JP2020032663A - インクジェットプリンター、インクジェットプリンターの制御方法 - Google Patents

インクジェットプリンター、インクジェットプリンターの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インク吐出が中断されたとき、媒体を矯正領域に退避させ、媒体の姿勢を矯正する。【解決手段】インクジェットプリンターは、インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、媒体の退避対象部分を、搬送経路においてインクジェットヘッドが走査する走査領域と異なる領域であり、媒体の姿勢を矯正する矯正領域に位置させ、中断されたインク吐出が第1モードであるとき、退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに走査領域内に位置する部分であり、中断されたインク吐出が、第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードであるとき、退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに走査領域内に位置する部分と、走査領域より上流側に位置する部分と、を含む。【選択図】図9

Description

本発明は、インクジェットプリンター及びインクジェットプリンターの制御方法に関する。
従来、印刷の中断動作にあたり、中断時点までのインク吐出量が、しきい値を上回っている場合には、用紙を反転することなく排紙することを判断し、当該インク吐出量が、当該しきい値と等しいかまたは下回っている場合には、反転することを判断し、いずれかの結果に応じて反転動作または排紙動作するシリアルスキャンプリンターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−152684号公報
しかしながら、用紙のインクが吐出された部分は時間経過とともに膨潤して膨らむ傾向がある。このため、単に用紙を反転搬送させただけでは、用紙の膨らんだ部分が反転機構に接触して反転機構にインクが付着してしまう。そして、搬送される用紙にインクが転写され画像品質が低下してしまう、という課題がった。
本願のインクジェットプリンターは、媒体を搬送する搬送部と、搬送される前記媒体にインクを吐出可能なインクジェットヘッドと、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、前記媒体の退避対象部分を、前記媒体の搬送経路において前記インクジェットヘッドが走査する走査領域と異なる領域であり、前記媒体の姿勢を矯正する矯正領域に位置させ、中断された前記インク吐出が第1モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分であり、中断された前記インク吐出が、前記第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分と、当該走査領域より上流側に位置する部分と、を含むことを特徴とする。
上記インクジェットプリンターでは、前記媒体が搬送される前記搬送経路において、前記矯正領域は前記走査領域より下流側であることが好ましい。
上記インクジェットプリンターの前記矯正領域は、前記下流側に設けられ重力方向に凹んだ凹部であることが好ましい。
上記インクジェットプリンターでは、前記第1モードであるとき、と、前記第2モードであるとき、とでは前記矯正領域がそれぞれ異なり、前記第2モードであるときの前記矯正領域は、重力方向に凹んだ凹部であることが好ましい。
上記インクジェットプリンターは、前記搬送部として、前記搬送経路における前記走査領域より下流側に設けられた第1排紙ローラーと、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーより下流側に設けられ、前記第1排紙ローラーと同じ駆動源により駆動される第2排紙ローラーと、を有し、前記第2排紙ローラーにおける所定の駆動量あたりの前記媒体の搬送量は、前記第1排紙ローラーより大きく、前記矯正領域は、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーと前記第2排紙ローラーとの間の増速領域であることが好ましい。
上記インクジェットプリンターでは、前記搬送部として、前記搬送経路における前記走査領域より下流側に設けられた第1排紙ローラーと、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーより下流側に設けられ、前記第1排紙ローラーと同じ駆動源により駆動される第2排紙ローラーと、を有し、前記第2排紙ローラーにおける所定の駆動量あたりの前記媒体の搬送量は、前記第1排紙ローラーより大きく、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーと前記第2排紙ローラーとの間は増速領域であり、前記第1モードであるとき、と、前記第2モードであるとき、とでは前記矯正領域がそれぞれ異なり、前記第1モードであるときの前記矯正領域は、前記増速領域であることが好ましい。
上記インクジェットプリンターでは、前記制御部は、前記第1モードであるとき、前記矯正領域としての第1矯正領域に、前記第1モードにおける前記退避対象部分を位置させ、前記第2モードであるとき、前記第1矯正領域より上流側の第2矯正領域に、前記第2モードにおける前記退避対象部分を位置させることが好ましい。
上記インクジェットプリンターでは、前記媒体が搬送される搬送経路において、前記矯正領域は前記走査領域より上流側であることが好ましい。
本願のインクジェットプリンターの制御方法は、媒体を搬送する搬送部と、搬送される前記媒体にインクを吐出可能なインクジェットヘッドと、前記搬送部を制御する制御部と、を備えたインクジェットプリンターの制御方法であって、前記インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、前記媒体の退避対象部分を、搬送経路において前記インクジェットヘッドが走査する走査領域と異なる領域であり、前記媒体の姿勢を矯正する矯正領域に位置させ、中断された前記インク吐出が第1モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分であり、中断された前記インク吐出が、前記第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分と、当該走査領域より上流側に位置する部分と、を含むことを特徴とする。
プリンターの構成を示す外観斜視図。 プリンターの構成を示す模式図。 ヘッドの構成を示す平面図。 搬送部周辺の構成を示す詳細図。 プリンターの制御構成を示すブロック図。 プリンターの印刷モードを説明するための模式図。 プリンターの印刷モードを説明するための模式図。 インク吐出が中断された際の媒体の状態の一例を示す説明図。 矯正領域を説明するための模式図。 プリンターの制御方法を説明する動作図。 プリンターの制御方法を説明する動作図。 プリンターの制御方法を説明する動作図。 プリンターの制御方法を説明する動作図。 変形例1にかかるプリンターの構成を示す一部模式図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
(第1実施形態)
まず、プリンター1の構成について説明する。
図1は、プリンター1の構成を示す外観斜視図である。以下の説明では、図1に示すプリンター1が水平面上に置かれるものとして上方向と下方向とに沿う鉛直方向をZ軸方向とし、水平面に沿う方向をX軸方向及びY軸方向として図示する。本実施形態では、プリンター1の幅方向をX軸方向とし、奥行方向をY軸方向とし、高さ方向をZ軸方向として示している。X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向とは、それぞれが異なる方向であり、相互に直交する。
図1に示すように、プリンター1は、媒体としての用紙Sに画像形成が可能なプリンターである。プリンター1は、用紙Sとして、例えば、JIS規格のA0判やB1判といった比較的大型サイズのロール紙に画像形成が可能である。また、プリンター1は、用紙Sとして、A4サイズ等の単票紙にも画像形成が可能である。プリンター1は、本体部2と、排紙受け部3とを備える。本体部2はベース9に立設された支柱8の上部に設けられる。排紙受け部3は用紙捕集部4を有する。用紙捕集部4は本体部2の下方に設けられ、本体部2側から排出された用紙Sを受け止める。なお、本実施形態の用紙Sの主成分は木材繊維である。
プリンター1の本体部2は、略直方体状の筐体12を備える。筐体12の上面には、後側に位置する給紙カバー13と前側に位置するメンテナンスカバー14とが開閉可能に設けられる。筐体12の上面におけるメンテナンスカバー14とX軸方向で隣り合う位置には、プリンター1の各種の操作を行うための操作パネル15が設けられる。そして、筐体12の側面のうちY軸方向において+Y方向側の側面である前面には排紙口16が設けられる。筐体12内で画像形成がされた用紙Sは、排紙口16から+Y方向側(前方)に向けて排出される。筐体12の前面には、排紙口16から排紙される用紙Sを支持する排紙部90が設けられる。また、プリンター1は、各部を制御する制御部60を備える。
次に、プリンター1の内部構造について説明する。
図2は、プリンター1の構成を示す模式図である。図3は、ヘッド21の構成を示す平面図である。なお、ヘッド21は、インクジェットヘッドである。
図2に示すように、プリンター1は、筐体12内にX軸方向に延伸するガイド軸32を備える。ガイド軸32は、筐体12内におけるZ軸方向の所定の高さ位置にフレーム18に支持された状態で架設される。ガイド軸32の上方となる高さ位置でX軸方向に延びるレール部33を有する。レール部33はフレーム18の一部を曲げ加工して形成され、ガイド軸32と共に支軸として機能する。キャリッジ20は、ガイド軸32及びレール部33に案内されてガイド軸32の延伸方向であるX軸方向に移動可能となる。ヘッド21は、キャリッジ20に支持されてX軸方向にキャリッジ20と共に往復移動する。ヘッド21は、液体としてのインクを吐出するノズルNが開口するノズル面21Aを有する。
図3に示すように、ヘッド21のノズル面21Aには複数のノズルNが設けられる。ヘッド21は図示しないアクチュエーターが各ノズルNに対応して備えられており、当該アクチュエーターを駆動させることにより、各ノズルNからインクを液滴として噴射させることができる。アクチュエーターとしては、例えば、圧電素子を採用することができる。ノズルNはY軸方向に配列されたノズル列NRを構成する。ノズル列NRは、Y軸方向に所定のピッチで配列されたM個のノズルNの群で構成される。Mは、例えば100〜500の範囲内の所定値である。ノズル列NRは、X軸方向に複数並列される。
ここで、ノズル列NRを構成する複数のノズルNが形成された範囲の搬送方向Yの寸法をノズル列寸法NLとする。そして、ヘッド21が幅方向としてのX軸方向に移動したとき、+Z方向からみてノズル列寸法NLと用紙Sとが重なる部分が走査領域Eとなる。
図2に戻り、プリンター1は、キャリッジ20を移動させる移動機構22を備える。移動機構22は、キャリッジ20を支持するガイド軸32及びレール部33の他、キャリッジ20の動力源であるキャリッジモーター23と、キャリッジモーター23の動力で回転するプーリー24に巻き掛けられたタイミングベルト25等により構成される。キャリッジ20は、タイミングベルト25の一部に固定されており、キャリッジモーター23が正逆転駆動されることによりX軸方向に往復移動する。また、プリンター1は、キャリッジ20の走査方向としてのX軸方向における移動位置を検出するための第1エンコーダー26を備える。キャリッジ20は、第1エンコーダー26から出力されるパルス信号に基づいて速度制御及び位置制御される。
キャリッジ20には、インクカートリッジ27が着脱可能に装着される。インクカートリッジ27は、ヘッド21に供給するインクが収容されるインク収容体の一例である。キャリッジ20は、インクカートリッジ27とヘッド21とを搭載し、走査方向としてのX軸方向に移動する。インクカートリッジ27は、キャリッジ20においてヘッド21よりも+Z方向の位置に装着される。キャリッジ20は、インクカートリッジ27を収容可能な本体20Aと、本体20Aに収容されたインクカートリッジ27を上側から被うカバー20Bとを有する。インクカートリッジ27は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、黒の4色を含む複数色のインクをそれぞれ収容する複数個が装着される。なお、例えば黒1色のインクカートリッジ27が1つ装着されるだけの構成でもよい。
キャリッジ20はインクカートリッジ27の装着面に不図示の端子を有する。当該端子は制御部60に電気的に接続される。インクカートリッジ27は、記憶素子を実装しており、被装着面に端子を有する。インクカートリッジ27をキャリッジ20から取り外すと両端子が離れて電気的に非接触状態になり、一方、インクカートリッジ27をキャリッジ20に装着すると、両端子が電気的に接続される。制御部60は、インクカートリッジ27とキャリッジ20との両端子の接続及び非接続を介してインクカートリッジ27の装着および取外しを検出する。また、制御部60は、インクカートリッジ27がキャリッジ20に装着された状態で両端子の接続を介して記憶素子に対する読取り及び書込みが可能である。インクカートリッジ27の記憶素子には、品番情報、インク色情報、インク残量情報などのインク関連情報が記憶されている。
制御部60は、プリンター1が印刷等で消費したインク消費量を管理しており、記憶素子から読み取った残量情報からインク消費量を減算することで、現在のインク残量を管理する。プリンター1の電源オン時に記憶素子からインク残量を読み出し、プリンター1の電源オフ時にそれまで測定したインク残量の情報を記憶素子に書き込む。
そして、例えば、制御部60が、インクカートリッジ27内のインク残量が所定値に達すると、操作パネル15にインクカートリッジ27の交換を示唆するメッセージを表示させる。また、制御部60は、ヘッド21からのインクの吐出を停止させる。
インクカートリッジ27の着脱は、メンテナンスカバー14を開状態にすることで行うことができる。
なお、実施形態では、インクカートリッジ27のインクの残量が所定値に達した場合、新たなインクカートリッジ27と交換する構成を例に説明したが、これに限定されず、例えば、インクカートリッジ27のインクの残量が所定値に達した場合、インクカートリッジ27内にインクを補充する構成であってもよい。
プリンター1は、用紙Sを給送する給送部35を備える。給送部35は、用紙Sを円筒状に巻き重ねたロール体Rを装填可能かつ回転可能な給送軸36を備える。給送軸36の動力源である給送モーター37が駆動して給送軸36と共にロール体Rが図2における反時計回り方向に回転することで、用紙Sが繰り出される。ロール体Rから繰り出される用紙Sは連続紙である。給送モーター37は図5に示す。なお、給送部35は、図2において二点鎖線で示すように、供給口17を介して、例えば単票紙の用紙Sも供給可能である。
ロール体Rから解かれた用紙Sは、搬送部40に沿って形成される搬送経路Vに沿って搬送される。
ロール体Rから繰り出された用紙Sは、搬送経路Vの上流側となる部分が湾曲する一方で下流側となる部分が水平方向に延びた形状を成す経路形成部材19に沿って、ヘッド21に向けて案内される。そして、ヘッド21と媒体支持部30との間を通過した用紙Sは、搬送部40により下流側に搬送され、筐体12の前面に開口する排紙口16を通じて筐体12内から筐体12外へ排出される。すなわち、本実施形態において、Y軸方向に沿う方向のうち、筐体12の後方から前方に向かう方向、図2において右方から左方に向かう方向が、搬送部40により搬送される用紙Sの搬送方向Yとなる。
媒体支持部30は、ヘッド21のノズル面21Aと対向して配置される。媒体支持部30は、ヘッド21と対向する面であって且つ用紙Sを支持する面を有する。
なお、ヘッド21よりも搬送経路Vの下流側で媒体支持部30の+Z方向となる位置には、押えローラー31が回転自在に配置される。押えローラー31は、ヘッド21による印刷済みの用紙Sが媒体支持部30により支持されて搬送経路Vの下流側に搬送されるとき、その用紙Sのインクが付着した面に接触する。そのため、押えローラー31は、用紙Sに印刷された画像の品質の劣化を低減するべく、用紙Sに対する接触面積が小さいスターホイール等で構成される。
搬送部40は、ロール体Rから繰り出された用紙Sを、ヘッド21と媒体支持部30との間及び媒体切断部50を経由する搬送経路Vに沿うようにして筐体12内から排紙口16に向けて搬送する。媒体支持部30よりも下流側には、搬送経路Vの上流側から下流側に向かって順に、第1排紙ローラーとしての駆動ローラー45を含む第1ローラー対41、第2排紙ローラーとしての駆動ローラー45を含む第2ローラー対42、第3ローラー対43という複数のローラー対を有する。一方、媒体支持部30よりも上流側には一つのローラー対44を有する。
第1ローラー対41、第2ローラー対42、第3ローラー対43及びローラー対44は、同一の駆動源としての搬送モーター39(図5参照)により駆動回転が可能な駆動ローラー45と、駆動ローラー45の回転に対して従動回転が可能な従動ローラー46とで構成される。これらの第1ローラー対41、第2ローラー対42、第3ローラー対43及びローラー対44は、駆動ローラー45と従動ローラー46とで用紙Sを挟み込んだ状態で回転することにより用紙Sを搬送する。駆動ローラー45は、用紙Sに対して−Z方向から接触するように配置され、従動ローラー46は、用紙Sに対して+Z方向から接触するように配置される。
また、搬送部40には、搬送モーター39の動作を検出する第2エンコーダー58が設けられる。第2エンコーダー58は図5に示す。
第1ローラー対41、第2ローラー対42、第3ローラー対43における従動ローラー46は、用紙Sを搬送する際に、印刷済みの用紙Sにおいて印刷用のインクが付着した面に接触する。そのため、第1ローラー対41、第2ローラー対42、第3ローラー対43における従動ローラー46は、用紙Sに対する接触面積が小さいスターホイール等で構成される。なお、押えローラー31、下流側の第1ローラー対41、第2ローラー対42、第3ローラー対43及びローラー対44は、X軸方向に所定の間隔をあけてそれぞれ複数ずつ配置される。
また、各駆動ローラー45を駆動する搬送モーター39が所定の駆動量だけ駆動されるときの、各駆動ローラー45における用紙Sの搬送量は、各駆動ローラー45間で連結される伝達ギヤのギヤ比や、各駆動ローラー45の直径等によって適宜設定される。本実施形態においては、用紙Sが搬送方向Yに搬送されるときの、第1ローラー対41、第2ローラー対42及び第3ローラー対43における各駆動ローラー45の用紙Sの搬送量は、ローラー対44の駆動ローラー45の搬送量よりも大きい。換言すれば、上流側のローラー対44の駆動ローラー45に対して第1ローラー対41、第2ローラー対42及び第3ローラー対43における各駆動ローラー45は増速された状態である。
すなわち、ヘッド21から用紙Sにインクを吐出させて画像を形成する際、用紙Sはインクの受容により膨潤して変形しやすくなる。特に、ヘッド21の走査領域Eにおいて用紙Sが変形した場合、用紙Sの変形した部分がヘッド21に接触してしまい、用紙Sの汚損やヘッド21の吐出不具合が発生してしまう。そこで、本実施形態では、搬送方向Yにおいて、走査領域Eを含む媒体支持部30より下流側に配置された第1ローラー対41、第2ローラー対42及び第3ローラー対43の各駆動ローラー45の搬送量をローラー対44の駆動ローラー45よりも大きくすることにより、用紙Sに対してテンションが掛けられる。これにより、走査領域Eにおける用紙Sの変形の発生を低減することができ、吐出不良の発生を防止することができる。なお、インクの受容による用紙Sの変形は、インクが吐出される走査領域Eで生じやすい。これは、インクの受容による用紙Sの変形は、用紙Sが含む水分量が大きいほど生じやすく、用紙Sの変形量がピークを迎えた後は、インクが吐出されてから時間が経過するほど、用紙Sからの水分の蒸発が進むからである。
また、本実施形態では、用紙Sが搬送方向Yに搬送されるときの、第2ローラー対42の駆動ローラー45における所定の駆動量あたりの用紙Sの搬送量は、第1ローラー対41の駆動ローラー45の搬送量よりも大きくなるように構成される。例えば、伝達ギヤのギヤ比や、各駆動ローラー45の直径等によって設定される。従って、第1ローラー対41と第2ローラー対42との間は増速領域となる。
なお、搬送部40周辺の詳細な構成については後述する。
媒体切断部50は、搬送方向Yにおいて、第2ローラー対42と第3ローラー対43との間に配置される。媒体切断部50は、水平方向に沿う軸を中心に駆動回転する円板状の駆動刃51と従動回転する円板状の従動刃52とで構成される。駆動刃51と従動刃52は、鉛直方向Zにおいて、駆動刃51が従動刃52に対して下側に位置する。そして、駆動刃51の上側部分となる刃先と従動刃52の下側部分となる刃先とが互いに重なるように配置される。
そのため、第2ローラー対42と第3ローラー対43との間において、用紙Sは、この駆動刃51と従動刃52とが用紙Sの搬送方向Yと交差する幅方向であるX軸方向に走査することにより切断される。そして、媒体切断部50により切断された用紙Sは、第3ローラー対43によって下流側へ搬送されることで排紙口16から排出される。排紙口16から排出された用紙Sは、用紙捕集部4に収容される。なお、本実施形態におけるプリンター1は、ユーザーが手の指先を筐体12の外部から排紙口16を介して筐体12内の媒体切断部50等の可動部まで差し入れることができない程度に、排紙口16の開口におけるZ軸方向の間隔が比較的小さく構成される。
次に、搬送部40周辺の詳細な構成について説明する。図4は、搬送部40周辺の構成を示す詳細図である。
図4に示すように、第1ローラー対41では、駆動ローラー45の軸中心の方が、従動ローラー46の軸中心よりも、搬送方向Yにおいて、距離d1だけ下流側に位置する。同様に、第2ローラー対42でも、駆動ローラー45の軸中心の方が、従動ローラー46の軸中心よりも、搬送方向Yにおいて、距離d2だけ下流側に位置する。そして、第1ローラー対41による用紙Sの挟み位置P1は、媒体支持部30による用紙Sの支持位置Pよりも+Z方向に位置する。また、第2ローラー対42による用紙Sの挟み位置P2は、第1ローラー対41による用紙Sの挟み位置P1よりも+Z方向に位置する。なお、本実施形態において各ローラー対による挟み位置とは、図4に示されるようなY軸方向及びZ軸方向に延在する平面において、ローラー対を構成する2つのローラー軸中心を結ぶ線分と、2つのローラーの外周とが交差する点である。
そのため、用紙Sが、第1ローラー対41と第2ローラー対42とに挟み込まれた状態において搬送経路Vを下流側に搬送されるとき、その搬送される方向が水平方向である第1方向D1から当該第1方向D1と交差する方向であって下流側に斜め上向き方向となる第2方向D2に変化する。本実施形態では、第1ローラー対41と第2ローラー対42とにより、媒体支持部30よりも搬送経路Vの下流側において、用紙Sが搬送される方向を第1方向D1から当該第1方向D1と交差する第2方向D2に変化させて用紙Sを下流側に案内する。
その一方、図4に示すように、第3ローラー対43では、駆動ローラー45の軸中心の方が、従動ローラー46の軸中心よりも、搬送方向Yにおいて、距離d3だけ上流側に位置する。そして、第3ローラー対43による用紙Sの挟み位置P3は、第1ローラー対41による用紙Sの挟み位置P1よりも−Z方向に位置する。さらに、第3ローラー対43による用紙Sの挟み位置P3は、媒体支持部30による用紙Sの支持位置Pよりも−Z方向に位置する。
そのため、用紙Sが、第2ローラー対42と第3ローラー対43に挟み込まれた状態において搬送経路Vを下流側に搬送されるとき、その搬送される方向が下流側に斜め上向き方向である第2方向D2から当該第2方向D2と交差する方向であって下流側に斜め下向き方向となる第3方向D3に変化する。
なお、図4に示すように、第1ローラー対41と第2ローラー対42との間には、用紙Sに対して−Z方向から接触して用紙Sを支持可能な支持部材47が配置される。支持部材47は、第1ローラー対41と第2ローラー対42とに挟み込まれた状態で下流側に斜め上向き方向となる第2方向に搬送さる用紙Sに接触する。この支持部材47において用紙Sを支持する面は下流側に斜め上向き方向となる第2方向D2に延びる。そのため、搬送部40を構成する第1ローラー対41と第2ローラー対42とに挟み込まれた状態で第2方向D2に搬送される用紙Sは、その搬送姿勢が安定する。
また、図4に示すように、第2ローラー対42と第3ローラー対43との間で媒体切断部50よりも上流側となる位置には、用紙Sに対して−Z方向から接触して用紙Sを支持可能な支持部材48が配置される。支持部材48は、第2ローラー対42と第3ローラー対43とに挟み込まれた状態で下流側に斜め下向き方向となる第3方向D3に搬送される用紙Sに接触する。支持部材48において用紙Sを支持する面は下流側に斜め下向き方向となる第3方向D3に延びる。そのため、第2ローラー対42と第3ローラー対43とに挟み込まれた状態で第3方向D3に搬送される用紙Sは、その搬送姿勢が安定する。
ここで、図4に示すように、水平方向である第1方向D1に延びる第1直線L1と、下流側に斜め上向き方向である第2方向D2に延びる第2直線L2とは、凹部100の+Z方向に設けられた押えローラー31の−Z方向端部の位置Paおいて交差する。また、下流側に斜め上向き方向である第2方向D2に延びる第2直線L2と、下流側に斜め下向き方向である第3方向D3に延びる第3直線L3とは、第2ローラー対42による用紙Sの挟み位置P2において交差する。
そして、この場合において、第1直線L1に対して第2直線L2が交差して搬送経路Vの下流側に向けてなす角度θAの角は、鉛直方向Zにおいて、第1直線に対して正方向である+Z方向に角度を有する角である。その一方、第1直線L1に対して第3直線L3が交差して搬送経路Vの下流側に向けてなす角度θBの角は、鉛直方向Zにおいて、第1直線に対して負方向である−Z方向に角度を有する角である。すなわち、第1直線L1に対して第2直線L2が交差して搬送経路Vの下流側に向けてなす角度θAと第1直線L1に対して第3直線L3が交差して搬送経路の下流側に向けてなす角度θBとは、第1直線L1を基準としたときの正負の向きが異なる。そのため、筐体12内において、用紙Sの搬送経路Vは、幅方向Xから見た場合に、媒体支持部30から排紙口16に至るまでの経路部分が鉛直方向Zにおける+Z方向と−Z方向とに交互に搬送方向を変化させるように構成される。なお、本実施形態において、2つの直線が交差して搬送経路Vの下流側に向けてなす角とは、2つの直線の交点から搬送方向Yの下流側に延びる半直線の部分がなす角である。
なお、駆動ローラー45の軸中心と従動ローラー46の軸中心との搬送方向Yにおける位置関係は搬送経路Vの水平方向に対する傾きに応じて適宜変更する。すなわち、用紙Sが搬送される方向が変化するため、駆動ローラー45の軸中心と従動ローラー46の軸中心との搬送方向Yにおける位置、および、距離d1、距離d2、距離d3は、搬送経路Vの水平方向に対する傾きに応じて適宜変更される。
また、ヘッド21が走査する走査領域Eの下流側には凹部100が設けられる。本実施形態では、凹部100は媒体支持部30に設けられる。さらに詳細には、媒体支持部30に用紙Sが支持される支持位置Pを含む支持面から−Z方向に向けて凹部100が形成される。凹部100は、押えローラー31の−Z方向に設けられる。凹部100は、重力方向に凹み、媒体支持部30のX軸方向における幅方向全体に亘って形成される。
凹部100は、用紙Sの下流側の先端部を−Z方向に移動させるものである。具体的には、ロール体Rから繰り出された用紙Sの下流側の先端部は、巻き癖が付いるため、用紙Sを媒体支持部30に位置させた際、用紙Sの下流側の先端部が+Z方向に浮きやすい状態となり、媒体支持部30上における用紙Sの姿勢が安定しない。このため、用紙Sの下流側の先端部を凹部100に位置させることにより、用紙Sの先端部が−Z方向に移動することで用紙Sの浮きを防止することができる。なお、本実施形態の凹部100は、後述する矯正領域Q(図9参照)としても機能する。
次に、プリンター1の制御構成について説明する。
図5は、プリンター1の制御構成を示すブロック図である。
図5に示すように、プリンター1は、図示しないホスト装置から受信した印刷データに基づく画像を用紙Sに印刷する。プリンター1は、キャリッジ20や搬送部40等を制御する制御部60を備える。
制御部60には、ヘッド21、キャリッジモーター23、給送モーター37及び搬送モーター39が電気的に接続される。また、制御部60には、操作パネル15、メンテナンスカバー14の開閉を検出するカバーセンサー57、第1エンコーダー26、第2エンコーダー58、用紙Sの搬送経路Vに設けられた媒体検出器59及びインクカートリッジ27に設けられた記憶素子が接続される。
制御部60は、印刷データに基づいてヘッド21を制御することでノズルNからインクを吐出させる。また、制御部60は、キャリッジモーター23を制御することで、キャリッジ20の位置制御及び速度制御を行う。制御部60は、キャリッジモーター23を正転駆動させることで、キャリッジ20が−X方向から+X方向に向けて往動し、キャリッジモーター23を逆転駆動させることで、キャリッジ20が+X方向から−X方向に向けて復動する。さらに制御部60は、給送モーター37を制御することで、給送軸36を回転させ、ロール体Rを繰り出してヘッド21側に用紙Sを給送させる。また、制御部60は、搬送モーター39を制御することで、搬送部40の各駆動ローラー45を駆動させ、ローラー対44、第1ローラー対41、第2ローラー対42及び第3ローラー対43により給送された用紙Sを搬送方向Yに搬送させる。
制御部60は、操作パネル15に、各種メニューや各種メッセージを表示させる。制御部60は、記憶素子を介してインクカートリッジ27のインク残量を管理しており、インクカートリッジ27内のインク残量が所定値に達したか否かを判断する。制御部60が、インク残量が所定値に達したと判断した場合、すなわち、インクエンドに達したと判断した場合には、操作パネル15にインクエンドの旨のメッセージを表示することによりユーザーに報知する。
制御部60は、インクエンドの旨を報知した後、メモリー65にインクエンドフラグが立つ状態の下で、ユーザーがメンテナンスカバー14を開けたことを検知したカバーセンサー57からの検知信号の入力をもって、インクカートリッジ27の交換が実施されたものと認識する。
制御部60は、CPU61、第1カウンター62、第2カウンター63及びメモリー65を備える。メモリー65には、CPU61が実行する各種のプログラムが記憶される。プログラムにはインクカートリッジ27を交換するためのインクカートリッジ交換制御プログラムや印刷処理のための印刷制御プログラム等が含まれる。CPU61は、メモリー65に記憶された印刷制御プログラムを実行することにより各種の印刷制御を行う。また、CPU61は、インクカートリッジ交換制御プログラムを実行することによりインクカートリッジ27の交換時の制御を行う。ここで、インクカートリッジ27の交換時の制御とは、ユーザーによるインクカートリッジ27の交換を支援するとともに、インクカートリッジ27の交換が印刷途中に行われる場合にその印刷の中断による印刷品質の低下を抑制する制御である。インクカートリッジ27の交換時の制御には、キャリッジ20をインクカートリッジ27の交換が行われる所定の位置に移動させる制御や用紙Sの退避動作制御などが含まれる。
第1カウンター62は、CPU61の指示で、キャリッジ20のホーム位置を原点として、第1エンコーダー26からのパルス信号のパルスエッジの数を計数することでキャリッジ位置を示す計数値を取得する。詳しくは、制御部60は、第1エンコーダー26からのパルス信号に含まれる2つの位相を比較してキャリッジ20の移動方向を取得する。そして、制御部60は、第1エンコーダー26からの入力信号にパルスエッジを検出する度にホーム位置から遠ざかる往動方向(+X方向)であれば第1カウンター62の計数値をインクリメントし、ホーム位置に近づく復動方向(−X方向)であれば第1カウンター62の計数値をデクリメントする。
第2カウンター63は、CPU61の指示で、搬送経路V上の媒体検出器59が用紙Sを検知した位置を原点位置として、第2エンコーダー58からのパルス信号のパルスエッジの数を計数することで用紙Sの搬送位置を示す計数値を取得する。詳しくは、制御部60は、第2エンコーダー58からのパルス信号に基づいて搬送モーター39の回転方向を取得し、パルス信号のパルスエッジを検出する度に正転方向であれば第2カウンター63の計数値をインクリメントし、逆転方向であれば第2カウンター63の計数値をデクリメントする。
ここで、印刷制御プログラムによって実行される印刷制御とは、ホスト装置から受信した印刷データに基づいて、用紙Sに画像を印刷させる制御である。本実施形態では、印刷データに含まれる印刷モードに基づいて、ヘッド21や搬送モーター39等を制御する。
印刷モードは、ヘッド21から用紙Sにインクを吐出させるインク吐出において、用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量に応じて設定される。本実施形態の印刷モードは、第1モードと第2モードとを有する。
第2モードは、第1モードよりも用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量が小さいインク吐出である。換言すれば、第1モードは高画質印刷を行う場合の印刷モードであり、第2モードは高速印刷を行う場合の印刷モードである。
印刷を行う際、制御部60は、ノズルNから用紙Sに向かってインクを吐出させながらキャリッジ20によってヘッド21を主走査方向としてのX軸方向に移動させる。この動作を「パス」という。これにより、用紙Sには主走査方向に沿って形成されたドットdの列であるラスターラインが印刷される。次に、制御部60は、搬送モーター39を駆動させ用紙Sを副走査方向としての+Y方向に搬送させる。制御部60が上記動作を繰り返すことで、ドットdの列が用紙Sの副走査方向に並べられ、用紙Sに画像が形成される。
ここで、隣接するノズルN同士の間隔を超える解像度で印刷する場合は、1本のラスターラインを印刷した後に、用紙Sを僅かに送り、所望の解像度に達するように何回かキャリッジ20を走査し、所望の解像度になったら次のサイクルに移行する処理が繰り返される。
以下、具体例として、第1モードではキャリッジ20を4回走査することで画像を印刷し、第2モードではキャリッジ20を2回走査することで画像を印刷する場合について説明する。換言すれば、第1モードは、4パス印刷であり、第2モードは2パス印刷である。第1モードでは、第2モードの2パス後の用紙Sの送り量よりも用紙Sを少ない送り量で送ってドットdを形成する。このため、第1モードは、第2モードよりも用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量が多くなり、高画質印刷の実行が可能となる。一方、第2モードでは、2パス毎に第1モードに比べて用紙Sを大きい送り量で送るため高速印刷の実行が可能となる。
図6及び図7は、プリンター1の印刷モードを説明するための模式図である。詳細には、図6は、第1モードを説明するための模式図であり、図7は、第2モードを説明するための模式図である。なお、図6及び図7では、説明を容易にするため、ヘッド21のノズル面21Aと用紙Sの幅方向Xとを並列して示している。また、ヘッド21におけるノズルNの数を実際の数に比べ少なくしている。また、実際には、ヘッド21に対して用紙Sを搬送方向Yへ移動させるが、用紙Sに対してヘッド21が移動した状態を示している。
図6に示すように、第1モードでは、ヘッド21に対して用紙Sを毎回同ピッチで+Y方向へ移動させる。本実施形態では、隣接するノズルN間のピッチ寸法を1/4ずつ分割した場合に、5/4ピッチ分の寸法距離で用紙Sを移動させる。これにより、次パスのノズルNが前パスのノズルNとY軸方向に並列した位置に移動する。これにより、1パス目のラスターラインと2パス目のラスターラインとが隣接して形成される。同様に3パス目のラスターラインは、2パス目のラスターラインに隣接して形成される。そして、4パス目のラスターラインは、3パス目のラスターラインに隣接して形成される。また、4パス目のラスターラインは、1パス目のラスターラインに隣接して形成される。これにより、ラスターラインが全て形成された状態となる。
なお、画像が完成した領域を第1領域F1とする。
また、2パス目から形成されたラスターラインのうち、搬送方向の上流側の一部である第2領域F2は、ラスターラインがあと1本形成されていない非ドット領域が形成された状態であり、図示しない5パス目のラスターラインが上記非ドット領域に形成され時点で画像形成が完了となる。
また、3パス目から形成されたラスターラインのうち、搬送方向の上流側の一部である第3領域F3は、ラスターラインがあと2本形成されていない非ドット領域が形成された状態であり、図示しない5パス目及び6パス目のラスターラインが上記非ドット領域に形成された時点で画像形成が完了となる。
また、4パス目から形成されたラスターラインのうち、搬送方向の上流側の一部である第4領域F4は、ラスターラインがあと3本形成されていない非ドット領域が形成された状態であり、図示しない5パス目、6パス目及び7パス目のラスターラインが上記非ドット領域に形成された時点で画像形成が完了となる。
ここで、第1領域F1から第4領域F4では、それぞれの領域において用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量が異なる。具体的には、第1領域F1における用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量は第2領域F2よりも多い。第2領域F2における用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量は第3領域F3よりも多い。第3領域F3における用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量は第4領域F4よりも多い。従って、第1領域F1から第4領域F4に向けて、インクの吐出量の勾配が形成され、用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量が徐々に少なくなる。
図7に示すように、第2モードでは、1パス目でラスターラインを形成した後、ヘッド21に対して用紙Sを+Y方向へ移動させる。本実施形態では、2パス目では、隣接するノズルN間のピッチ寸法を1/2ずつ分割した場合に、1/2ピッチ分の寸法距離で用紙Sを移動させる。これにより、1パス目のラスターラインと2パス目のラスターラインとが並列して形成される。そして、ラスターラインが全て形成された状態となる。
なお、画像が完成した領域を第1領域G1とする。
また、新たな1パス目が形成された領域である第2領域G2は、ラスターラインがあと計5本形成されていない非ドット領域が形成された状態であり、2パス目のラスターラインが上記非ドット領域に形成され時点で画像形成が完了となる。
ここで、第1領域G1と第2領域G2では、それぞれの領域において用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量が異なる。具体的には、第1領域G1における用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量は第2領域G2よりも多い。従って、第1領域G1から第2領域G2に向けて、インクの吐出量の勾配が形成され、用紙Sの所定面積当たりのインクの吐出量が少なくなる。
次に、用紙Sに対してヘッド21からインクを吐出するインク吐出が中断されたときの問題点について説明する。
図8は、インク吐出が中断された際の用紙Sの状態の一例を示す説明図である。
媒体支持部30に支持された用紙Sに向けてヘッド21からインクが吐出されると、吐出されたインクが用紙Sの表面に付着し、用紙Sに付着したインクは用紙Sの内部に浸透する。そして、用紙Sの内部に浸透したインクは、用紙Sの主成分である木材繊維等を膨潤させ、その後、図8に示すように、膨潤した繊維同士の押し合いにより膨張変形し、用紙Sの一部が媒体支持部30の支持位置Pからヘッド21側に向けて凸状に膨らむ。いわゆるコックリングが発生する。当該用紙Sの膨らみは用紙Sの幅方向であるX軸方向に沿って一様に発生する。
また、膨潤による用紙Sの膨らみ具合は、時間経過とともに変化がみられる。例えば、インク吐出後の数分間では、インクの吸収により用紙Sの膨らみが最も大きくなっていく。一方、インク吐出から十数分後においてはインクの蒸発により用紙Sの膨らみが治まっていく。
従って、例えば、インクカートリッジ27の交換時に、インク吐出を中断させる際、インクカートリッジ27の交換作業に数分間を要する場合、用紙Sの膨らみが大きくなってヘッド21のノズル面21Aに接触してしまう。これにより、ノズル面21Aが汚れてインクの吐出不良が発生し、画像品質が低下してしまう。
従って、膨らみによる用紙Sの一部がノズル面21Aに接触しないように、インク吐出が中断された場合には、用紙Sとノズル面21Aとが対向しない位置までヘッド21をX軸方向に移動させることが考えられる。しかしながら、ヘッド21を退避させたとしても、用紙Sの膨らみが治まるまでに十数分かかるため、インクカートリッジ27の交換作業が数分で終了したとしても、ヘッド21を元の位置に戻すことができず、生産性が低下する。
また、プリンター1の小型化を考慮した場合、X軸方向の寸法が短くなるため、ヘッド21のX軸方向の移動距離が制限され、用紙Sとノズル面21Aとが対向しない位置までヘッド21を移動できない場合も考えられる。
この場合は、ヘッド21に対して用紙Sの膨らみ部分を退避させることが考えられる。しかしながら、この場合も上記同様に、用紙Sの膨らみが治まるまでに十数分かかるため、インクカートリッジ27の交換作業の直後に用紙Sを元の位置に戻すことができず、生産性が低下する。
そこで、本実施形態では、インク吐出が中断されたとき、用紙Sの膨らみ部分を搬送経路V上の矯正領域Qに位置させ、用紙Sの姿勢を矯正する。
これにより、用紙Sの姿勢が矯正され、用紙Sの膨らんだ部分が矯正前より平坦化される。これにより、インクカートリッジ27の交換作業の直後に用紙Sを元の位置に戻しても、用紙Sがノズル面21Aに接触することがなく、インクの吐出不良の発生を防止できる。また、生産性の向上に寄与することができる。
また、印刷モードに応じて、膨潤によって用紙Sの膨らむ部分が異なる傾向にある。
従って、本実施形態では、印刷モード毎に矯正領域Qに退避させる退避対象部分Kを規定し、当該退避対象部分Kを矯正領域Qに位置させ、用紙Sの姿勢を矯正する。退避対象部分Kは、用紙Sの膨らむ部分である。これにより、印刷モードに応じて効率良く用紙Sの姿勢を矯正することができる。なお、本実施形態において、退避対象部分Kを矯正領域Qに退避させることは、退避対象部分Kを矯正領域Qに位置させることを意味する。
なお、印刷モードに応じて、用紙Sの膨らむ部分が異なる理由は、材質が同一の用紙Sであっても、例えば、インクの吐出量の差の違いによって繊維同士の押し合いによる膨張変形が異なるためと考えられる。例えば、図6及び図7に示すように、第1モードでは第1領域F1から第4領域F4及び第4領域F4の上流側に向けてインク吐出量が徐々に減少していくが、第2モードでは第1領域G1から第2領域G2及び第2領域G2の上流側に向けてインク吐出量の差が大きく変化する。このように、この用紙Sにおけるインク吐出量の変化によってコックリングが発生する位置が異なると考えられる。
以下、具体的に、印刷モードにおける用紙Sの退避対象部分Kについて説明する。
本実施形態では、印刷モードとして上記の第1モード及び第2モードを一例として説明する。
まず、第1モードは、第2モードより所定面積当たりのインクの吐出量が多い印刷モードである。第1モードの場合、図6に示すように、第2領域F2において用紙Sの膨潤による膨らみ具合が他の領域となる第1領域F1、第3領域F3、第4領域F4に比べて大きい。第1モードの場合は、第1領域F1から第4領域F4に向けてインクの吐出量が徐々に減少する中で、ラスターラインが全て形成された状態となる第1領域F1に隣接した第2領域F2に大きな膨らみが発生する。また、第2領域F2における膨らみ具合が大きい理由としては、図6に示すように、第2領域F2は、第3領域F3及び第4領域F4に比べラスターラインが形成されていない領域が最も狭い。このため、第2領域F2では、ラスターラインが形成されていない領域に対して膨潤した繊維同士の押し合いにより膨張変形の度合いが第3領域F3及び第4領域F4に比べて高くなるために膨らみが大きくなると考えられる。本実施形態では、第1領域F1うちの上流側と、第2領域F2と、第3領域F3と、第4領域F4と、を第1退避対象部分K1として規定する。すなわち、第1モードにおける第1退避対象部分K1は、インク吐出が中断されたときに走査領域E内に位置する部分である。
一方、第2モードでは、図7に示すように、用紙Sの第2領域G2に隣接する搬送方向の上流側において膨らみ具合が他の領域となる第1領域G1や第2領域G2に比べて大きい。第2モードの場合は、用紙Sにおいてインクの吐出量の差が大きくなる部分に大きな膨らみが発生する。さらに詳細には、用紙Sの第2領域G2に隣接する搬送方向Yの上流側の部分、換言すれば、ラスターラインが形成されていない部分は、第2領域G2の膨潤した側に引き寄せられるため、他の領域に比べて膨らみが大きくなると考えられる。従って、第2領域G2の搬送方向Yの上流側と第2領域G2の搬送方向Yの上流側に隣接する部分、すなわち、第2領域G2の搬送方向Yの上流側と第2領域G2の搬送方向Yの上流側に連続した部分を第2退避対象部分K2として規定する。すなわち、第2モードにおける第2退避対象部分K2は、インク吐出が中断されたときに走査領域E内に位置する部分と、走査領域Eより上流側に位置する部分とを含む部分である。
次に、矯正領域Qについて説明する。図9は、矯正領域Qを説明するための模式図である。
矯正領域Qは、用紙Sの退避対象部分Kを退避させる領域である。矯正領域Qは、用紙Sの搬送経路Vにおいてヘッド21が走査する走査領域Eと異なる領域に配置される。そして、矯正領域Qは、用紙Sの姿勢を矯正する領域である。すなわち、矯正領域Qは、ヘッド21によるインク吐出が中断されたとき、用紙Sの退避対象部分Kを退避させ、用紙Sの退避対象部分Kの姿勢を矯正するための領域である。
本実施形態では、矯正領域Qは、搬送経路Vにおいて走査領域Eよりも下流側に配置される。本実施形態の矯正領域Qは、第1矯正領域Q1と第2矯正領域Q2とを含み、第1矯正領域Q1及び第2矯正領域Q2は走査領域Eよりも下流側に配置される。
これにより、用紙Sの第1退避対象部分K1、第2退避対象部分K2は走査領域Eより下流側に退避されるため、用紙Sの退避時に第1退避対象部分K1、第2退避対象部分K2がヘッド21に接触してノズル面21Aを汚すことがない。また、用紙Sを走査領域Eより下流側に退避させた際、用紙Sの一部が排紙口16から排紙され、筐体12の外部に露呈される。従って、用紙Sに印刷された画像部分が外気に触れることによって乾燥をより促進させることができる。
第1矯正領域Q1は、搬送経路Vにおける第1ローラー対41と第2ローラー対42との間の増速領域である。上述したように、搬送部40では、上流側のローラー対44の駆動ローラー45に対して第1ローラー対41、第2ローラー対42及び第3ローラー対43における各駆動ローラー45が増速された状態である。従って、第1ローラー対41と第2ローラー対42との間は増速された領域となる。
また、第2矯正領域Q2は、走査領域Eよりも下流側に設けられた凹部100である。本実施形態の凹部100は媒体支持部30に設けられる。
そして、制御部60では、ヘッド21によるインク吐出が中断されたとき、印刷モードに応じて退避対象部分Kとしての第1退避対象部分K1及び第2退避対象部分K2の少なくともいずれかを矯正領域Qとしての第1矯正領域Q1及び第2矯正領域Q2のいずれかに位置させる。
本実施形態では、第1モードであるとき、と、第2モードであるとき、とでは矯正領域Qがそれぞれ異なり、第1モードであるときの矯正領域Qは、第1矯正領域Q1である。すなわち、第1モードであるときの矯正領域Qは、第1ローラー対41と第2ローラー対42との間の増速領域である。そして、制御部60では、印刷モードが第1モードであるとき、第1退避対象部分K1を第1矯正領域Q1に位置(退避)させる。これにより、第1ローラー対41と第2ローラー対42によって増速された状態で第1退避対象部分K1が保持される。すなわち、第1退避対象部分K1は搬送経路Vの下流側に引っ張られ、用紙Sが平坦化した状態で保持される。このとき、第1退避対象部分K1における膨らみ部分が引っ張り力によって矯正される。さらに、第1ローラー対41と第2ローラー対42との位置関係は、上流側の第1ローラー対41による用紙Sの挟み位置P1の方が、下流側の第2ローラー対42による用紙Sの挟み位置P2よりも、鉛直方向Zで下方となる−Z方向に位置する。さらに、媒体支持部30の支持位置Pは、第2ローラー対42による用紙Sの挟み位置P2よりも、鉛直方向Zで下方となる−Z方向に位置する。そのため、用紙Sは、−Z方向に押し付けられた姿勢になるため、用紙Sの第1退避対象部分K1が矯正される。
また、第2モードであるときの矯正領域Qは、第2矯正領域Q2である。すなわち、第2モードであるときの矯正領域Qは、凹部100である。そして、制御部60では、印刷モードが第2モードであるとき、第2退避対象部分K2を第2矯正領域Q2に位置させる。これにより、第2退避対象部分K2が第2矯正領域Q2である凹部100に退避される。第2矯正領域Q2に退避された第2退避対象部分K2は、第2退避対象部分K2における膨らみ部分が凹部100によって膨らみ方向とは反対方向の凹部100の底部に向けて重力が働き、凹部100に倣った状態で保持される。これにより、第2退避対象部分K2における膨らみが解消され用紙Sの第2退避対象部分K2の姿勢が矯正される。なお、第2矯正領域Q2は、特に、当該第2矯正領域に退避された後に、膨らみ部分の変化量が大きくなるような部分の矯正に有効である。本実施形態の第1退避対象部分K1と第2退避対象部分K2とでは、第2退避対象部分K2に、所定時間経過後に膨らみ部分の変化量が大きくなる傾向がある。
なお、本実施形態では、第2矯正領域Q2は、第1矯正領域Q1よりも搬送経路Vの上流側に配置される。
これにより、第1モードにおける第1退避対象部分K1の退避時の移動距離と、第2モードにおける第2退避対象部分K2の退避時の移動距離との差を小さくすることができる。すなわち、第1退避対象部分K1は、走査領域E内に位置する部分であるが、第2退避対象部分K2は、走査領域E内に位置する部分と走査領域Eの上流側に位置する部分と含むため、共通の矯正領域Qを基準点として、第1退避対象部分K1を退避させるための移動距離と、第2退避対象部分K2を退避させるための移動距離と、を比べた場合、第2退避対象部分K2を退避させるための移動距離の方が長くなる。このため、例えば、第2矯正領域Q2を、第1矯正領域Q1よりも搬送経路Vの下流側に配置した場合、第2退避対象部分K2を退避させるための移動距離がさらに長いものとなり、プリンター1の構造も大型化してしまう。また、印刷モードにより移動距離が異なると搬送制御が複雑化し、搬送誤差が生じるおそれがある。このため、本実施形態では、第1モードにおける退避動作の移動距離と第2モードにおける退避動作の移動距離とのバランスを考慮し、印刷モードごとの移動距離を短くさせ、また、各印刷モードにおける移動距離の差を小さくすることができる。従って、プリンター1の小型化と搬送制御の簡略化を図ることができる。
次に、プリンター1の制御方法について説明する。具体的には、ヘッド21によるインク吐出が中断された場合におけるプリンター1の制御方法について説明する。
図10及び図11は、第1モードにおけるプリンター1の制御方法を説明する動作図である。図12及び図13は、第2モードにおけるプリンター1の制御方法を説明する動作図である。なお、図10から図13では、説明を容易とするため、プリンター1を−X方向から見た側面図と用紙Sを+Z方向から見た平面図とを対応させて示している。
まず、第1モードにおけるプリンター1の制御方法を説明する。
制御部60は、ホスト装置から受信した印刷データに基づいて、印刷モードが第1モードとして認識し、キャリッジ20、ヘッド21及び搬送部40等を駆動させる。これより、用紙Sに画像が印刷される(図6参照)。
制御部60は、インクカートリッジ27の記憶素子を介して算出されたインク残量に基づいて、インクカートリッジ27内のインク残量が所定値に達したか否かを判断する。そして、インクカートリッジ27内のインク残量が所定値に達したと判断した場合には操作パネル15にインクカートリッジ27の交換を示唆する旨のメッセージを表示させる。そして、制御部60は、キャリッジ20、ヘッド21及び搬送部40等の駆動を停止させる。これにより、ヘッド21によるインク吐出が中断される。すなわち、印刷処理が中断される。
このとき、図10の例では、走査領域Eに対応する用紙Sの位置には、用紙Sに形成された画像の第1領域F1の一部と、第2領域F2と、第3領域F3と、第4領域F4と、が位置した状態である。
ユーザーは、メンテナンスカバー14を開状態にしてインクカートリッジ27の交換を行う。ここで、インクカートリッジ27の交換作業の間、用紙Sの一部がインクの受容によって膨潤してヘッド21側に向けて凸状に膨らみ、ノズル面21Aに接触するおそれがある(図8参照)。
第1モードであるときは、走査領域Eに対応した用紙Sの部分において膨らみが発生する。その中でも、特に、第2領域F2で膨らみが顕著に発生する。
そこで、制御部60は、ヘッド21によるインク吐出が中断されたと判断した場合、走査領域Eに対応した用紙Sの部分を第1退避対象部分K1であると認識する。そして、搬送部40を駆動させ、図11に示すように、用紙Sの第1退避対象部分K1を第1矯正領域Q1に位置させる。制御部60は、用紙Sの第1退避対象部分K1が第1矯正領域Q1に位置したら搬送部40の駆動を停止させる。
これにより、第1退避対象部分K1で発生する膨らみ部分のノズル面21Aへの接触を防止することができる。
第1矯正領域Q1は、第1ローラー対41と第2ローラー対42との間の領域であり、増速領域である。第1矯正領域Q1に退避された用紙Sの第1退避対象部分K1は、第1ローラー対41と第2ローラー対42との間で保持される。すなわち、第1退避対象部分K1は、搬送経路Vの下流側に引っ張られ、用紙Sが平坦化した状態で保持される。これにより、第1退避対象部分K1の姿勢が矯正される。
ユーザーは、インクカートリッジ27を交換し、メンテナンスカバー14を閉状態とする。制御部60は、インクカートリッジ27の装着を電気的に検出し、かつメンテナンスカバー14が閉じられたことをカバーセンサー57が検知すると、インクカートリッジ27の交換が完了したと認識する。
そして、制御部60は、搬送部40を駆動させ、第1矯正領域Q1に退避された用紙Sの第1退避対象部分K1を走査領域Eに移動させる。これにより、用紙Sは、インク吐出が中断されたときの位置に復帰する。
元の位置に復帰した第1退避対象部分K1は、第1矯正領域Q1において平坦状に矯正されているため、第1退避対象部分K1とノズル面21Aとは接触しない。
次いで、制御部60は、キャリッジ20、ヘッド21及び搬送部40等を駆動させ、インク吐出を再開させる。
次に、第2モードにおけるプリンター1の制御方法を説明する。
制御部60は、ホスト装置から受信した印刷データに基づいて、印刷モードが第2モードとして認識し、キャリッジ20、ヘッド21及び搬送部40等を駆動させる。これより、用紙Sに画像が印刷される(図7参照)。
制御部60は、インクカートリッジ27の記憶素子を介して算出されたインク残量に基づいて、インクカートリッジ27内のインク残量が所定値に達したか否かを判断する。そして、インクカートリッジ27内のインク残量が所定値に達したと判断した場合には操作パネル15にインクカートリッジ27の交換を示唆する旨のメッセージを表示させる。そして、制御部60は、キャリッジ20、ヘッド21及び搬送部40等の駆動を停止させる。これにより、ヘッド21によるインク吐出が中断される。すなわち、印刷処理が中断される。
このとき、図12の例では、走査領域Eに対応する用紙Sの位置には、用紙Sに形成された画像の第2領域G2が位置した状態である。
ユーザーは、メンテナンスカバー14を開状態にしてインクカートリッジ27の交換を行う。ここで、インクカートリッジ27の交換作業の間、用紙Sの一部がインクの受容によって膨潤してヘッド21側に向けて凸状に膨らみ、ノズル面21Aに接触するおそれがある(図8参照)。
第2モードであるときは、走査領域Eに対応した用紙Sの部分の上流側部分と、走査領域Eより上流側とを含む連続した領域において膨らみが発生する。
そこで、制御部60は、ヘッド21によるインク吐出が中断されたと判断した場合、走査領域Eに対応した用紙Sの上流側部分と走査領域Eより上流側とを含む連続した領域を第2退避対象部分K2であると認識する。そして、搬送部40を駆動させ、図13に示すように、用紙Sの第2退避対象部分K2を第2矯正領域Q2に位置(退避)させる。制御部60は、用紙Sの第2退避対象部分K2が第2矯正領域Q2に位置したら搬送部40の駆動を停止させる。
これにより、第2退避対象部分K2で発生する膨らみ部分のノズル面21Aへの接触を防止することができる。
第2矯正領域Q2は、媒体支持部30の走査領域Eの下流側に形成された凹部100である。第2矯正領域Q2に退避された用紙Sの第2退避対象部分K2は、第2退避対象部分K2における膨らみ部分が凹部100によって膨らみ方向とは反対方向の凹部100の底部に向けて重力が働き、第2退避対象部分K2は、凹部100に倣った状態で保持される。これにより、用紙Sの第2退避対象部分K2の姿勢が矯正される。
ユーザーは、インクカートリッジ27を交換し、メンテナンスカバー14を閉状態とする。制御部60は、インクカートリッジ27の装着を電気的に検出し、かつメンテナンスカバー14が閉じられたことをカバーセンサー57が検知すると、インクカートリッジ27の交換が完了したと認識する。
そして、制御部60は、搬送部40を駆動させ、第2矯正領域Q2に退避された用紙Sの第2退避対象部分K2を走査領域Eに移動させる。これにより、用紙Sは、インク吐出が中断されたときの位置に復帰する。
元の位置に復帰した第2退避対象部分K2の姿勢は、第2矯正領域Q2において矯正されているため、第2退避対象部分K2とノズル面21Aとは接触しない。
次いで、制御部60は、キャリッジ20、ヘッド21及び搬送部40等を駆動させ、インク吐出を再開させる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク吐出が中断されたとき、第1モードでは、走査領域E内に位置する部分を第1退避対象部分K1として第1矯正領域Q1に退避させ、第2モードでは、走査領域E内に位置する上流側部分と走査領域Eよりも上流側の部分とを第2退避対象部分K2として第2矯正領域Q2に退避させた。これにより、インク吐出の中断時における用紙Sによるヘッド擦れを防止すことができる。また、インク吐出が中断の間では、第1矯正領域Q1において第1退避対象部分K1の姿勢が矯正され、第2矯正領域Q2において第2退避対象部分K2の姿勢が矯正される。これにより、インク吐出の再開時に、第1退避対象部分K1及び第2退避対象部分K2を元の位置に復帰させた際、用紙Sとノズル面21Aとが接触しないので、直ぐにインク吐出を再開できる。すなわち、生産性の向上を図ることができる。
さらには、用紙Sの膨らみを抑制するために、媒体支持部30に用紙Sを吸着させるための吸着機構等を設ける必要が無いので、プリンター1の小型化、低コスト化を図ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)上記実施形態では、用紙Sを搬送する搬送経路Vにおいて、走査領域Eより下流側に矯正領域Qを配置したが、これに限定されない。用紙Sを搬送する搬送経路Vにおいて、走査領域Eより上流側に矯正領域Qを配置してもよい。
図14は、本変形例にかかるプリンター1Aの構成を示す一部模式図である。
図14に示すように、媒体支持部30の搬送方向上流の+Z方向端部には、媒体支持部30の一部が切り落された切欠き部101が形成されている。そして、切欠き部101とローラー対44の駆動ローラー45との間に、−X方向から見たときに凹部状の空間が形成される。当該空間は用紙Sを搬送する搬送経路Vにおいて、走査領域Eより上流側に設けられた領域であり、当該領域を第3矯正領域Q3(Q)としてもよい。また、経路形成部材19に倣った搬送経路Vを第4矯正領域Q4(Q)としてもよい。
このようにしても、第3及び第4矯正領域Q3,Q4に退避された用紙Sの退避対象部分Kは、第3及び第4矯正領域Q3,Q4の形態に倣って保持されるので、退避対象部分Kの膨らみ部分が矯正される。また、用紙Sの退避対象部分Kは走査領域Eより上流側に退避される。これにより、用紙Sはプリンター1Aの内部に収容された状態で退避するため、用紙Sへの異物等の付着や用紙Sの損傷等の不具合を防止することができる。
(変形例2)上記実施形態では、第1モードでは、第1退避対象部分K1を第1矯正領域Q1に退避させ、第2モードでは、第2退避対象部分K2を第2矯正領域Q2に退避させたが、これに限定されない。第1モードまたは第2モードのいずれであっても、第2矯正領域Q2に退避させてもよい。すなわち、矯正領域Qが凹部100(第2矯正領域Q2)のみであってもよい。
このようにしても、第1退避対象部分K1または第2退避対象部分K2は、凹部100に退避され、凹部100に倣った状態で保持される。これにより、用紙Sの姿勢を矯正することができる。
(変形例3)上記実施形態では、第1モードでは、第1退避対象部分K1を第1矯正領域Q1に退避させ、第2モードでは、第2退避対象部分K2を第2矯正領域Q2に退避させたが、これに限定されない。第1モードまたは第2モードのいずれであっても、第1矯正領域Q1に退避させてもよい。すなわち、矯正領域Qが増速領域(第1矯正領域Q1)のみであってもよい。
このようにしても、第1退避対象部分K1または第2退避対象部分K2は、第1矯正領域Q1に退避され、第1ローラー対41と第2ローラー対42との間で保持される。これにより、用紙Sの姿勢を矯正することができる。
(変形例4)上記実施形態では、第1モードでは、第1退避対象部分K1を第1矯正領域Q1に退避させ、第2モードでは、第2退避対象部分K2を第2矯正領域Q2に退避させたが、これに限定されない。第1モードでは、第1退避対象部分K1を第2矯正領域Q2に退避させ、第2モードでは、第2退避対象部分K2を第1矯正領域Q1に退避させてもよい。このようにしも、用紙Sの姿勢を矯正することができる。
(変形例5)上記実施形態では、インク吐出が中断する場合として、インクカートリッジ27の交換時を例に説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザーが印刷設定の間違いや印刷データの間違いに気付いた際に、操作パネル15を操作して印刷動作を停止したときを、インク吐出を中断する場合としてもよいし、インクカートリッジ27にインクを補充可能な構成の場合に、インク補充時を、インク吐出を中断する場合としてもよいし、単票紙用の排紙スタッカーを排紙口16付近に装着させるときを、インク吐出を中断する場合としてもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
(変形例6)上記実施形態では、走査領域Eの搬送経路Vに対応した距離寸法と、第1矯正領域Q1における第1ローラー対41と第2ローラー対42との間の搬送経路Vに対応した距離寸法と、がほぼ同じ距離寸法であったが、仮に走査領域Eの搬送経路Vに対応した距離寸法よりも、第1矯正領域Q1における第1ローラー対41と第2ローラー対42との間の搬送経路Vに対応した距離寸法の方が短い場合には、第1モードにおける第1退避対象部分K1を、走査領域E内で最も膨らみが大きい第2領域F2を第1退避対象部分K1として第1矯正領域Q1に退避させる。このようにすれば、効率良く、用紙Sを矯正させ、用紙Sのノズル面21Aへの接触を防止することができる。
(変形例7)上記実施形態では、同一種の用紙Sについて説明したが、他の用紙Sについても同様に退避対象部分Kを規定し、矯正領域Qに退避させてもよい。また、用紙S毎に退避するか否かを選択する制御方法であってもよい。例えば、普通紙の場合は、退避対象部分Kを規定し、矯正領域Qに退避させる構成とし、写真用の光沢紙の場合は、膨潤による膨らみの発生がないため退避させない構成としてもよい。
また、各種印刷モードに応じて、適宜退避対象部分Kを規定し、矯正領域Qに退避させてもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
インクジェットプリンターは、媒体を搬送する搬送部と、搬送される前記媒体にインクを吐出可能なインクジェットヘッドと、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、前記媒体の退避対象部分を、前記媒体の搬送経路において前記インクジェットヘッドが走査する走査領域と異なる領域であり、前記媒体の姿勢を矯正する矯正領域に位置させ、中断された前記インク吐出が第1モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分であり、中断された前記インク吐出が、前記第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分と、当該走査領域より上流側に位置する部分と、を含むことを特徴とする。
インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、媒体のインクが吐出された部分がインクジェットヘッドの走査領域に停滞した場合、媒体のインクが吐出された部分やその部分の周辺は、インクの水分により膨潤して膨らむ。そして、媒体の膨らんだ部分がインクジェットヘッドに接触すると、インクジェットヘッド面が汚れ、インクの吐出不良が発生し、画像品質が低下してしまう。
そこで、上記構成によれば、インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、膨らむ可能性のある媒体の部分を退避対象部分として走査領域と異なる矯正領域に位置させる。これにより、膨らみよる媒体とインクジェットヘッドとの接触が防止され、インクジェットヘッドの吐出不良を低減させることができる。
また、上記構成では、インク吐出のモードに応じて、すなわちインクの吐出量に応じて矯正領域に退避させる媒体の退避対象部分が異なる。これには、同一種の媒体であっても、インクの吐出量によって媒体の膨らむ部分が異なるからである。
そこで、インク吐出が第1モードと、第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードと、があるとき、第1モードの場合では、媒体の走査領域内に位置する部分を退避対象部分として矯正領域に退避させる。一方、第2モードの場合では、走査領域内に位置する部分と走査領域より上流側に位置する部分とを含む部分を退避対象部分として矯正領域に退避させる。
ここで、矯正領域とは媒体の姿勢を矯正する領域であり、第1モードにおける退避対象部分及び第2モードにおける退避対象部分はそれぞれ矯正領域において媒体の姿勢が矯正される。すなわち、それぞれの退避対象部分における膨らみが解消され、媒体は平坦化される。
従って、インク吐出の中断後に、インク吐出を再開するにあたり、上記退避対象部分を走査領域に戻した場合、媒体の退避対象部分の姿勢は矯正されているため、退避対象部分とインクジェットヘッドとが接触しない。これにより、インクジェットヘッドの汚れが発生せず、インクジェットヘッドの吐出不良を低減させることができる。
まとめると、上記構成によれば、インク吐出のモードに応じて矯正領域に退避させる退避対象部分を異ならせて退避させ、退避させた矯正領域において媒体の姿勢を矯正する。これにより、インク吐出の中断時における媒体のインクジェットヘッド擦れを防止するとともに、インク吐出の再開時における媒体のインクジェットヘッド擦れを防止する。従って、画像品質を向上させることができる。
上記インクジェットプリンターでは、前記媒体が搬送される前記搬送経路において、前記矯正領域は前記走査領域より下流側であることが好ましい。
この構成によれば、媒体の退避対象部分は走査領域より下流側に退避されるため、媒体の退避時に退避対象部分がインクジェットヘッドに接触してインクジェットヘッドを汚すことがない。また、媒体を走査領域より下流側に退避させた際、媒体の一部がインクジェットプリンターの外部に露呈する場合があるため、外気によって乾燥をより促進させることができる。
上記インクジェットプリンターの前記矯正領域は、前記下流側に設けられ重力方向に凹んだ凹部であることが好ましい。
この構成によれば、媒体の退避対象部分が凹部に退避する。凹部に退避された媒体の退避対象部分は、凹部に倣った状態で保持される。このとき、退避対象部分における膨らみ部分が凹部によって膨らみ方向とは反対方向に矯正される。
上記インクジェットプリンターでは、前記第1モードであるとき、と、前記第2モードであるとき、とでは前記矯正領域がそれぞれ異なり、前記第2モードであるときの前記矯正領域は、重力方向に凹んだ凹部であることが好ましい。
この構成によれば、第1モードであるときの退避対象部分と前記第2モードであるときの退避対象部分とでは、それぞれ異なる領域に退避される。そして、特に第2モードの場合は、退避対象部分が凹部に退避され、退避対象部分の媒体の姿勢が矯正される。
上記インクジェットプリンターは、前記搬送部として、前記搬送経路における前記走査領域より下流側に設けられた第1排紙ローラーと、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーより下流側に設けられ、前記第1排紙ローラーと同じ駆動源により駆動される第2排紙ローラーと、を有し、前記第2排紙ローラーにおける所定の駆動量あたりの前記媒体の搬送量は、前記第1排紙ローラーより大きく、前記矯正領域は、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーと前記第2排紙ローラーとの間の増速領域であることが好ましい。
この構成によれば、媒体の退避対象部分が第1排紙ローラーと第2排紙ローラーとの間に退避する。第1排紙ローラーと第2排紙ローラーとの間に退避された媒体の退避対象部分は、第2排紙ローラーによる増速処理によって、搬送経路の下流側に引っ張られた状態で保持される。すなわち、媒体が平坦化した状態で保持される。このとき、退避対象部分における膨らみ部分が引っ張り力によって矯正される。
また、媒体は増速領域において平坦化した状態で保持される。すなわち、媒体に形成された画像領域の部分が変形しない。これにより、画像品質を高めることができる。
上記インクジェットプリンターでは、前記搬送部として、前記搬送経路における前記走査領域より下流側に設けられた第1排紙ローラーと、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーより下流側に設けられ、前記第1排紙ローラーと同じ駆動源により駆動される第2排紙ローラーと、を有し、前記第2排紙ローラーにおける所定の駆動量あたりの前記媒体の搬送量は、前記第1排紙ローラーより大きく、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーと前記第2排紙ローラーとの間は増速領域であり、前記第1モードであるとき、と、前記第2モードであるとき、とでは前記矯正領域がそれぞれ異なり、前記第1モードであるときの前記矯正領域は、前記増速領域であることが好ましい。
この構成によれば、第1モードであるときの退避対象部分と前記第2モードであるときの退避対象部分とでは、それぞれ異なる領域に退避される。そして、第1モードの場合は、退避対象部分が増速領域に退避され、退避対象部分の媒体の姿勢が矯正される。
上記インクジェットプリンターでは、前記制御部は、前記第1モードであるとき、前記矯正領域としての第1矯正領域に、前記第1モードにおける前記退避対象部分を位置させ、前記第2モードであるとき、前記第1矯正領域より上流側の第2矯正領域に、前記第2モードにおける前記退避対象部分を位置させることが好ましい。
この構成によれば、第1モードにおける退避動作の移動距離と第2モードにおける退避動作の移動距離とのバランスを考慮し、各モードにおける移動距離を短くさせることができる。すなわち、上記構成によれば、第1モードにおける退避時の移動距離と、第2モードにおける退避時の移動距離との差を小さくすることができる。搬送量が大きい場合、搬送誤差が発生しやすく、第1モードで生じる搬送誤差と第2モードで生じる搬送誤差とに差があると、インク吐出の再開時の搬送制御が複雑化する。そのため、第1モードにおける搬送量と第2モードにおける搬送量との差をできるだけ少なくすることで搬送経路の短縮化と搬送制御の簡略化を図ることができる。
上記インクジェットプリンターでは、前記媒体が搬送される搬送経路において、前記矯正領域は前記走査領域より上流側であることが好ましい。
この構成によれば、媒体の退避対象部分は走査領域より上流側に退避される。ここで、媒体の退避対象部分が走査領域より下流側に退避した場合、媒体の一部がインクジェットプリンターの外に露呈した際、媒体への異物等の付着や媒体の損傷等の不具合の発生が懸念される。上記構成によれば、媒体はインクジェットプリンターの内部に収容された状態で退避可能であるため、媒体への異物等の付着や媒体の損傷等の不具合を防止することができる。
インクジェットプリンターの制御方法は、媒体を搬送する搬送部と、搬送される前記媒体にインクを吐出可能なインクジェットヘッドと、前記搬送部を制御する制御部と、を備えたインクジェットプリンターの制御方法であって、前記インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、前記媒体の退避対象部分を、搬送経路において前記インクジェットヘッドが走査する走査領域と異なる領域であり、前記媒体の姿勢を矯正する矯正領域に位置させ、中断された前記インク吐出が第1モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分であり、中断された前記インク吐出が、前記第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分と、当該走査領域より上流側に位置する部分と、を含むことを特徴とする。
インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、媒体のインクが吐出された部分がインクジェットヘッドの走査領域に停滞した場合、媒体のインクが吐出された部分やその部分の周辺は、インクの水分により膨潤して膨らむ。そして、媒体の膨らんだ部分がインクジェットヘッドに接触すると、インクジェットヘッド面が汚れ、インクの吐出不良が発生し、画像品質が低下してしまう。
そこで、上記構成によれば、インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、膨らむ可能性のある媒体の部分を退避対象部分として走査領域と異なる矯正領域に位置させる。これにより、膨らみよる媒体とインクジェットヘッドとの接触が防止され、インクジェットヘッドの吐出不良を低減させることができる。
また、上記構成では、インク吐出のモードに応じて、すなわちインクの吐出量に応じて矯正領域に退避させる媒体の退避対象部分が異なる。これには、同一種の媒体であっても、インクの吐出量によって媒体の膨らむ部分が異なるからである。
そこで、インク吐出が第1モードと、第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードと、があるとき、第1モードの場合では、媒体の走査領域内に位置する部分を退避対象部分として矯正領域に退避させる。一方、第2モードの場合では、走査領域内に位置する部分と走査領域より上流側に位置する部分とを含む部分を退避対象部分として矯正領域に退避させる。
ここで、矯正領域とは媒体の姿勢を矯正する領域であり、第1モードにおける退避対象部分及び第2モードにおける退避対象部分はそれぞれ矯正領域において媒体の姿勢が矯正される。すなわち、それぞれの退避対象部分における膨らみが解消され、媒体は平坦化される。
従って、インク吐出の中断後に、インク吐出を再開するにあたり、上記退避対象部分を走査領域に戻した場合、媒体の退避対象部分の姿勢は矯正されているため、退避対象部分とインクジェットヘッドとが接触しない。これにより、インクジェットヘッドの汚れが発生せず、インクジェットヘッドの吐出不良を低減させることができる。
まとめると、上記構成によれば、インク吐出のモードに応じて矯正領域に退避させる退避対象部分を異ならせて退避させ、退避させた矯正領域において媒体の姿勢を矯正する。これにより、インク吐出の中断時における媒体のインクジェットヘッド擦れを防止するとともに、インク吐出の再開時における媒体のインクジェットヘッド擦れを防止する。従って、画像品質を向上させることができる。
1…プリンター(インクジェットプリンター)、1A…プリンター(インクジェットプリンター)、2…本体部、3…排紙受け部、4…用紙捕集部、8…支柱、9…ベース、12…筐体、13…給紙カバー、14…メンテナンスカバー、15…操作パネル、16…排紙口、17…供給口、18…フレーム、19…経路形成部材、20…キャリッジ、20A…本体、20B…カバー、21…ヘッド(インクジェットヘッド)、21A…ノズル面、22…移動機構、23…キャリッジモーター、24…プーリー、25…タイミングベルト、26…第1エンコーダー、27…インクカートリッジ、30…媒体支持部、31…押えローラー、32…ガイド軸、33…レール部、35…給送部、36…給送軸、37…給送モーター、39…搬送モーター、40…搬送部、41…第1ローラー対、42…第2ローラー対、43…第3ローラー対、44…ローラー対、45…駆動ローラー、46…従動ローラー、47…支持部材、48…支持部材、50…媒体切断部、51…駆動刃、52…従動刃、57…カバーセンサー、58…第2エンコーダー、59…媒体検出器、60…制御部、61…CPU、62…第1カウンター、63…第2カウンター、65…メモリー、90…排紙部、100…凹部、101…切欠き部、S…用紙(媒体)、K1…第1退避対象部分、K2…第2退避対象部分、V…搬送経路、E…走査領域、Q…矯正領域、Q1…第1矯正領域(矯正領域)、Q2…第2矯正領域(矯正領域)、Q3…第3矯正領域(矯正領域)、Q4…第4矯正領域(矯正領域)。

Claims (9)

  1. 媒体を搬送する搬送部と、
    搬送される前記媒体にインクを吐出可能なインクジェットヘッドと、
    前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、前記媒体の退避対象部分を、前記媒体の搬送経路において前記インクジェットヘッドが走査する走査領域と異なる領域であり、前記媒体の姿勢を矯正する矯正領域に位置させ、
    中断された前記インク吐出が第1モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分であり、
    中断された前記インク吐出が、前記第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分と、当該走査領域より上流側に位置する部分と、を含むことを特徴とするインクジェットプリンター。
  2. 請求項1に記載のインクジェットプリンターにおいて、
    前記媒体が搬送される前記搬送経路において、前記矯正領域は前記走査領域より下流側であることを特徴とするインクジェットプリンター。
  3. 請求項2に記載のインクジェットプリンターにおいて、
    前記矯正領域は、前記下流側に設けられ重力方向に凹んだ凹部であることを特徴とするインクジェットプリンター。
  4. 請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンターにおいて、
    前記第1モードであるとき、と、前記第2モードであるとき、とでは前記矯正領域がそれぞれ異なり、
    前記第2モードであるときの前記矯正領域は、重力方向に凹んだ凹部であることを特徴とするインクジェットプリンター。
  5. 請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンターにおいて、
    前記搬送部として、
    前記搬送経路における前記走査領域より下流側に設けられた第1排紙ローラーと、
    前記搬送経路における前記第1排紙ローラーより下流側に設けられ、前記第1排紙ローラーと同じ駆動源により駆動される第2排紙ローラーと、を有し、
    前記第2排紙ローラーにおける所定の駆動量あたりの前記媒体の搬送量は、前記第1排紙ローラーより大きく、
    前記矯正領域は、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーと前記第2排紙ローラーとの間の増速領域であることを特徴とするインクジェットプリンター。
  6. 請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンターにおいて、
    前記搬送部として、
    前記搬送経路における前記走査領域より下流側に設けられた第1排紙ローラーと、
    前記搬送経路における前記第1排紙ローラーより下流側に設けられ、前記第1排紙ローラーと同じ駆動源により駆動される第2排紙ローラーと、を有し、
    前記第2排紙ローラーにおける所定の駆動量あたりの前記媒体の搬送量は、前記第1排紙ローラーより大きく、前記搬送経路における前記第1排紙ローラーと前記第2排紙ローラーとの間は増速領域であり、
    前記第1モードであるとき、と、前記第2モードであるとき、とでは前記矯正領域がそれぞれ異なり、
    前記第1モードであるときの前記矯正領域は、前記増速領域であることを特徴とするインクジェットプリンター。
  7. 請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンターにおいて、
    前記制御部は、
    前記第1モードであるとき、前記矯正領域としての第1矯正領域に、前記第1モードにおける前記退避対象部分を位置させ、
    前記第2モードであるとき、前記第1矯正領域より上流側の第2矯正領域に、前記第2モードにおける前記退避対象部分を位置させることを特徴とするインクジェットプリンター。
  8. 請求項1に記載のインクジェットプリンターにおいて、
    前記媒体が搬送される前記搬送経路において、前記矯正領域は前記走査領域より上流側であることを特徴とするインクジェットプリンター。
  9. 媒体を搬送する搬送部と、搬送される前記媒体にインクを吐出可能なインクジェットヘッドと、前記搬送部を制御する制御部と、を備えたインクジェットプリンターの制御方法であって、
    前記インクジェットヘッドによるインク吐出が中断されたとき、前記媒体の退避対象部分を、搬送経路において前記インクジェットヘッドが走査する走査領域と異なる領域であり、前記媒体の姿勢を矯正する矯正領域に位置させ、
    中断された前記インク吐出が第1モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分であり、
    中断された前記インク吐出が、前記第1モードより所定面積当たりのインクの吐出量が小さい第2モードであるとき、前記退避対象部分は、当該インク吐出が中断されたときに前記走査領域内に位置する部分と、当該走査領域より上流側に位置する部分と、を含むことを特徴とするインクジェットプリンターの制御方法。
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