JP3622009B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーステアリングシリンダに圧油を供給するオイルポンプを電動モータで駆動するようにしたパワーステアリング装置に関する。詳細にはハンドル操作時点においてこれに即応したパワーアシストを得ることができる応答性に優れたパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、パワーステアリング装置としては、例えば特公昭63−54590号公報に記載のものが一般に多く採用されている。このパワーステアリング装置は、ステアリングギアボックスに内蔵されたパワーステアリングシリンダに圧油を供給するオイルポンプを電動モータで駆動するようにしたものである。
【0003】
ところが、このパワーステアリング装置は、電動モータのブラシ部の磨耗量低減或いはシステム全体の省エネルギー化のため、ハンドル操作時にのみ電動モータが駆動してオイルポンプを回転させるようになっていたことから、ハンドル非操作時からハンドル操作時に移行した場合に、その起動初期においてオイルポンプの吐出量が不足し、応答性が悪いという不具合があった。
【0004】
そこで、この応答性の改善を目的としたパワーステアリング装置が、実公平1−11587号公報において提案されている。このパワーステアリング装置では、電動モータをハンドル非操作時においても低回転で駆動させておき、ハンドル操作への移行時に、電動モータの予回転分だけオイルポンプの吐出量の立ち上がりが早められるようにしている。
【0005】
ところが、このパワーステアリング装置にあっては、回路内の圧力が予め設定された値まで上昇したときにはじめて圧力スイッチで検知することにより、ハンドル非操作時(スタンバイ時)からハンドル操作時への移行を感知する構成となっていることから、ハンドル操作からポンプ起動までには、なお若干の時間を必要としていた。このため、ハンドル操作時点においてこれに即応したパワーアシストが得られないという不具合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ハンドル操作時点においてこれに即応したパワーアシストを得ることができる応答性に優れたパワーステアリング装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、パワーステアリングシリンダ9にパワーステアリングバルブを介して圧油を供給するオイルポンプ4を電動モータ7で駆動するようにしたパワーステアリング装置100において、
前記電動モータ7は、操舵時においてオイルポンプ4を駆動するとともに、非操舵時においてもオイルポンプ4を操舵時より低回転で駆動し、前記パワーステアリングバルブを第一制御バルブ8aとし、この第一制御バルブ8aより高感度の第二制御バルブ8bを当該第一制御バルブ8aに対して並列に設けると共に、操舵が為されるとその操舵に応じて先ず前記第二制御バルブ8bを構成するバルブが切り替わり、次いで前記第一制御バルブ8aを構成するバルブが切り替わるようにされており、前記第二制御バルブ8bの下流に圧油の通過流量の変動を検出する検出手段10を設け、この検出信号に基づいて前記電動モータ7の回転数を制御するようにしたことを特徴とするパワーステアリング装置100をその要旨とした。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、検出手段が流量センサー10であることを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置100をその要旨とした。更に、請求項3記載の発明は、車速が任意に設定した速度を超えたことが車速センサーにより検知されると、該車速センサーからの信号に基づき、電動モータ7の回転数を車速に比例して徐々に低下させるように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーステアリング装置100をその要旨とした。更に、請求項4記載の発明は、車速が任意に設定した速度を超えたことが車速センサーにより検知されると、該車速センサーからの信号に基づき、電動モータ7を回転を停止させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のパワーステアリング装置100をその要旨とした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパワーステアリング装置100(以下PS装置100という)の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、ハンドル1の入力軸2の先端には、内部にパワーステアリングシリンダ9(以下PSシリンダ9という)とステアリングギアを内蔵したステアリングギアボックス3(以下ギアボックス3という)が連結されている。入力軸2は、PSシリンダ9とトーションバー、ボールスクリューなどを介して結合し、同時にパワーステアリングバルブ8a(以下第一制御バルブ8aという)と連係し、ハンドル1の回転方向に応じて第一制御バルブ8aを切り換え作動させるようになっている。
【0010】
また、この第一制御バルブ8aより高感度の第二制御バルブ8bが当該第一制御バルブ8aに対して並列に接続されており、ハンドル1の操舵時、始めに第二制御バルブ8bのバルブが切り替わり、次いで第一制御バルブ8aのバルブが切り替わるようになっている。
【0011】
さらに、ギアボックス3内部に内蔵されたPSシリンダ9に圧油を供給するオイルポンプ4がエンジンルーム内の所定の位置に配置されている。
そして、オイルポンプ4で発生した高油圧が高圧ホース5Aを介してPSシリンダ9に送り込まれ、その戻り油が低圧ホース5Bを介してオイルポンプ4のオイルタンク6へと返されるようになっている。
【0012】
オイルポンプ4はベーンポンプであって、そのポンプ軸には電動モータ7が同軸的に結合され、電動モータ7の回転によってオイルポンプ4が駆動するようになっている。
電動モータ7は、エンジンルーム内或いは車室内に配置された制御回路(ECU)からの出力信号によって駆動制御されていて、車両等の運転状態に応じて最適なパワーアシストが得られるようオイルポンプ4の回転数を可変制御するようになっている。
【0013】
ECUには、後述する流量センサー10からの検出信号が入力されるとともに、エンジン本体の配電器からのエンジン回転数信号、トランスミッション部からの車速信号及び荷重信号等が入力される。ECUでは、これらの入力信号を適宜電流値または電圧値に変換し、これらを比較演算した後、制御電流または制御電圧として電動モータ7に出力して、これを可変回転させるようになっている。
【0014】
流量センサー10は、本発明の特徴をなすものであり、第二制御バルブ8bと下流のオイルタンク6との間に設けられており、ハンドル1の操舵時に第二制御バルブ8bのバルブが切り替わることに起因して生ずる圧油の通過流量の変動を検出する検出手段10として作動するようになっている。なお、この検出手段10は本実施例のように流量センサー10に限定されるものではなく、第二制御バルブ8bの前後の油圧の差を検出する差圧センサーの組み合わせなど、第二制御バルブ8bの下流の通過流量の変動を検出できる手段であれば如何なる構成であっても良い。さて、ハンドル1を操舵すると、前述したように先ず感度の高い第二制御バルブ8bのバルブが切り替わり、その下流の圧油の通過流量が変動することになる。このような通過流量の変動を検出手段である流量センサー10で検出し、この検出信号に基づいて電動モータ7の回転数を制御するようにしたのが本発明のパワーステアリング装置100である。そして、これらはハンドル1の操舵と略同時に起こることになるため、回路内の圧力が予め定められた圧力まで上昇しないとポンプ起動しない従来例のものに比較し応答性を著しく高めることができる。
【0015】
尚、本実施例にあっては、第二制御バルブ8bや流量センサ10ー等が故障した場合のフェールセーフとして従来と同様に圧力スイッチ12を設けている。
【0016】
次に、上記如く構成されたパワーステアリング装置100の作動説明を行う。ここで、パワーステアリング装置100の作動説明で用いる図3(車速と電動モータ7の回転数との関係を示したグラフ)では、ハンドル非操作時における電動モータ7の回転数を図3中点線で示し、ハンドル操作時における電動モータ7の回転数を図3中実線で示した。
【0017】
まずハンドル1の非操舵時について説明する。図1に示すようにエンジンの始動と共に電動モータ7が始動する。その際には、図3に示すように電動モータ7は任意に設定した回転数、例えば300rpmで回転している。
【0018】
次に、図1及び図2に示すように、電動モータ7によって回転駆動されるオイルポンプ4は所要流量の圧油を高圧ホース5Aを介してPSシリンダ9へと送り込まれる。そして、その戻り油は低圧ホース5Bを介してオイルポンプ4のオイルタンク6へと戻される。
つまり、オイルポンプ4から供給された油は、第一制御バルブ8a及び第二制御バルブ8bと流量センサー10を経由してオイルタンク6へ戻るのであるが、この時流量センサー10を通過する圧油の流量に変動はないため、ECUは電動モータ7が予め設定した回転数で回転するよう制御する。
【0019】
車速が任意に設定した速度、例えば60km/hに達するまでは、電動モータ7は設定した300rpmで回転し続ける。車速が速度60km/hを越えると、これを検知した車速センサーからの信号に基づき、ECUが電動モータ7の回転数を車速に比例して徐々に低下させるよう制御する。
【0020】
さらに車速が任意に設定した速度、例えば100km/hを越えたとき、これを検知した車速センサーからの信号でECUが作動し、電動モータ7の回転を停止させる。
【0021】
次に、ハンドル1の操舵時について説明する。ハンドル1を操舵すると、先ず高感度の第二制御バルブ8bのバルブが切り替わり、次いで第1制御バルブ8aのバルブが切り替わる。これにより、第2制御バルブ8bの下流を通過する圧油の流量に変動が生じる。
【0022】
この変動は流量センサー10で検知され、その検出信号はECUに入力される。ECUは流量センサー10からの検出信号に基づき、電動モータ7の回転数を非操作時よりも高い回転数、例えば3000回転まで上昇させる。これにより、ハンドル1には圧油によるパワーアシストが行われ、ハンドル1を容易に操舵できるようになる。
その後、ハンドル操作が終了し圧油の流量変動が無くなったことを流量センサー10で検出すると、ECUは電動モータ7の回転数を上記3000回転から300回転に落とすよう制御する。
【0023】
【発明の効果】
本発明のパワーステアリング装置は、第一制御バルブより高感度の第二制御バルブを設けると共にその下流の流量の変動を流量センサーで検出し、この検出信号に基づいて電動モータの回転数を制御するようになっていることから、ハンドル非操作時からハンドル操作時への移行を瞬時に感知することができ、ハンドル操作時点においてこれに即応したパワーアシストが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパワーステアリング装置のシステム構成図。
【図2】本発明のパワーステアリング装置の概略構成図。
【図3】車速と電動モータの回転数の関係を示したグラフ。
【符号の説明】
1・・・ハンドル
2・・・入力軸
3・・・ギアボックス
4・・・オイルポンプ
5・・・ホース
6・・・オイルタンク
7・・・電動モータ
8a・・第一制御バルブ
8b・・第二制御バルブ
9・・・PSシリンダ
10・・・流量センサー(検出手段)
11・・・パワーユニット
12・・・圧力スイッチ
100・・・パワーステアリング装置
Claims (4)
- パワーステアリングシリンダにパワーステアリングバルブを介して圧油を供給するオイルポンプを電動モータで駆動するようにしたパワーステアリング装置において、
前記電動モータは、操舵時においてオイルポンプを駆動するとともに、非操舵時においてもオイルポンプを操舵時より低回転で駆動し、
前記パワーステアリングバルブを第一制御バルブとし、この第一制御バルブより高感度の第二制御バルブを当該第一制御バルブに対して並列に設けると共に、操舵が為されるとその操舵に応じて先ず前記第二制御バルブを構成するバルブが切り替わり、次いで前記第一制御バルブを構成するバルブが切り替わるようにされており、
前記第二制御バルブの下流に圧油の通過流量の変動を検出する検出手段を設け、この検出信号に基づいて前記電動モータの回転数を制御するようにしたことを特徴とするパワーステアリング装置。 - 前記検出手段が流量センサーであることを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
- 車速が任意に設定した速度を超えたことが車速センサーにより検知されると、該車速センサーからの信号に基づき、電動モータの回転数を車速に比例して徐々に低下させるように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーステアリング装置。
- 車速が任意に設定した速度を超えたことが車速センサーにより検知されると、該車速センサーからの信号に基づき、電動モータを回転を停止させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のパワーステアリング装置。
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09263257A JPH09263257A (ja) | 1997-10-07 |
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