JP2005041067A - 記録方法及び記録装置 - Google Patents

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JP2005041067A JP2003202196A JP2003202196A JP2005041067A JP 2005041067 A JP2005041067 A JP 2005041067A JP 2003202196 A JP2003202196 A JP 2003202196A JP 2003202196 A JP2003202196 A JP 2003202196A JP 2005041067 A JP2005041067 A JP 2005041067A
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Kimisato Shimada
仁学 島田
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Abstract

【課題】記録媒体の変形形状を確実に予測して記録材の吐出タイミングを正確かつ容易に補正することができる記録方法及び記録装置を提供すること。
【解決手段】吸引孔124を有する凹部123が複数形成された記録媒体搬送面122に記録媒体を吸着しつつ搬送し、前記記録媒体に記録材を吐出して記録する際、前記凹部の形状に応じて変形した前記記録媒体の形状に基づいて、前記記録材の吐出タイミングを補正する。これにより、記録媒体の変形を凹部の形状にある程度倣わせて、記録媒体の変形形状の予測の確実性を高めることができるので、記録材の吐出タイミングを正確かつ容易に補正することができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸引孔を有する凹部が複数形成された記録媒体搬送面に記録媒体を吸着しつつ搬送し、記録媒体に記録材を吐出して記録する記録方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置の1つである例えばインクジェット式プリンタにおいては、記録媒体の1つである例えば用紙に例えばベタ画像等のように多数のインク滴が吐出される画像が記録されることがある。この場合には、用紙が多量のインクを吸収して、記録後に記録ヘッド側に波状に膨らむ、いわゆるコックリングが発生する場合がある。そして、このコックリングが発生して発達すると、用紙と記録ヘッドとの間隔が不均一になり、インク滴の飛翔距離がばらつくことにより記録むらが生じるおそれがある。そこで、用紙と記録ヘッドとの間隔をセンサで測定し、もしくは記録データや記録速度情報から用紙の変位情報を推測して、インク滴の吐出タイミングを補正して着弾誤差を少なくするインクジェット式プリンタが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−240146号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のインクジェット式プリンタでは、用紙は特に拘束されずに自由な状態で搬送され記録されるので、記録後の用紙は自由に変形することになる。
したがって、コックリングの発達が大きいときは、センサが用紙と干渉して記録ヘッドとの間隔を測定することが不可能になったり、用紙が記録へッドに接触して汚れてしまうおそれがある。また、記録データや記録速度情報による用紙の変位情報の推測は確実性が低くなるので、インク滴の着弾誤差を少なくすることは困難となる。
【0005】
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、記録媒体の変形形状を確実に予測して記録材の吐出タイミングを正確かつ容易に補正することができる記録方法及び記録装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明の記録方法では、吸引孔を有する凹部が複数形成された記録媒体搬送面に記録媒体を吸着しつつ搬送し、前記記録媒体に記録材を吐出して記録する記録方法であって、前記凹部の形状に応じて変形した前記記録媒体の形状に基づいて、前記記録材の吐出タイミングを補正することを特徴としている。これにより、記録媒体の変形を凹部の形状にある程度倣わせて、記録媒体の変形形状の予測の確実性を高めることができるので、記録材の吐出タイミングを正確かつ容易に補正することができる。
【0007】
また、前記凹部は、前記記録媒体の搬送方向に延び、かつ前記記録媒体の搬送直交方向に並んで形成されていることを特徴としている。これにより、凹部の断面形状を一般的な記録媒体に発生するコックリングの断面形状と略一致させることができるので、記録媒体を大きく変形させなくても記録媒体の変形を凹部の形状にある程度倣わせることができる。
【0008】
また、前記吸引孔は、前記凹部の底面及び前記記録媒体搬送面に複数穿孔されていることを特徴としている。これにより、記録媒体を全面にわたって吸引することができるので、記録媒体の変形を凹部の形状にある程度倣わせることができる。また、前記記録材の吐出タイミングは、予め設定された変形予測パラメータに基づいて前記記録媒体の変形形状を3次元的に近似予測して補正することを特徴としている。これにより、記録媒体の変形形状の予測の確実性をより高めることができるので、記録材の吐出タイミングをさらに正確かつ容易に補正することができる。
【0009】
また、前記記録媒体の変形形状の近似予測は、前記記録媒体の搬送直交方向への1記録パス毎に行われることを特徴としている。これにより、記録する画像全体にわたって記録材の吐出タイミングの補正精度を向上させることができるので、その画像の記録精度を高めることができる。また、前記記録媒体の変形形状の近似予測は、サイン関数を用いて行われることを特徴としている。これにより、記録材の吐出タイミングの補正の演算を容易かつ高速に実行することができるので、記録処理時間を短縮させることができる。
【0010】
また、記録前の前記記録媒体の形状を測定し、その形状に前記変形予測パラメータから推測される形状変化分を加味して近似予測変形形状とすることを特徴としている。これにより、実際の記録媒体の形状により即した近似予測変形形状を得ることができるので、記録材の吐出タイミングをさらに正確かつ容易に補正することができる。上記目的達成のため、本発明の記録装置では、上記各記録方法を制御する制御部を備えたことを特徴としている。これにより、上述した各作用効果を奏する記録装置を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る記録方法を実現する記録部を示す一部断面側面図、図2は、その主要部を示す一部断面斜視図である。この記録部100は、図1に示すように、記録材であるインクを図示aで示す副走査方向に搬送される記録媒体に対して吐出する記録ヘッド231と、この記録ヘッド231が搭載されて図示bで示す主走査方向に移動するキャリッジ233を備えている。さらに、記録部100は、図1に示すように、搬送・記録される記録媒体を吸引保持する吸引ユニット110と、この吸引ユニット110の上流側から下流側へ記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段150を備えている。
【0012】
記録ヘッド231は、図示しないが、圧力発生室が内部に設けられ、圧力発生室と繋がるノズル開口が列で下部に設けられている。そして、記録ヘッド231は、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口列から下方の記録媒体に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。このような記録ヘッド231を用いることにより、高精度かつ高速な記録を行うことができる。
【0013】
キャリッジ233は、図示しないが、主走査方向に設けられているガイド軸にベアリングを介して支持されてベルト機構に連結されている。そして、キャリッジ233は、ベルト機構の動きに連行され、ガイド軸に案内されて往復移動するようになっている。このようなキャリッジ233を用いることにより、記録媒体の一端から他端までの1パス毎にノズル開口列分の記録を行うことができる。
【0014】
吸引ユニット110は、図1に示すように、記録へッド231に対して記録媒体搬送路Lを挟んで下側に配置されており、上段の吸引部120と下段の吸引力発生部130から成る上下2段構成の中空箱状に形成されている。吸引部120は、図1に示すように、内部に形成された減圧室121、記録媒体搬送面122に記録媒体の搬送方向に長い長方形状の凹部として形成された複数の吸引室123を有している。これらの吸引室123は、図2に示すように、短辺が所定長さであって長辺が記録媒体搬送面122の上流端近傍から下流端近傍に至る長さとなるように形成されている。すなわち、各吸引室123は、記録媒体の搬送方向には連通して延び、記録媒体の搬送方向と直交する方向には仕切壁125を挟んで並ぶように形成されている。このような吸引室123を設けることにより、波状のコックリングが発生した記録媒体の厚さ方向のうねりを吸収させることができる。なお、吸引室123の深さは、最も厚さ方向のうねりの大きい記録媒体に合わせられている。
【0015】
さらに、吸引部120は、図1に示すように、吸引室123及び記録媒体搬送面122をそれぞれ減圧室121と連通させるべく、上下方向に伸長する上記吸引室123より小さい円形の断面積を有する複数の吸引孔124を有している。
これらの吸引孔124は、図2に示すように、吸引室123の底面及び仕切壁125の上面において記録媒体の搬送方向に所定ピッチで形成されている。すなわち、吸引孔124は、吸引室123毎及び仕切壁125毎にそれぞれ1列形成されている。このような吸引孔124を設けることにより、コックリングが発生した記録媒体を吸引室123と仕切壁125に沿わせて略サインカーブで波打たせることができる。
【0016】
吸引力発生部130は、図1に示すように、吸引部120の減圧室121と連通孔131を介して連通されており、内部に遠心ファンを備えたポンプ132を有している。ポンプ132は、減圧室121の下方の所定位置に連通孔131を介して減圧室121と連通した状態で取り付けられており、遠心ファンが記録媒体の搬送・記録時に回転するようになっている。このようなポンプ132を配設することにより、各吸引孔124に動圧損失が生じ、減圧室121内を負圧とすることができる。なお、負圧による吸着に限られるものではなく、静電気による吸着でも同様の効果を得ることができる。
【0017】
記録媒体搬送手段150は、記録媒体を記録へッド231と吸引ユニット110の間に送り込む送りローラ151と、この送りローラ151に対して上方から圧接される従動ローラ152と、記録媒体を外部へ排出する排出ローラ153と、この排出ローラ153に対して上方から接触される拍車ローラ154を備えている。なお、吸引ユニット110を排出方向へ移動可能な構成とすること等により、排出ローラ153と拍車ローラ154を設けないことも可能である。
【0018】
以上のような構成によれば、吸引穴を吸引室123と吸引孔124で構成し、さらに吸引孔124を小径の貫通孔により形成することで、ポンプ132の特性に対して利用できる負圧の利用率を高めることができる。さらに、吸引室123を吸引孔124より面積の大きい略矩形の凹みとして形成することで、記録媒体Pに対して大きな吸引力を発生することができる。したがって、図3に示すように、コックリングが発生した記録媒体Pを記録媒体搬送面122上にて吸引室123に沿って略密着させることができるので、コックリングが発生する前の記録媒体P´と同様に記録媒体Pと記録ヘッド231との間に隙間を空けることができ、記録媒体Pと記録へッド231との接触による汚染を防止することができる。
【0019】
さらに、図3に示すように、記録媒体Pの下面を吸着することで、コックリングが発生しても記録媒体Pの形状を吸引室123と仕切壁125に沿った略一定形状に制御・保持することが可能になる。このため、このときの記録媒体Pの変形形状は、従来のように特に拘束されずに自由な状態で搬送され記録される記録媒体の変形形状に比べて予測が容易かつ確実となる。したがって、この予測した記録媒体Pの変形形状に基づいてインク滴の吐出タイミングを正確に補正することが可能となり、記録媒体Pへのインク滴の着弾誤差を減少させることができる。
【0020】
記録媒体Pの変形形状は、予め設定された変形予測パラメータに基づいて記録媒体の変形形状を3次元的に近似予測する。変形予測パラメータとしては、例えば記録媒体Pの搬送直交方向の吸引室123の形成ピッチ、インク滴の打ち込み量やデューティ等の記録データ、腰・厚さ・コーティング等の記録媒体Pの種類、パス数・搬送量・ノズル開口数・ノズル開口密度・キャリッジ233の走査速度等の記録速度、吸引負圧等の記録媒体Pの保持力、温度・湿度等の記録媒体Pの周辺環境等が用いられる。なお、吸引負圧は、例えばポンプ132の電圧等で予め規定しておく。また、温度・湿度は、例えばキャリッジ233に温湿度センサ236を取り付けて測定する。
【0021】
このような変形予測パラメータから例えばキャリッジ233の1走査毎、すなわち1記録パス毎にサイン関数を用いて記録媒体Pの形状変化を推測する。そして、記録前に測定した記録媒体Pの形状に上記形状変化分を加味して変形形状を3次元的に近似予測する。そして、近似予測した記録媒体Pの変形形状からノズル開口列毎のインク滴の吐出タイミングの補正量を割り出して吐出制御する。これにより、記録媒体Pへのインク滴の着弾誤差を減少させることができ、記録精度を向上させることができる。なお、記録媒体の記録前の形状は、例えばキャリッジ233に距離センサ237を取り付けて測定する。この距離センサ237としては、例えば非接触の光学反射式のものが使用される。
【0022】
図4は、インク滴の吐出タイミングの補正前後における記録媒体へのインク滴の着弾状態を示す図である。例えばコックリングが発生する前の記録媒体P´の位置Q´にインク滴を着弾させるための吐出タイミング(補正前)で、コックリングが発生した後の記録媒体Pの凸部へインク滴を吐出した場合、記録媒体Pの着弾位置はQ1となる。したがって、記録媒体P´の着弾位置Q´と記録媒体Pの着弾位置Q1との間には、着弾誤差dが生じることになる。そこで、上述した方法により近似予測した記録媒体Pの変形形状から、記録媒体P´の着弾位置Q´と同位置となる記録媒体Pの着弾位置Q2を求め、インク滴の吐出タイミングの補正量+ΔT1を割り出して吐出制御する。これにより、記録媒体P´の着弾位置Q´に対して着弾誤差が生じない記録媒体Pの位置Q2にインク滴を着弾させることができる。
【0023】
また、例えばコックリングが発生する前の記録媒体P´の位置R´にインク滴を着弾させるための吐出タイミング(補正前)で、コックリングが発生した後の記録媒体Pの凹部へインク滴を吐出した場合、記録媒体Pの着弾位置はR1となる。したがって、記録媒体P´の着弾位置R´と記録媒体Pの着弾位置R1との間には、着弾誤差eが生じることになる。そこで、上述した方法により近似予測した記録媒体Pの変形形状から、記録媒体P´の着弾位置R´と同位置となる記録媒体Pの着弾位置R2を求め、インク滴の吐出タイミングの補正量−ΔT2を割り出して吐出制御する。これにより、記録媒体P´の着弾位置R´に対して着弾誤差が生じない記録媒体Pの位置R2にインク滴を着弾させることができる。
【0024】
なお、キャリッジ233の走査方向にノズル開口列が複数並設されているときは、各ノズル開口列間でインク滴の吐出タイミングの補正量を割り出すようにする。先のノズル開口列から打ち込んだインクにより記録媒体がコックリングを生じるので、次のノズル開口列から同じ位置にインクを打ち込むときのインク滴の吐出タイミングの補正量は、先のノズル開口列のインク滴の吐出タイミングの補正量と異なる値となるからである。
【0025】
このような構成の記録媒体搬送装置100は、以下のように動作する。送りローラ151等が回転駆動して、記録媒体を記録ヘッド231と吸引ユニット110との間に送り込む。一方、ポンプ132が駆動して、吸引力を連通孔131及び減圧室121を介して吸引孔124と吸引室123に作用させる。これにより、記録媒体は、記録媒体搬送面122に吸引吸着された状態で搬送される。
【0026】
これと同時に、記録へッド231が、記録媒体の上方を主走査方向に移動しながら記録媒体に対してインク粒を吐出して記録を行う。これにより、記録後の記録媒体にコックリングが発生する場合があるが、コックリングが発生した記録媒体を記録媒体搬送面122上にて吸引室123に沿って略密着させることができる。このため、コックリングが発生する前の記録媒体と同様に記録媒体と記録ヘッド231との間に隙間を空けることができ、記録媒体と記録へッド231との接触による汚染を防止することができる。
【0027】
さらに、記録媒体の形状を吸引室123と仕切壁125に沿った略一定形状に制御・保持することができるため、このときの記録媒体の変形形状を容易かつ確実に予測することができる。したがって、この予測した記録媒体の変形形状に基づいてインク滴の吐出タイミングを正確に補正し、記録媒体へのインク滴の着弾誤差を減少させて高精度な記録を行うことができる。そして、排出ローラ153等が回転駆動して、記録が終了した記録媒体を外部へ排出する。
【0028】
図5は、上記記録部100を備えた記録装置としてのインクジェット式プリンタを示す斜視図、図6〜図8は、その主要部を示す平面図、正面図及び側面図である。このインクジェット式プリンタ200は、プリンタ本体210の後方上部に斜めに取り付けられた自動給紙(ASF)ユニット220と、プリンタ本体210に内蔵された記録部100を備えている。記録媒体としては、インクジェット式プリンタ200の専用紙、普通紙の他、OHPフィルム、トレーシングペーパ一、ハガキ等各種のものを用いることができる。ASFユニット220は、用紙1を収容するトレイ221と、このトレイ221から用紙1を引き出して供給する給紙ローラ222等を備えている。
【0029】
記録部100は、記録ヘッド231及びインクカートリッジ232が搭載されたキャリッジ233と、このキャリッジ233を主走査方向に配設されたガイド軸234に沿って移動させるDCモータ235等を備えている。記録ヘッド231は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、ブラックの各色毎に、例えば96個等複数のノズル開口から成るノズル開口列を有している。
【0030】
さらに、記録部100は、搬送・記録される用紙1を吸引保持する上段の吸引部120と下段の吸引力発生部130から成る吸引ユニット110と、この吸引ユニット110の上流側から下流側へ用紙1を搬送する記録媒体搬送手段150を備えている。吸引部120は、内部に形成された減圧室121と、記録媒体搬送面122に用紙1の搬送方向に長い長方形状の凹部として形成された複数の吸引室123と、これら吸引室123及び記録媒体搬送面122をそれぞれ減圧室121と連通させる複数の吸引孔124を有している。
【0031】
吸引力発生部130は、吸引部120の減圧室121と連通孔131を介して連通されており、内部に遠心ファンを備えたポンプ132を有している。ポンプ132は、減圧室121の下方の所定位置に連通孔131を介して減圧室121と連通した状態で取り付けられており、遠心ファンが搬送・記録時に回転するようになっている。
【0032】
記録媒体搬送手段150は、用紙1を記録へッド231と吸引ユニット110の間に送り込む送りローラ151と、この送りローラ151に対して上方から圧接される従動ローラ152を有している。なお、この実施形態では、用紙1を外部へ排出する排出ローラ153と、この排出ローラ153に対して上方から接触される拍車ローラ154とが不要な、排出方向へ移動可能な吸引ユニット110を有するインクジェット式プリンタ200としているが、排出ローラ153と拍車ローラ154を有するインクジェット式プリンタとしても良い。
【0033】
このような構成のインクジェット式プリンタ200は、以下のように動作する。図示しないホストコンピュータ等によりトレイ221に収容されている用紙1に対する記録命令が入力されると、給紙ローラ222が回転駆動して、トレイ221に収容されている用紙1を1枚ずつピックアップして給紙する。さらに、送りローラ152等が回転駆動して、用紙1を記録ヘッド231と吸引ユニット110との間に送り込む。
【0034】
一方、ポンプ132が駆動して、吸引力を連通孔131及び減圧室121を介して吸引孔124と吸引室123に作用させる。そして、用紙1を記録媒体搬送面122に吸引吸着した状態で搬送する。これと同時に、DCモータ235が駆動して、タイミングベルトを介してキャリッジ233をガイド軸234に沿って移動させる。
【0035】
このとき、記録へッド231は、インクカートリッジ232から各色毎に供給されるインクを記録データに応じて複数のノズルの全部又は一部から微小なインク滴として用紙1上に吐出して記録する。これにより、記録後の用紙1にコックリングが発生する場合があるが、コックリングが発生した用紙1を記録媒体搬送面122上にて吸引室123に沿って略密着させることができる。このため、コックリングが発生する前の用紙1と同様に用紙1と記録ヘッド231との間に隙間を空けることができ、用紙1と記録へッド231との接触による汚染を防止することができる。
【0036】
さらに、用紙1の形状を吸引室123と仕切壁125に沿った略一定形状に制御・保持することができるため、このときの用紙1の変形形状を容易かつ確実に予測することができる。したがって、この予測した用紙1の変形形状に基づいてインク滴の吐出タイミングを正確に補正し、用紙1へのインク滴の着弾誤差を減少させて高精度な記録を行うことができる。そして、吸引ユニット110が排出方向へ移動して、記録が終了した用紙1を排紙口201から外部へ排紙する。
【0037】
以上説明したように、本発明によれば、吸引室123の形状に応じて変形した記録媒体の形状に基づいて、インク滴の吐出タイミングを補正しているので、記録媒体の変形を吸引室123の形状にある程度倣わせて、記録媒体の変形形状の予測の確実性を高めることができる。したがって、インク滴の吐出タイミングを正確かつ容易に補正することができ、記録精度を高めることができる。
【0038】
また、吸引室123は、記録媒体の搬送方向に延び、かつ記録媒体の搬送直交方向に並んで形成されているので、吸引室123の断面形状を一般的な記録媒体に発生するコックリングの断面形状と略一致させることができる。したがって、記録媒体を大きく変形させなくても記録媒体の変形を吸引室123の形状にある程度倣わせることができる。
【0039】
また、吸引孔124は、吸引室123の底面及び記録媒体搬送面122に複数穿孔されているので、記録媒体を全面にわたって吸引することができ、記録媒体の変形を吸引室123の形状にある程度倣わせることができる。また、インク滴の吐出タイミングは、予め設定された変形予測パラメータに基づいて記録媒体の変形形状を3次元的に近似予測して補正するので、記録媒体の変形形状の予測の確実性をより高めることができ、インク滴の吐出タイミングをさらに正確かつ容易に補正することができる。
【0040】
また、記録媒体の変形形状の近似予測は、記録媒体の搬送直交方向への1記録パス毎に行われるので、記録する画像全体にわたってインク滴の吐出タイミングの補正精度を向上させることができ、その画像の記録精度を高めることができる。また、記録媒体の変形形状の近似予測は、サイン関数を用いて行われるので、インク滴の吐出タイミングの補正の演算を容易かつ高速に実行することができ、記録処理時間を短縮させることができる。また、記録前の記録媒体の形状を測定し、その形状に変形予測パラメータから推測される形状変化分を加味して近似予測変形形状とするので、実際の記録媒体の形状により即した近似予測変形形状を得ることができ、インク滴の吐出タイミングをさらに正確かつ容易に補正することができる。
【0041】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は以上の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されるのは勿論である。例えば、上述した実施形態では、記録装置としてインクジェット式プリンタを例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えばファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。さらに、記録装置に限定されるものではなく、記録装置以外の装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る記録方法を実現する記録部を示す一部断面側面図である。
【図2】図1の主要部を示す一部断面斜視図である。
【図3】図1の記録部における記録媒体の状態を示す図である。
【図4】図1の記録部におけるインク滴の吐出タイミングの補正前後における記録媒体へのインク滴の着弾状態を示す図である。
【図5】本発明の記録部を備えた記録装置としてのインクジェット式プリンタを示す斜視図である。
【図6】図5のインクジェット式プリンタの主要部を示す平面図である。
【図7】図5のインクジェット式プリンタの主要部を示す正面図である。
【図8】図5のインクジェット式プリンタの主要部を示す側面図である。
【符号の説明】
1 用紙、100 記録部、110 吸引ユニット、120 吸引部、121減圧室、122 記録媒体搬送面、123 吸引室、124 吸引孔、125仕切壁、130 吸引力発生部、131 連通孔、132 ポンプ、150 記録媒体搬送手段、151 送りローラ、152 従動ローラ、153 排出ローラ、154 拍車ローラ、200 インクジェット式プリンタ、210 プリンタ本体、220 ASFユニット、221 トレイ、222 給紙ローラ、231 記録ヘッド、232 インクカートリッジ、233 キャリッジ、234ガイド軸、235 DCモータ、236 温湿度センサ、237 距離センサ

Claims (8)

  1. 吸引孔を有する凹部が複数形成された記録媒体搬送面に記録媒体を吸着しつつ搬送し、前記記録媒体に記録材を吐出して記録する記録方法であって、
    前記凹部の形状に応じて変形した前記記録媒体の形状に基づいて、前記記録材の吐出タイミングを補正することを特徴とする記録方法。
  2. 前記凹部は、前記記録媒体の搬送方向に延び、かつ前記記録媒体の搬送直交方向に並んで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録方法。
  3. 前記吸引孔は、前記凹部の底面及び前記記録媒体搬送面に複数穿孔されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録方法。
  4. 前記記録材の吐出タイミングは、予め設定された変形予測パラメータに基づいて前記記録媒体の変形形状を3次元的に近似予測して補正することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の記録方法。
  5. 前記記録媒体の変形形状の近似予測は、前記記録媒体の搬送直交方向への1記録パス毎に行われることを特徴とする請求項4に記載の記録方法。
  6. 前記記録媒体の変形形状の近似予測は、サイン関数を用いて行われることを特徴とする請求項4または5に記載の記録方法。
  7. 記録前の前記記録媒体の形状を測定し、その形状に前記変形予測パラメータから推測される形状変化分を加味して近似予測変形形状とすることを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の記録方法。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の記録方法を制御する制御部を備えたことを特徴とする記録装置。
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