する実施の形態を、第1実施例に基づいて説明する。
【0009】
(第1実施例)
図1は、第1実施例のパワーステアリング装置を示す概略構成図である。
第1実施例のパワーステアリング装置は、図外のステアリングシャフトと連結されたラックアンドピニオンギア1と、運転者のステアリング操舵力をアシストする油圧パワーシリンダ2と、ポンプユニット3と、コントロールユニット(電動機制御手段)4を主要な構成としている。
【0010】
前記油圧パワーシリンダ2は、両端が図外の操舵輪と接続されたラック軸2aと、このラック2aと一体に移動するピストン2bと、ピストン2bにより仕切られた2つの圧力室(第1圧力室2c,第2圧力室2d)を有している。
【0011】
前記ポンプユニット3は、可逆式のオイルポンプ5と、このオイルポンプ5を正逆回転させる電動モータ(電動機)6と、フェールセーフ弁7とから構成される。
【0012】
前記オイルポンプ5は、電動モータ6の回転方向により吐出方向を切り換える一対の第1,第2吐出ポート5a,5b(図2参照)を有している。第1吐出ポート5aと油圧パワーシリンダ2の第1圧力室2cは、第1配管8aにより連通している。一方、第2吐出ポート5bと油圧パワーシリンダ2の第2圧力室2dは、第2配管8bにより連通している。
【0013】
前記フェールセーフ弁7は、第1配管8aと第2配管8bとを、オイルポンプ5を介すことなく連通する配管9上に設けられている。このフェールセーフ弁7は、コントロールユニット4からの指令信号により電圧が供給されると閉じた状態となり、電圧の供給がない状態では開いた状態となるノーマルオープン弁を用いている。これにより、ステアリング系に何らかの異常が発生し、電源の供給をシャットダウンした場合であっても、第1圧力室2cと第2圧力室2dを連通状態とすることが可能となり、アシストトルク無しの通常の操舵を確保できる。
【0014】
前記ラックアンドピニオンギア1には、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ(操舵トルク検出手段)10が設けられている。このトルクセンサ10により検出された運転者の操舵トルクは、操舵トルク信号としてコントロールユニット4へ出力される。
【0015】
運転者がステアリングを操作すると、操舵トルクと操作方向に応じて電動モータ5の回転方向が切り換えられ、油圧パワーシリンダ2の第1圧力室2cと第2圧力室2dとの間の油を給排することで、運転者の操舵力をアシストする。なお、ステアリングの操作方向は、操舵トルクの増減から判断可能であるが、別途操作方向を検出する手段を設けてもよい。
【0016】
次に、ポンプユニット3の構造について説明する。
図2はオイルポンプ5のポンプハウジングの正面図、図3はポンプユニット3の断面図であり、オイルポンプ5は、ポンプハウジング11と、カムリング12と、ポンプカバー13とからなる3つのハウジングを備え、これらは図示しないボルト等によって締結固定されている。
【0017】
前記ポンプハウジング11には、貫通孔11aが形成されるとともに、この貫通孔11a内には軸支持部11bを介して回動自在に軸支された駆動軸14が設けられている。この駆動軸14の第1端部14aは、電動モータ6の出力軸6aと連結され、第2端部14bは、カムリング12を貫通し、ポンプカバー13にブッシュ13aを介して遊嵌されている。
【0018】
前記カムリング12内には、リング状の外歯車15および内歯車16が設けられている。外歯車15は、カムリング12と内歯車16との間に位置し、内歯車16は、その内周が駆動軸14にスプライン結合されている。これら外歯車15と内歯車16は回転中心が所定の径方向に所定寸法だけ偏心した状態で密に噛み合い、間に複数のポンプ室17が形成されている。
【0019】
このポンプ室17の容積は、外歯車15と内歯車16の回転に伴って変化する。すなわち、ポンプ室17の容積は外歯車15と内歯車16が完全に噛み合う位置では略ゼロとなり、噛み合いが解ける位置で最大となり、噛み合いが始まる区間では縮小していく。
【0020】
前記ポンプハウジング11におけるカムリング12との当接面には、ポンプ室17の容積が拡張する区間に連通して、所定の深さで三日月状に形成された前記第1吐出ポート5aが設けられている。また、この第1吐出ポート5aと対照位置には、ポンプ室17の容積が縮小する区間に連通して、所定の深さで三日月状に形成された前記第2吐出ポート5bが設けられている。
【0021】
図2,3において、ポンプハウジング11とカムリング12の間(ポンプハウジング11と外歯車15,内歯車16の間を含む)、カムリング12とポンプカバー13の間(外歯車15,内歯車16とポンプカバー13の間を含む)、カムリング12内周と外歯車15外周の間、外歯車15と内歯車16の間には、クリアランスt1〜t4が設定されている。
【0022】
これらのクリアランスt1〜t4は、オイルポンプ5から吐出される吐出油を、油圧パワーシリンダ2の外に分岐させる分岐流路として機能する。すなわち、これら分岐流路により、操舵アシスト後の保舵状態において、オイルポンプ5の脈動が低減され、オイルポンプ5の一時停止を防止している。
【0023】
次に、作用を説明する。
[操舵アシスト制御処理]
図4は、コントロールユニット4で所定時間毎(例えば、10ms)に実施される操舵アシスト制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
【0024】
ステップ101では、トルクセンサ10の操舵トルク検出値を読み込み、ステップ102へ移行する。
【0025】
ステップ102では、操舵トルク検出値の位相遅れを補償し、ステップ103へ移行する。
【0026】
ステップ103では、基本アシストONフラグがクリアされているかどうかを判断する。YESの場合にはステップ104へ移行し、NOの場合にはステップ108へ移行する。
【0027】
ステップ104では、操舵トルクが予め設定されたアシスト開始閾値Tsを超えたかどうかを判断する。YESの場合にはステップ105へ移行し、NOの場合にはステップ110へ移行する。
【0028】
ステップ105では、基本アシストONフラグをセットし、ステップ106へ移行する。
【0029】
ステップ106では、車速毎に予め設定された基本アシストトルクマップから、図5に示すような現在の車速に応じたマップを参照して基本アシストトルク(アシスト制御量)を設定し、ステップ107へ移行する。
【0030】
ステップ107では、図6に示すように、基本アシストトルクに所定量を加算してかさ上げし、ステップ111へ移行する。
【0031】
ここで、このかさ上げ量は、オイルポンプ5に発生するフリクションが静フリクション領域を超えて動フリクション領域に達し、かつ、オイルポンプ5に定回転を与え得る値に設定されている。
【0032】
また、このかさ上げによるオイルポンプ5の吐出油の増加量は、上述したオイルポンプ5の分岐流路(クリアランスt1〜t4)によって、油圧パワーシリンダ2の外へ分岐される油量と略一致している。
【0033】
ステップ108では、操舵トルクが予め設定されたアシスト停止閾値Te(<Ts)を下回ったかどうかを判断する。YESの場合にはステップ109へ移行し、NOの場合にはステップ110へ移行する。
【0034】
ステップ109では、基本アシストONフラグをクリアし、ステップ110へ移行する。
【0035】
ステップ110では、基本アシストトルクをゼロに設定し、ステップ111へ移行する。
【0036】
ステップ111では、設定された基本アシストトルクとなるように電動モータ6の駆動電流を設定して電動モータ6を駆動し、ステップ101へ移行する。
【0037】
[操舵アシスト制御作用]
上述した図4のフローチャートに基づいて、操舵アシスト開始から終了までの流れを説明する。
【0038】
(操舵開始直後)
ステアリング操舵開始直後で操舵トルクが小さいときは、図4のフローチャートにおいて、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ110→ステップ111へと進む流れとなる。
【0039】
すなわち、ステップ104において、操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えていないと判断され、ステップ110において、基本アシストトルクがゼロに設定されるため、電動機6は停止したままであり、操舵アシストは開始しない。
【0040】
(操舵アシスト開始)
次に、操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えた場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106→ステップ107→ステップ111へと進む流れとなる。
【0041】
すなわち、ステップ104において、操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えたと判断され、ステップ106において、車速と操舵トルクに応じた基本アシストトルクが設定され、ステップ107において、基本アシストトルクに予め設定された所定量がかさ上げされ、ステップ111において、かさ上げされた基本アシストトルクとなるように、電動モータ6に対し駆動電流が出力され、操舵アシストが開始する。
【0042】
(保舵時)
続いて、ステアリングが保持状態にある場合には、操舵トルクがアシスト停止閾値Teを下回るまでは、図4のフローチャートにおいて、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ108→ステップ106→ステップ107→ステップ111へと進む流れとなる。
【0043】
すなわち、ステップ108において、操舵トルクがアシスト停止閾値Teを下回っていないと判断されるため、ステップ106において、車速と操舵トルクに応じた基本アシストトルクが設定され、操舵アシストが継続する。
【0044】
(操舵アシスト終了)
その後、操舵トルクがアシスト停止閾値Teを下回った場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ108→ステップ109→ステップ110→ステップ111へと進む流れとなる。
【0045】
すなわち、ステップ108において、操舵トルクがアシスト停止閾値Teを下回ったと判断され、ステップ109において、基本アシストフラグがクリアされ、ステップ110において、基本アシストトルクがゼロに設定されるため、ステップ11において、電動機6が停止し、操舵アシストが終了する。
【0046】
[基本アシストトルクのかさ上げ]
ステアリングが所定角度で維持される保舵時には、必要アシストトルクが小さいため、オイルポンプ5の必要吐出圧、すなわち電動モータ6の必要回転速度は小さくなる。このとき、従来技術では、電動モータに与えられる電流値が小さいため、オイルポンプ5の内部フリクションや脈動等により、電動モータが一時的に停止するおそれがあった。
【0047】
これに対し、第1実施例では、操舵トルクが操舵アシスト領域にあるとき、すなわち、操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えてから、アシスト停止閾値Teを下回るまでの間、電動モータ6を動フリクション領域で使用し、かつ、オイルポンプ5に定回転を与えるため、オイルポンプ5および電動モータ6の一時停止を防止できる。
【0048】
[アシスト開始判定と終了判定のヒステリシス]
図7は、かさ上げ前の基本アシストトルクマップにおいて、ヒステリシスを設けないときの基本アシスト曲線を示す図である。この場合、行き(開始)と帰り(終了)の閾値が同一(Ts=Te)である。よって、操舵トルクが閾値付近を行き来するような状況となった場合には、電動モータ6が停止と駆動を繰り返して制御ハンチングが発生し、運転者に違和感を与えてしまう。
【0049】
これに対し、第1実施例では、図8に示すように、アシスト開始閾値Tsをアシスト停止閾値Teよりも大きな値に設定し、基本アシスト曲線の行きと帰りにヒステリシスを設けることで、制御ハンチングの発生を防止している。
【0050】
次に、効果を説明する。
第1実施例のパワーステアリング装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
【0051】
(1) コントロールユニット4は、操舵トルクが操舵アシスト領域にあるとき、電動モータ6を常に動フリクション領域で使用するとともに、オイルポンプ5を回転させた状態とするため、必要アシストトルクの小さな保舵時等において、オイルポンプ5の内部フリクションや脈動等による電動モータ6の停止を防止できる(請求項1に対応)。
【0052】
(2) オイルポンプ2の吐出油を油圧パワーシリンダ2の外へ分岐させる分岐流路(クリアランスt1〜t4)を設け、これら分岐流路により、基本アシストトルクのかさ上げ分を、油圧パワーシリンダ2の第1,第2圧力室2c,2d外へ排出することとしたため、必要操舵アシストトルクを超えた過度なアシストトルクの発生を防止できる。
【0053】
(3) 操舵トルクがアシスト開始閾値Tsを超えない不感帯領域では、基本アシストトルクをゼロとし、電動モータ6を停止させるため、不感帯領域において無駄な電動モータ6の制御が実施されず、操舵アシスト時の応答性が向上する。
【0054】
(4) 電動モータ6の駆動電流値を、基本アシスト曲線に所定量をかさ上げして設定するため、従来の操舵トルク−アシスト制御量特性(基本アシストトルクマップ)をそのまま流用できる。
【0055】
(他の実施例)
以上、本発明の実施の形態を第1実施例に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は、第1実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0056】
例えば、第1実施例では、オイルポンプ5の各所に設定したクリアランスt1〜t4により分岐流路を構成したが、分岐流路として、図9に示すように、第1配管8aと第2配管8bとの間を連通する配管8cや、油圧パワーシリンダ2のピストン2bを貫通する貫通孔2e等を設けた構成としてもよい。
【0057】
さらに、上記第1実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに説明する。
【0058】
(イ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記可逆式オイルポンプの一対の吐出ポートから吐出される吐出油の一部を、油圧パワーシリンダの両圧力室外に分岐させる分岐流路を設けたことを特徴とするパワーステアリング装置。
これにより、電動機に所定値以上の駆動電流が与えられたとき、その発生油圧を加圧側圧力室から排出できるため、必要操舵アシストトルクを超えた過度なアシストトルクの発生を防止できる。
【0059】
(ロ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動機制御手段は、アシストを実施しない不感帯領域では、駆動電流をゼロとすることを特徴とするパワーステアリング装置。
これにより、不感帯領域において無駄な電動機制御が実施されないため、操舵アシスト時の応答性が向上する。
【0060】
(ハ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動機制御手段は、操舵アシストを開始する操舵トルクよりも操舵アシストを終了する操舵トルクを小さく設定したことを特徴とするパワーステアリング装置。
これにより、操舵アシスト開始または終了時の制御ハンチングを防止できる。
【0061】
(ニ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記所定電流値を、可逆式オイルポンプに発生するフリクションが動フリクション領域に達し、かつ、可逆式オイルポンプに定回転を与え得る駆動電流値としたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
これにより、オイルポンプ内部のフリクションや脈動等による電動機停止を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のパワーステアリング装置を示す概略構成図である。
【図2】オイルポンプのポンプハウジングの正面図である。
【図3】ポンプユニットの断面図である。
【図4】コントロールユニットで実施される操舵アシスト制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ある車速域における基本アシストトルクマップである。
【図6】かさ上げ後の基本アシストトルクマップである。
【図7】基本アシスト曲線にヒステリシスを設けない基本アシストトルクマップである。
【図8】基本アシスト曲線にヒステリシスを設けた基本アシストトルクマップである。
【図9】他の実施例のパワーステアリング装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 ラックアンドピニオンギア
2 油圧パワーシリンダ
2a ラック軸
2b ピストン
2c 第1圧力室
2d 第2圧力室
3 ポンプユニット
4 コントロールユニット
5 オイルポンプ
5a 第1吐出ポート
5b 第2吐出ポート
6 電動モータ
6a 出力軸
7 フェールセーフ弁
8a 第1配管
8b 第2配管
9 配管
10 トルクセンサ
11 ポンプハウジング
11a 貫通孔
11b 軸支時部
12 カムリング
13 ポンプカバー
13a ブッシュ
14 駆動軸
14a 第1端部
14b 第2端部
15 外歯車
16 内歯車
17 ポンプ室
Claims (1)
- 操舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助する油圧パワーシリンダと、
この油圧パワーシリンダの両圧力室に対し、第1,第2油路を介して油圧を供給する一対の吐出ポートを備えた可逆式オイルポンプと、
この可逆式オイルポンプを正逆回転させる電動機と、
運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
検出された操舵トルクに基づいて、電動機に供給する駆動電流を制御する電動機制御手段と、を備えたパワーステアリング装置において、
前記電動機制御手段は、予め設定された操舵アシスト領域の全域にわたって、所定電流値よりも高い駆動電流を供給することを特徴とするパワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
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